(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163911
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】給電システム、給電装置及び給電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/30 20160101AFI20221020BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20221020BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20221020BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H02J50/30
H02J50/20
H02J50/80
H02J7/00 301D
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069040
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘道
(72)【発明者】
【氏名】林 英誉
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA07
5G503GB09
5G503GD03
5G503GD05
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】光無線給電において、給電対象が複数存在した場合に給電対象を特定する給電システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る給電システムは、複数の機器と、該複数の機器に対して無線給電を行う給電装置と、を含む給電システムであって、複数の機器は、それぞれ、給電装置から電力を受電する受電部と、受電した電力を蓄える蓄電部と、を備え、給電装置は、指向性を有する電磁波を用いて無線で複数の機器に電力を供給する給電部と、複数の機器の画像を撮像する撮像部と、画像に基づいて、複数の機器のそれぞれが所定の給電対象である度合を表す信頼度を算出する信頼度算出部と、信頼度に基づいて、給電対象に給電を実行するように給電部を制御する給電制御部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器と、該複数の機器に対して無線給電を行う給電装置と、を含む給電システムであって、
前記複数の機器は、それぞれ、
前記給電装置から電力を受電する受電部と、
受電した電力を蓄える蓄電部と、
を備え、
前記給電装置は、
指向性を有する電磁波を用いて無線で前記複数の機器に電力を供給する給電部と、
前記複数の機器の画像を撮像する撮像部と、
前記画像に基づいて、前記複数の機器のそれぞれが所定の給電対象である度合を表す信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度に基づいて、給電対象に給電を実行するように前記給電部を制御する給電制御部と、
を備える、
ことを特徴とする給電システム。
【請求項2】
前記給電装置は、前記複数の機器のうち、前記信頼度が所定値以上である機器を、給電を実行する給電対象と判定する判定部をさらに備え、
前記給電制御部は、前記給電対象に対して前記信頼度が高い順に給電を実行するように前記給電部を制御する、
請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記機器は、前記給電装置からの要求に応じて、属性情報を送信する通信部をさらに備え、
前記給電装置は、
前記給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、前記給電対象から前記属性情報を受信する通信部と、
前記属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出するスコア算出部と、
をさらに有し、
前記給電制御部は、前記信頼度の代わりに前記スコアを用いて、前記給電対象に対して前記スコアが高い順に給電を実行するように前記給電部を制御する、
請求項1または2に記載の給電システム。
【請求項4】
給電対象である複数の機器と、該複数の機器に対して無線給電を行う給電装置と、を含む給電システムであって、
前記複数の機器は、それぞれ、
前記給電装置から電力を受電する受電部と、
受電した電力を蓄える蓄電部と、
前記給電装置からの要求に応じて、属性情報を送信する通信部と、
を備え、
前記給電装置は、
指向性を有する電磁波を用いて無線で前記複数の機器に電力を供給する給電部と、
前記給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、前記給電対象から前記属性情報を受信する通信部と、
前記属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出するスコア算出部と、
前記給電対象に対して前記スコアが高い順に給電を実行するように前記給電部を制御する給電制御部と、
を備える、
ことを特徴とする給電システム。
【請求項5】
前記給電装置は、公開鍵で暗号化された文字列を前記給電対象に送信し、秘密鍵で復号化された文字列を前記給電対象から受信した場合に、前記給電対象を認証する認証部をさらに備え、
前記給電制御部は、前記認証部が認証しない前記給電対象に対しては給電を実行しないように前記給電部を制御する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項6】
前記属性情報は、識別情報、受電レベルに関する情報、及び充電残量に関する情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項3または4に記載の給電システム。
【請求項7】
前記給電装置は、前記機器の位置、前記機器までの距離及び前記機器に対する角度の少なくともいずれかを測定する検知部をさらに備え、
前記スコア算出部は、検知した前記位置、距離及び角度の少なくとも1つを利用して前記スコアを算出する、
請求項3、4、及び6のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項8】
複数の機器に対して無線給電を行う給電装置であって、
指向性を有する電磁波を用いて無線で前記複数の機器に電力を供給する給電部と、
前記複数の機器の画像を撮像する撮像部と、
