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特開2022-163928医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163928
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04842 20220101AFI20221020BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20221020BHJP
【FI】
G06F3/0484 120
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069077
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】野田 好弘
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 真人
【テーマコード(参考)】
5E555
5L099
【Fターム(参考)】
5E555AA26
5E555BA22
5E555BB22
5E555BC08
5E555BC09
5E555BD05
5E555CB45
5E555CC03
5E555DC25
5E555FA00
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】作業効率を向上させること。
【解決手段】本実施形態に係る医用情報処理装置は、選択部と、取得部と、送信部とを含む。選択部は、画面に表示される複数の表示情報の中から1以上の選択情報を選択する。取得部は、前記選択情報が表示される表示ウィンドウおよび前記選択情報の表示条件に関するレイアウト情報を取得する。送信部は、前記選択情報と前記レイアウト情報とを他装置に送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に表示される複数の表示情報の中から1以上の選択情報を選択する選択部と、
前記選択情報が表示される表示ウィンドウおよび前記選択情報の表示条件に関するレイアウト情報を取得する取得部と、
前記選択情報と前記レイアウト情報とを他装置に送信する送信部と、
を具備する医用情報処理装置。
【請求項2】
前記レイアウト情報は、前記表示ウィンドウの位置関係、前記表示ウィンドウのサイズ、および選択情報が表示される時間範囲の少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記レイアウト情報は、前記選択情報が選択されたときの時間軸に関する情報を含む、請求項1または請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記レイアウト情報は、前記表示情報とは異なる他のアプリケーションの起動状態および表示状態に関するアプリケーション情報をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記複数の表示情報の中からユーザにより選択された表示情報を前記選択情報として選択する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記選択情報を選択した際の他の表示情報が前記他装置にさらに送信される場合、前記選択情報の表示サイズが前記他の表示情報の表示サイズよりも小さいか否かを判定する判定部と、
前記選択情報の表示サイズが前記他の表示情報の表示サイズよりも小さい場合、前記他装置において前記選択情報を前記他の表示情報よりも大きく表示させる表示制御部と、
をさらに具備する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記レイアウト情報に基づき、前記選択情報のレイアウトが前記他装置で維持可能か否かを判定する判定部と、
前記レイアウトが前記他装置で維持できない場合、前記選択情報の位置関係は維持したまま表示サイズを調整して表示させる表示制御部と、
をさらに具備する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
画面に表示される複数の表示情報の中から1以上の選択情報を選択し、
前記選択情報が表示される表示ウィンドウおよび前記選択情報の表示条件に関するレイアウト情報を取得し、
前記選択情報と前記レイアウト情報とを他装置に送信する、医用情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
画面に表示される複数の表示情報の中から1以上の選択情報を選択する選択機能と、
前記選択情報が表示される表示ウィンドウおよび前記選択情報の表示条件に関するレイアウト情報を取得する取得機能と、
前記選択情報と前記レイアウト情報とを他装置に送信する送信機能と、
を実現させるための医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院における医療情報管理では、例えば、来院、手術、退院、その後の経過観察といった各治療シーンにおいて、一人の患者に対して複数の医療従事者が関与して当該患者に関する診療情報を共有する。このとき、共通のアプリケーションにおいて、ある医療従事者が作成した診療情報のレイアウトで他の医療従事者が当該診療情報を確認しようとする場合、他の医療従事者が扱う端末で作成者と同じレイアウトを選択および表示するのに、手間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-34999号公報
