IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧 ▶ ルノー エス.ア.エス.の特許一覧

特開2022-164078移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム
<>
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図1
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図2
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図3
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図4
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図5
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図6
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図7
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図8
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図9
  • 特開-移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164078
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20221020BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20221020BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221020BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/123 A
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069326
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 雄大
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129AA04
2F129BB02
2F129DD20
2F129DD62
2F129EE52
2F129EE53
2F129EE83
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF12
2F129FF14
2F129FF15
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
5H181AA14
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC12
5H181FF22
5H181FF32
5H181MA08
5H181MA14
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】歩行経路における到着時間の推定精度を向上させる。
【解決手段】サーバ100は、移動履歴DBを用いてユーザ1の現在地から目的地までの歩行経路におけるユーザ1の歩行時間を推定する。基準情報算出部132は、移動に影響する要素が発生しなかった場合における移動履歴情報に基づいて歩行時間を算出する。検出部133は、歩行経路においてユーザ1の移動時に発生する移動に影響する要素を検出する。補正値算出部134は、移動に影響する要素が発生しなかった場合における移動履歴情報と、移動に影響する要素が発生した場合における移動履歴情報との比較結果に基づいて、補正値を算出する。移動状況推定部135は、歩行経路について移動に影響する要素が検出された場合には、その補正値を用いて歩行時間を補正する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの歩行時の速さに関する歩行情報と、当該歩行時の経路に関する経路情報と、当該歩行時に発生した移動に影響する要素とを前記ユーザの移動履歴情報として関連付けて格納する移動履歴データベースを用いて前記ユーザの現在地から目的地までの歩行経路における前記ユーザの歩行時間を推定する移動状況推定装置であって、
前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記移動履歴情報に基づいて前記歩行時間を算出する基準情報算出部と、
前記歩行経路において前記ユーザの移動時に発生する前記移動に影響する要素を検出する検出部と、
前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記移動履歴情報と、前記移動に影響する要素が発生した場合における前記移動履歴情報との比較結果に基づいて、前記歩行時間を補正するための補正値を算出する補正値算出部と、
前記歩行経路について前記移動に影響する要素が検出されなかった場合には、前記基準情報算出部により算出された歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定し、前記歩行経路について前記移動に影響する要素が検出された場合には、前記基準情報算出部により算出された歩行時間を前記補正値を用いて補正し、当該補正後の歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定する移動状況推定部と、を備える
移動状況推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動状況推定装置であって、
前記補正値算出部は、前記歩行経路を構成する1または複数のリンクに対応する前記経路情報を抽出し、当該抽出された前記経路情報に関連付けられている前記歩行情報のうち、前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記歩行情報と、前記移動に影響する要素が発生した場合における前記歩行情報との比較結果に基づいて前記補正値を算出する、
移動状況推定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の移動状況推定装置であって、
前記補正値算出部は、前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記歩行情報に基づいて求められた前記ユーザの歩行時の速さと、前記移動に影響する要素が発生した場合における前記歩行情報に基づいて求められた前記ユーザの歩行時の速さとの割合に基づいて前記補正値を算出する、
移動状況推定装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の移動状況推定装置であって、
前記検出部は、前記ユーザの体調と、前記ユーザの周囲における環境と、前記歩行経路の周辺における環境との少なくとも1つに基づいて、前記移動に影響する要素を検出する、
移動状況推定装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の移動状況推定装置であって、
前記目的地は、前記ユーザによる予約により配車された車両に乗車する乗車位置であり、
前記移動履歴データベースには、前記予約時の前記ユーザの現在地から前記予約により設定された前記乗車位置までの歩行に関する前記移動履歴情報が格納され、
前記移動状況推定部により設定された前記歩行時間を前記車両に通知する通知制御部をさらに備える、
移動状況推定装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の移動状況推定装置であって、
前記基準情報算出部は、前記現在地及び前記目的地に基づいて複数の歩行経路を選択し、前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記歩行時間を当該歩行経路毎に算出し、
前記検出部は、前記複数の歩行経路のそれぞれについて前記移動に影響する要素を検出し、
前記補正値算出部は、前記複数の歩行経路のうち、前記移動に影響する要素が検出された歩行経路について前記補正値を算出し、
前記移動状況推定部は、前記複数の歩行経路のうち、前記移動に影響する要素が検出されなかった歩行経路については前記基準情報算出部により算出された歩行時間を当該歩行経路の歩行時間に設定し、前記移動に影響する要素が検出された歩行経路については当該歩行経路について算出された前記補正値を用いた補正後の歩行時間を当該歩行経路の歩行時間に設定する、
移動状況推定装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の移動状況推定装置であって、
前記歩行経路と当該歩行経路について設定された前記歩行時間とを関連付けて表示部に表示させる表示制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記歩行経路について前記移動に影響する要素が検出された場合には、前記移動に影響する要素が検出されたことを示す情報と、前記補正に関する情報とを、当該歩行経路と当該歩行経路について設定された前記歩行時間とに関連付けて前記表示部に表示させる、
移動状況推定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の移動状況推定装置であって、
前記表示制御部は、複数の前記歩行経路が選択された場合には、当該複数の歩行経路と、当該複数の歩行経路のそれぞれについて前記移動状況推定部により設定された前記歩行時間とを歩行経路毎に関連付けて識別可能に前記表示部に表示させる、
移動状況推定装置。
【請求項9】
ユーザの歩行時の速さに関する歩行情報と、当該歩行時の経路に関する経路情報と、当該歩行時に発生した移動に影響する要素とを前記ユーザの移動履歴情報として関連付けて格納する移動履歴データベースを用いて前記ユーザの現在地から目的地までの歩行経路における前記ユーザの歩行時間を推定する移動状況推定方法であって、
前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記移動履歴情報に基づいて前記歩行時間を算出する基準情報算出ステップと、
前記歩行経路において前記ユーザの移動時に発生する前記移動に影響する要素を検出する検出ステップと、
前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記移動履歴情報と、前記移動に影響する要素が発生した場合における前記移動履歴情報との比較結果に基づいて、前記歩行時間を補正するための補正値を算出する補正値算出ステップと、
