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特開2022-163895救命救急システム、救命救急方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163895
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】救命救急システム、救命救急方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20221020BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20221020BHJP
   H04M 3/14 20060101ALI20221020BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B25J5/00 A
G08B25/04 K
H04M3/14
A61B5/00 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069012
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 洋一
(72)【発明者】
【氏名】室町 維昭
(72)【発明者】
【氏名】吉池 孝英
(72)【発明者】
【氏名】杉山 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕太
(72)【発明者】
【氏名】川上 智弘
【テーマコード(参考)】
3C707
4C117
5C087
【Fターム(参考)】
3C707AS34
3C707AS35
3C707BS27
3C707CS08
3C707CU05
3C707HS09
3C707HS27
3C707JS07
3C707JT04
3C707KS31
3C707KS39
3C707KT02
3C707KV01
3C707KV18
3C707LS15
3C707LW11
3C707WA16
4C117XA01
4C117XE64
4C117XE76
4C117XH07
4C117XJ42
4C117XJ45
4C117XR02
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA19
5C087AA37
5C087BB11
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD12
5C087DD20
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG17
5C087GG60
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】通報者が救命救急装置を取りに行かなくても救命救急装置の近くにいる人に患者のいる位置まで運ぶことを可能とする救命救急システム、救命救急方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】救命救急システムは、救命救急装置と救命救急通報を発する救命救急通報機と、を備え、救命救急装置は、救命救急通報の発せられた位置情報と救命救急装置の自己位置との差分から、自己位置から救命救急通報の発せられた位置までの経路情報を生成する経路生成部と、経路生成部が生成した経路情報に基づいて、自己位置から救命救急通報の発せられた位置までのナビゲーションを音声および画像のうちの少なくとも1つで、救命救急装置の周囲の人に報知する出力部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
救命救急装置と
救命救急通報を発する救命救急通報機と、を備え、
前記救命救急装置は、
前記救命救急通報の発せられた位置情報と前記救命救急装置の自己位置との差分から、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの経路情報を生成する経路生成部と、
前記経路生成部が生成した前記経路情報に基づいて、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までのナビゲーションを音声および画像のうちの少なくとも1つで、前記救命救急装置の周囲の人に報知する出力部と、を備える救命救急システム。
【請求項2】
前記出力部は、指向性のある表示装置およびスピーカのうちの少なくとも1つである、
請求項1に記載の救命救急システム。
【請求項3】
前記救命救急装置は、
移動手段を備え、
自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの移動のアシストを行う、
請求項1または請求項2に記載の救命救急システム。
【請求項4】
前記経路生成部は、前記救命救急通報の発せられた位置から自己位置までの経路生成を、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの経路とは異なる優先順位を用いて経路生成する、
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の救命救急システム。
【請求項5】
経路生成部が、救命救急通報の発せられた位置情報と救命救急装置の自己位置との差分から、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの経路情報の生成を行い、
出力部が、前記経路生成部によって生成された前記経路情報に基づいて、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までのナビゲーションを音声および画像のうちの少なくとも1つで、前記救命救急装置の周囲の人に報知する、
救命救急方法。
【請求項6】
コンピュータに、
救命救急通報の発せられた位置情報と救命救急装置の自己位置との差分から、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの経路情報の生成を行わせ、
生成された前記経路情報に基づいて、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までのナビゲーションを音声および画像のうちの少なくとも1つで、前記救命救急装置の周囲の人に報知させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救命救急システム、救命救急方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各所へのAED(自動体外式除細動器)の設置が進められている。AEDは、救命救急士等の専門家でなくとも一般の市民も扱える。このため、一般市民がAEDを使用して患者を救護した例が増えている。AEDが設置されている場所は限られているため、いざとなるとAEDの所在地が分からず、AEDを探すのに時間がかかり、救命を逸することもありえる。
【0003】
