(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164084
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20221020BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01R9/16
H01F30/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069336
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 桂輔
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 定勝
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086CC28
5E086DD09
5E086DD45
5E086LL06
5E086LL10
5E086LL16
(57)【要約】
【課題】巻線の先端部に取り付けられた端子を所定の位置に安定して位置決めすることができる端子台を提供する。
【解決手段】端子台7は、トランスを構成する巻線4の先端部に取り付けられた端子44を支持する端子台であって、端子44を所定の位置に支持する本体部71と、本体部71に装着されて本体部71と共に端子44を支持する装着部72と、を備えている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル装置を構成する巻線の先端部に取り付けられた端子を支持する端子台であって、
前記端子を所定の位置に支持する本体部と、
前記本体部に装着されて前記本体部と共に前記端子を支持する装着部と、を備える端子台。
【請求項2】
前記本体部は、前記端子が挿入される端子受け部を有し、
前記装着部は、前記端子受け部に前記端子が挿入されて前記端子を支持した状態の前記本体部に装着される請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記装着部は、前記本体部に装着された状態において前記端子が挿通される貫通孔を有する請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記装着部は、前記端子が挿入される端子受け部を有し、
前記端子が前記端子受け部に挿入されて取り付けられた状態の前記装着部が前記本体部に装着される請求項1に記載の端子台。
【請求項5】
前記本体部は、前記端子の先端が配線基板に挿通される位置に前記端子を支持する請求項1~4のいずれかに記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置を構成する巻線の先端部に取り付けられた端子を支持する端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、巻線(コイル)の両端を外部電源の電線に接続する端子台が開示されている。この端子台は、巻線の先端部に取り付けられた雌ネジ付きタブ端子と、雌ネジ付きタブ端子に螺合するネジを有するネジ付き端子とを支持可能に構成されている。巻線の先端部と外部電源の電線は、巻線に接続された雌ネジ付きタブ端子と外部電源の電線に取り付けられた圧着端子とをネジ固定することで接続される。具体的に、外部電源の電線に取り付けられた圧着端子を端子台に挿入すると、圧着端子の先端が雌ネジ付きタブ端子とネジ付き端子との間に差し込まれる。その状態でネジ付き端子のネジを雌ネジ付きタブ端子に螺合することで、巻線の先端部と外部電源の電線とが互いの端子を介してネジ固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、巻線に大電流が流れる場合、特許文献1の接続構造では、巻線の先端部に取り付けられた端子と固定用のネジ、接続先の圧着端子との接触抵抗が大きくなり、電力損失が著しい。従って、巻線に大電流が流れる場合は、巻線の先端部に取り付けられた端子を接続先にはんだ付けして接続し、電力損失を抑えるのが一般的である。
【0005】
一方で、大電流に対応する巻線は、巻線の径が大きくなるため、巻線の移動に伴う曲げに対する抵抗力が大きくなる。そのため、巻線の先端部に取り付けられた端子を移動させると、巻線の抵抗力により端子の位置が安定しないという課題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、巻線の先端部に取り付けられた端子を所定の位置に安定して位置決めすることができる端子台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る端子台は、コイル装置を構成する巻線の先端部に取り付けられた端子を支持する端子台であって、前記端子を所定の位置に支持する本体部と、前記本体部に装着されて前記本体部と共に前記端子を支持する装着部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る端子台では、本体部と装着部を有し、巻線の先端部に取り付けられた端子を支持可能に構成されている。この端子台は、本体部によって所定の位置で端子を支持するため、配線基板などとの接続位置で端子を位置決めすることができる。端子台は更に、本体部に装着される装着部によって端子の移動を規制する。従って、当該装着部により、巻線の移動に伴う抵抗力による端子の移動を規制することができる。これにより、巻線の先端部に取り付けられた端子を所定の位置に安定して位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るトランス(コイル装置)の斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るトランスの分解斜視図である。
