(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163894
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】救命救急システム、救命救急システム制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/67 20180101AFI20221020BHJP
【FI】
G16H40/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069011
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 洋一
(72)【発明者】
【氏名】室町 維昭
(72)【発明者】
【氏名】吉池 孝英
(72)【発明者】
【氏名】杉山 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕太
(72)【発明者】
【氏名】川上 智弘
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】医療行為が可能な人が現場にいなくても遠隔操作で救護にあたることができる救命救急システム、救命救急システム制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】救命救急システムは、少なくとも1つ以上の位置や方向を遠隔操作可能な撮影装置と、救命救急用の道具を収納した救命器具収納部と、遠隔操作可能な少なくとも1つのエンドエフェクタを備える救命救急ロボットと、少なくとも一人の操作者が救命救急ロボットを遠隔操作する端末と、救命救急ロボットが取得した病状情報と環境情報を取得可能であり、端末に取得した病状情報と環境情報を送信し、端末から救命救急ロボットに対する操作情報を受信し、受信した操作情報に基づいて救命救急ロボットを制御するサーバと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の位置や方向を遠隔操作可能な撮影装置と、
救命救急用の道具を収納した救命器具収納部と、
遠隔操作可能な少なくとも1つのエンドエフェクタを備える救命救急ロボットと、
少なくとも一人の操作者が前記救命救急ロボットを遠隔操作する端末と、
前記救命救急ロボットが取得した病状情報と環境情報を取得可能であり、前記端末に取得した前記病状情報と前記環境情報を送信し、前記端末から前記救命救急ロボットに対する操作情報を受信し、受信した前記操作情報に基づいて前記救命救急ロボットを制御するサーバと、
を備える救命救急システム。
【請求項2】
前記救命救急ロボットは、複数名で操作可能であり、
前記サーバは、優先順位に基づき、優先順位の高い操作者に優先順位の低い操作者の操縦権を移管する、
請求項1に記載の救命救急システム。
【請求項3】
前記端末は、複数であり、第1の端末を前記救命救急ロボットの操縦者が操作し、第2の端末を医師が操作し、
前記救命救急ロボットは、撮影装置を備え、
前記撮影装置は、前記第2の端末を操作することで前記医師が操作可能であり、前記救命救急ロボットの操縦者と別視点から患者を観察することが可能である、
請求項1または請求項2に記載の救命救急システム。
【請求項4】
前記端末は、複数であり、前記救命救急ロボットの操縦者が操作する端末とは別の端末をコーディネーターが操作し、
前記別の端末は、前記コーディネーターが病状情報と環境データに基づき搬送先病院を決定した結果を前記サーバへ送信する、
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の救命救急システム。
【請求項5】
前記サーバは、
前記救命救急ロボットにより得られた前記病状情報を、リアルタイムで前記端末へ送信し、
前記救命救急ロボットにより得られた環境データに対して保存時にプライバシー保護のために処理指示を付加する、
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の救命救急システム。
【請求項6】
少なくとも1つ以上の位置や方向を遠隔操作可能な撮影装置と、救命救急用の道具を収納した救命器具収納部と、遠隔操作可能な少なくとも1つのエンドエフェクタを備える救命救急ロボットと、少なくとも一人の操作者が前記救命救急ロボットを遠隔操作する端末と、サーバとを備える救命救急システム制御方法であって、
前記救命救急ロボットが、病状情報と環境情報を取得し、取得した前記病状情報と前記環境情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバが、取得した前記病状情報と前記環境情報を前記端末に送信し、前記端末から前記救命救急ロボットに対する操作情報を受信し、受信した前記操作情報に基づいて前記救命救急ロボットを制御する、
救命救急システム制御方法。
【請求項7】
少なくとも1つ以上の位置や方向を遠隔操作可能な撮影装置と、救命救急用の道具を収納した救命器具収納部と、遠隔操作可能な少なくとも1つのエンドエフェクタを備える救命救急ロボットと、少なくとも一人の操作者が前記救命救急ロボットを遠隔操作する端末と、サーバとを備える救命救急システムであって、前記サーバのコンピュータに、
前記救命救急ロボットに病状情報と環境情報を取得させ、取得させた前記病状情報と前記環境情報を前記サーバへ送信させ、
取得した前記病状情報と前記環境情報を前記端末に送信させ、
前記端末から前記救命救急ロボットに対する操作情報を受信させ、受信させた前記操作情報に基づいて前記救命救急ロボットを制御させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救命救急システム、救命救急システム制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの生体情報を自動でモニタ・送信する装置を携帯し、体調の異常度を判別して必要に応じて第三者に通知し、救命救急を要請することの出来るシステムが望まれている。このようなシステムとして、ユーザが携帯する移動端末にて取得したユーザの生体情報をもとに、ユーザの体調の異常度を判別、通知する救命救急を補助する電話やインターネットを用いた救命救急補助システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の救命救急補助システムにおいて、ユーザ端末装置は、ユーザの生体情報を検出する生体情報検出部と、当該ユーザ端末装置の位置を表すユーザ位置情報を測定するユーザ端末位置検出部と、生体情報とユーザ位置情報を含む救命情報を救命救急補助装置に送信する救命情報通信部とを備える。また、第三者端末装置は、第三者端末装置の位置情報を測定する第三者端末位置検出部と、第三者端末装置の第三者端末位置情報を含む第三者端末情報を定期的に救命救急補助装置に送信すると共に救命救急補助装置からの救命指示情報を受信する第三者端末救命情報送受信部とを備える。また、救命救急補助装置は、救命情報と第三者端末情報を受信すると共に救命指示情報を第三者端末装置に送信する救命情報送受信部と、救命情報から救命救急の緊急性を判断して緊急性情報を出力する緊急性判断部と、救命情報と第三者端末位置情報とからユーザの現在位置の近くに居る第三者の位置関係を解析してユーザ端末装置と第三者端末装置との間の距離情報を出力する位置情報解析部と、ユーザの生体情報の履歴と距離情報と第三者の属性情報を複数の第三者端末装置にそれぞれ対応させて記録するデータベースと、緊急性情報と距離情報と第三者の属性情報を入力として救命指示情報を送信する第三者端末装置を特定する通知者判断部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の救命救急補助システムは、実際に救命救急を行うのは現場近くの人間であり、救命救急士が来られるとも限らず、言葉やモニタに映し出される映像だけでは対応に限界があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、医療行為が可能な人が現場にいなくても遠隔操作で救護にあたることができる救命救急システム、救命救急システム制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る救命救急システムは、少なくとも1つ以上の位置や方向を遠隔操作可能な撮影装置と、救命救急用の道具を収納した救命器具収納部と、遠隔操作可能な少なくとも1つのエンドエフェクタを備える救命救急ロボットと、少なくとも一人の操作者が前記救命救急ロボットを遠隔操作する端末と、前記救命救急ロボットが取得した病状情報と環境情報を取得可能であり、前記端末に取得した前記病状情報と前記環境情報を送信し、前記端末から前記救命救急ロボットに対する操作情報を受信し、受信した前記操作情報に基づいて前記救命救急ロボットを制御するサーバと、を備える。