【特許文献2】特開平11-184956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、作業効率を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る医用情報処理装置は、選択部と、取得部と、送信部とを含む。選択部は、画面に表示される複数の表示情報の中から1以上の選択情報を選択する。取得部は、前記選択情報が表示される表示ウィンドウおよび前記選択情報の表示条件に関するレイアウト情報を取得する。送信部は、前記選択情報と前記レイアウト情報とを他装置に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る医用情報処理システムを示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る医用情報処理装置の詳細を示すブロック図である。
図3図3は、本実施形態に係る医用情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図4図4は、送信デバイスで選択情報が選択される一例を示す図である。
図5図5は、受信デバイスで選択情報が表示される一例を示す図である。
図6図6は、レイアウトを調整する場合の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、選択情報のレイアウトを調整する具体例を示す図である。
図8図8は、受信デバイスでの選択情報の表示方法の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用情報処理装置、医用情報処理方法及び医用情報処理プログラムについて説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0008】
本実施形態に係る医用情報処理システムについて図1を参照して説明する。
本実施形態に係る医用情報処理システムは、医用情報処理装置1と、送信デバイス2と、受信デバイス3(他装置ともいう)と、画像サーバ4と、電子カルテシステム5と、医療情報管理アプリケーション6とを含む。医用情報処理装置1と、送信デバイス2と、受信デバイス3と、画像サーバ4と、電子カルテシステム5と、医療情報管理アプリケーション6とは、ネットワーク7を介して接続される。なお、本実施形態に係る医用情報処理装置1は、送信デバイス2と、受信デバイス3と、医療情報管理アプリケーション6とは別体でもよいし、送信デバイス2と、受信デバイス3と、医療情報管理アプリケーション6とのうちの少なくともいずれか1つに含まれてもよい。
【0009】
医用情報処理装置1は、送信デバイス2を利用するユーザが選択した情報を選択情報として決定し、当該選択情報のレイアウトを受信デバイス3で再現できるように、受信デバイス3へ選択情報を送信する。なお、医用情報処理装置1の詳細については、図2を参照して後述する。
【0010】
送信デバイス2は、本実施形態に係る医用情報処理装置1と、画像サーバ4と、電子カルテシステム5と、医療情報管理アプリケーション6とに接続可能なデバイスであり、ディスプレイを有する。
【0011】
受信デバイス3は、送信デバイス2と同様の構成でもよいし、スマートフォン、タブレットPC、ノートPCなどのディスプレイを有する他の装置でもよい。受信デバイス3は、送信デバイス2から送信されるデータを、医療情報管理アプリケーション6に接続して確認する。また、図1の例では、受信デバイス3は、送信デバイス2、画像サーバ4電子カルテシステム5および医療情報管理アプリケーション6と同じネットワーク7に接続されるが、ネットワーク7とは異なる外部のネットワークでもよい。
【0012】
送信デバイス2および受信デバイス3のディスプレイは、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。ディスプレイは、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ及びプラズマディスプレイ、またはタッチ入力が可能なタッチディスプレイなどの任意のディスプレイが適宜利用可能である。なお、送信デバイス2および受信デバイス3にディスプレイを含まず、外部のディスプレイにGUIを表示してもよいし、プロジェクタ等を介してGUIを表示させるようにしてもよい。
【0013】
画像サーバ4は、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)であり、医用画像データを記憶し、記憶された医用画像データを管理するシステムである。画像サーバ4は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication Medicine)規格に則って変換された医用画像データを記憶し管理する。
【0014】
電子カルテシステム5は、患者識別情報および患者識別情報に紐付く診療情報などを含む電子カルテデータを記憶し、記憶している電子カルテデータを管理するシステムである。診療情報は、例えば、所見情報、病名情報、バイタル情報、検査段階情報、クリニカルパス、および治療内容の情報など、電子カルテに係る情報を含む。患者識別情報は、例えば、患者ID、患者氏名、性別、および年齢などを含む。クリニカルパスは、時系列に沿った標準的な診療計画を示す。
【0015】
