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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163883
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】配線基板および配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20221020BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01Q1/38
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068992
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】飯村 慶太
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】武 誠司
【テーマコード(参考)】
5E338
5J046
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA13
5E338AA16
5E338BB75
5E338CC01
5E338CC09
5E338CD15
5E338EE11
5J046AA03
5J046AB06
5J046PA07
5J046PA09
(57)【要約】
【課題】モアレの発生を抑制することが可能な、配線基板および配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板は、メッシュ配線層20と、ダミー配線層30と、を備えている。メッシュ配線層20の単位パターン20Aは、第1方向に沿って延びる第1方向配線21と、第2方向に沿って延びる第2方向配線22とを含んでいる。ダミー配線層30のダミー単位パターン30Aは、第1方向に沿って延びる第1ダミー配線部分31と、第2方向に沿って延びる第2ダミー配線部分32とを含んでいる。ダミー単位パターン30Aに、切り欠き部33が形成され、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、切り欠き部33の位置および形状のうちの少なくとも一方は、互いに異なっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板であって、
基板と、
前記基板上に配置され、複数の配線を含むメッシュ配線層と、
前記メッシュ配線層の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミー配線層と、を備え、
前記基板は、波長400nm以上700nm以下の光線の透過率が85%以上であり、
前記メッシュ配線層は、繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、
前記単位パターンは、第1方向に沿って延びる第1方向配線と、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って延びる第2方向配線とを含み、
前記ダミー配線層は、繰り返し配列された所定のダミー単位パターンから構成され、
前記ダミー単位パターンは、前記第1方向に沿って延びる第1ダミー配線部分と、前記第2方向に沿って延びる第2ダミー配線部分とを含み、
前記ダミー単位パターンに、切り欠き部が形成され、
互いに隣り合う前記ダミー単位パターンにおいて、切り欠き部の位置および形状のうちの少なくとも一方は、互いに異なる、配線基板。
【請求項2】
前記ダミー配線層において、互いに連続する500μm四方の領域の開口率の差は、0.2%以内である、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記ダミー単位パターンにおいて、前記第1ダミー配線部分と、前記第2ダミー配線部分とは、互いに離間している、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
互いに隣り合う前記ダミー単位パターンにおいて、前記第1ダミー配線部分同士および前記第2ダミー配線部分同士は、互いに離間している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記ダミー単位パターンに、複数の前記切り欠き部が形成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
互いに隣り合う前記ダミー単位パターンにおいて、前記第1ダミー配線部分および前記第2ダミー配線部分の合計長さは、互いに等しい、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
前記ダミー配線層内に、前記ダミー配線から離間した追加パターンが配置されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記ダミー単位パターンは、前記第1方向および前記第2方向に平行に繰り返し配列されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項9】
電波送受信機能を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項10】
配線基板の製造方法であって、
基板を準備する工程と、
前記基板上に、複数の配線を含むメッシュ配線層と、前記メッシュ配線層の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミー配線層とを形成する工程と、を備え、
前記基板は、波長400nm以上700nm以下の光線の透過率が85%以上であり、
前記メッシュ配線層は、繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、
前記単位パターンは、第1方向に沿って延びる第1方向配線と、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って延びる第2方向配線とを含み、
前記ダミー配線層は、繰り返し配列された所定のダミー単位パターンから構成され、
前記ダミー単位パターンは、前記第1方向に沿って延びる第1ダミー配線部分と、前記第2方向に沿って延びる第2ダミー配線部分とを含み、
前記ダミー単位パターンに、切り欠き部が形成され、
