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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163984
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】駆動モータモジュール
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/24 20060101AFI20221020BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20221020BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H02K5/24 A
H02K11/33
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069153
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 大介
(72)【発明者】
【氏名】山本 和志
(72)【発明者】
【氏名】横澤 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA04
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC10
5H605DD03
5H605DD09
5H605DD13
5H607AA04
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE31
5H607EE34
5H611BB01
5H611TT01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータ等からの振動によってハウジングが共振するのを抑制することができる駆動モータモジュールを提供する。
【解決手段】駆動モータモジュール1は、モータと、モータと電気的に接続されるインバータと、モータを収納するモータ収納部61と、インバータを収納するインバータ収納部62とを有するハウジング6と、を備える。ハウジングは、互いに対向する第1辺と第2辺とを有し、ハウジングの外側に臨む壁部651と、第1辺に沿って間隔を置いて設けられた、壁部よりも剛性が高いN個(Nは2以上の整数)の高剛性部66と、壁部から突出し、第1番目~第(N-1)番目の高剛性部から第2辺に向かって正の角度で傾斜して延びる第1リブ67と、壁部から突出し、第2番目~第N番目の高剛性部から第2辺に向かって負の角度で傾斜して延びる第2リブ68と、を有し、第1リブと第2リブとが、少なくとも1カ所以上で交差して交差部69を形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータと電気的に接続されるインバータと、
前記モータを収納するモータ収納部と、前記インバータを収納するインバータ収納部とを有するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
互いに対向する第1辺と第2辺とを有し、前記ハウジングの外側に臨む壁部と、
前記第1辺に沿って間隔を置いて設けられた、前記壁部よりも剛性が高いN個(Nは2以上の整数)の高剛性部と、
前記第1辺に沿って設けられたN個の高剛性部を、順に第1番目~第N番目の高剛性部としたときに、前記壁部から突出し、第1番目~第(N-1)番目の高剛性部から前記第2辺に向かって正の角度で傾斜して延びる第1リブと、
前記壁部から突出し、第2番目~第N番目の高剛性部から前記第2辺に向かって負の角度で傾斜して延びる第2リブと、を有し、
前記第1リブと前記第2リブとが、少なくとも1カ所以上で交差して交差部を形成することを特徴とする駆動モータモジュール。
【請求項2】
前記交差部には、前記第1辺と前記第2辺との間の中央部に配置される交差部が含まれる請求項1に記載の駆動モータモジュール。
【請求項3】
前記中央部に配置される交差部を第1交差部としたとき、前記交差部には、前記第1交差部よりも前記第2辺側に配置される第2交差部が含まれる請求項1または請求項2に記載の駆動モータモジュール。
【請求項4】
前記第1リブ及び前記第2リブの前記第2辺側の端部は、それぞれ、前記第2辺からは離間する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の駆動モータモジュール。
【請求項5】
前記第1辺から前記第2辺までの距離をL1としたとき、前記第1リブ及び前記第2リブの前記第2辺側の端部は、それぞれ、前記距離L1の50%~90%の範囲内に位置する請求項4に記載の駆動モータモジュール。
【請求項6】