【
図3】
図1の1II-III線に沿って切断した状態を示すトランスの断面図である。
【
図5】
図4のV-V線に沿って切断した状態を示す巻線の断面図である。
【
図6】(A)は、本実施形態に係るボビンの正面側斜視図であり、(B)は、ボビンの背面側斜視図である。
【
図7】本実施形態に係るボビン同士が軸方向に連結する状態と径方向連結する状態を説明するための図である。
【
図8】本実施形態に係るコイルモジュールの一例である。
【
図9】本実施形態に係る端子台と配線基板との関係を示す側面図である。
【
図10】本実施形態に係る端子台の背面側斜視図である。
【
図11】本実施形態に係る端子台の正面側斜視図である。
【
図12】本実施形態に係る端子台の本体部に装着部を装着する手順を説明するための端子台の分解図である。
【
図13】本実施形態に係るボビンの第1の変形例を示す
図6(A)に対応する斜視図である。
【
図14】(A)、(B)はそれぞれ、第1の変形例に係るコイルモジュールの一例である。
【
図15】本実施形態に係るボビンの第2の変形例を示す図であって、(A)はボビンの正面側斜視図であり、(B)はボビンの背面側斜視図である。
【
図16】第2の変形例に係る二つのボビンを径方向に連結し、巻線を巻き付けた状態を示す正面図である。
【
図17】本実施形態に係る端子台の変形例を示す背面側斜視図である。
【
図18】変形例に係る端子台の装着部に端子を挿通する手順を説明するための斜視図である。
【
図19】変形例に係る端子台の本体部に装着部を装着する手順を説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1実施形態に係るトランス1と、トランス1に用いられるボビン3について
図1~
図12を参照して説明する。本実施形態では、説明の便宜上、各図中に適宜示す上下、左右、前後の矢印で示す方向を、それぞれ上下方向、左右方向、前後方向と定義して説明する。また、各図中においては、図面を見易くするため、一部の符号を省略している場合がある。
【0011】
図1及び
図2に示されるように、コイル装置としてのトランス1は、フェライトコア等の磁性材料で形成されたコア2と、コア2が挿通された四つのボビン3(A~D)と、ボビン3に巻き付けられた巻線4(41,42)と、を備えている。トランス1は、上方側に開口した箱型のケース5内に収容されており、ケース5の底壁5Aに載置されている。ケース5は、例えば樹脂成形品であり、電動2輪車に搭載されるオンボードチャージャーのアルミダイカスト筐体の搭載面に配置されている。ケース5の内部には、ケース5の内側面とトランス1の間にポッティング用の樹脂材料が充填されており、樹脂材料が硬化することによりトランス1をケース5内の所定の位置に固定している。
【0012】
コア2は、柱状に形成された二つの脚部21と、二つの脚部21の軸方向の両側に配置される一対のコア側部22とでトランスの磁気回路を構成している。二つの脚部21は、左右方向に間隔を空けて配置され、それぞれが、前後方向を軸方向とする円柱状のブロック体を成している。一対のコア側部22は、前後方向に間隔を空けて並んでおり、二つの脚部21の軸方向の両側に配置されている。一対のコア側部22は、前後方向に所定の厚みを有し、左右方向に長い板状のブロック体を成している。一対のコア側部22の対向する側面は、それぞれが、二つの脚部21の軸方向の一端面に当接している。上記構成により、二つの脚部21及び一対のコア側部22によって平面視で矩形枠状の磁気回路が形成されている。二つの脚部21と一対のコア側部22は、後述するように、複数のボビンが連結されたコイルモジュールM1に取り付けられた後、外装用の絶縁テープT1を巻き付けることにより互いに接合されている。
【0013】
トランス1は、上述したコア2の二つの脚部21が挿通するコイルモジュールM1を有している。コイルモジュールM1の両側には、絶縁シート6を介して一対のコア側部22が配置されている。コイルモジュールM1は、同一構造の四つのボビン3A,3B,3C,3Dを、軸方向及び径方向に連結して構成されており、トランス1の1次コイルと2次コイルを構成する巻線4(41,42)を含んでいる。より具体的には、このコイルモジュールM1では、第1連結群M11のボビン3A,3Bと第2連結群M12のボビン3C,3Dとを軸方向に連結している。第1連結群M11と第2連結群M12との間には、シート状の絶縁シート6が配置されている。第1連結群M1は、径方向に連結された二つのボビン3A,3Bを有しており、ボビン3A,3Bには、トランス1の1次コイルを構成する第1巻線41が巻き付けられている。第2連結群M12は、径方向に連結された二つのボビン3C,3Dを有しており、ボビン3C,3Dには、トランス1の2次コイルを構成する第2巻線42が巻き付けられている。絶縁シート6は、巻線4(電線)、コア2などの構成部材間で必要な絶縁距離を確保することが難しい場合に、絶縁シート6を挿入する部分の形状に合わせて絶縁距離の確保が可能な形状に形成されている。なお、絶縁距離が十分に確保できる場合には、絶縁シート6は省略することができる。
【0014】
