▶ キョーラク株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163906
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】パネル
(51)【国際特許分類】
B32B 7/022 20190101AFI20221020BHJP
B60R 5/04 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B32B7/022
B60R5/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069029
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】米野 孝
(72)【発明者】
【氏名】原澤 友紀
(72)【発明者】
【氏名】國森 健太郎
【テーマコード(参考)】
3D022
4F100
【Fターム(参考)】
3D022BA05
3D022BC10
4F100AB02
4F100AB02A
4F100AB02C
4F100AB10
4F100AB10A
4F100AB10C
4F100AK03
4F100AK03B
4F100AK07
4F100AK07B
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA07
4F100DJ01
4F100DJ01B
4F100GB31
4F100JK01
4F100JK01A
4F100JK01C
(57)【要約】
【課題】座屈変形が発生することが抑制される、パネルを提供する。
【解決手段】本発明によれば、コア材と、第1及び第2面材を備えるパネルであって、前記コア材は、第1及び第2面材で挟まれており、前記コア材は、厚さが15~25mmであり、第1及び第2面材は、前記コア材に接着されており、(第1面材のヤング率[
GPa])×(第1面材の厚さ[mm])
2を第1面材強度指数とし、(第2面材のヤング率[
GPa])×(第2面材の厚さ[mm])
2を第2面材強度指数とし、第1及び第2面材強度指数の平均値を平均面材強度指数とすると、平均面材強度指数×(前記コア材の10%圧縮応力[MPa])で定義されるパネル強度指数が0.7以上である、パネルが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材と、第1及び第2面材を備えるパネルであって、
前記コア材は、第1及び第2面材で挟まれており、
前記コア材は、厚さが15~25mmであり、
第1及び第2面材は、前記コア材に接着されており、
(第1面材のヤング率[MPa])×(第1面材の厚さ[mm])2を第1面材強度指数とし、
(第2面材のヤング率[MPa])×(第2面材の厚さ[mm])2を第2面材強度指数とし、
第1及び第2面材強度指数の平均値を平均面材強度指数とすると、
平均面材強度指数×(前記コア材の10%圧縮応力[MPa])で定義されるパネル強度指数が0.7以上である、パネル。
【請求項2】
請求項1に記載のパネルであって、
前記パネル強度指数が5.0以下である、パネル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のパネルであって、
前記パネルは、目付が3000g/m2以下である、パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷室に設置されるラゲッジボード等として利用可能なパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コア材に薄板状の面材を取り付けて構成されるパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなパネルは、強度が優れているが、本発明者らが、パネルの強度について詳細な検討を行ったところ、面材に局所的な荷重が加わっときにパネルが折れ曲がる座屈変形が起きやすいことが分かった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、座屈変形が発生することが抑制される、パネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、コア材と、第1及び第2面材を備えるパネルであって、前記コア材は、第1及び第2面材で挟まれており、前記コア材は、厚さが15~25mmであり、第1及び第2面材は、前記コア材に接着されており、(第1面材のヤング率[MPa])×(第1面材の厚さ[mm])2を第1面材強度指数とし、(第2面材のヤング率[MPa])×(第2面材の厚さ[mm])2を第2面材強度指数とし、第1及び第2面材強度指数の平均値を平均面材強度指数とすると、平均面材強度指数×(前記コア材の10%圧縮応力[MPa])で定義されるパネル強度指数が0.7以上である、パネルが提供される。
【0007】
本発明者が鋭意検討を行ったところ、座屈変形は、パネルに局所的な荷重が加わったときにパネルが局所的に変形して起こることが分かった。そしてこの知見に基づき、パネルの局所的な強度に相関するパネル強度指数を0.7以上とすることによって、座屈変形の発生が効果的に抑制することができることを見出し、本発明の完成に到った。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載のパネルであって、前記パネル強度指数が5.0以下である、パネルである。
好ましくは、前記記載のパネルであって、前記パネルは、目付が3000g/m2以下である、パネルである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.パネル1の構造
