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  • 特開-運動機能向上用経口組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164021
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】運動機能向上用経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/744 20150101AFI20221020BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20221020BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20221020BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221020BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20221020BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20221020BHJP
【FI】
A61K35/744
A23L33/135
A61K35/745
A61P21/00
A61P3/02
A23K10/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069225
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家光 素行
(72)【発明者】
【氏名】内田 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】中山 雄記
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4C087
【Fターム(参考)】
2B150AA06
2B150AB03
2B150AB10
2B150AC05
2B150AC08
2B150DD12
2B150DD21
4B018MD85
4B018MD86
4B018MD87
4B018ME14
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087BC60
4C087NA14
4C087ZA94
4C087ZC22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】摂取することにより優れた運動機能向上効果が得られる経口組成物を提供すること。
【解決手段】酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌を含有する運動機能向上用の経口組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌を含有する運動機能向上用の経口組成物。
【請求項2】
運動が有酸素運動である請求項1記載の運動機能向上用の経口組成物。
【請求項3】
運動機能が持久力である請求項1または2に記載の運動機能向上用の経口組成物。
【請求項4】
運動機能向上が、エネルギー利用効率向上作用に基づくものである請求項1~3のいずれかの項に記載の運動機能向上用の経口組成物。
【請求項5】
運動機能向上が、TCA回路活性化作用に基づくものである請求項1~4のいずれかの項に記載の運動機能向上用の経口組成物。
【請求項6】
運動機能向上が、腸管透過性恒常化作用に基づくものである請求項1~3のいずれかの項に記載の運動機能向上用の経口組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動機能向上効果を有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロバイオティクスが、生体機能に様々な影響を及ぼすことが指摘されている(非特許文献1)。プロバイオティクスとは、摂取することによって消化管や腸内細菌叢と相互作用することで健康上の利点をもたらす生菌であると定義されている。実際に、プロバイオティクス摂取は、摂取した食物の分解や栄養素の吸収への関与や生体の代謝・免疫機能を変化させ、肥満や糖尿病、感染症の予防に寄与することが報告されている(非特許文献2、3)。
【0003】
プロバイオティクス投与が、アスリートに与える影響も検討されている。長距離選手に対するLactobacillus fermentumの投与は、呼吸器疾患の日数と重症度を顕著に減少させ、このメカニズムに血中サイトカインの維持が関与する可能性が報告されている(非特許文献4)。このように、プロバイオティクスは、アスリートの感染症予防や免疫力の向上によってコンディショニングに寄与する可能性が示唆されている。
【0004】
しかしながら、運動機能向上に対するプロバイオティクスの効果はわずかしか報告がない。野球選手を対象とした研究では、単一のプロバイオティクス投与によって、発揮筋力や俊敏性、スプリント能力に影響しないことが報告された(非特許文献5)。一方で、長距離選手において、複数の細菌種を混合したプロバイオティクス投与は、運動継続時間を増加させることも報告されている(非特許文献6)。このことから、プロバイオティクスと運動機能向上の関係はいまだ一定した見解が得られていないとともに、そのメカニズムも不明な点が多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Int. Soc. Sports Nutr. 13 (43): eCollection. 2016.
【非特許文献2】Nutrients. 10 (11): 1613, 2018.
【非特許文献3】Nutr. J. 13: 60, 2014.
【非特許文献4】Br. J. Sports Med. 44 (4): 222-226, 2010.
【非特許文献5】Sports (Basel). 6 (3): 70, 2018.
【非特許文献6】Eur. J. Appl. Physiol. 114 (1): 93-103, 2014.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、摂取することにより優れた運動機能向上効果が得られる経口組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、運動機能向上において有効な成分の検討を行った結果、酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌を組み合わせて摂取することによって、骨格筋エネルギー供給経路におけるTCA回路を活性化しエネルギー利用効率を向上させるとともに、腸管の透過性を恒常化し腸内での栄養吸収率を向上させること等に基づき、有酸素運動における持久力などの運動機能が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、下記(1)~(6)に係るものである。
(1)酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌を含有する運動機能向上用の経口組成物。
