(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163992
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ロッカー装置
(51)【国際特許分類】
F25D 13/04 20060101AFI20221020BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
F25D13/04
F25D17/08 308
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069169
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 高宏
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA01
3L045MA02
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L345AA02
3L345AA16
3L345BB00
3L345CC01
3L345DD18
3L345DD21
3L345DD33
3L345DD36
3L345EE04
3L345EE13
3L345EE14
3L345EE33
3L345EE45
3L345EE53
3L345FF12
3L345FF46
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】収納域毎に内部温度を設定温度に近似させて、各収納域に収納される商品を所望の温度状態に保管できるロッカー装置を提供する。
【解決手段】前面に本体開口16aを有した直方状の装置本体と、内部に画成された収納域20aの前方開口20bが本体開口16aに連通する態様で装置本体の内部に設けられた複数のロッカー部20と、装置本体に揺動可能に設けられた複数の前面扉50とを備え、複数のロッカー部20に形成された流出口及び流入口25を通じて収納域20aに連通する態様で装置本体に設けられた導風路30と、収納域20aの内部の空気を収納域20aと導風路30との間で循環させる循環ファンFと、循環ファンFにより導風路30を通過する空気を冷却する蒸発器41と、収納域20aの内部温度が設定温度に近似する態様で流入口25の開口面積の増減を調整する風量制御を行う制御部とを備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に本体開口を有した直方状の装置本体と、
商品を収納するための収納域が内部に画成されて構成され、かつ該収納域の前方開口が前記本体開口に連通する態様で前記装置本体の内部に設けられた複数のロッカー部と、
前記収納域の前方開口を開閉する態様で、前記ロッカー部に対応して前記装置本体に揺動可能に設けられた複数の前面扉と
を備えたロッカー装置であって、
前記複数のロッカー部のそれぞれに形成された流出口及び流入口を通じて前記収納域のそれぞれに連通する態様で前記装置本体に設けられた導風路と、
前記収納域の内部の空気を該収納域と前記導風路との間で循環させる循環手段と、
前記循環手段により前記導風路を通過する空気の温度を調整する温度調整手段と、
前記収納域の内部温度が予め決められた設定温度に近似する態様で、該収納域を有する前記ロッカー部の前記流出口及び前記流入口の少なくとも一方の開口面積の増減を調整する風量制御を行う制御部と
を備えたことを特徴とするロッカー装置。
【請求項2】
前記循環手段及び前記温度調整手段は、それぞれ前記導風路に設置されたことを特徴とする請求項1に記載のロッカー装置。
【請求項3】
前記複数のロッカー部は、
前記装置本体の内部において互いの内面が対向する態様で立設された左右一対の側板と、
前記左右一対の側板の後端部分同士を連結する態様で立設された背板と、
前記左右一対の側板の相互間を上下に区画する態様で該側板及び前記背板に固定配置されることで前記収納域を画成する複数の水平板と
を備えて構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロッカー装置。
【請求項4】
前記温度調整手段は、自身に供給された冷媒が蒸発することにより前記導風路を通過する空気を冷却する蒸発器により構成されたことを特徴とする請求項3に記載のロッカー装置。
【請求項5】
前記流出口及び前記流入口は、前記背板に形成されたことを特徴とする請求項4に記載のロッカー装置。
【請求項6】
前記導風路は、
前記流出口のそれぞれに連通する態様で設けられた回収ダクトと、
前記回収ダクトに連通する態様で設けられ、かつ前記循環手段及び前記温度調整手段が設置された連絡ダクトと、
