(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163889
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】型締装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/84 20060101AFI20221020BHJP
B29C 49/56 20060101ALI20221020BHJP
B22D 17/26 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B29C45/84
B29C49/56
B22D17/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069004
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直紀
(72)【発明者】
【氏名】川崎 衛
(72)【発明者】
【氏名】苅谷 俊彦
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AJ05
4F202AJ14
4F202AM04
4F202AM09
4F202AP02
4F202AP07
4F202AP10
4F202AP13
4F202CA11
4F202CB01
4F202CL12
4F202CL18
4F202CS07
4F202CX04
4F202CX10
4F206AJ05
4F206AJ14
4F206AM04
4F206AM09
4F206AP02
4F206AP07
4F206AP10
4F206AP13
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL07
4F206JN32
4F206JP11
4F206JP14
4F206JP15
4F206JQ83
4F206JQ88
4F206JT21
4F206JT23
(57)【要約】
【課題】型締装置を備える成形機類のオペレータが、シール部材の損耗の程度を認識できることを目的とする。
【解決手段】本発明の型締装置1のコントローラ100は、設定型締力まで作動油の圧力を昇圧した後に、設定型締力を保持する型締めブロック状態において、型締側油室181における作動油の圧力の低下の程度に基づいて、ピストン16に設けられるシール部材の損耗の程度を判定する。型締装置1は、この判定に基づいて、シール部材、例えばピストンパッキン21の損耗が顕著であることの警報を発することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定盤および可動盤を介して固定金型と可動金型の間に型締力を与える複数のタイバーと、
前記タイバーと前記固定盤の間に設けられる油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプの動作を制御する制御部と、を備え、
前記油圧アクチュエータは、
前記型締力を与えるときに作動油が供給される型締側油室と、
前記型締力を解いて離型するときに作動油が供給される離型側油室と、
前記型締側油室と前記離型側油室とを仕切るピストンと、を備え、
前記制御部は、
設定型締力まで作動油の圧力を昇圧した後に、前記設定型締力を保持する型締めブロック状態において、
前記型締側油室における前記作動油の圧力の低下の程度に基づいて、前記ピストンに設けられるシール部材の損耗の程度を判定する、
ことを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記作動油の圧力の低下の程度は、
前記圧力の低下時間、前記圧力の低下速度、および、前記圧力の低下の頻度、の少なくとも一つにより判定される、
請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
前記作動油の圧力の低下時間は、
前記作動油の検出圧力が予め定められる基準圧力まで低下するまでの実経過時間と、予め定められる基準経過時間と、を比較することにより判定される、
請求項2に記載の型締装置。
【請求項4】
前記圧力の低下速度は、
前記作動油の検出圧力の実低下速度と、予め定められる基準低下速度と、を比較することにより判定される、
請求項2に記載の型締装置。
【請求項5】
前記圧力の低下の頻度は、
前記作動油の検出圧力が予め定められる基準圧力まで低下する実圧力低下回数と、予め定められる基準圧力低下回数と、を比較することにより判定される、
請求項2に記載の型締装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記損耗の程度が予め定められる損耗基準に達したと判定すると警報を発する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の型締装置。
【請求項7】
前記型締めブロック状態において、
前記制御部は、
前記型締側油室の容積が縮小するのを検出すると、
前記油圧ポンプから前記型締側油室に向けて前記作動油を供給し、
前記油圧ポンプからの前記作動油の検出ポンプ圧力が予め定められる設定ポンプ圧力まで上昇すると、
前記油圧ポンプからの前記型締側油室に向けた前記作動油の供給を停止する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の型締装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記型締側油室における前記作動油の圧力に基づいて、前記型締側油室の容積が縮小するのを検出する、
請求項7に記載の型締装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記タイバーおよび前記可動盤の少なくとも一方の後退側への移動量に基づいて、前記型締側油室の容積が縮小するのを検出する、
請求項7に記載の型締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
型締装置は、射出成形機、ダイカストマシンなどの一対の金型に型締力を生じさせる。型締装置の駆動源として、典型的な一例として油圧によるピストン-シリンダ機構が適用される。
【0003】
このピストン-シリンダ機構における油圧シリンダの内部に作動油の漏れが生じていることを検出する提案が特許文献1になされている。特許文献1は、油圧シリンダのヘッド側室の油圧P1とロッド側室の油圧P2とを検出し、油圧P1と油圧P2の差が所定の設定値以下になると油漏れが生じていると判定し、そのことを表示部に表示する。特許文献1によれば、この油漏れが生じていることの表示により、油圧シリンダのピストンに設けられるピストンパッキンに異常、例えば損傷、摩耗が生じていることを認識できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、例えば射出成形機を操作するオペレータでは、油漏れが生じているとの判定結果からピストンパッキンの状態を評価することは困難である。つまり、一般的なオペレータは、油圧アクチュエータの専門的知見を有していないため、油圧シリンダ内に油漏れが生じていたとしても、それがパッキンの通常の損耗の程度によるものなのか、またはピストンパッキンを交換する必要がある重度の損耗の程度なのかの判断ができない。
【0006】