前記各高剛性部は、前記壁部から突出した部分である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の駆動モータモジュール。
【請求項7】
前記各高剛性部は、前記ハウジングと他の部材とが締結される締結部である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の駆動モータモジュール。
【請求項8】
前記壁部は、前記インバータ収納部の一部である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の駆動モータモジュール。
【請求項9】
前記インバータ収納部に収納された前記インバータを覆うように、前記ハウジングに取付けられるインバータカバーを備え、
前記各高剛性部は、前記インバータカバーが締結される締結部である請求項8に記載の駆動モータモジュール。
【請求項10】
前記壁部の前記第2辺の近傍から突出するように形成された凸部と、
前記壁部から突出し、前記凸部に最も近い第1番目~第N番目の高剛性部のいずれかから延び、前記凸部に繋がるリブと、を有する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の駆動モータモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モータモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ自体の振動、または、モータから伝達される振動を抑制する振動抑制方法が従来から知られている。振動抑制方法には、例えば、以下の3つの方法がある。
1つ目の方法は、加振力を低減することにより、振動を抑制する方法である(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
2つ目の方法は、モータまたはモータの周辺部の剛性を高めることにより、振動を抑制する方法である(例えば特許文献3参照)。
3つ目の方法は、モータ(振動源)を支持する支持部の弾性により、振動を抑制する方法である(例えば特許文献4参照)。
【0003】
特許文献1に記載の発明では、ステータにおける2種類のティース(同相間ティースと異相間ティース)の電磁加振力が相殺し合って、ステータ全体に印加される加振力が低減する。これにより、モータの振動を抑制することができる。
特許文献2に記載の発明では、モータの電流を制御することにより、所定方向の振動成分を相殺して、モータ全体としての振動を抑制する。
特許文献3に記載の発明では、モータを収納するモータフレームのフランジ部に、補強リブを複数設ける。そして、複数の補強リブでモータフレームの剛性を高めることができる。これにより、モータからの振動がモータフレームに伝達されたとしても、モータフレームが共振するのを抑制することができる。
特許文献4に記載の発明では、振動源(エンジン)を支持する支持部が弾性を有する。そして、支持部でのばね剛性を高めることにより、振動源からの振動を減衰させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-166710号公報
【特許文献2】特開2005-57935号公報
【特許文献3】特開2004-96845号公報
【特許文献4】特開2013-23136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モータは、モータに駆動電力を供給するインバータと共にハウジング内に収納されて、モジュール化(ユニット化)されることがある。
また、特許文献1~特許文献4の記載の発明は、いずれも、振動抑制が可能なものであるが、その振動を完全にゼロにすることはできない。そして、これらの発明をモジュール化した場合、振動がどうしてもハウジングに伝達されてしまうため、ハウジングが共振し、騒音を生じさせるおそれがある。
本発明の目的は、例えばモータ等からの振動によってハウジングが共振するのを抑制することができる駆動モータモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動モータモジュールの一つの態様は、モータと、モータと電気的に接続されるインバータと、モータを収納するモータ収納部と、インバータを収納するインバータ収納部とを有するハウジングと、を備え、ハウジングは、互いに対向する第1辺と第2辺とを有し、ハウジングの外側に臨む壁部と、第1辺に沿って間隔を置いて設けられた、壁部よりも剛性が高いN個(Nは2以上の整数)の高剛性部と、第1辺に沿って設けられたN個の高剛性部を、順に第1番目~第N番目の高剛性部としたときに、壁部から突出し、第1番目~第(N-1)番目の高剛性部から第2辺に向かって正の角度で傾斜して延びる第1リブと、壁部から突出し、第2番目~第N番目の高剛性部から第2辺に向かって負の角度で傾斜して延びる第2リブと、を有し、第1リブと第2リブとが、少なくとも1カ所以上で交差して交差部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えばモータ等からの振動によってハウジングが共振するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の駆動モータモジュールの第1実施形態を示す概略斜視図である。