互いに隣り合う前記ダミー単位パターンにおいて、切り欠き部の位置および形状のうちの少なくとも一方は、互いに異なる、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施の形態は、配線基板および配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォン、タブレット等の携帯端末機器の高機能、小型化、薄型化および軽量化が進んでいる。これら携帯端末機器は、複数の通信帯域を使用するため、通信帯域に応じた複数のアンテナが必要とされる。例えば、携帯端末機器には、電話用アンテナ、WiFi(Wireless Fidelity)用アンテナ、3G(Generation)用アンテナ、4G(Generation)用アンテナ、LTE(Long Term Evolution)用アンテナ、Bluetooth(登録商標)用アンテナ、NFC(Near Field Communication)用アンテナ等の複数のアンテナが搭載されている。しかしながら、携帯端末機器の小型化に伴い、アンテナの搭載スペースは限られており、アンテナ設計の自由度は狭まっている。また、限られたスペース内にアンテナを内蔵していることから、電波感度が必ずしも満足できるものではない。
【0003】
このため、携帯端末機器の表示領域に搭載することができるフィルムアンテナが開発されている。このフィルムアンテナは、透明基材上にアンテナパターンが形成された透明アンテナにおいて、アンテナパターンが、不透明な導電体層の形成部としての導体部と非形成部としての多数の開口部とによるメッシュ状の導電体メッシュ層によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-66610号公報
【特許文献2】特許第5636735号明細書
【特許文献3】特許第5695947号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、従来のフィルムアンテナにおいては、透明基材上に1つ又は複数のメッシュアンテナが搭載されるが、透明基材上に、アンテナパターンが形成された領域と、アンテナパターンが形成されない領域との両方が存在する。この場合、アンテナパターンが形成されない領域が存在することにより、アンテナパターンが形成された領域が見え易くなってしまう。このため、アンテナパターン等の配線パターンを視認しづらくすることが求められている。
【0006】
これに対して、配線パターンを視認しづらくするために、配線パターンの周囲に、配線パターンとは電気的に独立したダミー配線を含むダミー配線層が設けられる場合がある。しかしながら、フィルムアンテナを搭載した携帯端末機器等においては、ダミー配線の周期と、画素の周期とが干渉してモアレ(明暗の筋模様)を生じさせてしまう可能性がある。このように、モアレが発生した場合、携帯端末機器等において、画像の視認性が低下してしまうおそれがある。
【0007】
本実施の形態は、モアレの発生を抑制することが可能な、配線基板および配線基板の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施の形態による配線基板は、基板と、前記基板上に配置され、複数の配線を含むメッシュ配線層と、前記メッシュ配線層の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミー配線層と、を備え、前記基板は、波長400nm以上700nm以下の光線の透過率が85%以上であり、前記メッシュ配線層は、繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、前記単位パターンは、第1方向に沿って延びる第1方向配線と、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って延びる第2方向配線とを含み、前記ダミー配線層は、繰り返し配列された所定のダミー単位パターンから構成され、前記ダミー単位パターンは、前記第1方向に沿って延びる第1ダミー配線部分と、前記第2方向に沿って延びる第2ダミー配線部分とを含み、前記ダミー単位パターンに、切り欠き部が形成され、互いに隣り合う前記ダミー単位パターンにおいて、切り欠き部の位置および形状のうちの少なくとも一方は、互いに異なる、配線基板である。
【0009】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記ダミー配線層において、互いに連続する500μm四方の領域の開口率の差は、0.2%以内であってもよい。
【0010】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記ダミー単位パターンにおいて、前記第1ダミー配線部分と、前記第2ダミー配線部分とは、互いに離間していてもよい。
【0011】
本開示の一実施の形態による配線基板において、互いに隣り合う前記ダミー単位パターンにおいて、前記第1ダミー配線部分同士および前記第2ダミー配線部分同士は、互いに離間していてもよい。
【0012】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記ダミー単位パターンに、複数の前記切り欠き部が形成されていてもよい。
【0013】
本開示の一実施の形態による配線基板において、互いに隣り合う前記ダミー単位パターンにおいて、前記第1ダミー配線部分および前記第2ダミー配線部分の合計長さは、互いに等しくなっていてもよい。
【0014】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記ダミー配線層内に、前記ダミー配線から離間した追加パターンが配置されていてもよい。
【0015】
本開示の一実施の形態による配線基板において、前記ダミー単位パターンは、前記第1方向および前記第2方向に平行に繰り返し配列されていてもよい。
【0016】
本開示の一実施の形態による配線基板は、電波送受信機能を有していてもよい。
【0017】
本開示の一実施の形態による配線基板の製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に、複数の配線を含むメッシュ配線層と、前記メッシュ配線層の周囲に配置され、前記配線から電気的に独立した複数のダミー配線を含むダミー配線層とを形成する工程と、を備え、前記基板は、波長400nm以上700nm以下の光線の透過率が85%以上であり、前記メッシュ配線層は、繰り返し配列された所定の単位パターンから構成され、前記単位パターンは、第1方向に沿って延びる第1方向配線と、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って延びる第2方向配線とを含み、前記ダミー配線層は、繰り返し配列された所定のダミー単位パターンから構成され、前記ダミー単位パターンは、前記第1方向に沿って延びる第1ダミー配線部分と、前記第2方向に沿って延びる第2ダミー配線部分とを含み、前記ダミー単位パターンに、切り欠き部が形成され、互いに隣り合う前記ダミー単位パターンにおいて、切り欠き部の位置および形状のうちの少なくとも一方は、互いに異なる、配線基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