以上より、本発明は、例えば型締装置を備える成形機類のオペレータが、ピストンパッキンの損耗の程度を認識できる型締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の型締装置は、固定盤および可動盤を介して固定金型と可動金型の間に型締力を与える複数のタイバーと、タイバーと固定盤の間に設けられる油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、油圧ポンプの動作を制御する制御部と、を備える。
本発明における油圧アクチュエータは、型締力を与えるときに作動油が供給される型締側油室と、型締力を解いて離型するときに作動油が供給される離型側油室と、型締側油室と離型側油室とを仕切るピストンと、を備える。
本発明における制御部は、設定型締力まで作動油の圧力を昇圧した後に、設定型締力を保持する型締めブロック状態において、型締側油室における作動油の圧力の低下の程度に基づいて、ピストンに設けられるシール部材の損耗の程度を判定する。
【0008】
本発明における作動油の圧力の低下の程度は、好ましくは、圧力の低下時間、圧力の低下速度、および、圧力の低下の頻度、の少なくとも一つにより判定される。
作動油の圧力の低下時間は、好ましくは、作動油の検出圧力が予め定められる基準圧力まで低下するまでの実経過時間と、予め定められる基準経過時間と、を比較することにより判定される。
また、作動油の圧力の低下速度は、好ましくは、作動油の検出圧力の実低下速度と、予め定められる基準低下速度と、を比較することにより判定される。
また、作動油の圧力の低下の頻度は、好ましくは、作動油の検出圧力が予め定められる基準圧力まで低下する実圧力低下回数と、予め定められる基準圧力低下回数と、を比較することにより判定される。
【0009】
本発明における制御部は、好ましくは、損耗の程度が予め定められる損耗基準に達したと判定すると警報を発する。
【0010】
本発明における型締装置1の型締めブロック状態において、好ましくは、制御部は、型締側油室の容積が縮小するのを検出すると、油圧ポンプから型締側油室に向けて作動油を供給し、油圧ポンプからの作動油の検出ポンプ圧力が予め定められる設定ポンプ圧力まで上昇すると、油圧ポンプからの型締側油室に向けた作動油の供給を停止することができる。
【0011】
制御部は、好ましくは、型締側油室における作動油の圧力に基づいて、型締側油室の容積が縮小するのを検出できる。
また、制御部は、好ましくは、タイバーおよび可動盤の少なくとも一方の後退側への移動量に基づいて、型締側油室の容積が縮小するのを検出できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の型締装置によれば、損耗を判定する。したがって、この判定に基づいて警報を発すれば、この警報に接するオペレータは、自己が操作する型締装置のシール部材、例えばピストンパッキンに交換すべきであろう損耗が生じていることを認識できる。一連の射出動作を経た後など、適切なタイミングでオペレータがシール部材を交換すれば、以後に警報が発せられるまでの間、シール部材の損耗による型締装置のトラブルが生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る射出成形機の型締装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態の型締装置の油圧供給システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の型締装置のコントローラの構成を示すブロック図である。
【
図4】型締めのための昇圧動作をしているときの本実施形態の油圧供給システムによる作動油の供給形態を示す図である。
【
図5】型締めブロックのときの本実施形態の油圧供給システムによる作動油の供給形態を示す図である。
【
図6】本実施形態の型締装置における型締めブロックから型締めブロックの解除までの手順を示すフロー図である。
【
図7】
図6の損耗判定および警報の具体的な手順を示すフロー図である。
【
図8】
図6の損耗判定および警報の具体的な他の手順を示すフロー図である。
【
図9】
図6の損耗判定および警報の具体的な他の手順を示すフロー図である。
【
図10】型締めブロックの際に型締め側油室の油圧が低下するという異常が生じたときの本実施形態の油圧供給システムを示す図であり、(a)は異常が生じる前の状態を示し、(b)は異常が生じた後に対応を施した状態を示す。
【
図11】
図10の型締装置の動作を行うための具体的な手順を示すフロー図である。
【
図12】型締めブロックの際に型締め側油室の油圧が上昇するという異常が生じたときの本実施形態の油圧供給システムを示す図であり、(a)は異常が生じる前の状態を示し、(b)は異常が生じた後に対応を施した状態を示す。
【
図13】
図12の型締装置の動作を行うための具体的な手順を示すフロー図である。
【
図14】型締めブロックの際に型締め側油室が縮小するという異常が生じたときの本実施形態の油圧供給システムを示す図であり、(a)は異常が生じる前の状態を示し、(b)は異常が生じた後に対応を施した状態を示す。
【
図15】
図14の型締装置の動作を行うための具体的な手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について、射出成形機の型締装置1を例にして説明する。
本実施形態の型締装置1は、以下の第1機能および第2機能を備えている。
第1機能:損耗を判定し、警報を発する。
第2機能:型締側油室の縮小判定をして、対応を実行する。
【0015】
[型締装置1の構成:
図1]
図1に示すように、本実施形態の型締装置1は、所望の形状の成形品を得るための一対の固定金型14および可動金型15と、固定金型14と可動金型15との間に形成されるキャビティに射出材料である溶融樹脂を射出する射出バレル19と、型締めのための駆動力を発生させる型締シリンダ18と、型締シリンダ18に作動油を供給する油圧供給システム30と、各種構成を制御するコントローラ100と、を備える。
【0016】
型締装置1は、
図1に示すように、ベースフレーム11の一端側の上面に、固定金型14を保持する固定盤12が固設されている。
ベースフレーム11の他端側の上面には、固定盤12に対向して、可動金型15を保持する可動盤13が進退移動可能に設けられる。ベースフレーム11の上には、ガイドレール26が敷設されており、このガイドレール26にガイドされたリニアベアリング27が、スライド台28を介して可動盤13を支持している。なお、リニアベアリング27の代わりに摺動板を使用して、スライド台28を介して可動盤13を支持してもよい。
【0017】
固定盤12にはストロークが小さくかつ断面積の大きな油圧アクチュエータの一方の要素である型締シリンダ18が、その四隅に設けられている。なお、型締シリンダ18は、可動盤13に設けることもできる。型締シリンダ18の中を摺動するピストン16はその一側面にそれぞれタイバー17の一端が接続され、このタイバー17は対向する可動盤13が型閉のため近づくと、可動盤13の4隅に開けられた4個の挿通孔をそれぞれ貫通する。ピストン16は、油圧アクチュエータの他方の要素である。ピストン16の外周面には、ピストンパッキン21が巻き回されている。
型締シリンダ18には、後述する下流給油管55が接続されており、この下流給油管55は、型締シリンダ18の型締側油室181へ作動油を供給する。
【0018】
可動盤13の移動方向と平行に設置されるボールねじ軸25により可動盤13の移動手段が構成される。ボールねじ軸25は、可動盤13に保持されたボールねじナット部20とベースフレーム11に保持された軸受箱23とによって回転可能に、かつ軸方向を拘束して支えられ、サーボモータ22により動力伝達ギア24A、24Bを介して駆動される。ボールねじ軸25は、回転数、回転速度がコントローラ100によりサーボモータ22を介して制御される。なお一方のボールねじナット部20で可動盤13に回転可能に保持されたボールねじ軸25の他方の軸受箱23は、ベースフレーム11ではなく、固定盤12に保持されてもよい。またこのときボールねじナット部20を固定盤12で保持し、軸受箱23を可動盤13で保持してもよい。
