(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164018
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】情報処理装置の制御回路
(51)【国際特許分類】
G06F 3/00 20060101AFI20221020BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221020BHJP
H03K 19/0175 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
G06F3/00 A
G09G5/00 555D
G06F3/00 Y
H03K19/0175 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069217
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸訓
(72)【発明者】
【氏名】中村 啓輔
【テーマコード(参考)】
5C182
5J056
【Fターム(参考)】
5C182AB20
5C182BA37
5C182BC02
5C182BC05
5C182BC22
5C182DA32
5C182DA63
5J056AA04
5J056BB32
5J056DD13
5J056DD28
5J056DD55
5J056EE03
5J056FF08
5J056GG12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】VGAディスプレイなどのモニターから情報処理装置に不正に流入する電位を制御することで電源ラインの電位上昇の抑制が可能な情報処理装置の制御回路を提供する。
【解決手段】ライン外観検査装置・架線検側装置などに使用される情報処理装置である産業用コントローラ10において、PチャンネルFET15のドレインD1とソースS1は、信号ラインHsync(及びVsync)のに接続されている。PチャンネルFET15のドレインD1はVGA出力IC12側に接続され、ソースS1はVGAコネクタ3側に接続され、ゲートG1は信号ラインから抵抗R1を介して接続され、ゲートG1のゲートピンよりNチャンネルFET16のドレインD2に接続される。NチャンネルFET16のソースS2にはGND17が接続される一方、ゲートG2に抵抗(10kΩ以上)R2を介してゲート電源(+5V)E1が接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニターの制御信号用の出力回路と、
前記出力回路の電源電圧と、
前記モニター用の接続インタフェースとしての端子と、
を備えた情報処理装置の電源OFF時に前記端子を介して前記モニターから流入する電位を制御する回路であって、
前記出力回路側から前記端子側に出力される制御信号の信号ラインにP型チャンネルの電界効果トランジスタ(PチャンネルFETと省略する。)を備え、
前記PチャンネルFETは、ソースを前記端子側に接続され、ドレインを前記出力回路側に接続され、ゲートを前記信号ラインに接続されている
ことを特徴とする情報処理装置の制御回路。
【請求項2】
前記情報処理装置の電源OFF後に前記モニターから電位が流れ込んだときに前記PチャンネルFETのゲートの電位が上昇し、
前記PチャンネルFETがONとなって前記ソースと前記ドレインとの間の接続が切れる
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置の制御回路。
【請求項3】
前記PチャンネルFETのゲートピンにドレインを接続されたN型チャンネルの電界効果トランジスタ(NチャンネルFETと省略する。)をさらに備え、
前記NチャンネルFETは、ソースにグランドが接続されている一方、ゲートにゲート電源が接続されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置の制御回路。
【請求項4】
前記情報処理装置の電源ON時に前記NチャンネルFETをONにすることで前記P型チャンネルFETをOFFにし、
前記P型チャンネルFETの前記ソースと前記ドレインとの間を接続することを特徴とする請求項3記載の情報処理装置の制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば産業用コントローラなどの情報処理装置に接続されたモニターから流入する電位を制御する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(a)中の1は、ライン外観検査装置・架線検側装置などに使用される産業用コントローラを示している。この産業用コントローラ1のモニターには、非特許文献1のVGAディスプレイ2が使用されることが少なくない。
【0003】
このときVGAディスプレイ2の接続には、VGA規格に準拠したVGAコネクタ(VGA端子,アナログRGB端子,D-SUB端子とも呼ぶ。)3が用いられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“VGA端子” ウキペディア,[online],令和3年4月1日検索,インターネット<URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/VGA%E7%AB%AF%E5%AD%90>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
VGAディスプレイ2の殆どのモデルは規格に沿った振る舞いをするため、
図1(b)に示すように、産業用コントローラ1を電源OFFした場合にVGAコネクタ3を介した電位上昇を発生させることはない。
【0006】
ところが、一部のVGAディスプレイ2については、
図1(c)に示すように、産業用コントローラ1を電源OFFした際にディスプレイ走査線制御信号の信号ラインより電位の上昇が確認され、抵抗を通じて産業用コントローラ1内部への電位の回り込みが報告されている(以下、報告されたVGAディスプレイ2を不正ディスプレイ2と呼ぶ。)。
【0007】
状況としては、不正ディスプレイ2により産業用コントローラ1の電源OFF時に走査線を制御する「Hsync(Horizontal synchronization signal):水平同期信号」と「Vsync(Vertical synchronization):垂直同期信号」の信号ラインに電位が確認されている。
【0008】
具体的には「Hsync」の信号ラインに5V程度の入力が確認され、同「Vsync」に3V程度の入力が確認され、不正VGAディスプレイ2bからVGAケーブルを伝わって産業用コントローラ1内に流れ込んでしまっていた。
【0009】
そのため、前記各信号ラインに接続されているプルアップ抵抗を介して産業用コントローラ1の電源ラインの電位を上昇させ、産業用コントローラ1内部の回路が意図しない動作をするおそれがある。
