IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

特開2022-163901金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法
<>
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図1
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図2
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図3
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図4
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図5
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図6
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図7
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図8
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図9
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図10
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図11
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図12
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図13
  • 特開-金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163901
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20221020BHJP
   G07D 7/00 20160101ALI20221020BHJP
   G07D 5/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
G07D11/00
G07D7/00 J
G07D5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069021
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新妻 信行
【テーマコード(参考)】
3E002
3E041
3E141
【Fターム(参考)】
3E002CA04
3E041AA03
3E041CB09
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA12
3E141DA06
3E141GA01
(57)【要約】
【課題】収納庫への貨幣収納状態の変化に応じた適正な貨幣識別精度により出金貨幣を判別し、出金貨幣の誤検知を防止することができる金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法を提供すること。
【解決手段】入金された貨幣を鑑別して金種に対応した収納庫に入金貨幣を収納し、出金時に各収納庫からの出金貨幣を払出識別部S2及び識別部S4により識別して払い出す金銭処理機としての自動釣銭機1であって、払出識別部S2及び識別部S4は、第1貨幣識別精度と該第1貨幣識別精度よりも貨幣識別精度が高い第2貨幣識別精度とに切替設定が可能であり、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が確定している場合、払出識別部S2及び識別部S4の貨幣識別精度を第1貨幣識別精度に設定し、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、払出識別部S2及び識別部S4の貨幣識別精度を第2貨幣識別精度に設定する識別精度切替制御部52を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金された貨幣を鑑別して金種に対応した収納庫に入金貨幣を収納し、出金時に各収納庫からの出金貨幣を払出識別部により識別して払い出す金銭処理機であって、
前記払出識別部は、第1貨幣識別精度と該第1貨幣識別精度よりも貨幣識別精度が高い第2貨幣識別精度とに切替設定が可能であり、
入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が確定している場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第1貨幣識別精度に設定し、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第2貨幣識別精度に設定する識別精度切替制御部を備えたことを特徴とする金銭処理機。
【請求項2】
