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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163912
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】基板切断装置および基板切断方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20221020BHJP
   B28D 7/02 20060101ALI20221020BHJP
   B28D 1/24 20060101ALI20221020BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20221020BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B28D7/02
B28D1/24
B23Q11/00 L
B23Q11/10 B
B23Q11/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069041
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】森國 俊充
【テーマコード(参考)】
3C011
3C069
5F063
【Fターム(参考)】
3C011EE01
3C069AA01
3C069BA04
3C069BC07
3C069CA06
3C069CB01
3C069DA06
3C069EA01
5F063AA15
5F063BA17
5F063BA48
5F063CA04
5F063DD23
5F063FF35
(57)【要約】
【課題】切断分離された端材(廃材)を安定して外部へ排出できて、切断分離作業の作業性の向上を図ることが可能で、しかも、効率のよい切断作業が可能となる基板切断装置および基板切断方法を提供する。
【解決手段】ブロー手段は、基板端材を、この基板端材が切断分離されて残る製品側から離間する方向への押し流し力を付与する媒体を噴射する媒体噴射ノズルを有する媒体噴射機構を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を切断して個片化するものであり、基板を受けるテーブルと、このテーブル上の基板を切断分離する切断手段と、この切断手段にて基板から切断分離される基板端材を受ける受け手段と、噴射媒体を噴き付けるブロー手段とを備えた基板切断装置であって、
前記ブロー手段は、前記基板端材を、この基板端材が切断分離されて残る製品側から離間する方向への押し流し力を付与する媒体を噴射する媒体噴射ノズルを有する媒体噴射機構を備えたことを特徴とする基板切断装置。
【請求項2】
前記テーブルは、前記基板から切断分離されてなる前記基板端材を受けるバックアップ部を備え、前記媒体噴射機構の媒体噴射ノズルからの噴射媒体を、基板端材の前記製品側の斜め上方から噴き付けて、基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与することを特徴とする請求項1に記載の基板切断装置。
【請求項3】
前記基板から切断分離されてなる基板端材の下方に空間部を介して基板端材を受ける端材受面が設けられ、前記媒体噴射機構の媒体噴射ノズルからの噴射媒体を、基板端材の反製品側の斜め上方から噴き付けて、基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与することを特徴とする請求項1に記載の基板切断装置。
【請求項4】
前記媒体噴射機構の媒体噴射ノズルから製品側から反製品側へ噴射媒体を噴き付けて、前記基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与する第1噴射形態と、前記媒体噴射機構の媒体噴射ノズルから反製品側から製品側へ噴射媒体を噴き付けて、前記基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与する第2噴射形態とを備え、前記第1噴射形態と前記第2噴射形態とは媒体噴射ノズルからの噴射方向の変更で形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の基板切断装置。
【請求項5】
前記媒体噴射機構は、前記基板端材の前記製品側の斜め上方から噴き付ける第1媒体噴射ノズルと、前記基板端材の反製品側の斜め上方から噴き付ける第2媒体噴射ノズルとを備えることを特徴とする請求項4に記載の基板切断装置。
【請求項6】
前記媒体噴射機構は、1機の媒体噴射ノズルを有し、この媒体噴射ノズルの媒体噴射方向の切り替えを可能としたことを特徴とする請求項4に記載の基板切断装置。
【請求項7】
前記テーブル上には、切断手段を調整するための部材を含む、基板切断時に使用しない機器類を配置するスペースを有さないことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の基板切断装置。
【請求項8】
前記ブロー手段による媒体噴射ノズルと切断手段の基板切断部とは一体的に移動することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の基板切断装置。
【請求項9】
前記切断手段の基板切断部は、基板切断用のカッタと、冷却媒体をカッタ乃至カッタにて切断されている切断部位とに噴射する冷却用媒体噴射ノズルとを有することを特徴とする請求項8に記載の基板切断装置。
【請求項10】
前記切断手段の基板切断部とブロー手段による媒体噴射ノズルとを一体的にXYZ軸方向に移動させるXYZ移動機構と、前記テーブルをθ方向に回転させる回転駆動機構とを備えたことを特徴とする請求項9に記載の基板切断装置。