【0010】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされ、VGAディスプレイなどのモニターから情報処理装置に不正に流入する電位を制御することで電源ラインの電位上昇を抑制することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、モニターの制御信号用の出力回路と、
前記出力回路の電源電圧と、
前記モニター用の接続インタフェースとしての端子と、
を備えた情報処理装置の電源OFF時に前記端子を介して前記モニターから流入する電位を制御する回路であって、
前記出力回路側から前記端子側に出力される制御信号の信号ラインにP型チャンネルの電界効果トランジスタ(PチャンネルFETと省略する。)を備え、
前記PチャンネルFETは、ソースを前記端子側に接続され、ドレインを前記出力回路側に接続され、ゲートを前記信号ラインに接続されていることを特徴としている。
【0012】
(2)本発明の一態様は、前記情報処理装置の電源OFF後に前記モニターから電位が流れ込んだときに前記PチャンネルFETのゲートの電位が上昇し、
前記PチャンネルFETがONとなって前記ソースと前記ドレインとの間の接続が切れることを特徴としている。
【0013】
(3)本発明の他の態様は、前記PチャンネルFETのゲートピンにドレインを接続されたN型チャンネルの電界効果トランジスタ(NチャンネルFETと省略する。)をさらに備え、
前記NチャンネルFETは、ソースにグランドが接続されている一方、ゲートにゲート電源が接続されている
ことを特徴としている。
【0014】
(4)本発明のさらに他の態様は、前記情報処理装置の電源ON時に前記NチャンネルFETをONにすることで前記P型チャンネルFETをOFFにし、
前記P型チャンネルFETの前記ソースと前記ドレインとの間を接続することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モニターから情報処理装置に不正に流入する電位が制御され、電源ラインの電位上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は通常のVGAディスプレイ電源ON時の状態図、(b)は同電源OFF時の状態図、(c)は不正ディスプレイ電源OFF時の状態図。
【
図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置に実装された制御回路の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置の制御回路を説明する。ここではライン外観検査装置・架線検側装置などの機器に組み込まれる小型の産業用コントローラへの適用例を説明する。
【0018】
図2中の10は前記産業用コントローラを示し、11は前記産業用コントローラ10に実装された前記制御回路を示している。前記産業用コントローラ10は、
図1と同様にVGAコネクタ3にVGAディスプレイ2が接続され、ホスト側のVGA出力IC(回路)12からVGAコネクタ3を介して「RGB(Red/Green/Blue)」のアナログ信号がVGAディスプレイ2に出力され、VGA出力IC12に電源(+3.3V)E2が供給されている。
【0019】
前記制御回路11は、ホスト側のVGA出力IC12からVGAコネクタ3側に出力されるディスプレイ走査線制御信号(「Hsync」・「Vsync」)の信号ライン毎に構成されている。なお、
図2中は「Hsync」の信号ラインのみが表示されているが、「Vsync」も同様に構成されているものとする。
【0020】
具体的には前記制御回路11は、P型チャンネルの電界効果トランジスタ(Field effect transistor:以下、PチャンネルFETと省略する。)15と、N型チャンネルの電界効果トランジスタ(以下、NチャンネルFETと省略する。)16と、を備えている。
【0021】
PチャンネルFET15のドレインD1とソースS1は、それぞれ前記信号ラインに接続されている。すなわち、ドレインD1はVGA出力IC12側に接続され、ソースS1はVGAコネクタ3側に接続され、ゲートG1は前記信号ラインから抵抗R1を介して接続され、ゲートG1のゲートピンよりNチャンネルFET16のドレインD2に接続されている。
【0022】
また、NチャンネルFET16のソースS2にはGND17が接続されている一方、ゲートG2に抵抗(10kΩ以上)R2を介してゲート電源(+5V)E1が接続されている。
【0023】
前述のように不正ディスプレイを産業用コントローラ10に接続した場合、電源OFF時に前記制御信号の信号ラインに不正な電位(「Hsync」=5V程度, 「Vsync」=3V程度)が確認されている。
【0024】
このとき前記制御回路11によれば、産業用コントローラ10内に前記電位が流れ込むと抵抗R1を介してゲートG1の電位が上昇し、前記信号ラインと同電位となることで産業用コントローラ10側のPチャンネルFET15がONとなり、ドレインD1-ソースS1間の接続が切れる。
【0025】
その結果、前記制御回路11によれば、産業用コントローラ10内に不正に流入する前記電位が制御され、前記電位の産業用コントローラ10内への回り込みが防止される。したがって、不正ディスプレイ2が接続された際、産業用コントローラ10内部の電源ラインの上昇が防止され、この点で産業用コントローラ10の内部回路が不意な動作を引き起こすことなく、該ディスプレイ2を問題なく使用することが可能となる。
【0026】
一方、産業用コントローラ10の電源ON時には、抵抗R2を介してNチャンネルFET16をONにすることでゲートG1の電位を「0」にし、PチャンネルFET15をOFFにする。これによりPチャンネルFET15のドレインD1-ソースS1間が接続され、前記信号ラインが有効となり、VGA出力IC12からVGAディスプレイ2に映像が出力される。
【0027】
このように前記制御回路11によれば、産業用コントローラ10内に不正に流入する前記電位が制御され、前記電位の産業用コントローラ10内への回り込みを防止することができる。したがって、不正ディスプレイ2が接続された際、産業用コントローラ10内部の電源ラインの上昇が防止される。この点で産業用コントローラ10の内部回路が不意な動作を引き起こさないようにでき、問題なく使用することが可能となる。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載された範囲内で変形して実施することができる。例えばVGAコネクタ3だけでなく、VGA出力ができればDVI(Digital Visual Interface)コネクタであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
2…ディスプレイ
3…VGAコネクタ
10…産業用コントローラ
11…制御回路
12…VGA出力IC
15…P型チャンネルの電界効果トランジスタ(PチャンネルFET)
16…N型チャンネルの電界効果トランジスタ(NチャンネルFET)
17…GND
D1,D2…ドレイン
E1,E2…電源
G1,G2…ゲート
S1,S2…ソース
R1,R2…抵抗