前記回収ダクトとは区画された状態で前記連絡ダクトに連通するとともに前記流入口のそれぞれに連通する態様で設けられ、前記循環手段により前記連絡ダクトを通過した空気を前記流入口のそれぞれに供給する供給ダクトと
を備えたことを特徴とする請求項5に記載のロッカー装置。
【請求項7】
前記複数のロッカー部は、前記流入口が上方側で前記流出口が下方側となる態様で前記収納域を上下に区画するよう設けられ、かつ前記流入口より流入した空気が前記前方開口に近接するほどより多く下方に向けて流れるように案内する導風部材を備えたことを特徴とする請求項6に記載のロッカー装置。
【請求項8】
前記前面扉の開閉を検知する開閉検知部を備え、
前記制御部は、前記開閉検知部により前記前面扉が開状態と検知された場合に、該前面扉により前記前方開口が開閉される収納域に連通する前記流入口を閉とする一方、前記開閉検知部により前記前面扉が閉状態と検知された場合に、該前面扉により前記前方開口が開閉される収納域に連通する前記流入口の開口面積の増減を調整する風量制御を行うことを特徴とする請求項7に記載のロッカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカー装置に関し、より詳細には、例えば宅配ロッカー等のロッカー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば宅配ロッカー等のロッカー装置として、前面に本体開口を有した直方状の装置本体の内部に、複数のロッカー部が上下に並ぶよう配設されたものが知られている。ロッカー部は、商品を収納するための収納域が内部に画成されて構成されており、前方開口が装置本体の本体開口に連通する態様で配設されている。そのような装置本体においては、収納域の前方開口を開閉する態様で、ロッカー部に対応して複数の前面扉が揺動可能に設けられている。
【0003】
そのようなロッカー装置においては、収納域に収納された商品を冷却した状態で保管するために、装置本体の内部に配設された蒸発器で冷却された冷媒が各ロッカー部の壁部の一部を通過するようにし、通過する冷媒により収納域に収納された商品を冷却するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に提案されているロッカー装置においては、蒸発器で冷却された冷媒が各ロッカー部の壁部の一部を通過するようにして各収納域の商品を冷却した状態で収納していたので、次のような問題があった。
【0006】
すなわち、蒸発器で冷却された冷媒が各ロッカー部の壁部の一部を通過していたので、各収納域に収納された商品を一様に冷却することができるものの、各収納域に収納される商品は同一種類のものだけでなく種々の種類のものがあり、商品によっては過冷却となることがあった。
【0007】
つまり、各ロッカー部の収納域毎に内部温度を収納対象である商品に応じた設定温度に調整することが好ましいが、冷媒を各ロッカー部に対して直列的に通過させていただけなので、収納域毎に内部温度を調整することが困難であった。
【0008】
尚、各ロッカー部の一部の壁部における冷媒の流路を蒸発器に対して並列に接続するようにして、収納域毎の設定温度に応じてロッカー部のそれぞれに対して冷媒を個別に通過させるようにすることも可能であるが、そのためには、冷媒が通過する経路上に複数の電磁弁等のバルブを配設する必要があり、部品点数の増加による製造コストの増大化を招来し、好ましいものではない。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、収納域毎に内部温度を設定温度に近似させて、各収納域に収納される商品を所望の温度状態に保管することができるロッカー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るロッカー装置は、前面に本体開口を有した直方状の装置本体と、商品を収納するための収納域が内部に画成されて構成され、かつ該収納域の前方開口が前記本体開口に連通する態様で前記装置本体の内部に設けられた複数のロッカー部と、前記収納域の前方開口を開閉する態様で、前記ロッカー部に対応して前記装置本体に揺動可能に設けられた複数の前面扉とを備えたロッカー装置であって、前記複数のロッカー部のそれぞれに形成された流出口及び流入口を通じて前記収納域のそれぞれに連通する態様で前記装置本体に設けられた導風路と、前記収納域の内部の空気を該収納域と前記導風路との間で循環させる循環手段と、前記循環手段により前記導風路を通過する空気の温度を調整する温度調整手段と、前記収納域の内部温度が予め決められた設定温度に近似する態様で、該収納域を有する前記ロッカー部の前記流出口及び前記流入口の少なくとも一方の開