前記画像に基づいて、前記複数の機器のそれぞれが所定の給電対象である度合を表す信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度に基づいて、給電対象に給電を実行するように前記給電部を制御する給電制御部と、
を備えることを特徴とする給電装置。
【請求項9】
前記給電装置は、前記複数の機器のうち、前記信頼度が所定値以上である機器を、給電を実行する給電対象と判定する判定部をさらに備え、
前記給電制御部は、前記給電対象に対して前記信頼度が高い順に給電を実行するように前記給電部を制御する、
請求項8に記載の給電装置。
【請求項10】
前記給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、前記給電対象から前記属性情報を受信する通信部と、
前記属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出するスコア算出部と、
をさらに有し、
前記給電制御部は、前記信頼度の代わりに前記スコアを用いて、前記給電対象に対して前記スコアが高い順に給電を実行するように前記給電部を制御する、
請求項8または9に記載の給電装置。
【請求項11】
給電対象である複数の機器に対して無線給電を行う給電装置であって、
指向性を有する電磁波を用いて無線で前記複数の機器に電力を供給する給電部と、
前記給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、前記給電対象から前記属性情報を受信する通信部と、
前記属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出するスコア算出部と、
前記給電対象に対して前記スコアが高い順に給電を実行するように前記給電部を制御する給電制御部と、
を備える、
ことを特徴とする給電装置。
【請求項12】
公開鍵で暗号化された文字列を前記給電対象に送信し、秘密鍵で復号化された文字列を前記給電対象から受信した場合に、前記給電対象を認証する認証部をさらに備え、
前記給電制御部は、前記認証部が認証しない前記給電対象に対しては給電を実行しないように前記給電部を制御する、
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の給電装置。
【請求項13】
給電装置が指向性を有する電磁波を用いて複数の機器に対して無線給電を行う給電方法であって、
前記給電装置が、
前記複数の機器の画像を撮像し、
前記画像に基づいて、前記複数の機器のそれぞれが所定の給電対象である度合を表す信頼度を算出し、
前記信頼度に基づいて、前記給電対象に給電を実行する、
ことを特徴とする給電方法。
【請求項14】
前記複数の機器のうち、前記信頼度が所定値以上である機器を、給電を実行する給電対象と判定するステップをさらに有し、
前記給電対象に対して前記信頼度が高い順に給電を実行する、
請求項13に記載の給電方法。
【請求項15】
前記給電装置が、
前記給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、
前記給電対象から前記属性情報を受信し、
前記属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出し、
前記信頼度の代わりに前記スコアを用いて、前記給電対象に対して前記スコアが高い順に給電を実行する、
請求項13または14に記載の給電方法。
【請求項16】
給電装置が指向性を有する電磁波を用いて給電対象である複数の機器に対して無線給電を行う給電方法であって、
前記給電装置が、
前記給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、前記給電対象から前記属性情報を受信し、
前記属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出し、
前記給電対象に対して前記スコアが高い順に給電を実行する、
ことを特徴とする給電方法。
【請求項17】
前記給電装置は、公開鍵で暗号化された文字列を前記給電対象に送信し、秘密鍵で復号化された文字列を前記給電対象から受信した場合に、前記給電対象を認証し、
認証されない前記給電対象に対しては給電を実行しない、
請求項13乃至16のいずれか一項に記載の給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システム、給電装置及び給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、ドローン等の無人飛行体に電力を送電する給電システムが報告されている(例えば、特許文献1)。この給電システムは、蓄電量が残り少ない無人飛行体を優先して給電し、蓄電量が残り少ない無人飛行体が複数ある場合には、運搬作業予定に基づいて給電する点を特徴としている。
【0003】
しかしながら、光等を用いた無線給電は、光軸が合っている時にしか給電できないため、1つの給電装置は1つの機器にしか給電できない。そのため、1つの給電装置に対して、給電を実行する機器が複数存在する場合には、複数の機器のうちのどの機器に、どのような順番で給電を行うべきかを決定することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る給電システムは、複数の機器と、該複数の機器に対して無線給電を行う給電装置と、を含む給電システムであって、複数の機器は、それぞれ、給電装置から電力を受電する受電部と、受電した電力を蓄える蓄電部と、を備え、給電装置は、指向性を有する電磁波を用いて無線で複数の機器に電力を供給する給電部と、複数の機器の画像を撮像する撮像部と、画像に基づいて、複数の機器のそれぞれが所定の給電対象である度合を表す信頼度を算出する信頼度算出部と、信頼度に基づいて、給電対象に給電を実行するように給電部を制御する給電制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置は、複数の機器のうち、信頼度が所定値以上である機器を、給電を実行する給電対象と判定する判定部をさらに備え、給電制御部は、給電対象に対して信頼度が高い順に給電を実行するように給電部を制御してよい。