(2)運動が有酸素運動である(1)の運動機能向上用の経口組成物。
(3)運動機能が持久力である(1)または(2)の運動機能向上用の経口組成物。
(4)運動機能向上が、エネルギー利用効率向上作用に基づくものである(1)~(3)の運動機能向上用の経口組成物。
(5)運動機能向上が、TCA回路活性化作用に基づくものである(1)~(4)の運動機能向上用の経口組成物。
(6)運動機能向上が、腸管透過性恒常化作用に基づくものである(1)~(3)の運動機能向上用の経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経口組成物は、これを摂取することにより、筋骨格のエネルギー供給経路におけるTCA回路を活性化してエネルギー利用効率を向上させるとともに、腸管透過性を恒常化して腸内での栄養吸収率を向上させること等に基づき、有酸素運動において持久力が向上するなど運動機能向上効果を得ることができる。そのため、運動時のパフォーマンス向上、持久力向上等に加え、労働を含む日常の活動時における作業効率向上、持久力向上、抗疲労などの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】試験例1における各群の運動継続時間を示すグラフである。
図2】試験例2における各群の摘出腓腹筋のクエン酸合成酵素活性を示すグラフである。
図3】試験例2における各群の血中Zonulin濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、有効成分として、酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌を用いる。
【0012】
酪酸菌としては、例えば、バチルス・トヨイ(Bacillus toyoi)、バチルス・リケニホルムス(Bacillus licheniformis)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutyricum) 、等が挙げられる。
【0013】
乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(L.acidophilus)、ラクトバチルス・ガッセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L.helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(L.salivarius)、ラクトバチルス・ファーメンタム(L.fermentum)、ラクトバチルス・ユーグルティ(L.yoghurti)、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.ブルガリカス(L.delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.デルブルッキィー(L. delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・ジョンソニ(L.johnsoni)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ サブスピーシーズ.パラカゼイ(L.paracasei subsp. Paracasei)、ラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri)、ラクトバチルス・ラムノーサス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトコッカス・ラフィノラクチス(Lactococcus raffinolactis )、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(P. pentosaceus)、バチルス・コアグランス(Bacillus coaglans)、等が挙げられる。
【0014】
ビフィズス菌としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・アングラータム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・ガリカム(Bifidobacterium gallicum)、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、等が挙げられる。
【0015】
本発明では、上記酪酸菌、乳酸菌、ビフィズス菌をそれぞれ1種以上含んでいればよく、公知の菌株を常法にしたがって培養し、適宜組み合わせて用いることができるが、酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌を含有する市販品として、特に優れた運動機能向上効果が得られることから、Athlete Bio Mix(AuB株式会社)が好適に用いられる。
【0016】
本発明の経口組成物には、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、食品、飼料等が含まれる。医薬品、医薬部外品の剤型としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、チュアブル剤、シロップ剤等が挙げられる。これらの製剤の調製にあたっては、有効成分である酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌の他、必要に応じ、薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせ、常法により製造することができる。
【0017】
本発明の経口組成物を食品とする場合の形態としては、牛乳、加工乳、乳飲料、ヨーグルト、清涼飲料水、茶系飲料、コーヒー飲料、果汁飲料、炭酸飲料、粉末飲料、ジュース、ゼリー、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミ、ガム、ウエハース、ビスケット、チョコレート、パン、麺、ソーセージ等の飲食品や栄養食等の各種食品の他、上述した医薬品等と同様の形態(錠剤、カプセル剤、チュアブル剤、シロップ等)の栄養補給用組成物が挙げられる。これらの食品の調製にあたっては、有効成分である酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌の他、必要に応じ、他の食品材料や、甘味料、ゲル化剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、酸味料、調味料、pH調整剤、膨張剤、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせ、常法にしたがって製造することができる。食品には、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品等が含まれる。また、適当量の栄養補給が困難な高齢者やベッドレスト状態の病者においては、経腸栄養剤等の栄養組成物の形態として配合することが可能である。
【0018】