図2図2は、図1中の矢印A方向方見た図(側面図)である。
図3図3は、図2に示すハウジングの概略側面図である。
図4図4は、図2に示すハウジングの斜視図である。
図5図5は、本発明の駆動モータモジュール(第2実施形態)のハウジングを示す概略斜視図ある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の駆動モータモジュールを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1図4を参照して、本発明の駆動モータモジュールの第1実施形態について説明する。
以下の説明では、駆動モータモジュールが水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動モータモジュールが搭載される車両の前後方向を示す。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示す。
以下の説明において特に断りのない限り、モータのモータ軸に平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、モータ軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸を中心とする周方向、すなわち、モータ軸の軸周りを単に「周方向」と呼ぶことがある。本実施形態では、「軸方向一方側」は、Y軸方向の正の側であり、「軸方向他方側」は、Y軸方向の負の側である。
また、本明細書において、所定の方向(または平面)に「沿って延びる(設けられる)」とは、厳密に所定の方向に延びる場合に加えて、厳密な方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0010】
図1に示す駆動モータモジュール1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。すなわち、駆動モータモジュール1は駆動装置である。
駆動モータモジュール1は、モータ(メインモータ)20と、インバータ80と、差動装置60と、ハウジング6と、インバータカバー70と、ギヤカバー90と、を備える。また、駆動モータモジュール1は、その他に、減速装置、オイルポンプ(いずれも図示せず)等を備える。
【0011】
モータ20は、ハウジング6に収容(収納)される。モータ20は、水平方向に延びるモータ軸(軸)J2を中心として回転するロータと、ロータの径方向外側に位置するステータとを備える。本実施形態のモータ20は、インナーロータ型モータであり、図示略のバッテリからインバータ80を介してステータに交流電流が供給されることより、ロータが回転する。なお、本実施形態では、モータ軸J2は、Y方向に平行である。
また、モータ20の内部は、冷媒としてのオイルが循環する。これにより、モータ20を冷却することができる。なお、オイルの循環は、オイルポンプの作動によって行われる。
【0012】
モータ20のロータには、減速装置が接続される。減速装置は、モータ20の回転速度を減じて、モータ20から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる機能を有する。減速装置は、モータ20から出力されるトルクを差動装置60へ伝達する。
差動装置60は、減速装置を介してモータ20に接続される。差動装置60は、ギヤ(図示せず)を有し、モータ20から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置60は、モータ20のモータ軸J2と平行に延びるドライブシャフト50に連結される。差動装置60は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪に同トルクを伝える機能を有する。
インバータ80も、モータ20と同様に、ハウジング6に収容される。インバータ80は、モータ20と電気的に接続される。インバータ80は、モータ20に供給される電力を制御する制御素子を有する。制御素子は、例えばIGBTである。
【0013】
ハウジング6は、モータ20を収納するモータ収納部(モータハウジング)61と、インバータ80を収納するインバータ収納部(インバータハウジング)62と、差動装置60のギヤを収納するギヤ収納部(ギヤハウジング)65とを有する。