【0007】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、機器は、給電装置からの要求に応じて、属性情報を送信する通信部をさらに備え、給電装置は、給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、給電対象から属性情報を受信する通信部と、属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出するスコア算出部と、をさらに有し、給電制御部は、信頼度の代わりにスコアを用いて、給電対象に対してスコアが高い順に給電を実行するように給電部を制御してよい。
【0008】
本開示の一実施形態に係る給電システムは、給電対象である複数の機器と、該複数の機器に対して無線給電を行う給電装置と、を含む給電システムであって、複数の機器は、それぞれ、給電装置から電力を受電する受電部と、受電した電力を蓄える蓄電部と、給電装置からの要求に応じて、属性情報を送信する通信部と、を備え、給電装置は、指向性を有する電磁波を用いて無線で複数の機器に電力を供給する給電部と、給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、給電対象から属性情報を受信する通信部と、属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出するスコア算出部と、給電対象に対してスコアが高い順に給電を実行するように給電部を制御する給電制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置は、公開鍵で暗号化された文字列を給電対象に送信し、秘密鍵で復号化された文字列を給電対象から受信した場合に、給電対象を認証する認証部をさらに備え、給電制御部は、認証部が認証しない給電対象に対しては給電を実行しないように給電部を制御してよい。
【0010】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、属性情報は、識別情報、受電レベルに関する情報、及び充電残量に関する情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0011】
本開示の一実施形態に係る給電システムにおいて、給電装置は、機器の位置、機器までの距離及び機器に対する角度の少なくともいずれかを測定する検知部をさらに備え、スコア算出部は、検知した位置、距離及び角度の少なくとも1つを利用してスコアを算出してよい。
【0012】
本開示の一実施形態に係る給電装置は、複数の機器に対して無線給電を行う給電装置であって、指向性を有する電磁波を用いて無線で複数の機器に電力を供給する給電部と、複数の機器の画像を撮像する撮像部と、画像に基づいて、複数の機器のそれぞれが所定の給電対象である度合を表す信頼度を算出する信頼度算出部と、信頼度に基づいて、給電対象に給電を実行するように給電部を制御する給電制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本開示の一実施形態に係る給電装置において、複数の機器のうち、信頼度が所定値以上である機器を、給電を実行する給電対象と判定する判定部をさらに備え、給電制御部は、給電対象に対して信頼度が高い順に給電を実行するように給電部を制御してよい。
【0014】
本開示の一実施形態に係る給電装置において、給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、給電対象から属性情報を受信する通信部と、属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出するスコア算出部と、をさらに有し、給電制御部は、信頼度の代わりにスコアを用いて、給電対象に対してスコアが高い順に給電を実行するように給電部を制御してよい。
【0015】
本開示の一実施形態に係る給電装置は、給電対象である複数の機器に対して無線給電を行う給電装置であって、指向性を有する電磁波を用いて無線で複数の機器に電力を供給する給電部と、給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、給電対象から属性情報を受信する通信部と、属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出するスコア算出部と、給電対象に対してスコアが高い順に給電を実行するように給電部を制御する給電制御部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本開示の一実施形態に係る給電装置において、公開鍵で暗号化された文字列を給電対象に送信し、秘密鍵で復号化された文字列を給電対象から受信した場合に、給電対象を認証する認証部をさらに備え、給電制御部は、認証部が認証しない給電対象に対しては給電を実行しないように給電部を制御してよい。
【0017】
本開示の一実施形態に係る給電方法は、給電装置が指向性を有する電磁波を用いて複数の機器に対して無線給電を行う給電方法であって、給電装置が、複数の機器の画像を撮像し、画像に基づいて、複数の機器のそれぞれが所定の給電対象である度合を表す信頼度を算出し、信頼度に基づいて、給電対象に給電を実行する、ことを特徴とする。
【0018】
本開示の一実施形態に係る給電方法において、複数の機器のうち、信頼度が所定値以上である機器を、給電を実行する給電対象と判定するステップをさらに有し、給電対象に対して信頼度が高い順に給電を実行する、ことを特徴とする。
【0019】
本開示の一実施形態に係る給電方法において、給電装置が、給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、給電対象から属性情報を受信し、属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出し、信頼度の代わりにスコアを用いて、給電対象に対してスコアが高い順に給電を実行してよい。
【0020】
本開示の一実施形態に係る給電方法は、給電装置が指向性を有する電磁波を用いて給電対象である複数の機器に対して無線給電を行う給電方法であって、給電装置が、給電対象に対して属性情報を要求する信号を送信し、給電対象から属性情報を受信し、属性情報に基づいて、給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出し、給電対象に対してスコアが高い順に給電を実行する、ことを特徴とする。
【0021】
