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  • 特開-電動ショベル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163964
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】電動ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E02F9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069128
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 昌保
(72)【発明者】
【氏名】末吉 寛敬
(72)【発明者】
【氏名】山中 真先
(72)【発明者】
【氏名】北川 剛士
(72)【発明者】
【氏名】岡本 貴樹
(72)【発明者】
【氏名】渡部 康太
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015BA01
2D015BA04
(57)【要約】
【課題】油圧配管の長さを短くできる電動ショベルを提供する。
【解決手段】旋回フレーム20は、旋回中心CPの周りを旋回する。バッテリ31は、旋回フレーム20に支持されている。電動モータ33は、旋回フレーム20に支持され、バッテリ31から電力を供給される。油圧ポンプ34は、旋回フレーム20に支持され、電動モータ33により駆動し、平面視にて電動モータ33よりも旋回中心CPの近くに配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧アクチュエータと、
旋回中心の周りを旋回する旋回フレームと、
前記旋回フレームに支持されたバッテリと、
前記旋回フレームに支持され、前記バッテリを電源として駆動する電動モータと、
前記旋回フレームに支持され、前記電動モータにより駆動して前記油圧アクチュエータに油を供給し、平面視にて前記電動モータよりも前記旋回中心の近くに配置された油圧ポンプと、を備えた、電動ショベル。
【請求項2】
前記油圧ポンプと前記油圧アクチュエータとの間の油路に配置された切替バルブをさらに備え、
前記油圧ポンプは、前記電動モータよりも前記切替バルブの近くに配置されている、請求項1に記載の電動ショベル。
【請求項3】
前記バッテリに蓄えられた電気エネルギーが前記電動モータに供給され、
前記電気エネルギーの供給により前記電動モータが駆動され、
前記電動モータの駆動により、前記油圧ポンプからの油を前記切替バルブを介して前記油圧アクチュエータに供給する、請求項2に記載の電動ショベル。
【請求項4】
作業機をさらに備え、
前記旋回フレームは、前記作業機を支持するセンターフレームと、前記センターフレームの左右いずれか一方に配置されたデッキとを有し、
前記電動モータおよび前記油圧ポンプは、前記デッキに支持されている、請求項2に記載の電動ショベル。
【請求項5】
前記バッテリは、前記デッキの後端位置よりも後方に位置する部分を有するように配置されている、請求項4に記載の電動ショベル。
【請求項6】
前記センターフレームは、前記作業機を支持する1対のセンタービームを有し、
平面視において、前記切替バルブは、前記1対のセンタービームに挟まれる領域に配置されている、請求項4または請求項5に記載の電動ショベル。
【請求項7】
前記油圧ポンプに油を供給する作動油タンクをさらに備え、
平面視において前記油圧ポンプと前記バッテリとの間に前記作動油タンクが配置されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電動ショベル。
【請求項8】
前記油圧ポンプに油を供給する作動油タンクをさらに備え、
前記油圧ポンプは前記作動油タンクの下に配置されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電動ショベル。
【請求項9】
前記電動モータの駆動を制御するインバータをさらに備え、
前記インバータは、前記電動モータの前方に配置されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電動ショベル。
【請求項10】
作業機をさらに備え、
前記油圧アクチュエータは、前記作業機を駆動させる油圧シリンダである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電動ショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリ駆動の電動ショベルは、たとえば特開平11-140906号公報(特許文献1)、特開2012-1933号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献1、2には、旋回体の後部から前部に向かってバッテリ、電動モータおよび油圧ポンプがこの順番で配置された小型の電動ショベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-140906号公報