各タイバー17の他端は、それぞれ等ピッチの複数のリング状の平行溝(または螺旋状のねじ溝)が形成されている。可動盤13の背面には、各タイバー17のリング状の平行溝と噛合するハーフナット29が設けられている。
【0019】
以上の型締装置1は、図示が省略される固定金型14と可動金型15とが開いた状態から、
図1に示すように、固定金型14と可動金型15が閉じた状態となるまで、サーボモータ22で駆動されるボールねじ軸25の回転によって可動盤13が移動する。可動盤13は固定金型14と可動金型15の互いの対向面が当接すると停止するようになっている。
【0020】
この可動盤13の停止位置でハーフナット29が作動してハーフナット29の内側のリング状の平行溝がタイバー17の先端部のリング状の平行溝と係合してタイバー17とハーフナット29とが結合する。その後、型締シリンダ18の型締側油室181に作動油を供給することで昇圧して型締めする。このようにして型締めを行った後に、射出バレル19から固定金型14と可動金型15とで形成されるキャビティ内に溶融樹脂を射出して成形品を成形する。
【0021】
[油圧供給システム30:
図1,
図2]
油圧供給システム30は、
図1および
図2に示すように、型締シリンダ18に向けて作動油を吐出する油圧源40と、油圧源40に連なり、油圧源40から吐出される作動油を型締シリンダ18に届ける作動油回路50と、を備える。本実施形態の油圧供給システム30において、一例として、作動油回路50はそれぞれの型締シリンダ18に対応して設けられ、複数の作動油回路50に対して共通する油圧源40が一台だけ設けられている。なお、4個の型締シリンダ18に対し1個の作動油回路50を共用して備えるようにしてもよい。また、4個の型締シリンダ18に対し、それぞれ独立した油圧源40を備えるようにしてもよい。
油圧供給システム30における油圧源40および作動油回路50の動作は、コントローラ100により制御される。
【0022】
[油圧源40:
図1,
図2]
油圧源40は、サーボモータ43と、サーボモータ43の回転駆動により動作して作動油を吐出する油圧ポンプ41と、を備える。図示を省略するが、サーボモータ43に付随して回転速度および回転方向を検出するエンコーダが備えられる。
【0023】
サーボモータ43は、回転角度をエンコーダが検出しており、検出された回転角度はコントローラ100に出力される。コントローラ100は、サーボモータ43の回転数の指令値に対応するパルス信号を生成しサーボモータ43に出力してサーボモータ43を指令値で回転駆動させる。コントローラ100には、サーボモータ43のエンコーダで検出された回転角度が継続して入力されており、コントローラ100は、当該回転角度に基づいてフィードバック補正をしながら指令値に基づく回転数が得られるようにサーボモータ43を制御する。
【0024】
ここで、サーボモータ43は、サーボ機構において位置、速度等を制御する用途に使用可能なモータであるかぎり、その種類は任意である。例えば、ACサーボモータ、DCサーボモータ、ステッピングモータなどを適用できる。また構造についても、例えば、ステータ構造は分布巻き型でも集中巻き型でもどちらでもよいし、ロータ構造は表面磁石貼付型(SPM)モータでも、内部磁石埋込型(IPM)モータのどちらでもよい。
油圧ポンプ41には、一例として固定容量型のポンプが適用される。
【0025】
[作動油回路50:
図1,
図2]
作動油回路50は、油圧源40から吐出される作動油を型締シリンダ18に供給する給油動作を担う。この動作は、型締め昇圧時と、射出行程前における型締めブロックと、射出行程における型締めブロックと、を含んでいる。
作動油回路50は、以上の3つの型締めに関する時を実現するために、以下の構成を備える。
なお、
図1に示される二つの作動油回路50は同じ構成を備えるので、以下では基本的には一方の作動油回路50のみを説明する。
【0026】
[上流給油管51,上流排油管53:
図1]
作動油回路50は、
図1に示すように、油圧ポンプ41から吐出される作動油が型締シリンダ18に向けて流れる上流給油管51と、型締シリンダ18から戻される作動油がタンク49に向けて流れる上流排油管53と、を備える。上流給油管51は、油圧ポンプ41と一方の第3切換弁90とを接続する上流給油管51Aと、油圧ポンプ41と他方の第3切換弁90とを接続する上流給油管51Bと、を含む。また、上流排油管53は、一方の第3切換弁90とタンク49とを接続する上流排油管53Aと、他方の第3切換弁90とタンク49とを接続する上流排油管53Bと、を含む。
なお、作動油回路50において、上流および下流は、油圧ポンプ41を正回転させて作動油が流れる向きを基準にしており、油圧ポンプ41が最も上流に位置することになる。
【0027】
[下流給油管55,下流排油管57:
図1]
作動油回路50は、
図1に示すように、型締側油室181に向けて作動油が流れる下流給油管55と、離型側油室182から排出された作動油が流れる下流排油管57と、を備える。作動油回路50は、下流給油管55を流れる作動油の圧力を検出する圧力センサ56Aを備える。
上流給油管51および上流排油管53と下流給油管55および下流排油管57の間には4種類の弁が設けられている。4種類の弁とは、ロジック弁60、第1切換弁70、第2切換弁80および第3切換弁90である。
【0028】
[ロジック弁60:
図2,
図1]
ロジック弁60は、後述する型締め昇圧時のときに、油圧ポンプ41から吐出される作動油を型締側油室181に向けて流す。また、ロジック弁60は、後述する型締めブロック時においては、作動油の型締側油室181への供給および離型側油室182からの排油を止める。
【0029】
ロジック弁60は、
図2に示すように、弁箱61と、弁箱61の内部に設けられる弁体63と、弁体63に図中の上向きに弾性力を付与する弾性体65と、を備える。弁箱61は、弁体63を境にして、第1弁室67と、第1弁室67と反対側に設けられ弁体63を駆動するためのパイロットポート(Pポート)を備えた第2弁室68と、を有している。ロジック弁60は、第1切換弁70と連なる接続管69を備える。
【0030】
ロジック弁60は、弾性体65により常時上向きの外力が加わっており、
図2に示すように弁体63が分岐管58を閉じる位置にあれば、作動油が流れない閉の状態をなす。このロジック弁60は、所謂、ノーマルクローズ型のロジック弁である。
一方、ロジック弁60は、第1弁室67に油圧を作用させて弾性体65に図中下向きの外力が加わり弾性体65の弾性力を超えると、
図4に示すように弁体63は下向きに移動して、下流給油管55と分岐管58、上流給油管51Aが連通して作動油が流れる開の状態をなす。
【0031】
[第1切換弁70:
図2,
図1]
第1切換弁70は、ロジック弁60の動作に必要な作動油の第2弁室68への流路を切り替える。
第1切換弁70は、
図2に示すように、弁体71と、弁体71を移動させる電磁ソレノイド76と、を備える。なお、
図2における第1切換弁70は、型締め昇圧時における位置にある。
【0032】
弁体71は、第1弁体73と第2弁体75の二つの弁体を備える。
第2弁体75は、ロジック弁60の第2弁室68からの作動油が流れる流路を備えている。また、第1弁体73はロジック弁60の第2弁室68からの作動油の流れを止める。後述する型締め昇圧時においては第1弁体73が選択され(