本開示の実施の形態によると、モアレの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施の形態による配線基板を示す平面図である。
図2図2は、本実施の形態による配線基板を示す拡大平面図(図1のII部拡大図)である。
図3図3は、本実施の形態による配線基板を示す断面図(図2のIII-III線断面図)である。
図4図4は、本実施の形態による配線基板を示す断面図(図2のIV-IV線断面図)である。
図5図5は、本実施の形態による配線基板を示す断面図(図2のV-V線断面図)である。
図6図6(a)-(f)は、本実施の形態による配線基板の製造方法を示す断面図である。
図7図7は、本実施の形態による画像表示装置を示す平面図である。
図8図8は、本実施の形態に係る配線基板の変形例を示す平面図である。
図9図9は、本実施の形態による配線基板の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、図1乃至図7により、第1の実施の形態について説明する。図1乃至図7は第1の実施の形態を示す図である。
【0021】
以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0022】
本実施の形態において、「X方向」とは、メッシュ配線層の長手方向に対して垂直な方向であり、第1方向配線の周波数帯に対応する長さの方向に対して垂直な方向である。「Y方向」とは、X方向に垂直かつメッシュ配線層の長手方向に対して平行な方向であり、第1方向配線の周波数帯に対応する長さの方向に対して平行な方向である。「Z方向」とは、X方向およびY方向の両方に垂直かつ配線基板の厚み方向に平行な方向である。また、「表面」とは、Z方向プラス側の面であって、基板に対して第1方向配線が設けられた面をいう。「裏面」とは、Z方向マイナス側の面であって、基板に対して第1方向配線が設けられた面と反対側の面をいう。なお、本実施の形態において、メッシュ配線層20が、電波送受信機能(アンテナとしての機能)を有するメッシュ配線層20である場合を例にとって説明するが、メッシュ配線層20は電波送受信機能(アンテナとしての機能)を有していなくても良い。
【0023】
[配線基板の構成]
図1乃至図5を参照して、本実施の形態による配線基板の構成について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態による配線基板を示す図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態による配線基板10は、例えば画像表示装置のディスプレイ上に配置されるものである。このような配線基板10は、透明性を有する基板11と、基板11上に配置されたメッシュ配線層20と、基板11上でメッシュ配線層20の周囲に配置されたダミー配線層30と、を備えている。また、メッシュ配線層20には、給電部40が電気的に接続されている。
【0025】
このうち基板11は、平面視で略長方形状であり、その長手方向がY方向に平行であり、その短手方向がX方向に平行となっている。基板11は、透明性を有するとともに略平板状であり、その厚みは全体として略均一となっている。基板11の長手方向(Y方向)の長さLは、例えば20mm以上500mm以下、望ましくは100mm以上200mm以下の範囲で選択することができ、基板11の短手方向(X方向)の長さLは、例えば20mm以上500mm以下、望ましくは50mm以上100mm以下の範囲で選択することができる。なお基板11は、その角部がそれぞれ丸みを帯びていても良い。
【0026】
基板11の材料は、可視光線領域での透明性および電気絶縁性を有する材料であればよい。本実施の形態において基板11の材料はポリエチレンテレフタレートであるが、これに限定されない。基板11の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂材料等の有機絶縁性材料を用いることが好ましい。あるいは、基板11の材料としては、シクロオレフィンポリマー(例えば日本ゼオン社製ZF-16)、ポリノルボルネンポリマー(住友ベークライト社製)等の有機絶縁性材料を用いても良い。また、基板11の材料としては、用途に応じてガラス、セラミックス等を適宜選択することもできる。なお、基板11は、単一の層によって構成された例を図示したが、これに限定されず、複数の基材又は層が積層された構造であってもよい。また、基板11はフィルム状であっても、板状であってもよい。このため、基板11の厚さは特に制限はなく、用途に応じて適宜選択できるが、一例として、基板11の厚みT(Z方向の長さ、図3参照)は、例えば10μm以上200μm以下の範囲とすることができる。
【0027】
また、基板11の誘電正接は、0.002以下であっても良く、0.001以下であることが好ましい。なお、基板11の誘電正接の下限は特にないが、0超としても良い。基板11の誘電正接が上記範囲であることにより、とりわけメッシュ配線層20が送受信する電磁波(例えばミリ波)が高周波である場合に、電磁波の送受信に伴う利得(感度)の損失を小さくすることができる。なお、基板11の誘電正接の下限は、特に限定されない。基板11の誘電率は、特に制限はないが、2.0以上、10.0以下であっても良い。
【0028】
基板11の誘電正接は、IEC 62562に準拠して測定することができる。具体的には、まず、メッシュ配線層20が形成されてない部分の基板11を切り出して試験片を準備する。または、メッシュ配線層20が形成された基板11を切り出し、エッチング等によりメッシュ配線層20を除去しても良い。試験片の寸法は、幅10mmから20mm、長さ50mmから100mmとする。次に、IEC 62562に準拠し、誘電正接を測定する。基板11の誘電率と誘電正接は、ASTM D150に準拠して測定することもできる。
【0029】
また、基板11は、可視光線(波長400nm以上700nm以下の光線)の透過率は85%以上であっても良く、90%以上であることが好ましい。なお、基板11の可視光線の透過率の上限は特にないが、例えば100%以下としても良い。基板11の可視光線の透過率を上記範囲とすることにより、配線基板10の透明性を高め、画像表示装置90のディスプレイ91(後述)を視認しやすくすることができる。なお、可視光線とは、波長が400nm~700nmの光線のことをいう。また、可視光線の透過率が85%以上であるとは、公知の分光光度計(例えば、日本分光株式会社製の分光器:V-670)を用いて基板11に対して吸光度の測定を行った際、400nm~700nmの全波長領域でその透過率が85%以上となることをいう。