口面積の増減を調整する風量制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記ロッカー装置において、前記循環手段及び前記温度調整手段は、それぞれ前記導風路に設置されたことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記ロッカー装置において、前記複数のロッカー部は、前記装置本体の内部において互いの内面が対向する態様で立設された左右一対の側板と、前記左右一対の側板の後端部分同士を連結する態様で立設された背板と、前記左右一対の側板の相互間を上下に区画する態様で該側板及び前記背板に固定配置されることで前記収納域を画成する複数の水平板とを備えて構成されたことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記ロッカー装置において、前記温度調整手段は、自身に供給された冷媒が蒸発することにより前記導風路を通過する空気を冷却する蒸発器により構成されたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記ロッカー装置において、前記流出口及び前記流入口は、前記背板に形成されたことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記ロッカー装置において、前記導風路は、前記流出口のそれぞれに連通する態様で設けられた回収ダクトと、前記回収ダクトに連通する態様で設けられ、かつ前記循環手段及び前記温度調整手段が設置された連絡ダクトと、前記回収ダクトとは区画された状態で前記連絡ダクトに連通するとともに前記流入口のそれぞれに連通する態様で設けられ、前記循環手段により前記連絡ダクトを通過した空気を前記流入口のそれぞれに供給する供給ダクトとを備えたことを特徴とする。
【0016】
また本発明は、上記ロッカー装置において、前記複数のロッカー部は、前記流入口が上方側で前記流出口が下方側となる態様で前記収納域を上下に区画するよう設けられ、かつ前記流入口より流入した空気が前記前方開口に近接するほどより多く下方に向けて流れるように案内する導風部材を備えたことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、上記ロッカー装置において、前記前面扉の開閉を検知する開閉検知部を備え、前記制御部は、前記開閉検知部により前記前面扉が開状態と検知された場合に、該前面扉により前記前方開口が開閉される収納域に連通する前記流入口を閉とする一方、前記開閉検知部により前記前面扉が閉状態と検知された場合に、該前面扉により前記前方開口が開閉される収納域に連通する前記流入口の開口面積の増減を調整する風量制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導風路が、複数のロッカー部のそれぞれに形成された流出口及び流入口を通じて収納域のそれぞれに連通する態様で装置本体に設けられ、循環手段が、収納域の内部の空気を該収納域と導風路との間で循環させ、温度調整手段が、循環手段により導風路を通過する空気の温度を調整し、制御部が、収納域の内部温度が予め決められた設定温度に近似する態様で、該収納域を有するロッカー部の流出口及び流入口の少なくとも一方の開口面積の増減を調整する風量制御を行うので、収納域毎に内部温度を設定温度に近似させて、各収納域に収納される商品を所望の温度状態に保管することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態であるロッカー装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態であるロッカー装置の外観構成を示す正面図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるA-A線断面を模式的に示す断面側面図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるB-B線断面を模式的に示す断面側面図である。
【
図5】
図5は、ロッカー装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図6】
図6は、装置本体の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図1~
図4に示したロッカー装置の要部を拡大して示す断面側面図である。
【
図8】
図8は、
図6等に示した流入口の開口面積を増減させる開閉部材の動作を示す説明図である。
【
図9】
図9は、