図4)、型締めブロック時においては第2弁体75が選択される(
図5)。
【0033】
弁体71は、例えば、電磁ソレノイド76に通電されないオフの状態において、
図2および
図4に示すように、第1弁体73が接続管69と接続される。これにより、第2弁室68は第1弁体73および接続管52を介して上流排油管53Aと接続され、第2弁室68の内部の作動油がタンク49の側に排出される。
また、弁体71は、例えば、電磁ソレノイド76に通電されるオンの状態において、
図5に示すように、第2弁体75が接続管69と接続されることで、第2弁室68に型締側油室181の圧力が作用し弁体63に上向きの力が作用して分岐管58を閉じることで、型締側油室181からの作動油の排油が止められる。
【0034】
電磁ソレノイド76は、コントローラ100からの指示に応じて、弁体71を、作動油が排出される排出位置(
図4)と、作動油が排出されるのを止める停止位置(
図5)と、を選択的に移動させる。
【0035】
[第2切換弁80:
図2,
図1]
次に、第2切換弁80は、油圧ポンプ41からの作動油をロジック弁60に向けて流す流路と止める流路を切り替える。
第2切換弁80は、
図2に示すように、弁体81と、弁体81を移動させる電磁ソレノイド87と、を備える。なお、
図2における第2切換弁80は、型締め昇圧時における位置にある。
【0036】
弁体81は、第1弁体83と第2弁体85の二つの弁体を備える。
第1弁体83は、油圧ポンプ41からの作動油がロジック弁60に向けて流れる流路と、ロジック弁60からの作動油の流れを止める流路と、を備える。第2弁体85は、油圧ポンプ41からの作動油を止める流路を備える。後述する型締め昇圧時および型締めブロック時の何れにおいても第1弁体83が選択される(
図3~
図5)。
第1弁体83と電磁ソレノイド87との間には、上流給油管51Aおよび上流排油管53Aのそれぞれに連通するパイロットラインPLがかけ渡されている。
【0037】
[第3切換弁90:
図2,
図1]
次に、第3切換弁90は、油圧ポンプ41からの作動油を第2切換弁80に向けて流す流路と、油圧源40との連絡を閉じる流路と、を切り替える。
第3切換弁90は、
図2に示すように、弁体91と、弁体91を移動させる電磁ソレノイド96,97と、を備える。なお、
図2における第3切換弁90は、型締めブロック時における位置にある。
【0038】
弁体91は、第1弁体93、第2弁体94および第3弁体95の三つの弁体を備える。
第1弁体93は、油圧ポンプ41からの作動油を第2切換弁80に向けて流れる流路と、ロジック弁60からの作動油がタンク49に向けて流れる流路と、を備える。第2弁体94は、上流からのおよび下流からの作動油の流れを止める。後述する型締め昇圧時においては第1弁体93が採用され、型締めブロック時においては第2弁体94が選択される(
図3~
図5)。
【0039】
[第1切換弁70~第3切換弁90の配管による接続状態:
図1,
図2]
上流給油管51A,51Bは、
図1に示すように、第3切換弁90、第2切換弁80を介してロジック弁60と接続される。また、上流排油管53A,53Bは第3切換弁90を介して第2切換弁80に接続される。
下流給油管55は第1切換弁70に接続されるとともに、分岐管58を介してロジック弁60に接続される。また、下流排油管57は、第2切換弁80と第3切換弁90の間において上流排油管53A,53Bに接続が可能である。
第1切換弁70と上流排油管53A,53Bとの間には接続管52が設けられる。
【0040】
[コントローラ100:
図3]
次に、コントローラ100について
図3を参照して説明する。
コントローラ100は、制御設定値を入力する入力部101と、サーボモータ43、ロジック弁60、第1切換弁70などへの制御指令を生成する制御部103と、制御部103により生成された制御指令を出力する指令出力部105と、制御指令を生成するのに必要な各種データが記憶されている記憶部107と、を備える。
【0041】
制御部103は、サーボモータ43の正回転または逆回転の指令、正回転または逆回転における回転速度の指令を生成する。制御部103が圧力センサ56A,56Bの検出圧力を継続的に取得する。
また、制御部103は、第1切換弁70の動作指令を生成する。つまり、制御部103は、電磁ソレノイド76に通電されないオフの状態の指令または電磁ソレノイドに通電するオンの状態の指令を選択的に生成する。制御部103は、第2切換弁80および第3切換弁90に対しても同様の動作指令を生成する。
以上の制御指令は、指令出力部105から各機器に向けて送られる。
【0042】
記憶部107は、基準作動油圧力、基準圧力低下時間、基準圧力低下速度などのシール部材、例えばピストンパッキン21の損耗度を判定するのに必要な基準情報などを記憶する。
制御部103は、圧力センサ56A,56Bの検出圧力と基準圧力値との比較などを継続的して行う。
【0043】
[油圧供給システム30の動作:
図4,
図5]
次に、
図4~
図9を参照して油圧供給システム30の動作を説明する。なお、
図4および
図5において、太線で示される配管は、作動油が作用していることを示し、片矢印は作動油の流れる向きを示し、両矢印は当該配管が密閉されていることを示している。また、
図4によび
図5において、選択(ON)されているソレノイドは黒く塗りつぶされている。後に説明する
図10、
図12および
図14も同様である。
【0044】
[型締め昇圧時:
図4]
型締め昇圧時において、油圧供給システム30は、
図4に示すように、油圧ポンプ41を駆動することで作動油を吐出する。このとき第1切換弁70は第1弁体73が選択されている。これにより、ロジック弁60の第2弁室68に滞留していた作動油は、第1切換弁70の第1弁体73、接続管52および上流排油管53A(53)を通ってタンク49に流れるため、第2弁室68内の油圧が低下し弁体63を上方に押し付ける力は弾性体65の弾性力のみとなる。型締め昇圧時の油圧ポンプ41から吐出される作動油の圧力は弾性体65の弾性力を大きく超えるため弁体63は下方へ押し下げられる。これによって、分岐管58が開き、油圧ポンプ41から吐出された作動油は、第3切換弁90の第1弁体93、第2切換弁80の第1弁体83、ロジック弁60の第1弁室67および下流給油管55を通って型締側油室181に供給される。型締側油室181に作動油が供給されることによって、タイバー17が図中右方向に駆動される。これによりタイバー17と係合している可動盤13が固定盤12の側に引き寄せされ、固定金型14と可動金型15とがタイバー17を介した締め付けにより昇圧され型締めされる。
【0045】
一方で、離型側油室182に滞留していた作動油は、下流排油管57、第3切換弁90の第1弁体93および上流排油管53A(53)を通ってタンク49に流れる。
【0046】
[型締めブロック時:
図5]
型締めのための所定の圧力までの昇圧がなされると、昇圧を停止して型締めブロックの状態とされる。
型締めブロックをするには、
図5に示すように、油圧ポンプ41の駆動を停止するとともに、ロジック弁60に接続管69を介して接続される第1切換弁70を第2弁体75に切り替えておく。また、上流給油管51Aおよび上流排油管53Aに連なる第3切換弁90を第2弁体94に切り替えておく。
【0047】
油圧ポンプ41を停止して型締側油室181への作動油の供給を止めると、型締め昇圧のときにはロジック弁60の弁体63に作用していた下向きの負荷が開放され、またこのとき、第1切換弁70を第2弁体75に切り替えてある。したがって、型締側油室181内の高圧の作動油が第2弁体75を介して第2弁室68に流入するために、弁体63は
