(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164054
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】メリヤス針の毛羽立ち試験装置および毛羽立ち試験方法
(51)【国際特許分類】
D06H 3/08 20060101AFI20221020BHJP
G01N 33/36 20060101ALI20221020BHJP
D04B 35/04 20060101ALN20221020BHJP
D04B 35/18 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
D06H3/08
G01N33/36 B
D04B35/04
D04B35/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069273
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000104021
【氏名又は名称】オルガン針株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊之
(72)【発明者】
【氏名】四十 正稔
【テーマコード(参考)】
3B154
4L054
【Fターム(参考)】
3B154AB02
3B154BA53
3B154BA55
3B154BB47
3B154BC33
3B154BC47
3B154CA18
3B154CA22
3B154CA33
3B154DA24
4L054AA01
4L054LA02
(57)【要約】
【課題】メリヤス針を使用した場合の毛羽立ちについて、効率よく定量的に評価することができる毛羽立ち試験装置および毛羽立ち試験方法を提供する。
【解決手段】糸30を所定方向に送る糸送り部11と、糸30に直交するように試験対象のメリヤス針31を固定可能な試験針固定部14と、糸30の送り方向に見て前記試験針固定部14よりも下流側に配置されるセンサー25と、を備え、前記試験針固定部14に固定したメリヤス針の上を滑走させた糸30を前記センサー25に通すことで、糸30の表面に発生した毛羽を検知可能とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を所定方向に送る糸送り部と、
糸に直交するように試験対象のメリヤス針を固定可能な試験針固定部と、
糸の送り方向に見て前記試験針固定部よりも下流側に配置されるセンサーと、
を備え、
前記試験針固定部に固定したメリヤス針の上を滑走させた糸を前記センサーに通すことで、糸の表面に発生した毛羽を検知可能とした、
メリヤス針の毛羽立ち試験装置。
【請求項2】
試験対象のメリヤス針に対して交差するように糸引き込み用のメリヤス針を固定可能な引き込み針固定部を備え、
糸引き込み用のメリヤス針のフックによって、試験対象のメリヤス針に接触させる糸を固定可能である、
請求項1に記載のメリヤス針の毛羽立ち試験装置。
【請求項3】
前記試験針固定部および前記引き込み針固定部には、複数のメリヤス針を固定可能であり、
試験対象のメリヤス針と糸引き込み用のメリヤス針とを交互に配置可能である、
請求項2に記載のメリヤス針の毛羽立ち試験装置。
【請求項4】
前記試験針固定部に、メリヤス針を挿入可能な固定用溝を設け、
前記固定用溝に沿って移動させることで、メリヤス針の固定位置を変更可能である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のメリヤス針の毛羽立ち試験装置。
【請求項5】
試験対象のメリヤス針の上を滑走させた後にセンサーを通過するように糸を送り、前記センサーによって糸の表面に発生した毛羽を検知する、
メリヤス針の毛羽立ち試験方法。
【請求項6】
試験対象のメリヤス針に対して交差するように糸引き込み用のメリヤス針を固定し、
糸引き込み用のメリヤス針のフックによって、試験対象のメリヤス針に接触させる糸を固定した、
請求項5に記載のメリヤス針の毛羽立ち試験方法。
【請求項7】
試験対象のメリヤス針と糸引き込み用のメリヤス針とを交互に複数配置した、
請求項5または6のいずれか1項に記載のメリヤス針の毛羽立ち試験方法。
【請求項8】
試験対象のメリヤス針を長手方向に移動することで、糸に接触する部位を調整可能である、