【特許文献2】特開2012-1933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリは、カウンタウエイトの役割を兼ねるために旋回体の後部に配置されている。しかし大型のバッテリ駆動の電動ショベル(以下、「電動ショベル」と称する)の場合、バッテリが占有するスペースが大きなものになる。このためバッテリがカウンタウエイトとしての配置領域から機械室へはみ出し、電動モータ、油圧ポンプなどの必要なコンポーネントを機械室に配置することが難しくなる。よって、特許文献1、2に記載のようなバッテリ、電動モータおよび油圧ポンプの配置を大型の電動ショベルに適用すると、油圧配管が長くなり、油圧に圧損が生じてエネルギー効率が悪化する。
【0005】
本開示の目的は、油圧配管の長さを短くできる電動ショベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電動ショベルは、油圧アクチュエータと、旋回フレームと、バッテリと、電動モータと、油圧ポンプとを備えている。旋回フレームは、旋回中心の周りを旋回する。バッテリは、旋回フレームに支持されている。電動モータは、旋回フレームに支持され、バッテリを電源として駆動する。油圧ポンプは、旋回フレームに支持され、電動モータにより駆動して油圧アクチュエータに油を供給し、平面視にて電動モータよりも旋回中心の近くに配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、油圧配管の長さを短くできる電動ショベルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態における電動ショベルの構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示す電動ショベルにおける旋回フレームとその搭載物の構成を示す斜視図である。
図3図1に示す電動ショベルにおける旋回フレームとその搭載物の構成を示す平面図である。
図4】作動油タンクの下に油圧ポンプが配置された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態と変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0010】
以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」とは、図1に示す運転室4内の運転席4Sに着座したオペレータを基準とした方向である。
【0011】
<電動ショベルの構成>
まず本実施形態の電動ショベルの構成を図1を用いて説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態における電動ショベルの構成を概略的に示す斜視図である。図1に示されるように、電動ショベル100は、本体1と、油圧により作動する作業機2とを有している。本体1は、旋回体3と、走行体5とを有している。走行体5は、一対の履帯5Crと、走行モータ5Mとを有している。電動ショベル100は、履帯5Crの回転により走行可能である。走行モータ5Mは、走行体5の駆動源として設けられている。走行モータ5Mは、油圧により作動する油圧モータである。なお、走行体5は車輪(タイヤ)を有していてもよい。走行モータ5Mあるいは旋回モータ37は電動モータであってもよい。
【0013】
旋回体3は、走行体5の上に配置され、かつ走行体5により支持されている。旋回体3は、旋回モータ37(図3)により旋回軸RXを中心として走行体5に対して旋回可能である。旋回モータ37は、油圧により作動する油圧モータである。旋回軸RXは、旋回体3の旋回中心となる仮想の直線である。
【0014】
旋回体3は、運転室4(キャブ)を有している。運転室4内には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられている。オペレータ(乗員)は、運転室4に搭乗して、作業機2の操作、走行体5に対する旋回体3の旋回操作、および走行体5による電動ショベル100の走行操作が可能である。
【0015】
旋回体3は、外装カバー9を有している。外装カバー9は、機械室を覆っている。機械室には、バッテリ、インバータ、電動モータ、油圧ポンプ、旋回モータ、切替バルブ、作動油タンクなどが配置されている。
【0016】
作業機2は、旋回体3に支持されている。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8とを有している。作業機2は、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とをさらに有している。