図5に示される上昇位置に移動し、分岐管58が閉じられる。また、離型側油室182に連なる下流排油管57と上流排油管53Aが第2弁体94により閉塞される。これにより、固定金型14と可動金型15との型締めが維持される型締めブロック状態となる。型締めブロックは、キャビティ内に射出された溶融樹脂が冷却固化し成形品を取り出すための型開きに際して解除され、型締め圧力を低下させる。
【0048】
[全体の制御手順:
図6]
型締めブロックが維持されている間に、本実施形態の型締装置1は、前述した第1機能および第2機能を実現する。この二つの機能は、
図6に示すように、型締めブロック(S1)と型締めブロックの解除(S7)の間に行われる。つまり、
図6に示される損耗判定・警報のステップ(S3)において第1機能が実行され、型締側油室の縮小判定・対応ステップ(S5)において第2機能が実行される。
図6においては、損耗判定・警報のステップ(第1機能)と型締側油室の縮小判定・対応ステップ(第2機能)が並行して行われているが、第1機能と第2機能とを前後に区分して行ってもよいし、それぞれ単独で行ってもよい。
【0049】
[損耗判定・警報における制御手順(第1機能):
図7,
図8,
図9]
次に、
図7~
図9を参照して、
図6に示される損耗判定・警報のステップ(S3)の具体例を説明する。具体例は三つあり、一つ目は圧力低下時間を基準として損耗を判定し、二つ目は圧力低下速度を基準として損耗を判定し、三つ目は型締側油室181の油圧の低下頻度を基準として損耗を判定する。一つ目と二つ目の手順は、
図6に示される型締めブロック(S1)が完了してから型締めブロックの解除(S7)の間に、コントローラ100の指示によって実行される。三つ目の手順は、
図6に示される型締めブロック(S1)が完了してから型締めブロックの解除(S7)の間にカウントされた油圧の低下回数を積算して、所定の成形サイクル数や稼働時間に対する前記型締めブロック中の圧力低下回数を評価することで油圧の低下頻度で判定する。以下、三つの手順を順に説明するが、型締装置1において、少なくとも一つの手段が採用される。
【0050】
[圧力低下時間を基準とする損耗判定・警報:
図7]
圧力低下時間を基準とする損耗判定・警報(以下、第1判定形態ということがある)の手順を、
図7を参照して説明する。
第1判定形態は、型締めブロックが完了してからの経過時間の計測を開始することで手順が始まる(
図7 S101)。経過時間の計測開始と同時に、型締側油室181の内部の作動油の圧力Prの検出が始まる(
図7 S103)。
【0051】
コントローラ100は計測される時間、検出される作動油の圧力(検出作動油圧力Pr)に関する情報を取得する。コントローラ100は基準作動油圧力Pcを所持しており、取得する検出作動油圧力Prと基準作動油圧力Pcとを比較、具体的には検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pcまで低下するか否かを判定する(
図7 S105)。
【0052】
コントローラ100は、検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pcまで低下したならば(
図7 S105 Y)、時間の計測を開始してから検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pcまで低下するまでの時間、つまり実経過時間Trを特定する(
図7 S107)。コントローラ100は、検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pcまで低下しなければ、継続して検出作動油圧力Prを検出するとともに、検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pcまで低下するか否かを判定する(
図7 S105 N)。
コントローラ100は、計測される実経過時間Trを特定したならば、実経過時間Trと基準経過時間Tcとを比較、具体的には実経過時間Trが基準経過時間Tcより小さいか否かを判定する(
図7 S109)。
【0053】
コントローラ100は、実経過時間Trが基準経過時間Tcより小さければ、損耗基準に到達していると判定し(
図7 S111 Y)、ついで、コントローラ100は、判定の結果に基づいて警報を実行する(
図7 S113)。実経過時間Trが基準経過時間Tcより小さくなければ、摩耗基準に到達しておらず、正常と判定し終了する(
図7 S109 N)。
【0054】
型締シリンダ18のシール部材、例えばピストンパッキン21の損耗の程度が大きければ、油漏れによる作動油の圧力が低下する時間が短くなる。そこでコントローラ100は実経過時間Trが基準経過時間Tcより小さければ、損耗基準に到達していると判定する。警報は、型締装置1が備える画像表示装置を介して文字として表すことができるし、型締装置1が備える音声発生装置を介して音声として表すこともできる。
オペレータは運転に支障をきたす以前に警報を認識できるため、その時の生産計画を踏まえて、計画的に、シール部材としてのピストンパッキン21の交換を行うことができる。
【0055】
[圧力低下速度を基準とする損耗判定・警報:
図8]
次に、圧力低下速度を基準とする損耗判定・警報(以下、第2判定形態、ということがある)の手順を、
図8を参照して説明する。なお、第2判定形態において、
図7を参照して説明した第1判定形態と共通する手順については、
図8に
図7と同じステップ(S)の番号を記載し、その説明を省くことがある。第2判定形態の次に説明する油圧低下の頻度を基準とする損耗判定・警報においても同様である。
【0056】
コントローラ100は、実経過時間Tr(S101)と検出作動油圧力Pr(S103)に基づいて、実圧力低下速度Vdを演算により求める(
図8 S205)。なお、実圧力低下速度Vdは一例として以下の検出作動油圧力Prの実経過時間Trによる微分方程式(A)により求められる。シール部材に生じている損耗が激しければ、実圧力低下速度Vdが速いといえる。
Vd=dPr/dTr … (A)
【0057】
コントローラ100は、実圧力低下速度Vdを求めたならば、実圧力低下速度Vdと予め定められている基準圧力低下速度Vcとを比較、具体的には実圧力低下速度Vdが基準圧力低下速度Vcを超えているか否かを判定する(
図8 S207)。
コントローラ100は、実圧力低下速度Vdが基準圧力低下速度Vcを超えていると判定すると(
図8 S207 Y)、損耗基準に達しているとして、判定の結果に基づいて警報を実行する(
図8 S113)。
実圧力低下速度Vdが基準圧力低下速度Vcを超えていなければ(
図8 S207 N)、実圧力低下速度Vdと圧力の基準圧力低下速度Vcとの比較を継続して行う(
図8 S101~S207)。
【0058】
[油圧の低下頻度を基準とする損耗判定・警報:
図9]
次に、油圧の低下頻度を基準とする損耗判定・警報(以下、第3判定形態、ということがある)の手順を
図9参照して説明する。
【0059】
コントローラ100は、検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pc以下まで下がったか否かの判定を行う(
図9 S305)。コントローラ100は、検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pc以下まで低下したことを判定すれば(
図9 S305 Y)、低下したことを記憶する(
図9 S307)。この記憶は積算される。
【0060】
コントローラ100は、実経過時間Trが観測時間Tdに達したか否かの判定を行う(
図9 S311)。
