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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163929
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/551 20060101AFI20221020BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A61F13/551
A61F13/15 143
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069079
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀憲
(72)【発明者】
【氏名】清水 美沙
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BB25
3B200DA27
3B200DD01
3B200DD02
3B200DD10
3B200DE07
3B200DE16
(57)【要約】
【課題】使用済みの吸収性物品の処理時及び廃棄後のごみ箱内の悪臭を緩和することができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品本体11と、吸収性物品本体11のバックシート12に設けられた香料袋21と、香料袋21と一体化した後処理テープ30と、を有する、吸収性物品10であって、後処理テープは、いずれも肌当接面側に粘着層を有し、長手方向に延伸する略矩形状のフィルムが、肌当接面側から第一フィルム31、第二フィルム33及び第三フィルム35の順に3枚積層され、香料袋21は、幅方向に延伸する略矩形状であり、第二フィルム33の第三フィルム35が積層されていない領域において、後処理テープ30と直交し、かつ上に重なるように吸収性物品本体11に接合され、香料袋21は、香料が含侵した不織布22とヒートシール部23と切込み線24とを有する吸収性物品10である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品本体と、該吸収性物品本体のバックシートに設けられた香料袋と、該香料袋と一体化した後処理テープと、を有する、吸収性物品であって、
前記後処理テープは、いずれも肌当接面側に粘着層を有し、吸収性物品の長手方向に延伸する略矩形状のフィルムが、肌当接面側から第一フィルム、第二フィルム及び第三フィルムの順に3枚積層され、
前記第二フィルムの長手方向の一方端部には、前記第三フィルムが接合され、
前記第二フィルムの、前記第三フィルムが接合されていない長手方向の他方端部には、前記第一フィルムが接合され、
前記後処理テープは更に、前記第三フィルムの、前記第二フィルムと接合されていない自由端部の肌当接面側に、摘み部を形成するための第四フィルムが積層され、
前記香料袋は、吸収性物品の幅方向に延伸する略矩形状であり、前記第二フィルムの前記第三フィルムが積層されていない領域において、前記後処理テープと直交し、かつ上に重なるように前記吸収性物品本体に接合され、
前記香料袋は、該香料袋に内包されている香料が含侵した不織布と、前記後処理テープの前記第二フィルムと前記第三フィルムが接合している部分側に向いた辺を含む3辺に製袋時に形成されたヒートシール部と、前記後処理テープの幅方向両端部より外側にそれぞれ設けられた切込み線とを有することを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
前記香料袋は、アルミ箔の上にシーラント層を積層したラミネート紙を有することを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料袋付き後処理テープを備えた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、で構成されており、これにより、尿等の体液は、トップシートを通って吸収体に吸収される。これらの吸収性物品には、テープタイプの紙おむつ、パンツタイプの紙おむつ、尿取りパッド、軽失禁パッドなど、用途に応じて様々な種類が存在する。
【0003】
使用済みの吸収性物品の後処理時の悪臭を緩和するために、例えば、吸収性物品に消臭剤スプレーを吹き付ける方法がある。しかしながら、仕事量の多い介護現場ではスプレーを使用すること自体が手間であり、また、使用済みの吸収性物品を触った手でスプレーを使用した後に、スプレー自体を消毒する必要が生じる場合がある。
【0004】
一方、吸収性物品自体に香料を賦香する方法が知られている。例えば、特許文献1では、水溶性フィルムに香料を入れたものが開示されている。また、特許文献2では、湿潤により崩壊するマイクロカプセル内に香料を入れたものを吸収体に入れる方法が開示されている。さらに、特許文献3では、後処理テープの粘着層に香料を混ぜる方法が開示されている。また、特許文献4では個包装体にとりつけられた易開封性の香料袋が、着用者が使用開始時に個包装を開封すると同時に香料袋を開封する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63-100021号公報