【0008】
(2)また、本発明の一態様に係る救命救急システムにおいて、前記救命救急ロボットは、複数名で操作可能であり、前記サーバは、優先順位に基づき、優先順位の高い操作者に優先順位の低い操作者の操縦権を移管するようにしてもよい。
【0009】
(3)また、本発明の一態様に係る救命救急システムにおいて、前記端末は、複数であり、第1の端末を前記救命救急ロボットの操縦者が操作し、第2の端末を医師が操作し、前記救命救急ロボットは、撮影装置を備え、前記撮影装置は、前記第2の端末を操作することで前記医師が操作可能であり、前記救命救急ロボットの操縦者と別視点から患者を観察することが可能であるようにしてもよい。
【0010】
(4)また、本発明の一態様に係る救命救急システムにおいて、前記端末は、複数であり、前記救命救急ロボットの操縦者が操作する端末とは別の端末をコーディネーターが操作し、前記別の端末は、前記コーディネーターが前記病状情報と前記環境情報に基づき搬送先病院を決定した結果を前記サーバへ送信するようにしてもよい。
【0011】
(5)また、本発明の一態様に係る救命救急システムにおいて、前記サーバは、前記救命救急ロボットにより得られた前記病状情報を、リアルタイムで前記端末へ送信し、前記救命救急ロボットにより得られた前記環境情報に対して保存時にプライバシー保護のために処理指示を付加するようにしてもよい。
【0012】
(6)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る救命救急システム制御方法は、少なくとも1つ以上の位置や方向を遠隔操作可能な撮影装置と、救命救急用の道具を収納した救命器具収納部と、遠隔操作可能な少なくとも1つのエンドエフェクタを備える救命救急ロボットと、少なくとも一人の操作者が前記救命救急ロボットを遠隔操作する端末と、サーバとを備える救命救急システム制御方法であって、前記救命救急ロボットが、病状情報と環境情報を取得し、取得した前記病状情報と前記環境情報を前記サーバへ送信し、前記サーバが、取得した前記病状情報と前記環境情報を前記端末に送信し、前記端末から前記救命救急ロボットに対する操作情報を受信し、受信した前記操作情報に基づいて前記救命救急ロボットを制御する。
【0013】
(7)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るプログラムは、少なくとも1つ以上の位置や方向を遠隔操作可能な撮影装置と、救命救急用の道具を収納した救命器具収納部と、遠隔操作可能な少なくとも1つのエンドエフェクタを備える救命救急ロボットと、少なくとも一人の操作者が前記救命救急ロボットを遠隔操作する端末と、サーバとを備える救命救急システムであって、前記サーバのコンピュータに、前記救命救急ロボットに病状情報と環境情報を取得させ、取得させた前記病状情報と前記環境情報を前記サーバへ送信させ、取得した前記病状情報と前記環境情報を前記端末に送信させ、前記端末から前記救命救急ロボットに対する操作情報を受信させ、受信させた前記操作情報に基づいて前記救命救急ロボットを制御させる。
【発明の効果】
【0014】
(1)~(7)によれば、医療行為が可能な人が現場にいなくても遠隔操作で救命救急ロボットを操作して病状情報を取得できるので救護にあたることができる。
(2)によれば、複数の操作者で1つの救命救急ロボットをスムーズに効率よく遠隔操作できるので、救護を効率的に行うことができる。
(3)によれば、医師が救命救急ロボットの操縦者と別視点から患者を観察することが可能である。
(4)によれば、緊急事態の時に選択肢の中から搬送手段を選ぶことができる。(4)によれば、搬送方法を救急車以外のものにも広げるため、救急車が本当に必要な人に行き届かせることができる。(4)によれば、救急車の出動回数を削減することができる。
(5)によれば、患者、患者の処理等を行ってくれた人、患者の周囲の人のプライバシーを保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る救命救急ロボットの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る救命救急ロボットの外形例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る救命救急システムの構成例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るデータベースが格納しているデータ例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る救命救急ロボットの構成例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る双腕の操作例を示す図である。
【
図8】実施形態に係るアーム操作の優先権の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る端末の構成例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る指向性のある報知部を用いた報知例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る取得される画像例と保存される画像例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る2つの撮影装置の操作例を示す図である。
【
図13】実施形態に係る2つの撮影装置が撮影した画像例を示す図である。
【
図14】実施形態に係る患者の搬送方法の決定手順と搬送先病院の決定手順のフローチャートである。
【
図15】実施形態に係る救命救急システムの処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
[救命救急ロボットの構成例]
救命救急ロボットの例を、
図1と
図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る救命救急ロボットの構成例を示す図である。
図1のように救命救急ロボット2は、例えば、筐体200、アーム211a(腕、エンドエフェクタ)、アーム211b(腕、エンドエフェクタ)、第1表示装置2071、第2表示装置2072、第1スピーカ2073、第2スピーカ2074、第1撮影装置2091、第2撮影装置2092、移動手段212a、移動手段212b、および救命器具収納部213、アーム収納部214a、アーム収納部214b等を備える。アーム211aは、ハンド2112aを備える。アーム211bは、ハンド2112bを備える。また、救命救急ロボット2は、例えばハンド2112(2112a、2112b)(エンドエフェクタ)にポインタ2113が取り付けられている。なお、救命救急ロボット2は、ポインタ2113をハンド2112で把持するようにしてもよい。
【0018】