前記識別精度切替制御部は、機器本体の密閉状態の解除発生、前記収納庫から払い出される出金貨幣金額の不整合発生、及び、前記収納庫に対する入金貨幣累計金額の不一致発生のうちのいずれか1つが発生した場合に前記貨幣収納状態が不確定であると判定し、前記貨幣収納状態が不確定でない場合に前記貨幣収納状態が確定であると判定することを特徴とする請求項1に記載の金銭処理機。
【請求項3】
機器本体の密閉状態の解除を監視する密閉状態監視部を備え、
前記収納庫は、機器本体に対して引き出し可能に構成し、かつ、引き出した状態でカバーを開放することによって外部に開放されるものであり、
前記密閉状態監視部は、前記カバーが開放された場合、あるいは、前記収納庫が機器本体に対して予め設定した時間を超えて継続的に引き出された場合に前記機器本体の密閉状態が解除されたものと判定することを特徴とする請求項2に記載の金銭処理機。
【請求項4】
前記識別精度切替制御部は、前記払出識別部による貨幣払出の滞留発生、あるいは、前記払出識別部による貨幣の重送発生を検知した場合、前記収納庫から払い出される出金貨幣金額の不整合発生であると判定することを特徴とする請求項2に記載の金銭処理機。
【請求項5】
前記識別精度切替制御部は、前記収納庫内の収納貨幣の精査処理時においても前記貨幣収納状態の不確定を検知し、各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第2貨幣識別精度に設定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の金銭処理機。
【請求項6】
入金された貨幣を鑑別して金種に対応した収納庫に入金貨幣を収納し、出金時に各収納庫からの出金貨幣を払出識別部により識別して払い出す金銭処理機の出金制御方法であって、
前記払出識別部は、第1貨幣識別精度と該第1貨幣識別精度よりも貨幣識別精度が高い第2貨幣識別精度とに切替設定が可能であり、
入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が確定している場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第1貨幣識別精度に設定し、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第2貨幣識別精度に設定することを特徴とする金銭処理機の出金制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納庫への貨幣収納状態の変化に応じた適正な貨幣識別精度により出金貨幣を判別し、出金貨幣の誤検知を防止することができる金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗には、自動釣銭機として金銭処理機が設置されている。この金銭処理機は、通常、POSレジスタ装置等の上位装置に接続されており、上位装置からの指令に応じて硬貨や紙幣等の金銭の入出金処理を行うものである。
【0003】
具体的には、上位装置から入金許可指令が与えられた後に投入口から金銭が投入されると、金銭処理機では、金銭搬送通路を通じてこれらの金銭が機器本体の内部に取り込まれ、真贋及び金種が鑑別される。正規の貨幣であった場合には、金種毎に収納庫に収納されるとともに、上位装置に対して入金額情報が送信される。
【0004】
一方、上位装置から出金指令が与えられると、収納庫に収納されている金銭から該当する金額の貨幣が金銭搬送通路を通じて搬出され、機器本体の出金口から外部に払い出されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-132727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、金銭処理機は、収納庫から貨幣を出金する場合、払出識別部が、自収納庫に収納すべき自金種の貨幣であるか否かを識別する。ここで、貨幣のばらつきや変形等が発生していると払出識別部の検知レベルが変動し、払出識別部は、自金種であるのに異金種であると誤検知する場合がある。
【0007】
したがって、払出識別部の貨幣識別精度である自金種判定閾値は、過剰に厳しく設定すうと自金種を異金種とする誤検知が発生してしまう。一方、自金種判定閾値を緩く設定すると、異金種を自金種として識別する誤検知が発生してしまう。なお、自金種を異金種とする誤検知が発生した場合、出金貨幣が正しいにもかかわらず、異金種として判定された貨幣とともに全ての出金貨幣を再度、収納庫側に搬送して振り分けし、再度、収納庫からの出金処理を繰り返すことになり、出金処理に時間がかかってしまう。あるいは、異金種の貨幣の排出、例えば、不明庫に搬送する時間がかかってしまう。また、異金種を自金種とする誤検知が発生した場合、異なる釣銭金額が出金されてしまう。
【0008】
