IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-カセット引き込み装置 図1
  • 特開-カセット引き込み装置 図2
  • 特開-カセット引き込み装置 図3
  • 特開-カセット引き込み装置 図4
  • 特開-カセット引き込み装置 図5
  • 特開-カセット引き込み装置 図6
  • 特開-カセット引き込み装置 図7
  • 特開-カセット引き込み装置 図8
  • 特開-カセット引き込み装置 図9
  • 特開-カセット引き込み装置 図10
  • 特開-カセット引き込み装置 図11
  • 特開-カセット引き込み装置 図12
  • 特開-カセット引き込み装置 図13
  • 特開-カセット引き込み装置 図14
  • 特開-カセット引き込み装置 図15
  • 特開-カセット引き込み装置 図16
  • 特開-カセット引き込み装置 図17
  • 特開-カセット引き込み装置 図18
  • 特開-カセット引き込み装置 図19
  • 特開-カセット引き込み装置 図20
  • 特開-カセット引き込み装置 図21
  • 特開-カセット引き込み装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163913
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】カセット引き込み装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B65H1/26 312B
B65H1/26 312Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069043
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 幹夫
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FB01
3F343FC30
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA27
3F343HB03
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC12
3F343LC20
3F343LD04
3F343LD26
3F343MA10
3F343MA51
(57)【要約】
【課題】使用者の負荷を低減して、給紙カセットを円滑に挿入することができるカセット引き込み装置を提供する。
【解決手段】実施形態のカセット引き込み装置は、ガイド部、第1部材、第2部材、第1回転軸、第1リンク、第2回転軸、第2リンク、およびリブを持つ。ガイド部は、給紙カセットから突出するピンを案内する。第1部材にはガイド部が形成されている。第2部材は、第1部材と対向する。第1リンクは、第1回転軸において回転支持される。第2回転軸は、第1リンクに設けられる。第2リンクは、第2回転軸において回転支持される。第2リンクは係合溝を持つ。係合溝は、第1方向においてピンと係合しピンの移動方向に交差する方向にピンと摺動する。リブは、第1部材および第2部材の一方または両方に設けられる。リブは、第1回転軸回りの第1リンクの回転に伴う第2リンクの移動範囲において、第2リンクにおける側面と摺動する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において挿脱可能に設けられた給紙カセットから前記第1方向と直交する第2方向に突出されたピンの位置を、前記給紙カセットの挿脱時に、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向において案内するガイド部と、
前記ガイド部が形成された第1部材と、
前記第1部材と固定され、前記第1部材と前記第1方向において対向する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に設けられ、前記第1方向において前記第2部材から前記第1部材に向かう長さを有する第1回転軸と、
前記第1回転軸において回転支持された第1リンクと、
前記第1リンクに設けられ、前記第1方向において前記第1部材と対向する方向に長さを有する第2回転軸と、
前記第2回転軸において回転支持され、前記第1方向において前記ピンと係合し前記ピンの移動方向に交差する方向に前記ピンと摺動する係合溝を有する第2リンクと、
前記第1部材および前記第2部材の一方または両方に設けられ、前記第2リンクに向かう前記第1方向に突出し、前記第1回転軸回りの前記第1リンクの回転に伴う前記第2リンクの移動範囲において、前記第2リンクにおける側面と摺動するリブと、
を備える、カセット引き込み装置。
【請求項2】
前記リブの突出方向の先端に潤滑剤を保持する潤滑剤保持部を、さらに備える、
請求項1に記載のカセット引き込み装置。
【請求項3】
前記第1方向から見た前記リブの形状は、前記第1回転軸を中心とした円弧形である、
請求項1または2に記載のカセット引き込み装置。
【請求項4】
前記第1方向において前記第2部材から前記第1部材に向かう長さを有する第3回転軸と、
第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部および前記第2端部の中間部において、前記第3回転軸に回転支持された第3リンクと、
前記第3リンクの前記第1端部と、前記第1リンクに設けられた第1係止部と、に係止し、前記第1リンクに前記第1回転軸回りの力のモーメントを加える第1弾性部材と、
前記第3リンクの前記第2端部と、前記第2部材に設けられた第2係止部と、に係止され、前記第3リンクに前記第3回転軸回りに作用する前記第1弾性部材からの力のモーメントと反対方向の力のモーメントを加える第2弾性部材と、
をさらに備え、
前記第1弾性部材および前記第2弾性部材における付勢力は、前記第1回転軸および前記第3回転軸に交差する平面上で作用し、
前記ピンと前記係合溝との係合位置は、前記平面から前記平面の法線方向に離れている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のカセット引き込み装置。
【請求項5】
前記リブと摺動する前記第2リンクの前記側面は、前記法線方向において前記平面から離れている、
請求項4に記載のカセット引き込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、カセット引き込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置および画像処理装置の装置本体には、給紙カセットを引き込むカセット引き込み装置が設けられることがある。カセット引き込み装置は、給紙カセットを挿入する際の使用者の挿入力を軽減する。
カセット引き込み装置は、給紙カセットに設けられたピンに連動するリンクを持つ。リンクの移動時の抵抗が大きいと、使用者の挿入力も大きくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-37540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、使用者の負荷を低減して、給紙カセットを円滑に挿入することができるカセット引き込み装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のカセット引き込み装置は、ガイド部、第1部材、第2部材、第1回転軸、第1リンク、第2回転軸、第2リンク、およびリブを持つ。ガイド部は、第1方向において挿脱可能に設けられた給紙カセットから第1方向と直交する第2方向に突出されたピンの位置を、給紙カセットの挿脱時に、第1方向および第2方向に直交する第3方向において案内する。第1部材にはガイド部が形成されている。第2部材は、第1部材と固定されている。第2部材は、第1部材と第1方向において対向する。第1回転軸は、第1部材と第2部材との間に設けられている。第1回転軸は第1方向において第2部材から第1部材に向かう長さを有する。第1リンクは、第1回転軸において回転支持される。第2回転軸は、第1リンクに設けられる。第2回転軸は第1方向において第1部材と対向する方向に長さを有する。第2リンクは、第2回転軸において回転支持される。第2リンクは係合溝を持つ。係合溝は、第1方向においてピンと係合しピンの移動方向に交差する方向にピンと摺動する。リブは、第1部材および第2部材の一方または両方に設けられる。リブは第2リンクに向かう第1方向に突出している。リブは、第1回転軸回りの第1リンクの回転に伴う第2リンクの移動範囲において、第2リンクにおける側面と摺動する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態における画像処理装置の例を示す斜視の模式図。