請求項5~7のいずれか1項に記載のメリヤス針の毛羽立ち試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メリヤス針を試験するための毛羽立ち試験装置および毛羽立ち試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メリヤス針で生地を編成したときに微弱な毛羽立ちが発生する場合があるが、このような毛羽立ちについての確立した試験方法は存在しなかった。このため、試作針を評価する際には、実際の編機で編成を行い、編成した生地の品質によって判断するしかないのが現状であった。
【0003】
なお、特許文献1には、毛羽立ちを試験するための毛羽落ち試験機が開示されている。この特許文献1に記載された毛羽落ち試験機は、毛羽立て具の角部に紡績糸を擦り合わせる毛羽立て手段と、紡績糸の糸条体より脱落した毛羽を吸引して採取する採取手段と、該採取手段で採取した毛羽を付着させるフィルタとを備えており、フィルタの毛羽付着前の重量と付着後の重量を比較することにより、毛羽の脱落量を知ることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように現状は編成した生地の品質によって、毛羽立ちを含めたメリヤス針の編成性を評価している。しかしながら、このような主観的な方法ではメリヤス針の性能を定量的に評価することはできず、また、毛羽立ちだけに着目して試験することもできない。また、生地を編成するために多数(丸編機の場合、3000本以上)のメリヤス針が必要となり、運搬作業や編機へのセットなどの作業も発生するため、気軽にメリヤス針をテストすることはできなかった。このため、複数種類の試作品についてテスト結果を比較するといったことは、作業コストと費用の負担が大きく困難であった。
【0006】
なお、上記した特許文献1には毛羽落ち試験機が開示されているが、この毛羽落ち試験機は、紡績糸の毛羽落ち量を測定するためのものであり、編成された糸に存在している微弱な毛羽を測定することはできなかった。また、紡績糸を評価するためのものであるため、メリヤス針の評価にそのまま応用することはできなかった。
【0007】
そこで、本発明は、メリヤス針を使用した場合の毛羽立ちについて、効率よく定量的に評価することができる毛羽立ち試験装置および毛羽立ち試験方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するため、本発明は、糸を所定方向に送る糸送り部と、糸に直交するように試験対象のメリヤス針を固定可能な試験針固定部と、糸の送り方向に見て前記試験針固定部よりも下流側に配置されるセンサーと、を備え、前記試験針固定部に固定したメリヤス針の上を滑走させた糸を前記センサーに通すことで、糸の表面に発生した毛羽を検知可能とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記の通りであり、試験対象のメリヤス針の上を滑走させた後にセンサーを通過するように糸を送り、センサーによって糸の表面に発生した毛羽を検知するので、毛羽立ちについてメリヤス針の性能を定量的に評価することができる。
【0010】
また、糸を当てる位置を変えることで、メリヤス針の特定箇所に絞って評価することができる。このため、例えば毛羽が発生しやすいメリヤス針の箇所を特定することができるので、メリヤス針の改善箇所を容易に発見することができる。
また、実際に生地を編成しなくてもメリヤス針を評価できるので、スピーディに効率よく評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】試験針固定部および引き込み針固定部の外観図である。
【
図3】メリヤス針の先端部付近の拡大斜視図である。
【
図4】メリヤス針の先端部付近を正面から見た図であって、(a)糸を固定する前の図、(b)糸を固定した後の図である。
【
図5】メリヤス針の先端部付近を正面から見た図であって、(a)ラッチ溝の針先側の端部に糸を固定した図、(b)ラッチスプーンに糸を固定した図、(c)ラッチスプーンを受ける針本体部分に糸を固定した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係る毛羽立ち試験装置10は、メリヤス針を試験するためのものであり、メリヤス針の上を滑走した糸30の表面に発生する毛羽を感知することで、編機での使用時にメリヤス針が糸30に与えているダメージを測定することができるものである。この毛羽立ち試験装置10は、