【特許文献2】特開昭59-106501号公報
【特許文献3】特開2016-067912号公報
【特許文献4】特開2014-223129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
香料が担持される吸収性物品は、製造時に吸収性物品に香料を担持させてから実際に使用するまで香料が揮散しない、又は香料の効果が消滅しない構造であることが求められる。
しかしながら、特許文献1及び2の技術では、水分の多い尿に対しては有効ではあるものの、水分の少ない大便に対し効果を発揮しないという問題がある。また、特許文献3の技術においては、一般的に香料は粘着剤に浸透していき粘着力を低下させやすいため、製品を長期間保管した場合に後処理テープとしての機能を低下させる可能性がある。
その他、感圧カプセルを使った方法なども考えられるが、吸収性物品はクッション性を高くするために、製品自体が軟らかくなっているため、カプセルの破壊が起こり難く、悪臭を十分に緩和するための量の香料を吸収性物品に担持させるには、相当量のカプセルが必要になるという問題がある。また、特許文献4は吸収性物品の取り出しに関して、香料が揮発のきっかけとなる点で画期的ではあるものの、香料の揮散は、袋内に閉じ込められた香料が開口部を通じて大気中に出てくる仕組みであり、揮散が遅く、香ってほしいとき即座に香りがたつようにすることができないという欠点がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、使用済みの吸収性物品の処理時及び廃棄後のごみ箱内の悪臭を緩和することができる吸収性物品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究の結果、香料シートがフィルムの袋に内包された香料袋を、吸収性物品に開封可能なように取り付け、さらに、香料袋を後処理テープと一体化させて、使用後の吸収性物品を丸めて廃棄できるようにすることにより、使用済みの吸収性物品の処理時及び廃棄後のごみ箱内の悪臭を緩和することができることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、吸収性物品本体と、該吸収性物品本体のバックシートに設けられた香料袋と、該香料袋と一体化した後処理テープと、を有する、吸収性物品であって、上記後処理テープは、いずれも肌当接面側に粘着層を有し、吸収性物品の長手方向に延伸する略矩形状のフィルムが、肌当接面側から第一フィルム、第二フィルム及び第三フィルムの順に3枚積層され、上記第二フィルムの長手方向の一方端部には、上記第三フィルムが接合され、上記第二フィルムの、上記第三フィルムが接合されていない長手方向の他方端部には、上記第一フィルムが接合され、上記後処理テープは更に、上記第三フィルムの、上記第二フィルムと接合されていない自由端部の肌当接面側に、摘み部を形成するための第四フィルムが積層され、上記香料袋は、吸収性物品の幅方向に延伸する略矩形状であり、上記第二フィルムの上記第三フィルムが積層されていない領域において、上記後処理テープと直交し、かつ上に重なるように前記吸収性物品本体に接合され、上記香料袋は、該香料袋に内包されている香料が含侵した不織布と、上記後処理テープの上記第二フィルムと上記第三フィルムが接合している部分側に向いた辺を含む3辺に製袋時に形成されたヒートシール部と、上記後処理テープの幅方向両端部より外側にそれぞれ設けられた切込み線とを有することを特徴とする、吸収性物品である。
【0009】
上記香料袋は、アルミ箔の上にシーラント層を積層したラミネート紙を有していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用済みの吸収性物品の処理時及び廃棄後のごみ箱内の悪臭を緩和することができる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の吸収性物品の一実施形態を示す平面図である。
図2】香料袋付き後処理テープを示す平面図である。
図3図2におけるY-Y’線断面図である。
図4図3から第三フィルムを展開した状態を示す図である。
図5図4から第二フィルムを剥がした状態を示す図である。
図6図5を香料袋側から見た平面図である。
図7】吸収性物品を丸めて粘着層でテープ止めした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0013】
また、本明細書の説明において、吸収性物品10の着用時とは、吸収性物品10の着用時及び着用後の少なくとも一方をいう。吸収性物品10の長手方向とは、吸収性物品10が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品10の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、肌当接面とは、吸収体等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面とは、吸収体等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性物品10としては、ベビー用又は成人用を問わず、軽失禁パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつが例示されるが、これに限定されるものではなく、その他の吸収性物品であってもよい。