コントローラ100は、実経過時間Trが観測時間Tdに達したのであれば、次に、検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pc以下まで低下した積算の回数である実圧力低下回数Nrが基準圧力低下回数Ndに達したか否かを判定する(
図9 S311)。一方、コントローラ100は、実経過時間Trが観測時間Tdに達していないのであれば、実経過時間Trの計測(
図9 S101)、検出作動油圧力Prの検出(
図9 S103)および検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pc以下まで下がったか否かの判定(
図9 S305)の手順を継続して行う。
【0061】
コントローラ100は、検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pc以下まで低下した積算の実圧力低下回数Nrが基準圧力低下回数Ndに達したのであれば(
図9 S311 Y)、損耗基準に到達していると判定し(
図7 S111 Y)、ついで、コントローラ100は、判定の結果に基づいて警報を実行する(
図7 S113)。
コントローラ100は、実圧力低下回数Nrが基準圧力低下回数Ndに達していないのであれば(
図9 S311 N)、当該観測時間Tdにおいて損耗基準には達していないと判定する(
図9 S313)。そして、コントローラ100は、積算されている実圧力低下回数Nrをキャンセルしてゼロにした後に(
図9 S315)、改めて実経過時間Trの計測(
図9 S101)、検出作動油圧力Prの検出(
図9 S103)および検出作動油圧力Prが基準作動油圧力Pc以下まで下がったか否かの判定(
図9 S305)の手順を継続して行う。
なお、基準圧力低下回数Ndは、所定の基準頻度(例えば所定の成形サイクル数または所定の稼働時間または所定の年月などの所定の期間内における発生回数)であることが好ましい。これによると成形機の稼働頻度や稼働時間などの運転状況、運転状態に合わせて管理できるので、生産計画や保全計画などの現場の実状に合わせて合理的な管理ができる。
【0062】
ここで、第1判定形態と第3判定形態とを比較してみる。
第1判定形態を単純に適用した場合、圧力低下に要する時間が1回でも所定時間より短ければ、警報を発することになる。しかし、シール部材が本当に損耗して油漏れが発生したのではない繰り返し性の乏しい、何らかの単発的な外乱によって作動油の圧力が低下することもあり得る。例えば、圧力信号にノイズが混入した場合などである。この場合でも第1判定形態によれば、警報を発することになる。つまり、第1判定形態を採用すれば、シール部材の損耗を敏感かつ迅速に認識できる利点を有するが、生産性を阻害するリスクがある。これに対して、第3判定形態を採用すれば、生産性を阻害するリスクは解消される。したがって、重視する要素に応じて第1判定形態と第3判定形態のいずれかを採用するのが好ましい。この関係は、第2判定形態と第3判定形態との関係についても同様に当てはまる。
【0063】
[作動油の圧力異常検出・対応(第2機能):
図10,
図11,
図12,
図13,
図14,
図15]
次に、損耗判定・警報のステップ(
図6 S3)と同時並行的に行われる、型締側油室181における作動油の圧力異常検出手法・対応手法(
図6 S5)の具体例について説明する。具体例は三つある。一つ目は型締側油室181の作動油の圧力が減少するのを検出する手法であり、二つ目は型締側油室181の作動油の圧力が増加するのを検出する手法であり、三つめはタイバー17の位置が後退したことを検出する手法である。これらの手法は、いずれも型締側油室181の容積が縮小することが共通している。
図6に示される型締めブロック(S1)が完了してから型締めブロックの解除(S7)の間に、コントローラ100によってこれらの手法の制御がなされる。以下、三つの手法を順に説明するが、型締装置1において、少なくとも一つの手段が採用される。
【0064】
[作動油の圧力の減少を検出:
図10,
図11]
作動油の圧力の減少を検出する場合の具体例としては、型締側油室181に設けられるシール部材に損耗が生じたなどを理由にする作動油の漏れが該当する。これは、型締めブロックの最中に生じるものであり、コントローラ100は作動油の圧力の変動を監視しており、圧力の減少を検出すると、圧力の減少に対応するように、油圧供給システム30の動作を制御する。
図10はこの動作中における油圧供給システム30の経過を示しており、(a)は型締めブロックの状態を示しており、(b)は圧力の減少に対応する回路構成を示している。回路構成を
図10(a)から
図10(b)に移行するために、
図11に示される手順の制御がなされる。
図10(a)において、油圧ポンプ41からの作動油は、第2弁体94が選択されている第3切換弁90によって止められている。後述する
図12、
図14も同様である。
【0065】
型締めブロックの際に、油圧供給システム30の下流給油管55に付設される圧力センサ56Aにより型締めブロックの圧力Pb(以下、検出ブロック圧力Pb)を継続的に検出している(
図11 S401)。この検出ブロック圧力Pbはコントローラ100に送られる。
コントローラ100は、検出ブロック圧力Pbが下限基準ブロック圧力PB1まで低下しているか否かを判定する(
図11 S403)。
【0066】
コントローラ100は、検出ブロック圧力Pbが下限基準ブロック圧力PB1まで低下ししていると判定する(
図11 S403 Y)と、油圧ポンプ41を駆動して(
図11 S405)、型締側油室181に向けて作動油を吐出する。上流給油管51Aに付設される圧力センサ56Bにより、油圧ポンプ41で供給される作動油の圧力(検出ポンプ圧力)Psを検出する(
図11 S407)。この検出ポンプ圧力Psに関する情報は、コントローラ100に送られる。コントローラ100は、検出ポンプ圧力Psを取得すると、予め記憶されている設定ポンプ圧力PSと比較する。具体的には、検出ポンプ圧力Psが設定ポンプ圧力PSまで上昇するか否かを判定する(
図11 S409)。この設定ポンプ圧力PSは、型締めブロックに必要とされる、型締側油室181における作動油の圧力に相当する。コントローラ100は、検出ポンプ圧力Psが設定ポンプ圧力PSまで上昇したと判定すると(
図11 S409 Y)、油圧ポンプ41の吐出する圧力が
図10(b)に示すように、第3切換弁90で第1弁体93が選択され、第2切換弁80で第1弁体83が選択される(
図11 S411)。したがって、設定ポンプ圧力PSまで上昇した油圧ポンプ41から吐出される作動油は、
図10(b)に示すように、上流給油管51A、上流給油管51A上に設けられる第3切換弁90の第1弁体93および第2切換弁80の第2弁体85を通ってロジック弁60の第1弁室67に流れる。さらに、この作動油は、ロジック弁60を通過し、下流給油管55を通って型締側油室181に供給される。第2切換弁80と第3切換弁90を駆動する前に予め油圧ポンプ41から吐出される作動油の圧力を設定ポンプ圧力PSまで上昇させておくことによって、第2切換弁80と第3切換弁90を駆動し型締側油室181が油圧ポンプ41と連通したことにともなう瞬間的な型締側油室181の油圧低下や急激な圧力変化に伴うショックを防止できる。
【0067】
この後、コントローラ100は、圧力センサ56Aにより計測される型締側油室181の内部作動油圧力Ptが型締設定圧力PTまで到達するか否かの判定を行う(
図11 S413)。そして、内部作動油圧力Ptが型締設定圧力PTまで到達したら(
図11 S413 Y)、
図10(a)の状態、つまり第1切換弁70で第2弁体75を選択し、第3切替え弁90で第2弁体94を選択する状態(