前記歩行経路について前記移動に影響する要素が検出されなかった場合には、前記基準情報算出ステップで算出された歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定し、前記歩行経路について前記移動に影響する要素が検出された場合には、前記基準情報算出ステップで算出された歩行時間を前記補正値を用いて補正し、当該補正後の歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定する移動状況推定ステップと、を備える
移動状況推定方法。
【請求項10】
ユーザの歩行時の速さに関する歩行情報と、当該歩行時の経路に関する経路情報と、当該歩行時に発生した移動に影響する要素とを前記ユーザの移動履歴情報として関連付けて格納する移動履歴データベースを用いて前記ユーザの現在地から目的地までの歩行経路における前記ユーザの歩行時間を推定する移動状況推定機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記移動履歴情報に基づいて前記歩行時間を算出する基準情報算出ステップと、
前記歩行経路において前記ユーザの移動時に発生する前記移動に影響する要素を検出する検出ステップと、
前記移動に影響する要素が発生しなかった場合における前記移動履歴情報と、前記移動に影響する要素が発生した場合における前記移動履歴情報との比較結果に基づいて、前記歩行時間を補正するための補正値を算出する補正値算出ステップと、
前記歩行経路について前記移動に影響する要素が検出されなかった場合には、前記基準情報算出ステップで算出された歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定し、前記歩行経路について前記移動に影響する要素が検出された場合には、前記基準情報算出ステップで算出された歩行時間を前記補正値を用いて補正し、当該補正後の歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定する移動状況推定ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行経路におけるユーザの移動状況を推定する移動状況推定装置、移動状況推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの歩行経路を移動するユーザの到着時間を推定する技術が存在する。例えば、ユーザの行動に基づいて車両の配車場所へのユーザの到着時間を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-101464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、ユーザの現在位置から推定されたユーザの行動に基づいてユーザの到着時間を推定する。しかし、ユーザについて歩行に影響する要素が発生した場合や、目的地までの歩行経路においてユーザの移動に影響する要素が発生した場合においては、適切な到着時間を推定することが困難である。
【0005】
本発明は、歩行経路における到着時間の推定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ユーザの歩行時の速さに関する歩行情報と、当該歩行時の経路に関する経路情報と、当該歩行時に発生した移動に影響する要素とをユーザの移動履歴情報として関連付けて格納する移動履歴データベースを用いてユーザの現在地から目的地までの歩行経路におけるユーザの歩行時間を推定する移動状況推定装置である。移動状況推定装置は、移動に影響する要素が発生しなかった場合における移動履歴情報に基づいて歩行時間を算出する基準情報算出部と、歩行経路においてユーザの移動時に発生する移動に影響する要素を検出する検出部と、移動に影響する要素が発生しなかった場合における移動履歴情報と、移動に影響する要素が発生した場合における移動履歴情報との比較結果に基づいて、歩行時間を補正するための補正値を算出する補正値算出部と、歩行経路について移動に影響する要素が検出されなかった場合には、基準情報算出部により算出された歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定し、歩行経路について移動に影響する要素が検出された場合には、基準情報算出部により算出された歩行時間を補正値を用いて補正し、当該補正後の歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定する移動状況推定部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歩行経路における到着時間の推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態における移動状況推定システムのシステム構成例を簡略化して示すブロック図である。
図2図2は、電子機器及びサーバの機能構成例を示すブロック図である。
図3図3は、記憶部に記憶されている移動履歴DBの格納内容を簡略化して示す図である。
図4図4は、ユーザが歩行する際にその移動に影響する要素の一例を示す図である。
図5図5は、電子機器を所持するユーザの現在地を含む地図を簡略化して示す図である。
図6図6は、電子機器において配車アプリを起動させた際に入出力部に表示される表示画面の遷移例を示す図である。
図7図7は、サーバにおける移動状況推定処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、サーバから送信された歩行支援情報に基づいて入出力部に表示される表示画面の他の例を示す図である。
図9図9は、基準情報算出部により選択された複数の歩行経路を表示する場合の表示例を示す図である。
図10図10は、基準情報算出部により選択された複数の歩行経路を表示する場合の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[移動状況推定システムの構成例]
図1は、本実施形態における移動状況推定システム200のシステム構成例を簡略化して示すブロック図である。移動状況推定システム200は、配車予約サービスを提供する通信システムであり、ネットワーク10と、電子機器20と、タクシー31乃至33と、サーバ100と、を備える。なお、図1では、1つの電子機器20が存在する例を示すが、これに限定されない。移動状況推定システム200において、2以上の電子機器が含まれるようにしてもよい。また、図1では、3台のタクシー31乃至33が存在する例を示すが、これに限定されない。移動状況推定システム200において、1、2または4台以上のタクシーが含まれるようにしてもよい。
【0011】
ネットワーク10は、公衆回線網、インターネット等のネットワークである。また、移動状況推定システム200を構成する各機器は、無線通信を利用した通信方式または有線通信を利用した通信方式の何れかの方式、または双方の方式によってネットワーク10に接続される。
【0012】
電子機器20は、ユーザ1が携帯可能な持ち運べる機器であり、無線通信または有線通信を利用して他の機器との間で通信が可能である。電子機器20として、例えば、スマートフォン、携帯電話、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ、タブレット端末、ウェアラブル端末などの各種の電子機器や情報処理装置を用いることができる。なお、ウェアラブル端末は、ユーザ1の服や身体に装着した状態で使用可能な機器であり、例えば、腕時計型の機器やヘッドホン型の機器などが存在する。
【0013】
なお、電子機器20には、タクシーの配車予約に用いられる配車アプリケーション(配車アプリ)がインストールされており、ユーザ1は、その配車アプリを用いてタクシーの配車予約を行うことが可能である。なお、配車アプリは、タクシー31乃至33の配車予約を行う際に用いられる。また、配車アプリは、タクシー31乃至33の配車予約を行う際のユーザインタフェースを提供する。
【0014】
サーバ100は、タクシー31乃至33の配車予約サービスに用いられる情報処理装置であり、タクシー31乃至33の配車予約に関する各種処理を実行する。また、サーバ100は、ネットワーク10を介して電子機器20、タクシー31乃至33との間で通信を行う。なお、サーバ100の設置場所は特に限定されないが、例えばサーバ100はタクシー31乃至33を運用する事業者の管理センタに設置される。
【0015】
例えば、サーバ100は、ユーザ1が電子機器20の配車アプリを用いて配車予約操作をした場合には、その配車予約に関する情報(配車予約情報)を受け付け、その配車予約に関する配車処理を実行する。この場合に、サーバ100は、ユーザ1の現在地から、ユーザ1が指定した乗車位置までの歩行経路を推定するとともに、その歩行経路におけるユーザ1の歩行時間を推定する。また、サーバ100は、その推定結果をユーザ1と、割り当てられたタクシー31乃至33との双方に通知する。なお、以下では、乗車位置と称する場合には、ユーザ1により指定された乗車位置を意味する。また、その推定方法については、図5乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0016】
タクシー31乃至33は、サーバ100からの指示に基づいて、目的地まで移動が可能な車両であり、ネットワーク10を介してサーバ100との通信が可能な通信機器35乃至37を備える。タクシー31乃至33として、例えば、運転者が存在しない自動運転車両、運転者が存在する通常の車両を用いることができる。なお、運転者が存在しない自動運転車両は、ロボットタクシーまたは無人タクシーと称してもよい。
【0017】
[電子機器及びサーバの機能構成例]
図2は、電子機器20及びサーバ100の機能構成例を示すブロック図である。
【0018】
サーバ100は、記憶部110と、通信部120と、制御部130とを備える。サーバ100において、これらの構成要素がバス(図示省略)などを介して電気的に接続されている。なお、サーバ100として、汎用のコンピュータや専用のコンピュータを用いることができる。
【0019】
記憶部110は、各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部110には、制御部130が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、地図DB(Database)、顧客DB、図3に示す移動履歴DB)が記憶される。また、記憶部110には、通信部120を介して取得された各種情報が記憶される。記憶部110として、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの各種記憶媒体を用いることができる。