【0030】
図1において、メッシュ配線層20は、基板11上に複数(3つ)存在しており、それぞれ異なる周波数帯に対応している。すなわち、複数のメッシュ配線層20は、その長さ(Y方向の長さ)Lが互いに異なっており、それぞれ特定の周波数帯に対応した長さを有している。なお、対応する周波数帯が低周波であるほどメッシュ配線層20の長さLが長くなっている。配線基板10が例えば画像表示装置90のディスプレイ91(後述する図7参照)上に配置される場合、各メッシュ配線層20は、配線基板10が電波送受信機能を有していてもよい。この場合、各メッシュ配線層20は、電話用アンテナ、WiFi用アンテナ、3G用アンテナ、4G用アンテナ、5G用アンテナ、LTE用アンテナ、Bluetooth(登録商標)用アンテナ、NFC用アンテナ等のいずれかに対応していても良い。あるいは、配線基板10が電波送受信機能を有していない場合、各メッシュ配線層20は、例えばホバリング(使用者がディスプレイに直接触れなくても操作可能となる機能)、指紋認証、ヒーター、ノイズカット(シールド)等の機能を果たしても良い。また、メッシュ配線層20は、基板11の全面に存在するのではなく、基板11上の一部領域のみに存在していても良い。
【0031】
各メッシュ配線層20は、それぞれ平面視で略長方形状である。各メッシュ配線層20は、その長手方向がY方向に平行であり、その短手方向がX方向に平行となっている。各メッシュ配線層20の長手方向(Y方向)の長さLは、例えば1mm以上100mm以下の範囲で選択することができ、各メッシュ配線層20の短手方向(X方向)の幅Wは、例えば1mm以上10mm以下の範囲で選択することができる。とりわけメッシュ配線層20は、ミリ波用アンテナであっても良い。メッシュ配線層20がミリ波用アンテナである場合、メッシュ配線層20の長さLは、1mm以上10mm以下、より好ましくは1.5mm以上5mm以下の範囲で選択することができる。
【0032】
メッシュ配線層20は、第1方向(例えば、Y方向)に沿って繰り返し配列された所定の単位パターン20Aから構成されている。また、この単位パターン20Aは、第1方向とは異なる第2方向(例えば、X方向)に沿って繰り返し配列されている。言い換えれば、メッシュ配線層20は、それぞれ金属線が格子形状または網目形状に形成され、X方向およびY方向に均一な繰り返しパターンを有している。すなわち図2に示すように、メッシュ配線層20は、X方向に延びる部分(後述する第2方向配線22の一部)とY方向に延びる部分(後述する第1方向配線21の一部)とから構成されるL字状の単位パターン20A(図2の網掛け部分)の繰り返しから構成されている。言い換えれば、単位パターン20Aは、第1方向に沿って延びる後述する第1方向配線21と、第2方向に沿って延びる後述する第2方向配線22とを含んでいる。
【0033】
図2に示すように、各メッシュ配線層20は、アンテナとしての機能をもつ複数の第1方向配線(アンテナ配線(配線))21と、複数の第1方向配線21を連結する複数の第2方向配線(アンテナ連結配線)22とを含んでいる。具体的には、複数の第1方向配線21と複数の第2方向配線22とは、全体として一体となって、規則的な格子形状または網目形状を形成している。各第1方向配線21は、アンテナの周波数帯に対応する方向(長手方向、Y方向)に延びており、各第2方向配線22は、第1方向配線21に直交する方向(幅方向、X方向)に延びている。第1方向配線21は、所定の周波数帯に対応する長さL(上述したメッシュ配線層20の長さ、図1参照)を有することにより、主としてアンテナとしての機能を発揮する。一方、第2方向配線22は、これらの第1方向配線21同士を連結することにより、第1方向配線21が断線したり、第1方向配線21と給電部40とが電気的に接続しなくなったりする不具合を抑える役割を果たす。
【0034】
各メッシュ配線層20においては、互いに隣接する第1方向配線21と、互いに隣接する第2方向配線22とに取り囲まれることにより、複数の開口部23が形成されている。また、第1方向配線21と第2方向配線22とは互いに等間隔に配置されている。すなわち複数の第1方向配線21は、互いに等間隔に配置され、そのピッチP図2参照)は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。また、複数の第2方向配線22は、互いに等間隔に配置され、そのピッチP図2参照)は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。このように、複数の第1方向配線21と複数の第2方向配線22とがそれぞれ等間隔に配置されていることにより、各メッシュ配線層20内で開口部23の大きさにばらつきがなくなり、メッシュ配線層20を肉眼で視認しにくくすることができる。また、第1方向配線21のピッチPは、第2方向配線22のピッチPと等しい。このため、各開口部23は、それぞれ平面視略正方形状となっており、各開口部23からは、透明性を有する基板11が露出している。このため、各開口部23の面積を広くすることにより、配線基板10全体としての透明性を高めることができる。なお、各開口部23の一辺の長さL図2参照)は、例えば0.01mm以上1mm以下の範囲とすることができる。なお、各第1方向配線21と各第2方向配線22とは、互いに直交しているが、これに限らず、互いに鋭角または鈍角に交差していてもよい。また、各開口部23は、それぞれ平面視略長方形状等の形状であってもよい。さらに、開口部23の形状は、全面で同一形状同一サイズとするのが好ましいが、場所によって変えるなど全面で均一としなくても良い。
【0035】
図3に示すように、各第1方向配線21は、その長手方向に垂直な断面(X方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。この場合、第1方向配線21の断面形状は、第1方向配線21の長手方向(Y方向)に沿って略均一となっている。また、図4に示すように、各第2方向配線22の長手方向に垂直な断面(Y方向断面)の形状は、略長方形形状又は略正方形形状であり、上述した第1方向配線21の断面(X方向断面)形状と略同一である。この場合、第2方向配線22の断面形状は、第2方向配線22の長手方向(X方向)に沿って略均一となっている。第1方向配線21と第2方向配線22の断面形状は、必ずしも略長方形形状又は略正方形形状でなくても良く、例えば表面側(Z方向プラス側)が裏面側(Z方向マイナス側)よりも狭い略台形形状、あるいは、幅方向両側に位置する側面が湾曲した形状であっても良い。