【0017】
ブーム6は、本体1(走行体5および旋回体3)に回動可能に接続されている。具体的にはブーム6の基端部は、ブームフートピン13を支点として旋回体3に回動可能に接続されている。
【0018】
アーム7は、ブーム6に回動可能に接続されている。具体的にはアーム7の基端部は、ブームトップピン14を支点としてブーム6の先端部に回動可能に接続されている。バケット8は、アーム7に回転可能に接続されている。具体的にはバケット8の基端部は、アームトップピン15を支点としてアーム7の先端部に回動可能に接続されている。
【0019】
ブームシリンダ10の一端は旋回体3に接続され、他端はブーム6に接続されている。ブーム6は、ブームシリンダ10により本体1に対して駆動可能である。この駆動により、ブーム6は、ブームフートピン13を支点として旋回体3に対して上下方向に回動可能である。
【0020】
アームシリンダ11の一端はブーム6に接続され、他端はアーム7に接続されている。アーム7は、アームシリンダ11によりブーム6に対して駆動可能である。この駆動により、アーム7は、ブームトップピン14を支点としてブーム6に対して上下方向または前後方向に回動可能である。
【0021】
バケットシリンダ12の一端はアーム7に接続され、他端はバケットリンク17に接続されている。バケット8は、バケットシリンダ12によりアーム7に対して駆動可能である。この駆動により、バケット8は、アームトップピン15を支点としてアーム7に対して上下方向に回動可能である。
【0022】
ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12の各々は、油圧シリンダであり、油圧により駆動する。
【0023】
<旋回フレームの構成および搭載物の配置>
次に、図1に示す電動ショベルにおける旋回フレームの構成および旋回フレームの搭載部の配置について図2および図3を用いて説明する。
【0024】
図2および図3のそれぞれは、図1に示す電動ショベルにおける旋回フレームの構成およびその搭載物の配置を示す斜視図および平面図である。図2に示されるように、旋回体3(図1)は、旋回フレーム20を有している。旋回フレーム20は、旋回軸RXを中心として走行体5(図1)に対して旋回する。
【0025】
旋回フレーム20は、センターフレームCFと、左デッキDLと、右デッキDRとを有している。センターフレームCFは、旋回フレーム20の左右方向におけるほぼ中央に位置している。左デッキDLは、センターフレームCFの左側に配置されている。右デッキDRは、センターフレームCFの右側に配置されている。
【0026】
センターフレームCFは、1対のセンタービームCBを有している。1対のセンタービームCBは、互いに左右方向に間隔を空けて対向するように配置されている。1対のセンタービームCBは、作業機2(図1)を支持している。これによりセンターフレームCFは作業機2を支持している。
【0027】
1対のセンタービームCBの各々は、貫通孔TH1、TH2を有している。貫通孔TH1には、ブームフートピン13(図1)が挿通されている。ブームフートピン13によりブーム6(図1)が1対のセンタービームCBに回転可能に支持されている。
【0028】
貫通孔TH2には、ブームシリンダ10(図1)を支持するピン(図示せず)が挿通されている。このピンによりブームシリンダ10がセンタービームCBに回転可能に支持されている。
【0029】
左デッキDLの前端FLおよび右デッキDRの前端FRの各々は、センターフレームCFの前端FFよりも前方に位置している。1対のセンタービームCBの各々の後端RCは、左デッキDLの後端RLおよび右デッキDRの後端RRよりも後方に位置している。1対のセンタービームCBの各々の後端RCは、センターフレームCFの最後端となる。
【0030】
1対のセンタービームCBの後部上面には、ブラケット22がたとえば溶接などにより接続されている。ブラケット22の後端22Rは、1対のセンタービームCBの各々の後端RCよりも前方であって、左デッキDLの後端RLおよび右デッキDRの後端RRよりも後方に位置している。ブラケット22の前端22Fは、左デッキDLの後端RLおよび右デッキDRの後端RRよりも前方に位置している。
【0031】
図3に示されるように、旋回フレーム20には、バッテリ31、インバータ32、電動モータ33、油圧ポンプ34、切替バルブ35、作動油タンク36、旋回モータ37などの搭載物が支持されている。電動モータ33の出力軸は、油圧ポンプ34の入力軸に機械的に接続されている。
【0032】