通常、払出識別部の自金種判定閾値は、自金種と異金種との検知レベルの平均値や各検知レベルの標準偏差などによって一定値に設定されている。このため、自金種を異金種とする誤検知と異金種を自金種とする誤検知との双方を確実に解消することは難しい。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、収納庫への貨幣収納状態の変化に応じた適正な貨幣識別精度により出金貨幣を判別し、出金貨幣の誤検知を防止することができる金銭処理機及び金銭処理機の出金制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、入金された貨幣を鑑別して金種に対応した収納庫に入金貨幣を収納し、出金時に各収納庫からの出金貨幣を払出識別部により識別して払い出す金銭処理機であって、前記払出識別部は、第1貨幣識別精度と該第1貨幣識別精度よりも貨幣識別精度が高い第2貨幣識別精度とに切替設定が可能であり、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が確定している場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第1貨幣識別精度に設定し、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第2貨幣識別精度に設定する識別精度切替制御部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記識別精度切替制御部は、機器本体の密閉状態の解除発生、前記収納庫から払い出される出金貨幣金額の不整合発生、及び、前記収納庫に対する入金貨幣累計金額の不一致発生のうちのいずれか1つが発生した場合に前記貨幣収納状態が不確定であると判定し、前記貨幣収納状態が不確定でない場合に前記貨幣収納状態が確定であると判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、機器本体の密閉状態の解除を監視する密閉状態監視部を備え、前記収納庫は、機器本体に対して引き出し可能に構成し、かつ、引き出した状態でカバーを開放することによって外部に開放されるものであり、前記密閉状態監視部は、前記カバーが開放された場合、あるいは、前記収納庫が機器本体に対して予め設定した時間を超えて継続的に引き出された場合に前記機器本体の密閉状態が解除されたものと判定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記識別精度切替制御部は、前記払出識別部による貨幣払出の滞留発生、あるいは、前記払出識別部による貨幣の重送発生を検知した場合、前記収納庫から払い出される出金貨幣金額の不整合発生であると判定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記識別精度切替制御部は、前記収納庫内の収納貨幣の精査処理時においても前記貨幣収納状態の不確定を検知し、各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第2貨幣識別精度に設定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、入金された貨幣を鑑別して金種に対応した収納庫に入金貨幣を収納し、出金時に各収納庫からの出金貨幣を払出識別部により識別して払い出す金銭処理機の出金制御方法であって、前記払出識別部は、第1貨幣識別精度と該第1貨幣識別精度よりも貨幣識別精度が高い第2貨幣識別精度とに切替設定が可能であり、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が確定している場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第1貨幣識別精度に設定し、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、前記払出識別部の貨幣識別精度を前記第2貨幣識別精度に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、収納庫への貨幣収納状態の変化に応じた適正な貨幣識別精度により出金貨幣を判別し、出金貨幣の誤検知を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態である金銭処理機としての自動釣銭機の構成を示す斜視図である。
図2図2は、自動釣銭機の硬貨収納ユニットを引き出した状態を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示した状態からさらに硬貨収納庫を開放した状態を示す要部斜視図である。
図4図4は、自動釣銭機の紙幣収納ユニットを引き出した状態を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示した状態からさらに紙幣収納庫を開放した状態を示す要部斜視図である。
図6図6は、自動釣銭機の内部概要構成を概念的に示す平面図である。
図7図7は、自動釣銭機の制御系の構成を示すブロック図である。
図8図8は、硬貨収納ユニットの内部構成を模式的に示す平面図である。
図9図9は、紙幣収納ユニットの内部構成を概念的に示す側面図である。
図10図10は、入出金制御部による入出金処理手順を示すフローチャートである。
図11図11は、識別精度切替制御部による識別精度切替制御処理手順を示すフローチャートである。
図12図12は、硬貨収納ユニットの払出識別部S2近傍の構成の一例を示す平面図である。