本開示の一実施形態に係る給電方法において、給電装置は、公開鍵で暗号化された文字列を給電対象に送信し、秘密鍵で復号化された文字列を給電対象から受信した場合に、給電対象を認証し、認証されない給電対象に対しては給電を実行しないことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の一実施形態に係る給電システムの概要を説明するための図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る給電システムを構成する給電装置及び機器のブロック図である。
【
図3】実施例1に係る給電システムのシーケンス図である。
【
図4】実施例1に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施例2に係る給電システムのシーケンス図である。
【
図6】実施例2に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【
図7】実施例3に係る給電システムのシーケンス図である。
【
図8】実施例3に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る給電システム、給電装置及び給電方法について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0024】
まず、本開示の一実施形態に係る給電システムの概要について説明する。
図1に本開示の一実施形態に係る給電システム100の概要を説明するための図を示す。給電装置10は、撮像部2であるカメラを備えており、例えばドローンのような、複数の機器(20a、20b、20c、20d)を撮像し、撮像した画像に基づいて給電対象であると判定した機器に対して無線で電力を供給する。無線給電の方式は、例えば、給電装置10から出射した光を空間伝搬させ、機器(20a、20b、20c、20d)の受電部で光を電気エネルギーに変換することにより給電する方式であってよい。無線による給電は、給電装置10が、複数の機器(20a、20b、20c、20d)のそれぞれに光や電波を送信することにより行われる。光や電波を用いた無線給電システムでは指向性が高く、給電側と受電側とで光軸が合っているときに給電を行うことができる。すなわち、給電装置10は、給電時に給電を行う機器(給電対象)を特定することができる。
【0025】
ここで、本開示の一実施形態に係る給電システム100は、機器が複数存在する場合において、複数の機器のうちのどの機器に対して給電を実行すべきであるか、及び、給電を実行すべき機器について、どのような順序で給電を実行すべきであるかを決定することができる。例えば、
図1に示すように機器(20a、20b、20c、20d)が複数存在している場合には、給電装置10は、それぞれの機器が給電を実行すべき対象であるのか、及び、複数の機器に対してどのような順序で給電を行うべきであるかを決定してよい。また、例えば、機器20dが不正な機器である場合には、給電の対象から排除してよい。
【0026】
なお、
図1には機器の例として、ドローンを例示したが、このような例には限定されない。例えば、機器は、無線によって電力を受電可能な機器であればよい。
図1に示したドローンや自動車のような移動体であってもよく、パソコンやロボットのように、恒久的あるいは一時的に、ある位置に固定されている機器であってもよい。
【0027】
また、機器は
図1に示すように4台である場合には限定されず、2台、または3台、あるいは5台以上であってもよい。
【0028】
また、給電装置10を設置する場所は、特定の場所には限定されない。例えば、給電する対象の機器がドローン等である場合は、給電装置10を屋外に設置してよい。また、給電する対象の機器がパソコンや自走式掃除機等である場合は、給電装置10をオフィスや店舗等に設置してよい。また、給電する対象の機器が製品の組立用ロボット等である場合は、給電装置10を工場等に設置してよい。さらに、給電する対象の機器が携帯機器や自動車等である場合は、給電装置10を街中等に設置してよい。
【0029】
図2に本開示の一実施形態に係る給電システム100を構成する給電装置10及び機器20のブロック図を示す。給電システム100は、機器20と、機器20に対して電力を供給する給電装置10と、を含む。なお、機器20は、一実施形態に係る給電システム100において複数含まれてよい。
【0030】
機器20は、受電部21と、蓄電部22と、を備える。機器20は、さらに、通信部23と、駆動部24と、制御部25と、記憶部26と、を備えてよい。また、これらの構成要素は、バス27により接続されてよい。
【0031】
受電部21は、給電装置10から電力を受電する。受電部21は、例えば、レーザビーム等の光線により電力を受電してよい。受電部21は、レーザビーム等の光線を電力に変換するために光電変換素子を有してよい。
【0032】
蓄電部22は、受電した電力を蓄えることができる。蓄電部22は二次電池等の蓄電池であってよい。蓄電池として、例えば、リチウムイオン電池等を用いてよい。
【0033】
通信部23は、給電装置10と通信を行う。駆動部24は、機器20がドローンである場合は、回転翼を回転させるモータであってよい。制御部25には、CPU等のマイクロコンピュータ(マイコン)を用いてよい。記憶部26は、機器20に関する識別情報や、機器20を制御するためのプログラムを格納してよい。
【0034】
給電装置10は、給電部1と、撮像部2と、信頼度算出部3と、判定部4と、給電制御部5と、を有する。また、給電装置10は、通信部6と、スコア算出部7と、認証部8と、検知部9と、記憶部11と、をさらに有してよい。信頼度算出部3、判定部4、給電制御部5、スコア算出部7、及び認証部8は、CPU、ROM及びRAMなどを含む給電装置10内のコンピュータにより、ソフトウエア(プログラム)として実現される。また、これらの構成要素は、バス12により接続されている。
【0035】
記憶部11は、例えば、半導体メモリであってよい。記憶部11は、給電装置10を動作させるためのプログラムを格納することができる。
【0036】
給電部1は、電磁波を用いて機器20に無線給電を行う。例えば、給電部1は、指向性を有する電磁波を用いて機器20に無線給電を行ってよい。具体的には、例えば、給電部1は、光を用いて機器20に無線給電を行ってよい。すなわち、例えば、電磁波は、赤外線から紫外線までの電磁波を含んでよい。給電部1は、例えば、電気エネルギーを光に変換するデバイスであり、レーザビームを出力するレーザ光源等の光源により構成されてよい。例えば、給電部1は、レーザビーム等を機器20の受電部21である太陽電池等の光電変換素子に照射することによって、無線で電力を供給してよい。ただし、このような例には限られず、給電部1は、機器20に対する給電が可能であれば他の電磁波やエネルギービームを用いて給電してよい。