即ち、トランス1では、1次コイルと2次コイルとを軸方向に分割して配置しており、トランス1を疎結合にすることでリーケージインダクタンスを大きくしている。このリーケージインダクタンスを共振用のL(インダクタンス値)として利用している。トランス1は、一例として、電動2輪車に搭載されるオンボードチャージャーに組み込まれる。このような回路においては、トランス1の大電流化や高周波化への対応が求められる。
【0015】
本実施形態では、同一構造の四つのボビン3A,3B,3C,3D同士を軸方向及び径方向に連結可能としたことで上記トランス1のようにトランスの1次側と2次側を切り分けて構成するモジュール構造にも容易に対応可能となっている。また、四つのボビン3A,3B,3C,3DでトランスのコイルモジュールM1を構成した場合、トランス1の大電流化及び高周波化への対応も可能となっている。
【0016】
以下、コイルモジュールM1を構成する各ボビン3A,3B,3C,3Dについて詳細に説明する。なお、各ボビン3A,3B,3C,3Dを特に区別しない場合は、ボビン3と称して説明する。また、第1巻線41と第2巻線42を特に区別しない場合は、巻線4と称して説明する。
【0017】
図6に示すように、ボビン3は、絶縁性を有する樹脂で一体成形されており、巻線4が巻き付けられる筒部31を有している。筒部31は、前後方向を軸方向とする円筒状に形成されており、内側にコア2の脚部21を挿通可能に構成されている。
【0018】
ボビン3は、筒部31の軸方向の一端部(
図6では前端部)に繋がって設けられた第1鍔部32と、筒部31の軸方向の他端部(
図6では後端部)に繋がって設けられた第2鍔部34と、を有している。第1鍔部32と第2鍔部34は、それぞれが筒部31の外周面から鍔状に突出しており、軸方向に一定の板厚を有している。また、第1鍔部32及び第2鍔部34は、筒部31の軸方向から見て矩形状に形成されている。
【0019】
第1鍔部32と第2鍔部34には、一つの第1連結部36がそれぞれ設けられている。第1連結部36は、同一構造の別のボビン3を軸方向に連結させる連結機構であり、一つの第1凸部361と一つの第1凹部362とが一組になって構成されている。第1凸部361は、軸方向における第1鍔部32及び第2鍔部34の表面32A,34Aから軸方向外側に突出した円柱状の凸部である。第1凹部362は、第1鍔部32及び第2鍔部34を軸方向に貫通する貫通孔である。円柱状の第1凸部361は、別のボビン3に形成された第1凹部362に挿通させることができる。なお、第1凹部362は、成形品に厚みがある場合は貫通孔である必要はない。
【0020】
第1鍔部32及び第2鍔部34に設けられた各第1連結部36は、ボビン3を軸方向から見た場合に、重なる位置に配置されている。また、軸方向に重なる位置に設けられた第1連結部36同士は、第1凸部361の位置と第1凹部362の位置が上下逆位置に配置されている。具体的に、
図6に示すボビン3では、第1鍔部32の第1凸部361は、軸方向における第1鍔部32の表面32Aの右下の角部に形成されている。また、第1凹部362は、軸方向における第1鍔部32の表面32Aの右上の角部に形成されている。一方で、第2鍔部34では、第1凸部361は、軸方向における第2鍔部34の表面34Aにおいて、右上の角部に形成されている。また、第1凹部362は、軸方向における第2鍔部34の表面34Aにおいて、右下の角部に形成されている。
【0021】
図7に示すように、同一構造の二つのボビン3を軸方向に並べると、一方のボビン3の第1鍔部32に設けられた第1連結部36が、他方のボビン3の第2鍔部34に設けられた第1連結部36と対向して配置される。そして、互いの第1連結部36の第1凸部361と第1凹部362とが軸方向に対向するため、二つのボビン3を軸方向に近づけることで一方のボビン3の第1凸部361が他方のボビン3の第1凹部362に挿入される。このように、二つのボビン3の第1連結部36同士を接続させることにより、同一構造の二つのボビン3を軸方向に連結することができる。第1凸部361及び第1凹部362の直径寸法は略同じ寸法になっているため、第1凸部361を第1凹部362に挿入することにより、二つのボビン3の軸方向の連結を固定保持することができるようになっている。
【0022】
上記構成の第1凸部361と第1凹部362は、矩形板状の第1鍔部32及び第2鍔部34における角部に配置されている。本実施形態では、第1凸部361及び第1凹部362に対応する角部が直角形状の他の角部の形状と異なりR状に面取りされているため、ボビン3を把持した際の感触で第1連結部36の位置を直観的に認識可能となっている。
【0023】
一方、第1鍔部32と第2鍔部34には、それぞれ一つの第2連結部38が設けられている。第2連結部38は、同一構造の別のボビン3を径方向に連結させる連結機構であり、一つの第2凸部381と一つの第2凹部382とが一組になって構成されている。第2凸部381は、径方向における第1鍔部32及び第2鍔部34の側面32R,34R(
図6では何れも左側面)から突出した板状の凸部である。第2凹部382は、径方向における第1鍔部32及び第2鍔部34の側面32R,34Rに設けられた矩形溝状の凹部である。第2連結部38の第2凸部381は、別のボビン3に形成された第2凹部382の内側に挿入することができる。
【0024】
図7に示すように、同一構造の二つのボビン3を径方向(