図2】画像処理装置における給紙カセットを示す斜視の模式図。
図3】実施形態のカセット引き込み装置の例を示す斜視の模式図。
図4】実施形態のカセット引き込み装置における第1部材の例を示す斜視の模式図。
図5図4におけるA視の模式図。
図6図3におけるB-B線に沿う断面の模式図。
図7図6におけるC部の拡大図。
図8図6におけるD部の拡大図。
図9図5におけるE-E線に沿う断面図。
図10図3におけるF-F線に沿う断面の模式図。
図11図10におけるG部の拡大図。
図12図10におけるH部の拡大図。
図13】実施形態のカセット引き込み装置の内部構成を示す斜視の模式図。
図14図13におけるI視の模式図。
図15】実施形態のカセット引き込み装置における第2部材の正面視の模式図。
図16図6におけるJ部の拡大図。
図17図6におけるK部の拡大図。
図18】実施形態のカセット引き込み装置における第1リンクおよび第2リンクの例を示す斜視の模式図。
図19】実施形態のカセット引き込み装置の動作を説明する模式図。
図20】実施形態のカセット引き込み装置の動作を説明する模式図。
図21】実施形態のカセット引き込み装置の動作を説明する模式図。
図22】実施形態のカセット引き込み装置の作用を説明する斜視の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のカセット引き込み装置を、図面を参照して説明する。以下の各図において、特に断らない限り、同一または相当する構成については同一の符号を付す。
図1は、実施形態における画像処理装置の例を示す斜視の模式図である。
【0008】
本実施形態のカセット引き込み装置は、例えば、図1に示す画像処理装置100に装備される。
画像処理装置100は用紙に画像を形成する。画像処理装置100は、例えば、複合機(MFP:Multi Function Printer)プリンタ、複写機等の画像形成装置であってもよい。画像処理装置100は、用紙に形成された画像を画像処理してもよい。画像処理装置100を用いた画像処理としては、例えば、消色トナーで形成された画像を加熱するなどして消去する処理が挙げられる。
画像処理装置100は、コントロールパネル部12と、ディスプレイ11と、画像形成部13と、画像読取部14と、装置本体15と、用紙収容部16と、を持つ。
【0009】
コントロールパネル部12およびディスプレイ11は、使用者が画像処理装置100を動作させる操作入力を行うために用いられる。ディスプレイ11は、使用者がした操作内容と使用者に対するメッセージとを表示する。
画像形成部13は、操作入力または外部からの信号に基づいて用紙への画像の形成を行う。
画像読取部14は、原稿を読み取って、画像形成部13によって形成する画像の画像信号を形成する。
装置本体15は、ディスプレイ11と、コントロールパネル部12と、画像形成部13と、画像読取部14と、用紙収容部16と、を内部に収容する筐体である。装置本体15の外面はカバーで覆われている。
【0010】
用紙収容部16は、装置本体15における下部の空間SLに配置されている。用紙収容部16は給紙カセット17を持つ。図1に示す例では、給紙カセット17は、3個設けられている。各給紙カセット17は、装置本体15の前側に引き出し可能である。
【0011】
以下、画像処理装置100における相対位置を、図中に示すX軸、Y軸、Z軸を参照して説明する場合がある。X軸は、画像処理装置100の後側から前側に延びる軸線である。Y軸は、水平面においてX軸と直交する。Y軸は、画像処理装置100の左側から右側に向かって延びる。Z軸は、X軸およびY軸に直交する。Z軸は、鉛直線である。
X軸に沿う方向をX軸方向と定義する。X軸方向のうち、後側から前側に向かう方向はX軸正方向、前側から後側に向かう方向はX軸負方向である。Y軸方向のうち、左側から右側に向かう方向はY軸正方向、右側から左側に向かう方向はY軸負方向である。Z軸方向のうち、下側から上側に向かう方向はZ軸正方向、上側から下側に向かう方向はZ軸負方向である。
X軸方向に法線を持つ平面はYZ平面、Y軸方向に法線を持つ平面はZX平面、Z軸方向に法線を持つ平面はXY平面である。XY平面は水平面である。
特に断らない限り、画像処理装置100内の部材の形状は、画像処理装置100に配置された状態の位置および姿勢に基づいて説明される。
【0012】
図2は、画像処理装置における給紙カセットを示す斜視の模式図である。
用紙収容部16における各給紙カセット17の形状は互いに同様である。図2には、用紙収容部16を構成する給紙カセット17の一つが示されている。
装置本体15の後側の内部には、内側板101と、カセット引き込み装置20と、が配置されている。
内側板101はYZ平面に平行である。内側板101には導入孔102が形成されている。
導入孔102は内側板101を貫通している。導入孔102の形状は、前側から見ると、例えば、略長方形である。導入孔102は、給紙カセット17が装置本体15に挿入される場合に、給紙カセット17の一部を通過させる。
【0013】
給紙カセット17の形状は、上方に開口する箱形である。給紙カセット17は、底板171、前板172、右側板173、左側板174、および後板175を持つ。
底板171は、用紙Pを載置する矩形板である。底板171は水平に配置される。
前板172は、底板171におけるX軸正方向の端部に沿って上側に突出している。
前板172の中央部には、使用者が手を掛ける取っ手1721が設けられている。
右側板173は、底板171におけるY軸正方向の端部に沿って上側に突出している。
左側板174は、底板171におけるY軸負方向の端部に沿って上側に突出している。
後板175は、底板171におけるX軸負方向の端部に沿って上側に突出している。
【0014】
底板171の上部には、二点鎖線で示す用紙Pが上下方向に積載される。給紙カセット17には、前板172、右側板173、左側板174、および後板175の突出高さよりも低い積載高さを有する用紙束Psが載置できる。
【0015】
後板175の右側の端部には、右後端梁176がX軸負方向に突出している。後板175の左側の端部には、左後端梁177がX軸負方向に突出している。
右後端梁176および左後端梁177の形状は、例えば、YZ平面に平行な断面が矩形の角柱形である。
右後端梁176は、導入孔102に挿入できる大きさおよび位置に形成されている。
後板175の左側の端部において、左後端梁177の近くには、ダンパ18が設けられている。ダンパ18は、給紙カセット17の挿入時に内側板101と当接して、挿入時の衝撃を吸収する。
【0016】
装置本体15には、給紙カセット17の左端部および右端部を支持する挿入ガイドが形成されている。右後端梁176および左後端梁177は、給紙カセット17を装置本体15に挿入する際に、装置本体15に設けられた挿入ガイドに挿入される。
右側板173の右側面には、右後端梁176と同様に挿入ガイドに沿って移動できるガイド突起がY軸正方向に突出している。
左側板174の左側面には、左後端梁177と同様に挿入ガイドに沿って移動できるガイド突起がY軸負方向に突出している。
【0017】
上述の構成によれば、給紙カセット17は、装置本体15における挿入ガイドに沿って、X軸に沿う第1方向Daにおいて、装置本体15に挿入したり、装置本体15から引き出したりすることができる。第1方向Daは、給紙カセット17を挿抜する挿抜方向の例である。
給紙カセット17が、装置本体15の内部に挿入されると、右後端梁176は導入孔102の内側を通過して、内側板101の後側に移動する。
右後端梁176におけるY軸負方向の端部には、カセット側リンク178が設けられている。カセット側リンク178は、ZX平面に沿って回転可能に右後端梁176に支持されている。
カセット側リンク178において回転支持された端部と反対側の端部には、カセット側リンク178からY軸負方向に突出するピン179が設けられている。
ピン179は、カセット引き込み装置20との係合時にカセット引き込み装置20から給紙カセット17をX軸負方向に引き込む力を作用させる引込端PAである。
カセット側リンク178およびピン179は、右後端梁176とともに導入孔102を通過できる形状に形成されている。
【0018】
カセット引き込み装置20は、給紙カセット17が第1方向Daにおいて装置本体15に挿入される際に、引込端PAを通して給紙カセット17をX軸負方向に引き込む。
カセット引き込み装置20は、内側板101の後側に配置されている。Y軸方向におけるカセット引き込み装置20の位置は、前側から見てY軸正方向の一部が、導入孔102の内側に重なる位置である。ただし、カセット引き込み装置20におけるY軸正方向の端部は、導入孔102に進退する右後端梁176と干渉しない位置に配置されている。