図2は、実施形態に係る救命救急ロボットの外形例を示す図である。第1の外形g11は、アーム211(211a、211b)がアーム収納部214(214a、214b)から取り出された状態であり、第1表示装置2071が情報を提示可能な状態であり、救命器具収納部213が開いて(または開けて)救命救急道具(不図示)が取り出し可能な状態である。なお、救命救急道具とは、例えば、血圧計、脈拍測定器、体温測定器、呼吸測定器、AED、マスク、三角巾、聴診器、気道確保資器材等である。
【0019】
第2の外形g12は、所定の位置や場所に配置されているときの状態であり、アーム211がアーム収納部214に収納された状態であり、第1表示装置2071が閉じられた状態であり、救命器具収納部213が閉じていて救命救急道具(不図示)が取り出せない状態である。
【0020】
第3の外形g13は、救命救急ロボット2が移動している状態、または救命救急ロボット2を移動させている状態である。なお、救命救急ロボット2は、自走式で移動可能であってもよく、人によって移動可能であってもよい。
なお、
図1、2に示した救命救急ロボット2の外形は一例であり、これに限らない。
【0021】
[救命救急システムの構成例]
次に、救命救急システムの構成例を説明する。
図3は、実施形態に係る救命救急システムの構成例を示す図である。
図2のように、救命救急システム1は、例えば、救命救急ロボット2、サーバ3、データベース4、患者の携帯電話5-1、通報者の携帯電話5-2、病院100内の医師101等が使用する端末6-1、現場に駆けつける救急隊111が使用する端末6-2、遠隔操作する救命救急士121が使用する端末6-3、補助の救命救急士123が使用する端末6-4、およびコーディネーター131が使用する端末6-5等を備える。なお、端末6(6-1、6-2、6-3、6-4、6-5)は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、通信機能付きのノートパソコン、および専用機器のうちの少なくとも1つである。
【0022】
なお、以下の説明では、「患者の携帯電話5-1」を「携帯電話5-1」、「通報者の携帯電話5-2」を「携帯電話5-2」、「病院100内の医師101等が使用する端末6-1」を「端末6-1」、「現場に駆けつける救急隊111が使用する端末6-2」を「端末6-2」、「遠隔操作する救命救急士121が使用する端末6-3」を「端末6-3」、「補助の救命救急士123が使用する端末6-4」を「端末6-4」、「コーディネーター131が使用する端末6-5」を「端末6-5」ともいう。
また、以下の説明では、「現場に駆けつける救急隊111」を「救急隊111」、「遠隔操作する救命救急士121」を「救命救急士121」ともいう。
【0023】
各携帯電話、各端末、救命救急ロボット2、サーバ3、データベース4は、例えば、通信回線またはインターネット回線等によってネットワークNWに接続されている。
【0024】
救命救急ロボット2は、例えば、ショッピングセンター、駅、公会堂、美術館等、人が集まる場所に設置されている。
なお、救命救急ロボット2、サーバ3の構成や機能、救命救急ロボット2が取得送信するデータ、救命救急の補助する人等については、実施形態で説明する。
【0025】
図4は、実施形態に係るデータベースが格納しているデータ例を示す図である。
図4のようにデータベース4は、例えば、携帯電話番号に、氏名、病歴、緊急連絡先、かかりつけの病院等の情報を関連付けて格納する。なお、データベース4は、少なくとも携帯電話番号に病歴と連絡先を関連付けて格納する。なお、
図4のデータベース4に格納するデータは一例であり、これに限らない。データベース4は、他の情報を関連付けて格納するようにしてもよい。
【0026】
[救命救急ロボットの構成例]
まず、救命救急ロボット2の構成例を説明する。
図5は、実施形態に係る救命救急ロボットの構成例を示す図である。
図5のように、救命救急ロボット2は、例えば、筐体200、制御部201、記憶部202、駆動部203、電源204、通信部205、照明装置206、報知部207、報知駆動部208、撮影装置209、撮影装置駆動部210、アーム211、移動手段212、救命器具収納部213、アーム収納部214、および収音部215を備える。なお、
図5に示した構成は一例であり、これに限らない。救命救急ロボット2は、他の機能部を備えていてもよい。例えば救命救急ロボット2は、例えば経路生成部216を備えていてもよい。なお、救命救急ロボット2は、ポインタ2113等で指示可能な1つ以上のアーム211を備えていればよい。
【0027】
制御部201は、通信部205が受信した遠隔操作指示に応じて救命救急ロボット2の動作を制御する。または、制御部201は、記憶部202が記憶するプログラムに基づいて救命救急ロボット2の動作を制御する。制御部201は、撮影装置209が撮影した画像(例えば周囲情報D2)を、通信部205を介してサーバ3、医師101、救急隊111、コーディネーター131に送信する。また、制御部201は、通報者または現場にいる人たちが救命救急道具を操作して取得されたバイタルチェック等の医療情報を、通信部205を介してサーバ3、医師101、救急隊111、コーディネーター131に送信する。制御部201は、例えば遠隔操作情報に基づいて、アーム211をアーム収納部214から取り出して制御する。制御部201は、例えば遠隔操作情報に基づいて、アーム211をアーム収納部214に収納する。制御部201は、救命器具収納部213の開閉を、例えば遠隔操作情報に基づいて制御する。制御部201は、例えば遠隔操作情報に基づいて、移動手段212を制御する。制御部201は、遠隔操作情報や撮影装置209が撮影した画像に基づいて、照明装置206の照明のオン状態とオフ状態を切り替える。制御部201は、例えば遠隔操作情報に基づいて、駆動部203を駆動することでアーム211の動作を制御する。制御部201は、遠隔操作情報に含まれる情報を報知部207に出力する。なお、遠隔操作情報には、テキスト情報、画像情報、音声情報等が含まれていてもよい。制御部201は、通信部205がサーバ3から受信した遠隔操作指示に応じて救命救急ロボット2のアーム211の動作を制御する。複数のアーム211は、それぞれ別のオペレータ(例えば、救命救急士、補助の救命救急士)によって遠隔操作されるようにしてもよい。
【0028】
記憶部202は、制御部201の制御に用いられるプログラムや所定の値等を記憶する。記憶部202は、取得された情報を一時的に記憶する。
【0029】
駆動部203は、例えばアクチュエータ、ギヤ等を含む。駆動部203は、制御部201の制御によってアーム211の動作を制御する。
【0030】
電源204は、救命救急ロボット2の各部に電力を供給する。なお、電源204は、充電可能な二次電池、交換可能なバッテリ、太陽電池等を備えていてもよい。
【0031】
通信部205は、ネットワークNWを介して情報の送受信を行う。なお、通信部205は、例えば、通信回線に接続可能な通信回路、インターネットに接続可能な通信回路を備えている。通信部205は、GPS(Global Positioning System)受信機を備えていてもよい。
【0032】
照明装置206は、制御部21の制御に応じて、照明のオン状態とオフ状態を切り替える。なお、照明装置206は、複数であってもよい。
【0033】
報知部207は、例えば、第1表示装置2071、第2表示装置2072、第1スピーカ2073、および第2スピーカ2074を備える。なお、報知部207が備える表示装置やスピーカの数は2つに限らない。なお、第1表示装置2071または第2表示装置2072は、画面上にタッチパネルセンサを備えていてもよい。
【0034】
第1表示装置2071は、遠隔操作情報に含まれる情報を、現場にいる通報者または周囲にいる人たちに報知する。
第2表示装置2072は、例えばバイスタンダーを落ち着かせたり、バイスタンダーに指示を出したりする操作者122が例えば入力した情報を提示する。操作者122は、タッチパネル(不図示)を操作して、またはキーボード(不図示)を操作して、バイスタンダーへの提示情報を入力する。
【0035】