【0037】
撮像部2は、複数の機器20の画像を撮像する。撮像部2には、例えば、カメラを用いてよい。
【0038】
信頼度算出部3は、撮像部2が撮像した画像に基づいて、複数の機器20のそれぞれが所定の給電対象である度合を表す信頼度を算出する。信頼度として、撮像した機器20の画像を画像認識することによって得られるクラス確率を用いてよい。
【0039】
信頼度算出部3は、撮像部2が撮像した画像に含まれる機器20に付されたマーカの画像を用いて信頼度を算出するようにしてよい。ここで、例えば、マーカには3つの構成要素が考えられる。
【0040】
マーカの第1の構成要素は、マーカの色である。マーカの色は、機器20が存在する環境下で給電装置10が識別しやすい色であってよい。例えば、工場内で赤い色が無いような環境で、赤色のマーカを付した機器20が存在している場合には、赤色のマーカに基づいて信頼度を算出するようにしてよい。
【0041】
マーカの第2の構成要素は、マーカの形状である。例えば、マーカの形状が、三角形、四角形、円形あるいは雪の結晶の形状等の任意の多角形等、機器20が存在する環境下で所定の形状を有するマーカに基づいて信頼度を算出するようにしてよい。
【0042】
マーカの第3の構成要素は、マーカに付された情報コードや文字列等であってよい。例えば、情報コードとして、バーコードやQRコード(登録商標)等の2次元コードであってよい。あるいは、マーカに付された「受電装置」という文字列をマーカと認識し、信頼度を算出するようにしてよい。
【0043】
マーカの構成要素は上記のような3つの例には限定されず、他の構成要素を含んでよい。さらに、これらの構成要素は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて複合的に用いるようにしてもよい。例えば、マーカを「黄色の三角形」としてもよいし、あるいは、「黄色の三角形」とし、併せて「受電装置」と記載するようにしてもよい。
【0044】
給電制御部5は、信頼度に基づいて、給電対象に給電を実行するように給電部1を制御してよい。例えば、給電制御部5は、信頼度が所定の値以上の給電対象に対して、給電を実行するように給電部1を制御してよい。
【0045】
判定部4は、複数の機器20のうち、信頼度が所定値以上である機器を、給電を実行する給電対象と判定してよい。例えば、3つの機器の信頼度が、それぞれ、50、70、80である場合に、閾値を60とすると、信頼度が70及び80の機器を給電対象であると判定し、信頼度が50の機器を給電対象ではないと判定することができる。
【0046】
給電制御部5は、給電対象に対して信頼度が高い順に給電を実行するように給電部1を制御してよい。例えば、上記の例では、3つの機器のうち、信頼度が70及び80の機器を給電対象と判定したが、信頼度が80の機器に対して最初に給電を実行し、次に信頼度が70の機器に対して給電を実行してよい。
【0047】
次に、実施例1に係る給電システムについて、給電対象の特定から給電開始までの処理フローについて説明する。
図3に実施例1に係る給電システムのシーケンス図を示す。まず、ステップS101において、給電装置10が、撮像部2が撮像した複数の機器20の画像を用いて画像認識を行い、複数の機器20を特定する。この段階では、複数の機器20のいずれが、給電を実行すべき対象(給電対象)であるか否かは決定されていない。
【0048】
次に、ステップS102において、給電装置10が、複数の機器のそれぞれについて信頼度を算出する。信頼度には、上述したように、複数の機器20のそれぞれの画像を用いた画像認識により算出されたクラス確率を用いてよい。ただし、このような例には限定されず、他の指標を信頼度に用いてよい。
【0049】
次に、ステップS103において、給電装置10が、信頼度が閾値より高い機器を給電対象と判定する。信頼度を閾値と比較することにより、複数の機器のいずれが給電対象であるかを判定する手法は上述したとおりである。例えば、機器20が3つ存在し、そのうちの2つの信頼度が閾値より高い場合は、給電対象数は2となる。
【0050】
次に、ステップS104において、給電装置10が、給電対象と判定された機器に対して、信頼度が高い順に光給電を開始する。ここで、ステップS104は給電対象数に応じて複数回実行されてよい。すなわち、例えば、給電対象数が2である場合、このプロセスは2回実行されてよい。
【0051】
次に、実施例1に係る給電装置の動作手順について説明する。
図4に実施例1に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS201において、給電装置10の撮像部2が複数の機器20を撮像し、撮像した画像を用いて画像認識を行うことにより、機器20を特定する。
【0052】
次に、ステップS202において、給電装置10の信頼度算出部3が、撮像部2が撮像した各機器20の画像を用いて画像認識を行うことにより、信頼度を算出する。
【0053】
次に、ステップS203において、判定部4が、信頼度算出部3が算出した各機器の信頼度が所定の閾値より大きいか否かを判定する。
【0054】
信頼度が閾値より大きい場合(ステップS203で「Yes」)は、判定部4は、ステップS204において、当該機器は給電対象であると判定する。
【0055】
次に、ステップS205において、給電制御部5が、給電対象と判定された機器について、信頼度が高い順に光給電を開始するように給電部1を制御する。
【0056】
一方、信頼度が閾値以下である場合(ステップS203で「No」)は、判定部4は、当該機器は給電対象ではないと判定し、処理を終了する。
【0057】
実施例1に係る給電システムにおいては、後述するテスト照射や認証を実行しない。これは、機器が閉じた空間に存在し、給電対象と判定すべきではない不正な機器は存在しないと想定されるためである。実施例1に係る給電システムによれば、機器の信頼度のみに基づいて給電を実行するようにしているため、給電対象の機器に対して迅速に給電を実行することができる。
【0058】
また、実施例1に係る給電システムによれば、画像認識によって給電対象を特定することができる。これによれば、例えば、通信機能を有しないスタンドアローンの機器20に対しても給電を実行することができる。また、例えば、機器20の蓄電池の充電残量がなくなった場合であっても機器20に充電を行い、機器20を再起動させることができる。すなわち、本開示に係る発明の一実施形態によれば、ユーザビリティを向上させることができる。