医療情報管理アプリケーション6は、患者に関する治療情報および検査情報などの診療情報を時間軸で統合して管理可能なアプリケーションであり、複数の医師の間、または医師、技師および看護師との間などの医療従事者に代表されるユーザ間で、診療情報を共有できる。
【0016】
ネットワーク7は、例えば病院内ネットワークである。なお、ネットワーク7は、有線接続および無線接続を問わない。また、セキュリティが確保されるのであれば、接続される回線は病院内ネットワークに限定されない。例えば、VPN(Virtual Private Network)などを介し、インターネット等、公衆の通信回線に接続するようにしても構わない。
【0017】
次に、医用情報処理装置1の詳細について図2のブロック図を参照して説明する。
図2に示す医用情報処理装置1は、処理回路10と、メモリ11と、入力インタフェース12と、通信インタフェース13とを含む。処理回路10と、メモリ11と、入力インタフェース12と、通信インタフェース13とは、例えば、バスを介して互いに通信可能に接続される。
【0018】
処理回路10は、医用情報処理装置1の中枢として機能するプロセッサである。処理回路10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)といったプロセッサである。処理回路10は、選択機能101と、取得機能102と、判定機能103と、生成機能104と、送信機能105と、受信機能106と、表示制御機能107とを含む。
【0019】
選択機能101は、画面に表示される複数の表示情報の中から、1以上の選択情報を選択する。表示情報は、画面上の表示ウィンドウ領域に表示される医用情報である。選択情報は、例えば表示情報の中からユーザによりクリックすることにより、またはタッチディスプレイであれば表示情報の表示ウィンドウ領域をタッチすることにより、選択される情報である。
【0020】
取得機能102は、選択情報に関するレイアウト情報を取得する。レイアウト情報は、例えば、選択情報として選択された表示情報の表示ウィンドウの位置関係、表示ウィンドウのサイズ、および選択情報の値などの表示条件および表示される時間範囲(例えば、グラフにおける時間幅)であり、単にレイアウトともいう。また、取得機能102は、選択情報が選択されたときの表示情報全体に関連する時間軸の情報をレイアウト情報として取得してもよい。
【0021】
判定機能103は、選択情報の表示サイズが他の表示情報の表示サイズよりも小さいか否かを判定する。また、判定機能103は、レイアウト情報に示される選択情報のレイアウトが、受信デバイス3で維持可能か否かを判定する。
【0022】
生成機能104は、レイアウトの変更に係る変更履歴を生成する。また、生成機能104は、画面のキャプチャを生成する。
【0023】
送信機能105は、送信デバイス2で選択された選択情報とレイアウト情報とを受信デバイス3に送信する。
受信機能106は、選択情報とレイアウト情報とを受信する。
【0024】
表示制御機能107は、受信した選択情報の表示サイズが、他の表示情報の表示サイズよりも小さい場合、受信デバイス3の画面において選択情報が他の表示情報の表示サイズよりも大きく表示されるように表示制御する。また、表示制御機能107は、レイアウトが受信デバイス3の画面で維持できない場合、選択情報の位置関係は維持したままサイズを調整して表示させるように表示制御する。
【0025】
メモリ11は、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ11は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。なお、メモリ11は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要はない。例えば、メモリ11は、複数の記憶装置により実現されても構わない。また、メモリ11は、医用情報処理装置1にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。
【0026】
メモリ11は、本実施形態に係る処理プログラム等を記憶している。なお、このプログラムは、例えば、メモリ11に予め記憶されていてもよい。また、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されてメモリ11にインストールされてもよい。
【0027】
入力インタフェース12は、ユーザから各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路10へ出力する。本実施形態に係る入力インタフェース12は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド、及び操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパネル等の入力機器に接続されている。また、入力インタフェース12に接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
【0028】
通信インタフェース13は、送信デバイス2、受信デバイス3、画像サーバ4、電子カルテシステム5、医療情報管理アプリケーション6、および図示しないが、病院情報システム、放射線部門情報システムなどとの間でデータ通信を行う。通信インタフェース13は、例えば、予め設定されている既知の規格に準拠してデータ通信を行う。医用情報処理装置1と、病院情報システム、電子カルテシステム5、医療情報管理アプリケーション6および放射線部門情報システムとの間では、例えば、HL7(Health Level 7)に準拠した通信が実施される。また、医用情報処理装置1と画像サーバ4および医療情報管理アプリケーション6との間では、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠した通信が実施される。