第1スピーカ2073は、遠隔操作情報に含まれる情報を、現場にいる通報者または周囲にいる人たちに報知する。なお、報知部207は、遠隔操作情報に含まれるテキスト情報を周知の手法で音声信号に変換して、第1スピーカ2073から出力するようにしてもよい。
第2スピーカ2074は、例えばバイスタンダーを落ち着かせたり、バイスタンダーに指示を出したりする操作者122が例えば入力した情報を出力する。操作者122は、マイクロフォン(不図示)を使って、またはキーボード(不図示)を操作して、バイスタンダーへの提示情報を入力する。
【0036】
報知駆動部208は、第1表示装置2071の開閉、第2表示装置2072の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度、第1スピーカ2073の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度、および第2スピーカ2074の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度を、制御部201の制御に応じて制御する。実施形態の報知部207は、高さ、上下方向の向きや角度、左右方向の向きや角度が制御可能であり、すなわち指向性を制御可能である。実施形態では、救命救急士121、操作者122および補助の救命救急士123のうちの少なくとも1人の遠隔操作指示に応じて、報知駆動部208が報知部207の指向性を制御することで、提供した人や伝えたい人に向けて情報を提供することができる。
【0037】
撮影装置209は、第1撮影装置2091、および第2撮影装置2092を備える。なお撮影装置の数は2つに限らない。
第1撮影装置2091は、例えば救命救急士121の遠隔操作による撮影指示に基づいて撮影する。撮影される画像は、例えば、患者の画像、患者のいる周囲画像等である。
第2撮影装置2092は、例えば医師101の遠隔操作による撮影指示に基づいて撮影する。撮影される画像は、例えば、患者の画像、患者の患部の画像等である。
【0038】
撮影装置駆動部210は、第1撮影装置2091の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度、および第2撮影装置2092の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度を、制御部201の制御に応じて制御する。
【0039】
アーム211は、例えば、腕部2111、ハンド2112(エンドエフェクタ)、ポインタ2113、およびセンサ2114を備える。なお、
図1のように、救命救急ロボット2は、例えば2つのアーム211(211a、211b)を備える。また、アーム211は、アーム収納部214に収納可能である。アーム211は、遠隔操作によって制御される。アーム211は、救命器具収納部213に収納されている救命救急道具を扱うことが可能である。なお、アーム211は、駆動部203によって駆動されるアクチュエータ(モータ、人工筋肉等)(不図示)を備えている。
【0040】
腕部2111は、人の腕に相当し、関節にセンサ2114が取り付けられている。
ハンド2112(把持部)は、人の手に相当し、例えば2つ以上の指を備え、指の関節等にセンサ2114が取り付けられている。
ポインタ2113は、例えばレーザポインタである。ポインタ2113は、例えばハンド2112に取り付けられていてもよく、ハンド2112が把持可能であってもよい。ポインタ2113は、制御部201の制御によってオン状態とオフ状態とが切り替えられる。
センサ2114は、関節の動きを検出するエンコーダ、指やハンド2112に取り付けられている触覚センサ等である。センサ2114は、検出した検出値を制御部201に出力する。
【0041】
移動手段212は、例えば複数の車輪である。移動手段212は、駆動部203によって駆動されてもよい。なお、救命救急ロボット2は、人がハンドキャリーで移動させてもよく、この際、移動のアシストを移動手段212が駆動部203の駆動によって行うようにしてもよい。
【0042】
救命器具収納部213には、例えば箱やバッグに救命救急道具が収納される。なお、救命器具収納部213は1つに限らず、例えば前後等、2つ以上に設けられていてもよい。なお、救命救急道具それぞれは、有線または無線での通信機能を備え、取得したデータを救命救急ロボット2へ送信する。
【0043】
アーム収納部214には、アーム211が収納される。アーム収納部214は、
図1のようにアーム211毎に設けられている。
【0044】
収音部215は、マイクロホン、または複数のマイクロホンを備えるマイクロホンアレイである。収音部215は、救命救急士121等の遠隔操作に基づいて音響信号を収音し、収音した音響信号を環境データ(環境情報)としてサーバ3へ送信するようにしてもよい。
【0045】
経路生成部216は、例えば、サーバ3の経路生成部306と同様の処理を行う。
【0046】
[サーバの構成例]
次に、サーバ3の構成例を説明する。
図6は、実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
図6のように、サーバ3は、例えば、病状データ制御部301、ロボットデータ制御部302、環境データ制御部303、記憶部304、通信部305、経路生成部306、搬送手段判定部307、および指向性判定部308を備える。なお、
図6に示した構成は一例であり、これに限らない。
【0047】
病状データ制御部301は、救命救急ロボット2から通信部305を介してバイタルチェック等の医療情報を取得する。なお、以下の説明では、「バイタルチェック等の医療情報」を「病状情報」ともいう。病状情報は、例えば、呼吸状態、脈拍数、血圧値、体温、意識レベル等のバイタルサイン、出血の度合い等を含んでいてもよい。病状データ制御部301は、取得したバイタルチェック等医療情報を、ネットワークNWを介して端末6(6-1、6-2、6-3、6-4、6-5)へ送信する。
【0048】
ロボットデータ制御部302は、遠隔操作する救命救急士121または医師101の遠隔操作指示を、通信部305を介して取得する。ロボットデータ制御部302は、取得した遠隔操作指示に基づいて、救命救急ロボット2の動作等を制御する制御指令情報を生成し、生成した制御指令情報を、通信部305を介して救命救急ロボット2へ送信する。ロボットデータ制御部302は、指向性情報に基づいて、救命救急ロボット2の報知部207を向ける方向を制御する指向性制御情報を生成し、生成した指向性制御情報を、通信部305を介して救命救急ロボット2へ送信する。ロボットデータ制御部302は、端末6から受信した音声信号を、通信部305とネットワークNWを介して救命救急ロボット2へ送信する。なお、遠隔操作指示には、第2スピーカ2074から音声信号を出力する指示も含まれている場合がある。
【0049】
環境データ制御部303は、救命救急ロボット2から通信部305を介して、撮影装置209によって撮影された環境データを取得する。なお、環境データは、例えば、周りの人数、地盤や地形に関する情報、交通量も含む。環境データ制御部303は、取得した環境データを、ネットワークNWを介して端末6(6-1、6-2、6-3、6-4、6-5)へ送信する。
【0050】
記憶部304は、サーバ3の各部が用いるプログラム、閾値、ネットワーク情報等を記憶する。記憶部304は、救命救急ロボット2が設置されている位置情報(緯度経度、商業施設名等)を記憶する。
【0051】
通信部305は、ネットワークNWを介して救命救急ロボット2とデータの送受信を行う。通信部305は、ネットワークNWを介してデータベース4を参照する。通信部305は、ネットワークNWを介して端末6(6-1、6-2、6-3、6-4、6-5)と情報の送受信を行う。
【0052】