図7では左右方向)に連結する際は、一方のボビン3を他方のボビン3に対して軸周りに180°回転させた姿勢で配置する。この状態では、二つのボビン3の第2連結部38同士が径方向に向かいあって配置される。また、径方向に向かい合う第2連結部38同士は、第2凸部381の位置と第2凹部382の位置が上下逆位置に配置される。従って、一方のボビン3の第2凸部381が他方のボビン3の第2凹部382と径方向に対向するため、二つのボビンを径方向に近づけることで一方のボビン3の第2凸部381が他方のボビン3の第2凹部382に挿入される。このように、二つのボビン3の第2連結部38同士を接続させることにより、同一構造の二つのボビン3を径方向に連結することができる。第2凸部381及び第2凹部382の上下幅寸法は略同じ寸法になっているため、第2凸部381を第2凹部382に挿入することにより、二つのボビン3の径方向の連結を固定保持することができるようになっている。
【0025】
図8には本実施形態のコイルモジュールM1を構成する四つのボビン3A,3B,3C,3Dが図示されている。上述したように、コイルモジュールM1の前方側で径方向に連結したボビン3A,3B(第1連結群M11)には、1次コイルを構成する第1巻線41が巻き付けられる。コイルモジュールM1の後方側で径方向に連結したボビン3C,3D(第2連結群M12)には、2次コイルを構成する第2巻線42が巻き付けられる。
【0026】
図4及び
図5には、トランス1の1次コイルを構成する第1巻線41を示している。第1巻線41は、ボビン3Aの筒部31に巻き付けられる第1巻回部411と、ボビン3Bの筒部31に巻き付けられる第2巻回部412とを有している。第1巻回部411及び第2巻回部412は、一本のリッツ線で形成されており、最初に、ボビン3Aに第1巻回部411を形成した後、ボビン3Bに第2巻回部412を形成する。巻回部を形成する順番は逆でもよい。第1巻回部411と第2巻回部412は、第1巻線41の中間部41Cで接続されている。一例として、第1巻回部411及び第2巻回部412は、ボビン3の筒部31の軸方向一端から他端に向かう第1方向D1に沿ってリッツ線を螺旋状に巻き付けた後、筒部31軸方向の他端で第1方向D1と反対の第2方向D2に折り返して二層目を形成することで形成されている。上記巻き方により、一本のリッツ線を用いて径方向に連結した複数のボビン3に巻線部を形成することができる。従って、一次コイルの巻き数の調整が容易である。更に、上記巻き方で第1巻線41をボビン3A,3Bに巻き付けると、第1巻線41の両端部41A,41B及び第1巻線41の中間部41Cが、同一の方向に引き出される構造となっている。従って、一次側の回路を実装面の一方側にまとめて配置することができるので、組立時の作業効率を高めることができる。
【0027】
第1巻線41は、ボビン3Aに第1巻回部411の巻き付けが完了すると、第1巻回部411の巻崩れを防ぐため、外周面に外装用の絶縁テープT2(
図3参照)を巻き付けて固定し、第2巻回部412の巻き付けを開始する。ボビン3Bに第2巻回部412の巻き付けが完了すると、第1巻回部411と同様に、外周面に絶縁テープT2を巻き付けて固定する。その後、第2連結部38を介して二つのボビン3A,3Bを径方向に連結させ、絶縁テープT3(
図1参照)を巻き付けて、二つのボビン3A,3Bを固定する。なお、
図1では絶縁テープT2の図示を省略しており、
図3では絶縁テープT1,T3の図示を省略している。
【0028】
第2巻線42も、第1巻線41と同様の方法で、一対のボビン3C,3Dに巻き付けられている。但し、第2巻線42は、二本並んだリッツ線を巻き付けているため、巻き始めの端部と巻き終わりの端部(符号省略)を二つずつ有している。
【0029】
図1及び
図9に示すように、巻線4を構成する第1巻線41及び第2巻線42の先端部には、端子44がそれぞれ取り付けられている。これらの端子44は、一例として圧着端子で構成されており、ケース5の底壁5Aに固定された端子台7に支持されている。各端子台7では、端子台7で支持された各端子44を、端子台7の上方側に配置された配線基板8側に案内している。以下、端子台7の構成について詳細に説明する。
【0030】
図10~
図12に示すように、端子台7は、端子44を支持する本体部71と、本体部71に装着されて本体部71と共に端子44を支持する装着部72とを有している。端子台7は、ケース5の底壁5Aに形成された図示しない端子台受け部に装着もしくは一体化されて、底壁5Aに固定されている(
図1参照)。以下では、トランス1の前方側において、第1巻線41の端部41A,41Bに取り付けられた二つの端子44を支持する端子台7を中心に説明する。
【0031】
端子台7の本体部71は、絶縁性を有する樹脂材料を用いて一体成形された樹脂成型品である。本体部71は、ケース5の底壁5Aから上方側に延びる縦壁部711と、縦壁部711の両側面から後方に延びる一対の側壁部712を有している。縦壁部711は、前後方向に所定の板厚有し、上下方向に長い矩形板状に形成されている。縦壁部711において、端子44と対向する面の反対側の面(
図11では前面)の上部には、縦壁部711の板厚を部分的に薄く形成して後方側に窪んだ凹部73が形成されている。凹部73の中央には、縦壁部711の前面から前方側に突出した係合凸部74が形成されている。一対の側壁部712は、縦壁部711の左右両端部に一体に形成されており、縦壁部711から後方側に延びている。一対の側壁部712は、左右方向に所定の板厚を有する矩形板状に形成されている。
【0032】