バッテリ31は、たとえば複数のバッテリモジュールを含み、複数のバッテリモジュールの各々はバッテリセルを有している。バッテリ31は、電源であり、外部電源から得た電気エネルギーを蓄える。バッテリ31は、蓄えた電気エネルギーを起電力として取り出す。バッテリ31は、電気配線を通じてインバータ32に電力を供給する。
【0033】
インバータ32は、バッテリ31の出力である直流電力を、周波数などを制御した交流電力に変換する。インバータ32は、電気配線を通じて電動モータ33に交流電力を供給する。これによりインバータ32は、電動モータ33の駆動を制御する。このようにバッテリ31に蓄えられた電気エネルギーは電動モータ33に供給される。
【0034】
電動モータ33は、バッテリ31を電源として、インバータ32から供給された交流電力により駆動する。電動モータ33の回転速度は、インバータ32から供給される交流電力の周波数により制御される。電動モータ33が駆動することにより、電動モータ33の駆動力が伝達される油圧ポンプ34が駆動する。
【0035】
油圧ポンプ34は、駆動することにより切替バルブ35(メインバルブ)を通じて各油圧アクチュエータ5M、37、10~12に作動油を供給する。具体的には油圧ポンプ34は、駆動することにより油圧配管を通じて作動油タンク36から作動油を汲み出す。作動油タンク36は、油圧ポンプ34に油を供給する役割をなす。油圧ポンプ34から吐出された作動油は、油圧配管を通じて切替バルブ35へ供給される。
【0036】
切替バルブ35は、多数の制御弁、パイロット弁などの集合体として構成されている。切替バルブ35は、油圧ポンプ34と油圧アクチュエータとの間の油路(油圧配管)に配置されている。切替バルブ35は、作動油タンク36から油圧ポンプ34により汲み出された作動油を、油圧アクチュエータに給排する。油圧アクチュエータは、たとえば油圧シリンダ(ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12)、旋回モータ37および走行モータ5Mを有している。切替バルブ35からの作動油の給排により各油圧アクチュエータ5M、37、10~12が作動する。
【0037】
オペレータの運転操作に応じて切替バルブ35における各弁の開閉が制御される。これにより運転室4に搭乗したオペレータの運転操作に応じて、電動ショベル100の本体1および作業機2を作動させることができる。具体的にはオペレータは、油圧シリンダ10~12を作動させることにより作業機2を操作でき、旋回モータ37を作動させることにより旋回体3の旋回を操作でき、走行モータ5Mを作動させることにより電動ショベル100の走行を操作できる。
【0038】
バッテリ31は、ブラケット22上に配置されることにより旋回フレーム20に支持されている。バッテリ31の左右方向の寸法W1は、センターフレームCFの左右方向の寸法W2よりも大きい。バッテリ31の左右方向の寸法W1は、バッテリ31の右側端REから左側端LEまでの寸法である。センターフレームCFの左右方向の寸法W2は、センターフレームCFの右側端から左側端までの寸法である。
【0039】
このため、平面視においてバッテリ31の右側端REは右デッキDRの真上に位置し、バッテリ31の左側端LEは左デッキDLの真上に位置している。本明細書における平面視とは、旋回フレーム20の底板BPに直交する方向(上下方向)において上から下を見る視点を意味する。
【0040】
本実施形態の電動ショベル100は、カウンタウエイトを有しておらず、バッテリ31がカウンタウエイトの役割を果たしている。このためバッテリ31は、旋回体3の後部に配置されている。
【0041】
左デッキDLの後端RLおよび右デッキDRの後端RRの各々よりも後方の領域は、本来、カウンタウエイトが配置される領域である。バッテリ31はカウンタウエイトの役割を果たすべく、平面視において左デッキDLの後端RLおよび右デッキDRの後端RRの各々よりも後方に位置する部分を有している。このため、バッテリ31の後端31Rは平面視において左デッキDLの後端RLおよび右デッキDRの後端RRの各々よりも後方に位置している。
【0042】
しかし大型の電動ショベルにおいてはバッテリ31も大型化する。バッテリの高さを高くすると、運転席4Sに着座したオペレータの後方視界性が悪くなる。このためバッテリ31は、カウンタウエイトの配置領域に収まりきらず、機械室内にはみ出す。これにより平面視においてバッテリ31の前端31Fは、左デッキDLの後端RLおよび右デッキDRの後端RRの各々よりも前方に位置している。このようにバッテリ31が機械室内にはみ出すことにより、バッテリ31以外の搭載物の配置に制約が生じる。
【0043】
なお機械室とは、左デッキDLの後端RLおよび右デッキDRの後端RRの各々よりも前方に位置する空間であって、外装カバー9に覆われた空間を意味する。
【0044】
本実施形態においては、右デッキDRに、インバータ32、電動モータ33、油圧ポンプ34および作動油タンク36の各々が支持されている。インバータ32、電動モータ33、油圧ポンプ34および作動油タンク36の各々は、バッテリ31に対して前側(右デッキDRの前端FR側)に配置されている。