【0014】
<吸収性物品>
本発明の吸収性物品10の一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態の吸収性物品10は、吸収性物品本体11と、吸収性物品本体11のバックシート12に設けられた香料袋21と、香料袋21と一体化した後処理テープ30(以下、一体化したものを香料袋付き後処理テープ20と称する)と、を有するものである。具体的には、香料袋付き後処理テープ20は、バックシート12の非肌当接面側に設けられている。
【0015】
<香料袋付き後処理テープ>
本実施形態では、図1に示すように、香料袋付き後処理テープ20は、吸収性物品本体11の、着用時に腹側になる位置(紙面右側の端部が吸収性物品本体11の腹側端部を示す。)に取り付けられている。香料袋付き後処理テープ20が、背側に取り付けられた場合、僅かな段差による不快感が生じる場合があり、特に高齢者にとっては、僅かな段差は、床ずれの原因になる。本実施形態のように、香料袋付き後処理テープ20が、吸収性物品本体11の腹側に取り付けられていることにより、そのような不快感が生じることがない。さらに、香料袋付き後処理テープ20が、腹側に取り付けられていることにより、使用後に、介護者等がテープ止めなどのアウターをめくると、直ちに香料袋付き後処理テープ20を視認でき、開封し易いという利点もある。おむつ交換の最初の段階で香料を揮発させることで、作業中の悪臭による不快度が緩和される。また簡単に行えるため新たな作業負担とはならない。
以下、香料袋付き後処理テープ20における、香料袋21及び後処理テープ30のそれぞれの構成について説明する。
【0016】
<香料袋>
図2は、香料袋付き後処理テープ20を示す平面図であり、図3図2におけるY-Y’線断面図である。図2及び図3に示すように、香料袋21は、吸収性物品10の幅方向に延伸する略矩形状であり、香料袋21に内包されている香料が含侵した不織布22と、後処理テープ30の第二フィルム33と第三フィルム35が接合している部分側に向いた辺を含む3辺に製袋時に形成されたヒートシール部23と、後処理テープ30の幅方向両端部より外側にそれぞれ設けられた切込み線24とを有する。
香料袋21の本体は、ラミネート紙25を折りたたみ、3辺を熱融着(ヒートシール)してなるものであり、香料袋21の本体の大きさは、吸収性物品10の長手方向における寸法が、10mm以上20mm以下であることが好ましく、幅方向における寸法は、60mm以上100mm以下であることが好ましい。また、ヒートシール部23の幅方向の寸法は、意図しない力によって開封されることを防止する観点から、3mm以上15mm以下であることが好ましい。
さらに、ヒートシール部23には、後処理テープ30の幅方向両端部より外側にそれぞれ、香料袋21の開封のきっかけとなる切込み線24が設けられている。切込み線24は香料袋21の開封時に蛇行なくまっすぐ切り裂くことができるように、ラミネート紙25の紙基材のMD方向が、切込み線24の方向と重なることが好ましい。また、切込み線24の長さは2mm以上あればよい。
【0017】
(ラミネート紙)
ラミネート紙25は、不織布22に含浸した香りを香料袋21の内部に閉じ込めることができる紙基材であれば、材質等は特に限定されないが、アルミ箔の上にシーラント層を積層したラミネート紙であることが好ましく、坪量30g/m以上150g/m以下の紙基材に、15μm以上30μm以下の厚みの低密度ポリエチレン層を介して、7μm以上12μm以下のアルミ箔が積層され、更にアルミ箔の上に、低密度ポリエチレンが20μm以上65μm以下の厚みで積層されていることが好ましい。
アルミ箔が7μm以上12μm以下積層されていることで、香料袋21が開封されるまで、香料の揮散を抑えることができる。また、紙基材は坪量40g/m以上60g/m以下であることがより好ましい。坪量が上記の範囲であれば紙基材のコシが強すぎず、吸収性物品10に取り付けていても硬すぎず、アルミ箔の破れを防ぐことができる。さらに、アルミ箔の上に積層する低密度ポリエチレンは30μm以上40μm以下の厚みであることがより好ましい。
【0018】
また、シーラント層としては、通常シーラント層として使用される樹脂が使用できる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や無延伸ポリプロピレン(CPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー(IO)などが使用できる。なお、紙基材とアルミ箔の積層には上記のように低密度ポリエチレンを用いることが好ましいが、シーラント層として使用する樹脂も同様に使用することができる。
【0019】
(香料シート)