【0020】
図DBには、道路情報、施設情報など経路案内に必要となる地図情報が格納されている。その地図情報には、道路の勾配、道路の交差点、道路の車線数、道幅情報、道路の起伏情報が含まれる。また、地図情報には、速度制限、一方通行などを示す道路標識、横断歩道、区画線などを示す道路標示も含まれる。また、地図情報には、道路構造物(例えば信号機、電信柱)、建物などの設備情報を含めてもよい。
【0021】
顧客DBは、移動状況推定システム200の配車予約サービスを利用するユーザのアカウント情報、各ユーザのタクシーの利用履歴、各ユーザの属性等が格納されている。なお、アカウント情報は、例えばユーザIDであり、図3に示す移動履歴DBのユーザID111と紐付されている。
【0022】
通信部120は、制御部130の制御に基づいて、有線通信または無線通信の少なくとも1つを利用して、他の機器との間で各種情報のやりとりを行うものである。このように、通信部120は、データを送受信するための入力部及び出力部として機能する。なお、通信部120以外の入力部及び出力部の少なくとも1つをサーバ100に設け、サーバ100において各種情報の入力や出力(例えば表示、音声出力)を実行してもよい。通信部120として、ネットワークアダプタなどのハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせを用いることができる。
【0023】
制御部130は、記憶部110に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置により実現される。
【0024】
制御部130は、配車予約処理に関する機能構成として、配車処理部131と、基準情報算出部132と、検出部133と、補正値算出部134と、移動状況推定部135とを備える。
【0025】
配車処理部131は、ユーザ1の配車予約操作に応じて電子機器20から送信された配車予約情報を受け付けると、その配車予約情報に応じた各種の配車予約処理を実行する。この配車予約情報には、ユーザ1の現在地を特定するための位置情報と、乗車位置を特定するための位置情報と、移動に影響する要素に関する情報と、ユーザIDとが含まれる。なお、各位置情報には、例えば緯度、経度、高度が含まれる。また、移動に影響する要素に関する情報として、例えば電子機器20において予約操作時に入力された情報や電子機器20の記憶部21に保持されている情報(例えば体調に関する情報、荷物の有無に関する情報、一緒に歩く人物の有無に関する情報)が含まれる。なお、ユーザ1の移動に影響する要素は、ユーザ1の移動に影響する環境や、ユーザ1の移動に影響する各種のイベントを意味する。即ち、ユーザ1の正常時に対して非常となる各種の事柄を意味する。なお、ユーザ1の移動に影響する要素の具体例については、図3図4を参照して詳細に説明する。
【0026】
配車処理部131は、その配車予約情報に含まれる各位置情報(ユーザ1の現在地を特定するための位置情報、乗車位置を特定するための位置情報)を基準情報算出部132に出力する。また、配車処理部131は、その配車予約情報に含まれる、移動に影響する要素に関する情報を検出部133に出力する。
【0027】
また、配車処理部131は、その配車予約情報に基づいて、複数のタクシー31乃至33の中から適切なタクシーを割り当てる。例えば、配車処理部131は、通信機器35乃至37から送信された位置情報(タクシーの現在地を示す位置情報)と記憶部110の地図DBとを用いて、ユーザ1が希望する乗車位置に最も近い空車のタクシーを割り当てる。そして、配車処理部131は、記憶部110の地図DBを用いて、割り当てられたタクシーの現在地から乗車位置までの走行経路を設定し、その設定された走行経路に沿って乗車位置まで走行するようにタクシーの通信機器に指示情報を送信する。なお、このように設定されるタクシーの走行経路は、例えば、割り当てられたタクシーの現在地から乗車位置までの経路のうち、最も短い時間で到着できる経路とする。
【0028】
基準情報算出部132は、記憶部110の地図DBを用いて、配車処理部131から出力された各位置情報(ユーザ1の現在地を特定するための位置情報、乗車位置を特定するための位置情報)に基づいて、ユーザ1の歩行経路を探索する。この歩行経路は、ユーザ1の現在地から乗車位置に向かう経路であり、ユーザ1が徒歩で移動可能な経路である。なお、乗車位置に到着可能な歩行経路が複数存在する場合には、基準情報算出部132は、その複数の歩行経路を探索する。
【0029】
また、基準情報算出部132は、記憶部110の移動履歴DB(図3参照)を用いて、その求められた1または複数の歩行経路のそれぞれについて、ユーザ1の現在地から乗車位置に到着するまでの所要時間(歩行時間)を算出する。この歩行時間の算出方法については、図5乃至図7を参照して詳細に説明する。そして、基準情報算出部132は、その求められた1または複数の歩行経路と、これらに対応する歩行時間とに関する情報を移動状況推定部135に出力し、その求められた1または複数の歩行経路に関する情報を検出部133に出力する。
【0030】
検出部133は、基準情報算出部132から出力された1または複数の歩行経路に関する情報に基づいて、ユーザ1の移動に影響する要素が存在するか否かを歩行経路毎に検出するものであり、その検出結果を補正値算出部134に出力する。即ち、検出部133は、基準情報算出部132により求められた1または複数の歩行経路のそれぞれについて、ユーザ1の移動に影響する要素が存在するか否かを検出する。
【0031】
補正値算出部134は、検出部133から出力された検出結果に基づいて、ユーザ1の移動に影響する要素が検出された歩行経路について、記憶部110の移動履歴DB(図3参照)を用いて、歩行時間を補正するための補正値を算出するものである。そして、補正値算出部134は、その歩行経路とこれに対応する補正値とに関する補正情報を移動状況推定部135に出力する。このように、補正値算出部134は、基準情報算出部132により算出された1または複数の歩行時間を補正するための補正値を算出する。なお、補正値の算出方法については、図6図7を参照して詳細に説明する。
【0032】
移動状況推定部135は、基準情報算出部132により求められた1または複数の歩行経路について、ユーザ1の移動に影響する要素を考慮した歩行時間を設定するものである。そして、移動状況推定部135は、その設定された歩行時間とこれに対応する歩行経路とに関する情報を配車処理部131に出力する。具体的には、移動状況推定部135は、補正値算出部134から出力された補正情報に基づいて、ユーザ1の移動に影響する要素が検出された歩行経路の歩行時間を補正し、その歩行経路の歩行時間として、補正後の歩行時間を設定する。一方、ユーザ1の移動に影響する要素が検出されなかった歩行経路については、基準情報算出部132により算出された歩行時間を設定する。なお、歩行時間の補正方法については、図6図7を参照して詳細に説明する。
【0033】
また、配車処理部131は、ユーザ1からの配車予約を受け付けた旨と、乗車位置までの歩行時間と、乗車位置への走行経路とを含む歩行支援情報を電子機器20に送信する。また、配車処理部131は、必要に応じて、歩行経路と歩行時間等の移動履歴を、移動履歴DBに格納する。また、配車処理部131は、割り当てられたタクシーの通信機器に、ユーザ1の乗車位置までの歩行時間を送信する。
【0034】
電子機器20は、記憶部21と、通信部22と、位置情報取得部23と、入力部24と、制御部25と、出力部26とを備える。なお、記憶部21、通信部22、位置情報取得部23、入力部24、出力部26のそれぞれについては、電子機器20に内蔵してもよく、電子機器20から取り外し可能な別体の構成としてもよい。
【0035】
記憶部21は各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部21には、制御部25が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、配車アプリ)が記憶される。また、記憶部21には、通信部22を介して取得された各種情報が記憶される。記憶部21として、例えば、ROM、RAM、HDDなどの各種記憶媒体を用いることができる。
【0036】
通信部22は、制御部25の制御に基づいて、有線通信または無線通信の少なくとも1つを利用して、他の機器との間で各種情報のやりとりを行うものである。図1に示す例では、通信部22は、ネットワーク10を介してサーバ100との間で通信を行う。なお、通信部22の構成については、サーバ100の通信部120と同様とすることができる。
【0037】
位置情報取得部23は、電子機器20が存在する位置に関する位置情報を取得するものであり、取得した位置情報を制御部25に出力する。位置情報取得部23は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を利用して位置情報を取得するGNSS受信機により実現できる。また、その位置情報には、GNSS信号の受信時における緯度、経度、高度等の位置に関する各データが含まれる。また、他の位置情報の取得方法により位置情報を取得してもよい。例えば、周囲に存在するアクセスポイントや基地局からの情報を用いて位置情報を導き出してもよい。また、例えば、ナビゲーション装置による位置推定技術を用いて位置情報を導き出してもよい。なお、位置情報取得部23により取得された電子機器20の位置情報は、任意のタイミングでサーバ100に送信してもよく、サーバ100に配車予約情報を送信する際にその配車予約情報に含めて送信してもよい。
【0038】
入力部24は、電子機器20を操作するための操作入力を受け付けるものである。例えば、入力部24は、各種の操作部材(例えば、スイッチ、ボタン)やタッチパネル等のユーザインタフェースとすることができる。
【0039】
制御部25は、記憶部21に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部25は、例えば、CPU等の処理装置により実現される。
【0040】
出力部26は、制御部25の制御に基づいて各種情報を出力するものである。出力部26として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルや、各種音声を出力する音声出力部(例えば、スピーカ)を用いることができる。なお、入力部24及び出力部26については、使用者がその指を表示面に接触または近接することにより操作入力を行うことが可能な入出力パネル等のユーザインタフェースを用いて一体で構成することができる。図6図8乃至図10では、入力部24及び出力部26を入出力部27として一体で構成する例を示す。
【0041】