【0059】
次に、実施例2に係る給電システムについて説明する。実施例2に係る給電システムが、実施例1に係る給電システムと異なっている点は、給電装置が給電対象の機器から属性情報を取得し、属性情報からスコアを算出し、スコアに基づいて給電の順序を決定する点である。実施例2に係る給電システムのその他の点は、実施例1に係る給電システムと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0060】
実施例2に係る給電システムを構成する機器20は、給電装置10からの要求に応じて、属性情報を送信する通信部23をさらに備える。ここで、属性情報は、識別情報、受電レベルに関する情報、及び充電残量に関する情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。識別情報には、機器20の登録番号やシリアル番号等を含んでよい。受電レベルに関する情報には、機器20の受電部21が給電装置10から受電可能な電力の大きさを表す情報を含んでよい。充電残量に関する情報には、機器20の蓄電部22に蓄電されている電力の残量を表す情報を含んでよい。
【0061】
実施例2に係る給電システムを構成する給電装置10は、通信部6と、スコア算出部7と、をさらに有してよい。通信部6は、給電対象の機器20に対して属性情報を要求する信号を送信し、給電対象の機器20から属性情報を受信する。
【0062】
スコア算出部7は、属性情報に基づいて、給電対象の機器20に対する給電の優先順位を決めるための指標であるスコアを算出する。
【0063】
例えば、ドローンである機器20の識別情報から、機器20が至急搬送すべき荷物を搬送していることが判明した場合には、スコア算出部7は、緊急度を考慮してスコアの値が大きくなるようにスコアを算出してよい。
【0064】
また、ドローンである機器20の受電レベルが大きい程、給電時の電力利用効率が高くなると考えられる。そのため、受電レベルが大きい機器20に対して優先的に給電するように、スコア算出部7は、受電レベルが大きい程、スコアの値が大きくなるようにスコアを算出してよい。一方、機器20の受電レベルが小さい場合には、受電レベルが大きくなる位置まで移動するのを待ってから給電を開始することが考えられる。そのため、受電レベルが小さい場合には、スコア算出部7は、優先順位を下げるようにスコアの値が小さくなるようにスコアを算出してよい。
【0065】
また、ドローンである機器20の充電残量が少ない程、給電を早急に実行する必要があると考えられる。そのため、スコア算出部7は、充電残量が少ない程、スコアの値が大きくなるようにスコアを算出してよい。
【0066】
給電装置10は、機器20の位置、機器20までの距離及び機器20に対する角度の少なくともいずれかを測定する検知部9をさらに備えてよい。検知部9には、LiDAR(Light Detection and Ranging)やレーダ等のセンサもしくはこれらの組み合わせを用いてよい。LiDAR等のセンサを用いることにより、機器20の位置、給電装置10から機器20までの距離及び機器20に対する角度を正確に検知することができる。
【0067】
スコア算出部7は、検知した機器20の位置、給電装置10から機器20までの距離及び機器20に対する角度の少なくとも1つを利用してスコアを算出してよい。検知部9が検知した給電装置10から機器20までの距離が近い程、送電効率は高くなると考えられる。そこで、スコア算出部7は、距離が近い程、スコアの値が大きくなるようにスコアを算出してよい。
【0068】
また、検知部9が検知した給電装置10から機器20を見込んだときの角度が大きい程、送電を遮る遮蔽物が少なくなると考えられる。そこで、スコア算出部7は、角度が大きい程、スコアの値が大きくなるようにスコアを算出してよい。
【0069】
次に、実施例2に係る給電システムについて、給電対象の特定から給電開始までの処理フローについて説明する。
図5に実施例2に係る給電システムのシーケンス図を示す。まず、ステップS301において、給電装置10が、撮像部2が撮像した複数の機器20の画像を用いて画像認識を行い、複数の機器20を特定する。この段階では、複数の機器20のいずれが、給電を実行すべき対象(給電対象)であるか否かは決定されていない。
【0070】
次に、ステップS302において、給電装置10が、複数の機器のそれぞれについて信頼度を算出する。信頼度には、上述したように、複数の機器20のそれぞれの画像を用いた画像認識により算出されたクラス確率を用いてよい。ただし、このような例には限定されず、他の指標を信頼度に用いてよい。
【0071】
次に、ステップS303において、給電装置10が、信頼度が閾値より高い機器を給電対象と判定する。信頼度を閾値と比較することにより、複数の機器のいずれが給電対象であるかを判定する手法は上述したとおりである。例えば、機器20が3つ存在し、そのうちの2つの信頼度が閾値より高い場合は、給電対象数は2となる。
【0072】
次に、ステップS304において、通信部6が、給電対象の機器20に対して信頼度が高い順に光をテスト照射する。具体的には、ハッシュ化した任意の文字列を送信する。このテスト照射された信号は、給電対象の機器20に対して属性情報を要求する信号である。
【0073】
次に、ステップS305において、給電対象の機器20は、ハッシュ化した文字列に給電対象の機器20の属性情報を含めた信号を送信する。通信部6は、給電対象の機器20から送信された属性情報を受信する。
【0074】
次に、ステップS306において、スコア算出部7が、各給電対象の機器20の属性情報を基にスコアを計算する。例えば、3台のドローンである機器(20a、20b、20c)が存在した場合に、スコア算出部7は、それぞれの機器(20a、20b、20c)を「60」、「30」、「80」のような数値として算出する。スコア算出部7が機器20の属性情報からスコアを算出する方法については上述したとおりである。
【0075】
次に、ステップS307において、給電部1が、給電対象と判定された機器に対して、スコアが高い順に光給電を開始する。ここで、機器(20a、20b、20c)のスコアがそれぞれ「60」、「30」、「80」であるとする。この場合、給電制御部5は、最初に機器20cに対して給電を実行し、次に機器20aに対して給電を実行し、最後に機器20bに対して給電を実行するように給電部1を制御する。