【0019】
図3は、実施形態のカセット引き込み装置の例を示す斜視の模式図である。
図3に示すように、カセット引き込み装置20の外形は、Y軸方向に薄い略直方体形である。カセット引き込み装置20は、第1部材21と、第2部材22と、を持つ。
第1部材21は、第2部材22を右側から覆うカバーである。第1部材21は、Y軸負方向に開口する箱形である。
第1部材21は、表面部S、前側板2110、上側板2111、後側板2112、および下側板2113を持つ。
【0020】
表面部Sは、第1部材21のY軸正方向の表面を形成する。表面部SにおけるY軸負方向から見た外形は略矩形である。
表面部Sは、ZX平面に平行でY軸方向の位置が異なる複数の板面部を含む。X軸方向またはZ軸方向において互いに隣り合い、Y軸方向の位置が異なる板面部同士は、Y軸方向に長さを有する段部によって互いに接続されている。
図3に示す例では、表面部Sは、第1板面部2101、第2板面部2102、第3板面部2103、および複数のネジ固定部2104を持つ。
【0021】
第1板面部2101は、表面部Sにおいて、最もY軸正方向にある板面部である。第1板面部2101は、導入孔102に挿入された際の右後端梁176(図2参照)の側面と対向する。
第2板面部2102は、第1板面部2101の上端側において第1板面部2101よりもY軸負方向に引っ込んだ位置に形成されている。
第3板面部2103は、第1板面部2101におけるX軸負方向の端部において、Y軸負方向に引っ込んだ位置に形成されている。
複数のネジ固定部2104は、ビス45を用いて第1部材21を第2部材22にビス止めするための板面である。図3に示す例では、複数のネジ固定部2104は、表面部SにおけるX軸正方向の端部の上端部および下端部と、X軸負方向の端部と、の3箇所に設けられている。
【0022】
前側板2110、上側板2111、後側板2112、および下側板2113は、それぞれ、表面部Sにおける前側、上側、後側、下側の外周部から、Y軸負方向に突出している。前側板2110、上側板2111、後側板2112、および下側板2113は、第2部材22の外周部を覆う。
前側板2110は内側板101の後面に当接した状態で内側板101に固定される。
【0023】
第1部材21の詳細構成を説明する。
図4は、実施形態のカセット引き込み装置における第1部材の例を示す斜視の模式図である。図5は、図4におけるA視の模式図である。
【0024】
図4に示すように、第1板面部2101には、給紙カセット17の挿入時および引き出し時に、ピン179(図3参照)をZ軸方向に案内するガイド部2114が形成されている。
ガイド部2114は、第1板面部2101のX軸正方向の端からX軸方向に長さを有し、Z軸方向においてピン179の外径よりもわずかに広い幅を有する貫通孔である。
ガイド部2114におけるX軸負方向の端部である後端部2115は、Y軸負方向から見るとX軸負方向に進むにつれてZ軸正方向に向かう緩やかな傾斜を持つ。
ガイド部2114のX軸正方向の端部には、前側板2110に開口する誘導溝2116が形成されている。
誘導溝2116のZ軸方向の溝幅は、前側板2110の表面からX軸負方向に進むにつれて、ピン179の外径よりも広い第1幅からガイド部2114と同幅の第2幅まで、漸次縮幅している。
誘導溝2116は、導入孔102に挿入されるピン179のZ軸方向の位置を規制し、ピン179がX軸負方向に移動するにつれて、ピン179をガイド部2114に向かって案内する。
【0025】
図5に示すように、第2板面部2102には、円孔からなる軸支持部2106が厚さ方向に貫通している。
第3板面部2103には、円孔からなる軸支持部2107が厚さ方向に貫通している。
各ネジ固定部2104には、ビス45(図3参照)を挿通させるネジ挿通孔2108が厚さ方向に貫通している。
【0026】
第2板面部2102には、Y軸正方向から見て軸支持部2106の中心に関する同心円に沿う円弧形のリブReが設けられている。リブReの厚さ方向の中央部には潤滑剤保持部geがリブReの長手方向に沿って形成されている。
図6は、図3におけるB-B線に沿う断面の模式図である。図7は、図6におけるC部の拡大図である。
図6に示すように、リブReは第2板面部2102からY軸負方向に突出している。
図7に示すように、潤滑剤保持部geは、リブReの先端部において、Y軸正方向に凹む溝である。潤滑剤保持部geには潤滑剤44が充填されている。
潤滑剤保持部geの溝形状は、潤滑剤44を保持できれば、特に限定されない。図7に示す例では、潤滑剤保持部geの溝形状は矩形である。例えば、潤滑剤保持部geの溝幅は、1mm程度であってもよい。例えば、潤滑剤保持部geの溝深さは、0.5mm以上1mm以下であってもよい。
潤滑剤44の種類は、潤滑剤保持部geに保持できれば、特に限定されない。例えば、潤滑剤44は、適宜の粘度を有するオイル、グリース、固体潤滑剤などであってもよい。
【0027】
図6に示すように、第1板面部2101におけるY軸負方向の表面は、リブReの先端よりもY軸正方向にある。
図5に示すように、第1板面部2101におけるY軸負方向の表面には、Y軸正方向から見て軸支持部2106の中心に関する同心円に沿う円弧形の潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcが形成されている。
潤滑剤保持部Ga、Gc、Gbが沿うそれぞれの円の半径はこの順に大きい。潤滑剤保持部Ga、Gc、Gbが沿うそれぞれの円の半径は、いずれもリブReが沿う円の半径よりも大きい。
潤滑剤保持部Ga、Gbは、Y軸正方向から見ると、リブReの下方にある。潤滑剤保持部Ga、Gbの間には、ガイド部2114がある。
潤滑剤保持部Gcは、第1板面部2101におけるX軸正方向の端部において、ガイド部2114よりも上側にある。
【0028】
図6に示すように、潤滑剤保持部Ga、Gbは第1板面部2101におけるY軸負方向の表面からY軸正方向に凹む溝である。
図8は、図6におけるD部の拡大図である。
図8に示すように、潤滑剤保持部Ga、Gbには、それぞれ、潤滑剤保持部geと同様、潤滑剤44が充填されている。潤滑剤保持部Ga、Gbの溝形状は、潤滑剤44が保持できれば、特に限定されない。例えば、潤滑剤保持部Ga、Gbの溝形状は、潤滑剤保持部geと同様の矩形である。
【0029】
図9は、図5におけるE-E線に沿う断面図である。
図9に示すように、潤滑剤保持部Gcは、潤滑剤保持部Ga、Gbと同様、第1板面部2101におけるY軸負方向の表面からY軸正方向に凹む溝である。潤滑剤保持部Gcには、潤滑剤保持部geと同様、潤滑剤44が充填されている。潤滑剤保持部Gcの溝形状は、潤滑剤44が保持できれば、特に限定されない。例えば、潤滑剤保持部Gcの溝形状は、潤滑剤保持部geと同様の矩形である。
【0030】
図5に示すように、第1板面部2101には、Y軸正方向から見て軸支持部2107の中心に関する同心円に沿う円弧形のリブRf、Rgが形成されている。リブRfは軸支持部2107の上方にある。リブRgは軸支持部2107の下方にある。
図10は、図3におけるF-F線に沿う断面の模式図である。
図10に示すように、リブRf、Rgは、第1板面部2101からY軸負方向に突出している。リブRf、Rgの先端部は、第3板面部2103よりもY軸負方向に突出している。リブRf、Rgにおける先端部のY軸方向における位置は互いに同一である。
【0031】
図5に示すように、リブRfの厚さ方向の中央部には、潤滑剤保持部gfが、リブRfの長手方向に沿って形成されている。
リブRgの厚さ方向の中央部には、潤滑剤保持部ggが、リブRgの長手方向に沿って形成されている。
【0032】
図11は、図10におけるG部の拡大図である。図12は、図10におけるH部の拡大図である。
図11に示すように、潤滑剤保持部gfは、リブRfの先端部において、Y軸負方向に凹む溝である。潤滑剤保持部gfには、潤滑剤保持部geと同様、潤滑剤44が充填されている。
図12に示すように、潤滑剤保持部ggは、リブRgの先端部において、Y軸負方向に凹む溝である。潤滑剤保持部ggには、潤滑剤保持部geと同様、潤滑剤44が充填されている。
潤滑剤保持部gf、ggの溝形状は、潤滑剤44が保持できれば、特に限定されない。例えば、潤滑剤保持部gf、ggの溝形状は、潤滑剤保持部geと同様の矩形である。
【0033】
第2部材22の形状をカセット引き込み装置20の内部構成とともに説明する。
図13は、実施形態のカセット引き込み装置の内部構成を示す斜視の模式図である。図14は、図13におけるI視の模式図である。図13、14には、第1部材21が取り外されたカセット引き込み装置20が示されている。