図13図13は、図12のA-A線断面図である。
図14図14は、払出識別部による貨幣識別処理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
<金銭処理機の構成>
図1は、本発明の実施の形態である金銭処理機としての自動釣銭機1の構成を示す斜視図である。また、図2は、自動釣銭機1の硬貨収納ユニットを引き出した状態を示す斜視図である。また、図3は、図2に示した状態からさらに硬貨収納庫を開放した状態を示す要部斜視図である。また、図4は、自動釣銭機1の紙幣収納ユニットを引き出した状態を示す斜視図である。また、図5は、図4に示した状態からさらに紙幣収納庫を開放した状態を示す要部斜視図である。さらに、図6は、自動釣銭機1の内部概要構成を概念的に示す平面図である。さらに、図7は、自動釣銭機1の制御系の構成を示すブロック図である。ここで例示する自動釣銭機1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においてPOSレジスタ装置PRに接続される。
【0020】
図1及び図6に示すように、自動釣銭機1の上面は平坦面が形成され、この平坦面には上位装置であるPOSレジスタ装置PRが配置される。自動釣銭機1は、硬貨の入出金を行う硬貨収納ユニット10と紙幣の入出金を行う紙幣収納ユニット20とを有する。硬貨収納ユニット10及び紙幣収納ユニット20は、直方体状を成す機器本体1aに覆われ、それぞれが隣接して配置される。
【0021】
自動釣銭機1は、機器本体1aの左前端の上面右側に硬貨入金口11を備える。また、機器本体1aの左前面左側には、硬貨出金口12が形成され、硬貨出金口12から排出された硬貨は受け皿17で受け止められる。また、機器本体1aの左前面右側には、硬貨返却口39を備える。一方、機器本体1aの左前端の上部には、紙幣入金口21及び紙幣出金口22が設けられる。
【0022】
また、機器本体の左前端の上面には、硬貨収納ユニット10及び紙幣収納ユニット20を含む自動釣銭機1全体に対する操作表示部30が設けられる。操作表示部30は、表示部30a及び操作入力部30bを備える。表示部30aは、操作者に対して各種表示を行うためのもので、例えば液晶表示器によって構成してある。また、操作入力部30bは、操作者が各種指令を入力するためのもので、例えば複数の押ボタンスイッチによって構成される。なお、制御部50及び記憶部60は、自動釣銭機1内に設けられる。
【0023】
図2に示すように、硬貨収納ユニット10は、硬貨搬送機構及び硬貨収納庫のすべてが機器本体1aに対して手前側に引き出し可能に構成してあり、さらに、図3に示すように、引き出した状態から内部のカバー16を開けることによって硬貨搬送機構及び硬貨収納庫を外部から操作することが可能である。同様に、図4に示すように、紙幣収納ユニット20に関しても、紙幣搬送機構及び紙幣収納庫のすべてが機器本体1aに対して手前側に引き出し可能に構成してあり、さらに図4に示すように、引き出した状態からカバー26を開けることによって紙幣搬送機構及び紙幣収納庫を外部から操作することが可能である。
【0024】
なお、図6に示すように、硬貨収納ユニット10及び紙幣収納ユニット20には、カバー16,26の開閉状態を検出するための開閉センサ2a及び機器本体1aに対して硬貨収納ユニット10及び紙幣収納ユニット20が引き出されているか否かを検出するための引出検出センサ2bが設けてある。
【0025】
また、機器本体1aの前方部には、表示部30a及び操作入力部30bが設けてある。表示部30aは、操作者に対して各種表示を行うためのもので、例えば液晶表示器によって構成してある。操作入力部30bは、操作者が各種指令を入力するためのもので、例えば複数の押ボタンスイッチによって構成してある。
【0026】
図7に示すように、自動釣銭機1は、POSレジスタ装置PRに接続され、硬貨収納ユニット10、紙幣収納ユニット20、開閉センサ2a、引出検出センサ2b、操作表示部30、通信処理部40、制御部50及び記憶部60を有する。なお、通信処理部40は、POSレジスタ装置PRとの間の通信制御処理を行う。
【0027】
硬貨収納ユニット10は、硬貨搬送機構13、検銭部14、振分計数部S1及び払出識別部S2を有する。硬貨搬送機構13は、硬貨収納ユニット10内の各収納庫に対する硬貨の入出金に関する搬送を行う機構である。検銭部14は、硬貨鑑別センサとして機能し、入金された硬貨を鑑別する。振分計数部S1は、金種に対応した各収納庫の入口において、検銭部14によって鑑別された硬貨の振分枚数を計数する。払出識別部S2は、各収納庫からの出金時に繰り出される硬貨を識別する。払出識別部S2は、貨幣識別精度が緩やかな第1貨幣識別精度と該第1貨幣識別精度よりも貨幣識別精度が高く厳しい第2貨幣識別精度とに切替設定が可能である。
【0028】