一対の側壁部712の内側には、一対の側壁部712の上下方向の中間部に架け渡されて端子受け部713が設けられている。端子受け部713は、一対の側壁部712の内側面と縦壁部711の後面に一体に形成されており、上下方向に所定板厚を有する板状に形成されている。端子受け部713には、左右方向に所定の間隔を空けて2つの溝部75が形成されている。2つの溝部75はそれぞれ、端子受け部713を上下方向に貫通し、後方側に開口している。更に、端子受け部713において、2つの溝部75の間には、一つの隔壁部714が設けられている。隔壁部714は、端子受け部713の上面から上方側に延びており、端子受け部713の上面と縦壁部711の後面と一体に形成されている。この隔壁部714は、左右方向に所定の板厚を有する板状に形成されており、縦壁部711と一体に設けられた一端面と反対側の一端面(
図12では後面)に後方側に突出した係合凸部74を有している。
【0033】
図12に示すように、端子受け部713には、第1巻線41の端部41A,41Bに取り付けられた二つの端子44が、隔壁部714の両側にそれぞれ挿入される。隔壁部714の両側に端子44を挿入すると、端子受け部713に形成された二つの溝部75の内側に第1巻線41の端部41A,41Bがそれぞれ挿入され、端子44の下端部が端子受け部713の上面に載置される。このようにして、端子台7では、第1巻線41に取り付けられた二つの端子44を本体部71で支持することができる。
【0034】
装着部72は、絶縁性を有する樹脂材料を用いて一体成形された樹脂成型品である。装着部72は、本体部71の上面を覆う覆い部721と、覆い部721の前後端部から下方に延びる一対の装着壁部722を有している。覆い部721は、上下方向に所定の板厚を有する板状部材であり、本体部71の一対の側壁部712の間の空間を上方側から覆うことができる大きさを有している。覆い部721には、覆い部721を上下貫通する二つの貫通孔76が左右方向に間隔を空けて形成されている。装着部72を本体部71に装着した状態では、本体部71に支持された二つの端子44が覆い部721の二つの貫通孔76にそれぞれ挿通されて、端子44の移動が規制される。一対の装着壁部722は、覆い部721の前後両端部に一体に形成されており、覆い部721から下方側に延びている。一対の装着壁部722は、それぞれが前後方向に所定の板厚を有する板状に形成されており、装着壁部722を前後方向に貫通する長孔状の係合凹部77を有している。上記構成の装着部72は、ケース5に固定された本体部71に対し、上方側からアクセスして装着が可能とされている。具体的に、先ず、本体部71の端子受け部713に端子44を挿入して支持させた後に、一対の装着壁部722の間に本体部71の上部を挿入する。一対の装着壁部722を
図10及び
図11に示す係合位置まで挿入すると、係合凹部77の内側に係合凸部74が挿入され、係合凹部77の縁に係合する。これにより、装着部72の本体部71への装着が完了する。
【0035】
上記のように本体部71及び装着部72よって支持された各端子44は、端子台7の上方側に配置された配線基板8側に案内される。各端子44の先端側は、配線基板8を貫通する貫通孔81に挿通されて、配線基板8の上面に突出した部位がはんだ付けされることにより、配線基板8の実装面に接続される。端子台7では、二つの端子44の間に隔壁部714が配置され、二つの端子44の間の絶縁距離を確保している。また、端子台7によって端子44の移動が規制されているため、端子台7の上方側から配線基板8を規定の位置に設置することで、配線基板8の貫通孔81へ端子44を挿通させることができる。
【0036】
(作用並びに効果)
以上説明したように、本実施形態のトランス1では、トランス1の1次コイルを構成する第1巻線41とトランス1の2次コイルを構成する第2巻線42が巻き付けられた四つのボビン3(A~D)を有している。それぞれのボビン3は、巻線4の巻き付けられる筒部31と、筒部31の軸方向の一端と他端にそれぞれ繋がって設けられた第1鍔部32と第2鍔部34を有している。ボビン3は、筒部31の軸方向における第1鍔部32及び第2鍔部34のそれぞれの表面32A,34Aに形成された第1連結部36を有している。同一構造のボビン3同士は、第1連結部36を介して軸方向に連結可能となっている。また、ボビン3は、筒部31の径方向における第1鍔部32及び第2鍔部34のそれぞれの側面32R,34Rに形成された第2連結部38を有している。同一構造のボビン3同士は、第2連結部38を介して径方向に連結可能に構成されている。このようにして、ボビン3は、同一構造の別のボビン3と、軸方向及び径方向に直接連結することができる。従って、トランス1の性能(種類)や搭載スペースに対応してボビンの連結構造を容易に変更することができるため、ボビンの汎用性を高めることができる。
【0037】
具体的に、上記実施系形態のトランス1では、四つのボビン3(A~D)を軸方向及び径方向に連結してトランスのコイルモジュールM1を構成している。コイルモジュールM1では、コイルモジュールM1を構成する各ボビン3A,3B,3C,3D同士が第1連結部36を介して軸方向に連結可能に構成されている。従って、トランスの1次コイルと2次コイルとを別々のボビン3に形成した場合、トランス1のように、1次コイルと2次コイルとを同軸上で分割して配置させるコイルモジュールを容易に実現することができる。
【0038】
更に、ボビン3同士は第2連結部38を介して径方向にも連結可能であるため、二つのボビン3を径方向に連結したボビン群(第1連結群M11,第2連結群M12)に同じ相の巻線を巻き付けることにより、1次コイルと2次コイルの巻き数を調整することができる。