経路生成部306は、通報者の位置情報を、携帯電話5-2の位置情報に基づいて、通報者に最も近くに設置されている救命救急ロボット2を選択する。経路生成部306は、選択した救命救急ロボット2の位置情報と、通報者の位置情報と環境データを用いて、通報者と救命救急ロボット2までの経路情報を生成する。なお、経路は、最短距離に限らず、周囲の道路状況や人の多さ、道幅等を考慮して生成するようにしてもよい。経路生成部306は、生成した経路情報を、ネットワークNWを介して通報者の携帯電話5-2へ送信する。
【0053】
搬送手段判定部307は、取得されたバイタルチェック等医療情報と、救命救急士からの指示等に基づいて、治療や処置が完了したか否かを判定する。搬送手段判定部307は、治療や処置が完了し、例えばタクシーでの搬送が可能になった場合、救急車の出動を注視することを示す出動停止要求を、救急隊111の端末6-2へ送信する。搬送手段判定部307は、治療や処置が完了していないと判定した場合、引き続き遠隔操作が必要であることを示し情報を救命救急士121の端末6-3等へ送信する。
【0054】
指向性判定部308は、救命救急士121、バイスタンダーを落ち着かせる操作者122、補助の救命救急士123、コーディネーター131等の遠隔操作や指示に応じて、救命救急ロボット2の報知部207を向ける砲口(指向性)を判定する。指向性判定部308は、判定した指向性情報を、ロボットデータ制御部302に出力する。
【0055】
[双腕の操作例]
次に、双腕の操作例を説明する。
図7は、本実施形態に係る双腕の操作例を示す図である。
図7の例では、救命救急士121が、端末6-3を操作することで左腕に対応するアーム211bを操作し、補助の救命救急士123が、端末6-4を操作することで右腕に対応するアーム211aを操作している。サーバ3は、端末6-3、6-4から操作要求を受信し、受信した操作要求がそれぞれどちらアーム211に対する操作要求であるかを抽出して、各アーム211に対する遠隔操作情報を生成する。なお、操作要求には、例えば、端末6の識別情報、操作させたいアーム211を示す情報等が含まれている。また、サーバ3の記憶部304は、端末6の識別情報と使用者とを関連付けて記憶している。サーバ3は、生成した遠隔操作情報を、ネットワークNWを介して救命救急ロボット2へ送信することで、救命救急ロボット2の双腕を別の操作者が遠隔操作可能にする。
【0056】
なお、
図7に示した例では、左右のアーム211を別の遠隔操作者が遠隔操作する例を説明したが、両方のアーム211を、1人の遠隔操作者(例えば救命救急士121)が遠隔操作してもよい。
【0057】
また、両方のアーム211を例えば救命救急士121が遠隔操作している際、ベテランの補助の救命救急士123がアーム211を操作したい場合もある。このような場合は、2人の遠隔操作者が同時に同じアーム211を操作することができない。このため、本実施形態では、アーム211の操作に対して、優先権を設定している。
図8は、本実施形態に係るアーム操作の優先権の一例を示す図である。
図8の例では、補助の救命救急士123の優先権の方が、救命救急士121の優先権より高く設定されている例である。このような優先権に関する情報は、サーバ3の記憶部304が予め記憶していてもよく、救命救急毎に救命救急士等が設定するようにしてもよい。
【0058】
このような優先権に基づいて、サーバ3は、遠隔操作情報を生成する。例えば、アーム211を救命救急士121が遠隔操作している際に、優先権の高い補助の救命救急士123が使用する端末6-4からアーム211の操作要求を受信した場合、サーバ3は、優先順位に基づいて、アーム211の操作権を救命救急士121から補助の救命救急士123に変更して制御する。すなわち、サーバ3のロボットデータ制御部302は、優先順位の高い操作者に優先順位の低い操作者の操縦権を移管する。この場合、サーバ3は、優先権を変更したことを示す情報を、各端末6-3、6-4に送信するようにしてもよい。なお、上述した例では、双腕ともにアーム211の操作権を救命救急士121から補助の救命救急士123に変更する例を説明したが、これに限らない。例えば救命救急士121が両方のアーム211を操作している際に、補助の救命救急士123が右腕に相当するアーム211aの操作要求をしてきた場合、サーバ3は、アーム211aの操作を救命救急士121の指示から補助の救命救急士123の指示に切り替える。
これにより、本実施形態によれば、複数の操作者で1つの救命救急ロボットをスムーズに効率よく遠隔操作できるので、救護を効率的に行うことができる。
【0059】
なお、上述した例では遠隔操作者が2人の例を説明したが、遠隔操作者は3人以上であってもよい。また、アーム211の数は3つ以上であってもよい。
【0060】
[端末6の構成例]
次に、端末6の構成例を説明する。
図9は、本実施形態に係る端末の構成例を示す図である。
図9のように、端末6は、例えば、制御部601、記憶部602、操作部603、画像表示部604、収音部605、出力部606、および通信部607を備える。なお、
図9に示した端末6の構成は一例であり、これに限らない。
【0061】
制御部601は、通信部607が受信した情報(病状情報、環境データ等)を画像表示部604に表示させる。制御部601は、通信部607が受信した環境データに音響信号が含まれている場合、音響信号を出力部606に再生させる。制御部601は、収音部605が収音した音声信号を、通信部607を介してサーバ3へ送信する。制御部601は、操作部603が検出した操作結果に基づいて遠隔操作指示を生成し、生成した遠隔操作指示を、通信部607を介してサーバ3へ送信する。なお、送信される音声信号は、遠隔操作指示に紐付いている場合もある。例えば、操作者が、第2スピーカ2074から、患者の周囲にいる人に対して呼びかけ等を行う場合、遠隔操作指示には、第2スピーカ2074から音声信号を出力する指示も含まれている。
【0062】
記憶部602は、制御部601が制御に用いるプログラム、閾値等を記憶する。記憶部602は、制御部601の制御によって環境データ、病状情報を記憶する。
【0063】
操作部603は、操作者の操作結果を検出する。操作部603は、例えば画像表示部604の上に設けられたタッチパネルセンサである。または、操作部603は、キーボード、マウスであってもよい。あるいは、操作部603は、ジョイスティックであってもよい。または、操作部603は、操作者の手の動きを検出する触覚センサを備えるグローブ等であってもよい。
【0064】
画像表示部604は、制御部601が出力する画像を表示する。
【0065】
収音部605は、少なくとも1つのマイクロホンを備え、操作者の音声を収音する。なお、収音部605は、複数のマイクロホンから構成されるマイクロホンアレイであってもよい。
【0066】
出力部606は、例えばスピーカである。出力部606は、制御部601が出力する音響信号を出力する。
【0067】
通信部607は、ネットワークNWを介してサーバ3から情報(病状情報、環境データ等)を受信し、受信した情報を制御部601に出力する。通信部607は、制御部601が出力する操作要求を、ネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。
【0068】
GPS受信装置608は、GPS衛星から受信した情報に基づいて端末6の位置情報を取得する。なお、端末6が例えば携帯電話等の場合、端末6は、基地局情報に基づいて位置情報を取得するようにしてもよい。
【0069】
[指向性のある報知部を用いた報知例]
次に、指向性のある報知部207を用いた報知例を説明する。
図10は、本実施形態に係る指向性のある報知部を用いた報知例を示す図である。
図10の例では、例えば通報者Hu1が患者の処理を行っている。処理を行っている場所が、人が多い例えばショッピングセンターなどの場合、患者と処置を行っている人以外にも、周囲に人が多く存在する場合があり得る。このような場合、周囲にいる人たちの中には、パニックになったりする人が発生する場合もあり得る。
【0070】