【0034】
図13に示すように、カセット引き込み装置20は、第1回転軸41、第1リンク23、第2回転軸42、第2リンク24、第3回転軸43、第3リンク25、第1弾性部材26、および第2弾性部材27を内部に持つ。第2回転軸42は、第1リンク23に固定されている。
【0035】
図15は、実施形態のカセット引き込み装置における第2部材の正面視の模式図である。
図15に示すように、第2部材22の外形は、Y軸負方向から見ると略矩形である。図3に示すように、第1部材21が装着された状態では、第2部材22は、第1部材21の前側板2110、上側板2111、後側板2112、および下側板2113によって外側から囲まれている。
図15に示すように、第2部材22は、第1支持板2201、第2支持板2220、第1台部2202、第2台部2203、第3台部2204、および第4台部2205を持つ。
【0036】
第1支持板2201と第2支持板2220とは、ZX平面に平行な平板である。第1支持板2201は、第2部材22の上半部を形成する。第2支持板2220は、第2部材22の下半部を形成する。
図6に示すように、Y軸方向における第2支持板2220の配置位置は、第1支持板2201よりもわずかにY軸正方向にずれている。
第1支持板2201と第2支持板2220とは、第2部材22におけるZ軸方向の中間部において、段部を介して互いに接続している。
第1支持板2201において、Z軸正方向の端部には軸支持部2206が形成されている。軸支持部2206は、第1部材21の軸支持部2106と対向する位置に形成されており、第1支持板2201からY軸負方向に凹んだ穴である。軸支持部2206は、第1回転軸41のY軸負方向の端部を保持する。
軸支持部2206の中心部には、ビス45が挿通する貫通孔2213が形成されている。
【0037】
第1回転軸41は、全体として円柱形で、Y軸負方向の端部に、軸支持部2206に嵌合して回り止めされる係合部411を持つ。係合部411の形状は、軸支持部2206に対して回り止め可能な形状であれば特に限定されない。例えば、係合部411は、第1回転軸41の外径よりも薄い板、D形断面の軸などでもよい。
軸支持部2206に保持された第1回転軸41は、第1支持板2201のY軸負方向の表面から軸支持部2206に挿入されたビス45によって、第1支持板2201に固定される。
軸支持部2206に固定された第1回転軸41の先端部は第1部材21の軸支持部2106に嵌合する。
【0038】
図15に示すように、第1支持板2201には、Y軸正方向から見て軸支持部2206の中心に関する同心円に沿う円弧形のリブRbが形成されている。リブRbの厚さ方向の中央部には潤滑剤保持部gbがリブRbの長手方向に沿って形成されている。
図6に示すように、リブRbは第1支持板2201からY軸正方向に突出している。
図16は、図6におけるJ部の拡大図である。
図16に示すように、潤滑剤保持部gbは、リブRbの先端部において、Y軸負方向に凹む溝である。潤滑剤保持部gbには、第1部材21における潤滑剤保持部geと同様、潤滑剤44が充填されている。
潤滑剤保持部gbの溝形状は、潤滑剤44が保持できれば、特に限定されない。例えば、潤滑剤保持部gbの溝形状は、第1部材21における潤滑剤保持部geと同様の矩形である。
【0039】
図15に示すように、第1台部2202は、第2部材22におけるZ軸方向の中間部において第1支持板2201および第2支持板2220に跨がっており、Y軸正方向に突出している。第1台部2202は、ZX平面に平行な平面部を形成する。第1台部2202の突出高さはリブRbよりも高い。
第1台部2202は、第1部分Paと、第2部分Pbと、を持つ。
第1部分Paは、Y軸負方向から見て、軸支持部2206の中心に関する同心円に沿う円弧形であり、リブRbよりも外側に形成されている。
第2部分Pbは、Y軸負方向から見て丸形であり、第1支持板2201のX軸負方向の端部に形成されている。第2部分Pbは、第1部分PaのX軸負方向の端部と接続している。
【0040】
第1部分PaのZ軸負方向の端縁には、Y軸負方向から見て軸支持部2206の中心に関する同心円に沿う円弧形のリブRaが形成されている。リブRaの厚さ方向の中央部には潤滑剤保持部gaがリブRaの長手方向に沿って形成されている。
図6に示すように、リブRaは第1部分PaからY軸正方向に突出している。
図17は、図6におけるK部の拡大図である。
図17に示すように、潤滑剤保持部gaは、リブRaの先端部においてY軸負方向に凹む溝である。潤滑剤保持部gaには、潤滑剤保持部gbと同様、潤滑剤44が充填されている。
潤滑剤保持部gaの溝形状は、潤滑剤44が保持できれば、特に限定されない。例えば、潤滑剤保持部gaの溝形状は、潤滑剤保持部gbと同様の矩形である。
【0041】
図15に示すように、第2部分Pbの中心部には軸支持部2207が形成されている。
図10に示すように、軸支持部2207は、第1部材21の軸支持部2107と対向する位置に形成されており、第2部分PbからY軸負方向に凹んだ穴である。軸支持部2207は、第3回転軸43のY軸負方向の端部を保持する。
軸支持部2207の中心部には、ビス45が挿通する貫通孔2214が形成されている。
【0042】
第3回転軸43は、全体として円柱形で、Y軸負方向の端部に、軸支持部2206に嵌合して回り止めされる係合部431を持つ。係合部431の形状は、軸支持部2207に対して回り止め可能な形状であれば特に限定されない。例えば、係合部431は、第1回転軸41における係合部411と同様の形状であってもよい。
軸支持部2207に保持された第3回転軸43は、第2部分PbのY軸負方向の表面から軸支持部2207に挿入されたビス45によって、第2部分Pbに固定される。
軸支持部2207に固定された第3回転軸43の先端部は第1部材21の軸支持部2107に嵌合する。
【0043】
図15に示すように、第2部分PbのZ軸正方向の端縁には、Y軸負方向から見て軸支持部2207の中心に関する同心円に沿う円弧形のリブRcが形成されている。リブRcの厚さ方向の中央部には潤滑剤保持部gcがリブRcの長手方向に沿って形成されている。リブRcの第1台部2202からの突出高さはリブRaよりも低い。
図10に示すように、リブRcは第2部分PbからY軸正方向に突出している。
図11に示すように、潤滑剤保持部gcは、リブRcの先端部においてY軸負方向に凹む溝である。潤滑剤保持部gcには、潤滑剤保持部gbと同様、潤滑剤44が充填されている。
潤滑剤保持部gcの溝形状は、潤滑剤44が保持できれば、特に限定されない。例えば、潤滑剤保持部gcの溝形状は、潤滑剤保持部gbと同様の矩形である。
【0044】
図15に示すように、第2部分PbのZ軸負方向の端縁には、Y軸負方向から見て軸支持部2207の中心に関する同心円に沿う円弧形のリブRdが形成されている。リブRdの厚さ方向の中央部には潤滑剤保持部gdがリブRdの長手方向に沿って形成されている。
図10に示すように、リブRdは第2部分PbからY軸正方向に突出している。リブRdの第1台部2202からの突出高さは、リブRcの突出高さに等しい。
図12に示すように、潤滑剤保持部gdは、リブRdの先端部においてY軸負方向に凹む溝である。潤滑剤保持部gdには、潤滑剤保持部gbと同様、潤滑剤44が充填されている。
潤滑剤保持部gdの溝形状は、潤滑剤44が保持できれば、特に限定されない。例えば、潤滑剤保持部gdの溝形状は、潤滑剤保持部gbと同様の矩形である。
【0045】
図15に示すように、第2台部2203は、リブRb、RaにおけるX軸正方向の端部の間において、Y軸正方向に突出している。Y軸正方向における第2台部2203の高さは、第1台部2202よりも高く、リブRaよりも低い。
第2台部2203には、第1ストッパ2208がY軸正方向に突出している。
第1ストッパ2208は、第1リンク23の図示反時計回りの回転位置とX軸正方向の位置とを規制する。
第1ストッパ2208の突出方向における先端には、第2リンク24を係合する係合ピン2209が突出している。
係合ピン2209の形状は、第2リンク24を係合できれば、特に限定されない。例えば、係合ピン2209は、X軸方向に長径を有する楕円柱である。
【0046】
第1支持板2201において、軸支持部2206とリブRbのX軸負方向の端部との間には、第2ストッパ2212がY軸正方向に突出している。
第2ストッパ2212は、第1リンク23の図示時計回りの回転位置とX軸負方向の位置とを規制する。
【0047】
第2支持板2220におけるX軸負方向の端部において、第2部分PbのX軸負方向側には、第3台部2204がY軸正方向に突出している。第3台部2204の第1支持板2201に対するY軸正方向の高さは、第2台部2203の高さに等しい。第3台部2204の高さは、リブRc、Rdの各先端よりも高く、リブRaの先端よりも低い。