タクシー31乃至33が備える通信機器35乃至37の構成例については、図示を省略するが、通信機器35乃至37の各構成は電子機器20の構成と略同様とすることができる。そして、通信機器35乃至37の通信部は、ネットワーク10を介してサーバ100と通信する。また、通信機器35乃至37の位置情報取得部により取得されたタクシーの位置情報は、所定のタイミングでサーバ100に送信される。また、タクシー31乃至33には、車両ECU(Electronic Control Unit)が備えられる。この車両ECUは、サーバ100から受信した制御情報に基づいて各種のアクチュエータ(ブレーキアクチュエータ、アクセルアクチュエータ、ステアリングアクチュエータなど)を制御する。
【0042】
[移動履歴DBの格納内容例]
図3は、記憶部110に記憶されている移動履歴DBの格納内容を簡略化して示す図である。なお、本実施形態では、顧客DBとは異なる移動履歴DBを設ける例を示すが、移動履歴DBの格納内容を顧客DBに含めて、図3に示す格納内容を顧客DBにおいて管理してもよい。
【0043】
移動履歴DBは、配車予約時における過去の移動履歴をユーザ毎に集積して管理するデータベースである。具体的には、過去の移動履歴として、ユーザの歩行経路に関する経路情報112と、その歩行時の速さに関する歩行情報(図3では歩行速度115)と、その歩行時に発生した移動に影響する要素116とが関連付けて移動履歴DBに格納される。言い換えると、過去の移動履歴として、配車予約時における歩行経路をユーザがどの程度のスピードで歩いたか、歩行経路はどの程度の勾配だったか、ユーザはどの程度の長さの歩行経路を歩いたかが格納される。図3では、少なくとも3人(ユーザIDが「NM001」「NM002」「NM003」)の移動履歴を格納する例を示す。
【0044】
ユーザID111は、ユーザ毎に付与される識別情報である。
【0045】
経路情報112は、過去の配車予約時にユーザが歩行した経路に関する道路データであり、ルートの特性を意味する。図3では、説明を容易にするため、勾配114及びリンク長113のみを経路情報112として例示するが、道路の高度、道路の車線数、道幅、道路の起伏等の他の道路データも関連付けて格納してもよい。
【0046】
リンク長113は、歩行経路を構成する1または複数のリンクの長さを意味する。ここで、リンクは、道路の特徴点間の道路区間を意味し、その道路区間の形状も意味することがある。また、道路の特徴点は、交差点、曲り角、行き止まり等であり、ノードとも称される。即ち、リンクは、所定規則に基づいて設定される道路区間を意味する。言い換えると、リンクは、移動履歴の記録区間を所定規則に基づいて区切った単位を意味する。
【0047】
例えば、道路の交差点から交差点までの区間を、1つのリンクとして設定することができる。図5の右側に示す地図5においてユーザ1から乗車位置2までの歩行経路R1を参照すると、歩行経路R1には6つの交差点が含まれる。このため、移動履歴の記録区間を歩行経路R1とする場合には、6つの交差点で区切った7つの各区間を1つのリンクとし、それらの各区間の長さがリンク長として記録される。
【0048】
また、例えば、道路において勾配が一定となる区間を、1つのリンクとして設定することができる。図5の右側に示す地図5においてユーザ1から乗車位置2までの歩行経路R1を参照し、歩行経路R1は平坦な道路であり、歩行経路R1における勾配が0である場合を想定する。この場合において、移動履歴の記録区間を歩行経路R1とするときには、歩行経路R1の区間を1つのリンクとして記録する。
【0049】
勾配114は、リンク長113の長さを求めた道路区間における勾配を意味する。即ち、リンク長113には、移動履歴の歩行経路を構成する各リンクの長さが格納され、勾配114には、それらの各リンクにおける勾配が格納される。
【0050】
なお、道路に関する情報として、上述したリンク、リンク長、リンクの勾配については、記憶部110の地図DBに格納されている地図情報に基づいて取得可能である。また、通信部120を介して外部装置から地図情報を取得して用いてもよい。
【0051】
歩行速度115は、リンク長113及び勾配114に対応する道路区間をユーザが過去に歩行した際の実際の歩行速度である。この歩行速度は、電子機器20の位置情報取得部23により定期的に取得される位置情報に基づいて取得可能である。即ち、リンク長113及び勾配114に記録される道路区間をユーザ1が歩行する際の遷移をその位置情報に基づいて取得可能であるため、その遷移に基づいて歩行速度が計算される。
【0052】
移動に影響する要素116は、ユーザの歩行環境やイベントの発生等により、ユーザの歩行の速度に影響を与える要素を意味する。図3では、天気、体調、荷物、友人、家族、イベントを、移動に影響する要素として例示する。ただし、本実施形態は、これに限定されず、他の情報を移動に影響する要素として用いてもよい。例えば、高地では空気が薄いため、ユーザの歩行の速度に影響を与える可能性があるため、移動に影響する要素とすることが可能である。なお、移動に影響する要素である天気、体調、荷物、友人、家族については、図4を参照して説明する。
【0053】
なお、図3では、説明を容易にするため、移動に影響する要素116として、天気では「晴」または「雨」、体調では「良好」または「不調」、荷物、友人、家族、イベントでは「有」または「無」を格納する例を示す。ただし、本実施形態は、これに限定されない。例えば、各要素については、3種類以上の状態や環境を設定しておき、これらの3種類以上の状態や環境を用いるようにしてもよい。これにより歩行速度の推定精度をさらに高めることができる。例えば、天気では「晴」「曇」「雨」「雪」「嵐」などを格納でき、体調では「かなり良好」「良好」「少し不調」「かなり不調」などを格納できる。また、荷物では「軽い荷物」「重い荷物」「無」などを格納でき、友人では「無」「1人」「2人」「3人」などの人数を格納できる。また、家族では「無」「大人2人」「子供を含めて4人」などの人数を格納でき、イベントでは祭りや展示会等の具体的な事象を格納できる。
【0054】
[移動履歴DBの格納例]
ここで、電子機器20を所持するユーザ1が、移動状況推定システム200において提供される配車予約サービスを利用する場合を想定する。この場合には、ユーザは、電子機器20を用いてサーバ100にアクセスし、会員登録をするための各種手続きを行う。これにより、ユーザ1は、配車予約サービスを利用することが可能となる。
【0055】
配車予約サービスを利用するための会員登録をしたユーザ1は、必要に応じて、自己の体調、荷物の有無、友人が一緒か否か、家族が一緒か否か、何らかのイベントがあるか否かを、電子機器20の入力部24から入力するようにする。電子機器20の制御部25は、入力部24から入力された各入力情報を記憶部21に保持させる。なお、電子機器20がユーザ1の身体に装着して使用可能なスマートウォッチ等の機器である場合には、各種の測定結果に基づいて電子機器20によりユーザ1の体調が管理される。このため、電子機器20に管理されている体調を記憶部21に順次保持させて用いることができる。また、荷物の有無、友人が一緒か否か、家族が一緒か否かについては、電子機器20において管理されているユーザ1のスケジュールに基づいて推定してもよい。例えば、家族と一緒にショッピングセンターに行く予定の時間帯であれば、家族と一緒で、かつ、荷物があると推定できる。
【0056】
また、電子機器20を用いてユーザ1が配車予約をした場合には、電子機器20の制御部25は、位置情報取得部23により取得された位置情報を定期的に取得して記憶部21に保持させる。
【0057】
そして、制御部25は、このように取得されたユーザの歩行に関する情報と、記憶部21に保持されている各情報(自己の体調、荷物の有無、友人が一緒か否か、家族が一緒か否かなど)とを関連付けて所定タイミングでサーバ100に送信する。所定タイミングは、例えばユーザが乗車位置に到着したタイミングや、所定の時刻(例えば午後12時)になったタイミングとすることができる。
【0058】
サーバ100の制御部130は、ユーザの歩行に関する情報と、記憶部21に保持されていた各情報とを電子機器20から受信すると、受信した各情報に基づいて歩行経路と歩行速度を求める。そして、制御部130は、その歩行速度と、その歩行経路に対応する経路情報と、その経路情報に対応する、移動に影響する要素とを関連付けて記憶部110の移動履歴DBにユーザ毎に格納する。なお、移動に影響する要素は、記憶部21に保持されていた各情報や、通信部120を介して他の機器から取得可能な情報に基づいて特定できる。
【0059】
[移動に影響する要素の有無に応じた歩行の比較例]
図4は、ユーザが歩行する際にその移動に影響する要素の一例を示す図である。図4では、移動に影響する要素が発生していない時の配車予約時の歩行速度を矢印42の長さで示し、その長さを基準とする範囲を点線40で示す。また、比較例として、配車予約なしの通常時(即ち移動に影響する要素が発生していない時)の歩行速度を矢印41の長さで示し、その長さを基準とする範囲を点線47で示す。
【0060】
また、図4では、移動に影響する要素が発生した場合の配車予約時の歩行速度を、矢印43乃至46の長さで示す。
【0061】
例えば、配車予約をしたときは、配車を予約した乗車位置に早く行きたいと考える人が多いため、歩行を早めることが多い。このため、矢印42で示すように、配車予約時の歩行は、通常時の歩行速度よりも早くなることが多い。また、一般的なユーザの歩行速度と、ユーザ1の歩行速度との間には、乖離がある可能性がある。そこで、本実施形態では、配車予約時におけるユーザ1の移動履歴を用いて歩行時間を求めるようにする。
【0062】
また、例えば、雨天時には、傘をさしながら歩いているため、歩行が遅くなることが多い。このため、矢印43で示すように、配車予約時の雨天時の歩行は、移動に影響する要素が発生していない時の配車予約時の歩行速度よりも遅くなることが多い。また、荷物を持っている時には、荷物による負荷のため、歩行が遅くなることが多い。このため、矢印44で示すように、荷物がある時の配車予約時の歩行は、移動に影響する要素が発生していない時の配車予約時の歩行速度よりも遅くなることが多い。また、友人と一緒に歩いている時には、友人と話しながら歩くことが多いため、歩行が遅くなることが多い。このため、矢印45で示すように、友人がいる時の配車予約時の歩行は、移動に影響する要素が発生していない時の配車予約時の歩行速度よりも遅くなることが多い。また、家族がいる時には、家族と話しながら歩くことが多いため、歩行が遅くなることが多い。特に、小さい子供と一緒に歩く時には、子供の面倒をみながら歩くことが多いため、歩行がさらに遅くなることが多い。このため、矢印46で示すように、家族がいる時の配車予約時の歩行は、移動に影響する要素が発生していない時の配車予約時の歩行速度よりも遅くなることが多い。