【0036】
本実施の形態において、第1方向配線21の線幅W(X方向の長さ、図3参照)および第2方向配線22の線幅W(Y方向の長さ、図4参照)は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。例えば、第1方向配線21の線幅Wは0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができ、0.2μm以上2.0μm以下とすることが好ましい。また、第2方向配線22の線幅Wは、0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができ、0.2μm以上2.0μm以下とすることが好ましい。第1方向配線21の線幅Wが5.0μm以下であることにより、モアレが発生した場合であっても、モアレの濃さを薄くでき、線幅Wが2.0μm以下であることにより、モアレの濃さを更に薄くできる。同様に、第2方向配線22の線幅Wが5.0μm以下であることにより、モアレが発生した場合であっても、モアレの濃さを薄くでき、線幅Wが2.0μm以下であることにより、モアレの濃さを更に薄くできる。
【0037】
また、第1方向配線21の高さH(Z方向の長さ、図3参照)および第2方向配線22の高さH(Z方向の長さ、図4参照)は特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができ、例えば0.1μm以上5.0μm以下の範囲で選択することができ、0.2μm以上2.0μm以下とすることが好ましい。
【0038】
第1方向配線21および第2方向配線22の材料は、導電性を有する金属材料であればよい。本実施の形態において第1方向配線21および第2方向配線22の材料は銅であるが、これに限定されない。第1方向配線21および第2方向配線22の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属材料(含む合金)を用いることができる。
【0039】
再度図1を参照すると、ダミー配線層30は、各メッシュ配線層20の周囲を取り囲むように設けられており、各メッシュ配線層20のうち、給電部40側(Y方向マイナス側)を除く周方向全域(X方向プラス側、X方向マイナス側、Y方向プラス側)を取り囲むように形成されている。この場合、ダミー配線層30は、基板11上であって、メッシュ配線層20および給電部40を除く略全域にわたって配置されている。このダミー配線層30は、メッシュ配線層20とは異なり、実質的にアンテナとしての機能を果たすことはない。
【0040】
図2に示すように、ダミー配線層30は、繰り返し配列された所定のダミー単位パターン30A(図2の網掛け部分と斜線部分とを組み合わせた部分)から構成されている。このダミー単位パターン30Aは、第1方向(例えば、Y方向)および第2方向(例えば、X方向)に沿って繰り返し配列されている。図示された例においては、ダミー単位パターン30Aは、L字状であり、第1方向(Y方向)および第2方向(X方向)に平行に繰り返し配列されている。言い換えれば、ダミー配線層30は、所定の単位パターンをもつダミー配線30aの繰り返しから構成されている。すなわち、ダミー配線層30は、複数のダミー配線30aを含んでおり、各ダミー配線30aは、それぞれメッシュ配線層20(第1方向配線21)および給電部40から電気的に独立している。また、複数のダミー配線30aは、ダミー配線層30内の全域にわたって規則的に配置されている。このダミー配線30aは、それぞれ金属線が格子形状または網目形状に形成され、X方向およびY方向に均一な繰り返しパターンを有している。すなわち図2に示すように、各ダミー配線30aは、第1方向(Y方向)に沿って延びる第1ダミー配線部分31と、第2方向(X方向)に沿って延びる第2ダミー配線部分32とを含んでいる。このうち第1ダミー配線部分31は、所定の長さL(Y方向の長さ)を有し、第2ダミー配線部分32は、所定の長さL(X方向の長さ)を有している。
【0041】
本実施形態において、ダミー配線30aは、上述したメッシュ配線層20の単位パターン20Aの一部が欠落した形状をもつ。すなわち、ダミー配線30aの形状は、メッシュ配線層20のL字状の単位パターン20Aから、後述する切り欠き部33を除いた形状となる。すなわち、ダミー配線層30のダミー配線30aと切り欠き部33とを併合した形状が、メッシュ配線層20を形成する格子形状または網目形状に相当する。このように、ダミー配線層30のダミー配線30aが、メッシュ配線層20の単位パターン20Aの一部が欠落した形状であることにより、メッシュ配線層20とダミー配線層30との相違を目視で認識しにくくすることができ、基板11上に配置されたメッシュ配線層20を見えにくくすることができる。
【0042】
図2において、Y方向にメッシュ配線層20とダミー配線層30とが隣接している。このメッシュ配線層20とダミー配線層30との境界近傍において、第1ダミー配線部分31が第1方向配線21の延長上に形成されている。このため、Y方向において、メッシュ配線層20とダミー配線層30との相違が目視で視認しにくくなっている。また、第1ダミー配線部分31は、メッシュ配線層20の単位パターン20Aの第1方向配線21と平行になっている。このように、第1ダミー配線部分31が第1方向配線21と平行になっていることにより、ダミー単位パターン30Aの第1ダミー配線部分31を、後述するように不規則に配置した場合であっても、光の反射によるギラツキが生じてしまうことを効果的に抑制できる。
【0043】
また、図示はしないが、X方向にメッシュ配線層20とダミー配線層30とが隣接している。このメッシュ配線層20とダミー配線層30との境界近傍において、第2ダミー配線部分32が第2方向配線22の延長上に形成されている。このため、X方向において、メッシュ配線層20とダミー配線層30との相違が目視で視認しにくくなっている。また、第2ダミー配線部分32は、メッシュ配線層20の単位パターン20Aの第2方向配線22と平行になっている。このように、第2ダミー配線部分32が第2方向配線22と平行になっていることにより、ダミー単位パターン30Aの第2ダミー配線部分32を、後述するように不規則に配置した場合であっても、光の反射によるギラツキが生じてしまうことを効果的に抑制できる。
【0044】
図5に示すように、各ダミー配線30aの第1ダミー配線部分31は、その長手方向(Y方向)に垂直な断面(X方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。また、図4に示すように、各ダミー配線30aの第2ダミー配線部分32は、その長手方向(X方向)に垂直な断面(Y方向断面)が略長方形形状又は略正方形形状となっている。この場合、第1ダミー配線部分31の断面形状は第1方向配線21の断面形状と略同一であり、第2ダミー配線部分32の断面形状は第2方向配線22の断面形状と略同一である。