このため、急病人に遭遇して「119」ダイヤル通報した通報者に急病人の状況を聞き、AEDが必要な場合にAED所在情報を通報者へ送信するシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-224967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、通報者がAEDを取りに行く必要があり、急病人の位置からAEDの位置への移動、AEDの位置から急病人の位置への移動による往復の時間がかかる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、通報者が救命救急装置を取りに行かなくても救命救急装置の近くにいる人に患者のいる位置まで運ぶことを可能とする救命救急システム、救命救急方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る救命救急システムは、救命救急装置と救命救急通報を発する救命救急通報機と、を備え、前記救命救急装置は、前記救命救急通報の発せられた位置情報と前記救命救急装置の自己位置との差分から、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの経路情報を生成する経路生成部と、前記経路生成部が生成した前記経路情報に基づいて、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までのナビゲーションを音声および画像のうちの少なくとも1つで、前記救命救急装置の周囲の人に報知する出力部と、を備える。
【0008】
(2)また、本発明の一態様に係る救命救急システムにおいて、前記出力部は、指向性のある表示装置およびスピーカのうちの少なくとも1つであるようにしてもよい。
【0009】
(3)また、本発明の一態様に係る救命救急システムにおいて、前記救命救急装置は、移動手段を備え、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの移動のアシストを行うようにしてもよい。
【0010】
(4)また、本発明の一態様に係る救命救急システムにおいて、前記経路生成部は、前記救命救急通報の発せられた位置から自己位置までの経路生成を、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの経路とは異なる優先順位を用いて経路生成するようにしてもよい。
【0011】
(5)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る救命救急方法は、経路生成部が、救命救急通報の発せられた位置情報と救命救急装置の自己位置との差分から、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの経路情報の生成を行い、出力部が、前記経路生成部によって生成された前記経路情報に基づいて、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までのナビゲーションを音声および画像のうちの少なくとも1つで、前記救命救急装置の周囲の人に報知する。
【0012】
(6)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る救命救急プログラムは、コンピュータに、救命救急通報の発せられた位置情報と救命救急装置の自己位置との差分から、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までの経路情報の生成を行わせ、生成された前記経路情報に基づいて、自己位置から前記救命救急通報の発せられた位置までのナビゲーションを音声および画像のうちの少なくとも1つで、前記救命救急装置の周囲の人に報知させる。
【発明の効果】
【0013】
(1)~(6)によれば、通報者が救命救急装置を取りに行かなくても救命救急装置の近くにいる人に患者のいる位置まで運ぶことを可能となる。
(2)によれば、救命救急装置を移動させてくれる人にナビゲーションしやすくなる。
(3)によれば、通報者が救命救急装置を設置位置から移動させやすくなる。また、(3)によれば、到着時間も短くなることから助かる命が多くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る救命救急ロボットの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る救命救急ロボットの外形例を示す図である。
図3】実施形態に係る救命救急システムの構成例を示す図である。
図4】実施形態に係るデータベースが格納しているデータ例を示す図である。
図5】実施形態に係る救命救急ロボットの構成例を示す図である。
図6】実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
図7】実施形態に係る端末の構成例を示す図である。
図8】実施形態に係る救命救急通報機の構成例を示す図である。
図9】実施形態に係る救命救急ロボットによるナビゲーション例を示す図である。
図10】実施形態に係る救命救急ロボットの経路情報の生成手順のフローチャートである。
図11】実施形態に係る救命救急システムの処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
[救命救急ロボットの構成例]
救命救急ロボットの例を、図1図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る救命救急ロボットの構成例を示す図である。図1のように救命救急ロボット2(救命救急装置)は、例えば、筐体200、アーム211a(腕、エンドエフェクタ)、アーム211b(腕、エンドエフェクタ)、第1表示装置2071、第2表示装置2072、第1スピーカ2073、第2スピーカ2074、第1撮影装置2091、第2撮影装置2092、移動手段212a、移動手段212b、および救命器具収納部213、アーム収納部214a、アーム収納部214b等を備える。アーム211aは、ハンド2112aを備える。アーム211bは、ハンド2112bを備える。また、救命救急ロボット2は、例えばハンド2112(2112a、2112b)(エンドエフェクタ)にポインタ2113が取り付けられている。なお、救命救急ロボット2は、ポインタ2113をハンド2112で把持するようにしてもよい。なお、実施形態では、救命救急装置の一例として救命救急ロボット2を説明するが、これに限らない。救命救急装置は、通信機能、報知機能(表示装置、スピーカ)、および救命器具収納部を備えていれば、アーム等を備えていなくてもよい。
【0017】
図2は、実施形態に係る救命救急ロボットの外形例を示す図である。第1の外形g11は、アーム211(211a、211b)がアーム収納部214(214a、214b)から取り出された状態であり、第1表示装置2071が情報を提示可能な状態であり、救命器具収納部213が開いて(または開けて)救命救急道具(不図示)が取り出し可能な状態である。なお、救命救急道具とは、例えば、血圧計、脈拍測定器、体温測定器、呼吸測定器、AED、マスク、三角巾、聴診器、気道確保資器材等である。
【0018】
第2の外形g12は、所定の位置や場所に配置されているときの状態であり、アーム211がアーム収納部214に収納された状態であり、第1表示装置2071が閉じられた状態であり、救命器具収納部213が閉じていて救命救急道具(不図示)が取り出せない状態である。
【0019】