【請求項11】
受け手段は、テーブルの外周側に配設される樋部材を有することを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の基板切断装置。
【請求項12】
前記テーブルに、個片化されてなる各基板小片をテーブルの基板載置面に吸着する吸着手段を設けたことを特徴とする請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の基板切断装置。
【請求項13】
ブロー手段の噴射媒体及び切断手段の冷却媒体が水であることを特徴とする請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の基板切断装置。
【請求項14】
前記請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の基板切断装置を用いて、基板を切断して個片化する基板切断方法であって、
切断手段にて基板端材を切断した後、切断手段のカッタを上昇させて基板から離間させた状態で、基板端材切断方向と相反する方向に媒体噴射ノズルを移動させつつ前記端材切断時に使用した媒体噴射ノズルから噴射媒体を噴き付けることを特徴とする基板切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板切断装置および基板切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CPU基板(マザーボード)を製造する場合、図12に示すように、複数の回路パターンを形成した基板51を形成した後、この基板51を切断分離装置にて切断して個片化することによって、複数個のマザーボード52となる。図12において、54は切断線を示している。
【0003】
図12に示すように個片化すれば、基板の各辺側において不要な端材(廃材)55が発生する。このため、発生した端材(廃材)55を廃棄する必要が生じる。このため、従来には、基板51に切断装置において、不要な廃材55を効率よく収集して排出できるようにしたものが提案されている(特許文献1)。なお、この特許文献1では、複数個のIC等の電子部品を樹脂材料にて封止成形した成形済基板を個片化するものである。
【0004】
この特許文献1に記載のものは、基板を切断する切断機構と、切断機構にて切断された廃材を含む廃水から水と廃材とを分離する廃水分離部と、廃水分離部に収集された廃材を収容する廃材収容箱とを備えたものである。
【0005】
この場合、切断機構にて切断された廃材を、廃水分離部にて水と分離し、この廃材を排出部材にて廃材を廃材収容箱に収容させるものである。すなわち、廃材の排出機構部において、まず、廃材を含む廃水を廃水受部から廃水分離部に落下流出させ、次に、廃水分離部において、廃材を含む廃水から廃水を分離除去して廃水収容部に収容し、且つ、廃水分離部に廃材を残存させ、更に、排出部材を廃材の排出方向に移動させることにより、廃材を移動させ、廃材収容箱内に廃材を落下させて収容することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-297851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載のものでは、排出部材を廃材収容箱側に移動させることによって、廃水分離部の廃材を廃材収容箱に供給するものであるため、排出部材を移動させる際に、排出部材に廃材が引っ掛かってうまく廃材収容箱に供給できなかったり、移動が規制されたりするおそれがある。また、排出部材を移動させるものであるので、自動的に移動させる構造とすれば、装置構成が複雑化し、手動にて移動させる構造とすれば、作業者の負担が大となって、作業性に劣ることになる。
【0008】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、切断分離された端材(廃材)を安定して外部へ排出できて、切断分離作業の作業性の向上を図ることが可能で、しかも、効率のよい切断作業が可能となる基板切断装置および基板切断方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基板切断装置は、基板を切断して個片化するものであり、基板を受けるテーブルと、このテーブル上の基板を切断分離する切断手段と、この切断手段にて基板から切断分離される基板端材を受ける受け手段と、噴射媒体を噴き付けるブロー手段とを備えた基板切断装置であって、前記ブロー手段は、前記基板端材を、この基板端材が切断分離されて残る製品側から離間する方向への押し流し力を付与する媒体を噴射する媒体噴射ノズルを有する媒体噴射機構を備えたものである。
【0010】
本発明の基板切断装置によれば、切断手段にてテーブル上の基板を切断分離できて個片化できる。切断手段にて切断された基板端材をブロー手段にて受け手段側に押し流すことができる
【0011】
前記テーブルは、前記基板から切断分離されてなる前記基板端材を受けるバックアップ部を備え、前記媒体噴射機構の媒体噴射ノズルからの噴射媒体を、基板端材の前記製品側の斜め上方から噴き付けて、基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与するものであってもよい。
【0012】
このように、バックアップ部を備えたものでは、切断されてなる基板端材は、バックアップ部に受けられることになる。しかしながら、媒体噴射機構の媒体噴射ノズルからの噴射媒体にて、基板端材が製品側から離間する方向への押し流し力が付与される。このため、基板端材は、このバックアップ部を介して外部へ排出されることになる。