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るパネル1は、コア材2と、第1及び第2面材3a,3bを備える。コア材2は、面材3a,3bで挟まれている。パネル1は、略直方体形状であることが好ましい。パネル1は、車両の荷室に設置されるラゲッジボード等として利用可能である。
【0012】
パネル1の第1方向の長さL1とし、第1方向に垂直な第2方向の長さをL2とし、L1≧L2とする。L1は、例えば600~1200mmであり、具体的には例えば、600、700、800、900、1000、1100、1200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。L1は、300~1200mmであり、具体的には例えば、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。L2/L1の値は、例えば0.3~1であり、具体的には例えば、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0013】
パネル1の目付(単位面積当たりの質量)は、パネル1の軽量化の観点から3000g/m2以下が好ましい。この目付は、例えば、1500~3000g/m2であり、具体的には例えば、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0014】
コア材2は、好ましくは板状の部材である。コア材2の厚さは、15~25mmであり、18~22mmが好ましい。コア材2が薄すぎると、パネル1の全体のたわみが大きくなりすぎてしまう。一方、コア材2が厚すぎると、パネル1の重量が大きくなりすぎてしまう。この厚さは、具体的には例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。コア材2の厚さは、コア材2の、互いに対向する第1及び第2主面2a,2bの距離が最も大きくなる部位での距離を意味する。コア材2には、好ましくは、凹部が設けられ、凹部内に、面材3a,3bが固定される。これによって、面材3a,3bがコア材2から剥がれることが抑制される。
【0015】
コア材2は、発泡体であっても非発泡体であってもよい。また、コア材2は、中空体であっても中実体であってもよい。コア材2は、金型を用いた成形によって形成することが好ましい。この場合、コア材2をパネル1の製造前に予め所望の形状にすることができるので、取り扱い性に優れている。また、コア材2を所望のパネル形状に合わせた形状にすることができるので、形状最適化された製品を得ることができる。
【0016】
コア材2の例としては、ビーズ発泡成形によって得られるビーズ発泡成形体、1枚の発泡又は非発泡の樹脂シートに凹凸形状を付与して得られる発泡又は非発泡シート成形体、発泡又は非発泡の、筒状パリソン又は2枚の樹脂シートを成形して得られる発泡又は非発泡中空成形体などが挙げられる。
【0017】
ビーズ発泡成形体は、例えば、発泡ポリスチレン、発泡アクリロニトリルスチレン、発泡ポリプロピレンなどで構成することができ、その発泡倍率は、例えば20~50倍であり、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0018】
発泡パリソン又は発泡樹脂シートは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンで構成することができ、これを用いた成形体の発泡倍率は、例えば1.1~8倍であり、具体的には例えば、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0019】
コア材2の10%圧縮応力は、例えば0.1~1.0MPaである。この値が小さすぎると座屈変形が起こりやすくなり、この値が大きすぎるとパネル1の重量が過大になりやすい。この値は、具体的には例えば、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00MPaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。コア材2の10%圧縮応力は、JIS K 7220に従って測定することができる。
【0020】
コア材2の目付は、例えば400~1000g/m2であり、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
面材3a,3bは、それぞれ、板状の部材であり、コア材2の主面2a,2bに接着される。面材3a,3bは、単位厚さ当たりの剛性がコア材2よりも高い材料で構成することができ、例えば、金属(アルミ、鉄など)や繊維強化樹脂などで構成可能である。面材3a,3bのそれぞれの厚さは、例えば、0.05~1mmであり、0.08~0.5mmが好ましい。具体的には例えば、0.05、0.08、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.00mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、本明細書において、厚さ、深さ等の値は、別途明記しない限り、平均値を意味する。
【0022】
面材3a,3bのそれぞれの目付は、例えば400~1000g/m2であり、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0023】