第3の外形g13は、救命救急ロボット2が移動している状態、または救命救急ロボット2を移動させている状態である。なお、救命救急ロボット2は、自走式で移動可能であってもよく、人によって移動可能であってもよい。
なお、図1、2に示した救命救急ロボット2の外形は一例であり、これに限らない。
【0020】
[救命救急システムの構成例]
次に、救命救急システムの構成例を説明する。図3は、実施形態に係る救命救急システムの構成例を示す図である。図2のように、救命救急システム1は、例えば、救命救急ロボット2(救命救急装置)、サーバ3(救命救急装置)、データベース4、救命救急通報機7、通報者の携帯電話5-2、病院100内の医師101等が使用する端末6-1、現場に駆けつける救急隊111が使用する端末6-2、遠隔操作する救命救急士121が使用する端末6-3、補助の救命救急士123が使用する端末6-4、およびコーディネーター131が使用する端末6-5等を備える。なお、端末6(6-1、6-2、6-3、6-4、6-5)は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、通信機能付きのノートパソコン、および専用機器のうちの少なくとも1つである。
【0021】
なお、以下の説明では、「通報者の携帯電話5-2」を「携帯電話5-2」、「病院100内の医師101等が使用する端末6-1」を「端末6-1」、「現場に駆けつける救急隊111が使用する端末6-2」を「端末6-2」、「遠隔操作する救命救急士121が使用する端末6-3」を「端末6-3」、「補助の救命救急士123が使用する端末6-4」を「端末6-4」、「コーディネーター131が使用する端末6-5」を「端末6-5」ともいう。
また、以下の説明では、「現場に駆けつける救急隊111」を「救急隊111」、「遠隔操作する救命救急士121」を「救命救急士121」ともいう。
【0022】
各携帯電話、各端末、救命救急ロボット2、サーバ3、データベース4、救命救急通報機7は、例えば、通信回線またはインターネット回線等によってネットワークNWに接続されている。
【0023】
救命救急ロボット2は、例えば、ショッピングセンター、駅、公会堂、美術館等、人が集まる場所に設置されている。
救命救急通報機7は、例えば、ショッピングセンター、駅、公会堂、美術館等、人が集まる場所に設置されている。救命救急通報機7は、通報者が使用する携帯電話等であってもよい。
なお、救命救急ロボット2、サーバ3の構成や機能、救命救急ロボット2が取得送信するデータ、救命救急の補助する人等については、各実施形態で説明する。
【0024】
図4は、実施形態に係るデータベースが格納しているデータ例を示す図である。
図4のようにデータベース4は、例えば、携帯電話番号に、氏名、病歴、緊急連絡先、かかりつけの病院等の情報を関連付けて格納する。なお、データベース4は、少なくとも携帯電話番号に病歴と連絡先を関連付けて格納する。なお、図4のデータベース4に格納するデータは一例であり、これに限らない。データベース4は、他の情報を関連付けて格納するようにしてもよい。
【0025】
[救命救急ロボットの構成例]
まず、救命救急ロボット2の構成例を説明する。
図5は、実施形態に係る救命救急ロボットの構成例を示す図である。図5のように、救命救急ロボット2は、例えば、筐体200、制御部201、記憶部202、駆動部203、電源204、通信部205(位置情報取得部)、照明装置206、報知部207、報知駆動部208、撮影装置209、撮影装置駆動部210、アーム211、移動手段212、救命器具収納部213、アーム収納部214、収音部215、および経路生成部216を備える。なお、図5に示した構成は一例であり、これに限らない。救命救急ロボット2は、例えば他の機能部を備えていてもよい。なお、救命救急ロボット2は、ポインタ2113等で指示可能な1つ以上のアーム211を備えていればよい。また、経路生成部216は、救命救急ロボット2が備えていてもよく、またはサーバ3が備えていてもよい。
【0026】
制御部201は、経路生成部216が生成した経路情報、ナビゲーション情報に基づいて、救命救急ロボット2から通報者の位置までの経路を報知部207に報知させる。または、制御部201は、サーバ3から受信した救命救急ロボット2から通報者の位置までの経路情報とナビゲーション情報に基づいて、報知部207に報知させる。制御部201は、経路情報に含まれる画像情報を、第1表示装置2071または第2表示装置2072に表示させる。なお、画像情報は、静止画、動画のいずれであってもよい。制御部201は、経路情報に含まれる音声情報を、第1スピーカ2073または第2スピーカ2074に出力させる。制御部201は、収音された音響信号に対して周知の手法で音源定位処理等を行うことで周囲にいる人を認識し、認識した方向に報知部207の向きを制御するようにしてもよい。なお、制御部201は、撮影装置209によって撮影された画像に周知の手法で画像処理を行った結果も用いて周囲にいる人を認識するようにしてもよく、画像認識した結果だけで周囲にいる人を認識するようにしてもよい。制御部201は、通信部205が受信した遠隔操作指示に応じて救命救急ロボット2の動作を制御する。または、制御部201は、記憶部202が記憶するプログラムに基づいて救命救急ロボット2の動作を制御する。制御部201は、撮影装置209が撮影した画像(例えば周囲情報D2)を、通信部205を介してサーバ3、医師101、救急隊111、コーディネーター131に送信する。また、制御部201は、通報者または現場にいる人たちが救命救急道具を操作して取得されたバイタルチェック等の医療情報を、通信部205を介してサーバ3、医師101、救急隊111、コーディネーター131に送信する。制御部201は、例えば遠隔操作情報に基づいて、アーム211をアーム収納部214から取り出して制御する。制御部201は、例えば遠隔操作情報に基づいて、アーム211をアーム収納部214に収納する。制御部201は、救命器具収納部213の開閉を、例えば遠隔操作情報に基づいて制御する。制御部201は、例えば遠隔操作情報に基づいて、移動手段212を制御する。制御部201は、遠隔操作情報や撮影装置209が撮影した画像に基づいて、照明装置206の照明のオン状態とオフ状態を切り替える。制御部201は、例えば遠隔操作情報に基づいて、駆動部203を駆動することでアーム211の動作を制御する。制御部201は、遠隔操作情報に含まれる情報を報知部207に出力する。なお、遠隔操作情報には、テキスト情報、画像情報、音声情報等が含まれていてもよい。制御部201は、通信部205がサーバ3から受信した遠隔操作指示に応じて救命救急ロボット2のアーム211の動作を制御する。複数のアーム211は、それぞれ別のオペレータ(例えば、救命救急士、補助の救命救急士)によって遠隔操作されるようにしてもよい。
【0027】
記憶部202は、制御部201の制御に用いられるプログラムや所定の値等を記憶する。記憶部202は、取得された情報を一時的に記憶する。記憶部202は、救命救急ロボット2が設置されている位置情報(緯度経度、商業施設名等)と救命救急ロボット2の周囲の地図情報を記憶する。記憶部202は、経路検索に用いられるアルゴリズムを記憶する。記憶部202は、救命救急通報機7の設置位置が固定されている場合、救命救急通報機7の機器別情報に、設置されている位置情報を関連付けて記憶する。
【0028】
駆動部203は、例えばアクチュエータ、ギヤ等を含む。駆動部203は、制御部201の制御によってアーム211の動作を制御する。