このため、本実施形態では、遠隔操作者は、端末6を操作して、注意等を伝えたい人たちHugに報知部(例えば第2スピーカ2074)を向けて、端末6に収音させた音声信号を、注意等を伝えたい人たちHugに報知させる。なお、救命救急ロボット2またはサーバ3は、注意等を伝えたい人たちHug方向を、救命救急ロボット2の収音部215が収音した音響信号に対して周知の音源方法推定処理等によって推定してもよい。なお、救命救急ロボット2またはサーバ3は、撮影装置209が撮影した画像に対して周知の画像処理を行った結果も用いて、注意等を伝えたい人たちHug方向を推定するようにしてもよい。
【0071】
[取得される情報の処理例]
次に、救命救急ロボット2によって取得される情報の処理例を説明する。
救命救急ロボット2によって取得されたバイタルチェック等医療情報を、サーバ3が各端末6に例えばリアルタイムで送信する。このバイタルチェック等医療情報は、各端末6等に保存可能であってもよい。
【0072】
図11は、本実施形態に係る取得される画像例と保存される画像例を示す図である。
撮影装置209によって撮影された画像(環境データ)を、サーバ3が各端末6に送信される。この画像情報は、各端末6等に保存可能であってもよいが、保存時にプライバシー保護のために取得した画像g101にモザイクを掛けたり(画像g102)、画像をぼかしたりする。サーバ3は、このようなプライバシー保護のための処理指示を画像(環境データ)に付与し、処理指示を付与した画像(環境データ)を各端末6に送信する。なお、保存時に行われる処理は、モザイク処理やぼかし処理に限らず、他の画像処理であってもよい。
【0073】
[撮影装置の操作例]
次に、撮影装置の操作例を説明する。
図12は、本実施形態に係る2つの撮影装置の操作例を示す図である。
図12の例では、救命救急士121が、端末6-3を操作することで第1撮影装置2091を操作し、補助の医師101が、端末6-4を操作することで第2撮影装置2092を操作している。なお、撮影装置209に対する操作指示には、撮影の画角、撮影の中心位置等が含まれる。
【0074】
図13は、本実施形態に係る2つの撮影装置が撮影した画像例を示す図である。救命救急士121は、端末6-4を操作して、処置や病状情報の取得または指示のために必要な画像g121を、例えば第1撮影装置2091によって撮影させる。
医師101は、画像g121より別の角度や別の画角で、患者の状態や患部の画像を確認したい場合がある。このような場合、医師101は、端末6-1を操作して、必要な画像g122を、例えば第2撮影装置2092によって撮影させる。
【0075】
[搬送方法の決定と搬送先病院の決定方法]
次に、患者の搬送方法の決定と搬送先病院の決定方法について説明する。
図14は、本実施形態に係る患者の搬送方法の決定手順と搬送先病院の決定手順のフローチャートである。
【0076】
(ステップS101)サーバ3は、ネットワークNWを介して救命救急ロボット2から病状情報と環境データを取得する。続けて、サーバ3は、取得した病状情報と環境データを、ネットワークNWを介して各端末6に送信する。
【0077】
(ステップS102)例えば、救命救急士121が、端末6-4が受信した病状情報と環境データに基づいて、端末6-4を操作することで救命救急ロボット2を遠隔操作して処置等の指示、または処理を行わせる。サーバ3は、端末6-4から受信した遠隔操作指示に基づいて、救命救急ロボット2を制御して患者に対する処置等や処置の指示を行わせる。
【0078】
(ステップS103)例えば、救命救急士121は、取得した病状情報と環境データに基づいて患者に対する処置が終了したか否かを判断する。なお、例えばサーバ3が、病状情報と環境データに基づいて患者に対する処置が終了したか否かの判断を行うようにしてもよい。救命救急士121は、端末6-4を操作して患者に対する処置が終了したか否かの判断結果を入力する、端末6-4は、判断結果を、ネットワーク3を介してサーバ3へ送信する。サーバ3は、端末6-4から受信した判別結果に基づいて、患者に対する処置が終了したか否かを判別する。サーバ3は、患者に対する処置が終了したと判別した場合(ステップS103;YES)、ステップS104の処理に進める。サーバ3は、患者に対する処置が終了していないと判別した場合(ステップS103;NO)、ステップS105の処理に進める。
【0079】
(ステップS104)サーバ3は、処置が終了したことを示す情報を、ネットワークNWを介して各端末6に送信する。コーディネーター131は、端末6-5が取得した病状情報、環境データ、および処置が終了したことを示す情報に基づいて、救急車での搬送が不用であると判断する。なお、他の搬送手段で患者を搬送すると判断は、コーディネーター131または補助の救命救急士123等が行ってもよい。コーディネーター131は、端末6-5を操作して救急車での搬送が不用であると判断した判断結果を入力する。端末6-5は、判断結果を、ネットワークNWを介してサーバ3に送信する。コーディネーター131は、他の搬送手段(例えばタクシー)を手配する。なお、救急車の出動中止の通知や他の搬送手段の手配は、コーディネーター131が行ってもよく、これらの情報を受信したサーバ3が行ってもよい。なお、コーディネーター131は、他の搬送手段で患者を病院へ搬送すると判断した場合、病状情報と環境データに基づいて、病院(例えば、かかりつけの病院)を決定するようにしてもよい。端末6-5は、コーディネーター131が操作した結果に基づいて、決定した病院に病状情報や個人情報を送信するようにしてもよい。なお、サーバ3は、この情報を受信し、決定した病院に病状情報や個人情報を送信するようにしてもよい。
【0080】
(ステップS105)サーバ3は、例えば遠隔操作により処理が開始されてから所定時間が経過したか否かを判別する。なお、所定時間は、救命救急通報をしてから救急車が到着すると予想される時間以内の時間である。サーバ3は、所定時間が経過したと判別した場合(ステップS105;YES)、ステップS106の処理に進める。サーバ3は、所定時間が経過していない判別した場合(ステップS105;NO)、ステップS101の処理に戻す。
【0081】
(ステップS106)サーバ3は、所定時間経過後も処置が終了していないため、患者を病院へ搬送した方が良いと判断する。続けて、サーバ3は、患者を病院へ搬送した方が良いと判断した結果、搬送先の選択を要請する指示を、ネットワークNWを介してコーディネーター131が使用する端末6-5へ送信する。なお、サーバ3は、搬送先の選択を要請する指示に患者の個人情報(病歴等)を付加して送信する。コーディネーター131は、端末6-5が受信した情報(病状情報、環境データ、搬送先の選択を要請する指示)に基づいて、搬送先病院の候補の情報を、端末6-5を操作して入力する。端末6-5は、搬送先病院の候補の情報を、ネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。サーバ3は、端末6-5が送信した搬送先病院の候補の情報を、ネットワークNWを介して取得する。
【0082】
(ステップS107)サーバ3は、例えば救急隊111が端末6-2を操作した結果に基づいて救急車が到着したか否かを判別する。サーバ3は、救急車が到着したと判別した場合(ステップS107;YES)、患者の搬送方法の決定手順と搬送先病院の決定処理を終了する。サーバ3は、救急車が到着していないと判別した場合(ステップS107;NO)、ステップS101の処理に戻す。
【0083】
[救命救急システム1の処理例]
次に、本実施形態の救命救急システム1の処理例を、
図3、
図5、
図6、
図15を参照して説明する。
図15は、本実施形態に係る救命救急システムの処理例を示す図である。なお、
図15において、「救命救急ロボット」を「ロボット」とも記載している。なお、
図15に示す例は、救命救急ロボット2は、患者等の人に触れず、例えばポインタ2113の光等によって周りの人に指示する例である。
【0084】