面材3a,3bは、それぞれ、接着層6a,6bを介してコア材2に接着することができる。接着層6a,6bを構成する接着剤としては、ウレタン系の接着剤やオレフィン系の接着剤が挙げられ、1液反応型ウレタン系接着剤が好ましい。接着層6a,6bのそれぞれの厚さは、例えば、0.01~0.5mmであり、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。接着層6a,6bのそれぞれの目付は、例えば10~100g/m2であり、具体的には例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
(第1面材3aのヤング率[MPa])×(第1面材3aの厚さ[mm])2を第1面材強度指数とし、(第2面材3bのヤング率[MPa])×(第2面材3bの厚さ[mm])2を第2面材強度指数とし、第1及び第2面材強度指数の平均値を平均面材強度指数とすると、平均面材強度指数×(コア材の10%圧縮応力[MPa])で定義されるパネル強度指数が0.7以上である。
【0025】
面材強度指数は、面材3a,3bの強度を示す指標である。第1及び第2面材強度指数及び平均面材強度指数は、それぞれ、1.5以上が好ましく、10以下が好ましい。この値が小さすぎると座屈変形が起こりやすくなり、この値が大きすぎるとパネル1の重量が過大になりやすい。この値は、具体的には例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0026】
パネル強度指数は、パネル1の局所的な強度に相関する強度を示す指標である。パネル強度指数が0.7以上であり、5.0以下が好ましい。この値が小さすぎると座屈変形が起こりやすくなり、この値が大きすぎるとパネル1の重量が過大になりやすい。この値は、具体的には例えば、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
パネル1の第1方向の両端の2辺を支持した状態で、パネル1の第1方向の中央に接触面が直径50mmの押圧子で荷重を加えたときの座屈荷重(座屈変形が生じる荷重の最小値)は、40kg以上が好ましく、300kg以下が好ましい。この値が小さすぎると座屈変形が起こりやすくなり、この値が大きすぎるとパネル1の重量が過大になりやすい。この値は、具体的には例えば、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300kgであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0028】
1-2.パネル1の製造方法
パネル1は、コア材2上に接着剤を塗布(例:スプレー塗布、ビード塗布)し、その後、面材3a,3bをコア材2に押し付けることによって製造することができる。
【0029】
2.その他実施形態
必要な場合には、コア材2及び面材3a,3bを覆うように表皮材を設けてもよい。これによって、美観向上が得られるとともに、面材3a,3bがコア材2から剥離することが抑制できる。表皮材は、一例では、不織布であり、接着層を介して、面材3a,3b及びコア材2に接着することができる。
【実施例0030】
表1に示すコア材2及び面材3a,3bを用いて、平面形状が1000mm×450mmのパネル1を製造した。コア材2と面材3a,3bを接着するための接着剤としは、1液反応型ウレタン系接着剤を用い、60g/m2となるように塗工した。表1の実施例・比較例では、面材3a,3bの材料及び厚さは、同一とした。Alとしては、Al5052を用い、SUSとしては、SUS304を用いた。コア材2は、ヒートポールGR(株式会社JSP)を用いて製造したものを用いた。
【0031】
パネル1の長手方向の両端の2辺を支持した状態でパネル1の長手方向の中央に接触面が直径50mmの押圧子で荷重を加えた。荷重を10kgずつ増大させ、座屈変形が発生したときの荷重を座屈荷重とした。その結果を表1に示す。
【0032】
【0033】
表1に示すように、パネル強度指数が0.7以上である全ての実施例では、座屈変形が発生しにくかった。
【符号の説明】
【0034】
1 :パネル
2 :コア材
2a :第1主面
2b :第2主面
3a :第1面材
3b :第2面材
6a :接着層
6b :接着層
【手続補正書】
【提出日】2022-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材と、第1及び第2面材を備えるパネルであって、
前記コア材は、第1及び第2面材で挟まれており、
前記コア材は、厚さが15~25mmであり、
第1及び第2面材は、前記コア材に接着されており、
(第1面材のヤング率[GPa])×(第1面材の厚さ[mm])2を第1面材強度指数とし、
(第2面材のヤング率[GPa])×(第2面材の厚さ[mm])2を第2面材強度指数とし、
第1及び第2面材強度指数の平均値を平均面材強度指数とすると、
平均面材強度指数×(前記コア材の10%圧縮応力[MPa])で定義されるパネル強度指数が0.7以上である、パネル。
【請求項2】
請求項1に記載のパネルであって、
前記パネル強度指数が5.0以下である、パネル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のパネルであって、