【0039】
ところで、1次コイルと2次コイルの結合係数は、1次コイル(第1巻線41)と2次コイル(第2巻線42)との間の距離によっても調整が可能であるところ、本実施形態では、1次コイルと2次コイルとの間に、第1連結群M11を構成するボビン3A,3Bの第2鍔部34と、第2連結群M12を構成するボビン3C,3Dの第1鍔部32とが配置されている。従って、第1鍔部32と第2鍔部34の板厚の調整によって1次コイルと2次コイルの結合係数を調整が可能であり、コイル間の結合係数の調整のために複雑な巻線構造を要しない構成となっている。
【0040】
更に、第1コイルと第2コイルの間には、第1鍔部32と第2鍔部34によって空間的な隔たりがあるため、コイル間の絶縁の確保が容易であり、トランス1の大電流化にも容易に対応可能となっている。
【0041】
更に、1次コイルと2次コイルとの間に配置された第1連結群M11を構成するボビン3A,3Bの第2鍔部34と、第2連結群M12を構成するボビン3C,3Dの第1鍔部32とは、第1連結部36を介して連結されているため、分離と結合が容易である。従って、本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、第1鍔部32と第2鍔部34の間に絶縁シート6を挿入してコイル間の絶縁を確保することができる。
【0042】
このようにして、上記実施形態のボビン3によれば、トランス等のコイル装置の性能(種類)や搭載スペースに応じたコイルモジュールを実現することができる。
【0043】
また本実施形態では、ボビン3に形成された第1連結部36が、一組の第1凸部361と第1凹部362で構成されており、第2連結部38においても、一組の第2凸部381と第2凹部382で構成されている。そして、同一構造のボビン3同士は、軸方向又は径方向に連結すると、互いの第1連結部36又は第2連結部38同士が組み合わさって一組の凸部と凹部を構成し、接続可能に機能する。従って、簡単な構造でボビン3同士の適切な連結位置を案内することができるため、組立時の作業性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態のコア2によれば、巻線4に挿通する脚部21とコア側部22とを別々に成形し、コイルモジュールM1に合わせた組付けを可能としている。従って、複数種類のコイル装置間で共通のコア2を用いることが可能となる。
【0045】
ところで、本実施形態のトランス1は、電動2輪車に搭載されるオンボードチャージャーに組み込まれるため、トランスの大電流化への対応が求められる。これに伴い、トランス1の巻線4を構成するリッツ線の径が大きくなるため、接続先への巻線4の移動に伴う巻線4の抵抗力が大きい。従って、巻線4の端子44を配線基板等にはんだ付けする際には、端子44の位置決めを安定させる必要がある。
【0046】
そこで、本実施形態では、端子台7を用いて、巻線4の先端部に取り付けられた端子44を配線基板8に挿通する位置に支持可能に構成されている。この端子台7は、本体部71と装着部72とを有しており、本体部71で端子44を所定の位置で支持すると共に、本体部71に装着される装着部72で端子44の移動を規制する。これにより、端子44を所定の位置に安定して位置決めすることができるため、配線基板8と端子44をはんだ付けする際の作業性が向上する。
【0047】
また、本実施形態では、本体部71に装着される装着部72は、本体部71の端子受け部713に端子44が挿入されて保持された状態で本体部71に装着可能に構成されている。従って、端子44及び装着部72を、本体部71に対して順番に取り付けることができるため、作業性に優れる。
【0048】
また、装着部72は、端子44が支持された状態の本体部71に装着することができるため、本体部71で端子44を支持して仮留めした状態にし、周辺の実装部品の組付けを同時に行うことができる。これにより、コイル装置を組み込んだ製品の組立作業を効率化することで作業時間の短縮化を図ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、装着部72の貫通孔76に端子44が挿通されて端子44の移動が規制される。上記構成による端子44の規制は、装着部72を本体部71に装着させると同時に完了するため、作業性に優れる。
【0050】
また、本実施形態では、端子台7の本体部71へ装着部72を装着する作業と、端子台7に支持された端子44を配線基板8に挿通する作業と、配線基板8と端子44をはんだ付けする作業とを同一の方向から行うことができるため、作業性に優れる。
【0051】
以下、
図13及び
図14を参照して、上記実施形態のボビン3の第1の変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。上記実施形態に係るボビン3では、第1鍔部32及び第2鍔部34における径方向の側面32R,34Rにそれぞれ一つの第2連結部38が形成されている。これに対し、第1変形例に係るボビン50では、第1鍔部52及び第2鍔部54における径方向の側面32R,34Rに三つの第2連結部38が形成されている。他の構成については、上記実施形態のボビン3と同一である。
【0052】