【0029】
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置1の動作例について図3のフローチャートを参照して説明する。
ステップS301では、選択機能101により、送信デバイス2のユーザから表示情報の選択を受け付ける。例えば送信デバイス2のユーザが、受信デバイス3のユーザに対して通知したいと認識する表示情報がマウスなどでクリックされることで、選択情報が選択される。
【0030】
ステップS302では、取得機能102により、選択情報のレイアウト情報が取得される。例えば、選択情報が表示される位置および選択情報の表示サイズが、レイアウト情報として取得される。
ステップS303では、送信機能105により、選択情報およびレイアウト情報が受信デバイス3に送信される。受信デバイス3では、受信した選択情報が、いわゆるプッシュ通知の方式で受信デバイス3のユーザに通知されてもよい。また、受信デバイス3が受信した場合に、強制的に画面上に表示される方式である割り込み通知でもよい。送信方式は、送信デバイスおよび受信デバイスでプッシュ通知および割り込み通知が可能な共通のプロコトルで選択情報およびレイアウト情報を含むデータ送受信を行うことを想定するが、これに限らず、一般的な電子メールのプロコトルを用いてもよい。受信デバイスにおいて、例えば電子メールで受信したリンク等をクリックすることで、選択情報およびレイアウト情報に基づくレイアウトが再現されるように医療情報管理アプリケーション6を自動起動できる設定でもよい。
【0031】
次に、医用情報処理装置1の動作の具体例について図4および図5を参照して説明する。
図4は、送信デバイス2のユーザである医師Aが、本実施形態に係る医用情報処理装置1を介して、医療情報管理アプリケーション6の画面において医師Bに確認して欲しい情報を選択し、医師Bに送信する場合の一例である。
【0032】
図4左図は、対象患者に関する各種医用データが表示情報として複数の表示ウィンドウが配置される。上部の表示ウィンドウには、時間軸40が表示される。下部左側の表示ウィンドウには、対象患者の医用画像が表示される。下部中央の表示ウィンドウには、バイタルサイン41および検体検査42のグラフが表示される。下部右側の表示ウィンドウには心電図が表示される。
医師Aは、図4左図の時間軸40に示される所定の期間において、対象患者のバイタルサイン41および検体検査42のグラフを医師Bに確認してもらうべく、画面に表示されるバイタルサイン41および検体検査42のグラフを選択する。
【0033】
ここでは、医師Aがバイタルサイン41および検体検査42の表示領域を選択すると、バイタルサイン41および検体検査42が選択情報44として選択される。選択情報44にはアイコン43が表示される。図4の例では、アイコン43としてクリップのマークが表示される。説明の便宜上、ユーザが表示情報を選択することを「クリップ止め」ともいう。クリップ止めを行なうと、取得機能102により、選択情報44、すなわちバイタルサイン41と検体検査42との位置関係および表示ウィンドウのサイズがレイアウト情報として取得される。すなわち、バイタルサイン41の表示ウィンドウが上に、検体検査42の表示ウィンドウが下に位置する位置関係と、それぞれ同じ表示ウィンドウのサイズとが取得される。また、バイタルサイン41のグラフにおける時間範囲がレイアウト情報に含まれてもよい。つまり、横軸および縦軸の値域がレイアウト情報に含まれてもよい。なお、送信デバイス2のユーザが、表示ウィンドウを画面内で移動させる、および表示ウィンドウのサイズを変更する、表示されるグラフの種類を変更するといったレイアウトの変更履歴を、レイアウト情報に含めてもよい。
【0034】
さらに、ユーザが複数の表示情報を選択する順番、つまりクリップ止めする順番に優先度を設定してもよい。設定された優先度は、レイアウト情報に含まれる。優先度の高い順に受信デバイス3で表示されるように設定されればよい。また、クリップ止めに限らず、選択情報の中で重要と判断した部分について、付せんなどのマークを付与し、受信デバイス3のユーザが選択情報の内容でさらに重要な部分を確認できるようにしてもよい。
【0035】
送信機能105により、医師Bが利用する受信デバイス3に対し、クリップ止めしたバイタルサイン41および検体検査42を含む選択情報44とそのレイアウト情報とが送信される。
選択情報44およびレイアウト情報の送信の際は、通知の重要度を設定してもよいし、選択情報44を選択するに至ったアラート情報を追加してもよい。例えば、血圧150以上になったらアラートするといった閾値の設定によりクリップ止めが行なわれたのであれば、アラート情報「血圧150以上」をそのままメッセージで表示してもよいし、グラフ上にマークで表示してもよい。さらに、宛先へのコメントを文字および音声で通知してもよい。
【0036】
次に、医師Bが利用する受信デバイス3に選択情報が送信される例を図5に示す。受信デバイス3は、医師Aと同じ医療情報管理アプリケーション6を利用する場合を想定する。