【0029】
電源204は、救命救急ロボット2の各部に電力を供給する。なお、電源204は、充電可能な二次電池、交換可能なバッテリ、太陽電池等を備えていてもよい。
【0030】
通信部205は、ネットワークNWを介して情報の送受信を行う。通信部205は、ネットワークNWを介してサーバ3から経路情報を受信する。なお、通信部205は、例えば、通信回線に接続可能な通信回路、インターネットに接続可能な通信回路を備えている。通信部205は、GPS(Global Positioning System)受信機を備えていてもよい。
【0031】
照明装置206は、制御部21の制御に応じて、照明のオン状態とオフ状態を切り替える。なお、照明装置206は、複数であってもよい。
【0032】
報知部207は、例えば、第1表示装置2071、第2表示装置2072、第1スピーカ2073、および第2スピーカ2074を備える。なお、報知部207が備える表示装置やスピーカの数は2つに限らない。なお、第1表示装置2071または第2表示装置2072は、画面上にタッチパネルセンサを備えていてもよい。
【0033】
第1表示装置2071は、遠隔操作情報に含まれる情報を、現場にいる通報者または周囲にいる人たちに報知する。
第2表示装置2072は、例えばバイスタンダーを落ち着かせたり、バイスタンダーに指示を出したりする操作者122が例えば入力した情報を提示する。操作者122は、タッチパネル(不図示)を操作して、またはキーボード(不図示)を操作して、バイスタンダーへの提示情報を入力する。
【0034】
第1スピーカ2073は、遠隔操作情報に含まれる情報を、現場にいる通報者または周囲にいる人たちに報知する。なお、報知部207は、遠隔操作情報に含まれるテキスト情報を周知の手法で音声信号に変換して、第1スピーカ2073から出力するようにしてもよい。
第2スピーカ2074は、例えばバイスタンダーを落ち着かせたり、バイスタンダーに指示を出したりする操作者122が例えば入力した情報を出力する。操作者122は、マイクロフォン(不図示)を使って、またはキーボード(不図示)を操作して、バイスタンダーへの提示情報を入力する。
【0035】
報知駆動部208は、第1表示装置2071の開閉、第2表示装置2072の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度、第1スピーカ2073の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度、および第2スピーカ2074の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度を、制御部201の制御に応じて制御する。実施形態の報知部207は、高さ、上下方向の向きや角度、左右方向の向きや角度が制御可能であり、すなわち指向性を制御可能である。実施形態では、救命救急士121、操作者122および補助の救命救急士123のうちの少なくとも1人の遠隔操作指示に応じて、報知駆動部208が報知部207の指向性を制御することで、提供した人や伝えたい人に向けて情報を提供することができる。
【0036】
撮影装置209は、第1撮影装置2091、および第2撮影装置2092を備える。なお撮影装置の数は2つに限らない。
第1撮影装置2091は、例えば救命救急士121の遠隔操作による撮影指示に基づいて撮影する。撮影される画像は、例えば、患者の画像、患者のいる周囲画像等である。
第2撮影装置2092は、例えば医師101の遠隔操作による撮影指示に基づいて撮影する。撮影される画像は、例えば、患者の画像、患者の患部の画像等である。
【0037】
撮影装置駆動部210は、第1撮影装置2091の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度、および第2撮影装置2092の筐体200からの取り出しと収納と方向や角度を、制御部201の制御に応じて制御する。
【0038】
アーム211は、例えば、腕部2111、ハンド2112(エンドエフェクタ)、ポインタ2113、およびセンサ2114を備える。なお、図1のように、救命救急ロボット2は、例えば2つのアーム211(211a、211b)を備える。また、アーム211は、アーム収納部214に収納可能である。アーム211は、遠隔操作によって制御される。アーム211は、救命器具収納部213に収納されている救命救急道具を扱うことが可能である。なお、アーム211は、駆動部203によって駆動されるアクチュエータ(モータ、人工筋肉等)(不図示)を備えている。
【0039】
腕部2111は、人の腕に相当し、関節にセンサ2114が取り付けられている。
ハンド2112(把持部)は、人の手に相当し、例えば2つ以上の指を備え、指の関節等にセンサ2114が取り付けられている。
ポインタ2113は、例えばレーザポインタである。ポインタ2113は、例えばハンド2112に取り付けられていてもよく、ハンド2112が把持可能であってもよい。ポインタ2113は、制御部201の制御によってオン状態とオフ状態とが切り替えられる。
センサ2114は、関節の動きを検出するエンコーダ、指やハンド2112に取り付けられている触覚センサ等である。センサ2114は、検出した検出値を制御部201に出力する。
【0040】
移動手段212は、例えば複数の車輪である。移動手段212は、駆動部203によって駆動されてもよい。なお、救命救急ロボット2は、人がハンドキャリーで移動させてもよく、この際、移動のアシストを移動手段212が駆動部203の駆動によって行うようにしてもよい。
【0041】
救命器具収納部213には、例えば箱やバッグに救命救急道具が収納される。なお、救命器具収納部213は1つに限らず、例えば前後等、2つ以上に設けられていてもよい。なお、救命救急道具それぞれは、有線または無線での通信機能を備え、取得したデータを救命救急ロボット2へ送信する。
【0042】
アーム収納部214には、アーム211が収納される。アーム収納部214は、図1のようにアーム211毎に設けられている。
【0043】
収音部215は、マイクロホン、または複数のマイクロホンを備えるマイクロホンアレイである。収音部215は、救命救急士121等の遠隔操作に基づいて音響信号を収音し、収音した音響信号を環境データとしてサーバ3へ送信するようにしてもよい。
【0044】
経路生成部216は、救命救急通報機7の位置情報を取得し、取得した救命救急通報機7の位置情報に基づいて救命救急ロボット2を選択する。経路生成部216は、選択した救命救急ロボット2から救命救急通報機7までの移動経路の経路情報を、救命救急通報の発せられた位置情報と救命救急ロボット2の自己位置との差分から、自己位置から救命救急通報の発せられた位置までの経路を生成する。続けて、経路生成部216は、生成した経路情報に基づいて、救命救急ロボット2から救命救急通報機7までの画像と音声信号によるナビゲーション情報を生成する。なお、経路は、最短距離に限らず、周囲の道路状況や人の多さ、道幅等を考慮して生成するようにしてもよい。
【0045】
[サーバの構成例]
次に、サーバ3の構成例を説明する。