本発明の経口組成物は、筋骨格のエネルギー供給経路におけるTCA回路を活性化してエネルギー利用効率を向上させ、また腸管透過性を恒常化することで腸内での栄養吸収率を向上させる効果等を有している。これらの効果に基づき、有酸素運動において持久力が増強するなど運動機能向上効果を得ることができる。本明細書において、運動には有酸素運動及び無酸素運動が含まれるが、本発明の経口組成物は、有酸素運動における運動機能効果に対してより優れたものである。有酸素運動とは、酸素を用いてATPを産生するTCA回路及び電子伝達系から供給されるATPを主として利用して行う運動をいい、一般的に20分以上続けて行う運動を指す。例えば、水泳、ランニング、マラソン、登山、サイクリング、ウォーキング等が挙げられる。また持久力には、一定の強度の運動を続けることができる全身持久力と繰り返しの特定の筋肉に負荷を続けることができる筋持久力が含まれるが、本発明の経口組成物は特に全身持久力の増強に優れる。したがって本発明の経口組成物は、これを摂取することにより、運動時のパフォーマンス向上、持久力向上等に加え、労働を含む日常の活動時における作業効率向上、持久力向上、抗疲労などの効果を得ることができる。
なお、腸管透過性の恒常化とは、腸管におけるタイトジャンクションの構造を良好な状態とし又は維持し、腸管透過性の正常化、向上、強化、又は低下防止を含む。腸管透過性の恒常化によって、慢性的な炎症や疲労、肥満、糖尿病、などの症状改善や予防に繋がる可能性が示唆されている。
【0019】
本発明の経口組成物及びその説明書には、例えば、運動機能向上のために用いられる旨、有酸素運動機能向上のために用いられる旨、持久力向上のために用いられる旨、エネルギー利用効率向上のために用いられる旨、TCA回路活性化のために用いられる旨、腸管透過性恒常化のために用いられる旨、抗疲労のために用いられる旨等の表示を付したものであり得る。ここで、「表示を付した」とは、本発明の経口組成物を含む製品の本体、容器、包装などに記載すること、製品情報を開示する説明書、添付文書、パンフレット、その他の印刷物などの書類に記載すること、各種チラシ、インターネットを含む宣伝のために用いられる広告に記載すること等を含む。また本発明の経口組成物の摂取対象者としては、一般労働者や運動不足者、中高年、ベッドレスト者、アスリート、運動愛好者等が含まれる。その摂取量は特に限定されるものではないが、酪酸菌、乳酸菌及びビフィズス菌全体の生菌数として、好ましくは1日当たり1×10cfu以上、より好ましくは3×10cfu以上である。
【0020】
以下に実施例および試験例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【実施例0021】
試験例1:有酸素運動パフォーマンステスト
Athlete Bio Mix(AuB株式会社)を試料として用い、これを摂取することによる有酸素運動機能に与える影響を調べた。
1週間の予備飼育後、5週齢のC57BL/6オスマウスを溶媒投与群(Con群、n=8)、Athlete Bio Mix 30mg/kg投与群(High群、n=7)、Athlete Bio Mix 3mg/kg投与群(Middle群、n=7)、Athlete Bio Mix 0.3mg/kg投与群(Low群、n=8)に分け飼育を行った。飼育期間中は水およびエサは自由摂食・飲水とした。
Athlete Bio Mixはメチルセルロースの溶媒に溶解し、経口投与を1日1回行った。介入3週目に遊泳テストの練習を1回実施、8 週間の介入後、遊泳装置を用いた運動負荷を行い、疲労困憊に至るまでの運動継続時間を測定した。
遊泳装置(直径45cm、高さ50cm)において、水深40cm程度、水温35℃程度に遊泳環境を設定し、自重5%の重量の重りを付加した。水中運動中にマウスが動きを3秒間止めたり、5秒間の潜水が連続するなど疲労困憊に至るまでの遊泳時間を測定した。結果を図1に示す。
結果は、すべて平均値±標準誤差で表し、各測定項目の比較は、一元配置分散分析により検定し、有意な差が認められた項目には、FisherのPLSD法を用いてpost-hocテストを実施した。危険率(P)は5%未満を有意水準とした。
【0022】
図1に示すとおり、Athlete Bio Mix投与マウスは、全ての投与群において溶媒投与群に対して、有意な遊泳時間の延長を示した。
【0023】
試験例2:血中パラメータ及び酵素活性測定
試験例1の有酸素運動パフォーマンステスト実施から3日後、各群のマウスに対し、採血を行った後、解剖を実施し腓腹筋を採取した。
マウスから摘出した腓腹筋は、ホモジェナイズバッファー:1mM Tris HCl(pH 7.4)、130mM NaCl、250mM sucroseを用いてアイスブロック上にてホモジェナイズした後、9,000g、0℃で20分間遠心分離し、ペレットにホモジェナイズバッファーを加え、再懸濁した。その後600g、0℃で10分間遠心分離し、得られた上清を8,000g、0℃で15分間遠心分離した後、ペレットを250mM sucroseで再懸濁したものをタンパク質抽出サンプルとした。クエン酸合成酵素(CS)の酵素活性はタンパク質抽出したサンプルに混合物(100mM Tris-HCl[pH 8.0]、1mM 5,5-dithio-bis[2-nitrobenzonic acid] )、10mM acetyl-CoA、10mM DTNBを混ぜ30℃で2分間静置した。10mM oxaloacetateを加えた後、マイクロプレートリーダー(Bio-Rad Laboratories社製)を用いて412nmの波長で3分間測定した。結果を図2に示す。
マウスから採取した血液は、3,000g、4℃で10分間遠心分離し、得られた血漿から酵素免疫測定法(ELISA)によりZonulin (ゾヌリン;Immundiagnostik AG社製)濃度を測定した。結果を図3に示す。
結果は、すべて平均値±標準誤差で表し、各測定項目の比較は、一元配置分散分析により検定し、有意な差が認められた項目には、FisherのPLSD法を用いてpost-hocテストを実施した。危険率(P)は5%未満を有意水準とした。
【0024】
図2に示すとおり、Athlete Bio Mix投与マウスは、全ての投与群において、Con群に対し有意な酵素活性の上昇を示した。
また図3に示すように、Athlete Bio Mix投与マウスは、全ての投与群がCon群に対して、血中Zonulin濃度が低下し、High群において有意な低下を示した。
【0025】
以上のとおり、本発明の経口組成物の摂取により、骨格筋のエネルギー供給経路におけるTCAサイクルの律速酵素であるクエン酸合成酵素の活性化が認められ、骨格筋のエネルギー利用効率を向上することで、持久力の向上など有酸素運動パフォーマンスを向上させ得ることが示唆された。
また本発明の経口組成物を摂取した群では、腸管透過性の指標である血中Zonulin濃度が低下したことから、腸内での栄養吸収効率が高められることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の経口組成物は、筋骨格エネルギー供給経路におけるTCA回路活性化によるエネルギー利用効率の向上や腸管透過性恒常化による腸内での栄養吸収率の向上作用などを介して、有酸素運動において持久力が向上するなど運動機能向上効果を得ることができるものであり、運動機能向上等を目的とした機能性食品等として有用である。

図1
図2
図3