不織布22は、不織布に香料を含浸させたものであるが、材質として、香料の吸収力の高さに加えて、後述する香料袋21の開封時に必要な柔軟性を考慮して、スパンレース不織布、エアレイド不織布であることが好ましい。
また、不織布22は後述する香料袋21の開封(後処理テープ30の展開)により引きずり出されるが、図6に示すようにその一部が香料袋21の内部にとどまることが望ましい。そのため、不織布22の幅方向の長さは、図3に示す香料袋端部Cと第二接合部Bの距離の2倍と後処理テープ30の幅方向の寸法の和より、30mm以上長いことが好ましい。長さが30mm未満であると、香料袋21から不織布22が完全に出てしまい、吸収性物品10から落下する可能性がある。
【0020】
(香料)
不織布22に含浸させる香料としては、天然香料及び合成香料のいずれを用いてもよい。中でも、排泄物の臭気に対するマスキング効果、特にハーモナイズド効果があるものを使用するのが好ましい。
香料の具体例としては、リュウゼン香、安息香、海狸香、霊猫香、丁字油、ガルバナム、ジャスミンアブソリュート、メリロット、ミモザ、ムスクトンキン、ローズマリー油、白檀油、ベチバー油、バイオレットリーフアブソリュートなどの天然抽出香料、高級アルコール、アルデヒド、ベンズアルデヒド、安息香酸、ケイ皮酸、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、エステル、ケトン、サリチル酸と関連化合物、バニリンなどの各種の合成香料、あるいはこれらの2種以上の混合物香料として市販品を広く使用することができる。
【0021】
香料は、不織布22に、10mg以上50mg以下含浸されていることが好ましい。
【0022】
(香料袋用粘着層)
香料袋21は香料袋用粘着層26を介して、第二フィルム33の第三フィルム35が積層されていない領域において、後処理テープ30と直交し、かつ上に重なるように吸収性物品本体11に接合されている。具体的には、後処理テープ30と交差する部分のみ第二フィルム33に接合し、その他の部分は吸収性物品本体11のバックシート12と接合している。そのため、後述する香料袋21の開封において、後処理テープ30の第二フィルム33がカットテープとして機能することになる。なお、香料袋用粘着層26は後述する第一粘着層32~第三粘着層36と同じ粘着剤を用いることが好ましい。
【0023】
<後処理テープ>
図3に示すように、後処理テープ30は、いずれも肌当接面側に粘着層を有し、吸収性物品10の長手方向に延伸する略矩形状のフィルムが、肌当接面側から第一フィルム31、第二フィルム33及び第三フィルム35の順に3枚積層されている。
具体的には、第二フィルム33の長手方向の一方端部には、第二粘着層34及び第三粘着層36を介して第三フィルム35が接合され(第一接合部A)、第二フィルム33の、第三フィルム35が接合されていない長手方向の他方端部には、第一粘着層32及び第二粘着層34を介して第一フィルム31が接合されている(第二接合部B)。このような構成とすることの効果は、後述する使用方法の説明において述べる。
【0024】
後述する香料袋21の開封において、後処理テープ30は開封テープとして機能する。そのため、第一フィルム31~第三フィルム35のいずれのフィルムもフィルム自体に伸びがなく、適度な強度を有する必要がある。したがって、第一フィルム31~第三フィルム35の材質としては、ポリプロピレンとポリプロピレンをブレンドしたフィルム、ポリエチレンテレフタレートのフィルム等が挙げられる。
【0025】
また、第一粘着層32~第三粘着層36に用いる粘着剤としては、公知の粘着剤を用いることができる。例えば、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられる。第一粘着層32~第三粘着層36の塗布量は、いずれも10g/m以上50g/m以下であることが好ましい。なお、第一フィルム31~第三フィルム35の粘着剤が塗布される面(第一粘着層32~第三粘着層36が備えられる面)の反対側の面には、シリコーンコーティング等の剥離処理を施すことができる。
【0026】
(摘み部)
後処理テープ30は更に、第三フィルム35の、第二フィルム33と接合されていない自由端部の肌当接面側に、第三粘着層36を介して、摘み部40を形成するための第四フィルム37が積層されている。
このように、第三フィルム35の粘着層(第三粘着層36)の一部に第四フィルム37を積層することで、第三粘着層36の一部がカバーされ、後処理テープ30の摘み部40となる。なお、第四フィルム37の材質は他のフィルムと同じでかまわないが、摘み部40を視認しやすくするため、着色されていることが好ましい。
【0027】
<吸収性物品本体>
吸収性物品本体11は、非肌当接面側から、バックシート12、吸収体(図示しない)、トップシート(図示しない)を有する。
【0028】
(バックシート)
バックシート12は、公知のものを用いることができ、吸収体が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されることが好ましく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成されることが好ましい。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド/メルトブロー若しくはスパンボンド/メルトブロー/スパンボンドなどの積層複合不織布、及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0029】