(ステップS11)通報者が患者を発見した場合、通報者は、携帯電話5-2を使って救命救急を要請(救命救急通報)するために電話をする。なお、この救命救急通報は、例えば、救命救急ロボット2、サーバ3、救急隊111の端末6-2、救命救急士121の端末6-3、補助の救命救急士の端末6-4、コーディネーター131の端末6-5に送信される。なお、救命救急通報には、少なくとも現場の住所等の位置情報が含まれている。なお、救命救急通報には、患者の様態や、環境の状態や、患者の人数等の情報が含まれていてもよい。なお、環境の状態とは、例えば、現場の交通事情や、現場がショッピングセンターである等の情報や、現場の温度や湿度等の情報である。なお、現場の住所等の位置情報を、例えばサーバ3が、通報者の携帯電話5-2の位置情報に基づいて取得するようにしてもよい。
【0085】
(ステップS12)救急車(不図示)は、救命救急通報に応じて現場への急行を開始する。処理後、救命救急システム1は、ステップS13aまたはステップS13bのうちの少なくとも1つの処理を行う。
【0086】
(ステップS13a)サーバ3は、救命救急通報に応じて、救命救急通報に含まれる位置情報に基づいて、その位置の最も近くに設置されている救命救急ロボット2を起動する。または、サーバ3は、救命救急通報に応じて、救命救急通報に含まれる位置情報に基づいて、その位置の最も近くに設置されている救命救急ロボット2に位置情報を、携帯電話5-2に送信する。また、サーバ3は、救命救急の要請があったこと、使用される救命救急ロボット2の識別情報等を各端末6へ送信する。
【0087】
(ステップS13b)救命救急通報に含まれる位置情報に基づいて、その位置の最も近くに設置されている救命救急ロボット2が起動する。または、通報者は、携帯電話5-2に送信された救命救急ロボット2の位置情報に基づいて、救命救急ロボット2が設置されている場所まで移動して救命救急ロボット2を起動する。なお、救命救急通報に応じて、救命救急士121が、救命救急ロボット2を起動するようにしてもよい。また、サーバ3は、救命救急の要請があったこと、使用される救命救急ロボット2の識別情報等を各端末6へ送信する。
【0088】
(ステップS14)救命救急ロボット2は、救命救急通報に含まれる位置情報に基づいて、通報された位置へ移動する。または、通報者は、救命救急ロボット2を患者のいる位置まで移動させる。なお、救命救急通報に応じて、救命救急士121が遠隔操作して救命救急ロボット2を通報された位置へ移動するようにしてもよい。
【0089】
(ステップS15)救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、例えば第1表示装置2071に表示させたり、第1スピーカ2073から報知させたり、ポインタ2113を用いて、通報者または現場にいる人たちに指示を出す。救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、例えば第1表示装置2071に表示させたり、第1スピーカ2073から報知させたり、ポインタ2113を用いて、通報者または現場にいる人たちに救命救急道具の使用方法を説明して、患者のバイタルチェック等医療情報を取得させる。救命救急ロボット2は、取得したバイタルチェック等医療情報を、ネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。また、救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、例えば第1表示装置2071に表示させたり、第1スピーカ2073から報知させたり、ポインタ2113を用いて、通報者または現場にいる人たちに患者の処置を行わせる。また、救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、周辺状況の情報である環境データ(画像データ、音響信号)を取得させる。救命救急ロボット2は、取得した環境データを、ネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。なお、遠隔操作者が端末によって操作指示を行い、この操作指示を取得したサーバ3が、救命救急ロボット2の報知部207、ハンド2112、およびポインタを制御して指示や報知を行わせる。また、サーバ3(病状データ制御部301、ロボットデータ制御部302、環境データ制御部303)が、取得した遠隔指示に基づいて、救命救急ロボット2のアーム211の動作制御、報知駆動部208の駆動制御、および撮影装置駆動部210の駆動制御を行う。
【0090】
(ステップS16)通報者(または患者の周囲にいる人)は、救命救急ロボット2の指示に応じて、救命救急道具の取り出し、処理や救命救急道具を使用してバイタルチェック等医療情報の取得等を行う。
【0091】
(ステップS17)救急車に乗車している救急隊111の端末6-2には、救命救急ロボット2が患者の元に到着後、救命救急ロボット2からのバイタルチェック等医療情報が、ネットワークNW、サーバ3を介して送信される。なお、救命救急ロボット2からのバイタルチェック等医療情報は、救命救急ロボット2を遠隔操作する救命救急士121の端末6-3にも送信される。
【0092】
(ステップS18)コーディネーター131の端末6-5には、救命救急ロボット2からのバイタルチェック等医療情報がサーバ3から送信される。また、コーディネーター131の端末6-5には、サーバ3から患者の個人情報(病歴、かかりつけの病院等)が送信される。コーディネーター131は、端末6-5が取得したバイタルチェック等医療情報と個人情報に基づいて、搬送先病院の候補を挙げる。なお、搬送先病院の調整と決定は、コーディネーター131が行ってもよく、サーバ3が行ってもよい。
【0093】
(ステップS19)搬送先病院が決定した後、病院100の端末6-1には、救命救急ロボット2からのバイタルチェック等医療情報がサーバ3から送信される。続けて、サーバ3は、救命救急ロボット2の撮影装置209が遠隔操作によって使用されていない場合の使用権を、端末6-1の操作者(例えば医師101)に与える。これにより、医師101は、救命救急士121の遠隔操作とは別に、例えば第2撮影装置2092を操作して患者の状態等を確認することができる。
【0094】
(ステップS20)サーバ3の搬送手段判定部307は、取得されたバイタルチェック等医療情報、撮影装置209によって撮影された画像に基づいて処置が終了したか否かを判定する。なお、処置が終了したか否かを判定の判定は、救命救急士121が行ってもよい。処置が終了したと判定した場合、例えばサーバ3の搬送手段判定部307は、出動停止要求を、ネットワークNWを介して救急隊111の端末6-2へ送信し、かつ他の搬送手段(例えばタクシー)を手配する。処置が終了していない判定した場合、例えばサーバ3のロボットデータ制御部302は、遠隔操作に応じて救急車が到着するまで引き続き処置等を行わせるように報知と指示を行わせるように制御しつつ、端末6にバイタルチェック等医療情報と環境データの送信を継続する。
【0095】
(ステップS21)救急車内の端末6-1は、出動停止要求を受信する。救急隊111は、受信した結果に基づいて出動を中止する。
【0096】
(ステップS22)救急車に乗車している救急隊111が、患者のいる現場に到着する。
【0097】
(ステップS23)通報者等は、患者を救急隊に引き渡す。なお、患者の引き渡し後、救命救急ロボット2は、例えば通報者が配置されてあった場所等に戻してもよく、遠隔操作によって配置されてあった場所等に自走で戻るようにしてもよく、回収車が後ほど回収するようにしてもよい。
【0098】
なお、救命救急ロボット2またはサーバ3は、救急隊への出動可否の連絡以外に、交通コントロール情報(信号、周囲の自動車への指示(自動運転は特に有効))を、例えば交通コントロールセンタや救命救急センタへ送信するようにしてもよい。
【0099】
なお、上述した例では、通報者が救命救急ロボット2を取りに行く例を説明したが、これに限らない、例えば、サーバ3が救命救急通報に基づいて、選択された救命救急ロボット2の周辺にいる人に患者のいる位置までの救命救急ロボット2の移動の応援を報知して、救命救急ロボット2の周辺にいる人に移動してもらうようにしてもよい。