【0063】
この様に、移動に影響する要素が発生した場合には、移動に影響する要素が発生していない時の配車予約時の歩行速度よりも遅くなることが多い。そこで、本実施形態では、移動に影響する要素が発生した場合に、その影響を考慮して歩行時間を補正する。
【0064】
[歩行経路の選択例]
図5は、電子機器20を所持するユーザ1の現在地を含む地図5を簡略化して示す図である。図5では、ユーザ1が、配車アプリを用いてタクシーの配車予約をした場合を想定する。なお、本実施形態では、予約したタクシーの乗車位置として、点線の丸で示す位置(乗車位置2)を指定する場合を一例として示す。
【0065】
図5の左側には、地図5におけるユーザ1の現在地と乗車位置2との関係を示す。図5の右側には、基準情報算出部132により歩行経路候補として選択された歩行経路R1乃至R4を示す。歩行経路R1乃至R4は、ユーザ1の現在地と乗車位置2とを結ぶ道路であり、ユーザ1が徒歩で移動可能な経路である。なお、歩行経路R1乃至R4以外の経路を歩行経路とすることも可能であるが、説明を容易にするため、この例では、4つの経路のみを例示する。
【0066】
基準情報算出部132は、電子機器20から送信された配車予約情報と、記憶部110の地図DBとを用いて歩行経路R1乃至R4を選択する。なお、歩行経路の選択方法は、公知の選択方法を用いることができる。例えば、ユーザ1の現在地と乗車位置2とを含む所定範囲内の道路のうち、歩行可能な道路が選択される。そして、その選択された歩行可能な道路のうちから、所定の選択条件に基づいて歩行経路が選択される。距離を所定の選択条件とする場合には、ユーザ1の現在地と乗車位置2とを結ぶ最短距離となる道路が選択される。なお、複数の歩行経路を選択する場合には、その選択された歩行可能な道路のうちから、ユーザ1の現在地と乗車位置2とを結ぶ距離の短さが2乃至N番目(Nは、N≧2となる整数)となる道路とが順次選択される。また、複数のユーザの過去の歩行履歴を参照して歩行頻度が高い道路を優先的に選択する選択条件を用いてもよく、道路の広さや歩行者専用道路のように歩行環境を考慮して歩行環境の良い道路を優先的に選択する選択条件を用いてもよい。
【0067】
[配車予約時の画面表示例]
図6は、電子機器20において配車アプリを起動させた際に入出力部27に表示される表示画面の遷移例を示す図である。図6では、ユーザ1の現在地から乗車位置2までの歩行経路として最短となる歩行経路R1を設定する例を示す。なお、本実施形態では、乗車時間を指定しない例を示すが、乗車時間を指定してもよい。
【0068】
図6の左側には、配車アプリの起動後に、地図5においてユーザ1がタクシーの乗車位置を指定する際の表示例を示す。電子機器20において配車アプリを起動すると、配車予約操作画面51が入出力部27に表示される。配車予約操作画面51には、ユーザ1の現在地を含む地図5が表示されるとともに、その上部には、タクシーの配車予約を行う旨とタクシーの乗車位置を指定して確認を押下する旨のメッセージが表示される。また、配車予約操作画面51の地図5上においてユーザ1の現在地を示す現在地標識61が表示される。なお、図6では、図5に示す乗車位置2に対応する位置には点線の丸62を示す。
【0069】
ユーザ1は、配車予約操作画面51において乗車位置を指定するため、点線の丸62で示す位置を指定する指定操作を行う。例えば、入出力部27において点線の丸62で示す位置をタッチするタッチ操作を行う。この指定操作が行われると、その指定された位置に乗車位置標識63が表示される。この乗車位置標識63によりユーザ1は、指定した位置を確認できる。そして、指定した位置を確認した後に、ユーザ1は、確認ボタンを押下する確定操作を行う。その確定操作が行われると、電子機器20の制御部25は、配車予約情報をサーバ100に送信する。この配車予約情報には、ユーザ1の現在地に関する位置情報と、乗車位置に関する位置情報と、ユーザIDとが含まれる。また、移動に影響する要素に関する情報がユーザにより入力されている場合や記憶部21に保持されている場合には、それらの各情報が配車予約情報に含めて送信される。
【0070】
その配車予約情報を受信したサーバ100は、上述したように、歩行経路の選択処理と、その歩行経路における歩行時間の算出処理とを実行する。そして、サーバ100は、その処理結果である歩行支援情報を電子機器20に送信する。この歩行支援情報を受信した後の入出力部27の表示例を図6の右側に示す。なお、配車予約情報を受信した場合のサーバ100における各処理については、図7を参照して詳細に説明する。
【0071】
図6の右側に示すように、電子機器20の制御部25は、サーバ100から送信された歩行支援情報に基づいて、ユーザ1の現在地から、ユーザ1により指定された乗車位置までの歩行を支援するための歩行支援画面53を入出力部27に表示させる。歩行支援画面53には、現在地標識61及び乗車位置標識63とともに、現在地標識61から乗車位置標識63までの歩行経路が矢印標識64として表示される。また、歩行支援画面53には、地図上に歩行時間表示領域54が表示される。歩行時間表示領域54には、サーバ100から送信された歩行支援情報に基づいて、矢印標識64で示される歩行経路をユーザ1が歩いた場合の推定歩行時間が表示される。また、歩行支援画面53の上部表示領域には、歩行を支援するためのメッセージとともに、その推定歩行時間が表示される。
【0072】
なお、本実施形態では、説明を省略するが、歩行支援画面として、周知のナビゲーションシステムのように、その歩行経路に沿って乗車位置に向かうための案内を表示するようにしてもよい。また、歩行支援画面に表示される歩行時間は、ユーザの歩行に応じて表示時間を減少させ、乗車位置に到着した際には「0」を表示してもよい。
【0073】
[サーバの動作例]
図7は、サーバ100における移動状況推定処理の一例を示すフローチャートである。この処理例では、サーバ100が電子機器20から配車予約情報を受信した場合の例を示す。また、この処理例は、記憶部110に記憶されているプログラムに基づいて制御部130により実行される。図7では、図1図2に示す構成と図6に示す表示例を参照して説明する。
【0074】
ステップS301において、配車処理部131は、通信部120を介して電子機器20から送信された配車予約情報を受信する。この配車予約情報を受信すると、配車処理部131は、その配車予約情報に応じた各種の配車処理を実行する。
【0075】
ステップS302において、基準情報算出部132は、ユーザ1の現在地から乗車位置までの歩行経路と歩行時間を求める。具体的には、基準情報算出部132は、受信した配車予約情報に含まれる位置情報(ユーザ1の現在地に関する位置情報、乗車位置に関する位置情報)に基づいて、記憶部110の地図DBを用いてユーザ1の歩行経路の選択処理を実行する。例えば、基準情報算出部132は、歩行経路候補として歩行経路R1乃至R4(図5参照)を選択する。また、基準情報算出部132は、選択された歩行経路R1乃至R4のそれぞれについて、記憶部110の移動履歴DB(図3参照)を用いて歩行時間の算出処理を実行する。
【0076】
ここでは、交差点間の道路をリンク単位として、歩行経路R1における歩行時間を算出する例を示す。具体的には、基準情報算出部132は、歩行経路R1をリンク単位に分割する。図5に示すように、歩行経路R1には6つの交差点が含まれる。このため、基準情報算出部132は、6つの交差点で区切った7つの各区間に歩行経路R1を分割する。次に、基準情報算出部132は、歩行経路R1における7つの各区間に対応する勾配を、記憶部110の地図DBに格納されている地図情報に基づいて取得する。次に、基準情報算出部132は、歩行経路R1における7つの各区間と、これらに対応する7つの勾配との関係に一致(または近似)する経路情報112(図3参照)を、記憶部110の移動履歴DBから抽出する。この場合に、基準条件を満たす経路情報112が抽出対象となる。ここで、基準条件は、移動に影響する要素が発生していないことを意味する。即ち、基準条件を満たす経路情報112は、移動に影響する要素116(図3参照)において特定の要素が格納されていない経路情報112が抽出対象となる。具体的には、移動に影響する要素116における天気には「晴」が格納され、体調には「良好」が格納され、荷物、友人、家族、イベントの何れも「無」が格納されている経路情報112が抽出対象となる。
【0077】
例えば、歩行経路R1における最初の区間R11(図5参照)の距離がリンク長113(図3参照)と一致し、かつ、その区間R11に対応する勾配が勾配114(図3参照)と一致する移動履歴DBのリンク長及び勾配の組み合わせが存在する場合を想定する。この場合には、その一致するリンク長及び勾配の組み合わせに関連付けられている各情報を移動履歴DBから抽出する。例えば、区間R11の距離が13mであり、区間R11に対応する勾配が3%である場合を想定する。この場合には、基準情報算出部132は、一致するリンク長及び勾配の組み合わせが移動履歴DBに存在するため、その一致するリンク長及び勾配の組み合わせに関連付けられている各情報(図3の矩形の点線117で示す)を移動履歴DBから抽出する。
【0078】
そして、基準情報算出部132は、その抽出された各情報に含まれる歩行速度(図3参照)を、歩行経路R1における最初の区間R11の歩行速度として求める。例えば、区間R11の距離が13mであり、区間R11に対応する勾配が3%である場合には、図3の矩形の点線117で示すように、区間R11の歩行速度として「0.4(m/s)」が移動履歴DBから抽出される。
【0079】
なお、一致するリンク長及び勾配の組み合わせが移動履歴DBに存在しない場合には、区間R11の勾配と一致または近似する勾配を移動履歴DBから抽出し、その抽出された勾配に関連付けられている各情報を移動履歴DBから抽出して用いる。なお、区間R11の勾配と一致または近似する勾配が移動履歴DBに複数存在する場合には、それらの複数の勾配に関連付けられている歩行速度の平均値等を算出しておき、その値を用いてもよい。
【0080】
そして、基準情報算出部132は、区間R11の歩行速度と区間R11の距離とに基づいて、区間R11の歩行時間を算出する。具体的には、次の式を用いて歩行速度を求めることができる。
区間R11の歩行時間=区間R11の距離/区間R11の歩行速度
【0081】
以降も同様に、基準情報算出部132は、歩行経路R1における6つの各区間について歩行時間を順次算出する。そして、基準情報算出部132は、歩行経路R1における7つの各区間について求められた歩行時間を加算することで歩行経路R1におけるユーザ1の歩行時間を算出することができる。
【0082】
また、基準情報算出部132は、他の歩行経路R2乃至R4についても同様に、歩行経路R2乃至R4におけるユーザ1の歩行時間を算出することができる。
【0083】