第3台部2204のX軸正方向におけるZ軸正方向側の側面には、第3リンク25の回転を規制する傾斜面からなる第3ストッパ2210が形成されている。
【0048】
第2支持板2220におけるX軸正方向の端部において、リブRaの下方には、第4台部2205がY軸正方向に突出している。
第4台部2205の第1支持板2201に対するY軸正方向の高さは、第2台部2203の高さに等しい。第4台部2205の上端部と、第1支持板2201との間には、Y軸方向に長さを有する円柱形の第2係止部2211が形成されている。第2係止部2211のX軸正方向には、Z軸方向に貫通する貫通孔2216が形成されている。
図13に示すように、第2係止部2211には、第2弾性部材27の第1フック271が係止される。
図15に示すように、Y軸負方向から見て、第2係止部2211の下側の第4台部2205上には、Y軸正方向にボス2217が突出している。
【0049】
第2台部2203と、第3台部2204と、第4台部2205のボス2217と、は、第1部材21の装着時に、第1部材21の3箇所のネジ固定部2104にそれぞれ当接する。第2台部2203と、第3台部2204と、第4台部2205のボス2217と、には、各ネジ固定部2104に形成されたネジ挿通孔2108と同軸となる位置に、ビス45がネジ止めされるネジ孔2215がそれぞれ形成されている。
【0050】
図13に示すように、第1リンク23は、第2部材22に固定された第1回転軸41に回転支持されている。第1リンク23は、第1側壁部2301、第2側壁部2303、第2回転軸42、および連結板2302を持つ。
【0051】
図18は、実施形態のカセット引き込み装置における第1リンクおよび第2リンクの例を示す斜視の模式図である。
図18に示すように、第1側壁部2301および第2側壁部2303は、ZX平面に平行で、1方向に細長い平板である。第1側壁部2301は、第2側壁部2303よりも長い。
第1リンク23の第1端部Eaでは、第1側壁部2301および第2側壁部2303がY軸方向において互いに対向している。第1端部Eaにおける第1側壁部2301および第2側壁部2303には、第1回転軸41に回動可能に嵌合する軸受部2309、2310がそれぞれ設けられている。
軸受部2309、2310は、第1回転軸41と摺動する摺動軸受で形成されてもよいが、図18に示す例では、第1側壁部2301、第2側壁部2303において厚さ方向に貫通する円孔である。軸受部2309、2310は、第1回転軸41の中心軸線と同軸に第1回転軸41と嵌合する。
第1リンク23は、第1端部Eaの軸受部2309、2310において第1回転軸41に回転可能に支持されている。
【0052】
連結板2302は、Y軸方向の距離が一定になるように第1側壁部2301と第2側壁部2303とを互いに連結している。
図14に示すように、連結板2302は、Y軸負方向から見ると、第1リンク23の図示左側の外面を形成している。連結板2302は、ZX平面において第1回転軸41の中心を通り、第1端部Eaの中央を通る軸線Aaに平行な平板である。
以下では、ZX平面上で軸線Aaに沿う方向において、第1端部Eaから下方に向かって離れる方向をLb方向、その反対方向をLa方向と定義する。ZX平面上で軸線Aaに直交する方向において、軸線Aaから連結板2302の方に向かう方向をMa方向、その反対方向をMb方向と定義する。La方向およびLb方向は、第1リンク23の回転運動における径方向である。Ma方向およびMb方向は、第1リンク23の回転運動における回転円の接線方向である。
【0053】
第1リンク23におけるMb方向の端部には、下端係止部2308と、第2端部Ebと、が形成されている。
下端係止部2308は、軸線Aaに直交する同一平面上にある第1側壁部2301および連結板2302の端縁で形成される。
第2端部Ebは、第1側壁部2301における下端係止部2308に対してMb方向に隣接している。第2端部Ebの外形は、下端係止部2308よりもLb方向に突出するU字形である。第2端部Ebは、軸線AaよりもMb方向にある。
図18に示すように、第2端部Ebには、Y軸正方向に突出する円柱形の第2回転軸42が固定されている。
図14に示すように、Y軸負方向から見ると、第2回転軸42は、ZX平面において軸線Aaに対してMb方向にずれた位置に配置されている。
【0054】
図18に示すように、Y軸方向における連結板2302の中央部には、貫通孔2306が形成されており、貫通孔2306の下端には第1弾性部材26(図13参照)を係止する第1係止部2307が形成されている。
【0055】
第2リンク24は、第1側壁部2301の第2端部EbにおけるY軸正方向側に配置され、第2回転軸42に回転支持されている。
図14に示す第2リンク24は、第1リンク23の下端係止部2308に係止している。下端係止部2308は、第2リンク24の図示時計回りの回転を規制している。
以下では、第1リンク23および第2リンク24の説明において、特に断らない限り、図14に示すように、第2リンク24が第1リンク23の下端係止部2308に係止して、図示時計回りに回り止めされた状態(以下、回り止め状態)において、第2リンク24の形状および配置が説明される。
第2リンク24は、ピン179が係合溝2407に係合した状態では、第2回転軸42の回転可能範囲は狭いので、回り止め状態からの回動量は少ない。
【0056】
図18に示すように、第2リンク24は、本体部2401と、突起部2402と、を持つ。
本体部2401は、第1側壁部2301よりもY軸正方向に配置されている。本体部2401は、第1側面2403と第2側面2404とに挟まれた板状であり、Y軸方向に厚さを持つ。第1側面2403と第2側面2404とは、第1側壁部2301と同様、ZX平面に平行な平面である。
第1側面2403は、第2回転軸42のY軸正方向の先端よりもY軸正方向に位置している。第2側面2404は、第1側壁部2301と摺接する。
【0057】
図14に示すように、Y軸負方向から見ると、本体部2401には、第2回転軸42に回転可能に嵌合する軸孔2406が本体部2401の厚さ方向に貫通している。
本体部2401は、軸孔2406の近傍からMa方向およびLb方向に広がっている。
本体部2401において、軸孔2406よりもLb方向寄りには、回り止め状態においてLb方向に長い係合溝2407が形成されている。
係合溝2407は、第1側面2403からY軸負方向に凹んでいる。係合溝2407の溝幅および溝深さは、ピン179が挿入可能な大きさである。
係合溝2407におけるMb方向の内側面は、第1側壁2408である。係合溝2407におけるMa方向の内側面は、第2側壁2409である。
第1側壁2408および第2側壁2409はZX平面に直交する平面である。第1側壁2408および第2側壁2409は回り止め状態では軸線Aaに平行である。
第1側壁2408および第2側壁2409の距離(係合溝2407の溝幅)は、ピン179の外径よりもわずかに大きい。
【0058】
係合溝2407におけるLb方向の端部には、本体部2401の外周部において開口する下部開口Obが形成されている。
第2側壁2409におけるLa方向の端部には、本体部2401の内部において開口する上部開口Oaが形成されている。
上部開口OaにおけるMa方向には、上側案内面2410が接続している。上側案内面2410は、全体としてMa方向に長さを有し、La方向に向かってわずかに膨らんだ湾曲面である。
本体部2401においてLa方向の端部には、上部開口Oaと対向する位置に上端壁2411が設けられている。上端壁2411と上側案内面2410との間に、上側案内面2410に沿ってピン179が移動できる空間が形成されている。
本体部2401におけるLa方向の端部において最もMa方向側の端部には、La方向に向かうにつれて軸線Aaに向かって湾曲するフック2412が突出している。
Ma方向における上側案内面2410の端からLb方向における第2側壁2409の端の間には、Lb方向に進むにつれてMb方向に傾斜する傾斜面2413が形成されている。
【0059】
図18に示すように、突起部2402は、本体部2401から第1側壁部2301よりもY軸負方向に突出している。突起部2402における突出方向の先端には、第1側面2403に平行な第3側面2405が形成されている。
突起部2402におけるLa方向の外面には、第2端部Ebの外周に沿って湾曲する湾曲面2414と、第1リンク23の下端係止部2308に係止する係止部2415と、が設けられている。
係止部2415が下端係止部2308に係止した回り止め状態では、係合溝2407の溝幅の中心軸線は、軸線Aaに沿っている。
【0060】