図6は、実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。図6のように、サーバ3は、例えば、病状データ制御部301、ロボットデータ制御部302、環境データ制御部303、記憶部304、通信部305(位置情報取得部)、経路生成部306、搬送手段判定部307、および指向性判定部308を備える。なお、図6に示した構成は一例であり、これに限らない。例えば、救命救急ロボット2が経路生成部216を備える場合、サーバ3は経路生成部306を備えていなくてもよい。
【0046】
病状データ制御部301は、救命救急ロボット2から通信部305を介して現在の生体情報であるバイタルチェック等の医療情報を取得する。なお、以下の説明では、「バイタルチェック等の医療情報」を「病状情報」ともいう。病状情報は、例えば、呼吸状態、脈拍数、血圧値、体温、意識レベル等のバイタルサイン、出血の度合い等を含んでいてもよい。
病状データ制御部301は、取得したバイタルチェック等医療情報を、ネットワークNWを介して端末6(6-1、6-2、6-3、6-4、6-5)へ送信する。
【0047】
ロボットデータ制御部302は、遠隔操作する救命救急士121または医師101の遠隔操作指示を、通信部305を介して取得する。ロボットデータ制御部302は、取得した遠隔操作指示に基づいて、救命救急ロボット2の動作等を制御する制御指令情報を生成し、生成した制御指令情報を、通信部305を介して救命救急ロボット2へ送信する。ロボットデータ制御部302は、経路情報を、通信部305とネットワークNWを介して救命救急ロボット2へ送信する。ロボットデータ制御部302は、指向性情報に基づいて、救命救急ロボット2の報知部207を向ける方向を制御する指向性制御情報を生成し、生成した指向性制御情報を、通信部305を介して救命救急ロボット2へ送信する。なお、遠隔操作指示には、例えば第2スピーカ2074から音声信号を出力する指示も含まれている場合がある。
【0048】
環境データ制御部303は、救命救急ロボット2から通信部305を介して、撮影装置209によって撮影された環境データを取得する。なお、環境データは、例えば、周りの人数、地盤や地形に関する情報、交通量も含む。環境データ制御部303は、取得した環境データを、ネットワークNWを介して端末6(6-1、6-2、6-3、6-4、6-5)へ送信する。
【0049】
記憶部304は、サーバ3の各部が用いるプログラム、閾値、ネットワーク情報等を記憶する。記憶部304は、救命救急ロボット2が設置されている位置情報(緯度経度、商業施設名等)と救命救急ロボット2の周囲の地図情報を記憶する。記憶部304は、経路検索に用いられるアルゴリズムを記憶する。記憶部304は、救命救急通報機7の設置位置が固定されている場合、救命救急通報機7の機器別情報に、設置されている位置情報を関連付けて記憶する。
【0050】
通信部305は、ネットワークNWを介して救命救急ロボット2とデータの送受信を行う。通信部305は、ネットワークNWを介してデータベース4を参照する。通信部305は、ネットワークNWを介して端末6(6-1、6-2、6-3、6-4、6-5)と情報の送受信を行う。
【0051】
経路生成部306は、救命救急通報機7の位置情報を取得する。経路生成部306は、救命救急通報機7の設置位置が固定されている場合、救命救急通報に含まれる識別情報を、記憶部304が記憶する情報を参照して救命救急通報機7の位置情報を取得する。経路生成部306は、救命救急通報機7の最も近くに設置されている救命救急ロボット2を選択する。経路生成部306は、選択した救命救急ロボット2の位置情報と、救命救急通報機7の位置情報と環境データを用いて、救命救急ロボット2から救命救急通報機7までの経路情報を生成する。なお、経路は、最短距離に限らず、周囲の道路状況や人の多さ、道幅等を考慮して生成するようにしてもよい。経路生成部306は、生成した経路情報を、ネットワークNWを介して救命救急ロボット2へ送信する。なお、経路情報は、画像情報および音声信号のうちの少なくとも1つを含む。なお、経路生成部306は、救命救急ロボット2が備えていてもよい。
【0052】
搬送手段判定部307は、取得されたバイタルチェック等医療情報と、救命救急士からの指示等に基づいて、治療や処置が完了したか否かを判定する。搬送手段判定部307は、治療や処置が完了し、例えばタクシーでの搬送が可能になった場合、救急車の出動を注視することを示す出動停止要求を、救急隊111の端末6-2へ送信する。搬送手段判定部307は、治療や処置が完了していないと判定した場合、引き続き遠隔操作が必要であることを示し情報を救命救急士121の端末6-3等へ送信する。
【0053】
指向性判定部308は、救命救急ロボット2を通報者の元へ運んでもらう際、救命救急ロボット2が認識した結果に基づいて、経路情報を報知させるために報知部207を向ける方向(指向性)を判定する。なお、指向性判定部308は、救命救急ロボット2を通報者の元へ運んでもらう際、救命救急ロボット2が送信する音響信号に対して音声認識処理を行い、画像に対して画像処理結果行って運んでもらう人を認識するようにしてもよい。指向性判定部308は、救命救急士121、バイスタンダーを落ち着かせる操作者122、補助の救命救急士123、コーディネーター131等の遠隔操作や指示に応じて、救命救急ロボット2の報知部207を向ける方向(指向性)を判定する。指向性判定部308は、判定した指向性情報を、ロボットデータ制御部302に出力する。
【0054】
なお、救命救急ロボット2またはサーバ3は、救急隊111への出動可否の連絡以外に、搬送ルートの交通コントロール情報(信号、周囲の自動車への指示(自動運転は特に有効))を生成するようにしてもよい。救命救急ロボット2またはサーバ3は、生成した交通コントロール情報を、例えば交通コントロールセンタや救命救急センタへ送信するようにしてもよい。これにより、本実施形態によれば、反応手段に応じて、搬送ルートの交通コントロールを行うことができる。
【0055】
[端末6の構成例]
次に、端末6の構成例を説明する。
図7は、本実施形態に係る端末の構成例を示す図である。図9のように、端末6は、例えば、制御部601、記憶部602、操作部603、画像表示部604、収音部605、出力部606、および通信部607を備える。なお、図9に示した端末6の構成は一例であり、これに限らない。
【0056】
制御部601は、通信部607が受信した情報(病状情報、環境データ等)を画像表示部604に表示させる。制御部601は、通信部607が受信した環境データに音響信号が含まれている場合、音響信号を出力部606に再生させる。制御部601は、収音部605が収音した音声信号を、通信部607を介してサーバ3へ送信する。制御部601は、操作部603が検出した操作結果に基づいて遠隔操作指示を生成し、生成した遠隔操作指示を、通信部607を介してサーバ3へ送信する。なお、送信される音声信号は、遠隔操作指示に紐付いている場合もある。例えば、操作者が、第2スピーカ2074から、患者の周囲にいる人に対して呼びかけ等を行う場合、遠隔操作指示には、第2スピーカ2074から音声信号を出力する指示も含まれている。
【0057】
記憶部602は、制御部601が制御に用いるプログラム、閾値等を記憶する。記憶部602は、制御部601の制御によって環境データ、病状情報を記憶する。
【0058】