ハウジング6は、モータ収納部61とインバータ収納部62とギヤ収納部65とが一体化された一体成型品である。なお、モータ収納部61とインバータ収納部62とギヤ収納部65とは、それぞれ別体で構成され、当該別体同士が連結されて(固定されて)いてもよい。
【0014】
図1に示すように、モータ収納部61は、ドライブシャフト50から、その径方向に離間して配置されており、本実施形態では、ドライブシャフト50に対して、+X方向に離間して配置される。
インバータ収納部62も、ドライブシャフト50から、その径方向に離間して配置されており、本実施形態では、ドライブシャフト50に対して、+Z方向に離間して配置される。
ギヤ収納部65は、ドライブシャフト50の軸J3上に位置し、モータ収納部61及びインバータ収納部62よりも+Y方向(軸J3の一方側)に配置される。
【0015】
モータ収納部61は、モータ20をモータ軸J2回りに囲む筒状の壁部611を有する。また、モータ収納部61は、壁部611を-Y方向から塞ぐ壁部612と、壁部611を+Y方向から塞ぐ壁部613と有する。そして、壁部611と、壁部612と、壁部613とで囲まれた空間にモータ20を収納することができる。
インバータ収納部62は、XY平面と平行な底部621と、底部621の縁部に沿って設けられた側壁部(壁部)622とを有する。そして、底部621と側壁部622とで囲まれた空間にインバータ80を収納することができる。
【0016】
また、インバータ収納部62には、インバータ80を覆うように、インバータカバー70が+Z方向から取付けられる。これにより、インバータ80を保護することができる。
ギヤ収納部65は、軸J3を中心とする漏斗状の壁部651を有する。そして、壁部651の内側に差動装置60のギヤを収納することができる。
また、ギヤ収納部65には、差動装置60のギヤを覆うように、ギヤカバー90が+Y方向から取付けられる。これにより、ギヤを保護することができる。
【0017】
前述したように、駆動モータモジュール1には、モータ20が搭載されている。モータ20が作動すると、それに伴い振動も生じる。この振動は、ハウジング6に伝達される。そして、このときの振動数によっては、ハウジング6が共振する場合がある。なお、ハウジング6の中では、特にインバータ収納部62で共振が生じ易い。その理由の1つとしては、側壁部622が薄板状であることが挙げられる。
インバータ収納部62は、共振した際、例えば、側壁部622が膜共振したり、また、インバータ収納部62全体が上下方向に振動したり、水平方向に振動したり、所定の軸回りに捩じれるように振動等したりして、騒音を生じさせるおそれがある。また、騒音は、自動車の快適性を損ねると考えられる。
そこで、駆動モータモジュール1では、このような不具合(特にインバータ収納部62での共振)を解消するために、インバータ収納部62での共振を抑えるように構成している。以下、この構成及び作用について説明する。
なお、ハウジング6が共振する際の振動源は、モータ20に限定されない。
【0018】
前述したように、インバータ収納部62は、当該インバータ収納部62の一部を構成する側壁部622を有する。図1図3に示すように、側壁部622は、ハウジング6の外側に臨む。本実施形態では、側壁部622は、-X方向に臨み、後述する第1リブ67及び第2リブ68が形成されるリブ形成面623を有する。
図3に示すように、リブ形成面623は、上側に位置する第1辺624と、第1辺624よりも下側に位置する第2辺625A、第2辺625B及び第2辺625Cとを有する。なお、以下では、第2辺625A、第2辺625B及び第2辺625Cを総称して「第2辺625」と言うことがある。
【0019】
第1辺624は、Y方向に平行である。
第2辺625A、第2辺625B及び第2辺625Cも、第1辺624同様に、Y方向に平行である。従って、第1辺624と、第2辺625A~第2辺625Cは、互いに対向した位置関係にある。
また、第2辺625A~第2辺625Cは、階段状にZ方向にシフトして配置されており、第2辺625Aが最も+Z方向に位置し、第2辺625Cが最も-Z方向に位置し、第2辺625Bが第2辺625Aと第2辺625Cとの間に位置する。
また、第2辺625A~第2辺625Cの中では、第2辺625Cが最長であり、例えば第2辺625A~第2辺625Cの総全長の50%以上を占める。
【0020】
また、インバータ収納部62は、高剛性部66と、第1リブ67と、第2リブ68とを有する。
高剛性部66は、側壁部622よりも剛性が高い部分である。図2図4に示すように、高剛性部66は、側壁部622のリブ形成面623から-X方向に突出して設けられる。これにより、高剛性部66は、側壁部622よりも剛性が高くなる。
また、高剛性部66は、第1辺624に沿って間隔を置いて、N個(Nは2以上の整数)設けられる。本実施形態では、Nは、一例として、「5」である。なお、5個の高剛性部66をそれぞれ-Y方向から順に第1番目~第5番目の高剛性部66としたときに、第1番目の高剛性部66を「高剛性部66A」と言い、第2番目の高剛性部66を「高剛性部66B」と言い、第3番目の高剛性部66を「高剛性部66C」と言い、第4番目の高剛性部66を「高剛性部66D」と言い、第5番目の高剛性部66を「高剛性部66E」と言うことがある。