紙幣収納ユニット20は、紙幣搬送機構23、紙幣鑑別センサ24、計数部S3及び識別部S4を有する。紙幣搬送機構23は、紙幣収納ユニット20内の各収納庫に対する紙幣の入出金に関する搬送を行う機構である。紙幣鑑別センサ24は、入金された紙幣を鑑別する。計数部S3は、金種に対応した各収納庫の入口において入出金される硬貨を計数する。識別部S4は、払出識別部S2と同様に各収納庫からの出金時に繰り出された紙幣を識別する払出識別部としての機能を有するとともに、入金された紙幣を識別する機能を有する。識別部S4は、払出識別部S2と同様に、貨幣識別精度が緩やかな第1貨幣識別精度と該第1貨幣識別精度よりも貨幣識別精度が高く厳しい第2貨幣識別精度とに切替設定が可能である。なお、第1貨幣識別精度及び第2識別精度は、各払出識別部S2及び識別部S4毎に個別に設定され、その情報は識別精度切替設定情報62として記憶部60に記憶される。
【0029】
制御部50は、入出金制御部51、識別精度切替制御部52及び密閉状態監視部53を有する。入出金制御部51は、POSレジスタ装置PRから入金許可指令が与えられた後に金銭が投入された場合に、入金許可指令に従って金銭の入金処理を行い、かつ、POSレジスタ装置PRから出金指令が与えられた場合に、出金指令に従って金銭の出金処理を行うものである。また、入出金制御部51は、これらの入金処理及び出金処理を実行している間、実施した入金処理及び出金処理の内容を入出金情報61として逐次、記憶部60に格納する処理も行う。
【0030】
識別精度切替制御部52は、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が確定している場合、払出識別部(払出識別部S2及び識別部S4)の貨幣識別精度を第1貨幣識別精度に設定し、入出金に関する各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、払出識別部の貨幣識別精度を第2貨幣識別精度に設定する。
【0031】
密閉状態監視部53は、機器本体1aの密閉状態の解除を監視する。密閉状態監視部53は、カバー16,26が開放された場合、あるいは、収納庫が機器本体1aに対して予め設定した所定時間を超えて継続的に引き出された場合に機器本体1aの密閉状態が解除されたものと判定する。
【0032】
識別精度切替制御部52は、機器本体1aの密閉状態の解除発生、収納庫から払い出される出金貨幣金額の不整合発生、及び、収納庫に対する入金貨幣累計金額の不一致発生のうちのいずれか1つが発生した場合に貨幣収納状態が不確定であると判定し、貨幣収納状態が不確定でない場合に貨幣収納状態が確定であると判定する。
【0033】
また、識別精度切替制御部52は、払出識別部による貨幣払出の滞留発生、あるいは、払出識別部による貨幣の重送発生を検知した場合、収納庫から払い出される出金貨幣金額の不整合発生であると判定する。
【0034】
さらに、識別精度切替制御部52は、収納庫内の収納貨幣の精査処理時においても貨幣収納状態の不確定を検知し、各収納庫への貨幣収納状態が不確定の場合、払出識別部の貨幣識別精度を第2貨幣識別精度に設定する。
【0035】
<硬貨収納ユニットの内部構成>
図8は、硬貨収納ユニット10の内部構成を模式的に示す平面図である。図8に示すように、硬貨入金口11は、投入された硬貨をユニット本体の内部に受け入れるための開口である。硬貨入金口11に投入された硬貨は、POSレジスタ装置PR側からの入金許可指令を受け、図示せぬ投入検出センサによって検出された後、入金搬送部32によって搬送される。入金搬送部32内に設けられた検銭部14は、硬貨の真贋及び金種を判定するとともに金種毎の枚数を計数する。搬送された硬貨が正貨である場合、一時保留部34に保留される。一方、搬送された硬貨が正貨でない場合、切換ゲートG及び硬貨出金口12を介して受け皿17に返却される。なお、POSレジスタ装置PRあるいは図示しない返却レバーからの返却指示があった場合、一時保留部34に保留された硬貨は、切換ゲートG1を介して硬貨返却口39に返却される。
【0036】
その後、一時保留部34は搬送路として機能し、一時保留部34に保留された硬貨は、切換ゲートG1を介して搬送路である硬貨振分部35に出力されて搬送される。硬貨振分部35によって搬送される硬貨は、金種に応じて硬貨収納庫36に収納されることになる。この際、硬貨振分部35と各硬貨収納庫36との間には振分計数部S1が設けられる。
【0037】
ユニット本体の内部には、硬貨収納庫36として、1円硬貨収納庫36a、50円硬貨収納庫36b、5円硬貨収納庫36c、100円硬貨収納庫36d、10円硬貨収納庫36e、500円硬貨収納庫36fの6つが設けてある。そして、各硬貨収納庫36は、投入された硬貨を金種ごとに個別に収納するようにしている。硬貨振分部35は、金種に応じた硬貨の直径に従って小さい順に各々の硬貨収納庫に収納する。1円硬貨収納庫36a、50円硬貨収納庫36b、5円硬貨収納庫36c、100円硬貨収納庫36d、10円硬貨収納庫36e、500円硬貨収納庫36fの硬貨振分部35との間には振り分けられた硬貨の計数する振分計数部S1a~S1fがそれぞれ設けられる。
【0038】
