(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163949
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】電子部品のウエハ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/12 20100101AFI20221020BHJP
【FI】
H01L33/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069105
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】磯野 大樹
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA40
5F241CA75
5F241CA77
(57)【要約】
【課題】容易に平坦化することが可能な電子部品のウエハを提供する。
【解決手段】第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するサファイア基板と、前記第1面側に位置する複数の電子部品と、を備え、前記サファイア基板は、隣り合う前記電子部品の間に位置する溝部を有し、前記溝部は、平面視で直線状に延出している、電子部品のウエハ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するサファイア基板と、
前記第1面側に位置する複数の電子部品と、を備え、
前記サファイア基板は、隣り合う前記電子部品の間に位置する溝部を有し、
前記溝部は、平面視で直線状に延出している、電子部品のウエハ。
【請求項2】
前記溝部は、前記第1面に形成されている、請求項1に記載の電子部品のウエハ。
【請求項3】
前記溝部は、前記第2面に形成されている、請求項1に記載の電子部品のウエハ。
【請求項4】
前記サファイア基板は、外周縁を有し、
前記溝部は、前記外周縁まで延出している、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子部品のウエハ。
【請求項5】
前記溝部は、第1方向に延出し前記第1方向と交差する第2方向に並んだ複数の第1溝部と、第2方向に延出し前記第1方向に並んだ複数の第2溝部と、を有し、
前記電子部品は、平面視で、隣り合う2本の前記第1溝部と、隣り合う2本の前記第2溝部とによって囲まれている、請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子部品のウエハ。
【請求項6】
前記サファイア基板は、前記第1面に形成された複数の突起部を有し、
前記溝部の深さは、前記突起部の高さより大きい、請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子部品のウエハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子部品のウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLED表示装置が知られているが、近年では、より高精細化した表示装置として、マイクロLEDと称される微小なダイオード素子を用いた表示装置が開発されている。このマイクロLED表示装置は、従来の液晶表示装置や有機EL表示装置とは異なり、表示領域にチップ状の多数のマイクロLEDが実装されて形成されるため、高精細化と大型化の両立が容易であり、次世代の表示装置として注目されている。
【0003】
チップ状の多数のマイクロLEDを表示領域に実装する方法としては、レーザーリフトオフ(LLO:Laser Lift Off)を利用した方法が知られている。複数のマイクロLEDは、表示領域に実装される前にはサファイア基板上に形成されている。しかしながら、LLOによってマイクロLEDをサファイア基板から剥離する際に、サファイア基板に反りが生じている場合、レーザー光が所望の位置に照射されない恐れがある。これを解消するために、サファイア基板の全面を押し付けて、サファイア基板の反りを平坦化する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-83280号公報
【特許文献2】米国特許第10770426号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、容易に平坦化することが可能な電子部品のウエハを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するサファイア基板と、前記第1面側に位置する複数の電子部品と、を備え、前記サファイア基板は、隣り合う前記電子部品の間に位置する溝部を有し、前記溝部は、平面視で直線状に延出している、電子部品のウエハが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、表示装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、回路基板の構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、ウエハの構成を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る実装方法の第1工程を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る実装方法の第2工程を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る実装方法の第3工程を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る実装方法の第4工程を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る実装方法の第5工程を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るウエハを示す平面図である。