前記パネルは、目付が3000g/m2以下である、パネル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷室に設置されるラゲッジボード等として利用可能なパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コア材に薄板状の面材を取り付けて構成されるパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなパネルは、強度が優れているが、本発明者らが、パネルの強度について詳細な検討を行ったところ、面材に局所的な荷重が加わっときにパネルが折れ曲がる座屈変形が起きやすいことが分かった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、座屈変形が発生することが抑制される、パネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、コア材と、第1及び第2面材を備えるパネルであって、前記コア材は、第1及び第2面材で挟まれており、前記コア材は、厚さが15~25mmであり、第1及び第2面材は、前記コア材に接着されており、(第1面材のヤング率[GPa])×(第1面材の厚さ[mm])2を第1面材強度指数とし、(第2面材のヤング率[GPa])×(第2面材の厚さ[mm])2を第2面材強度指数とし、第1及び第2面材強度指数の平均値を平均面材強度指数とすると、平均面材強度指数×(前記コア材の10%圧縮応力[MPa])で定義されるパネル強度指数が0.7以上である、パネルが提供される。
【0007】
本発明者が鋭意検討を行ったところ、座屈変形は、パネルに局所的な荷重が加わったときにパネルが局所的に変形して起こることが分かった。そしてこの知見に基づき、パネルの局所的な強度に相関するパネル強度指数を0.7以上とすることによって、座屈変形の発生が効果的に抑制することができることを見出し、本発明の完成に到った。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載のパネルであって、前記パネル強度指数が5.0以下である、パネルである。
好ましくは、前記記載のパネルであって、前記パネルは、目付が3000g/m2以下である、パネルである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.パネル1の構造
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るパネル1は、コア材2と、第1及び第2面材3a,3bを備える。コア材2は、面材3a,3bで挟まれている。パネル1は、略直方体形状であることが好ましい。パネル1は、車両の荷室に設置されるラゲッジボード等として利用可能である。
【0012】
パネル1の第1方向の長さL1とし、第1方向に垂直な第2方向の長さをL2とし、L1≧L2とする。L1は、例えば600~1200mmであり、具体的には例えば、600、700、800、900、1000、1100、1200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。L1は、300~1200mmであり、具体的には例えば、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。L2/L1の値は、例えば0.3~1であり、具体的には例えば、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0013】
パネル1の目付(単位面積当たりの質量)は、パネル1の軽量化の観点から3000g/m2以下が好ましい。この目付は、例えば、1500~3000g/m2であり、具体的には例えば、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0014】
コア材2は、好ましくは板状の部材である。コア材2の厚さは、15~25mmであり、18~22mmが好ましい。コア材2が薄すぎると、パネル1の全体のたわみが大きくなりすぎてしまう。一方、コア材2が厚すぎると、パネル1の重量が大きくなりすぎてしまう。この厚さは、具体的には例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。コア材2の厚さは、コア材2の、互いに対向する第1及び第2主面2a,2bの距離が最も大きくなる部位での距離を意味する。コア材2には、好ましくは、凹部が設けられ、凹部内に、面材3a,3bが固定される。これによって、面材3a,3bがコア材2から剥がれることが抑制される。
【0015】
コア材2は、発泡体であっても非発泡体であってもよい。また、コア材2は、中空体であっても中実体であってもよい。コア材2は、金型を用いた成形によって形成することが好ましい。この場合、コア材2をパネル1の製造前に予め所望の形状にすることができるので、取り扱い性に優れている。また、コア材2を所望のパネル形状に合わせた形状にすることができるので、形状最適化された製品を得ることができる。
【0016】
コア材2の例としては、ビーズ発泡成形によって得られるビーズ発泡成形体、1枚の発泡又は非発泡の樹脂シートに凹凸形状を付与して得られる発泡又は非発泡シート成形体、発泡又は非発泡の、筒状パリソン又は2枚の樹脂シートを成形して得られる発泡又は非発泡中空成形体などが挙げられる。
【0017】
ビーズ発泡成形体は、例えば、発泡ポリスチレン、発泡アクリロニトリルスチレン、発泡ポリプロピレンなどで構成することができ、その発泡倍率は、例えば20~50倍であり、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0018】
発泡パリソン又は発泡樹脂シートは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンで構成することができ、これを用いた成形体の発泡倍率は、例えば1.1~8倍であり、具体的には例えば、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0019】