各硬貨収納庫36に収納された硬貨は、出金搬送部37に繰り出されるが、この際、1円硬貨収納庫36a、50円硬貨収納庫36b、5円硬貨収納庫36c、100円硬貨収納庫36d、10円硬貨収納庫36e、500円硬貨収納庫36fと出金搬送部37との間に設けられた各払出識別部S2a~S2fは、繰り出された硬貨が自金種であるか否かを識別する。繰り出された硬貨は、切換ゲートG2を介して一時保留部34に搬送することができる。一時保留部34は、各硬貨収納庫36に格納された硬貨を一旦空にして各硬貨収納庫36の収納枚数数を再計数する精査処理のための精査庫としても機能する。なお、出金搬送部37の下流であって切換ゲートG2の手前に硬貨の金種を識別する識別センサS13を設けてもよい。精査処理時に識別センサS13が硬貨収納ユニット10内に収納しない異金種を検出した場合、この異金種の硬貨を、切換ゲートG2を介して硬貨出金口38に排出する。釣銭払出時に識別センサS13が異金種を検出した場合、この異金種の硬貨を、切換ゲートG2を介して一時保留部34に保留し、その後、硬貨返却口39、または各硬貨収納庫36、あるいは別途設けた不明庫等に排出する。
【0039】
その後、POSレジスタ装置PR側からの出金指令に応じた金種の硬貨は、各硬貨収納庫36から、払出識別部S2、出金搬送部37及び切換ゲートG2を介して一括して搬出され、硬貨出金口38からユニット本体の外部に払い出される。
【0040】
なお、払出識別部S2は、識別精度切替制御部52によって第1貨幣識別精度又は第2識別精度に切替設定される。また、払出識別部S2によって異金種であると判別された場合、この異金種の貨幣は、他の出金貨幣とともに切換ゲートG2、一時保留部34、切換ゲートG1、硬貨振分部35、振分計数部S1を介して再び各硬貨収納庫36に収納され、再度、出金処理を行う。
【0041】
<紙幣処理装置の内部構成>
図9は、紙幣収納ユニット20の内部構成を概念的に示す側面図である。図9に示すように、紙幣収納ユニット20では、紙幣入金口21から搬送される紙幣は、紙幣鑑別センサ24によって鑑別及び計数された後、金種に応じて紙幣収納庫71内の千円紙幣収納庫73、混合庫74に収納される。千円紙幣収納庫73には使用頻度の高い千円紙幣が収納される。混合庫74には五千円紙幣及び1万円紙幣が混合して収納される。精査庫72は、精査処理時の一時保留部として用いられる。紙幣出金口22は、千円紙幣収納庫73及び混合庫74から搬出された紙幣をユニット本体の外部に払い出すための開口であり、ユニット本体の前面下部に設けてある。なお、回収庫75は、千円紙幣収納庫73または混合庫74の残収納枚数を超過した場合に、超過した紙幣が収納される。
【0042】
ここで、千円紙幣収納庫73と精査庫72との間、及び混合庫74と精査庫72との間は、紙幣搬送機構23が配置される。また、紙幣搬送機構23上で、精査庫72との出入り口に切換ゲートG31、千円紙幣収納庫73との出入り口に切換ゲートG32、混合庫74との出入り口に切換ゲートG33が配置される。また、切換ゲートG31,G32,G33近傍には、紙幣の通過を検出する画像センサである計数部S3(S31,S32,S33)が配置されている。また、精査庫72、千円紙幣収納庫73、混合庫74から紙幣搬送機構23への繰り出しを行うモータM31,M32,M33が設けられている。また、紙幣搬送機構23を搬送駆動するモータM50を有する。さらに、紙幣搬送機構23上に、搬送される紙幣の金種及び通過を検出する画像センサとしての識別部S4が配置されている。
【0043】
識別部S4は、識別精度切替制御部52によって、払出識別部S2と同様に、第1貨幣識別精度又は第2貨幣識別精度に切り替え設定される。例えば、第1貨幣識別精度に設定されると、識別部S4は、紙幣の通過のみを識別する。また、第2貨幣識別精度に設定されると、識別部S4は、紙幣の金種及び通過を識別する。なお、紙幣鑑別センサ24は、識別部S4よりも識別精度は高く設定され、金種の識別に際し、磁気検出センサをも用いている。また、紙幣鑑別センサ24は、出金時に紙幣が通過するが枚数検知のみを行う。
【0044】
なお、識別部S4は、出金時に紙幣が異金種であると判別された場合、この異金種の貨幣は、一端、一時保留庫としての精査庫72に保留し、再度、各紙幣収納庫71に収納され、再度、出金処理を行う。この場合、異金種の紙幣を精査庫72に保留した状態で、再度、紙幣収納庫71から該当する金種の紙幣を出金し、その後、異金種の紙幣を紙幣収納庫71に収納するようにしてもよい。
【0045】
<入出金処理>
図10は、入出金制御部51による入出金処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、入出金制御部51は、通信処理部40を通じてPOSレジスタ装置PRからの入金許可指令を監視する(ステップS101)。POSレジスタ装置PRから入金許可指令が与えられなかった場合(ステップS101:No)、ステップS109に移行する。
【0046】
一方、POSレジスタ装置PRから入金許可指令が与えられた場合(ステップS101:Yes)、入出金制御部51は、自動釣銭機1を入金許可状態に設定し(ステップS102)、その後、図示せぬ投入検出センサを通じて硬貨入金口11及び紙幣入金口21に対する入金を監視する(ステップS103)。
【0047】
硬貨入金口11もしくは紙幣入金口21からの入金を確認した場合(ステップS103:Yes)、入出金制御部51は、検銭部14もしくは紙幣鑑別センサ24を介して投入された貨幣の鑑別を行い、該鑑別結果に従って、対応する硬貨収納庫36,紙幣収納庫71に貨幣を搬送する処理を行う(ステップS104)。なお、入金を検出しなかった場合(ステップS103:No)、入出金制御部51は、ステップS104の処理を経ることなく手順を進める。