ボビン50は、巻線4が巻き付けられる筒部51と、筒部51の軸方向の一端部に繋がって設けられた第1鍔部52と、筒部51の軸方向の他端部に繋がって設けられた第2鍔部54と、を備えている。第1鍔部52及び第2鍔部54における径方向の側面32R,34Rには、ボビン50の上側面、下側面、及び左側面を構成する位置に第2連結部38がそれぞれ設けられている。
【0053】
上記構成のボビン50によれば、ボビン50の径方向に沿った3つの方向に同一構造の別のボビン50を連結することができる。従って、
図14(A)に示すコイルモジュールM2のように、四つのボビン50を径方向に2行2列に配列した連結群M21~23を軸方向に複数連結することでコイルモジュールM2を拡張することが可能になる。また、
図14(B)に示すコイルモジュールM3のように、径方向に連結された二つのボビン50の連結側面に跨がるようにして、同一構造の別のボビン50を連結することが可能となる。
【0054】
ボビン50では一例に過ぎず、筒部の軸方向の一端に繋がって設けられた第1鍔部又は第2鍔部の径方向の側面に複数の第2連結部を形成することで径方向に沿った複数の方向にボビン同士を連結させることができる。従って、第1鍔部又は第2鍔部の径方向の側面に設けられる第2連結部の数は、二つでもよく、四つでもよい。
【0055】
以下、
図15及び
図16を参照して、上記実施形態のボビン3の第2の変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。この第2の変形例に係るボビン60では、筒部61に繋がって設けられた第1鍔部62に、コア収容壁部65と、テープ案内溝部66と、巻線案内壁部67と、が一体に形成されている点に特徴がある。他の構成については、上記実施形態のボビン3と同一である。
【0056】
図15に示すように、ボビン60は、巻線4が巻き付けられる筒部61と、筒部61の軸方向の一端部に繋がって設けられた第1鍔部62と、筒部61の軸方向の他端部に繋がって設けられた第2鍔部64と、を備えている。第1鍔部62における軸方向の表面62A(
図15では前面)には、軸方向外側に突出したコア収容壁部65が形成されている。コア収容壁部65は、軸方向から見て、一方向に開口した矩形溝状(略U字状)に形成されており、第1鍔部62の径方向の側面62Rに形成された第2連結部38側に開口している。
図16に示すように、二つのボビン60を径方向に連結させると、二つのボビン60のコア収容壁部65の端部同士が連続して繋がり、軸方向から見て矩形枠状の壁部が形成される。二つのコア収容壁部65による矩形状の枠の内側には、コア2の側部を構成するコア側部22が挿入可能となっている。これにより、二つのボビン60に跨ってコア側部22を配置する場合に、各ボビン60のコア収容壁部65によってコア側部22が支持され、コア2の位置決めを安定させることができる。
【0057】
更に、ボビン60では、コア収容壁部65の外側において、矩形溝状のテープ案内溝部66が形成されている。テープ案内溝部66は、第1鍔部62を軸方向に貫通し、径方向外側(
図15では右側)に開口した矩形溝部である。
図16に示すように、二つのボビン60を径方向に連結させると、二つのボビン60のテープ案内溝部66が、コアモジュールM4の幅方向(左右方向)の外側に配置される。従って、テープ案内溝部66に従って外装用の絶縁テープT1を巻き付けることで、コア2の接合を容易に行うことができる。
【0058】
また、ボビン60は、コア収容壁部65の外側に、巻線案内壁部67を有している。巻線案内壁部67は、径方向における第1鍔部62の上側面と下側面に繋がって設けられており、コア収容壁部65から径方向外側に突出した第1~第3壁部67A,67B,67Cを有している。第1~第3壁部67A,67B,67Cは、軸方向に所定の板厚を有する板状に形成されており、互いに間隔を空けて配置されている。従って、第1~第3壁部67A,67B,67Cの間には、第1鍔部62によって隔たれたボビン60の内外を連通させる二つの溝部68が形成されている。
図16に示すように、二つのボビン60を径方向に連結させると、二つのボビン60において、第2連結部38の近傍に配置された第3壁部67C同士が連続して繋がり、二つのボビン60が隙間なく連結される。この状態では、二つのボビン60の上端部と下端部に、ボビン60の内外を連通させる四つの溝部68がコアモジュールM4の幅方向に並んで配置される。コアモジュールM4に上述した第1巻線41を巻き付けると、コアモジュールM4の幅方向両側に位置する二つの溝部68を通って第1巻線41の端部41A,41Bが引き出されている。また、コアモジュールM4の幅方向内側に位置する二つの溝部68では、二つの溝部68を通って第1巻線41の中間部41Cが引き出されている。このようにして、第1鍔部62と一体に巻線案内壁部67を形成したため、第1巻線4の端部41A,41B及び中間部41Cの引き出しが容易である。また、巻線4の引出部分が巻線案内壁部67の溝部68に収容されて案内されて、ボビン60の径方向外側に突出しないため、周辺装置と巻線4との干渉を回避することができる。
【0059】
以下、
図17~
図19を参照して、上記実施形態の端子台7の変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。変形例に係る端子台9では、本体部91に装着される装着部92に、端子94が挿入される端子受け部98が設けられている点に特徴がある。なお、本変形例に係る端子94は、巻線4の先端部に圧着される筒状の固定部941と、固定部941の一端から延び、中間部がS字状に湾曲したリード部942とを有している。
【0060】