図5に示した制御部がロッカー部毎に実施する風量制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るロッカー装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1~
図5は、それぞれ本発明の実施の形態であるロッカー装置を示すものであり、
図1は、ロッカー装置の外観構成を示す斜視図であり、
図2は、ロッカー装置の外観構成を示す正面図であり、
図3は、
図2におけるA-A線断面を模式的に示す断面側面図であり、
図4は、
図2におけるB-B線断面を模式的に示す断面側面図であり、
図5は、ロッカー装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0022】
ここで例示するロッカー装置1は、例えば宅配ロッカー等として適用されるものであり、装置本体10及び制御部60を備えて構成されている。
【0023】
装置本体10は、複数の板状部材を適宜組み合わせることによって構成されたもので、前面に2つの開口(後述する本体開口16a及び下方開口17a)を有した直方状に構成されている。より具体的には、天壁板11、一対の側壁板12、底壁板13及び背壁板14が接合されるとともに、一対の側壁板12がそれぞれ底壁板13よりも下方に延在して互いの間を台座壁板15によって接合されることにより、直方状の装置本体10が構成されている。
【0024】
そのような装置本体10において、天壁板11、一対の側壁板12、底壁板13及び背壁板14は、例えば真空断熱材等の断熱材が内蔵された板状部材であり、底壁板13の上方域には、前面に本体開口16aを有した断熱構造の収容室16が形成されるとともに、底壁板13の下方域には、前面に下方開口17aを有した機械室17が形成されている。この機械室17の下方開口17aは、通気孔18aが形成された閉塞板18により閉塞されている。
【0025】
上記装置本体10には、複数のロッカー部20及び導風路30が形成されているとともに、循環ファンF、蒸発器41及び複数の前面扉50が設けられている。
【0026】
複数のロッカー部20は、収容室16の前方側において、上下に並ぶように形成されており、それぞれ商品を収納するための収納域20aが内部に画成されて構成されている。より詳細に説明すると、複数のロッカー部20は、収容室16の前方側において、左右一対の側板21が互いの内面が対向する態様で立設されるとともに、これら左右一対の側板21の後端部同士を連結する背板22が立設され、水平方向に沿って延在する複数の水平板23が左右一対の側板21の相互間を上下に区画する態様でそれぞれ所定の高さ位置にて該側板21及び背板22に固定配置されることにより、上下に並ぶように形成されている。
【0027】
ここで最上位のロッカー部20は、天壁板11と最も上方に固定配置された水平板23との間に収納域20aが画成されており、最下位のロッカー部20は、最も下方に固定配置された水平板23と底壁板13との間に収納域20aが画成されており、最上位及び最下位以外のロッカー部20は、上下に隣接する態様で固定配置された水平板23の相互間に収納域20aが画成されている。これら収納域20aは、前方開口20bを有しており、上記ロッカー部20は、前方開口20bが本体開口16aに連通する態様で形成されている。
【0028】
尚、上記複数のロッカー部20において、左右一対の側板21、背板22及び水平板23は、天壁板11や底壁板13等と同様に、例えば真空断熱材等の断熱材が内蔵された断熱板であり、天壁板11及び水平板23の前端部分には、下方に向けて延在する断熱構造の当接板24が設けられている。
【0029】
また複数のロッカー部20においては、それぞれ流入口25及び流出口26が形成されている。より詳細に説明すると、流入口25は、
図6に示すように、背板22に形成された矩形状の開口であり、各ロッカー部20の左側上方部分に形成されている。流出口26は、
図6に示したように、背板22に形成された矩形状の開口であり、各ロッカー部20の右側下方部分に形成されている。
【0030】
更に複数のロッカー部20には、それぞれ導風部材27が配設されている。導風部材27は、各ロッカー部20において、流入口25が上方側で流出口26が下方側となる態様で収納域20aを上下に区画するよう設けられた平板状部材であり、上下方向に貫通する複数の通風孔27aが形成されている。これら複数の通風孔27aは、それぞれ同一の内径を有した貫通孔であり、導風部材27の前方側に近接するにしたがって数が漸次増大する態様で形成されている。
【0031】
導風路30は、収容室16の後方側、すなわち複数のロッカー部20の後方側に形成されており、回収ダクト31と、供給ダクト32と、連絡ダクト33とを備えて構成されている。