図5では、医師Bが他の診療情報を閲覧していた場合に、ここでは割り込み通知により、医師Aがクリップ止めした選択情報44が表示される。具体的には、表示制御機能107が、選択情報44を参照し、医療情報管理アプリケーション6において選択情報44として表示する情報を決定する。さらに、表示制御機能107が、レイアウト情報を参照し、当該決定された情報の表示ウィンドウの位置関係および各表示ウィンドウのサイズ、選択情報のグラフの値域などの表示条件に関するパラメータを設定して表示することで、受信デバイス3側でレイアウトを再現できる。これにより、医師Aが確認して欲しい情報を、医師Aのレイアウトそのままに医師Bが確認できる。
【0037】
その他、受信デバイス3で選択情報およびレイアウト情報を受信したことを通知する手法としては、医療情報管理アプリケーション6の画面内で通知バナーを表示してもよいし、画面上にメールアイコンを点滅表示するなどの強調表示をしてもよい。これにより、受信デバイス3のユーザが通知バナーまたはメールアイコンをクリックすることで、選択情報44が表示されればよい。
【0038】
また、通知された情報をクリックまたはタッチすることにより、医師Bが元々閲覧していた診療情報に戻れるようにしてもよい。例えば、表示制御機能107が、レイアウト情報として受信デバイス3で表示された選択情報44の表示ウィンドウ内のいずれかの領域がクリックされると、選択情報44の表示ウィンドウを閉じるように制御すればよい。または、医療情報管理アプリケーション6と連携し、送信デバイス2から受信する選択情報は、表示ウィンドウのいずれかの領域がクリックされると選択情報44を閉じるように設定されていてもよい。
【0039】
図5の例では、選択情報44が表示され、内容を確認した場合、選択情報44にマウスカーソル51を併せてクリックすることで選択情報44が閉じられ、ワンクリックで閲覧していた診療情報に戻ることができる。
【0040】
なお、送信デバイス2と、受信デバイス3とが異なる場合は、デバイスの種類によっては、レイアウト情報に含まれるレイアウトをそのまま表示できない可能性がある。例えば、送信デバイス2がデスクトップPCであり、受信デバイス3がタブレットPCである場合、ディスプレイサイズが異なるため、デスクトップPCで設定した表示ウィンドウのサイズをそのまま表示できない可能性がある。このような場合、レイアウトが調整されてもよい。
【0041】
レイアウトを調整する場合の処理について図6のフローチャートを参照して説明する。
ステップS601では、受信機能106が、送信デバイス2から選択情報に関するレイアウト情報を受信する。
ステップS602では、判定機能103が、レイアウト情報に含まれるレイアウトを維持可能か否か判定する。例えば、受信デバイス3で表示可能な最大画面サイズを取得し、レイアウト情報に含まれる選択情報の表示ウィンドウの位置関係および表示ウィンドウのサイズが、当該最大画面サイズに収まるか否かを判定する。当該位置関係およびサイズが最大画面サイズに収まれば、レイアウトを維持できると判定し、当該最大画面サイズに収まらなければ、レイアウトを維持できないと判定する。
レイアウトを維持可能な場合は、ステップS603に進み、レイアウトを維持できない場合は、ステップS604に進む。
【0042】
ステップS603では、表示制御機能107が、レイアウト情報に含まれるレイアウトのまま、選択情報を受信デバイスのディスプレイ上に表示する。例えば、割り込み表示されればよい。
ステップS604では、表示制御機能107が、レイアウトを調整して選択情報を表示する。例えば、選択情報の位置関係は維持したまま、各選択情報の表示ウィンドウのサイズを縮小するといった表示制御を実行すればよい。
【0043】
次に、選択情報のレイアウトを調整する具体例について図7を参照して説明する。
図7に示すように、送信デバイス2はデスクトップPCであり、医用画像71、バイタルサイン41および心電図72の表示ウィンドウがクリップ止めされ、それぞれアイコン43が付与される。一方、受信デバイス3は、タブレットPCである場合を想定し、デスクトップPCの画面サイズよりもタブレットPCの画面サイズのほうが小さいと想定する。
【0044】
送信デバイス2のディスプレイの幅で選択された医用画像71、バイタルサイン41および心電図72の表示ウィンドウのサイズそのままでは、受信側のタブレットPCでこれらの情報は表示できない。よって、医用画像71、バイタルサイン41および心電図72の表示ウィンドウのサイズをタブレットPCで表示可能なサイズに変更する。さらに、送信デバイス2でクリップ止めしたときのレイアウトサイズではないことを示すため、例えば「レイアウトを維持するため縮小しています。拡大するにはタッチして下さい。」といったコメント73を表示してもよい。
【0045】
コメント73がタッチされた場合は、表示制御機能107により、選択情報の表示ウィンドウを送信デバイス2のレイアウトと同一サイズに拡大し、ユーザがスクロールにより、受信デバイス3で表示できない部分を確認できるように表示制御すればよい。
【0046】
次に、受信デバイス3で表示される選択情報の表示方法の別例について図8を参照して説明する。
クリップ止めすることにより得られる選択情報のみならず、クリップ止めしたときの送信デバイス2の画面全体のレイアウト、つまり選択情報として選択されなかった他の表示情報を併せて送信してもよい。この場合、表示するデバイスによっては、図7の例に示すように各表示ウィンドウが画面に表示されるよう、表示ウィンドウのサイズが調整されることがある。
調整された結果、クリップ止めされた選択情報がクリップ止めされていない表示情報も小さい場合、クリップ止めによりアイコンが表示されているにもかかわらず、選択情報が他の情報に埋もれてしまい、送信デバイス2のユーザの意図が伝わりにくい可能性がある。よって、このような場合は受信デバイス3において選択情報が優先的に表示されてもよい。