【0048】
次いで、入出金制御部51は、通信処理部40を通じてPOSレジスタ装置PRからの入金額要求があるか否かを監視し(ステップS105)、入金額要求があった場合(ステップS105:Yes)、通信処理部40を通じて現在の入金額に関する情報をPOSレジスタ装置PRに送信する処理を行う(ステップS106)。なお、入金額要求がなかった場合(ステップS105:No)、入出金制御部51は、ステップS106を経ることなく手順を進める。
【0049】
その後、入出金制御部51は、POSレジスタ装置PRから入金終了指令があったか否かを判断し(ステップS107)、入金終了指令がなかった場合(ステップS107:No)、手順をステップS103にリターンさせて上述したステップS103~ステップS107の処理を繰り返し実行する。
【0050】
これに対してPOSレジスタ装置PRから入金終了指令があった場合(ステップS107:Yes)、入出金制御部51は、自動釣銭機1を入金禁止状態に設定し(ステップS108)、その後、POSレジスタ装置PRから出金指令があるか否かを監視する(ステップS109)。
【0051】
POSレジスタ装置PRから出金指令が与えられた場合(ステップS109:Yes)、入出金制御部51は、硬貨収納庫36や紙幣収納庫71に収納された貨幣を釣銭として硬貨出金口12もしくは紙幣出金口22から払い出す処理を実施し(ステップS110)、本処理を終了する。なお、POSレジスタ装置PRから出金指令が与えられなかった場合(ステップS109:No)、入出金制御部51は、ステップS110の処理を経ることなく本処理を終了する。
【0052】
<識別精度切替制御処理>
図11は、識別精度切替制御部52による識別精度切替制御処理手順を示すフローチャートである。この識別精度切替制御処理は、硬貨収納ユニット10及び紙幣収納ユニット20のそれぞれに対して個別に行われるため、一例として硬貨収納ユニット10に対する識別精度切替制御処理として説明する。図11に示すように、識別精度切替制御部52は、まず、初期設定として、払出識別部S2の貨幣識別精度を、緩やかな第1貨幣識別精度に設定する(ステップS201)。その後、識別精度切替制御部52は、出金処理時に、貨幣収納状態が不確定か否かを判定する(ステップS202)。貨幣収納状態が不確定である場合(ステップS202:Yes)、識別精度切替制御部52は、払出識別部S2の貨幣識別精度を厳しい第2貨幣識別精度に切り替えて(ステップS203)、本処理を終了する。一方、貨幣収納状態が不確定でない場合(ステップS202:No)、ステップS202の判定処理を繰り返す。
【0053】
<払出識別部の具体的な構成と識別処理>
図12は、硬貨収納ユニット10の払出識別部S2近傍の構成の一例を示す平面図である。また、図13は、図12のA-A線断面図である。図12及び図13に示すように、硬貨収納庫36の一例である500円硬貨収納庫36fに収納された硬貨100は、ベルト状の硬貨供給部81により、ベルト状の硬貨繰出部82に搬送される。硬貨繰出部82に到達した硬貨100は、硬貨繰出部82と払出識別部S2fとの間に挟まれて出金搬送部37側に搬送され、この搬送中に、払出識別部S2fによって硬貨100が、自金種(500円硬貨)であるか否かを1枚ずつ判別する。なお、払出識別部S2fは、自金種であると判定された場合も異金種であると判定された場合も、出金搬送部37に払い出される。
【0054】
図17は、払出識別部S2による貨幣識別処理を説明する説明図である。なお、図17は、払出識別部S2fによる貨幣識別処理を説明する図である。払出識別部S2fは面状のセンサであり、硬貨100の被さり量とその材質の差により検出レベルが変化する。例えば、自金種の500円硬貨が払出識別部S2fを通過すると、図17に示すように、搬送に伴う被さり量の変化によって検出レベルが通過位置の増大に伴って特性曲線LN500のように台形状に変化する。払出識別部S2は、自金種である500円硬貨に近い大きさを有する隣接する10円硬貨を異金種として設定し、10円硬貨が通過する場合、通過位置の増大に伴って検出レベルは特性曲線LN10のように台形状に変化する。特性曲線LN10の検出レベルは、特性曲線LN500の検出レベルよりも大きい。なお、異金種として隣接する10円硬貨収納庫36eに収納される10円硬貨とするのは、振分時に大きさが近いため、誤って10円硬貨が500円硬貨収納庫36fに収納される可能性が高いからである。なお、払出識別部S2は、自金種の検出レベルに最も近い異金種の検出レベルがあればこの異金種の検出レベルを用いてもよい。
【0055】
従来の払出識別部S2は、例えば、自金種(500円硬貨)の検出レベルL500と異金種(10円硬貨)の検出レベルL10の平均値を基準閾値レベルThとして設定されており、検出レベルが基準閾値レベルTh未満の場合、自金種と判別し、検出レベルが基準閾値レベルTh以上の場合、異金種として判別していた。
【0056】