【0021】
各高剛性部66には、Z方向に沿ったネジ穴(雌ネジ)661が形成される。インバータ収納部62にインバータカバー70を取付ける際には、インバータカバー70を貫通したボルトのネジ部(図示せず)を、ネジ穴661に接続することができる。これにより、インバータカバー70をインバータ収納部62に強固に固定することができる。このように、各高剛性部66は、インバータカバー70が締結される締結部として用いることができる。
なお、各高剛性部66の用途としては、ハウジング6とインバータカバー70とを締結する締結部に限定されず、例えば、ハウジング6と、自動車のフレーム等のような他の部材とを締結する締結部であってもよい。
【0022】
第1リブ67及び第2リブ68は、それぞれ、側壁部622のリブ形成面623から-X方向に突出して設けられる。
なお、インバータ収納部62の大きさにもよるが、第1リブ67及び第2リブ68の幅は、例えば、5mm以上が好ましく、5~10mmがより好ましい。また、第1リブ67及び第2リブ68の高さ(突出高さ)は、例えば、15mm以上が好ましく、15~25mmがより好ましい。
【0023】
図2に示すように、第1リブ67は、第1番目~第N-1番目の高剛性部66、すなわち、高剛性部66A、高剛性部66B、高剛性部66C及び高剛性部66Dからそれぞれ第2辺625に向かって正の角度θ67(以下単に「角度θ67」と言う)で傾斜して延びる。ここで、「正の角度θ67」とは、図2に示すように、-X方向から見たとき、Z方向に対して反時計回りに所定傾斜して得られる角度のことを言う。なお、各第1リブ67の角度θ67は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0024】
以下では、高剛性部66Aから傾斜して延びる第1リブ67を「第1リブ67A」と言い、高剛性部66Bから傾斜して延びる第1リブ67を「第1リブ67B」と言い、高剛性部66Cから傾斜して延びる第1リブ67を「第1リブ67C」と言い、高剛性部66Dから傾斜して延びる第1リブ67を「第1リブ67D」と言うことがある(図3参照)。
【0025】
第2リブ68は、第2番目~第N番目の高剛性部66、すなわち、高剛性部66B、高剛性部66C、高剛性部66D及び高剛性部66Eから第2辺625に向かって負の角度θ68で傾斜して延びる。ここで、「負の角度θ68」とは、図2に示すように、-X方向から見たとき、Z方向に対して時計回りに所定傾斜して得られる角度のことを言う。なお、各第2リブ68の角度θ68は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
以下では、高剛性部66Bから傾斜して延びる第2リブ68を「第2リブ68B」と言い、高剛性部66Cから傾斜して延びる第2リブ68を「第2リブ68C」と言い、高剛性部66Dから傾斜して延びる第2リブ68を「第2リブ68D」と言い、高剛性部66Eから傾斜して延びる第2リブ68を「第2リブ68E」と言うことがある(図3参照)。
【0027】
前述したように、インバータ収納部62は、側壁部622が薄板状であるため、共振し易い。駆動モータモジュール1では、この薄板状の側壁部622を第1リブ67及び第2リブ68で補強することができる。
また、第1リブ67及び第2リブ68がそれぞれ高剛性部66から延びて設けられる。これにより、第1リブ67及び第2リブ68自体の剛性がさらに高まる。
そして、駆動モータモジュール1では、第1リブ67及び第2リブ68による側壁部622の補強と、高剛性部66による第1リブ67及び第2リブ68の高剛性化とが相まって、ハウジング6の共振時に、インバータ収納部62が上下方向に振動したり、水平方向に振動したり、所定の軸回りに捩じれるように振動したりする各種の振動を十分に抑制することができる。
【0028】
図3に示すように、各第1リブ67の第2辺625側の端部671は、第2辺625からは離間する。同様に、各第2リブ68の第2辺625側の端部681も、第2辺625からは離間する。
前述したインバータ収納部62の上下方向の振動を抑制するのに際し、高剛性部66は、第1辺624側に設けられていれば十分である。従って、高剛性部66のような高剛性部を第2辺625に設けて、当該高剛性部に第1リブ67の端部671及び第2リブ68の端部681を繋げる必要はない。
【0029】
第1辺624から第2辺625Cまでの距離をL1としたとき、各第1リブ67の端部671、及び、各第2リブ68の端部681は、それぞれ、距離L1の50%~90%の範囲内に位置する。これにより、各第1リブ67及び各第2リブ68をそれぞれできる限り長く延ばして、側壁部622を補強することができる。この補強は、インバータ収納部62の振動抑制に寄与する。