操作部603は、操作者の操作結果を検出する。操作部603は、例えば画像表示部604の上に設けられたタッチパネルセンサである。または、操作部603は、キーボード、マウスであってもよい。あるいは、操作部603は、ジョイスティックであってもよい。または、操作部603は、操作者の手の動きを検出する触覚センサを備えるグローブ等であってもよい。
【0059】
画像表示部604は、制御部601が出力する画像を表示する。
【0060】
収音部605は、少なくとも1つのマイクロホンを備え、操作者の音声を収音する。なお、収音部605は、複数のマイクロホンから構成されるマイクロホンアレイであってもよい。
【0061】
出力部606は、例えばスピーカである。出力部606は、制御部601が出力する音響信号を出力する。
【0062】
通信部607は、ネットワークNWを介してサーバ3から情報(病状情報、環境データ等)を受信し、受信した情報を制御部601に出力する。通信部607は、制御部601が出力する操作要求を、ネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。
【0063】
[救命救急通報機7の構成例]
次に、救命救急通報機7の構成例を説明する。
図8は、本実施形態に係る救命救急通報機の構成例を示す図である。図8のように、救命救急通報機7は、例えば、制御部701、記憶部702、操作部703、GPS受信装置704、および通信部705を備える。救命救急通報機7は、表示部706を備えていてもよい。なお、図8に示した救命救急通報機7の構成は一例であり、これに限らない。
【0064】
制御部701は、操作部703が操作されたとき、表示部706を例えば点灯または点灯している色等を変更するように制御する。制御部701は、操作部703が操作されたときと救命救急通報を、通信部705とネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。なお、救命救急通報には、救命救急通報機7の位置情報が含まれている。なお、救命救急通報機7の設置位置が固定されている場合、制御部701は、位置情報の代わりに救命救急通報機7の識別情報を送信するようにしてもよい。
【0065】
記憶部702は、制御部701が用いるプログラム、閾値等を記憶する。記憶部702は、救命救急通報機7の識別情報を記憶する。
【0066】
操作部703は、利用者(通報者)の操作を検出する。操作部703は、例えば、機械式スイッチ、タッチパネルセンサ等である。
【0067】
GPS受信装置704は、GPS衛星から受信した情報を用いて、救命救急通報機7の位置情報を取得する。なお、救命救急通報機7の設置位置が固定されている場合、救命救急通報機7は、GPS受信装置704を備えていなくてもよい。
【0068】
通信部705は、操作部703が操作させた際、救命救急通報を、ネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。
【0069】
表示部706は、例えばランプ、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)等のうちの少なくとも1つである。表示部706は、例えば操作部703が操作されたとき、制御部701の制御によってランプを点灯またはランプの色が変更される。
【0070】
[救命救急ロボット2によるナビゲーション例]
次に、救命救急ロボット2によるナビゲーション例を説明する。
図9は、本実施形態に係る救命救急ロボットによるナビゲーション例を示す図である。図9の例では、患者の発見者Hu1が、救命救急通報機7を操作して救命救急通報を行った後の状態である。救命救急ロボット2は、救命救急通報に応じてサーバ3から受信した経路情報を、例えば第1表示装置2071に画像を表示して第2スピーカ2074から音声信号を出力して、周囲にいる人Hu2に向けて報知する。なお、救命救急ロボット2は、移動時、移動手段212を駆動して移動をアシストするようにしてもよい。
【0071】
図9のように、第1表示装置2071には、救命救急ロボット2が設置されている現在地g101から、救命救急通報機7の位置g102(すなわち患者のいる位置)までの経路g103が表示される。このような画像情報は、経路情報に基づいて救命救急ロボット2が生成してもよく、サーバ3が生成してもよい。音声信号は、例えば、「次の角を左に曲がってください」等である。なお、経路g103は、救命救急ロボット2を人が移動可能な道幅があるルートが選択される。
【0072】
図10は、本実施形態に係る救命救急ロボットの経路情報の生成手順のフローチャートである。
【0073】
(ステップS101)制御部201は、救命救急通報機7が送信した救命救急通報を、ネットワークNWを介して取得する。
【0074】
(ステップS102)制御部201は、救命救急通報機7の位置情報を取得する。
【0075】
(ステップS103)経路生成部216は、救命救急通報機7の位置情報、記憶部304が記憶する情報を用いて救命救急ロボット2を選択し、選択した救命救急ロボット2の位置情報を取得する。
【0076】
(ステップS104)経路生成部216は、記憶部202が記憶する情報を用いて、救命救急ロボット2から救命救急通報機7の経路情報を生成する。
【0077】
(ステップS105)経路生成部216は、生成した経路情報に基づいて、救命救急ロボット2から救命救急通報機7までの画像と音声信号によるナビゲーション情報を生成する。
【0078】
(ステップS106)制御部201は、例えば、移動中の救命救急ロボット2の位置情報を例えば1秒毎に取得し、救命救急ロボット2が救命救急通報機7の位置に到着したか否かを判別する。制御部201は、救命救急ロボット2が到着したと判別した場合(ステップS106;YES)、処理を終了する。制御部201は、救命救急ロボット2が到着していないと判別した場合(ステップS106;NO)、ステップS105の処理に戻す。
【0079】
なお、図10に示した経路情報の生成、およびナビゲーション情報の生成のうち少なくとも1つの処理を、サーバ3が行うようにしてもよい。
【0080】
また、上述した例では、救命救急ロボット2が、救命救急ロボット2の設置位置から救命救急通報機7の設置位置までの経路情報性の生成とナビゲーションを行う例を説明したが、これに限らない。
救命救急ロボット2が再利用可能な場合、救命救急ロボット2は、周囲にいる人に救命救急ロボット2が設置されていた場所に戻してもらうことが好ましい。この場合、救命救急ロボット2は、すでに現在位置も救命救急ロボット2が設置されていた場所も取得済みである、このため、救命救急ロボット2は、復路では、ステップS104において、現在位置から救命救急ロボット2が設置されていた位置との差分から、現在位置から救命救急ロボット2が設置されていた位置の経路情報を生成する。救命救急ロボット2は、復路の経路情報とナビゲーション情報を、往路と同様に報知部207から報知することでナビゲーションを行うようにしてもよい。なお、救命救急ロボット2は、復路の経路情報とナビゲーション情報を往路において、経路情報やナビゲーション情報を生成するようにしてもよい。なお、復路においても、救命救急ロボット2は、人よる移動のアシストを移動手段212を駆動することで行ってもよい。また、往路と復路の経路情報やナビゲーション情報は、環境データ等に応じて同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、往路では処置をいち早く行うために時間が優先され、復路では時間が掛かってもよく移動のしやすさを優先するようにしてもよい。