【0100】
この場合、ステップS14の処理を以下のように行うようにしてもよい。サーバ3は、救命救急通報に応じて、選択された救命救急ロボット2から通報者(が使用する携帯電話5-2)までの移動経路の経路情報を生成するようにしてもよい。続けて、サーバ3は、生成した経路情報に基づいて、救命救急ロボット2から通報者までの画像と音声信号によるナビゲーション情報を生成するようにしてもよい。続けて、サーバ3は、生成した経路情報、ナビゲーション情報を、ネットワークNWを介して救命救急ロボット2へ送信するようにしてもよい。続けて、救命救急ロボット2は、受信した経路情報、ナビゲーション情報を周囲にいる人に報知し、通報者までの移動の応援を促すようにしてもよい。そして、救命救急ロボット2は、経路情報、ナビゲーション情報に基づいて、救命救急ロボット2から通報者までをナビゲートするようにしてもよい。
【0101】
なお、
図14に示した処理手順は一例であり、これに限らない。いくつかの処理は同時に行われてもよく、手順が入れ替わっていてもよい。
【0102】
また、上述した例において、救命救急ロボット2が遠隔操作によってアーム211によって指示等を行う際、サーバ3の制御指令情報に応じて、救命救急ロボット2は、アーム211をアーム収納部214から取り出した後に作業を行い、作業終了後にアーム211をアーム収納部214に収納する。
【0103】
なお、救命救急ロボット2が、遠隔操作に応じて患者の処置やバイタルチェック等医療情報の取得または援助を行う場合は、ステップS15、S16の処理を以下のように行うようにしても良い。
(ステップS15)救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、患者に対して処置を行わせたり、救命救急用の道具を使用させてバイタルチェック等医療情報を取得させる。サーバ3のロボットデータ制御部302は、遠隔指示に応じて、患者に対して処置を行わせたり、救命救急用の道具を使用させてバイタルチェック等医療情報を取得させるアーム211の制御指令情報を生成する。ロボットデータ制御部302は、生成した制御指令情報を救命救急ロボット2へ送信する。また、ロボットデータ制御部302は、患者に対して処置を行わせたり、救命救急用の道具を使用させてバイタルチェック等医療情報を取得させる際の補助等の協力指示を、アーム211やポインタ2113等を制御して行うようにしてもよい。
【0104】
(ステップS16)通報者(または患者の周囲にいる人)は、救命救急ロボット2から協力要請の指示があった場合、救命救急ロボット2の指示に応じて、救命救急道具の取り出しまたは取り出しの補助、処理や救命救急道具を使用してバイタルチェック等医療情報の取得の際の補助等を行うようにしてもよい。
【0105】
なお、救命救急ロボット2の遠隔操作を行う場合、遠隔操作する救命救急士121が使用する端末6-1の操作部603は、操作者の手に装着される触覚データグローブであってもよい。触覚データグローブは、触覚データグローブが備えるセンサによって方位や各指の動きや手の動きや腕の動きを検出し、検出した操作者センサ値をサーバ3へ送信する。センサは、例えば、加速度センサ、ジャイロスコープセンサ、磁力センサ等である。なお、触覚データグローブは、フィードバック手段を備えていてもよい。フィードバック手段は、制御部601の制御に応じて、操作者に救命救急ロボット2のエンドエフェクタからのフィードバック情報(圧力、温度等)をフィードバックする。また、端末6-1の画像表示部604は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)であってもよい。HMDには、救命救急ロボット2が撮影した画像が表示される。また、HMDは、操作者の視線情報を検出する針検出器を備えていてもよい。この場合、検出した視線情報をサーバ3へ送信する。
【0106】
さらに、救命救急ロボット2の制御部201は、上記の操作者センサ値と視線情報を学習済みのモデルに入力することで、操作者が行おうとしている動作の意図を推定するようにしてもよい。これにより、制御部201は、操作者が正確な位置合わせしなくても作業を実現することができるので、高い精度で救命救急ロボット2に作業を行わせることができる。なお、学習済みのモデルは、例えば、予め操作者センサ値と視線情報を入力し、操作者が行おうとしている作業を教師データとして学習する。
【0107】
以上のように、本実施形態の救命救急システム1は、少なくとも1つ以上の位置や方向を遠隔操作可能な撮影装置209と、救命救急用の道具を収納した救命器具収納部213と、遠隔操作可能な少なくとも1つのエンドエフェクタを備える救命救急ロボット2と、少なくとも一人の操作者が前記救命救急ロボットを遠隔操作する端末6と、前記救命救急ロボットが取得した病状情報と環境情報を取得可能であり、前記端末に取得した前記病状情報と前記環境情報を送信し、前記端末から前記救命救急ロボットに対する操作情報を受信し、受信した前記操作情報に基づいて前記救命救急ロボットを制御するサーバ3と、を備える。
【0108】
これにより、本実施形態によれば、医療行為が可能な人が現場にいなくても遠隔操作で救命救急ロボットを操作して病状情報を取得できるので救護にあたることができる。また、本実施形態によれば、複数の操作者で1つの救命救急ロボットをスムーズに効率よく遠隔操作できるので、救護を効率的に行うことができる。また、本実施形態によれば、医師が救命救急ロボットの操縦者と別視点から患者を観察することが可能である。また、本実施形態によれば、緊急事態の時に選択肢の中から搬送手段を選ぶことができる。また、本実施形態によれば、搬送方法を救急車以外のものにも広げるため、救急車が本当に必要な人に行き届かせることができる。また、本実施形態によれば、救急車の出動回数を削減することができる。また、本実施形態によれば、環境データに保存時にプライバシー保護の処理(例えばぼかし処理やモザイク処理)を行う指示を付加したので、患者、患者の処理等を行ってくれた人、患者の周囲の人のプライバシーを保護できる。
【0109】
なお、本発明における救命救急ロボット2、サーバ3、端末6の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより救命救急ロボット2、サーバ3、端末6が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ローカルネットワーク上で構築されたシステムやクラウド上で構築されたシステム等も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0110】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0111】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0112】
1…救命救急システム、2…救命救急ロボット、200…筐体、201…制御部、202…記憶部、203…駆動部、204…電源、205…通信部、206…照明装置、207…報知部、208…報知駆動部、209…撮影装置、210…撮影装置駆動部、211,211a,211b…アーム、212,212a,212b…移動手段、
2071…第1表示装置、2072…第2表示装置、2073…第1スピーカ、2074…第2スピーカ、2091…第1撮影装置、2092…第2撮影装置、2111…腕部、2112…ハンド、2113…ポインタ、2114…センサ、215…収音部、216…経路生成部、
301…病状データ制御部、302…ロボットデータ制御部、303…環境データ制御部、304…記憶部、305…通信部、306…経路生成部、307…搬送手段判定部、308…指向性判定部、
601…制御部、602…記憶部、603…操作部、604…画像表示部、605…収音部、606…出力部、607…通信部、608…GPS受信装置