【0032】
回収ダクト31は、
図3及び
図6に示したように、背板22の右側後方にて、流出口26のそれぞれに連通する態様で上下方向に沿って延在するよう設けられている。供給ダクト32は、
図4及び
図6に示したように、背板22の左側後方にて、回収ダクト31とは区画された状態で流入口25のそれぞれに連通する態様で上下方向に沿って延在するよう設けられている。
【0033】
連絡ダクト33は、回収ダクト31及び供給ダクト32の後方側であって背壁板14の前方側に、上下方向に沿って延在するよう設けられており、回収ダクト31とは第1連通口34aを通じて連通し、供給ダクト32とは第2連通口34bを通じて連通している。
【0034】
循環ファンFは、第2連通口34bを閉塞する態様で設けられている。循環ファンFは、制御部60から与えられる指令に応じて駆動するものであり、駆動する場合に、各ロッカー部20の収納域20aの内部の空気を該収納域20aと導風路30との間で循環させる循環手段である。
【0035】
より詳細に説明すると、循環ファンFが駆動する場合に、各収納域20aの内部の空気は、流出口26を通じて回収ダクト31に流出して該回収ダクト31を通過してから第1連通口34aより連絡ダクト33を進入する。連絡ダクト33に進入した空気は、該連絡ダクト33を上方に向けて通過してから第2連通口34bより供給ダクト32に進入し、該供給ダクト32を通過しながら流出口26より各収納域20aに流出することで、収納域20aと導風路30との間で循環する。
【0036】
蒸発器41は、連絡ダクト33に設置されている。この蒸発器41は、機械室17に設置された圧縮機42、凝縮器43及び膨張機構44に冷媒管路45を通じて順次接続されることにより、冷媒を循環させる冷媒回路を構成している。
【0037】
圧縮機42は、制御部60から与えられる指令により駆動するものであり、駆動する場合に蒸発器41を通過した冷媒を吸引して圧縮するものである。凝縮器43は、圧縮機42により圧縮された冷媒を凝縮させるものである。膨張機構44は、凝縮器43により凝縮された冷媒を断熱膨張させて蒸発器41に送出するものである。
【0038】
上記蒸発器41は、膨張機構44で断熱膨張した冷媒と、循環ファンFの駆動により連絡ダクト33を通過する空気とを熱交換させ、冷媒が蒸発することにより該空気を冷却させる温度調整手段である。
【0039】
複数の前面扉50は、それぞれロッカー部20に対応して設けられている。これら前面扉50は、例えば真空断熱材等の断熱材を内蔵した断熱扉体であり、対応するロッカー部20の収納域20aの前方開口20bを開閉する態様で装置本体10の本体開口16aの左側縁部に揺動可能に設けられている。
【0040】
これら前面扉50における後面の周縁部分には、
図7に示すように、パッキン51が取り付けられている。これにより、最上位のロッカー部20に対応して設けられた前面扉50は、該ロッカー部20の収納域20aの前方開口20bを閉塞する場合には、天壁板11の前端部分に設けられた当接板24と、最も上方に固定配置された水平板23の前端部分に設けられた当接板24と、左右一対の側板21とに対し、パッキン51を介して当接して密閉性を確保する。
【0041】
また最下位のロッカー部20に対応して設けられた前面扉50は、該ロッカー部20の収納域20aの前方開口20bを閉塞する場合には、最も下方に固定配置された水平板23の前端部分に設けられた当接板24と、底壁板13と、左右一対の側板21とに対し、パッキン51を介して当接して密閉性を確保する。
【0042】
更に最上位及び最下位以外のロッカー部20に対応して設けられた前面扉50は、該ロッカー部20の収納域20aの前方開口20bを閉塞する場合には、上下に隣接する態様で固定配置された水平板23の前端部分に設けられた当接板24と、左右一対の側板21とに対し、パッキン51を介して当接して密閉性を確保する。
【0043】
ところで、上記前面扉50には庇部材52が取り付けられている。庇部材52は、前面扉50の幅方向の全域に亘って延在する長尺状部材であり、前面扉50の下面に取付ピン53を介して取り付けられる基部521と、この基部521の前端縁部分より前方に向かうに連れて漸次下方に向けて傾斜する傾斜延在部522とを有している。そのような庇部材52は、傾斜延在部522が前面扉50の前面より前方に向けて突出する態様で取り付けられている。そして、互いに上下に隣接する前面扉50の相互間の間隔L(
図7参照)が、例えば5~10mm程度に調整されている。
【0044】
制御部60は、天壁板11の上面に載置された制御ボックス19に内蔵されており、上記圧縮機42及び上記循環ファンFに電気的に接続されるとともに、ヒータHや各ロッカー部20に配設された開閉検知部28a、内部温度検知部28b及び開閉駆動部28cに電気的に接続されている。