コア材2の10%圧縮応力は、例えば0.1~1.0MPaである。この値が小さすぎると座屈変形が起こりやすくなり、この値が大きすぎるとパネル1の重量が過大になりやすい。この値は、具体的には例えば、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00MPaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。コア材2の10%圧縮応力は、JIS K 7220に従って測定することができる。
【0020】
コア材2の目付は、例えば400~1000g/m2であり、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
面材3a,3bは、それぞれ、板状の部材であり、コア材2の主面2a,2bに接着される。面材3a,3bは、単位厚さ当たりの剛性がコア材2よりも高い材料で構成することができ、例えば、金属(アルミ、鉄など)や繊維強化樹脂などで構成可能である。面材3a,3bのそれぞれの厚さは、例えば、0.05~1mmであり、0.08~0.5mmが好ましい。具体的には例えば、0.05、0.08、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.00mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、本明細書において、厚さ、深さ等の値は、別途明記しない限り、平均値を意味する。
【0022】
面材3a,3bのそれぞれの目付は、例えば400~1000g/m2であり、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0023】
面材3a,3bは、それぞれ、接着層6a,6bを介してコア材2に接着することができる。接着層6a,6bを構成する接着剤としては、ウレタン系の接着剤やオレフィン系の接着剤が挙げられ、1液反応型ウレタン系接着剤が好ましい。接着層6a,6bのそれぞれの厚さは、例えば、0.01~0.5mmであり、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。接着層6a,6bのそれぞれの目付は、例えば10~100g/m2であり、具体的には例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
(第1面材3aのヤング率[GPa])×(第1面材3aの厚さ[mm])2を第1面材強度指数とし、(第2面材3bのヤング率[GPa])×(第2面材3bの厚さ[mm])2を第2面材強度指数とし、第1及び第2面材強度指数の平均値を平均面材強度指数とすると、平均面材強度指数×(コア材の10%圧縮応力[MPa])で定義されるパネル強度指数が0.7以上である。
【0025】
面材強度指数は、面材3a,3bの強度を示す指標である。第1及び第2面材強度指数及び平均面材強度指数は、それぞれ、1.5以上が好ましく、10以下が好ましい。この値が小さすぎると座屈変形が起こりやすくなり、この値が大きすぎるとパネル1の重量が過大になりやすい。この値は、具体的には例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0026】
パネル強度指数は、パネル1の局所的な強度に相関する強度を示す指標である。パネル強度指数が0.7以上であり、5.0以下が好ましい。この値が小さすぎると座屈変形が起こりやすくなり、この値が大きすぎるとパネル1の重量が過大になりやすい。この値は、具体的には例えば、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
パネル1の第1方向の両端の2辺を支持した状態で、パネル1の第1方向の中央に接触面が直径50mmの押圧子で荷重を加えたときの座屈荷重(座屈変形が生じる荷重の最小値)は、40kg以上が好ましく、300kg以下が好ましい。この値が小さすぎると座屈変形が起こりやすくなり、この値が大きすぎるとパネル1の重量が過大になりやすい。この値は、具体的には例えば、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300kgであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0028】
1-2.パネル1の製造方法
パネル1は、コア材2上に接着剤を塗布(例:スプレー塗布、ビード塗布)し、その後、面材3a,3bをコア材2に押し付けることによって製造することができる。
【0029】
2.その他実施形態
必要な場合には、コア材2及び面材3a,3bを覆うように表皮材を設けてもよい。これによって、美観向上が得られるとともに、面材3a,3bがコア材2から剥離することが抑制できる。表皮材は、一例では、不織布であり、接着層を介して、面材3a,3b及びコア材2に接着することができる。
【実施例0030】
表1に示すコア材2及び面材3a,3bを用いて、平面形状が1000mm×450mmのパネル1を製造した。コア材2と面材3a,3bを接着するための接着剤としは、1液反応型ウレタン系接着剤を用い、60g/m2となるように塗工した。表1の実施例・比較例では、面材3a,3bの材料及び厚さは、同一とした。Alとしては、Al5052を用い、SUSとしては、SUS304を用いた。コア材2は、ヒートポールGR(株式会社JSP)を用いて製造したものを用いた。
【0031】
パネル1の長手方向の両端の2辺を支持した状態でパネル1の長手方向の中央に接触面が直径50mmの押圧子で荷重を加えた。荷重を10kgずつ増大させ、座屈変形が発生したときの荷重を座屈荷重とした。その結果を表1に示す。
【0032】
【0033】
表1に示すように、パネル強度指数が0.7以上である全ての実施例では、座屈変形が発生しにくかった。