【0045】
作動油タンク36、油圧ポンプ34、電動モータ33およびインバータ32は、右デッキDRの後端RR側から前端FR側に向かって、この順番で配置されている。つまりバッテリ31の前方に作動油タンク36が配置され、作動油タンク36の前方に油圧ポンプ34が配置され、油圧ポンプ34の前方に電動モータ33が配置され、電動モータ33の前方にインバータ32が配置されている。
【0046】
平面視において、バッテリ31の前端31Fと作動油タンク36の後端との間、作動油タンク36の前端と油圧ポンプ34の後端との間、および電動モータ33の前端とインバータ32の後端との間の各々には隙間が設けられている。
【0047】
油圧ポンプ34の後端は、前後方向において貫通孔TH1の位置よりも後側(右デッキDRの後端RR側)に位置している。電動モータ33の後端は、前後方向において貫通孔TH1の位置よりも前側(右デッキDRの前端FR側)に位置している。インバータ32の後端は、前後方向においてセンターフレームCFの前端FFの位置よりも前側(右デッキDRの前端FR側)に位置している。
【0048】
平面視において作動油タンク36は、油圧ポンプ34とバッテリ31との間に配置されている。平面視において油圧ポンプ34は、電動モータ33よりもバッテリ31の近くに配置されている。
【0049】
センターフレームCFには、切替バルブ35および旋回モータ37の各々が支持されている。切替バルブ35および旋回モータ37の各々は、平面視において1対のセンタービームCBに挟まれる領域に配置されている。
【0050】
切替バルブ35および旋回モータ37の各々は、バッテリ31に対して前側(センターフレームCFの前端FF側)に配置されている。
【0051】
切替バルブ35および旋回モータ37は、センターフレームCFの後端RC側から前端FF側に向かって、この順番で配置されている。つまりバッテリ31の前方に切替バルブ35が配置され、切替バルブ35の前方に旋回モータ37が配置されている。切替バルブ35は、バッテリ31と旋回モータ37との間に配置され、旋回モータ37よりもバッテリ31の近くに配置されている。
【0052】
旋回モータ37の前方には、開口部21が配置されている。開口部21は、旋回フレーム20の底板BPに設けられた貫通孔である。開口部21には、たとえばスイベルジョイント(図示せず)が挿通されている。開口部21は、平面視において略円形状を有している。なおスイベルジョイントのボディを固定するために、開口部21の円形の周縁部から内周側に突き出す突起部が設けられている場合がある。平面視における開口部21の略円形状の中心には旋回軸RXが通る。このため、平面視における開口部21の略円形状の中心CPが旋回体3の走行体5に対する旋回中心(回転中心)となる。つまり旋回フレーム20は、旋回中心CPの周りを旋回する。
【0053】
油圧ポンプ34は、平面視において電動モータ33よりも旋回中心CP(旋回軸RX)の近くに配置されている。具体的には平面視において、旋回中心CPと油圧ポンプ34との間の最短距離L1が、旋回中心CPと電動モータ33との間の最短距離L2よりも小さい。
【0054】
油圧ポンプ34は、電動モータ33よりも切替バルブ35の近くに配置されている。具体的には平面視において、切替バルブ35と油圧ポンプ34との間の最短距離L3が、切替バルブ35と電動モータ33との間の最短距離L4よりも小さい。
【0055】
左デッキDLの前部には、運転室4(図1)が支持されている。なお左デッキDLにインバータ32、電動モータ33、油圧ポンプ34および作動油タンク36の各々が支持され、右デッキDRに運転室4が配置されてもよい。
【0056】
また上記実施形態においては、油圧ポンプと作動油タンクとが前後方向に並んだ構成について説明したが、油圧ポンプと作動油タンクとは互いに上下に並んでいてもよい。
【0057】
図4は、作動油タンクの下に油圧ポンプが配置された状態を示す側面図(A)および平面図(B)である。図4(A)、(B)に示されるように、作動油タンク36は、油圧ポンプ34の真上に配置されている。このため図4(B)に示される平面視において、油圧ポンプ34の全体は作動油タンク36と重畳している。また図3の配置と異なり、作動油タンク36が、右デッキDRの前方に配置される場合には、電動モータ33の真上に位置していてもよい。この場合、電動モータ33の一部または全体が作動油タンク36と重畳する。
【0058】
図4(A)に示されるように、この配置においては、作動油タンク36の下面LS2は油圧ポンプ34の上に位置している。このため作動油タンク36と油圧ポンプ34とを接続する油配管OLは、油圧ポンプ34よりも高い位置で作動油タンク36の下面LS2に接続されている。油配管OLは、油圧ポンプ34の後方において作動油タンク36との接続部から下方へ延びた後に、油圧ポンプ34の下面LS1と旋回フレーム20の底板BPとの間を通って、油圧ポンプ34の下面LS1に接続されている。