これにより、本実施形態によれば、処置後に救命救急ロボット2を元の位置の戻す作業の手間を削減することができる。
【0081】
[救命救急システム1の処理例]
次に、本実施形態の救命救急システム1の処理例を、図3図5図8図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係る救命救急システムの処理例を示す図である。なお、図11において、「救命救急ロボット」を「ロボット」とも記載している。なお、図11に示す例は、救命救急ロボット2は、患者等の人に触れず、例えばポインタ2113の光等によって周りの人に指示する例である。
【0082】
(ステップS11)通報者が患者を発見した場合、通報者は、救命救急通報機7を操作して使って救命救急を要請(救命救急通報)する。なお、この救命救急通報は、例えば、救命救急ロボット2、サーバ3、救急隊111の端末6-2、救命救急士121の端末6-3、補助の救命救急士の端末6-4、コーディネーター131の端末6-5に送信される。なお、救命救急通報には、少なくとも現場の緯度経度または住所等の位置情報が含まれている。なお、救命救急通報には、患者の様態や、環境の状態や、患者の人数、商業施設名等の情報が含まれていてもよい。なお、環境の状態とは、例えば、現場の交通事情や、現場がショッピングセンターである等の情報や、現場の温度や湿度等の情報である。
【0083】
(ステップS12)救急車(不図示)は、救命救急通報に応じて現場への急行を開始する。処理後、救命救急システム1は、ステップS13aまたはステップS13bのうちの少なくとも1つの処理を行う。
【0084】
(ステップS13a)サーバ3は、救命救急通報に応じて、救命救急通報に含まれる位置情報に基づいて、その位置の最も近くに設置されている救命救急ロボット2を起動する。また、サーバ3は、救命救急の要請があったこと、使用される救命救急ロボット2の識別情報等を各端末6へ送信する。
【0085】
(ステップS13b)救命救急通報に含まれる位置情報に基づいて、その位置の最も近くに設置されている救命救急ロボット2が起動する。なお、救命救急通報に応じて、救命救急士121が、救命救急ロボット2を起動するようにしてもよい。また、サーバ3は、救命救急の要請があったこと、使用される救命救急ロボット2の識別情報等を各端末6へ送信する。
【0086】
(ステップS14)救命救急ロボット2は、救命救急通報に応じて、選択された救命救急ロボット2から救命救急通報機7までの移動経路の経路情報を生成する。続けて、救命救急ロボット2は、生成した経路情報に基づいて、救命救急ロボット2から救命救急通報機7までの画像と音声信号によるナビゲーション情報を生成する。続けて、救命救急ロボット2は、受信した経路情報、ナビゲーション情報を周囲にいる人に報知し、救命救急通報機7までの移動の応援を促す。続けて、救命救急ロボット2は、経路情報、ナビゲーション情報に基づいて、救命救急ロボット2から救命救急通報機7に到着するまでナビゲートする。
【0087】
(ステップS15)救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、例えば第1表示装置2071に表示させたり、第1スピーカ2073から報知させたり、ポインタ2113を用いて、通報者または現場にいる人たちに指示を出す。救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、例えば第1表示装置2071に表示させたり、第1スピーカ2073から報知させたり、ポインタ2113を用いて、通報者または現場にいる人たちに救命救急道具の使用方法を説明して、患者のバイタルチェック等医療情報を取得させる。救命救急ロボット2は、取得したバイタルチェック等医療情報を、ネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。また、救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、例えば第1表示装置2071に表示させたり、第1スピーカ2073から報知させたり、ポインタ2113を用いて、通報者または現場にいる人たちに患者の処置を行わせる。また、救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、周辺状況の情報である環境データ(画像データ、音響信号)を取得させる。救命救急ロボット2は、取得した環境データを、ネットワークNWを介してサーバ3へ送信する。なお、遠隔操作者が端末によって操作指示を行い、この操作指示を取得したサーバ3が、救命救急ロボット2の報知部207、ハンド2112、およびポインタを制御して指示や報知を行わせる。また、サーバ3(病状データ制御部301、ロボットデータ制御部302、環境データ制御部303)が、取得した遠隔指示に基づいて、救命救急ロボット2のアーム211の動作制御、報知駆動部208の駆動制御、および撮影装置駆動部210の駆動制御を行う。
【0088】
(ステップS16)通報者(または患者の周囲にいる人)は、救命救急ロボット2の指示に応じて、救命救急道具の取り出し、処理や救命救急道具を使用してバイタルチェック等医療情報の取得等を行う。
【0089】
(ステップS17)救急車に乗車している救急隊111の端末6-2には、救命救急ロボット2が患者の元に到着後、救命救急ロボット2からのバイタルチェック等医療情報が、ネットワークNW、サーバ3を介して送信される。なお、救命救急ロボット2からのバイタルチェック等医療情報は、救命救急ロボット2を遠隔操作する救命救急士121の端末6-3にも送信される。
【0090】
(ステップS18)コーディネーター131の端末6-5には、救命救急ロボット2からのバイタルチェック等医療情報がサーバ3から送信される。また、コーディネーター131の端末6-5には、サーバ3から患者の個人情報(病歴、かかりつけの病院等)が送信される。コーディネーター131は、端末6-5が取得したバイタルチェック等医療情報と個人情報に基づいて、搬送先病院の候補を挙げる。なお、搬送先病院の調整と決定は、コーディネーター131が行ってもよく、サーバ3が行ってもよい。
【0091】
(ステップS19)搬送先病院が決定した後、病院100の端末6-1には、救命救急ロボット2からのバイタルチェック等医療情報がサーバ3から送信される。続けて、サーバ3は、救命救急ロボット2の撮影装置209が遠隔操作によって使用されていない場合の使用権を、端末6-1の操作者(例えば医師101)に与える。これにより、医師101は、救命救急士121の遠隔操作とは別に、例えば第2撮影装置2092を操作して患者の状態等を確認することができる。
【0092】
(ステップS20)サーバ3の搬送手段判定部307は、取得されたバイタルチェック等医療情報、撮影装置209によって撮影された画像に基づいて処置が終了したか否かを判定する。なお、処置が終了したか否かを判定の判定は、救命救急士121が行ってもよい。処置が終了したと判定した場合、例えばサーバ3の搬送手段判定部307は、出動停止要求を、ネットワークNWを介して救急隊111の端末6-2へ送信し、かつ他の搬送手段(例えばタクシー)を手配する。処置が終了していない判定した場合、例えばサーバ3のロボットデータ制御部302は、遠隔操作に応じて救急車が到着するまで引き続き処置等を行わせるように報知と指示を行わせるように制御しつつ、端末6にバイタルチェック等医療情報と環境データの送信を継続する。