【
図11】
図11は、サファイア基板の詳細な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、表示装置DSPの構成を概略的に示す斜視図である。
本明細書においては、図示したように第1方向X、第2方向Y、第3方向Zを定義する。第2方向Yは、第1方向Xに対して垂直な方向であり、第3方向Zは、第1方向X、第2方向Yに対して垂直な方向である。第1方向Xと第2方向Yは、垂直に交わっているが、垂直以外の角度で交わってもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を「上」と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を「下」と称する。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSPや製造装置などを観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。
【0010】
本明細書においては、電子部品として、表示装置DSPに用いるLEDチップ(発光素子)を一例として説明する。
以下、本明細書においては、表示装置DSPが自発光素子であるマイクロLEDを用いたマイクロLED表示装置である場合について説明する。
図1に示すように、表示装置DSPは、表示パネルPNL、プリント回路基板PCB1及びPCB2、及び、駆動ICチップ2を備えている。
【0011】
表示パネルPNLは、一例では矩形状である。図示した例では、表示パネルPNLの短辺EXは第1方向Xと平行であり、表示パネルPNLの長辺EYは第2方向Yと平行である。第3方向Zは、表示パネルPNLの厚さ方向に相当する。表示パネルPNLの主面は、第1方向Xと第2方向Yとにより規定されるX-Y平面に平行である。表示パネルPNLは、表示領域DAと、表示領域DAの外側の非表示領域NDAと、を有している。図示した例では、非表示領域NDAは、表示領域DAを囲んでいる。表示パネルPNLは、非表示領域NDAに端子領域MTを有している。端子領域MTは、表示パネルPNLの短辺EXに沿って設けられ、表示パネルPNLを外部装置などと電気的に接続するための端子を含んでいる。
【0012】
表示領域DAは、画像を表示する領域であり、例えばマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。画素PXは、発光素子(マイクロLED)及び発光素子を駆動するためのスイッチング素子などを含んでいる。
【0013】
プリント回路基板PCB1は、端子領域MTの上に実装され、表示パネルPNLと電気的に接続されている。プリント回路基板PCB1は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。プリント回路基板PCB2は、例えばプリント回路基板PCB1の下方においてプリント回路基板PCB1と接続されている。プリント回路基板PCB2は、例えばリジットなプリント回路基板である。
【0014】
駆動ICチップ2は、プリント回路基板PCB1上に実装されている。なお、駆動ICチップ2は、プリント回路基板PCB1の下に実装されてもよいし、表示パネルPNLの非表示領域NDAに実装されてもよいし、プリント回路基板PCB2に実装されてもよい。駆動ICチップ2は、例えばプリント回路基板PCB1及びPCB2を介して図示しない制御基板と接続されている。駆動ICチップ2は、制御基板から出力される映像信号に基づいて、複数の画素PXを駆動し表示パネルPNLに画像を表示する制御を実行する。
【0015】
以下では、上記した表示パネルPNLのベース基板となる回路基板CBに対して発光素子LEDを実装する方法を説明する。より詳しくは、
図3に示すウエハWFから発光素子LEDをレーザーリフトオフ(LLO)により剥離して、
図2に示す回路基板CBに実装する方法について説明する。
【0016】
まず、
図2及び
図3を参照して、回路基板CB及びウエハWFの構成について説明する。
【0017】
図2は、回路基板CBの構成を概略的に示す断面図である。
回路基板CBは、絶縁基板10、複数の端子部11、及び、複数の接合部材12を備えている。本実施形態の回路基板CBにおいては、例えばガラス基板である絶縁基板10上に、発光素子を駆動するためのスイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成されている。回路基板CBは、バックプレーン基板、TFT基板、アレイ基板などと称されることもある。