【0045】
本実施の形態において、第1ダミー配線部分31の線幅W(X方向の長さ、図5参照)は、第1方向配線21の線幅Wと略同一であり、第2ダミー配線部分32の線幅W(Y方向の長さ、図4参照)は、第2方向配線22の線幅Wと略同一となっている。また、第1ダミー配線部分31の高さH(Z方向の長さ、図5参照)および第2ダミー配線部分32の高さH(Z方向の長さ、図4参照)についても、それぞれ第1方向配線21の高さHおよび第2方向配線22の高さHと略同一となっている。
【0046】
ここで、本実施の形態では、ダミー単位パターン30Aに、切り欠き部33が形成されている。また、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、切り欠き部33の位置および形状のうちの少なくとも一方は、互いに異なっている。言い換えれば、ダミー単位パターン30Aにおいて、切り欠き部33は、ランダム(不規則)に形成されている。これにより、ダミー単位パターンの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを、不規則に配置することができる。このため、ダミー単位パターン30Aの規則性(周期性)と、後述する画像表示装置90の画素(図示せず)の規則性(周期性)とに起因して発生するモアレのピッチを、肉眼で視認できない程度まで小さくすることができる。
【0047】
また、図示された例においては、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、切り欠き部33の位置および形状が、互いに異なっている。すなわち、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、第1ダミー配線部分31の長さLが互いに異なっている。また、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、第2ダミー配線部分32の長さLが互いに異なっている。
【0048】
また、ダミー単位パターン30Aに、複数の切り欠き部33が形成されていてもよい。これにより、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを、より不規則に配置することができる。この場合、一のダミー単位パターン30Aにおいて、切り欠き部33が、第1ダミー配線部分31(第2ダミー配線部分32)を分断するように形成されていてもよい。なお、ダミー配線層30には、複数の切り欠き部33が形成されたダミー単位パターン30Aと、単一の切り欠き部33が形成されたダミー単位パターン30Aとが、設けられていてもよい。
【0049】
ダミー単位パターン30Aにおいて、第1ダミー配線部分31と、第2ダミー配線部分32とは、互いに離間していてもよい。すなわち、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32との間に切り欠き部33が形成されていてもよい。これにより、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを、より不規則に配置することができる。
【0050】
また、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、第1ダミー配線部分31同士および第2ダミー配線部分32同士は、互いに離間していてもよい。すなわち、一方のダミー単位パターン30Aの第1ダミー配線部分31と、当該一方のダミー単位パターン30Aに隣接する他方のダミー単位パターン30Aの第1ダミー配線部分31とが、互いに離間していてもよい。同様に、一方のダミー単位パターン30Aの第2ダミー配線部分32と、当該一方のダミー単位パターン30Aに隣接する他方のダミー単位パターン30Aの第2ダミー配線部分32とが、互いに離間していてもよい。この場合においても、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを、より不規則に配置することができる。
【0051】
さらに、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、第1ダミー配線部分31および第2ダミー配線部分32の合計長さ(L+L)は、互いに等しくなっていることが好ましい。これにより、ダミー配線層30において、後述する開口率にバラツキが生じてしまうことを抑制できる。このため、ダミー配線層30を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0052】
このようなダミー配線層30のダミー配線30aの材料は、第1方向配線21の材料および第2方向配線22の材料と同一の金属材料を用いることができる。
【0053】
ところで、本実施の形態において、メッシュ配線層20およびダミー配線層30は、それぞれ所定の開口率を有する。メッシュ配線層20およびダミー配線層30の開口率は、例えば85%以上99.9%以下の範囲とすることができる。
【0054】
また、メッシュ配線層20およびダミー配線層30の全体の開口率(メッシュ配線層20とダミー配線層30を合わせた開口率)は、例えば87%以上100%未満の範囲とすることができる。配線基板10の全体の開口率をこの範囲とすることにより、配線基板10の導電性と透明性を確保することができる。
【0055】
さらに、ダミー配線層30において、互いに連続する500μm四方の領域の開口率の差は、0.2%以内であることが好ましい。これにより、ダミー配線層30を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0056】
なお、開口率とは、所定の領域(メッシュ配線層20、ダミー配線層30、または、メッシュ配線層20およびダミー配線層30)の単位面積に占める、開口領域(第1方向配線21、第2方向配線22、ダミー配線30a等の金属部分が存在せず、基板11が露出する領域)の面積の割合(%)をいう。
【0057】