図1に示すように、糸送り部11、糸巻12、テンション装置13、試験針固定部14、引き込み針固定部15、センサー25を備えている。なお、特に図示しないが、糸30の送出経路に沿って案内用のローラ等を設けてもよい。
【0013】
糸送り部11は、糸30を一定の速度で経路に沿って移動させるためのものである。本実施形態に係る糸送り部11は、糸巻12から一定の速度で糸30を引き出すようになっている。この糸送り部11は、例えば糸30を巻き取るドラムを備える。このドラムに糸巻12から引き出した糸30の端部を巻回し、モータ等でドラムを回転させることで、糸30を所定方向(
図1に示す矢印方向)に送ることができる。
【0014】
テンション装置13は、糸30に所定の張力を付与し、試験対象のメリヤス針31に接触する糸30のテンションを一定に保つためのものである。本実施形態に係るテンション装置13は、バネで付勢された2枚のプレートの間に糸30を通し、プレートの加重により糸30に所定の張力を付与するスプリングテンサーである。なお、糸30に張力を付与する手段としては、スプリングテンサーに限らず、公知の種々の手段を採用可能である。
【0015】
試験針固定部14は、試験対象のメリヤス針31を固定可能な台である。本実施形態に係る試験針固定部14は、
図2に示すようなプレート状のベース20に対して固定されている。試験針固定部14はベース20に対して約45度の角度で設置されており、言い換えると、ベース20を水平面に置いたときに、試験針固定部14の表面が水平面に対して約45度の角度となるように形成されている。この試験針固定部14の表面には、メリヤス針を挿入可能な固定用溝21が設けられている。
【0016】
試験針固定部14の表面に形成された固定用溝21は、メリヤス針が横振れしないようにメリヤス針の幅に合わせて形成されており、糸30に対して直交する方向に延設されている。このため、固定用溝21にメリヤス針を挿入することで、糸30に直交するように試験対象のメリヤス針31を固定可能である。この固定用溝21は、所定間隔を設けて平行に複数配置されている。各固定用溝21には、それぞれ1本ずつ試験対象のメリヤス針31を挿入することができるため、試験針固定部14には複数のメリヤス針を固定可能である。なお、固定用溝21に挿入されたメリヤス針は、
図2に示すような保持具22によって、固定用溝21内で固定される。本実施形態に係る保持具22は、メリヤス針のバット47(編機のカムに係合させるための部位)の両端(上下)を保持することで、メリヤス針が上下に移動しないように試験針固定部14に固定している。
【0017】
試験対象のメリヤス針31は、
図3に示すように、先端部41が突出するように試験針固定部14に取り付けられる。試験針固定部14に取り付けられたメリヤス針は、固定用溝21に沿って移動可能であり、このように移動することで固定位置(メリヤス針の先端部41の突出量)を変更可能である。本実施形態においては、メリヤス針の固定位置を変更する場合、保持具22の位置をずらせばよい。保持具22を試験針固定部14の長手方向に沿って移動させ、任意の箇所で固定することで、試験対象のメリヤス針31の先端部41の突出量を調節することができる。
【0018】
引き込み針固定部15は、糸引き込み用のメリヤス針32を固定可能な台である。本実施形態に係る引き込み針固定部15は、
図2に示すようにベース20に対して固定されている。引き込み針固定部15は、試験針固定部14と上端が突き合わされるように、ベース20に対して約45度の角度で設置されており、言い換えると、ベース20を水平面に置いたときに、引き込み針固定部15の表面が水平面に対して約45度の角度となり、引き込み針固定部15の表面と試験針固定部14の表面とが約90度の角度となるように形成されている。この引き込み針固定部15の表面には、メリヤス針を挿入可能な固定用溝21が設けられている。
【0019】
なお、糸引き込み用のメリヤス針32とは、試験対象のメリヤス針31に接触させる糸30を固定するためのメリヤス針である。糸引き込み用のメリヤス針32は、試験対象のメリヤス針31の両側においてフック42で糸30を引き込み、試験対象のメリヤス針31の表面に糸30が接触するように糸30を固定する。
【0020】