【0013】
前記基板から切断分離されてなる基板端材の下方に空間部を介して基板端材を受ける端材受面が設けられ、前記媒体噴射機構の媒体噴射ノズルからの噴射媒体を、基板端材の反製品側の斜め上方から噴き付けて、基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与するものであってもよい。
【0014】
このように、基板端材の下方に空間部が設けられたものでは、切断されてなる基板端材は、この空間部を介して端材受面に落ちることになる。しかしながら、媒体噴射機構の媒体噴射ノズルからの噴射媒体にて、基板端材が製品側から離間する方向への押し流し力が付与され、端材受面を介して基板端材が外部へ排出されることになる。
【0015】
前記媒体噴射機構の媒体噴射ノズルから製品側から反製品側へ噴射媒体を噴き付けて、前記基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与する第1噴射形態と、前記媒体噴射機構の媒体噴射ノズルから反製品側から製品側へ噴射媒体を噴き付けて、前記基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与する第2噴射形態とを備え、前記第1噴射形態と前記第2噴射形態とは媒体噴射ノズルからの噴射方向の変更で形成されるものであってもよい。
【0016】
このように、第1噴射形態と第2噴射形態との変更が可能なものでは、基板切断装置として、基板端材を受けるバックアップ部を有するものであっても、基板端材を受けるバックアップ部を有さないもの(基板端材の下方に空間部が設けられるもの)に対応でき、種々の基板に対応できる。すなわち、切断手段にて切断する際にバックアップ部を必要とする基板や、切断手段にて切断する際にバックアップ部を必要としない基板等に対応できる。
【0017】
前記媒体噴射機構は、前記基板端材の前記製品側の斜め上方から噴き付ける第1媒体噴射ノズルと、前記基板端材の反製品側の斜め上方から噴き付ける第2媒体噴射ノズルとを備えるものであってもよい。この場合、第1媒体噴射ノズルにて、噴射媒体を噴き付けることにより、第1噴射形態とでき、第2媒体噴射ノズルにて、噴射媒体を噴き付けることにより、第2噴射形態とできる。
【0018】
第1媒体噴射ノズルと第2媒体噴射ノズルとを備えたものでは、バックアップ部を備えた場合に、第1媒体噴射ノズルから噴射媒体を噴き付けることにより、基板端材を製品から離間する方向に押し流すことができる。また、バックアップ部を備えず、基板端材の下方に空間部を介した端材受面が設けられたものである場合に、第2媒体噴射ノズルから噴射媒体を噴き付けることにより、基板端材を製品から離間する方向に押し流すことができる。
【0019】
前記媒体噴射機構は、1機の媒体噴射ノズルを有し、この媒体噴射ノズルの媒体噴射方向の切り替えを可能としたものであってもよい。この場合、媒体噴射ノズルの媒体噴射方向の切り替えで、第1噴射形態としたり、第2噴射形態としたりできる。
【0020】
前記テーブル上には、切断手段を調整するための部材を含む、基板切断時に使用しない機器類を配置するスペースを有さないようにするのが好ましい。このように、設定することによって、回転テーブルの小形化を図ることができ、軽量化を図ることができて、比較的小さい駆動力で回転させることができ、しかも、回転部(ベアリング等)の剛性も大とする必要が無くなって、設計性の向上及びコストの低減を達成できる。
【0021】
前記ブロー手段による媒体噴射ノズルと切断手段の基板切断部とは一体的に移動するようにするのが好ましい。このように一体的とすることによって、ブロー手段による媒体噴き付け位置が安定し、基板端材の受け手段側への押し流しが安定する。
【0022】
前記切断手段の基板切断部は、基板切断用のカッタと、冷却媒体をカッタ乃至カッタにて切断されている切断部位とに噴射する冷却用媒体噴射ノズルとを有するものとできる。これによって、冷却用媒体噴射ノズルから噴射される冷却媒体をカッタおよび切断部位を冷却することができ、カッタの切断機能を低下させないとともに、カッタや基板の損傷を有効に防止できる。
【0023】
前記切断手段の基板切断部とブロー手段による媒体噴射ノズルとを一体的にXYZ軸方向に移動させるXYZ移動機構と、前記テーブルをθ方向に回転させる回転駆動機構とを備えるのが好ましい。このように構成することによって、基板切断部をXYZ移動機構にて、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に3軸方向に移動させることができる。このため、まず、基板切断部をZ軸方向に沿って上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、X軸方向に沿って移動させれば、基板に対してX軸方向の切断線を形成することができる。その後、基板切断部をZ軸方向に沿って上昇させた後、所定ピッチだけ基板切断部をY軸方向に移動させ、次に上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、X軸方向に沿って移動させれば、基板に対して、前回のX軸方向の切断線よりも所定ピッチだけY軸方向にずれたX軸方向の切断線を形成することができる。以後同様に、所定ピッチだけY軸方向にずれたX軸方向の切断線を形成することによって、基板のY軸方向全範囲に、所定ピッチだけY軸方向にずれた複数本のX軸方向の切断線を形成できる。次に、回転駆動機構にてテーブルを90°回転させれば、前記形成された切断線は、基板のX軸方向全範囲に、所定ピッチだけX軸方向にずれた複数本のY軸方向の切断線となる。そこで、前記した工程を行うことによって、基板のY軸方向全範囲に、所定ピッチだけY軸方向にずれた複数本のX軸方向の切断線を形成する。これによって、基板にマトリックス状の切断線を形成することができ、基板の個片化が可能となる。このように、XYZ移動機構と回転駆動機構とを備えたものでは、基板にマトリックス状の切断線を形成することができ、基板の個片化が可能となって、基板切断装置として安定する。