【0045】
ヒータHは、制御部60から与えられる指令に応じて通電状態となるものであり、通電状態となる場合に周囲を加熱する加熱手段である。このようなヒータHは、
図7に示したように、前面扉50の後面部分の周縁部分となる個所に配設されているとともに、前方開口20bの開口縁部であって該前方開口20bが前面扉50により閉塞される場合の外周部分となる個所に配設されている。
【0046】
開閉検知部28aは、対応する前面扉50の開閉を検知する検知手段であり、その検知結果を制御部60に送出するものである。内部温度検知部28bは、収納域20aの内部温度を検知する検知手段であり、その検知結果を制御部60に送出するものである。
【0047】
開閉駆動部28cは、例えばモータやソレノイド等で構成されたアクチュエータであり、
図8に示すように、流入口25を開閉可能な開閉部材29をスライドさせることにより該流入口25の開口面積を増減させて開度を所定の大きさに調整するためのものである。
【0048】
そして、上記制御部60は、開閉駆動部28c等と同様に電気的に接続された記憶部61に記憶されたプログラムやデータにしたがって、ロッカー装置1の動作を統括的に制御するものである。尚、制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0049】
以上のような構成を有するロッカー装置1においては、流入口25が所定の開口面積で開放されたロッカー部20の収納域20aに収納された商品を次のようにして冷却する。
【0050】
すなわち、循環ファンFや圧縮機42が制御部60から与えられる指令によって駆動することにより、該収納域20aの内部の空気が、流出口26を通じて回収ダクト31、連絡ダクト33の順に通過し、該連絡ダクト33を通過する際に蒸発器41に冷却される。このようにして蒸発器41に冷却された空気が供給ダクト32を通過した後に開放された流入口25より該収納域20aに流入する。
【0051】
このようにして流入口25より流入した空気は、導風部材27の通風孔27aを通過することになるが、通風孔27aが導風部材27の前方側に近接するにしたがって数が漸次増大する態様で形成されているので、導風部材27により前方開口20bに近接するほどより多く下方に向けて流れるように案内され、該収納域20aに冷却された商品を冷却する。
【0052】
ところで、上記ロッカー装置1においては、利用者の操作により前面扉50が開状態になることが開閉検知部28aにより検知された場合、制御部60が、該前面扉50が開状態となったロッカー部20の開閉駆動部28cに指令を与えて開閉部材29を左方にスライドさせることにより、該ロッカー部20の流入口25を全閉(開度0%)にさせる。これにより流入口25より流入した空気(冷気)が前方開口20bを通じて外部に排出されることを抑制することができる。
【0053】
また上記ロッカー装置1において、制御部60は、前面扉50が閉状態であることが開閉検知部28aにより検知されたロッカー部20については、個別に下記の風量制御処理を実施する。
【0054】
図9は、
図5に示した制御部60がロッカー部20毎に実施する風量制御処理の処理内容を示すフローチャートである。尚、以下の風量制御処理の説明において示される閾値の数値は、一例であり、これらに限られるものではない。
【0055】
この風量制御処理において制御部60は、内部温度検知部28bによる収納域20aの内部温度の検知待ちとなる(ステップS101)。内部温度検知部28bにより内部温度が検知された場合(ステップS101:Yes)、制御部60は、記憶部61から該収納域20aの設定温度を読み出し(ステップS102)、検知された内部温度から設定温度を減算して温度差ΔTを算出する(ステップS103)。
【0056】
このようにして温度差ΔTを算出した制御部60は、温度差ΔTと各閾値(例えば1℃、2℃、3℃、4℃、5℃)との比較を行う(ステップS104~ステップS108)。
【0057】
具体的に説明すると、制御部60は、温度差ΔTが5℃以上である場合(ステップS104:Yes)、開閉駆動部28cに指令を与えて開閉部材29をスライドさせて流入口25を全開(開度100%)に調整し(ステップS109)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0058】
これによれば、流入口25より収納域20aに流入する空気の風量を十分に確保することができ、収納域20aの内部温度が低下する方向に推移させることができ、内部温度を設定温度に近似させることが可能になる。
【0059】