これに対し、本実施の形態では、貨幣収納状態が確定の場合、基準閾値レベルThよりも検出レベルが高い第1閾値レベルTh1とし(第1貨幣識別精度とし)、検出レベルが第1閾値レベルTh1未満の場合、自金種と判別し、検出レベルが第1閾値レベルTh1以上の場合、異金種として判別する。また、貨幣収納状態が不確定の場合(第2貨幣識別精度とし)、基準閾値レベルThよりも検出レベルが低い第2閾値レベルTh2とし、検出レベルが第2閾値レベルTh2未満の場合、自金種と判別し、検出レベルが第2閾値レベルTh2以上の場合、異金種として判別する。すなわち、貨幣収納状態が確定の場合、貨幣識別精度を緩くし、貨幣収納状態が不確定の場合、貨幣識別精度を厳しくするようにしている。
【0057】
これにより、貨幣収納状態が確定している場合、緩やかな第1貨幣識別精度に設定されるため、自金種を異金種とする誤検知が少なり、異金種検出による出金処理をスムーズに行うことができる。一方、貨幣収納状態が不確定の場合、厳しい第2貨幣識別精度に設定されるため、異金種を自金種とする誤検知が少なり、貨幣格納状態が不確定であっても誤った釣銭金額での出金を減らすことができる。
【0058】
<貨幣格納状態の不確定>
本実施の形態では、上記のように、機器本体1aの密閉状態の解除発生、硬貨収納庫36又は紙幣収納庫71から払い出される出金貨幣金額の不整合発生、及び、硬貨収納庫36又は紙幣収納庫71に対する入金貨幣累計金額の不一致発生という3つの事象のうちのいずれか1つが発生した場合に貨幣収納状態が不確定であると判定している。
【0059】
機器本体1aの密閉状態の解除発生は、例えば、カバー16又は26が開放された場合、あるいは、硬貨収納ユニット10又は紙幣収納ユニット20が機器本体1aに対して予め設定した所定時間を超えて継続的に引き出された場合である。これは、操作者などによって硬貨収納庫36又は紙幣収納庫71の状態が変更される場合があるからである。
【0060】
硬貨収納庫36又は紙幣収納庫71から払い出される出金貨幣金額の不整合発生は、例えば、払出識別部S2又は識別部S4による貨幣払出の滞留発生、あるいは、払出識別部S2又は識別部S4による貨幣の重送発生を検知した場合である。貨幣払出の滞留発生の検知は、例えば図14に示した500円硬貨の特性曲線LN500の上辺部分を長く検出した場合である。なお、貨幣払出の滞留発生があった場合であって一定時間経過した場合にはエラー報知される。また、貨幣の重送発生の検知は、例えば図14に示した500円硬貨の特性曲線LN500の上辺部分の検出レベルが高くなった場合である。このような場合も、入出金に関する貨幣格納状態が変更されてしまうからである。
【0061】
硬貨収納庫36又は紙幣収納庫71に対する入金貨幣累計金額の不一致発生は、例えば、誤振分が発生した場合である。この誤振分の検知は、各収納庫の振分計数部S1の検知結果により知ることができる。なお、誤振分が生じても、検銭部14や紙幣鑑別センサ24による金種と枚数の検知による累計金額は、収納庫に収納された累計金額と変わらないため、貨幣格納状態に問題はなく変化が生じていないとも言えるが、この状態は、後程、異金種が払い出されるため、予め貨幣格納状態を不確定として貨幣識別精度を厳しくしておく必要があるからである。
【0062】
なお、上記の実施の形態では、払出識別部が異金種の貨幣と判別した場合、この異金種の貨幣を再度収納庫に格納するようにしていたが、この異金種の貨幣は、別途設ける不明庫に収納するようにしてもよい。例えば、この不明庫を硬貨出金口12の下部に設け、新たに設けた切換ゲートにより、異金種の貨幣は不明庫に排出し、自金種の貨幣は硬貨出金口12に排出するようにすればよい。また、有人レジの場合、自金種の貨幣を一時保留部34に排出して保留しておき、異金種の貨幣を先に硬貨出金口12から排出し、その後、所定時間後に時間差をもって自金種の貨幣を硬貨出金口12からまとめて排出するようにしてもよいし、その逆に最初に自金種の貨幣を排出するようにしてもよい。
【0063】
上述した実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 自動釣銭機
1a 機器本体
2a 開閉センサ
2b 引出検出センサ
10 硬貨収納ユニット
11 硬貨入金口
12 硬貨出金口
13 硬貨搬送機構
14 検銭部
16,26 カバー
17 受け皿
20 紙幣収納ユニット
21 紙幣入金口
22 紙幣出金口
23 紙幣搬送機構
24 紙幣鑑別センサ
30 操作表示部
30a 表示部
30b 操作入力部
32 入金搬送部
34 一時保留部
35 硬貨振分部
36 硬貨収納庫
37 出金搬送部
39 硬貨返却口
40 通信処理部
50 制御部
51 入出金制御部
52 識別精度切替制御部
53 密閉状態監視部
60 記憶部
61 入出金情報
62 識別精度切替設定情報
71 紙幣収納庫
72 精査庫
73 千円紙幣収納庫
74 混合庫
75 回収庫
81 硬貨供給部
82 硬貨繰出部
100 硬貨
G,G1,G2,G31,G32,G33 切換ゲート
L10,L500 検出レベル
LN10,LN500 特性曲線
M31,M32,M33,M50 モータ
PR POSレジスタ装置
S1 振分計数部
S13 識別センサ
S2 払出識別部
S3 計数部
S4 識別部
Th 基準閾値レベル
Th1 第1閾値レベル
Th2 第2閾値レベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14