この糸引き込み用のメリヤス針32は、試験対象のメリヤス針31と同じメリヤス針を使用可能である。このため、糸引き込み用のメリヤス針32のフック42を走行したときの糸30の毛羽立ちを評価する目的にも使用できる。
【0021】
なお、糸引き込み用のメリヤス針32は、試験対象のメリヤス針31と同じメリヤス針でなくてもよく、任意のメリヤス針を使用できる。このため、破損・摩耗等が発生したとしても容易に交換することができる。
【0022】
また、糸30の固定にメリヤス針を使用することで、糸30を固定するための部品が不要であり、少ない種類の部品で毛羽立ち試験装置10を構成できる。また、糸30が、メリヤス針以外の部材に極力接触しない構造であるため、メリヤス針以外の部材による毛羽立ちを抑制することができる。
【0023】
この引き込み針固定部15の表面に形成された固定用溝21は、試験針固定部14の固定用溝21と同様であり、メリヤス針が横振れしないようにメリヤス針の幅に合わせて形成されており、糸30に対して直交する方向に延設されている。このため、固定用溝21にメリヤス針を挿入することで、糸30に直交するように試験対象のメリヤス針31を固定可能である。この固定用溝21は、所定間隔を設けて平行に複数配置されている。各固定用溝21には、それぞれ1本ずつ試験対象のメリヤス針31を挿入することができるため、引き込み針固定部15には複数のメリヤス針を固定可能である。なお、固定用溝21に挿入されたメリヤス針は、試験針固定部14と同様に、保持具22によって固定用溝21内で固定される。
【0024】
糸引き込み用のメリヤス針32は、
図3に示すように、先端部41が突出するように試験針固定部14に取り付けられて、試験対象のメリヤス針31に対して交差するようになっている。引き込み針固定部15に取り付けられたメリヤス針は、固定用溝21に沿って移動可能であり、このように移動することで固定位置(メリヤス針の先端部41の突出量)を変更可能である。すなわち、試験針固定部14と同様に、保持具22を引き込み針固定部15の長手方向に沿って移動させて任意の箇所で固定することで、糸引き込み用のメリヤス針32の先端部41の突出量を調節することができる。
【0025】
このように糸引き込み用のメリヤス針32を移動させることで、糸引き込み用のメリヤス針32のフック42で糸30を引き込むことができる。引き込まれた糸30は、試験対象のメリヤス針31に接触して(押し当てられて)固定される。
【0026】
ところで上記したように、本実施形態に係る試験針固定部14および引き込み針固定部15には、それぞれ複数の固定用溝21が形成されている。これら複数の固定用溝21は、平面視で互い違いとなるようにずれて配置されている。具体的には、引き込み針固定部15に形成された任意の2つの固定用溝21の間に、試験針固定部14の固定用溝21が形成されている。このため、これらの固定用溝21に、試験対象のメリヤス針31と糸引き込み用のメリヤス針32とを互い違いに交差して取り付けることが可能である。このように試験対象のメリヤス針31と糸引き込み用のメリヤス針32とを互い違いに交差して取り付けるようにすれば、
図3に示すように、試験対象のメリヤス針31の両側で糸引き込み用のメリヤス針32によって糸30を固定することができるので、糸30を確実に意図した位置に接触させることができる。
【0027】
センサー25は、走行中の糸30の表面に存在する毛羽を検知可能なものであり、公知のもの(例えばフォトセンサーによって非接触で毛羽を検出するセンサー)を使用することができる。このセンサー25は、糸30の送り方向に見て試験針固定部14よりも下流側に配置される。このため、糸30は、試験針固定部14に固定した試験対象のメリヤス針31の上を滑走した後に、センサー25を通過するようになっている。これにより、試験対象のメリヤス針31に接触した糸30の表面に発生した毛羽を検知することができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、糸30の送り方向に見て試験針固定部14よりも下流側にのみセンサー25を配置したが、これに限らず、糸30の送り方向に見て試験針固定部14よりも上流側にも同じセンサー25を配置してもよい。すなわち、試験対象のメリヤス針31の上を滑走する前の糸30の毛羽を検知できるようにしてもよい。これにより、試験対象のメリヤス針31の上を滑走する前後における毛羽の量を検知できるようにし、試験対象のメリヤス針31が糸30に与えるダメージをより確実に検出できるようにしてもよい。