【0018】
絶縁基板10は、面10Aと、面10Aの反対側の面10Bと、を有している。図示を省略しているが、絶縁基板10上には、発光素子LEDを駆動するためのスイッチング素子や各種配線パターンが形成されている。
【0019】
複数の端子部11は、絶縁基板10の面10A側に位置している。1つの端子部11は、1組の第1電極11A及び第2電極11Bによって構成されている。端子部11は、例えば、表示装置DSPに実装される発光素子LEDと同数だけ形成されている。端子部11は、例えば、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)などの金属材料、及び、これらの金属材料の積層体で形成されている。1組の第1電極11A及び第2電極11Bのうち少なくとも1つは、1つの画素PXのスイッチング素子に接続されている。
【0020】
複数の接合部材12は、それぞれ端子部11の上に配置されている。1つの接合部材12は、1組の第1接合部材12A及び第2接合部材12Bによって構成されている。第1接合部材12Aは、第1電極11Aの上に位置している。第2接合部材12Bは、第2電極11Bの上に位置している。接合部材12は、端子部11と、後述する発光素子LEDの端子部22とを接合するための部材である。詳細については後述するが、接合部材12は、400nm~3000nmの波長帯のレーザー光が照射されると、レーザーアブレーションにより加熱・溶融する金属材料で形成されており、例えばSn(スズ)、Ag(銀)などの金属材料で形成されている。接合部材12は、半田部材と称されてもよい。また、図示した例では、接合部材12は端子部11に設けられているが、後述する発光素子LEDの端子部22に設けられていてもよい。
【0021】
図3は、ウエハWFの構成を概略的に示す断面図である。
ウエハWFは、サファイア基板20、及び、複数の発光素子(電子部品)LEDを備えている。サファイア基板20は、面(第1面)20Aと、面20Aの反対側の面(第2面)20Bと、を有している。サファイア基板20は、Al
2O
3(酸化アルミニウム)で形成されている。
【0022】
複数の発光素子LEDは、サファイア基板20の面20A側に位置している。発光素子LEDは、発光層21及び端子部22を備えている。
【0023】
発光層21は、図示しない剥離層を介してサファイア基板20の面20Aに固着されている。端子部22は、発光層21の上に配置されている。1つの端子部22は、1組の第1電極22A及び第2電極22Bによって構成されている。第1電極22A及び第2電極22Bは、一方がアノード電極に相当し、もう一方がカソード電極に相当する。端子部22は、回路基板CB側に配置された接合部材12により端子部11に接合され、端子部11と電気的に接続される。端子部22は、バンプと称されてもよい。
【0024】
サファイア基板20は、溝部TRを有している。図示した例では、溝部TRは、面20Aに形成されている。溝部TRは、隣り合う発光素子LEDの間に位置している。すなわち、溝部TRは、発光素子LEDと重ならない位置に形成されている。溝部TRは、例えば、エッチング、レーザー加工、カッターなどによる物理的な切削などによって形成される。
【0025】
次に、
図4乃至
図8を参照して、発光素子LEDを回路基板CBに実装する実装方法について説明する。以下、本明細書では、上述した回路基板CB及びウエハWFを積層したものをワークWKと称することとする。
【0026】
図4は、本実施形態に係る実装方法の第1工程を示す図である。第1工程は、ステージST上にワークWKを載置する工程を示している。なお、回路基板CBの端子部11及び接合部材12と、ウエハWFの発光素子LEDとはそれぞれ簡略化した一層として図示している。
【0027】
まず、実装装置100の構成について説明する。実装装置100は、ウエハWF上の発光素子LEDを回路基板CBに実装するための装置である。
【0028】
実装装置100は、ワークWKが載置されるステージST、加圧ジグ41、レーザー装置60、及び、駆動部DRを備えている。
ステージSTは、ワークWKを支持する支持面STAを有している。
【0029】
加圧ジグ41は、ステージSTと第3方向Zに対向している。加圧ジグ41は、ステージSTとの間でワークWKを加圧するように構成されている。加圧ジグ41は、支持面STAと第3方向Zに対向する窓部41Aを有している。窓部41Aは、例えば透明な材料で形成され、レーザー光を透過する。
【0030】
レーザー装置60は、第1レーザー光源LS1、第2レーザー光源LS2、光学系OS、及び、レーザーヘッド60Aを備えている。第1レーザー光源LS1は、第1レーザー光LZ1を出射する。第2レーザー光源LS2は、第2レーザー光LZ2を出射する(
図6及び
図7参照)。光学系OSは、例えば、第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2の光路を調整するミラーなどを有している。レーザー装置60は、レーザーヘッド60Aから第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2を出射する。
【0031】