図14に示すように、第3リンク25は、Y軸方向に厚さを持つ板である。第3リンク25は、Y軸負方向から見ると、第1アーム251と、第2アーム252と、が鈍角をなして接続したV字形の外形を持つ。
第1アーム251と第2アーム252との接続部の中心には、軸受46を取り付ける取付孔255が厚さ方向に貫通している。
軸受46は、取付孔255において回転不能に取り付けられている。
軸受46の種類は特に限定されない。例えば、軸受46としてすべり軸受が用いられてもよい。
【0061】
第3リンク25は、取付孔255に取り付けられた軸受46を介して第3回転軸43に装着されている。第3リンク25は、軸受46において第3回転軸43に回転可能に支持されている。
第1アーム251は、第3リンク25の中心部から上方に向かって突出している。第1アーム251は、第3回転軸43を中心として図示時計回りに回転すると、第3ストッパ2210に係止して、図示時計回りの回転が規制される。
第1アーム251が第3ストッパ2210に係止した状態では、第2アーム252は、第3リンク25の中心部からZ軸負方向に長さを有する。
【0062】
第1アーム251の先端部である第1端部2511には、係止孔253が厚さ方向に貫通している。係止孔253には、第1弾性部材26が係止している。
第2アーム252の先端部である第2端部2521には、係止孔254が厚さ方向に貫通している。係止孔254には、第2弾性部材27が係止している。
図10に示すように、第1端部2511と、第2端部2521とは、第1アーム251および第2アーム252よりもY軸負方向にずれた平面Sa上に位置している。平面Saは、第1リンク23の貫通孔2306の中心を通り、ZX平面に平行な平面である。
【0063】
図13に示すように、第1弾性部材26は、第1リンク23における第1係止部2307と、第3リンク25の第1端部2511と、を互いに近づく方向に付勢する。
例えば、第1弾性部材26は、長手方向の端部に第1フック261と、第2フック262と、を持つ引っ張りコイルバネである。
第1フック261は、第1係止部2307に係止する。第2フック262は、係止孔253に係止する。第1弾性部材26が第1リンク23および第3リンク25に係止する位置は、略平面Sa上であり、第1弾性部材26の付勢力は略平面Sa内で第1リンク23の第1係止部2307および第3リンク25の第1端部2511に作用する。
第1弾性部材26からの付勢力によって、第1リンク23は、第1回転軸41を中心としてY軸負方向から見て反時計回りの力のモーメントを受ける。同様に、第3リンク25は第3回転軸43を中心としてY軸負方向から見て反時計回りの力のモーメントを受ける。
【0064】
第2弾性部材27は、第3リンク25の第2端部2521を第2係止部2211に向かう方向に付勢する。
例えば、第2弾性部材27は、長手方向の端部に第1フック271と、第2フック272と、を持つ引っ張りコイルバネである。
第1フック271は、第2係止部2211に係止する。第2フック272は、係止孔254に係止する。第2弾性部材27が第3リンク25に係止する位置は、略平面Sa上であり、第2弾性部材27の付勢力は略平面Sa内で第3リンク25の第2端部2521に作用する。
第2弾性部材27からの付勢力によって、第3リンク25は、第3回転軸43を中心としてY軸負方向から見て時計回りの力のモーメントを受ける。
【0065】
カセット引き込み装置20の内部における第1リンク23、第2リンク24、および第3リンク25の配置を説明する。
図3に示すように、3本のビス45によって、第1部材21が第2部材22に固定されると、第1部材21と第2部材22との位置関係が固定される。例えば、第1部材21と第2部材22とのY軸方向の位置関係が固定され、カセット引き込み装置20の内部には、第1部材21および第2部材22の凹凸形状に応じて、Y軸方向の幅が決まった内部空間が形成される。
【0066】
図6に示すように、第1リンク23は、第1部材21の第2板面部2102と、第2部材22の第1支持板2201との間に収容される。
第1リンク23の第1側壁部2301は、第1部材21のリブReと摺動可能に当接する。第1リンク23の第2側壁部2303は、第2部材22のリブRbと摺動可能に当接する。
リブReは軸支持部2106に固定された第1回転軸41を中心とする同心円に沿って配置されているので、第1側壁部2301におけるリブReとの摺動部は第1回転軸41を中心とする円弧である。
第1リンク23が第1回転軸41を中心として回転すると、回転の周方向において、図7に示す第1リンク23とリブReとの当接状態が維持される。リブReとの摺動部は、潤滑剤保持部geに充填された潤滑剤44によって潤滑される。潤滑剤保持部geの外部に出た潤滑剤44は、第1リンク23が回転しても、潤滑剤保持部geの近傍にとどまるので潤滑性能が長期間保たれる。
【0067】
同様に、リブRbは軸支持部2206に挿入された第1回転軸41を中心とする同心円に沿って配置されているので、第2側壁部2303におけるリブRbとの摺動部は第1回転軸41を中心とする円弧である。
第1リンク23が第1回転軸41を中心として回転すると、回転の周方向において、図16に示す第1リンク23とリブRbとの当接状態が維持される。リブRbとの摺動部は、潤滑剤保持部gbに充填された潤滑剤44によって、リブReとの摺動部と同様に、潤滑される。
【0068】
図10に示すように、第3リンク25は、第1部材21の第1板面部2101と、第2部材22の第1台部2202における第2部分Pbとの間に収容される。
第3リンク25の第1アーム251は第1部材21のリブRfと、第1部材21のリブRcと、に挟まれており、それぞれと摺動可能に当接する。
第3リンク25の第2アーム252は第1部材21のリブRgと、第2部材22のリブRdと、に挟まれており、それぞれと摺動可能に当接する。
リブRf、Rcは、軸支持部2207に固定された第3回転軸43を中心とする同心円に沿って配置されているので、第1アーム251におけるリブRf、Rcとの摺動部と、第2アーム252におけるリブRg、Rdとの摺動部とは、第3回転軸43を中心とする円弧である。
第3リンク25が第3回転軸43を中心として回転すると、回転の周方向において、図11、12に示す第3リンク25とリブRf、Rc、Rg、Rdとの各当接状態が維持される。リブRf、Rc、Rg、Rdとの各摺動部は、潤滑剤保持部gf、gc、gg、gdにそれぞれ充填された潤滑剤44によって、リブReとの摺動部と同様に潤滑される。
【0069】
図6に示すように、第2リンク24は、第1部材21の第1板面部2101と、第2部材22の第1台部2202における第1部分Paとの間に収容される。
第2リンク24の突起部2402における第3側面2405は、第2部材22のリブRaと摺動可能に当接する。第2リンク24の本体部2401における第1側面2403は、Y軸方向から見て、第1部材21の第1板面部2101に形成された潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcの少なくともいずれかと重なる位置に配置されている。第1側面2403は、第1板面部2101の内面と当接している。
リブRaは、軸支持部2106に固定された第1回転軸41を中心とする同心円に沿って配置されているので、第3側面2405におけるリブRaとの摺動部は第1回転軸41を中心とする円弧である。
第1リンク23が第1回転軸41を中心として回転すると、第2リンク24は、第1リンク23と略連動して第1回転軸41回りに回転する。第2リンク24が回転すると、回転の周方向において、図17に示す第2リンク24とリブRaとの当接状態が維持される。リブRaとの摺動部は、潤滑剤保持部gaに充填された潤滑剤44によって、リブReとの摺動部と同様に潤滑される。
【0070】
第2リンク24の本体部2401における第1側面2403は、第1部材21の第1板面部2101と摺動可能に当接する。第1側面2403は、Y軸方向から見て、第1部材21の第1板面部2101に形成された潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcの少なくともいずれかと重なる位置に配置されている。
潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcは、軸支持部2106に固定された第1回転軸41を中心とする同心円に沿って配置されているので、第1側面2403は、潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcの長手方向と、回転の周方向とが一致した状態で、第1板面部2101と摺動する。
潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcの近傍の第1側面2403は、潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcに充填された潤滑剤44によって潤滑される。潤滑剤44の移動方向は、回転における周方向である。潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcの外部に出た潤滑剤44は、第1側面2403が回転しても、潤滑剤保持部Ga、Gb、Gcの近傍にとどまるので、潤滑性能が長期間保たれる。
【0071】
カセット引き込み装置20の動作を説明する。
図2に示すように、給紙カセット17は、第1方向Daにおいて、画像処理装置100に挿脱される。本実施形態では、第1方向DaはX軸方向である。ピン179の突出方向である第2方向DbはY軸方向である。第1方向Daおよび第2方向Dbに直交する第3方向Dcは、Z軸方向である。
給紙カセット17が画像処理装置100に第1方向Daにおいて挿入されると、ピン179がカセット引き込み装置20に近づく。
【0072】
図19~21は、実施形態のカセット引き込み装置の動作を説明する模式図である。
図19~21では、カセット引き込み装置20の内部の動作が分かりやすいように、第1部材21の図示は、二点鎖線で示すガイド部2114および誘導溝2116を除いて省略されている。さらに、第1弾性部材26および第2弾性部材27は模式化されている。
【0073】
給紙カセット17が挿入される前のカセット引き込み装置20の内部が、図19に示されている。
第1リンク23および第2リンク24はホームポジションにある。ホームポジションにおいては、第1リンク23および第2リンク24の位置および姿勢が固定されている。
第1リンク23は、第1リンク23の連結板2302が第1ストッパ2208に近接する位置まで、図示時計回りに回転している。
第2リンク24は回り止め状態である。第2リンク24のフック2412は係合ピン2209に係止している。回り止め状態の第2リンク24のフック2412が係合ピン2209に係止していると、第1リンク23および第2リンク24は、第1回転軸41回りに回転できない。
ホームポジションにおいて、第1リンク23における軸線Aaは、X軸負方向に向かうにつれてZ軸正方向に向かって傾斜している。軸線Aaは、ZX平面と平行な平面において、X軸に対して鋭角をなして傾斜している。
第1リンク23および第2リンク24のホームポジションでは、下部開口Obは、Y軸負方向から見て、ガイド部2114のX軸正方向の端部と重なっている。
ホームポジションでは、第1弾性部材26および第2弾性部材27は、自然状態よりも延びている。第3リンク25は、第1弾性部材26および第2弾性部材27から作用する力のモーメントが釣り合う位置に停止している。第1アーム251は、第3ストッパ2210から離れている。
【0074】
カセット引き込み装置20に近づいたピン179(図19における左側のピン179参照)は誘導溝2116の内部に移動する。カセット側リンク178に固定されたピン179は、カセット側リンク178の回転軸線1781(図3参照)を中心としてZX平面内で回転可能なので、ピン179は、第3方向Dcにおいて移動可能である。
給紙カセット17がさらに挿入されると、ピン179は誘導溝2116に当接し、誘導溝2116に沿って、ガイド部2114に向かって移動する。
ガイド部2114を通して第1部材21の内部に挿入されたピン179の先端部は、第2リンク24における下部開口Obを通して係合溝2407に挿入される。
この後、ピン179は、第3方向Dcの位置がガイド部2114によって規制された状態で、X軸負方向に移動する。ピン179は、第1側壁2408に当接して、第2リンク24をガイド部2114に沿う方向に付勢する。
第1側壁2408を通して付勢された第2リンク24は、第2回転軸42を中心として、図示反時計回りに回転し、フック2412と係合ピン2209との係合が解除される。
【0075】
係合ピン2209とフック2412との係合が解除されると、第1リンク23が第1回転軸41回りに回転可能になるので、引き伸ばされている第1弾性部材26および第2弾性部材27が収縮する。第3リンク25は第3回転軸43を中心として図示時計回りに回転し、第1リンク23は第1回転軸41を中心として図示反時計回りに回転する。
第1リンク23が回転し始めると、第1リンク23とともに、第2リンク24も、第1回転軸41を中心として図示反時計回りに回転する。
第1リンク23とともに第2リンク24が回転すると、第2側壁2409がピン179に当接し、第2側壁2409からピン179に給紙カセット17の挿入方向の力が加えられる。
給紙カセット17は、使用者が押さなくても、第2側壁2409からピン179に作用する力で挿入方向に引き込まれる。
【0076】
図20には、給紙カセット17がさらにX軸負方向に挿入され、ピン179がガイド部2114に沿って移動した状態が示されている。
図20では、ピン179がガイド部2114に沿ってX軸負方向に移動することによって、第1リンク23の図示反時計回りの回転が進み、第1リンク23の軸線Aaは、Z軸と略平行である。この回転位置では、係合溝2407もZ軸と略平行である。
第1弾性部材26および第2弾性部材27の弾性復元力の力関係によって、第3リンク25は、図示時計回りに回転を続けており、第1アーム251は第3ストッパ2210から離れている。
【0077】
図21には、給紙カセット17がさらにX軸負方向に挿入されて、給紙カセット17が挿入が完了した状態におけるピン179の位置が示されている。
図21に示すように、ピン179は、ガイド部2114の後端部2115の湾曲形状に沿ってX軸負方向およびZ軸正方向に移動している。第1リンク23は、第1弾性部材26から図示反時計回りの力のモーメントを受けており、第2ストッパ2212に係止した状態で、回転が停止している。
第3リンク25は、第2弾性部材27から図示時計回りの力のモーメントを受けており、第1アーム251が第3ストッパ2210に係止した状態で、回転が停止している。
ピン179は、係合溝2407の第1側壁2408および第2側壁2409に挟まれている。
第1方向Daにおける給紙カセット17の位置は、ピン179と係合溝2407との間の隙間の範囲で固定され、給紙カセット17の挿入が完了する。
【0078】
以上説明したように、フック2412と係合ピン2209との係合が解除されてから図21に示す挿入が完了した状態に到るまでの間、第1弾性部材26および第2弾性部材27の収縮によって、ピン179は第2側壁2409から挿入方向に作用する引き込み力を受け続ける。
使用者は、フック2412と係合ピン2209との係合を解除するために給紙カセット17を挿入方向に押した後は、給紙カセット17が円滑に引き込まれる。
図21に示す挿入の完了する直前には、図2に示すダンパ18が内側板101と当接する。ダンパ18は、給紙カセット17の停止時に給紙カセット17およびカセット引き込み装置20に生じる衝撃力を吸収する。
【0079】
挿入が完了した給紙カセット17を第1方向Daにおいて引き出す場合には、上述した動作が逆順に行われる。給紙カセット17には、ピン179を介して第2側壁2409から挿入方向の引き込み力が作用しているので、使用者は、引き込み力に抗して、給紙カセット17を挿入方向と反対の引き出し方向に引き出す。
ピン179が、ガイド部2114に沿ってX軸正方向のガイド部2114の端部に移動すると、フック2412が第1ストッパ2208に係止し、第1リンク23および第2リンク24がホームポジションに戻る。ピン179に作用する引き込み力は消失する。
ピン179は、係合溝2407の下部開口Obから誘導溝2116に引き出され、ピン179と係合溝2407との係合が解除される。
使用者は、給紙カセット17を装置本体15の前側に引き抜くことができる。
【0080】
例えば、給紙カセット17の挿入前に何らかの原因によって、ホームポジションにおけるフック2412と係合ピン2209の係合が解除されると、第1リンク23および第2リンク24は、係合溝2407にピン179を係合することなく図21に示す位置に移動する。
本実施形態では、上述の状態からピン179を係合溝2407に係合することができる。上述の状態から使用者が給紙カセット17を挿入すると、ガイド部2114に導入されたピン179が上側案内面2410に乗り上げる。さらに使用者が給紙カセット17をX軸負方向に押すと、ガイド部2114に沿って移動するピン179から上側案内面2410に作用する力によって、第2リンク24が第2回転軸42を中心として、図示反時計回りに回転する。使用者が、給紙カセット17を挿入が完了する直前の位置まで給紙カセット17を挿入すると、ピン179が上側案内面2410から上部開口Oaを通して、係合溝2407に入り、図21に示すように係合溝2407と係合する。