【0029】
上記した毛羽立ち試験装置10で試験を行う場合、まず、
図4(a)に示すように、毛羽立ち試験装置10に、試験対象のメリヤス針31、糸引き込み用のメリヤス針32、糸30をセットする。試験対象のメリヤス針31および糸引き込み用のメリヤス針32は、フック42およびラッチ50が上にくるように固定用溝21に装着する。また、糸30は、試験対象のメリヤス針31と糸引き込み用のメリヤス針32とが交差する地点の上方(メリヤス針の交差位置よりも針の先端側)に通す。
【0030】
次に、試験対象のメリヤス針31の高さを調節する。すなわち、試験対象のメリヤス針31を固定用溝21に沿って上下に移動させ、試験対象のメリヤス針31の試験したい位置に糸30が当たるように調節する。
【0031】
その後、
図4(b)に示すように、糸引き込み用のメリヤス針32の高さを調節する。すなわち、糸引き込み用のメリヤス針32を固定用溝21に沿って上下に移動させ、糸引き込み用のメリヤス針32のフック42で糸30を引き込んで固定する。
上記の操作でメリヤス針と糸30とがセットできたら、糸送り部11で糸30を走行させ、センサー25により毛羽を検知する。
このような毛羽立ち試験装置10によれば、試験対象のメリヤス針31の任意の箇所に糸30を接触させて試験を行うことができる。
【0032】
例えば、
図5(a)に示すように、ラッチ溝43の先端側の端部に糸30を接触させた状態で、糸30を走行させて試験を行うことができる。また、
図5(b)に示すように、ラッチ50の先端に形成されたラッチスプーン52に糸30を接触させた状態で、糸30を走行させて試験を行うことができる。また、
図5(c)に示すように、ラッチスプーン52と接触する針本体40の表面に糸30を接触させた状態で、糸30を走行させて試験を行うことができる。
このように、試験対象のメリヤス針31の任意の箇所に絞って試験を行うことができるため、毛羽立ちの改善箇所を容易に特定することができる。
【0033】
また、糸引き込み用のメリヤス針32によって、任意の圧力で糸30を試験対象のメリヤス針31に接触させることができる。例えば、糸引き込み用のメリヤス針32の突出力を大きくして、糸30の引き込みを小さくすれば、試験対象のメリヤス針31に対する糸30の接触圧を小さくすることができる。反対に、糸引き込み用のメリヤス針32の突出力を小さくして、糸30の引き込みを大きくすれば、試験対象のメリヤス針31に対する糸30の接触圧を大きくすることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る毛羽立ち試験装置10には、複数の試験対象のメリヤス針31を取り付けて試験を行うことができる。複数の試験対象のメリヤス針31を取り付けて試験を行うことで、糸30に対する摩擦が加算されるため、わずかな毛羽立ちを拡大して確認することができる。すなわち、1本の針との摩擦では毛羽立ちが小さすぎて検知できない場合であっても、複数の針に接触させることで毛羽立ちを大きくすることができるので、微弱な毛羽立ちであっても検知することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、試験対象のメリヤス針31の上を滑走させた後にセンサー25を通過するように糸30を送り、センサー25によって糸30の表面に発生した毛羽を検知するので、毛羽立ちについてメリヤス針の性能を定量的に評価することができる。
【0036】
また、糸30を当てる位置を変えることで、メリヤス針の特定箇所に絞って評価することができる。このため、例えば毛羽が発生しやすいメリヤス針の箇所を特定することができるので、メリヤス針の改善箇所を容易に発見することができる。
また、実際に生地を編成しなくてもメリヤス針を評価できるので、スピーディに効率よく評価することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 毛羽立ち試験装置
11 糸送り部
12 糸巻
13 テンション装置
14 試験針固定部
15 引き込み針固定部
20 ベース
21 固定用溝
22 保持具
25 センサー
30 糸
31 試験対象のメリヤス針
32 糸引き込み用のメリヤス針
40 針本体
41 先端部
42 フック
43 ラッチ溝
47 バット
50 ラッチ
51 回動軸
52 ラッチスプーン