駆動部DRは、加圧ジグ41の駆動を制御する第1駆動部DR1、及び、レーザー装置60の駆動を制御する第2駆動部DR2を備えている。第1駆動部DR1は、加圧ジグ41を支持面STAに対して垂直方向Vに移動させる。ここで垂直方向Vは、第3方向Zと平行な方向である。第2駆動部DR2は、レーザー装置60から第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2を出射させる。また、第2駆動部DR2は、例えば、レーザーヘッド60Aを移動させる。
【0032】
ここで、第1工程について説明する。回路基板CB及びウエハWFが重なって構成されたワークWKをステージSTと加圧ジグ41との間に載置する。なお、ワークWKをステージST上に載置した後に加圧ジグ41をワークWK上に配置してもよい。回路基板CB及びウエハWFは、絶縁基板10の面10Aと、サファイア基板20の面20Aとが対向するように重ねられている。絶縁基板10の面10Bは、支持面STAに接している。サファイア基板20の面20Bは、加圧ジグ41と対向している。また、ワークWKをステージST上に載置する際には、回路基板CBとウエハWFとの位置合わせが行われる。
【0033】
本実施形態では、ウエハWFに反りが生じた場合を想定している。すなわち、回路基板CBとウエハWFとの間には、部分的に隙間GPが生じている。図示した例では、隙間GPは、ワークWKの周縁部CAに行くほど増大している。一方、ワークWKの中央部MAにおいては、回路基板CBとウエハWFとは接している。つまり、ワークWKの中央部MAにおいては、発光素子LEDの端子部22が接合部材12に接触している。
【0034】
図5は、本実施形態に係る実装方法の第2工程を示す図である。第2工程は、加圧ジグ41によって、ワークWKをステージST側に加圧する工程を示している。
第1駆動部DR1は、加圧ジグ41をステージST側へ垂直方向Vに移動させる。すなわち、第1駆動部DR1は、加圧ジグ41でサファイア基板20を回路基板CB側に加圧していく。これにより、サファイア基板20が平坦化される。加圧ジグ41は、ステージSTとの間でワークWKを固定している。回路基板CBの端子部11とウエハWFの端子部22とが重畳した状態でワークWKが固定されている。窓部41Aは、サファイア基板20の面20Bに接している。
このように、サファイア基板20の反りを矯正し回路基板CBとウエハWFとを密着させることで、発光素子LEDを回路基板CBに接合可能な状態にすることができる。
【0035】
サファイア基板20は剛性の高い材料によって形成されているため、サファイア基板20を平坦化する際には大きな荷重が必要である。そのため、加圧ジグ41には、サファイア基板20を平坦化する荷重に耐えることが可能な材料、かつ、発光素子LEDの接合・剥離のためのレーザー光を透過させることが可能な材料を用いる必要があり、材料の選定が困難である。
【0036】
本実施形態によれば、サファイア基板20は、溝部TRを有している。そのため、サファイア基板20の剛性を低下させることができる。溝部TRと重なる位置においてサファイア基板20が曲がりやすくなり、サファイア基板20を平坦化する際に必要な荷重を低減させることができる。これにより、加圧ジグ41に用いる材料の幅を広げることができる。
【0037】
なお、ウエハWFは、溝部TRを有することで、反りの原因となるサファイア基板20と発光素子LEDとの間の応力が低減されるため、加圧ジグ41によって加圧される前に平坦化している場合がある。また、溝部TRの深さや幅は、サファイア基板20の反りの程度に応じて調整されてもよい。例えば、サファイア基板20の反りが小さい程、溝部TRの深さや幅を小さくし、サファイア基板20の反りが大きい程、溝部TRの深さや幅を大きくするなどの調整をしてもよい。
【0038】
図6は、本実施形態に係る実装方法の第3工程を示す図である。第3工程は、第1レーザー光LZ1をワークWKに照射する工程を示している。
第2駆動部DR2は、レーザー装置60を駆動してレーザーヘッド60Aから第1レーザー光LZ1を出射させる。レーザー装置60は、加圧ジグ41の窓部41Aを通して第1レーザー光LZ1をワークWKに照射し、発光素子LEDを回路基板CBに接合する。すなわち、レーザーアブレーションにより接合部材12を加熱・溶融させることで、回路基板CBの端子部11と、ウエハWFの端子部22とが接合される。より具体的には、第1電極22Aは、第1接合部材12Aによって、第1電極11Aに接合される。また、第2電極22Bは、第2接合部材12Bによって、第2電極11Bに接合される。第1レーザー光LZ1の波長帯は、400nm~3000nmである。
【0039】
図7は、本実施形態に係る実装方法の第4工程を示す図である。第4工程は、第2レーザー光LZ2をワークWKに照射する工程を示している。
第2駆動部DR2は、レーザー装置60を駆動してレーザーヘッド60Aから第2レーザー光LZ2を出射させる。レーザー装置60は、加圧ジグ41の窓部41Aを通して第2レーザー光LZ2をワークWKに照射し、サファイア基板20から発光素子LEDを剥離する。すなわち、発光素子LEDをサファイア基板20に固着している図示しない剥離層はレーザーアブレーションにより昇華しサファイア基板20から剥離される。第2レーザー光LZ2は、第1レーザー光LZ1とは異なる波長帯を有している。第2レーザー光LZ2の波長帯は、200nm~366nmである。
【0040】
図8は、本実施形態に係る実装方法の第5工程を示す図である。第5工程は、加圧ジグ41を移動させる工程を示している。