【0024】
受け手段は、テーブルの外周側に配設される樋部材を有するものとできる。このような樋部材を設けることによって、基板端材をこの樋部材にて受けることができ、しかも、構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0025】
前記テーブルに、個片化されてなる各基板小片をテーブルの基板載置面に吸着する吸着手段を設けものが好ましい。このように、吸着手段を設けたものでは、切断時に基板がずれることがなくなって、形成される切断線が安定する。
【0026】
ブロー手段の噴射媒体及び切断手段の冷却媒体に水を用いることができる。このように、水を用いることによって、低コスト化を図ることができ、安定した噴き付けと冷却を行うことができる。
【0027】
本発明の基板切断方法は、前記基板切断装置を用いて、基板を切断して個片化する基板切断方法であって、切断手段にて基板端材を切断した後、切断手段のカッタを上昇させて基板から離間させた状態で、基板端材切断方向と相反する方向に媒体噴射ノズルを移動させつつ媒体噴射ノズルから噴射媒体を噴き付けるものである。
【0028】
切断手段にて基板端材を切断していく場合、媒体噴射ノズルから噴射媒体を噴き付けるものである。しかしながら、この場合、カッタが、相対面する切断端面間に生じる隙間に侵入状となっているため、噴射媒体が、この切断端面間に侵入しにくく、基板端材の受け手段側への押し流しが不安定となる場合がある。このため、切断手段のカッタを上昇させた状態で、切断方向(切断する際のカッタの移動方向)と相反する方向(カッタの切断終端からカッタの切断始端側への戻し方向)に媒体噴射ノズルを移動させつつ媒体噴射ノズルから噴射媒体を噴き付けることによって、基板端材の受け手段側への押し流しが安定する。すなわち、切り離すべき基板端材に対して、カッタが存在しない状態で、噴射媒体で、受け手段側へ押し流すことができ、押し流しの精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、切断手段にて切断された基板端材をブロー手段にて受け手段側に押し流すことができ、このため、基板端材を受け手段に安定して供給でき、テーブル等に停滞することがなくなって、作業者による基板端材の除去作業を不要とする。特に、回転テーブルの回転は、列方向に沿った基板の切断と、行方向に沿った基板の切断との際の切り替えの際に90度だけ回転させればよく、生産性に優れ、また、媒体噴射ノズルの向きを変更する構成を必要としないので、装置の簡略化を図って低コストを達成できる。
【0030】
本発明の基板切断方法では、基板端材切断方向と相反する方向に媒体噴射ノズルを移動させつつ前記端材切断時に使用した媒体噴射ノズルから噴射媒体を噴き付けることによって、基板端材を安定して、基板の製品側から離間させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態を示す基板切断装置の簡略断面図である。
図2図1に示す基板切断装置の媒体噴射ノズルを省略した簡略断面図である。
図3図1に示す基板切断装置の簡略平面図である。
図4図1に示す基板切断装置の要部断面図である。
図5】基板の切断線形成順序を示し、(a)はX軸方向の切断線を形成した状態の簡略図を示し、(b)は前記(a)の状態から90°回転させた状態の簡略図である。
図6図1に示す基板切断装置を用いて基板に切断線をマトリックス状に形成した状態の簡略図である
図7】第1媒体噴射ノズルからの媒体の噴射方向を示す簡略平面図である。
図8】第2媒体噴射ノズルからの媒体の噴射方向を示し、(a)は往路を走行中の簡略側面図であり、(b)は復路を走行中の簡略側面図である。
図9】第2媒体噴射ノズルからの媒体の噴射方向を示す簡略平面図である。
図10】第2媒体噴射ノズルからの媒体の噴射方向を示す簡略正面図である。
図11】比較例を示す基板切断装置の簡略断面図である。
図12】基板に切断線をマトリックス状に形成した状態の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本発明にかかる基板切断装置を示し、この基板切断装置は、基板1を受けるテーブル2と、このテーブル2上の基板1を切断分離する切断手段3と、この切断手段3にて基板1から切断分離される基板端材1bを受ける受け手段4と、噴射媒体を噴き付けて前記切断手段にて切断された基板端材1bを受け手段4側に押し流すブロー手段5と、基板端材1bを受け手段4に案内するガイド手段6とを備える。
【0034】
基板1は、複数の回路パターンを形成したものであって、図6に示すように、個片化して、CPU基板(マザーボード基板)である基板小片1aを形成するものである。このように、基板1にマトリックス状の切断線L1,L2を作成することによって、製品としての基板小片1aを形成した場合、基板1の4つの辺側に、廃材としての前記基板端材1bが形成される。
【0035】
テーブル2は、その上壁が平面視において正方形状をなし、図1図2に示すように、複数個に分割された小ブロック片部10を形成している。すなわち、小ブロック片部10は、この切断装置にて切断分離されて形成される基板小片1aに対応する。そして、このテーブル2には、基板小片1aが各小ブロック片部10に吸着される吸着手段11が付設される。吸着手段11は、図示省略の真空機構を備え、テーブル内には、真空通路12が形成される。また、各小ブロック片部10には吸引口13が設けられ、この吸引口13が真空通路12に連通している。このため、真空機構を駆動させて、真空通路12を負圧状態とすることによって、吸引口13を介して、各基板小片1aが各小ブロック片部10に吸着される。なお、真空機構としては、真空ポンプや真空エジェクタ等が使用される。