図11 S415)に戻して再び油圧ポンプ41の運転を停止させる(
図11 S417)。
【0068】
[作動油の油圧の増大を検出:
図12,
図13]
次に、作動油の油圧が増大するのを検出する具体例としては、射出行程中に型締側油室181が強制的に圧縮される場合が該当する。本例においても、コントローラ100は作動油の油圧の変動を監視しており、圧力の増大を検出すると、圧力の増大に対応するように、油圧供給システム30の動作を制御する。
図12はこの動作中における油圧供給システム30の経過を示しており、(a)は型締めブロックの状態を示しており、(b)は油圧の増大に対応する回路構成を示している。回路構成を
図12(a)から
図12(b)に移行するために、
図13に示される手順の制御がなされる。
図12(a)において、油圧ポンプ41は停止されている。
【0069】
射出行程中においては、射出力によって可動盤13が押し戻される、つまり可動盤13が固定盤12から離れる方向に後退する。この後退の際に、タイバー17に引張力が作用するので、タイバー17のピストンヘッドが図中左方向に移動して型締側油室181の容積は縮小する。しかし、型締側油室181は入口が閉じられているために、型締側油室181の内部の作動油が圧縮されて圧力が上昇する。
また、
図12および
図13は、それぞれ
図10および
図11に対応しており、
図10および
図11と同じ要素については
図12および
図13に同じ符号を付している。後に言及する
図14および
図15についても同様である。
【0070】
型締めブロックに、圧力センサ56Aにより検出ブロック圧力Pbを継続的に検出している(
図13 S501)。検出ブロック圧力Pbはコントローラ100に送られる。なお、
図12(a)に示すように、タイバー17には射出力IPが生じている。
コントローラ100は、検出ブロック圧力Pbが上限基準ブロック圧力PB2まで上昇しているか否かを判定する(
図13 S503)。
【0071】
コントローラ100は、検出ブロック圧力Pbが上限基準ブロック圧力PB2まで上昇していると判定する(
図13 S503 Y)と、油圧ポンプ41を駆動して(
図13 S505)、型締側油室181に向けて作動油を吐出する。上流給油管51Aに付設される圧力センサ56Bにより、油圧ポンプ41で供給される作動油の圧力(検出ポンプ圧力)Psを検出する(
図13 S507)。この検出ポンプ圧力Psに関する情報は、コントローラ100に送られる。コントローラ100は、検出ポンプ圧力Psを取得すると、予め記憶されている設定ポンプ圧力PSと比較する。具体的には、検出ポンプ圧力Psが設定ポンプ圧力PSまで上昇するか否かを判定する(
図13 S509)。この設定ポンプ圧力PSは、型締めブロックに必要とされる、型締側油室181における作動油の圧力に相当する。コントローラ100は、検出ポンプ圧力Psが設定ポンプ圧力PSまで上昇したと判定すると(
図13 S509 Y)、油圧ポンプ41の吐出する圧力が
図11(b)に示すように、第3切換弁90は第1弁体93が選択され、第2切換弁80は第1弁体83が選択される(
図11 S511)。したがって、設定ポンプ圧力PSまで上昇した油圧ポンプ41から吐出される作動油は、
図10(b)に示すように、上流給油管51A、上流給油管51A上に設けられる第3切換弁90の第1弁体93および第2切換弁80の第2弁体85を通ってロジック弁60の第1弁室67に流れようとする。さらに、この作動油は、ロジック弁60を通過し、下流給油管55を通って型締側油室181に供給されようとする。しかし、型締側油室181内の作動油の圧力の方が油圧ポンプ41から吐出される作動油の圧力よりも高いため、型締側油室181内の作動油が油圧ポンプ41側に逆流することになる。したがって、作動油は、
図12(b)に示すように、
図10(b)とは逆向きに流れるため油圧ポンプ41は型締側油室181からに作動油を吸い込むことになる。したがって、油圧ポンプ41は、型締側油室181側に作動油を供給するときとは逆方向に回転される。第2切換弁80と第3切換弁90を駆動する前に予め油圧ポンプ41から吐出される圧力を設定ポンプ圧力PSまで上昇させておくことによって、第2切換弁80と第3切換弁90を駆動し型締側油室181が油圧ポンプ41と連通したことにともなう瞬間的な型締側油室181の油圧低下や急激な圧力変化に伴うショックを防止できる。
【0072】
この後、コントローラ100は、圧力センサ56Aにより計測される型締側油室181の内部作動油圧力Ptが型締設定圧力PTまで到達するか否かの判定を行う(
図13 S513)。そして、内部作動油圧力Ptが型締設定圧力PTまで到達したら(
図13 S513 Y)、
図12(a)の状態、つまり第1切換弁70で第2弁体75を選択し、第3切替弁90で第2弁体94を選択する状態(
図13 S515)に戻して再び油圧ポンプ41の運転を停止させる(
図13 S517)。
【0073】
実機では、タイバーの位置保持力アップのために型締め側油室だけでなく離型側油室182もブロック(密封)してあるが、以下のリスクを回避するため、離型側油室182のラインはタンク49に連通させてもよい。
離型側油室182を密封状態にすると、型締側油室181の作動油の圧力低下によるタイバー後退時および射出力によるタイバー後退時に離型側油室182の容積が拡大することとなる。しかし、離型側油室182は密封されているため、容積の拡大に伴う作動油の吸い込みができない。この場合、離型側油室182は昇圧時のタンク圧(常圧)から圧力低下するため、作動油中に気泡が発生するおそれがある。減圧により発生した気泡は、再加圧しても気泡が縮小して目視では見えなくなっても、気泡が残存する場合がある。特に射出成形のような繰り返し動作する場合はこの気泡が残存するリスクが大きくなる。
【0074】
[タイバーの位置が後退したことを検出:
図14,
図15]
次に、タイバー17の位置が後退したことを検出する場合の具体例について説明する。
型締側油室181に油漏れが発生すると、型締側油室181の内部の作動油の油圧が低下するが、これにより設定型締力によって引っ張り込まれていた(前進していた)可動盤13が、作動油の圧力低下によって型締力が低下するため可動盤13が後退する。これに伴い可動盤13と連結しているタイバー17も後退するため、型締側油室181の容積が縮小する。この容積の縮小は、型締めブロックの最中に生じるものであり、コントローラ100はタイバー17の位置変動を監視しており、タイバー17の位置が予め設定された所定位置以上に後退したことを検出すると、型締側油室181の容積の縮小に対応するように、油圧供給システム30の動作を制御する。
図14はこの動作中における油圧供給システム30の経過を示しており、(a)は型締めブロックの状態を示しており、(b)はタイバー17後退、つまり型締側油室181の容積の縮小に対応する回路構成を示している。回路構成を
図14(a)から
図14(b)に移行するために、
図15に示される手順の制御がなされる。なお、この手順を実行するために、
図14(a)に示すように、タイバー17の位置を検出する位置センサ31が設けられている。
【0075】
型締めブロックの際に、位置センサ31はタイバー17の位置を継続的に検出している(
図15 S601)。検出されるこの位置(以下、検出タイバー位置Srという)はコントローラ100に送られる。
コントローラ100は、検出タイバー位置Srが予め定められる基準タイバー位置Scまで後退しているか否かを判定する(
図15 S603)。
【0076】
コントローラ100は、検出タイバー位置Srが基準ブロック圧力PBまで後退していると判定する(
図15 S603 Y)と、油圧ポンプ41を駆動して(