第1駆動部DR1は、加圧ジグ41を垂直方向Vに移動させてサファイア基板20から離間させる。つまり、加圧ジグ41は、ステージSTから離間する側に、垂直方向Vに移動する。加圧ジグ41がワークWKから離間したことで、サファイア基板20の反りの状態が
図4に示した状態に戻る。図に示すように、発光素子LEDは、サファイア基板20から離間している。
【0041】
図9は、本実施形態に係るウエハWFを示す平面図である。
ウエハWFの外形は、円状である。つまり、サファイア基板20の外形は、円状である。なお、ウエハWFの平面的な形状はこの例に限らない。複数の発光素子LEDは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に並んでいる。
【0042】
溝部TRは、平面視で格子状である。溝部TRは、第1方向Xに延出し第2方向Yに並んだ複数の第1溝部TR1と、第2方向Yに延出し第1方向Xに並んだ複数の第2溝部TR2と、を有している。第1溝部TR1及び第2溝部TR2は、それぞれ平面視で直線状に延出している。1つの発光素子LEDは、平面視で、隣り合う2本の第1溝部TR1と、隣り合う2本の第2溝部TR2とによって囲まれている。サファイア基板20は、外周縁PLを有している。溝部TRは、外周縁PLまで延出している。
【0043】
なお、図示した例では、全ての発光素子LEDを囲むように第1溝部TR1及び第2溝部TR2が形成されているが、第1溝部TR1は第2方向Yに複数個毎の発光素子LEDを介して形成されていてもよいし、第2溝部TR2は第1方向Xに複数個毎の発光素子LEDを介して形成されていてもよい。また、サファイア基板20の反りの程度によって、第1溝部TR1及び第2溝部TR2の本数を調整してもよい。例えば、サファイア基板20の反りが大きい程、第1溝部TR1及び第2溝部TR2の本数を多く形成し、サファイア基板20の反りが小さい程、第1溝部TR1及び第2溝部TR2の本数を少なく形成するなどの調整をしてもよい。
【0044】
図10は、ウエハWFの変形例を示す断面図である。
図10に示す構成は、
図3に示した構成と比較して、溝部TRが面20Bに形成されている点で相違している。
溝部TRは、隣り合う発光素子LEDの間に位置している。すなわち、溝部TRは、発光素子LEDと重ならない位置に形成されている。これにより、上記した第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2を面20B側から照射する際に、第1レーザー光LZ1及び第2レーザー光LZ2が発光素子LEDに到達する前に溝部TRによって拡散されるのを抑制することができる。
【0045】
図11は、サファイア基板20の詳細な構成を示す図である。
図11(a)は、ウエハWFを示す断面図である。サファイア基板20は、面20Aに形成された複数の微小な突起部PRを有している。このように、複数の微小な突起部PRを有するサファイア基板20は、例えば、PSS(Patterned Sapphire Substrate)と称される。突起部PRは、サファイア基板20の全面に形成されている。突起部PRは、例えば、円錐型、釣鐘型、ドーム型などの形状に形成されている。例えば、溝部TRと突起部PRは、同一工程によって形成されてもよく、その場合、溝部TRと突起部PRはエッチングによって形成される。
【0046】
発光素子LEDは、突起部PRの上に成膜されることで形成される。発光素子LEDは、複数の突起部PRと重なっている。発光素子LEDのサファイア基板20と接している面LAは、突起部PRの形状に沿った窪みDPを有している。発光素子LEDに複数の窪みDPが形成されることにより、発光素子LEDから発光された光を面LAで散乱・拡散することができる。つまり、発光素子LEDの正面輝度を向上することができる。
【0047】
突起部PRは、高さHを有している。高さHは、突起部PRの頂部TPと隣り合う突起部PRの間の谷間VLの底部BT1との間の高さに相当する。また、溝部TRは、深さDを有している。深さDは、突起部PRの頂部TPと溝部TRの底部BT2との間の深さに相当する。溝部TRの深さDは、突起部PRの高さHより大きい。つまり、底部BT2は、底部BT1より面20B側に位置している。本実施形態の溝部TRは、隣り合う突起部PRの間に形成される谷間VLとは異なっている。
【0048】
図11(b)は、発光素子LEDの面LAを示す平面図である。窪みDPは、規則的に並んでいる。窪みDPの形成位置は、突起部PRの形成位置と同一であるため、突起部PRも規則的に並んでいる。突起部PR及び窪みDPは、平面視で発光素子LEDより小さく形成されている。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、容易に平坦化することが可能な電子部品のウエハを得ることができる。
なお、本明細書においては、電子部品として発光素子を例に説明したが、本実施形態は発光素子以外の電子部品に対しても適用可能である。
【0050】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
WF…ウエハ、LED…発光素子、20A、20B…面、20…サファイア基板、
TR…溝部、PL…外周縁、TR1…第1溝部、TR2…第2溝部、PR…突起部、
D…深さ、H…高さ。