【0036】
また、このテーブル2は、図示省略の回転駆動機構によって、その中心部を中心にθ方向に回転する。なお、回転駆動機構は、例えば、駆動用モータ(サーボモータ等)と、この駆動用モータの回転駆動力をテーブル2に伝達する駆動力伝達機構とからなる。駆動力伝達機構としては、ギア機構やベルト機構等から構成することができる。
【0037】
切断手段3は、円盤状のカッタ15と、このカッタ15をその軸心周りに回転させるモータ16と、冷却媒体(例えば、冷却水)を噴射する噴射機構とを備える。噴射機構は、回転駆動するカッタ15の近傍に配置される冷却用媒体噴射ノズル(図示省略)を有し、図外の冷却媒体供給源からの冷却媒体を冷却用媒体噴射ノズルを介してカッタ15乃至カッタ15による基板1の切断部位に噴き付けることになる。
【0038】
この場合、カッタ15とモータ16と媒体噴射ノズル等で構成される基板切断部MがXYZ移動機構(図示省略)によって、相互に直交するX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動することができる。ここで、X軸方向とY軸方向とは、水平面内での図5の座標で示す方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。XYZ移動機構は、XYZ軸ステージやXYZアームを用いることができる。
【0039】
受け手段4は、テーブル2の外周側に配設される樋部材20(20a、20b)を有する。樋部材20は、図3に示すように、テーブル2の前方および後方に配設され、上方向開口部を有する枠体からなる。すなわち、図1に示すように、前方の樋部材20aは、前壁21aと後壁22aと底壁23aとを備え、ガイド手段6にて案内された端材1bが収容される。また、後方の樋部材20bは、前壁21bと後壁22bと底壁23bとを備え、ガイド手段6にて案内された端材1bが収容される。この場合、基板1から切断されてなる基板端材1bを受けるバックアップ部60がテーブル2に設けられている。
【0040】
また、テーブル2の両側方側には、図3に示すように、樋部材20a、20b間に端材1bをガイドするガイド部材25(25a、25b)が配置されている。ガイド部材25は、前後の樋部材20a、20bの中間部から前方に向かって下傾する傾斜板26と、前後の樋部材20a、20bの中間部から後方に向かって下傾する傾斜板27とを備える。このため、ガイド部材25(25a、25b)に落下した端材1bがガイド部材25の傾斜板26、27に案内されて前方の樋部材20aか後方の樋部材20bに供給される。
【0041】
ガイド手段6は、テーブル2の4つの辺にそれぞれ付設され、基板1側から受け手段4側に向かって斜め下方に傾斜するガイド板30を有するものである。このガイド板30の上面31には、テーブル2の対応する辺と直交する方向の複数本の凹溝32がその辺に沿って所定ピッチで配設されている。
【0042】
また、ガイド手段6には、図1図2においてはその図示を省略したが、図3図4に示すように、各樋部材20a、20b側にガイド板30よりも下方位置に配設される下ガイド板35を設けるようにしてもよい。この場合の下ガイド板35は、基板1側から受け手段4側に向かって斜め下方に傾斜するものであって、その外端縁部がガイド板30よりも外方に突出している。また、ガイド板30と同様に、上面に凹溝を設けてもよい。
【0043】
ブロー手段5は、カッタ15とモータ16と冷却用媒体噴射ノズル等で構成される基板切断部Mに付設される媒体噴き付け部としての一対の第1・第2媒体噴射ノズル40A,40Bを有する媒体噴射機構8を備え、第1・第2媒体噴射ノズル40A,40Bから噴射媒体W(図7参照)としても水が基板の切断部位に噴射される。すなわち、ブロー手段5は、この第1・第2媒体噴射ノズル40A,40Bと、この第1・第2媒体噴射ノズル40A,40Bに噴射媒体Wとしての水を供給する図示省略の供給源とを備える。このため、基板切断部Mと第1・第2媒体噴射ノズル40A,40Bとは一体に、前記XYZ移動機構によって、移動することになる。各媒体噴射ノズル40A,40Bは、カッタ支持枠に一体的に付設される。
【0044】
基板切断部Mと媒体噴射ノズル40(40A,40B)とで構成される移動ユニット体Aは、図例では1機であったが、切断効率等を考慮すれば2機備えるのが好ましい。移動ユニット体Aを2機配置する場合、基板1に対して対称位置に配設する。
【0045】
第1媒体噴射ノズル40Aは、図1の実線で示すように、その噴射口40Aaからの噴射媒体W(図7参照)が、一方の樋部材20aのガイド手段6のガイド板30の傾斜に沿って噴射され、第2媒体噴射ノズル40Bは、図1の仮想線で示すように、その噴射口40Aaからの噴射媒体W(図7参照)が、他方の樋部材20bのガイド手段6のガイド板30の傾斜に沿って噴射される。
【0046】
この場合、第1媒体噴射ノズル40Aからの噴射媒体Wは、平面視においては、図7に示すように、カッタ15の走行方向に対して、斜め外方(反製品側)に向いている。このため、基板端材1bは、カッタ15の走行方向に対して斜め外方(反製品側)に押し流されることになって、製品から離間していくことになる。
【0047】
すなわち、第1噴射ノズル40Aから噴射された噴射媒体Wの製品側は、矢印X1のように噴射され、また、第1噴射ノズル40Aから噴射された噴射媒体Wの反製品側は、矢印X2のように流れる。したがって、走行方向(切断方向)の上流側から下流側に向かって、矢印X3に示すように流れになる。このため、基板端材1bは、パックアップ部60上を安定して受け手段4側へ押し流されることになる。