【0093】
(ステップS21)救急車内の端末6-1は、出動停止要求を受信する。救急隊111は、受信した結果に基づいて出動を中止する。
【0094】
(ステップS22)救急車に乗車している救急隊111が、患者のいる現場に到着する。
【0095】
(ステップS23)通報者等は、患者を救急隊に引き渡す。なお、患者の引き渡し後、救命救急ロボット2は、例えば通報者が配置されてあった場所等に戻してもよく、遠隔操作によって配置されてあった場所等に自走で戻るようにしてもよく、回収車が後ほど回収するようにしてもよい。
【0096】
なお、図14に示した処理手順は一例であり、これに限らない。いくつかの処理は同時に行われてもよく、手順が入れ替わっていてもよい。
【0097】
また、上述した例において、救命救急ロボット2が遠隔操作によってアーム211によって指示等を行う際、サーバ3の制御指令情報に応じて、救命救急ロボット2は、アーム211をアーム収納部214から取り出した後に作業を行い、作業終了後にアーム211をアーム収納部214に収納する。
【0098】
なお、救命救急ロボット2が、遠隔操作に応じて患者の処置やバイタルチェック等医療情報の取得または援助を行う場合は、ステップS15、S16の処理を以下のように行うようにしても良い。
(ステップS15)救命救急士121は、救命救急ロボット2を遠隔操作して、患者に対して処置を行わせたり、救命救急用の道具を使用させてバイタルチェック等医療情報を取得させる。サーバ3のロボットデータ制御部302は、遠隔指示に応じて、患者に対して処置を行わせたり、救命救急用の道具を使用させてバイタルチェック等医療情報を取得させるアーム211の制御指令情報を生成する。ロボットデータ制御部302は、生成した制御指令情報を救命救急ロボット2へ送信する。また、ロボットデータ制御部302は、患者に対して処置を行わせたり、救命救急用の道具を使用させてバイタルチェック等医療情報を取得させる際の補助等の協力指示を、アーム211やポインタ2113等を制御して行うようにしてもよい。
【0099】
(ステップS16)通報者(または患者の周囲にいる人)は、救命救急ロボット2から協力要請の指示があった場合、救命救急ロボット2の指示に応じて、救命救急道具の取り出しまたは取り出しの補助、処理や救命救急道具を使用してバイタルチェック等医療情報の取得の際の補助等を行うようにしてもよい。
【0100】
救命救急ロボット2の遠隔操作を行う場合、遠隔操作する救命救急士121が使用する端末6-1の操作部603は、操作者の手に装着される触覚データグローブであってもよい。触覚データグローブは、触覚データグローブが備えるセンサによって方位や各指の動きや手の動きや腕の動きを検出し、検出した操作者センサ値をサーバ3へ送信する。センサは、例えば、加速度センサ、ジャイロスコープセンサ、磁力センサ等である。なお、触覚データグローブは、フィードバック手段を備えていてもよい。フィードバック手段は、制御部601の制御に応じて、操作者に救命救急ロボット2のエンドエフェクタからのフィードバック情報(圧力、温度等)をフィードバックする。また、端末6-1の画像表示部604は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)であってもよい。HMDには、救命救急ロボット2が撮影した画像が表示される。また、HMDは、操作者の視線情報を検出する針検出器を備えていてもよい。この場合、検出した視線情報をサーバ3へ送信する。
【0101】
さらに、救命救急ロボット2の制御部201は、上記の操作者センサ値と視線情報を学習済みのモデルに入力することで、操作者が行おうとしている動作の意図を推定するようにしてもよい。これにより、制御部201は、操作者が正確な位置合わせしなくても作業を実現することができるので、高い精度で救命救急ロボット2に作業を行わせることができる。なお、学習済みのモデルは、例えば、予め操作者センサ値と視線情報を入力し、操作者が行おうとしている作業を教師データとして学習する。
【0102】
以上のように、本実施形態の救命救急ロボット2は、遠隔操作可能であり、救命救急用の道具を収納した救命器具収納部213と、移動手段212を備える。
【0103】
また、本実施形態の救命救急システム1は、救命救急ロボット2と、救命救急信号を発する救命救急通報機7とを備える。
また、本実施形態の救命救急システム1は、救命救急通報の発せられた位置情報を取得する位置情報取得部(通信部205、通信部305)と、救命救急ロボット2の自己位置の差分から自己位置から現場までの経路生成をする経路生成部(216、306)と、経路生成部から得た情報から現場までのナビゲーションを音声または画像で周囲の人間に知らせる出力部(報知部207、通信部305)と、を備える。なお、位置情報取得部と経路生成部は、救命救急ロボット2またはサーバ3が備える。
【0104】
これにより、本実施形態によれば、通報者が救命救急ロボット2を取りに行かなくても救命救急ロボット2の近くにいる人に患者のいる位置まで運んでもらうことにより、救命救急ロボット2到着までの時間短縮することができる。
【0105】
なお、本発明における救命救急ロボット2またはサーバ3の機能の全て又は一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより救命救急ロボット2またはサーバ3が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ローカルネットワーク上で構築されたシステムやクラウド上で構築されたシステム等も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0106】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0107】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0108】
1…救命救急システム、2…救命救急ロボット、200…筐体、201…制御部、202…記憶部、203…駆動部、204…電源、205…通信部、206…照明装置、207…報知部、208…報知駆動部、209…撮影装置、210…撮影装置駆動部、211,211a,211b…アーム、212,212a,212b…移動手段、215…収音部、216…経路生成部、
2071…第1表示装置、2072…第2表示装置、2073…第1スピーカ、2074…第2スピーカ、2091…第1撮影装置、2092…第2撮影装置、2111…腕部、2112…ハンド、2113…ポインタ、2114…センサ、
301…病状データ制御部、302…ロボットデータ制御部、303…環境データ制御部、304…記憶部、305…通信部、306…経路生成部、307…搬送手段判定部、308…指向性判定部、
601…制御部、602…記憶部、603…操作部、604…画像表示部、605…収音部、606…出力部、607…通信部、
701…制御部、702…記憶部、703…操作部、704…GPS受信装置、705…通信部、706…表示部
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