(吸収体)
吸収体としては、公知のものを用いることができる。例えば、フラッフパルプ及び高吸収性ポリマーを含むものが挙げられる。
【0030】
フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。
【0031】
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。
【0032】
吸収体における、フラッフパルプ及び高吸収性ポリマーの形態は、フラッフパルプ中に高吸収性ポリマー粒子を混合して形成したものでもよく、フラッフパルプ間に高吸収性ポリマー粒子を固着した高吸収性ポリマーシートでもよい。また、高吸収性ポリマー粒子の漏洩防止や吸収体の形状の安定化の目的から、吸収体をキャリアシートに包んでもよい。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0033】
(トップシート)
トップシートとしては、公知のものを用いることができる。トップシートは、体液が吸収体へと移動するような液透過性を備えた不織布から形成されることが好ましい。トップシート上に流出した体液は、吸収体へと拡散し、吸収体ですばやく吸収される。トップシートは、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドの2層の積層複合不織布、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、又はこれらを積層した複合シートといった材料から形成されることが好ましい。また、トップシートには、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工が施されてもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシートには、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0034】
<使用方法>
本発明の吸収性物品10は、以下のように使用される。
最初に、摘み部40を指で摘み、図4に示すように第三フィルム35を、第一接合部Aを起点に起こし、更に第二接合部Bの方向に向かって第二フィルム33と第三フィルム35を第一フィルム31から剥がす。その後、剥がし進めて香料袋21の他方の端部に到達すると、切込み線24をきっかけにして香料袋21の開封が始まる。このとき、香料袋21の内部の不織布22は進行方向(Y軸に平行な方向)に向かってよれていくが、不織布22がよれていくことで、香料袋21の内部であって、かつ、後処理テープ30に直交する方向(X軸方向)に延伸する不織布22であっても、開封はそのまま進む。そのため、香料を含侵させる不織布22は柔軟なものでなくてはならず、スパンレース不織布、エアレイド不織布が香料の吸収力が高く柔軟であることから本発明の吸収性物品10においては最適である。一方で、紙は剛性を有するため、香料袋21の開封の妨げとなる。そのため、紙等のシートに香料を含浸させたものを内包することは適切ではない。
そして、第二フィルム33と第一フィルム31が完全に剥離すると、図5に示すように、第三粘着層36が吸収性物品10の面方向(肌当接面側)に向くため、後処理テープ30として機能しつつ、図6に示すように、第二フィルム33が展開することで引きずり出された香料を含侵した不織布22が露出するため、香料袋21の内部に存在するよりも香料が早く揮発することになる。
【0035】
さらに、本発明の吸収性物品10は、香料袋付き後処理テープ20の後処理テープ30がテープの役割を有するため、上記のように第二フィルム33及び第一フィルム31を剥離し、香料袋21から不織布22を引き出した後、図7に示すように後処理テープ30の第三粘着層36をそのままバックシート12に貼り付け、吸収性物品10を丸めて吸収性物品10の端をテープ止めすることができる。このように、香料袋21を開封して香りを揮散させつつ、トップシート側を内側として丸めて後処理テープ30でテープ止めすることにより、使用済みの吸収性物品10の処理時及び廃棄後のごみ箱内の悪臭を緩和することができる。
【0036】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0037】
10 吸収性物品
11 吸収性物品本体
12 バックシート
20 香料袋付き後処理テープ
21 香料袋
22 不織布
23 ヒートシール部
24 切込み線
25 ラミネート紙
26 香料袋用粘着層
30 後処理テープ
31 第一フィルム
32 第一粘着層
33 第二フィルム
34 第二粘着層
35 第三フィルム
36 第三粘着層
37 第四フィルム
40 摘み部
A 第一接合部
B 第二接合部
C 香料袋端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7