【0059】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0060】
図3に示されるように、切替バルブ35から走行モータ5M(図1)への作動油の供給は、旋回フレーム20の開口部21に挿入されたスイベルジョイントを通じて行なわれる。また旋回モータ37は、旋回モータ37の回転軸を旋回ギアに噛み合わせるために旋回中心CPの近くに配置されている。さらに作業機2は旋回中心CPの付近で旋回フレーム20に支持されている。
【0061】
このため切替バルブ35を旋回中心CPの近くに配置することで、切替バルブ35から走行モータ5M、旋回モータ37および油圧シリンダ10~12の各々への油圧配管の長さを短くすることができる。したがって油圧ポンプ34を旋回中心CPの近くに配置することで、油圧ポンプ34から切替バルブ35までの油圧配管の長さも短くできる。
【0062】
本実施形態においては図3に示されるように、平面視にて油圧ポンプ34は、電動モータ33よりも旋回中心CPの近くに配置されている。このため上述したように油圧ポンプ34から切替バルブ35を通じて各油圧アクチュエータ5M、37、10~12までの油圧配管の長さを短くすることができる。よって油圧に生じる圧損を抑制でき、良好なエネルギー効率が得られる。
【0063】
また本実施形態によれば図3に示されるように、油圧ポンプ34は、電動モータ33よりも切替バルブ35の近くに配置されている。これにより油圧ポンプ34から切替バルブ35までの油圧配管の長さを短くすることができる。このため油圧ポンプ34から切替バルブ35までの油圧に生じる圧損をさらに抑制でき、さらに良好なエネルギー効率が得られる。
【0064】
また本実施形態によれば図3に示されるように、電動モータ33および油圧ポンプ34は、右デッキDRおよび左デッキDLのいずれか一方に支持されている。これによりバッテリ31が大型化した場合でも、電動モータ33および油圧ポンプ34を旋回フレーム20に配置することができる。
【0065】
また本実施形態によれば図3に示されるように、バッテリ31は、右デッキDRの後端RRおよび左デッキDLの後端RLの前後方向における位置よりも後方に位置する部分を有している。これによりバッテリ31をカウンタウエイトとして機能させることができる。
【0066】
また本実施形態によれば図3に示されるように、平面視において切替バルブ35は1対のセンタービームCBに挟まれる領域に配置されている。これにより切替バルブ35から各油圧アクチュエータ5M、37、10~12まで延びる油圧配管の長さを短くすることができる。
【0067】
また本実施形態によれば図3に示されるように、平面視において油圧ポンプ34とバッテリ31との間に作動油タンク36が配置されている。これにより油圧ポンプ34と作動油タンク36とを接続する油配管の長さを短くすることができる。
【0068】
また本実施形態によれば図4に示されるように、油圧ポンプ34は作動油タンク36の下に配置されている。これにより油圧ポンプ34による油吸込み性が良好になる。また油圧ポンプ34と作動油タンク36とを上下に並べることで、油圧ポンプ34と作動油タンク36とを前後方向にコンパクトに配置することができる。
【0069】
また本実施形態によれば図3に示されるように、インバータ32は、電動モータ33の前方に配置されている。これによりインバータ32と電動モータ33とを接続する電気配線の長さを短くすることができる。
【0070】
なお電動ショベル100が遠隔操作されオペレータが搭乗する必要が無い場合には、運転室4は省略されてもよい。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
1 本体、2 作業機、3 旋回体、4 運転室、4S 運転席、5 走行体、5Cr 履帯、5M 走行モータ、6 ブーム、7 アーム、8 バケット、9 外装カバー、10 ブームシリンダ、11 アームシリンダ、12 バケットシリンダ、13 ブームフートピン、14 ブームトップピン、15 アームトップピン、17 バケットリンク、20 旋回フレーム、21 開口部、22 ブラケット、22F,31F,FF,FL,FR 前端、22R,31R,RC,RL,RR 後端、31 バッテリ、32 インバータ、33 電動モータ、34 油圧ポンプ、35 切替バルブ、36 作動油タンク、37 旋回モータ、100 電動ショベル、BP 底板、CB センタービーム、CF センターフレーム、CP 旋回中心、DL 左デッキ、DR 右デッキ、LE 左側端、LS1,LS2 下面、OL 油配管、RE 右側端、RX 旋回軸(旋回中心)、TH1,TH2 貫通孔。
図1
図2
図3
図4