カセット引き込み装置20は挿入完了時と同様な状態になる。
この後、上述したように、使用者が給紙カセット17を引き出せば、第1リンク23および第2リンク24がホームポジションに復帰する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態では、給紙カセット17の挿入と引き出しとを行う際に、第1リンク23、第2リンク24、および第3リンク25がそれぞれ回転する。
第1リンク23、第2リンク24、および第3リンク25が円滑に回転しないと、給紙カセット17の引き込みに支障が生じたり、使用者の負荷が生じる。
本実施形態において第1部材21および第2部材22に設けられたリブおよび潤滑剤保持部の作用を説明する。
【0082】
第1リンク23が回転するとき、図6に示すように、第1リンク23は、リブRb、Reによって挟持されているので、Y軸方向にぶれることなく安定して平面Sa内で回転する。さらに、第1リンク23とリブRb、Reとの摺動部は、潤滑剤44によって潤滑されているので、第1リンク23の回転に伴う摺動抵抗が低減される。
第2リンク24が回転するとき、第2リンク24は、リブRaと、潤滑剤保持部Gaが設けられた第1板面部2101とによって挟持されているので、Y軸方向にぶれることなく安定して回転する。さらに、第2リンク24と、リブRaおよび第1板面部2101との摺動部は、潤滑剤44によって潤滑されているので、第2リンク24の回転に伴う摺動抵抗が低減される。
第3リンク25が回転するとき、図10に示すように、第1アーム251がリブRc、Rfによって挟持され、第2アーム252がリブRd、Rgによって把持されているので、第3リンク25はY軸方向にぶれることなく安定して回転する。さらに、第3リンク25とリブRb、Rf、Rd、Rgとの摺動部は、潤滑剤44によって潤滑されているので、回転に伴う摺動抵抗が低減される。
【0083】
第1リンク23は第1弾性部材26に係止され、第3リンク25は、第1弾性部材26および第2弾性部材27に係止され、それぞれから外力を受ける。
これらの外力は、略平面Sa上で作用する。第1リンク23および第3リンク25は、第1弾性部材26および第2弾性部材27から平面Saの法線に交差する軸線回りの力のモーメントを受けることはないので、リブとの摺接によって摺動負荷が軽減されていること相俟って、第1リンク23および第3リンク25は円滑に回転できる。
【0084】
図22は、実施形態のカセット引き込み装置の作用を説明する斜視の模式図である。
例えば、第2リンク24がピン179を挿入方向に引き込んでいる場合、第1リンク23は、第1係止部2307において、第1弾性部材26からの付勢力Fsを受ける。
第2リンク24は、第2側壁2409に当接するピン179から外力Fpを受ける。
ピン179と係合溝2407との係合位置(外力Fpの作用点)は平面SaからY軸正方向にdだけ離れた平面Sb上にある。
第2リンク24が、リブRaおよび第1板面部2101と摺接していない場合、第2リンク24は外力FpのモーメントによってXY平面内で回転するので、第2リンク24を通して第1リンク23に外力Fpのモーメントが作用する。
第1リンク23はXY平面内で回転するので、リブRe、Rbへの当接状態が不均等になり、摺動負荷が増大する。
本実施形態では、第2リンク24が、リブRaおよび第1板面部2101に挟持されて摺動する。外力Fpのモーメントが作用しても、第2リンク24自体のXY平面内の回転が抑制され、第1リンク23の姿勢が平面Saと平行に保たれるので、第1リンク23および第2リンク24の摺動負荷が抑制される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、使用者の負荷を低減して、給紙カセットを円滑に挿入することができるカセット引き込み装置20を提供できる。
【0086】
平面Saは、第1弾性部材および第2弾性部材における付勢力が作用する平面の例である。
第3側面2405は、リブが摺動する第2リンクにおける側面の例である。
【0087】
以下、上述した実施形態の変形例を説明する。
実施形態の説明では、第2リンクにおける側面と摺動するリブが第2部材に設けられた例で説明した。しかし、リブは、第1部材のみに設けられてもよいし、第1部材および第2部材の両方に設けられてもよい。
実施形態では、第1部材21にリブは設けられていないが、第2リンク24の第1側面2403は、第1板面部2101と摺接しているので、第1板面部2101は、リブと同様、第2リンク24を挟持して姿勢を安定させる機能を持っている。
第2リンク24がリブRaと摺接するだけでも、第2リンク24の姿勢を安定させることができれば、第1板面部2101は、第1側面2403から離れていてもよい。
第1部材21にリブを設ける場合に、第1部材21のリブと第1側面2403とが、第2部材22の姿勢を安定させることができれば、リブRaは省略されてもよい。
第2部材の側面と摺動するリブは、第1部材および第2部材22の一方または両方に設けられていればよい。
【0088】
実施形態の説明では、リブの突出方向の先端に潤滑剤を保持する潤滑剤保持部を持つ例で説明した。
しかし、リブの先端と第2リンクの側面との摺動摩擦が小さい場合には、潤滑剤保持部は省略されてもよい。例えば、リブの材料とし低摩擦の材料を用いれば、潤滑剤および潤滑剤保持部は省略されてもよい。
潤滑剤保持部が形成されていなくても、リブの先端に潤滑に必要な潤滑剤が付着できれば、潤滑剤保持部を省略し、潤滑剤をリブに塗布するだけでもよい。
【0089】
実施形態の説明では、潤滑剤保持部が溝の例で説明したが、潤滑剤が保持できれば、潤滑剤保持部は溝でなくてもよい。例えば、リブの先端に微小な凹凸、線条、または粗面が形成されたり、リブの先端が多孔質化されていてもよい。
【0090】
実施形態の説明では、カセット引き込み装置が、第3リンクと、第2弾性部材とを持つ例で説明した。しかし、第1リンクを付勢するために必要な第1弾性部材を配置できるスペースがあれば、第3リンクおよび第2弾性部材は省略されてもよい。第3リンクおよび第2弾性部材を設けない場合は、第1弾性部材において、第1リンクと係止する端部と反対側の端部(第2フック262)は、第2部材または第1部材に係止される。
【0091】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1方向において挿脱可能に設けられた給紙カセットから第1方向と直交する第2方向に突出されたピンの位置を、給紙カセットの挿脱時に、第1方向および第2方向に直交する第3方向において案内するガイド部と、ガイド部が形成された第1部材と、第1部材と固定され、第1部材と第1方向において対向する第2部材と、第1部材と第2部材との間に設けられ、第1方向において第2部材から第1部材に向かう長さを有する第1回転軸と、第1回転軸において回転支持された第1リンクと、第1リンクに設けられ、第1方向において第1部材と対向する方向に長さを有する第2回転軸と、第2回転軸において回転支持され、第1方向においてピンと係合しピンの移動方向に交差する方向にピンと摺動する係合溝を有する第2リンクと、第1部材および第2部材の一方または両方に設けられ、第2リンクに向かう第1方向に突出し、第1回転軸回りの第1リンクの回転に伴う第2リンクの移動範囲において、第2リンクにおける側面と摺動するリブと、を持つので、使用者の負荷を低減して、給紙カセットを円滑に挿入することができるカセット引き込み装置を提供することができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
15…装置本体,17…給紙カセット,20…カセット引き込み装置,21…第1部材,22…第2部材,23…第1リンク,24…第2リンク,25…第3リンク,26…第1弾性部材,27…第2弾性部材,41…第1回転軸,42…第2回転軸,43…第3回転軸、44…潤滑剤、100…画像処理装置、179…ピン、2114…ガイド部、2116…誘導溝、2209…係合ピン、2405…第3側面、2407…係合溝、2408…第1側壁、2409…第2側壁、2410…上側案内面、2412…フック、2511…第1端部、2521…第2端部、Aa…軸線、Da…第1方向、Db…第2方向、Dc…第3方向、ga、Ga、gb、Gb、gc、Gc、gd、ge、gf、gg…潤滑剤保持部、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg…リブ、Sa、Sb…平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22