【0076】
次に、実施例2に係る給電装置の動作手順について説明する。
図6に実施例2に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS401において、給電装置10の撮像部2が複数の機器20を撮像し、撮像した画像を用いて画像認識を行うことにより、機器20を特定する。
【0077】
次に、ステップS402において、給電装置10の信頼度算出部3が、撮像部2が撮像した各機器20の画像を用いて画像認識を行うことにより、信頼度を算出する。
【0078】
次に、ステップS403において、判定部4が、信頼度算出部3が算出した各機器の信頼度が所定の閾値より大きいか否かを判定する。
【0079】
信頼度が閾値より大きい場合(ステップS403で「Yes」)は、判定部4は、ステップS404において、当該機器は給電対象であると判定する。
【0080】
次に、ステップS405において、通信部6が、給電対象と判定された機器について、信頼度が高い順にテスト照射を開始する。
【0081】
次に、ステップS406において、通信部6が、機器20からハッシュ化した文字列に給電対象の機器20の属性情報を含めた信号を受信する。
【0082】
次に、ステップS407において、スコア算出部7が、各給電対象の機器の属性情報を基にスコアを計算する。
【0083】
次に、ステップS408において、給電制御部5が、スコアが高い順に光給電を開始するように給電部1を制御する。
【0084】
一方、信頼度が閾値以下である場合(ステップS403で「No」)は、判定部4は、当該機器は給電対象ではないと判定し、処理を終了する。
【0085】
上記のように、実施例2に係る給電システムにおいては、給電制御部5は、実施例1の給電システムのように信頼度に基づいて給電の順序を決定する代わりに、スコアを用いて、給電対象の機器に対してスコアが高い順に給電を実行するように給電部1を制御してよい。スコアに基づいて給電の順序を決定することにより、給電対象の機器20の状態や機器20が置かれた環境等を考慮して適切な順序で給電を実行することができる。
【0086】
上記のフローチャートの説明において、給電装置10は機器20の信頼度を算出した後にスコアを算出する例を示したが、このような例には限られず、ステップS402~S404に示した信頼度を算出する工程を省略して、算出したスコアに基づいて機器20に対して給電を実行するようにしてもよい。例えば、複数の機器の信頼度が十分に高く、信頼度を算出する必要がないような場合においては、算出したスコアのみに基づいて機器に対して給電を実行してよい。このように、スコアのみに基づいて給電対象の機器に給電を実行することにより、給電に要する時間を短縮することができる。
【0087】
次に、実施例3に係る給電システムについて説明する。実施例3に係る給電システムが、実施例2に係る給電システムと異なっている点は、給電装置10は、公開鍵で暗号化された文字列を給電対象に送信し、秘密鍵で復号化された文字列を受信した場合に、給電対象を認証する認証部8をさらに備え、給電制御部5は、認証部8が認証しない給電対象に対しては給電を実行しないように給電部1を制御する点である。実施例3に係る給電システムのその他の点は、実施例2に係る給電システムと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0088】
実施例3に係る給電システムを構成する給電装置10は、認証部8をさらに備える。給電装置10は、撮像した機器20の画像を利用して画像認識により信頼度を算出し、信頼度が所定の閾値より高い機器を給電対象と判定する。しかしながら、このように判定した機器の中に、給電対象とすべきではない不正な機器が存在することが想定される場合もあり得る。そこで、このような不正な機器を排除するために、機器に対して真正な給電対象であることを認証する必要がある。そこで、実施例3に係る給電システムを構成する給電装置10においては、不正な機器を給電対象から排除するために、認証部8を設けている。
【0089】
次に、実施例3に係る給電システムについて、給電対象の特定から給電開始までの処理フローについて説明する。
図7に実施例3に係る給電システムのシーケンス図を示す。
図7に示したシーケンス図において、ステップS501からS505までのシーケンスは、
図5に示した実施例2に係る給電システムにおけるステップS301からS305までのシーケンスと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
ステップS506において、給電装置10の通信部6は、給電対象の機器20の公開鍵で暗号化した任意の文字列の信号を給電対象の機器20に送信する。
【0091】
次に、ステップS507において、機器20の通信部23は、文字列を受信し、制御部25が、受信した文字列を給電対象の機器20の秘密鍵で復号化する。
【0092】
次に、ステップS508において、制御部25が復号化した文字列を給電装置10の公開鍵で暗号化し、通信部23が暗号化した文字列を給電装置10に送信する。
【0093】
給電装置10の通信部6は暗号化された文字列を受信し、認証部8は受信した文字列を復号化し、認証が完了する。
【0094】
次に、ステップS509において、スコア算出部7が、各給電対象の機器20の属性情報を基にスコアを計算する。
【0095】
次に、ステップS510において、給電制御部5が、給電対象と判定された機器に対して、スコアが高い順に光給電を開始するように給電部1を制御部する。
【0096】
次に、実施例3に係る給電装置10の動作手順について説明する。
図8に実施例3に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。
図8に示したフローチャートにおいて、ステップS601からS606までの工程は、
図6に示した実施例2に係る給電システムにおけるステップS401からS406までの工程と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0097】
まず、ステップS607において、給電装置10の通信部6が、給電対象の機器20の公開鍵で暗号化した任意の文字列の信号を送信する。
【0098】
次に、ステップ608において、給電装置10の通信部6が、復号化した文字列を給電装置10の公開鍵で暗号化した文字列の信号を受信する。この工程により、機器20の認証が完了する。一方、給電装置10の通信部6が、復号化した文字列を給電装置10の公開鍵で暗号化した文字列の信号を受信しなかった場合は、認証は完了せず、処理を終了する。