【0047】
図8では、図8左図の送信デバイス2のディスプレイ全体のレイアウトがレイアウト情報として送信される場合、クリップ止めされた選択情報44の各表示ウィンドウのサイズは、例えば下部左側の医用画像よりも小さい。
よって、表示制御機能107により、選択情報44の表示サイズを拡大する。図8右図に示す受信デバイス3で表示される選択情報81は、医用画像よりも大きく表示される。このようにすることで、送信デバイス2のユーザが注目して欲しい情報を受信デバイス3において優先的に表示できる。
【0048】
なお、レイアウト情報として、アニメーション、プレゼンテーション用のモーションなどの動画および音声を含めてもよい。レイアウト情報に音声が含まれる場合は、レイアウトを再現する時点で音声を再生してもよいし、受信デバイス3のユーザが音声再生ボタンなどをクリックすることで再生可能としてもよい。
【0049】
また、クリップ止めのときに同時に参照していた他のアプリケーションに関する起動状態および表示状態のアプリケーション情報をレイアウト情報に含めてもよい。例えば、医用画像を観察するための画像ビューアに関するアプリケーションや、電子カルテシステム5に関するアプリケーションなど、医用情報処理装置1の表示制御対象以外のアプリケーションにおけるレイアウト、表示サイズその他の表示に関するパラメータなどをアプリケーション情報としてレイアウト情報に含めてもよい。これによって、送信デバイスのユーザが情報を閲覧していたときの状態の再現性を高めることができる。
【0050】
さらに、生成機能104により、選択情報のレイアウトを受信デバイスの環境を問わず表示できるように、クリップ止め時の画面のキャプチャ(スクリーンショット)を保存し、レイアウト情報とともに受信デバイス3に送信してもよい。これにより、受信デバイスにレイアウト情報を活用できる環境がない場合でも、送信デバイスのユーザからの情報を共有できる。
【0051】
さらに、上述の受信デバイス3のユーザから他のユーザに共有するため、受信デバイス3が送信デバイスとなって、他の受信デバイスへ選択情報およびレイアウト情報を転送してもよい。例えば、送信デバイス2から選択情報およびレイアウト情報を受信した第1受信デバイスから、第2受信デバイスへ選択情報を転送してもよい。また、選択情報およびレイアウト情報が転送する際に、さらにクリップ止めして選択情報を追加してもよいし、元からあった選択情報を削除してもよいし、レイアウトを変更してもよい。
このような変更に係る変更履歴を追加情報としてレイアウト情報に含めて、選択情報およびレイアウト情報を第1受信デバイスから第2受信デバイスに転送すればよい。なお、選択情報およびレイアウト情報を保存した時点と、受信デバイス3に選択情報およびレイアウト情報を受信し表示された時点とで、選択情報が更新されている場合は、レイアウト情報を保存した当時の情報をキャプチャ情報として参照できるようにしてもよい。
【0052】
以上に示した本実施形態によれば、送信デバイスのユーザ(作成者)が選択した選択情報およびレイアウト情報を取得して、受信デバイスへ送信する。受信デバイスでは、受信した選択情報およびレイアウト情報に基づいて、送信デバイスのユーザが確認して欲しい選択情報とそのレイアウトを表示する。これにより、作成者が確認して欲しい情報とそのレイアウトを受信側で容易に再現することができる。よって、受信側で個別にレイアウトの設定する必要がなく、作業効率を向上させることができる。
【0053】
上述した本実施形態に係る各機能101~107は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能101~107を実現するものとしても構わない。また、各機能101~107をプログラムとしてメモリ11などに記憶させ、処理回路10が、当該プログラムを実行することにより、当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。
【0054】
加えて、実施形態に係る各機能は、本実施形態に係る処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該処理を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVD、Blu-ray(登録商標)ディスクなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0055】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、作業効率を向上させることができる。
【0056】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 医用情報処理装置
2 送信デバイス
3 受信デバイス
4 画像サーバ
5 電子カルテシステム
6 医療情報管理アプリケーション
7 ネットワーク
10 処理回路
11 メモリ
12 入力インタフェース
13 通信インタフェース
40 時間軸
41 バイタルサイン
42 検体検査
43 アイコン
44,81 選択情報
51 マウスカーソル
71 医用画像
73 コメント
101 選択機能
102 取得機能
103 判定機能
104 生成機能
105 送信機能
106 受信機能
107 表示制御機能



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8