【0048】
第1・第2媒体噴射ノズル40A、40Bの噴き出し媒体の噴射方向としては、後述するように、切断された基板端材1bを製品側(基板小片1a側)から切り離せて、ガイド手段6のガイド板30へ押し流される方向であればよい。このため、第1・第2媒体噴射ノズル40A、40Bの噴き出し媒体の噴射角度α1、α2(カッタ走行方向から見ての角度)としては、30°~60°の範囲に設定するのが好ましい。この際、噴き出し媒体の噴射角度α1、α2と、ガイド板30、30の傾斜角度β1、β2と同じ角度でなくてもよい。
【0049】
また、第1・第2媒体噴射ノズル40A、40Bにて噴き出される噴き出し媒体としての流速・流量も、切断された基板端材1bがガイド手段6のガイド板30へ押し流すことが可能な範囲で種々設定することができる。この場合、第1・第2媒体噴射ノズル40A、40Bの噴き出し媒体の噴射角度α1、α2や噴き出し媒体の種類等に応じて、噴き出し媒体の流速・流量を変更できる。
【0050】
ところで、この種の基板切断装置には、切断手段3のカッタ15を研磨する砥石、Y軸補正確認、Z軸補正確認等の機器類を配置するのが一般的である。このため、従来の基板切断装置では、このような機器類は、基板1が載置保持されるテーブル2に配置するのが一般的である。
【0051】
しかしながら、テーブル2に、このような機器類を配置すれば、機器類を含むテーブル2の重量が大となり、テーブル2を回転駆動させる場合、大きな駆動力を必要とし、しかも、回転部(ベアリング等)の剛性も大とする必要があった。
【0052】
そこで、本発明では、切断手段3を調整するための部材(砥石等)を含む、基板切断時に使用しない機器類を配置するスペースを有さないものとする。このため、基板切断時に使用しない機器類をテーブル2以外の部位に配置することになる。
【0053】
次に前記したように構成された基板切断装置を用いた基板1の切断分離方法を説明する。まず、テーブル2上に基板1を載置する。そして、吸着手段11にて、各小ブロック片部10ごとに基板1を吸着する。この状態で、基板切断部Mと媒体噴射ノズル40(40A,40B)とで構成される移動ユニット体Aを、XYZ移動機構の駆動によって、図5(a)(b)に示すように、基板1に対して切断線L1を形成する。
【0054】
すなわち、基板切断部M、ひいては移動ユニット体AをZ軸方向に沿って上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、図5(a)の座標軸で示すX軸方向に沿って移動させることによって、基板に対してX軸方向の切断線を形成することができる。この場合、移動ユニット体Aが2機あれば、まず、一方の移動ユニット体Aで前方側の切断線L1を形成するとともに、他方のユニット体Aで後方側の切断線L1を形成する。
【0055】
その後、各ユニット体AをZ軸方向に沿って上昇させた後、一方の移動ユニット体Aを所定ピッチだけY軸方向後方側に移動させ、次に上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、X軸方向に沿って移動させる。これによって、基板1に対して、前回のX軸方向の切断線よりも所定ピッチだけY軸方向後方側にずれたX軸方向の切断線L1を形成することができる。また、他方の移動ユニット体Aを所定ピッチだけY軸方向前方側に移動させ、次に上昇させた状態からZ軸方向に沿って下降させて、X軸方向に沿って移動させる。これによって、基板に対して、前回のX軸方向の切断線よりも所定ピッチだけY軸方向前方側にずれたX軸方向の切断線L1を形成することができる。
【0056】
以後同様に、所定ピッチだけY軸方向にずれたX軸方向の切断線L1を、順次形成していけば、図5(a)に示すように、基板のY軸方向全範囲に、所定ピッチだけY軸方向にずれた複数本のX軸方向の複数本の切断線L1を形成できる。
【0057】
次に、回転駆動機構にて、図5(b)に示すように、テーブルを90°回転させれば、前記形成された切断線L1は、基板のX軸方向全範囲に、所定ピッチだけX軸方向にずれた複数本のY軸方向の複数本の切断線となる。
【0058】
そこで、前記した工程を行うことによって、図6に示すように、基板のY軸方向全範囲に、所定ピッチだけY軸方向にずれた複数本のX軸方向の複数本の切断線L2を形成する。これによって、基板1にマトリックス状の切断線L1,L2を形成することができ、基板1の個片化が可能となる。
【0059】
ところで、切断線L1,L2の形成時には、切断手段3では冷却媒体(冷却水)が噴射され、ブロー手段5からは噴射媒体(噴き付け水)が噴射される。このため、端材1bを基板1から切断分離される際には、図1に示すように、ガイド板30側へ噴射媒体にて押し流される。
【0060】
ところで、基板1を、マトリックス状に切断していく場合、たとえば、列方向に沿って基板1を切断していけば、最初の基板端材1bを切断して、この基板端材1bを製品から離間させる方向と、最後の基板端材1bを切断してこの基板端材1bを製品から離間させる方向が相違する。しかしながら、本基板切断装置では、一対の媒体噴射ノズル40A,40Bを備え、しかも、一対の媒体噴射ノズル40A,40Bは基板端材を相反する方向への押し流し力を付与するので、最初の基板端材1bであっても、最後の基板端材1bであっても、それぞれの基板端材1bを製品から離間させる方向に押し流すことができる。
【0061】