ステップS303において、検出部133は、受信した配車予約情報に含まれる情報と、通信部120を介して取得可能な情報とに基づいて、ステップS302で求められた歩行経路の移動時にその移動に影響する要素が発生するか否かを判定する。具体的には、検出部133は、歩行経路R1乃至R4において、ユーザ1の移動に影響する要素が存在するか否かを検出する。
【0084】
例えば、検出部133は、受信した配車予約情報に含まれるユーザ1の健康情報(体調に関する情報)に基づいて、ユーザ1の体調が良好であるか不調であるかを判定する。そして、検出部133は、ユーザ1の体調が不調である場合には、歩行経路R1乃至R4の全てにおいて、ユーザ1の移動に影響する要素が存在すると判定する。
【0085】
また、例えば、検出部133は、受信した配車予約情報に含まれるユーザ1の荷物情報、友人情報、家族情報等に基づいて、ユーザ1が荷物を所持するか、ユーザ1が友人と一緒か否か、ユーザ1が家族と一緒か否か等を判定する。そして、検出部133は、ユーザ1が荷物を所持すること、ユーザ1が友人と一緒であること、ユーザ1が家族と一緒であることの少なくとも1つを特定できた場合には、歩行経路R1乃至R4の全てにおいて、ユーザ1の移動に影響する要素が存在すると判定する。
【0086】
また、例えば、検出部133は、通信部120を介して取得可能な気象情報に基づいて、歩行経路R1乃至R4の周辺の天気を判定する。そして、検出部133は、歩行経路R1乃至R4の周辺の天気が雨、雪、嵐等である場合には、歩行経路R1乃至R4の全てにおいて、ユーザ1の移動に影響する要素が存在すると判定する。なお、気象情報は、例えば気象に関する情報を提供する各種のウエブサイトから取得可能である。
【0087】
また、例えば、検出部133は、通信部120を介して取得可能な催しものやイベントに関する情報に基づいて、歩行経路R1乃至R4の周辺で行われている催しものやイベントの有無を判定する。そして、検出部133は、歩行経路R1乃至R4の周辺で何らかの催しものやイベントが行われていることが検出された場合には、その催しものやイベントが行われている歩行経路においてユーザ1の移動に影響する要素が存在すると判定する。
【0088】
なお、歩行経路R1乃至R4の周辺の催しものやイベントに関する情報は、例えば歩行経路R1乃至R4の周辺を含む地域の情報を提供する各種のウエブサイトや、道路上の人の混雑度を提供するウエブサイト等から取得可能である。また、それらの催しものやイベントに関する情報は、SNS(Social Networking Service)のアップロード情報に基づいて取得可能である。なお、催しものやイベントは、例えば、お祭り、歩行者天国、店舗での催し、運動会、コンサート等の多数の人が集まるような各種の行事を意味する。
【0089】
移動に影響する要素の発生が検出された場合には、ステップS304に進む。一方、移動に影響する要素の発生が検出さなかった場合には、ステップS301で求められた歩行経路及び歩行時間を補正する必要がないため、ステップS306に進む。
【0090】
ステップS304において、補正値算出部134は、ステップS302で求められた歩行時間を補正するための補正値を算出する。具体的には、補正値算出部134は、ステップS302で求められた歩行経路R1乃至R4のうち、ステップS303で移動に影響する要素の発生が検出された歩行経路の補正値を算出する。この場合に、補正値算出部134は、その検出された要素に対応する移動履歴DB(図3参照)を用いて、その歩行経路における歩行時間の補正値を算出する。この補正値は、移動履歴DBに格納されているユーザ1の過去の移動履歴を用いて算出される。
【0091】
例えば、補正値算出部134は、ステップS303でユーザ1の体調が不調であることが検出された場合には、歩行経路R1乃至R4の全ての歩行時間の補正値を算出する。この場合には、移動履歴DB(図3参照)のうちの基準条件を満たす各情報(即ち「体調」が「良好」の場合)と、移動に影響する要素116の「体調」に「不良」が格納されている各情報(ただし他の要素は基準条件を満たす情報(即ち「天気」は「晴」で、かつ、「荷物」「友人」「家族」「イベント」の全ては「無」))との比較結果に基づいて、基準条件を満たす場合の歩行速度に対する、「体調」が「不良」の場合の歩行速度の倍率を求める。この場合の比較対象として、経路情報112のうちの少なくとも勾配114が一致または略一致する各情報を用いる。また、比較対象となる情報が複数存在する場合には、例えば平均値を用いることができる。
【0092】
例えば、経路情報112が一致または略一致する双方の各情報の歩行速度を比較し、基準条件を満たす場合の歩行速度に対する「不良」に対応する歩行速度の割合を求める。例えば、勾配114が一致する各情報として、基準条件を満たす情報(図3の矩形の点線118で示す)と、移動に影響する要素116の「体調」に「不良」が格納されている各情報(図3の矩形の点線119で示す)とを用いる場合を想定する。この場合には、補正値算出部134は、双方の各情報の歩行速度(0.5と0.4)に基づいて、基準条件を満たす場合の歩行速度(0.5)に対する「不良」に対応する歩行速度(0.4)の割合として0.8を算出する。即ち、補正値算出部134は、補正値として0.8を算出する。なお、ここでは、比較対象となる各情報を1つとする例を示すが、比較対象とする情報を複数用いることにより、歩行速度の推定精度を高めることができる。
【0093】
また、ステップS303でユーザ1が荷物を所持すること、ユーザ1が友人と一緒であること、ユーザ1が家族と一緒であること、歩行経路R1乃至R4の周辺の天気が雨、雪、嵐等であること等が検出された場合についても同様に、補正値算出部134は、歩行経路R1乃至R4の全ての歩行時間の補正値を算出する。
【0094】
また、ステップS303で何らかの催しものやイベントが行われていることが検出された歩行経路においては、補正値算出部134は、その歩行経路についてのみ歩行時間の補正値を算出する。
【0095】
なお、ステップS303で移動に影響する要素として複数の要素の発生が検出された歩行経路については、その複数の要素に対応する各情報を、基準条件を満たす各情報との比較対象として用いるようにする。例えば、ステップS303でユーザ1が荷物を所持するとともに、ユーザ1が友人と一緒であることが検出された場合には、移動に影響する要素116の「荷物」に「有」が格納され、かつ、「友人」に「有」が格納されている各情報(ただし他の要素は基準条件を満たす情報)を、基準条件を満たす各情報との比較対象として用いる。
【0096】
なお、この例では、補正値算出部134は、サーバ100が配車予約情報を受信する毎に補正値を算出する例を示すが、補正値を予め算出して保持しておき、その保持された補正値を供給するようにしてもよい。また、この例では、ステップS303で移動に影響する要素が検出された場合に、補正値算出部134が補正値を算出する例を示す。ただし、配車予約情報を受信した場合には、移動に影響する要素の検出の有無にかかわらず、補正値算出部134は補正値を算出してもよい。
【0097】
また、この例では、配車予約情報を送信したユーザ1のユーザID111に関連付けられている各情報を用いて補正値を算出する例を示したが、比較対象となる情報が格納されていないことも想定される。例えば、ユーザ1が、過去に体調不良の時に配車予約をしていない場合には、移動に影響する要素116の「体調」に「不良」が格納されている各情報は履歴として存在しない。このように比較対象となる情報が格納されていない場合には、他のユーザの情報を比較対象として利用して補正値を算出するようにしてもよい。この場合には、複数のユーザの平均値等の情報を比較対象として用いることができる。なお、この場合の表示例を図8の右側に示す。
【0098】
ステップS305において、移動状況推定部135は、ステップS302で求められた歩行経路についての1または複数の歩行時間について、ステップS304で求められた補正値を用いて補正を行う。具体的には、移動状況推定部135は、補正値が求められた歩行経路における歩行時間に、その補正値を乗算することにより、移動に影響する要素を考慮した新たな歩行時間を求める。例えば、歩行経路R1乃至R4の全ての歩行時間の補正値として0.8が求められた場合には、歩行経路R1乃至R4の全ての歩行時間に0.8を乗算して、歩行経路R1乃至R4の新たな歩行時間を求める。
【0099】
ステップS306において、配車処理部131は、ユーザ1からの配車予約を受け付けた旨の情報と、乗車位置までの歩行時間と、乗車位置への歩行経路とを含む歩行支援情報を電子機器20に送信する。即ち、配車処理部131は、ステップS302で求められた歩行経路及び歩行時間、または、ステップS305で求められた歩行経路及び歩行時間を電子機器20に送信する。具体的には、配車処理部131は、ステップS303で移動に影響する要素の発生が検出された場合には、ステップS305で求められた歩行経路及び歩行時間を電子機器20に送信する。一方、配車処理部131は、ステップS303で移動に影響する要素の発生が検出されなかった場合には、ステップS302で求められた歩行経路及び歩行時間を電子機器20に送信する。歩行支援情報を受信した電子機器20の制御部25は、その歩行支援情報に基づいて歩行経路及び歩行時間を入出力部27(表示部の一例)に表示させる。この様に、配車処理部131は、歩行経路及び歩行時間を関連付けて電子機器20の入出力部27(表示部の一例)に表示させるための制御を実行する表示制御部として機能する。
【0100】
また、配車処理部131は、割り当てられたタクシーの通信機器に、ユーザ1の乗車位置までの歩行時間を送信する。これにより、割り当てられたタクシーは、その歩行時間に基づいて、ユーザ1の乗車場所への到着時刻がわかるため、適切な時刻に到着することができる。この様に、配車処理部131は、ユーザ1の乗車位置までの歩行時間をタクシーの通信機器に送信する通知制御部として機能する。
【0101】
ここで、図6では、歩行時間が最も短い歩行経路R1のみをユーザ1に提示する例を示す。この場合には、配車処理部131は、基準情報算出部132により選択された歩行経路R1乃至R4のうちから、ステップS305での補正後の歩行時間が最も短い歩行経路R1を選択し、その歩行経路R1及びその歩行時間のみを電子機器20に送信する。
【0102】
また、配車処理部131は、歩行支援情報を電子機器20に送信した後に、必要に応じて、その歩行支援情報に対応する配車予約情報と、その歩行支援情報に応じて電子機器20から送信されるユーザ1の位置情報とを関連付けて移動履歴DBに格納する。
【0103】