再度図1を参照すると、給電部40は、メッシュ配線層20に電気的に接続されている。この給電部40は、略長方形状の導電性の薄板状部材からなる。給電部40の長手方向はX方向に平行であり、給電部40の短手方向はY方向に平行である。また、給電部40は、基板11の長手方向端部(Y方向マイナス側端部)に配置されている。給電部40の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、錫、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属材料(含む合金)を用いることができる。この給電部40は、配線基板10が画像表示装置90(図7参照)に組み込まれた際、画像表示装置90の無線通信用回路92と電気的に接続される。なお、給電部40は、基板11の表面に設けられているが、これに限らず、給電部40の一部又は全部が基板11の周縁よりも外側に位置していても良い。
【0058】
[配線基板の製造方法]
次に、図6(a)-(f)を参照して、本実施の形態による配線基板の製造方法について説明する。図6(a)-(f)は、本実施の形態による配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0059】
まず、図6(a)に示すように、透明性を有する基板11を準備する。
【0060】
次に、基板11上に、複数の第1方向配線21を含むメッシュ配線層20と、メッシュ配線層20の周囲に配置され、第1方向配線21から電気的に独立した複数のダミー配線30aを含むダミー配線層30とを形成する。
【0061】
この際、まず、図6(b)に示すように、基板11の表面の略全域に金属箔51を積層する。本実施の形態において金属箔51の厚さは、0.1μm以上5.0μm以下であってもよい。本実施の形態において金属箔51は、銅を含んでいてもよい。
【0062】
次に、図6(c)に示すように、金属箔51の表面の略全域に光硬化性絶縁レジスト52を供給する。この光硬化性絶縁レジスト52としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ系樹脂等の有機樹脂を挙げることができる。
【0063】
続いて、図6(d)に示すように、絶縁層54をフォトリソグラフィ法により形成する。この場合、フォトリソグラフィ法により光硬化性絶縁レジスト52をパターニングし、絶縁層54(レジストパターン)を形成する。この際、第1方向配線21及び第2方向配線22に対応する金属箔51が露出するように、絶縁層54を形成する。
【0064】
次に、図6(e)に示すように、基板11の表面上の、絶縁層54に覆われていない部分に位置する金属箔51を除去する。この際、塩化第二鉄、塩化第二銅、硫酸・塩酸等の強酸、過硫酸塩、過酸化水素またはこれらの水溶液、または以上の組合せ等を用いたウェット処理を行うことによって、基板11の表面が露出するように金属箔51をエッチングする。
【0065】
続いて、図6(f)に示すように、絶縁層54を除去する。この場合、過マンガン酸塩溶液やN-メチル-2-ピロリドン、酸又はアルカリ溶液等を用いたウェット処理や、酸素プラズマを用いたドライ処理を行うことによって、金属箔51上の絶縁層54を除去する。
【0066】
このようにして、基板11と、基板11上に配置されたメッシュ配線層20およびダミー配線層30と、を有する配線基板10が得られる。この場合、メッシュ配線層20は、第1方向配線21および第2方向配線22を含み、ダミー配線層30は、ダミー配線30aを含む。
【0067】
[本実施の形態の作用]
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0068】
図7に示すように、配線基板10は、ディスプレイ91を有する画像表示装置90に組み込まれる。配線基板10は、ディスプレイ91上に配置される。このような画像表示装置90としては、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末機器を挙げることができる。配線基板10のメッシュ配線層20は、給電部40を介して画像表示装置90の無線通信用回路92に電気的に接続される。このようにして、メッシュ配線層20を介して、所定の周波数の電波を送受信することができ、画像表示装置90を用いて通信を行うことができる。なお、ダミー配線層30は、メッシュ配線層20から離間し、電気的に独立している。このため、ダミー配線層30が設けられていた場合であっても、電波の送受信に影響が生じないようになっている。
【0069】
本実施の形態によれば、配線基板10が、基板11と、基板11上に配置され、複数の第1方向配線21を含むメッシュ配線層20を有し、基板11が、波長400nm以上700nm以下の光線の透過率が85%以上であるので、配線基板10の透明性が確保されている。これにより、配線基板10がディスプレイ91上に配置されたとき、メッシュ配線層20の開口部23からディスプレイ91を視認することができるので、ディスプレイ91の視認性が妨げられることがない。
【0070】
また、メッシュ配線層20の周囲に、第1方向配線21から電気的に独立した複数のダミー配線30aを含むダミー配線層30が配置されている。
【0071】
ところで、画像表示装置90において、配線基板10のダミー配線層30は、画像表示装置90の画素(図示せず)にZ方向において重なるように配置される。このため、ダミー配線層30のダミー単位パターン30Aの規則性(周期性)と、画素の規則性(周期性)とに起因してモアレが発生し得る。
【0072】
これに対して本実施の形態では、ダミー配線層30のダミー単位パターン30Aに、切り欠き部33が形成されている。また、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、切り欠き部33の位置および形状のうちの少なくとも一方が、互いに異なっている。これにより、Z方向から見た場合に、ダミー単位パターン30Aの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32と画素とが、不規則に配置される。このため、ダミー単位パターン30Aの規則性(周期性)と、画素の規則性(周期性)とに起因して発生するモアレのピッチを、肉眼で視認できない程度まで小さくすることができる。
【0073】