これに対して、一定の噴射方向に設定された媒体噴射ノズルを1機備えたものでは、回転テーブルを回転させて対応させるが、媒体噴射ノズルの向きを変更したりする必要性があり、作業性に劣り、また、媒体噴射ノズルの向きを変更する場合、向きを変更するために機構を必要として装置構成の複雑化を招くことになる。しかしながら、本発明では、テーブル2の回転は、列方向に沿った基板1の切断と、行方向に沿った基板1の切断との際の切り替えの際に90度だけ回転させればよく、また、媒体噴射ノズル40の向きを変更する構成を必要としない。
【0062】
なお、基板端材1b切断の際には、噴射媒体(水)及び冷却媒体(冷却水)がガイド板30の凹溝32を、基板側から樋部材20(20a、20b)へと流れる。このため、ガイド板30側に押し流された端材1bは、樋部材20(20a、20b)へと流れる。
【0063】
ところで、この装置では、XYZ移動機構、回転駆動機構、切断手段3、及びブロー手段5等が、図示省略の制御手段にて制御され、前記切断工程が実施される。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。なお、前記ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0064】
本発明では、切断手段3にて切断された基板端材1bをブロー手段5にて受け手段4側に押し流すことができ、しかも、押し流す際には、基板端材1bはガイド手段6にて受け手段4に案内される。このため、基板端材1bが受け手段4に安定して供給でき、テーブル2等に停滞することがなくなって、作業者による基板端材1bの除去作業を不要とする。
【0065】
ガイド手段6が凹溝32を上面に有するガイド板30を有するので、ガイド板30の基板端材1bが付着することなく基板端材1bを受け手段4に供給することができ、基板端材1bの回収作業が安定する。また、媒体噴射ノズル40と基板切断部Mとが一体的に移動できるので、基板端材1bに対して安定して媒体を噴き付けることができ、基板端材1bを安定して押し流すことができる。
【0066】
冷却用媒体噴射ノズルから噴射される冷却媒体にてカッタ15および切断部位を冷却することができるので、カッタ15の切断機能を低下させないとともに、カッタ15や基板1の損傷を有効に防止できる。XYZ移動機構と回転駆動機構とを備えるので、基板1にマトリックス状の切断線L1,L2を形成することができ、基板1の個片化が可能となって、基板切断装置として安定する。
【0067】
樋部材20を設けているので、基板端材1bをこの樋部材20にて受けることができ、しかも、構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0068】
下ガイド板35を設けたことにより、上方のガイド板30で届かない位置への受け手段4への案内が可能となり、受け手段4外への基板端材1bの排出がなくなる。また、テーブル2を回転させる場合の回転スペースを考慮して、上方のガイド板30を大きくできない場合等において、このような下ガイド板35を設けることによって、回転スペースを大きくとれない部位に、この装置を設置できる利点がある。下ガイド板35の上面に凹溝を設けたことによって、この凹溝を噴射媒体が流れるので、ガイド板30上に基板端材1bが付着することなく受け手段4側に流れていく。
【0069】
吸着手段11によって、各基板小片1aが小ブロック片部10に吸着されるので、切断時に基板1がずれることがなくなって、形成される切断線L1,L2は安定する。ブロー手段5の噴射媒体及び切断手段3の冷却媒体に水を用いることによって、低コスト化を図ることができ、安定した噴き付けと冷却が可能となる。
【0070】
ところで、図11は、比較例として、ガイド手段6を有さない場合を示している。このように、ガイド手段6がなければ、ブロー手段5にて端材1bを吹き飛ばしても、樋部材20(20a)(20b)に収容されにくく、テーブル2の段部等に溜まるおそれがある。このように、溜まれば、溜まった端材1bが設備エラーを引き起す場合があり、これを防止するために、定期的に(短時間間隔に)作業者がこの端材1bの除去作業を行う必要があり、作業性に劣るものとなる。
【0071】
これに対して、本発明のように、ガイド手段6を設けることによって、端材1bが樋部材20以外の部位に溜まることがなく、短時間間隔毎の作業者による端材1bの除去作業を行う必要がなく、大幅な作業性の向上を図ることができる。
【0072】
切断手段3にて基板端材1bを切断していく場合、媒体噴射ノズルから噴射媒体を噴き付けるものであるが、この場合、カッタ15が、相対面する切断端面間に生じる隙間に侵入状となっているため、噴射媒体Wが、この切断端面間に侵入しにくく、基板端材1bの受け手段4側への押し流しが不安定となる場合がある。このため、切断手段3のカッタ15を上昇させた状態で、切断方向(切断する際のカッタ15の移動方向)と相反する方向(カッタ15の切断終端からカッタ15の切断始端側への戻し方向)に媒体噴射ノズル40A(40B)を移動させつつ媒体噴射ノズル40A(40B)から噴射媒体を噴き付けることによって、基板端材1bの受け手段4側への押し流しが安定する。すなわち、切り離すべき基板端材1bに対して、カッタ15が存在しない状態で、噴射媒体で、受け手段4側へ押し流すことができ、押し流しの精度の向上を図ることができる。
【0073】
ところで、前記実施形態では、テーブル2に、基板端材1bを受けるバックアップ部60を設けていたが、図8(a)(b)に示すように、バックアップ部60を設けずに、基板端材1bの下方に空間部61を介して端材受面62を設けたものであってもよい。
【0074】
このように、空間部61を設けたものでは、基板端材1bを受け手段4側へ押し流すために用いる噴射ノズル40としては、反製品側に配置される第2噴射ノズル40Bを用いることになる。なお、図8(a)は、基板1を切断しつつ第2噴射ノズル40Bからの噴射媒体Wの噴射状態を示し、図8(b)は、基板1を切断しない状態の第2噴射ノズル40Bからの噴射媒体Wの噴射状態を示している。