【0099】
次に、ステップ609において、給電装置10のスコア算出部7が、各給電対象の機器20の属性情報を基にスコアを計算する。
【0100】
次に、ステップ610において、給電装置10の給電制御部5が、給電対象の機器20に対して、スコアが高い順に光給電を開始するように給電部1を制御する。
【0101】
なお、ステップS603において、算出した信頼度が閾値以下である場合は、処理を終了する。
【0102】
以上のようにして、実施例3に係る給電システムにおいては、給電対象の機器に対して認証を行い、認証されなかった機器に対しては給電を実行しないようにすることで、不正な機器が含まれている場合であっても、不正な機器に対する給電を回避することができる。
【0103】
上記の説明においては、給電装置10が機器20を給電対象と判断した際に、機器20が存在する位置で給電を実行する例について説明したが、このような例には限られない。例えば、給電装置10が給電対象の機器20対して給電を開始する前に、給電装置10が給電対象である機器20に対して光もしくは電波により移動命令を送信することにより給電しやすい位置まで呼び寄せるようにしてよい。移動命令には、移動先の位置に関する指示を含んでよい。給電対象である機器20は、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を搭載してよい。IMUを利用することにより、機器20は、給電装置10から指示された位置に移動することができる。給電装置10は、給電対象である機器20が、指示した位置に移動したことを確認した後に、機器20に対して給電を実行することができる。給電装置10は、機器20が、指示した位置に移動したことを画像認識やLiDAR、あるいはレーダ等のセンサを利用して確認してよい。このように、給電装置10が給電対象である機器20を呼び寄せることにより、給電装置10と機器20との間の距離を短くすることができ、給電効率を向上させることができる。
【0104】
また、上記のように給電装置10が給電対象である機器20を呼び寄せる場合に、機器20に対して移動先の位置を指示するだけでなく、機器20が移動を開始する時刻を指示するようにしてよい。例えば、第1の時刻に第1の機器が移動を開始し、第1の時刻から所定期間Tが経過した後の第2の時刻に第2の機器が移動するように指示した場合、所定期間Tにおいて第1の機器に対して給電を実行してよい。また、機器20が移動を開始する時刻は機器20から受信した充電量に関する情報から推測される給電時間に基づいて決定するようにしてよい。
【0105】
あるいは、給電対象である機器20が複数存在する場合には、それぞれの機器20が移動を行う順番(整理番号)を指示するようにしてもよい。例えば、まず、1番目の機器を呼び寄せ、1番目の機器に対する給電が完了した後に、1番目の機器の給電が完了したことを2番目の機器に通知し、2番目の機器は、この通知を受信して、指示された位置への移動を開始してよい。このようにすることで、給電装置10が、給電対象である複数の機器20を呼び寄せる場合において、機器20同士が接触する危険性を回避することができる。
【0106】
給電装置10が給電対象である機器20に対して指示する移動先の位置は、それぞれの機器20ごとに異なっていてもよいし、特定の位置であってもよい。さらに、給電装置10は、機器20の移動先の位置を特定の位置に指示するとともに、移動する順番を指示し、特定の位置に所定の時間をおいて移動してきた複数の機器20を順番に給電するようにしてよい。例えば、給電装置10が指示した特定の位置Pに1番目の機器を移動させて給電を行った後に、同じ特定の位置Pに2番目の機器を移動させて給電を実行してよい。このようにすることで、給電装置10は、給電を行う機器20の位置を特定の位置Pに固定することができ、異なる位置に点在する複数の機器20のそれぞれの位置を検出する工程を省くことができ、複数の機器20に対して効率的に給電を行うことができる。
【0107】
あるいは、給電装置10は複数の機器20を、給電装置10から延びる直線上の異なる位置に配置させるように指示してもよい。例えば、給電装置10から延びる直線上において、給電装置10から第1の距離だけ離隔した位置に第1の機器を配置し、第1の距離とは異なる第2の距離だけ離隔した位置に第2の機器を配置したものとする。この場合、第1の機器に対して給電を実行した後、第1の機器がその場所を離れれば、給電装置10は第1の機器と同じ方向に光を照射することにより、第2の機器に対して給電を行うことができる。以下、同様に同一直線上に配置した複数の機器20に対して、給電装置10は照射する光の方向を変えることなく複数の機器20に対して給電を行うことができる。このようにすることで、複数の機器20が同一直線上に配置するように移動を完了させれば、その後は、給電装置10は複数の機器20が所定の位置に移動するのを待つことなく給電を行うことができるため、複数の機器20に対する給電時間を短縮することができる。
【0108】
さらに、給電装置10が機器20を呼び寄せる順番を、上述した信頼度やスコアに基づいて決定するようにしてよい。例えば、信頼度が高い順に機器20を呼び寄せて給電を実行することにより、信頼度が高い機器20に対して確実に給電を行うことができる。あるいは、例えば、機器20に備えられた蓄電池の充電容量が少ない順にスコアが高くなっている場合には、スコアが高い順に給電を実行することにより、蓄電池の充電容量が少ない機器20に対して優先的に給電を行うことができる。
【0109】
さらに、給電対象である機器20が移動した場合、もしくは、機器20の数が増減した場合においても正しく識別情報(ID)を紐付けることによって、自動的に給電対象の情報を管理するようにしてよい。さらに、給電を行う給電装置10が複数存在する場合において、各給電装置10が得た情報の解析や各給電装置10同士の同期をとるために、給電装置10を全体管理するシステムを構成するようにしてよい。このようなシステムは、オンプレミスで実現してもよく、クラウドコンピューティングにより実現してもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 給電部
2 撮像部
3 信頼度算出部
4 判定部
5 給電制御部
6 通信部
7 スコア算出部
8 認証部
9 検知部
10 給電装置
11 記憶部
20 機器
21 受電部
22 蓄電部
23 通信部
24 駆動部
25 制御部
26 記憶部
100 給電システム