図15 S505)、型締側油室181に向けて作動油を吐出する。上流給油管51Aに付設される圧力センサ56Bにより、油圧ポンプ41で供給される作動油の圧力(検出ポンプ圧力)Psを検出する(
図15 S607)。この検出ポンプ圧力Psに関する情報は、コントローラ100に送られる。コントローラ100は、検出ポンプ圧力Psを取得すると、予め記憶されている設定ポンプ圧力PSと比較する。具体的には、検出ポンプ圧力Psが設定ポンプ圧力PSまで上昇するか否かを判定する(
図15 S609)。この設定ポンプ圧力PSは、型締めブロックに必要とされる、型締側油室181における作動油の圧力に相当する。コントローラ100は、検出ポンプ圧力Psが設定ポンプ圧力PSまで上昇したと判定すると(
図15 S609 Y)、
図14(b)に示すように、第3切換弁90を第1弁体93が選択され、第2切換弁80は第2弁体85が選択される(
図15 S613)。したがって、油圧ポンプ41から吐出される作動油は、
図14(b)に示すように、上流給油管51(51A)、上流給油管51(51A)上に設けられる第3切換弁90の第1弁体93および第2切換弁80の第1弁体83を通ってロジック弁60の第1弁室67に流れる。さらに、この作動油は、ロジック弁60を通過し、下流給油管55を通って型締側油室181に供給される。
【0077】
なお、タイバーの後退が射出行程中に発生すると、前述の通り型締側油室181内の作動油の圧力が過大に上昇している場合がある。この場合、油圧ポンプ41から吐出される作動油は、型締側油室181の側に流れず、型締側油室181の側から油圧ポンプ41の側に逆流することになる。第2切換弁80と第3切換弁90を駆動する前に予め油圧ポンプ41から吐出される作動油の圧力を設定ポンプ圧力PSまで上昇させておくことによって、第2切換弁80と第3切換弁90を駆動し型締側油室181が油圧ポンプ41と連通したことにともなう瞬間的な型締側油室181の油圧低下や急激な圧力変化に伴うショックを防止できる。
【0078】
この後、圧力センサ56Aにより型締側油室181内の油圧が設定ポンプ圧力PSまで到達したら、
図14(a)の状態に戻して再び油圧ポンプ41の運転を停止させる(
図15 S511)。
この後、コントローラ100は、圧力センサ56Aにより計測される型締側油室181の内部作動油圧力Ptが型締設定圧力PTまで到達するか否かの判定を行う(
図15 S613)。そして、内部作動油圧力Ptが型締設定圧力PTまで到達したら(
図15 S613 Y)、
図14(a)の状態、つまり第1切換弁70で第2弁体75を選択し、第3切替え弁90で第2弁体94を選択する状態(
図15 S615)に戻して再び油圧ポンプ41の運転を停止させる(
図15 S617)。
【0079】
[効 果]
以下、本実施形態の第1機能による効果および第2機能による効果を説明する。
[第1機能による効果]
型締装置1は、損耗を判定し、警報を発する。したがって、この警報に接するオペレータは、自己が操作する型締装置1のシール部材、例えばピストンパッキン21に交換すべきであろう損耗が生じていることを認識できる。一連の射出動作を経た後など、適切なタイミングでオペレータがシール部材を交換すれば、以後に警報が発せられるまでの間、シール部材の損耗による型締装置1のトラブルが生じるのを防ぐことができる。
【0080】
[第2機能による効果]
型締装置1は、型締めブロックの状態において、型締側油室181の縮小判定をして、対応を実行する。したがって、この対応が実行されることにより、型締側油室181に作動油の圧力異常が生じたとしても、その異常を解消し、それ以後の射出成形動作を継続して行うことができる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0082】
以上の実施形態では、所定の損耗基準に達した場合に、型締めシリンダのシール部材の保全点検や交換を促す警報を行ったが、本発明はさらに警報に加えて、以下の(1)または(2)の処理を行うことができる。
(1):「型締力不足」の警報を出して、オペレータに型締力を上げるか、または、射出条件を変更してキャビティ内の圧力を下げるよう促す。
(2):(1)に加えて、検出されたタイバー17の移動量に基づき、推奨される型締力を算定しコントローラ100の表示パネルに表示する。あるいは、自動的に設定型締力を推奨型締力に変更する。
【0083】
また、本発明において、複数の型締シリンダ18を備えている場合に、少なくとも一つの型締シリンダ18に損耗基準に達すれば、複数の全ての型締シリンダ18の型締側油室181をブロックしている油圧バルブを開いて、全ての型締シリンダ18の型締側油室181を連通させることができる。そうすれば、複数の全ての型締側油室181の作動油の圧力を均等にして設定される型締圧力に戻すことができる。
【0084】
上記の場合に、複数の型締シリンダ18の型締め油圧を、それぞれ異なる圧力で独立に制御できる。これによると、偏ったサイズのキャビティに対応するために、複数の型締シリンダ18に異なる油圧による偏った型締め力を設定していた場合でも、複数の型締シリンダ18のそれぞれにおいて、第1機能による効果および第2機能による効果を得ることができる。
【0085】
型締装置1において、タイバー17はピストンパッキン21に対して型締昇圧時に微小距離しか相対的な移動をしないために、ピストンパッキン21とタイバー17の摺動部の潤滑油が足りなくなりピストンパッキン21が摩耗しやすくなる。そこで、型締装置1の運転開始前または運転終了後に、摩耗防止のために、タイバー17を大きくストローク移動させて、当該摺動箇所に潤滑油と接していたタイバー17の表面領域を通過させ、摺動箇所に潤滑油膜を形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0086】
1 型締装置
11 ベースフレーム
12 固定盤
13 可動盤
14 固定金型
15 可動金型
16 ピストン
17 タイバー
18 型締シリンダ
19 射出バレル
20 ボールねじナット部
21 ピストンパッキン
22 サーボモータ
23 軸受箱
24A,24B 動力伝達ギア
25 ボールねじ軸
26 ガイドレール
27 リニアベアリング
28 スライド台
29 ハーフナット
30 油圧供給システム
31 位置センサ
40 油圧源
41 油圧ポンプ
43 サーボモータ
49 タンク
50 作動油回路
51,51A,51B 上流給油管
52 接続管
53,53A,53B 上流排油管
55 下流給油管
56A,56B 圧力センサ
57 下流排油管
58 分岐管
59 タンク
60 ロジック弁
61 弁箱
63 弁体
65 弾性体
67 第1弁室
68 第2弁室
69 接続管
70 第1切換弁
71 弁体
73 第1弁体
75 第2弁体
76 電磁ソレノイド
80 第2切換弁
81 弁体
83 第1弁体
85 第2弁体
87 電磁ソレノイド
90 第3切換弁
91 弁体
93 第1弁体
94 第2弁体
95 第3弁体
96 電磁ソレノイド
100 コントローラ
101 入力部
103 制御部
105 指令出力部
107 記憶部
181 型締側油室
182 離型側油室
Nd 基準圧力低下回数
Nr 実圧力低下回数
Pb 検出ブロック圧力
PB1 下限基準ブロック圧力
PB2 上限基準ブロック圧力
Ps 検出ポンプ圧力
PS 設定ポンプ圧力
Pr 検出作動油油圧
Pc 基準作動油圧力
Pt 内部作動油圧力
PT 型締設定圧力
Sr 検出タイバー位置
Sc 基準タイバー位置
Tc 基準経過時間
Td 観測時間
Tr 実経過時間
Tc 基準経過時間
Vd 実圧力低下速度
Vc 基準圧力低下速度