【0075】
この第2噴射ノズル40Bの噴射口40Baは、図10に示すように、カッタ15の走行方向(切断方向)の上流側に設けられ、カッタ15の走行方向から見て、図8(a)(b)に示すように、第2噴射ノズル40Bの噴射口40Baから三角形状に広がって、端材受面62に噴射されることになり、平面視においては、図9に示すように、噴射口40Baから三角形状に広がって、反製品側から空間部61の鉛直端面63に当たるように噴射される。
【0076】
このため、第2噴射ノズル40Bから噴射された噴射媒体Wの製品側は、矢印X4のように噴射され、この空間部61の鉛直端面63に当たって、矢印X5に示すように流れる。また、第2噴射ノズル40Bから噴射された噴射媒体Wの反製品側は、矢印X6のように流れる。したがって、走行方向(切断方向)の上流側から下流側に向かって、矢印X7に示すように流れる。また、この流れは、基板端材1bが端材受面62に落ちる前に形成されるので、基板端材1bと端材受面62との間に介在されることになり、基板端材1bは、端材受面62上を安定して受け手段4側へ押し流されることになる。
【0077】
前記実施形態では、噴射ノズル40として、製品側から反製品側へと媒体を噴射する第1噴射ノズル40Aと、反製品側から製品側へと媒体を噴射する第2噴射ノズル40Bとを備えたものであった。すなわち、実施形態では、第1噴射ノズル40Aを用いれば、製品側から反製品側へ噴射媒体を噴き付けて、基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与する第1噴射形態を形成し、第1噴射ノズル40Aを用いれば、反製品側から製品側へ噴射媒体を噴き付けて、基板端材を製品側から離間する方向への押し流し力を付与する第2噴射形態を形成することができる。
【0078】
これに対して、噴射ノズル40を1機のみを備えたものであってもよい。この場合、1機の噴射ノズル40を第1噴射形態となる状態と、第2噴射形態となる状態とに変位させる構成とすればよい。具体的には、媒体噴射ノズル40が線対称の関係となるように変位できるように構成すればよい。
【0079】
このように、第1噴射形態と第2噴射形態との変更が可能なものでは、基板切断装置として、基板端材1bを受けるバックアップ部60を有するものであっても、基板端材1bを受けるバックアップ部60を有さないもの(基板端材1bの下方に空間部61が設けられるもの)に対応でき、種々の基板に対応できる。すなわち、切断手段3にて切断する際にバックアップ部60を必要とする基板1や、切断手段3にて切断する際にバックアップ部60を必要としない基板1等に対応できる。
【0080】
ところで、図8等に示すように、バックアップ部60を有さない場合であっても、図1等に示すようなガイド板30を有するガイド手段6を設け、基板端材1bをこのガイド手段6を介して樋部材20に排出するようにするのが好ましい。しかしながら、このようなガイド手段6を設けることなく、基板端材1bを空間部61から直接的に樋部材20に排出するものであってもよい。このため、図1に示すように、バックアップ部60を有する場合であっても、このようなガイド手段6を設けることなく、基板端材1bをバックアップ部60から直接的に樋部材20に排出するものであってもよい。
【0081】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、噴射媒体Wとして、水を用いたが、水以外の種々の液体、気体、気泡を含んだ液体等の種々の流体を用いてもよい。水以外の流体としては、基板を洗浄する洗浄液等を用いることができる。また、気体としてエア等を用いることができる。ガイド板30の傾斜角度、凹溝32の幅寸法、凹溝32の深さ寸法、凹溝32の断面形状、凹溝32の配設数、凹溝32の配設ピッチ等も、切断分離される端材を、ガイド板30に付着させることなく、受け手段4側に押し流すことができる範囲で任意に設定できる。また、下ガイド板35を有さないものであってもよい。
【0082】
移動ユニット体Aの数としても1機以上あればよいので、3機であっても、4機であってもよい。このため、媒体噴射ノズル40として、移動ユニットAに対して、1機以上あればよく、3機以上あってもよい。また、形成される切断線L1、L2の配設ピッチとしても、任意に設定できる。すなわち、テーブル2の小ブロック片部10の大きさに応じて種々設定できる。また、切断手段3のカッタ15として円盤カッタを用いたが、ルータビット等の他の切断工具を用いてもよい。
【0083】
テーブル2の小ブロック片部10の数や大きさ等任意に設定できる。また、図例では、小ブロック片部10は平面的に見て正方形であったが、長方形であってもよい。
【0084】
ところで、バックアップ60を有する場合、このバックアップ部60を受けることができる大きさであればよく、また、空間部61を有する場合、空間部61の大きさとして、媒体噴射ノズル40Bから媒体噴射された媒体が図9に示すような媒体の流れが生じて、端材受面62に落下した、切断されてなる基板端材1bが製品から離れるようにこの流れに沿って流れて、樋部材20に落下すればよい。
【符号の説明】
【0085】
1 基板
1a 基板小片
1b 基板端材
2 テーブル
3 切断手段
4 受け手段
5 ブロー手段
6 ガイド手段
15 カッタ
16 モータ
20、20a、20b 樋部材
25、25a、25b ガイド部材
30 ガイド板
31 上面
32 凹溝
35 下ガイド板
40、40A,40B 媒体噴射ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12