ここで、一般的なユーザの歩行速度と、ユーザ1の歩行速度とは異なることが多い。また、配車予約時には、平均歩行速度が速くなることが知られている。そこで、本実施形態では、配車予約時におけるユーザ1の移動履歴を移動履歴DBに格納しておき、その移動履歴に基づいて、乗車位置までの歩行時間を算出する。また、ユーザ1の移動に影響する要素が歩行経路において発生した場合には、その要素を考慮した補正値に基づいて歩行時間を補正した新たな歩行時間を算出することができる。これにより、歩行経路におけるユーザ1の移動状況の推定精度を向上させることができる。
【0104】
ここで、移動に影響する要素が検出された場合に、その検出された移動に影響する要素に対応する移動履歴情報のみを使用して歩行時間を算出する場合を想定する。この場合には、歩行時間の算出に用いる情報量が少ないため、歩行時間の推定精度が低下するおそれがある。例えば、天気が雨の場合には、雨の日の移動履歴情報を使用すればよいが、雨の日の移動履歴情報が少ない場合には、歩行時間の推定精度が低下するおそれがある。そこで、本実施形態では、情報量の多い基準条件を満たす移動履歴情報を使用して基準となる歩行時間を算出する。そして、移動に影響する要素が検出された場合にはその検出された移動に影響する要素に対応する移動履歴情報を用いて、その歩行時間を補正する。これにより、歩行経路におけるユーザ1の移動状況の推定精度を向上させることができる。
【0105】
[他の表示例]
図8は、サーバ100から送信された歩行支援情報に基づいて入出力部27に表示される表示画面の他の例を示す図である。なお、図8の左右に示す各表示画面は、図6の右側に示す歩行支援画面53の変形例であり、歩行支援画面53と共通する部分には同一の符号を付す。
【0106】
図8の左側には、移動に影響する要素として歩行経路R1の周辺での雨が検出された場合における歩行支援画面55を示す。歩行支援画面55の上部表示領域には、歩行を支援するためのメッセージ及び推定歩行時間とともに、移動に影響する要素が検出されたことを示す情報として「今は雨ですので+2分だけ余分に時間がかかります。」が表示される。また、歩行時間表示領域56には、移動に影響する要素に基づいて補正された推定歩行時間が表示される。これにより、ユーザ1は、移動に影響する要素が検出されたため、歩行時間が長くなったことを容易に把握できる。
【0107】
図8の右側には、移動に影響する要素として歩行経路R1の周辺での雨が検出された場合における歩行支援画面57を示す。ただし、この例では、ユーザ1に関する雨の日の移動履歴情報が存在しないため、他人の雨の日の移動履歴情報を用いて歩行時間の補正を行った場合の例を示す。
【0108】
歩行支援画面57の上部表示領域には、歩行を支援するためのメッセージ及び推定歩行時間とともに、移動に影響する要素が検出された旨と、他人の雨の日の移動履歴情報を用いて歩行時間の補正を行った旨とを示す情報が表示される。歩行支援画面57の上部表示領域には、今回の配車予約時の移動履歴が保存されることが表示される。また、歩行時間表示領域58には、他人の雨の日の移動履歴情報を用いて補正された推定歩行時間が表示される。これにより、ユーザ1は、移動に影響する要素が検出されたため、歩行時間が長くなったこと、他人のデータを用いたことを容易に把握できる。
【0109】
[複数の歩行経路を表示する例]
図9図10は、基準情報算出部132により選択された複数の歩行経路R1乃至R4を表示する場合の表示例を示す図である。この場合には、配車処理部131は、基準情報算出部132により選択された歩行経路R1乃至R4とこれらの歩行時間とを電子機器20に送信する。なお、図9図10に示す各表示画面は、図6の右側に示す歩行支援画面53の変形例であり、歩行支援画面53と共通する部分には同一の符号を付す。
【0110】
図9には、歩行経路R1乃至R4とこれらの歩行時間とを関連付けて表示する場合における歩行支援画面70を示す。歩行支援画面70の上部表示領域には、歩行を支援するためのメッセージとともに、最短となる歩行時間が表示される。また、歩行時間表示領域71には、最短となる歩行時間が表示される。
【0111】
また、歩行支援画面70における地図上には、複数の歩行経路R1乃至R4を表す矢印標識72乃至75とともに、各歩行経路について算出された歩行時間が歩行時間表示領域76乃至79に表示される。このように、複数の歩行経路R1乃至R4を表す矢印標識72乃至75に重ねて歩行時間表示領域76乃至79を表示することにより、ユーザ1は、歩行経路と歩行時間との関係を容易に把握できる。また、ユーザ1が乗車位置に向かう際の移動に関する選択肢が増えるため、ユーザ1の好みに応じた歩行経路を選択できる。
【0112】
また、歩行支援画面70において、複数の歩行経路R1乃至R4を表す矢印標識72乃至75と、歩行時間表示領域76乃至79とを識別可能に表示させてもよい。例えば、歩行経路毎に異なる色を付して識別可能としてもよく、歩行経路毎に矢印標識の太さを変更して識別可能としてもよい。また、複数の歩行経路について優先順位(またはお薦め順位)を設定し、この順位に従って識別可能に表示させてもよい。例えば、優先順位が1位の歩行経路の矢印標識及び歩行時間表示領域を赤で表示し、優先順位が2位の歩行経路の矢印標識及び歩行時間表示領域を青で表示する。また、優先順位が3位の歩行経路の矢印標識及び歩行時間表示領域を黄色で表示し、優先順位が4位の歩行経路の矢印標識及び歩行時間表示領域を緑で表示する。
【0113】
なお、複数の歩行経路R1乃至R4を表す矢印標識72乃至75と、歩行時間表示領域76乃至79とについては、ユーザ1により選択された歩行経路以外のものを消去するようにしてもよく、参考情報として乗車位置に到着するまで表示しておいてもよい。
【0114】
図10には、歩行経路R1において移動に影響する要素が検出された場合における歩行支援画面80を示す。なお、この例では、他の歩行経路R2乃至R4では、移動に影響する要素が検出されていないものとする。この例では、移動に影響する要素として、歩行経路R1の周辺において行われているお祭りが検出された場合の例を示す。また、図10に示す表示画面は、図9に示す表示画面の変形例であり、図9と共通する部分には同一の符号を付す。
【0115】
歩行支援画面80の上部表示領域には、乗車位置までの最短距離である歩行経路R1において移動に影響する要素が検出された旨と、この影響により歩行経路R1の歩行時間が長くなった旨が表示される。また、歩行時間表示領域81には、最短となる歩行経路R2の歩行時間が表示される。
【0116】
また、歩行支援画面80における地図上には、図9に示す例と同様に、複数の歩行経路R1乃至R4を表す矢印標識72乃至75と、歩行時間表示領域76乃至79とが表示される。また、歩行経路R1を表す矢印標識72には、歩行経路R1において検出された移動に影響する要素を表す「お祭り」の文字標識82が重ねて表示される。これにより、ユーザ1は、最短距離である歩行経路R1において移動に影響する要素が検出されたこと、そのため歩行時間が長くなったことを容易に把握できる。
【0117】
なお、本実施形態では、歩行経路における歩行時間を表示する例を示すが、歩行時間の代わりに乗車位置の到着時刻を表示してもよい。乗車位置の到着時刻は、ユーザ1の配車予約時の時刻に、推定された歩行時間を加算することにより求めることができる。即ち、歩行経路における到着時間に関する各情報(例えば歩行時間、到着時刻)をユーザ1の好みに応じて表示させることができる。
【0118】
なお、本実施形態では、説明を省略するが、歩行支援画面として、周知のナビゲーションシステムのように、その歩行経路に沿って乗車位置に向かうための案内を表示するようにしてもよい。また、音声出力によりその案内を行うようにしてもよい。
【0119】
なお、本実施形態では、電子機器20に提供する歩行支援情報を作成するための各処理をサーバ100において実行する例を示したが、その歩行支援情報を作成するための各処理の全部または一部を他の機器において実行してもよい。この場合には、その歩行支援情報を作成するための各処理の一部を実行する各機器により移動状況推定システムが構成される。また、本実施形態では、電子機器20に提供する歩行支援情報を作成する際に用いられる各DB(地図DB、顧客DB、図3に示す移動履歴DB)をサーバ100において管理する例を示す。ただし、それらの全部または一部のDBを、サーバ100以外の1または複数の他の機器により管理し、サーバ100は、他の機器により管理されているDBを取得して用いてもよい。
【0120】
また、サーバ100の機能を含む移動状況推定システム200の一部(または全部)については、ネットワーク10を介して提供可能なアプリケーションにより提供されてもよい。このアプリケーションは、例えばSaaS(Software as a Service)である。
【0121】
また、その歩行支援情報を作成するための各処理の全部または一部を電子機器20において実行してもよい。この場合には、電子機器20の制御部25は、サーバ100の制御部130が備える基準情報算出部132と検出部133と補正値算出部134と移動状況推定部135とのうちの全部または一部の処理を実行する。また、電子機器20の記憶部110には、上述した各DB(地図DB、顧客DB、移動履歴DB)のうちの一部を記憶させてもよい。なお、電子機器20は、それらの各DBを用いる場合には、外部装置から取得して用いてもよい。
【0122】
例えば、図3に示す移動に影響する要素116は、天気以外はユーザ1の個人的なデータである。このため、移動に影響する要素に関する情報は、サーバ100で管理せずに電子機器20において管理し、電子機器20において歩行支援情報を作成してよい。このようにサーバ100の各処理の全部または一部を電子機器20において実行する場合には、電子機器20は、移動支援装置として機能するとともに、移動状況推定装置としても機能する。
【0123】
また、例えば、電子機器20が、配車アプリの機能を提供するサーバ100にアクセスして機能提供を受け、サーバ100から送信される機能の実行結果をブラウザに表示してもよい。
【0124】
このように、本実施形態では、ユーザ1の配車予約時の移動履歴情報を用いて歩行時間を推定することで、歩行時間の算出精度を向上させることができ、歩行時間の推定誤差を減少させることができる。また、移動に影響する要素が発生した場合でも、その影響を考慮して乗車位置までの歩行時間を正確に推定できる。即ち、歩行経路における到着時刻の推定精度を向上させることができる。これにより、ユーザ1が自分なりの移動ペースで歩行することができ、予約した車両にスムーズに乗車することができる。また、乗車位置でのユーザ1及びタクシーの双方の待ち時間を短縮できる。また、タクシーが乗車位置に適切な時間に到着できるようになる。
【0125】
なお、本実施形態では、ユーザ1の配車予約時における歩行経路及び歩行時間を推定する例を示したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、ユーザ1が特定の行動を行った過去の移動履歴を移動履歴DBに格納しておき、その移動履歴DBを用いて、ユーザ1がその特定の行動を行う場合におけるその特定の行動の目的地までの歩行経路及びその歩行時間の推定をする場合に適用可能である。特定の行動は、例えば、友人との待ち合わせ場所まで歩行する行動、予約が必要な場所まで歩行する行動などである。