制御部60は、温度差ΔTが4℃以上5℃未満である場合(ステップS104:No,ステップS105:Yes)、開閉駆動部28cに指令を与えて開閉部材29をスライドさせて流入口25を開度80%に調整し(ステップS110)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0060】
これによれば、流入口25より収納域20aに流入する空気の風量を十分に確保することができ、収納域20aの内部温度が低下する方向に推移させることができ、内部温度を設定温度に近似させることが可能になる。
【0061】
制御部60は、温度差ΔTが3℃以上4℃未満である場合(ステップS104:No,ステップS105:No,ステップS106:Yes)、開閉駆動部28cに指令を与えて開閉部材29をスライドさせて流入口25を開度60%に調整し(ステップS111)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0062】
これによれば、流入口25より収納域20aに流入する空気の風量を十分に確保することができ、収納域20aの内部温度が低下する方向に推移させることができ、内部温度を設定温度に近似させることが可能になる。
【0063】
制御部60は、温度差ΔTが2℃以上3℃未満である場合(ステップS104:No,ステップS105:No,ステップS106:No,ステップS107:Yes)、開閉駆動部28cに指令を与えて開閉部材29をスライドさせて流入口25を開度40%に調整し(ステップS112)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0064】
これによれば、流入口25より収納域20aに流入する空気の風量が低減し、収納域20aの内部温度が緩やかに低下する方向に推移させることができ、内部温度を設定温度に近似させることが可能になる。
【0065】
制御部60は、温度差ΔTが1℃以上2℃未満である場合(ステップS104:No,ステップS105:No,ステップS106:No,ステップS107:No,ステップS108:Yes)、開閉駆動部28cに指令を与えて開閉部材29をスライドさせて流入口25を開度20%に調整し(ステップS113)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0066】
これによれば、流入口25より収納域20aに流入する空気の風量が低減し、収納域20aの内部温度が緩やかに低下する方向に推移させることができ、内部温度を設定温度に近似させることが可能になる。
【0067】
制御部60は、温度差ΔTが1℃未満である場合(ステップS104:No,ステップS105:No,ステップS106:No,ステップS107:No,ステップS108:No)、開閉駆動部28cに指令を与えて開閉部材29をスライドさせて流入口25を全閉(開度0%)に調整し(ステップS114)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0068】
これによれば、流入口25より収納域20aに空気が流入することを規制し、収納域20aの内部温度が低下することを抑制させて設定温度に近似させることができる。
【0069】
以上説明したように、本発明の実施の形態であるロッカー装置1によれば、導風路30が、複数のロッカー部20のそれぞれに形成された流出口26及び流入口25を通じて収納域20aのそれぞれに連通する態様で装置本体10に設けられ、循環ファンFが、収納域20aの内部の空気を該収納域20aと導風路30との間で循環させ、蒸発器41が循環ファンFにより導風路30を通過する空気を冷却し、制御部60が、収納域20aの内部温度が予め決められた設定温度に近似する態様で、該収納域20aを有するロッカー部20の流入口25の開口面積の増減を調整する風量制御を行うので、収納域20a毎に内部温度を設定温度に近似させて、各収納域20aに収納される商品を所望の温度状態に保管することができる。
【0070】
上記ロッカー装置1によれば、各ロッカー部20に流入口25が上方側で流出口26が下方側となる態様で収納域20aを上下に区画するよう設けられた導風部材27が、流入口25より流入した空気が前方開口20bに近接するほどより多く下方に向けて流れるように案内するので、流入口25から流入した空気を収納域20aの全域に亘って通過させてから流出口26より流出させることができ、収納域20aの内部雰囲気を冷却して商品を良好に冷却することができる。
【0071】