また、単位パターン20Aが、Y方向(第1方向)に沿って延びる第1方向配線21と、X方向(第2方向)に沿って延びる第2方向配線22とを含み、ダミー単位パターン30Aが、Y方向(第1方向)に沿って延びる第1ダミー配線部分31と、X方向(第2方向)に沿って延びる第2ダミー配線部分32とを含んでいる。すなわち、第1方向配線21と第1ダミー配線部分31とがY方向に沿って延び、第2方向配線22と第2ダミー配線部分32とがX方向に沿って延びている。これにより、ダミー単位パターン30Aの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを不規則に配置した場合であっても、光の反射によるギラツキが生じてしまうことを抑制できる。また、本実施の形態では、第1ダミー配線部分31および第2ダミー配線部分32が、第1方向配線21および第2方向配線22と平行になっている。これにより、ダミー単位パターン30Aの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを不規則に配置した場合であっても、光の反射によるギラツキが生じてしまうことを効果的に抑制できる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、ダミー単位パターン30Aにおいて、第1ダミー配線部分31と、第2ダミー配線部分32とが、互いに離間している。すなわち、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32との間に切り欠き部33が形成されている。これにより、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを、より不規則に配置することができる。このため、発生したモアレを、より視認しにくくすることができる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、第1ダミー配線部分31同士および第2ダミー配線部分32同士が、互いに離間している。この場合においても、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを、より不規則に配置することができ、発生したモアレを、より視認しにくくすることができる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、ダミー単位パターン30Aに、複数の切り欠き部33が形成されている。この場合においても、第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを、より不規則に配置することができ、発生したモアレを、より視認しにくくすることができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、第1ダミー配線部分31および第2ダミー配線部分32の合計長さ(L+L)が、互いに等しくなっている。これにより、ダミー配線層30において、開口率にバラツキが生じてしまうことを抑制できる。このため、ダミー配線層30を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0078】
さらに、本実施の形態によれば、ダミー単位パターン30Aが、Y方向(第1方向)およびX方向(第2方向)に平行に繰り返し配列されている。これにより、ダミー単位パターン30Aの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32とを不規則に配置した場合であっても、光の反射によるギラツキが生じてしまうことを更に効果的に抑制できる。
【0079】
[変形例]
次に、画像表示装置及び配線基板の変形例について説明する。図8および図9は、配線基板の一変形例を示している。図8および図9に示す変形例は、メッシュ配線層20の平面形状が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図7に示す実施の形態と略同一である。図8および図9において、図1乃至図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0080】
(第1変形例)
図8において、第1方向配線21と第2方向配線22とは、斜め(非直角)に交わっており、各開口部23は、平面視で菱形状に形成されている。第1方向配線21及び第2方向配線22は、それぞれX方向及びY方向のいずれにも平行でないが、第1方向配線21及び第2方向配線22のうちのいずれか一方がX方向又はY方向に平行であっても良い。
【0081】
また、ダミー配線層30の第1ダミー配線部分31は、それぞれ第1方向配線21と平行に伸びていてもよい。同様に、ダミー配線層30の第2ダミー配線部分32は、第2方向配線22と平行に伸びていてもよい。
【0082】
本変形例においても、ダミー配線層30のダミー単位パターン30Aに、切り欠き部33が形成されている。また、互いに隣り合うダミー単位パターン30Aにおいて、切り欠き部33の位置および形状のうちの少なくとも一方が、互いに異なっている。これにより、Z方向から見た場合に、ダミー単位パターンの第1ダミー配線部分31と第2ダミー配線部分32と画素とが、不規則に配置される。このため、ダミー単位パターン30Aの規則性(周期性)と、画素の規則性(周期性)とに起因して発生するモアレのピッチを、肉眼で視認できない程度まで小さくすることができる。
【0083】
(第2変形例)
図9において、本変形例において、ダミー配線層30内には、ダミー配線層30のダミー配線30aから離間した追加パターン34が配置されている。この場合、追加パターン34は、複数の第1ダミー配線部分31および複数の第2ダミー配線部分32からX方向及びY方向の両方に離れて配置されている。この場合、各追加パターン34は、それぞれ第1ダミー配線部分31または第2ダミー配線部分32に平行に直線状に延びている。また、1つのダミー配線30aに対して複数(2つ)の追加パターン34が配置されている。この複数(2つ)の追加パターン34の合計面積は、各ダミー配線30aの切り欠き部33の面積に近づけることが好ましい。なお、追加パターン34の材料は、ダミー配線30aの材料と同一の金属材料を用いることができる。
【0084】
このように、ダミー配線層30内に追加パターン34を配置することにより、ダミー配線層30の開口率とメッシュ配線層20の開口率との差を0に近づけることができる。具体的には、当該差を0%以上1%以下の範囲とすることができる。これにより、メッシュ配線層20とダミー配線層30との境界を不明瞭にすることができ、メッシュ配線層20を肉眼で認識しにくくすることができる。
【0085】
なお、図示はしないが、各追加パターン34は、それぞれ第1ダミー配線部分31または第2ダミー配線部分32に非平行に直線状に延びていてもよい。また、追加パターン34は、直線状に延びることなく、平面視ドット形状(点形状)を有していてもよい。
【0086】
上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 配線基板
11 基板
20 メッシュ配線層
20A 単位パターン
21 第1方向配線
22 第2方向配線
30 ダミー配線層
30A ダミー単位パターン
30a ダミー配線
31 第1ダミー配線部分
32 第2ダミー配線部分
33 切り欠き部
34 追加パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9