図17~
図19に示すように、端子台9は、端子94を支持する本体部91と、本体部91に装着されて本体部91と共に端子94を支持する装着部92とを有している。本体部91は、絶縁性を有する樹脂材料を用いて一体成形された樹脂成型品であり、ケース5の底壁5Aから上方側に延びる縦壁部911と、縦壁部911の両側面から後方へ延びる一対の側壁部912を有している。縦壁部911は、前後方向に所定の板厚有し、上下方向に長い矩形板状に形成されている。縦壁部911の後面の上端には、縦壁部911から後方側へと突出した係合凸部95が形成されている。一対の側壁部912は、縦壁部911の左右両端部に一体に形成されており、縦壁部911から後方側に延びている。一対の側壁部912は、左右方向に所定の板厚を有する矩形板状に形成されている。一対の側壁部912の対向する側面には、上下方向に延びる支持溝96がそれぞれ形成されている。支持溝96は、一対の側壁部912の上端から側壁部912の上下方向の中間部に達する位置まで延びており、一対の側壁部912の内側に向かって開口した矩形溝状に形成されている。
【0061】
装着部92は、絶縁性を有する樹脂材料を用いて一体成形された樹脂成型品であり、本体部91の支持溝96に挿入される支持板部921と、支持板部921と一体に形成される隔壁部922と、隔壁部922の両側に形成される端子受け部98と、を有している。支持板部921は、前後方向に所定の板厚を有する矩形板状部材であり、左右方向の両端部が、本体部91の一対の側壁部912に設けられた支持溝96に挿入可能に構成されている。隔壁部922は、支持板部921の前面(本体部91に装着されたときに、本体部91の縦壁部911と対向する面)から前方側に突出しており、左右方向に所定の板厚を有する矩形板状に形成されている。隔壁部922の上面には、下方側に窪んだ係合凹部97が形成されている。
【0062】
隔壁部922の左右両側には、端子受け部98が形成されている。端子受け部98は、隔壁部922の上端部から左右両側に突出した上部覆い部981と、隔壁部922の下端部から左右両側に突出した下部覆い部982とを有している。上部覆い部981及び下部覆い部982は、支持板部921との間に間隔を空けて延びており、これにより、支持板部921と上部覆い部981との間に第1溝部101が形成され、下部覆い部982と支持板部921との間に第2溝部102が形成されている。
【0063】
図18に示すように、上記構成の端子受け部98には、左右両側から端子94が挿入される。端子94は、端子受け部98の第1溝部101に端子94のリード部942を挿入し、下方側の第2溝部102に端子94の固定部941を挿入する。端子94の挿入状態では、筒状の固定部941が上部覆い部981と下部覆い部982の間に収容されて保持される。これにより、端子94が装着部92に保持されて、装着部92に対する端子94の移動が規制される。また、二つの端子94の間に隔壁部922が配置され、端子94間の絶縁距離が確保されている。
【0064】
図19に示すように、装着部92を本体部91に装着させる際は、先ず、上記のように端子94を装着部92に挿入して保持させた後に、支持板部921の両端を本体部91の上方側から支持溝96に挿入する。支持板部921を、
図17に示す係合位置まで摺動させると、支持板部921の係合凹部97に縦壁部911の係合凸部95が挿入されて係合する。これにより、装着部92の本体部91へ装着が完了する。
【0065】
上記構成によれば、端子台9の装着部92側に端子受け部98が形成されている。従って、装着部92が本体部91に装着される前に、作業者の任意の位置で装着部92に端子94を取り付けることができるため、作業性に優れる。
【0066】
[補足説明]
上記実施形態では、第1鍔部32と第2鍔部34の表面32A,34Aにそれぞれ第1連結部36を形成したので、ボビン3の軸方向の両側に、同一構造の別のボビン3を連結することが可能となっている。但し、これに限らず、ボビン3の軸方向の一方側にのみ同一構造の別のボビン3を連結する場合は、第1連結部36は、第1鍔部32における軸方向の表面32A又は、第2鍔部34における軸方向の表面34Aの一方に設ければよい。
【0067】
上記実施形態では、二つのボビン3の連結強度を高めるために、第1鍔部32と第2鍔部34の径方向の側面32R,34Rにそれぞれ第2連結部38を形成した。但し、本発明はこれに限らず、第1鍔部32の径方向の側面32R、又は、第2鍔部34の径方向の側面34Rの一方に第2連結部38を設ける構成としてもよい。
【0068】
上記実施形態及び各変形例では、第1連結部36及び第2連結部38が一組の第1及び第2凸部と、第1及び第2凹部で構成される構成としたが本発明はこれに限らない。連結部の連結強度を高めるために嵌合構造や圧入等の方法で連結してもよい。
【0069】
上記実施形態では、本発明のコイル装置をトランスとして構成し、1次コイルと2次コイルとを別々のボビンに形成する構成としたが、本発明はこれに限らない。トランスの1次コイルと2次コイルの巻き付け方は、適宜変更可能である。また、コイル装置はトランスに限らず、チョークコイル等の他の種類のコイル装置を構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 コイル装置
4 巻線(41,42)
7 端子台
8 配線基板
9 端子台
44 端子
71 本体部
72 装着部
713 端子受け部
76 貫通孔
91 本体部
92 規制部
98 端子受け部