上記ロッカー装置1によれば、制御部60が、開閉検知部28aにより前面扉50が開状態と検知された場合に、該前面扉50が開状態となったロッカー部20の開閉駆動部28cに指令を与えて流入口25を全閉(開度0%)にさせるので、流入口25より流入した空気(冷気)が前方開口20bを通じて外部に排出されることを抑制することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0072】
上記ロッカー装置1によれば、各前面扉50には前面扉50の幅方向の全域に亘って延在する長尺状部材である庇部材52が取り付けられており、庇部材52は、前面扉50の下面に取付ピン53を介して取り付けられる基部521と、この基部521の前端縁部分より前面扉50の前面より前方に突出する態様で前方に向かうに連れて漸次下方に向けて傾斜する傾斜延在部522とを有しているので、前面扉50の前面に付着した雨水等を庇部材52で装置本体10の外部に滴下させることができる。しかも、互いに上下に隣接する前面扉50の相互間の間隔Lが、例えば5~10mm程度に調整されているので、前面扉50の相互間のクリアランスを十分に小さくすることができ、庇部材52と相俟って雨水等が前面扉50の相互間に進入することを抑制することができる。これにより、防水性の向上を図ることができる。
【0073】
上記ロッカー装置1によれば、制御部60から与えられる指令に応じて通電状態となる加熱手段としてのヒータHが、前面扉50の後面部分の周縁部分となる個所に配設されているとともに、前方開口20bの開口縁部であって該前方開口20bが前面扉50により閉塞される場合の外周部分となる個所に配設されているので、結露等の発生を抑制することができる。
【0074】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0075】
上述した実施の形態では、蒸発器41が温度調整手段を構成していたが、本発明においては、温度調整手段として蒸発器に限定されるものではなく、例えばペルチェ素子等のように空気の温度を所望の温度に調整できるものであればその構成は特に限定されない。
【0076】
上述した実施の形態では、制御部60が開閉駆動部28cに指令を与えて流入口25の開口面積を増減させていたが、本発明においては、制御部が流入口ではなく流出口の開口面積を増減させて風量を調整してもよいし、流入口及び流出口の開口面積を増減させることで風量を調整してもよい。
【0077】
上述した実施の形態では、制御部60は、前面扉50が閉状態であることが開閉検知部28aにより検知されたロッカー部20については個別に風量制御処理を実施するようにしていたが、流入口25の開度の大きさについては、他のロッカー部20の内部温度の大きさに応じて更に調整するようにしてもよい。具体的には、温度差ΔTが2℃以上3℃未満のロッカー部20と、温度差ΔTが4℃以上5℃未満のロッカー部20とがある場合、後者のロッカー部20における収納域20aの冷却を優先させ、前者のロッカー部20における流入口25の開度を40%ではなく20%にしてもよい。
【0078】
上述した実施の形態では、循環ファンF及び蒸発器41が導風路30に設置されていたが、本発明においては、循環手段は、導風路に限られず、所望の個所に設置されてもよい。
【0079】
上述した実施の形態では言及していないが、蒸発器41に付着した霜を除去する除霜運転を行う場合には、圧縮機42で圧縮された冷媒(高温高圧冷媒)を蒸発器41に通過させるようにしてもよいし、蒸発器41の近傍に設置されたシーズヒータ等を駆動させて蒸発器41の周囲を加熱するようにしてもよい。そのような除霜運転を行う場合には、制御部60は、循環ファンFを駆動停止にさせつつ各開閉駆動部28cに指令を与えて各ロッカー部20の流入口25を全閉状態にさせることが好ましい。これにより、除霜に用いられた熱が各ロッカー部20の収納域20aに進入することを抑制でき、保管された商品が損傷等することを防止することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…ロッカー装置、10…装置本体、11…天壁板、12…側壁板、13…底壁板、14…背壁板、15…台座壁板、16…収容室、16a…本体開口、17…機械室、17a…下方開口、18…閉塞板、20…ロッカー部、20a…収納域、20b…前方開口、21…側板、22…背板、23…水平板、24…当接板、25…流入口、26…流出口、27…導風部材、27a…通風孔、28a…開閉検知部、28b…内部温度検知部、28c…開閉駆動部、29…開閉部材、30…導風路、31…回収ダクト、32…供給ダクト、33…連絡ダクト、34a…第1連通口、34b…第2連通口、41…蒸発器、42…圧縮機、43…凝縮器、44…膨張機構、50…前面扉、51…パッキン、52…庇部材、521…基部、522…傾斜延在部、60…制御部、F…循環ファン、H…ヒータ。