【0030】
図2図4に示すように、第1リブ67と第2リブ68とは、少なくとも1カ所以上で交差して交差部69を形成する。本実施形態では、第1リブ67Aが第2リブ68Bおよび第2リブ68Cと交差して、2つの交差部69を形成する。また、第1リブ67Bは、第2リブ68Cおよび第2リブ68Dと交差して、2つの交差部69を形成する。また、第1リブ67Cは、第2リブ68Dおよび第2リブ68Eと交差して、2つの交差部69を形成する。また、第1リブ67Dは、第2リブ68Eと交差して、1つの交差部69を形成する。
【0031】
このような交差により、第1リブ67と第2リブ68とが全体として格子状のリブを構成して、インバータ収納部62のリブ形成面623を略均一に補強することができる。これにより、ハウジング6の共振時に、インバータ収納部62における各種の振動を十分に抑制することができる。
【0032】
また、交差部69には、第1辺624と第2辺625との間の中央部に配置される第1交差部691と、第1交差部691よりも第2辺625側に配置される第2交差部692が含まれる。ここで、「第1辺624と第2辺625との間の中央部」とは、側壁部622(リブ形成面623)が膜共振を引き起こして、すなわち、X方向に振動(単振動)した際、振動振幅が最大になると考えられる部分である。
【0033】
本実施形態では、第1交差部691は、第1リブ67Aと第2リブ68Bとの交差、第1リブ67Bと第2リブ68Cとの交差、第1リブ67Cと第2リブ68Dとの交差、第1リブ67Dと第2リブ68Eとの交差で形成される。
また、第2交差部692は、第1リブ67Aと第2リブ68Cとの交差、第1リブ67Bと第2リブ68Dとの交差、第1リブ67Cと第2リブ68Eとの交差で形成される。
そして、第1辺624と第2辺625との間の中央部に第1交差部691が配置されることにより、当該中央部が第1交差部691で補強される。これにより、前述した中央部で最大振動振幅となるような振動(つまり、膜共振)が生じ難くなり、共振抑制を図ることができる。
【0034】
<第2実施形態>
図5を参照して本発明の駆動モータモジュールの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図5に示すように、ハウジング6は、凸部71と、第3リブ(リブ)72とを有する。
凸部71は、リブ形成面623(側壁部622)の第2辺625(第2辺625C)の近傍から-X方向に突出するように形成される。凸部71は、例えば、自動車部品が締結される締結部である。
【0035】
第3リブ72は、第1リブ67Cや第2リブ68Eと同様に、リブ形成面623から-X方向に突出して形成される。第3リブ72は、高剛性部66A~高剛性部66Eの中で、凸部71に最も近い高剛性部66Eから延び、凸部71に繋がる。本実施形態では、第3リブ72は、Z方向に沿って形成される。
このような第3リブ72は、第1リブ67C及び第2リブ68Eと相まって、側壁部622をより強固に補強することができる。これにより、前述した側壁部622での膜共振をさらに抑制することができる。
【0036】
以上、本発明の駆動モータモジュールを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、駆動モータモジュールを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の駆動モータモジュールは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 駆動モータモジュール
6 ハウジング
61 モータ収納部(モータハウジング)
611 壁部
612 壁部
613 壁部
62 インバータ収納部(インバータハウジング)
621 底部
622 側壁部(壁部)
623 リブ形成面
624 第1辺
625 第2辺
625A 第2辺
625B 第2辺
625C 第2辺
65 ギヤ収納部(ギヤハウジング)
651 壁部
66 高剛性部
66A 高剛性部
66B 高剛性部
66C 高剛性部
66D 高剛性部
66E 高剛性部
661 ネジ穴(雌ネジ)
67 第1リブ
67A 第1リブ
67B 第1リブ
67C 第1リブ
67D 第1リブ
671 端部
68 第2リブ
68B 第2リブ
68C 第2リブ
68D 第2リブ
68E 第2リブ
681 端部
69 交差部
691 第1交差部
692 第2交差部
71 凸部
72 第3リブ(リブ)
20 モータ(メインモータ)
50 ドライブシャフト
60 差動装置
70 インバータカバー
80 インバータ
90 ギヤカバー
J2 モータ軸(軸)
J3 軸
L1 距離
θ67 角度
θ68 角度

図1
図2
図3
図4
図5