【0126】
なお、本実施形態で示した各処理は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行されるものである。このため、本実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記録媒体の実施形態としても把握することができる。例えば、移動状況推定装置に新機能を追加するためのアップデート処理により、そのプログラムを移動状況推定装置の記憶装置に記憶させることができる。これにより、そのアップデートされた移動状況推定装置に本実施形態で示した各処理を実施させることが可能となる。
【0127】
[本実施形態の構成及び効果]
本実施形態に係るサーバ100(移動状況推定装置の一例)は、ユーザ1の歩行時の速さに関する歩行速度115(歩行情報の一例)と、当該歩行時の経路に関する経路情報112と、当該歩行時に発生した移動に影響する要素116とをユーザ1の移動履歴情報として関連付けて格納する移動履歴DB(図3参照)を用いてユーザ1の現在地から目的地までの歩行経路におけるユーザ1の歩行時間を推定する。サーバ100は、移動に影響する要素が発生しなかった場合における移動履歴情報に基づいて歩行時間を算出する基準情報算出部132と、歩行経路においてユーザ1の移動時に発生する移動に影響する要素を検出する検出部133と、移動に影響する要素が発生しなかった場合における移動履歴情報と、移動に影響する要素が発生した場合における移動履歴情報との比較結果に基づいて、歩行時間を補正するための補正値を算出する補正値算出部134と、歩行経路について移動に影響する要素が検出されなかった場合には、基準情報算出部132により算出された歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定し、歩行経路について移動に影響する要素が検出された場合には、基準情報算出部132により算出された歩行時間を補正値を用いて補正し、当該補正後の歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定する移動状況推定部135とを備える。なお、本実施形態に係る移動状況推定装置は、電子機器20により実現してもよく、移動状況推定システム200を構成する各機器により実現してもよい。
【0128】
このようなサーバ100によれば、ユーザ1の移動履歴情報を用いて歩行時間を推定することで、ユーザ1の歩行時間の算出精度を向上させることができる。また、移動に影響する要素が発生した場合でも、その影響を考慮して歩行時間を補正するため、その影響を考慮した歩行時間を適切に算出できる。
【0129】
また、本実施形態に係るサーバ100では、補正値算出部134は、歩行経路を構成する1または複数のリンクに対応する経路情報112を抽出し、当該抽出された経路情報112に関連付けられている歩行速度115(歩行情報の一例)のうち、移動に影響する要素が発生しなかった場合における歩行速度115と、移動に影響する要素が発生した場合における歩行速度115との比較結果に基づいて補正値を算出する。
【0130】
このようなサーバ100によれば、歩行経路を構成する各リンクに応じた経路情報に関連付けられてる歩行速度を用いて補正値を算出するため、補正値の精度を高めことができ、歩行時間の算出精度を向上させることができる。
【0131】
また、本実施形態に係るサーバ100では、補正値算出部134は、移動に影響する要素が発生しなかった場合における歩行速度115(歩行情報の一例)に基づいて求められたユーザ1の歩行時の速さと、移動に影響する要素が発生した場合における歩行速度115に基づいて求められたユーザ1の歩行時の速さとの割合に基づいて補正値を算出する。
【0132】
このようなサーバ100によれば、歩行速度の割合を用いて補正値を算出するため、補正値の精度を高めことができ、歩行時間の算出精度を向上させることができる。
【0133】
また、本実施形態に係るサーバ100では、検出部133は、ユーザ1の体調と、ユーザ1の周囲における環境と、歩行経路の周辺における環境との少なくとも1つに基づいて、移動に影響する要素を検出する。
【0134】
このようなサーバ100によれば、ユーザ1の体調、ユーザ1の周囲における環境、歩行経路の周辺における環境等の移動に影響する要素が発生した場合でも、その影響を考慮した歩行時間を適切に求められる。
【0135】
また、本実施形態に係るサーバ100では、目的地は、ユーザ1による予約により配車された車両に乗車する乗車位置であり、移動履歴DBには、予約時のユーザ1の現在地から予約により設定された乗車位置までの歩行に関する移動履歴情報が格納される。また、移動状況推定部135により設定された歩行時間を車両に通知する配車処理部131(通知制御部の一例)をさらに備える。
【0136】
このようなサーバ100によれば、ユーザ1による予約により配車された車両にも、乗車位置までのユーザ1の歩行時間を提供できる。
【0137】
また、本実施形態に係るサーバ100では、基準情報算出部132は、現在地及び目的地に基づいて複数の歩行経路を選択し、移動に影響する要素が発生しなかった場合における歩行時間を当該歩行経路毎に算出する。また、検出部133は、複数の歩行経路のそれぞれについて移動に影響する要素を検出する。また、補正値算出部134は、複数の歩行経路のうち、移動に影響する要素が検出された歩行経路について補正値を算出する。また、移動状況推定部135は、複数の歩行経路のうち、移動に影響する要素が検出されなかった歩行経路については基準情報算出部132により算出された歩行時間を当該歩行経路の歩行時間に設定し、移動に影響する要素が検出された歩行経路については当該歩行経路について算出された補正値を用いた補正後の歩行時間を当該歩行経路の歩行時間に設定する。
【0138】
このようなサーバ100によれば、複数の歩行経路についても、移動に影響する要素を考慮した適切な歩行時間を求めることができる。
【0139】
また、本実施形態に係るサーバ100では、歩行経路と当該歩行経路について設定された歩行時間とを関連付けて電子機器20の入出力部27(表示部の一例)に表示させる配車処理部131(表示制御部の一例)をさらに備える。配車処理部131は、歩行経路について移動に影響する要素が検出された場合には、移動に影響する要素が検出されたことを示す情報と、補正に関する情報とを、当該歩行経路と当該歩行経路について設定された歩行時間とに関連付けて入出力部27に表示させる。例えば、図8に示すように、移動に影響する要素が検出されたことを示す情報(歩行支援画面55、57の上部表示領域)と、補正に関する情報(歩行支援画面55、57の上部表示領域)とが、当該歩行経路(矢印標識64)と当該歩行経路について設定された歩行時間(歩行時間表示領域56)とに関連付けて表示される。
【0140】
このようなサーバ100によれば、歩行経路について移動に影響する要素が検出されたことと、その影響により歩行時間が変更されたことをユーザ1が容易に把握できる。
【0141】
また、本実施形態に係るサーバ100では、配車処理部131(表示制御部の一例)は、複数の歩行経路が選択された場合には、当該複数の歩行経路と、当該複数の歩行経路のそれぞれについて移動状況推定部135により設定された歩行時間とを歩行経路毎に関連付けて識別可能に入出力部27(表示部の一例)に表示させる。例えば、図9図10に示す歩行支援画面70、80について、複数の歩行経路R1乃至R4を表す矢印標識72乃至75と歩行時間表示領域76乃至79とを異なる色として識別可能に表示させることができる。
【0142】
このようなサーバ100によれば、色等の識別表示により、移動に影響する要素が検出された歩行経路などをユーザ1が容易に把握できる。
【0143】
また、本実施形態に係る移動状況推定方法は、ユーザ1の歩行時の速さに関する歩行情報と、当該歩行時の経路に関する経路情報と、当該歩行時に発生した移動に影響する要素とをユーザ1の移動履歴情報として関連付けて格納する移動履歴DBを用いてユーザ1の現在地から目的地までの歩行経路におけるユーザ1の歩行時間を推定する移動状況推定方法である。この移動状況推定方法は、移動に影響する要素が発生しなかった場合における移動履歴情報に基づいて歩行時間を算出する基準情報算出ステップ(ステップS302)と、歩行経路においてユーザ1の移動時に発生する移動に影響する要素を検出する検出ステップ(ステップS303)と、移動に影響する要素が発生しなかった場合における移動履歴情報と、移動に影響する要素が発生した場合における移動履歴情報との比較結果に基づいて、歩行時間を補正するための補正値を算出する補正値算出ステップ(ステップS304)と、歩行経路について移動に影響する要素が検出されなかった場合には、基準情報算出ステップ(ステップS302)で算出された歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定し、歩行経路について移動に影響する要素が検出された場合には、基準情報算出ステップ(ステップS302)で算出された歩行時間を補正値を用いて補正し、当該補正後の歩行時間を当該歩行経路での歩行時間に設定する移動状況推定ステップ(ステップS305)とを備える。また、本実施形態に係るプログラムは、そのような移動状況推定方法を実現するための移動状況推定機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであり、それらの各処理手順(ステップS302乃至S305)をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0144】
このような移動状況推定方法及びプログラムによれば、ユーザ1の歩行時間の算出精度を向上させることができる。また、移動に影響する要素を考慮して歩行時間を補正してその影響を考慮した歩行時間を適切に算出できる。
【0145】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0146】
10 ネットワーク 、20 電子機器 、21 記憶部 、22 通信部 、23 位置情報取得部 、24 入力部 、25 制御部 、26 出力部 、27 入出力部 、100 サーバ 、110 記憶部 、120 通信部 、130 制御部 、131 配車処理部 、132 基準情報算出部 、133 検出部 、134 補正値算出部 、135 移動状況推定部 、35~37 通信機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10