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特開2022-164107編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機
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  • 特開-編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164107
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機
(51)【国際特許分類】
   D04B 15/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
D04B15/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069386
(22)【出願日】2021-04-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】393010101
【氏名又は名称】佰龍機械廠股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 裕盛
(72)【発明者】
【氏名】蔡 賢徳
【テーマコード(参考)】
4L054
【Fターム(参考)】
4L054AA01
4L054LA05
4L054NA03
4L054NA05
(57)【要約】
【課題】従来の円形編み機は編み物の表面状態の検出結果から直すべき部分を判断できないという問題、玉揚げと同時に瑕疵を検出できないことに関連する問題を解決する。
【解決手段】 編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機であって、シリンダと、撮影モジュールと、情報処理装置と、エンコーダとを含み、撮影モジュールは玉揚げ中の編み物に対して撮影でき、撮影モジュールのカメラはシリンダに従って回転せず、カメラの撮影のタイミングは複数の撮影信号によって決定される。情報処理装置は撮影モジュールによって生成された複数の画像データを受信し、画像比較を行い、同じ垂線上に位置するこれらの画像データで連続的な2つに差異がある場合、編み機の状態を知らせる。シリンダの回転によってエンコーダは複数のパルス信号を生成し、エンコーダはこれらのパルス信号を撮影モジュール又は情報処理装置に出力し、受信側はこれらのパルス信号をカウントして撮影信号を生成させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム受けと、駆動を受けて前記カム受けに対して回転するシリンダとを有する、織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機であって、前記円形編み機が作業して編み上げた織物は前記シリンダの前記カム受けから遠い側より玉揚げされる円形編み機において、
玉揚げ中の織物に対し撮影して複数の画像データを生成させる撮影モジュールであって、前記撮影モジュールのカメラは前記シリンダに従って回転せず複数の撮影信号の制御下で玉揚げ中の前記織物に対して撮影する前記撮影モジュールと、
これらの画像データを受信し、これらの画像データのそれぞれを前記シリンダの少なくとも前の1周の回転で撮影された画像データで同じ垂線上に位置する他方の画像とだけ比較し、差異があると編み機の状態を知らせる情報処理装置と、
前記シリンダの回転によって複数のパルス信号を生成するエンコーダであって、これらのパルス信号を前記撮影モジュール又は前記情報処理装置に出力し、受信側はこれらのパルス信号をカウントして前記撮影信号を生成させ、前記受信側のカウント値は前記シリンダが1周回転する時のパルス信号の総数の因数である前記エンコーダとを含むことを特徴とする、織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項2】
前記撮影モジュールの撮影回数は中心角を等しく分け、且つ前記シリンダに対応する複数の編み針の総数を整除する数値であることを特徴とする請求項1に記載の織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項3】
前記複数の画像データに含まれる横方向ループ画像の数量が同じで、これらの横方向ループ画像のそれぞれは前記円形編み機の複数の編み針の1つに対応することを特徴とする請求項1又は2に記載の織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項4】
前記複数の画像データに含まれる縦方向ループ画像の数量が同じで、これらの縦方向ループ画像の長さの和は前記シリンダの1周回転分の玉揚げ量に比例することを特徴とする請求項3に記載の織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項5】
前記円形編み機は前記カメラが前記シリンダの包囲領域内に吊るされるように取付けアームを含むことを特徴とする請求項4に記載の織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項6】
前記取付けアームは前記シリンダの包囲領域の中心からずれることを特徴とする請求項5に記載の織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項7】
前記円形編み機は前記カメラが前記シリンダの包囲領域内に吊るされるように取付けアームを含むことを特徴とする請求項1に記載の織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項8】
前記取付けアームは前記シリンダの包囲領域の中心からずれることを特徴とする請求項7に記載の織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項9】
前記情報処理装置は前記複数の画像データにおける有彩色画素ごとに比較することを特徴とする請求項7又は8に記載の織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編み機の状態判断が可能な円形編み機に関し、特に、織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機に関する。
【背景技術】
【0002】
円形編み機の作業品質とは、言い換えれば織物表面に瑕疵があるかどうかのことで、瑕疵の発生は円形編み機上の複数の編み針の摩耗状況に大きく関係している。複数の編み針で1本の下縁が多く削られた場合には、当該1本が所定の高さまで持ち上げられないため、ラッチ部が完全に広がらないこと、前の糸ループが処理されずに編み針が2本の糸で編み模様が誤ること、フック部が新しい糸に引っ掛からず織物に穴が出来ることがある。また、複数の編み針で1本の上縁が多く削られた場合には、糸ループが抜けずに残ると織物に穴ができ、編み上げたものに不自然の模様が現われること、糸ループがそれまでより小さくなり織物に不自然の模様が現われることがある。
【0003】
従来、織物の品質検出に関する技術案が多くあり、例えば、特許文献1~8などの特許がある。これらの従来技術では編み作業の品質検出を行うのは円形編み機が編み上げた後で、織物に瑕疵が見つかっても、円形編み機の複数の編み針のどちらを交換すべきか判断できないもので、そのため織物に瑕疵が見つかった場合に、業界では円形編み機の全ての編み針を取り替えることが一般的な処理である。円形編み機は一般に編み針の数量が1500~2640本で、一度に多くの編み針を取り外してそれぞれに状態評価を行うのは時間的に余裕がない。資源が無駄になり、生産コストが増える要因でもある。
【0004】
上記のものの他にも、円形編み機において織物の品質検出を行う技術案があり、例えば、特許文献9~11がある。当該技術は織物の品質検出に重点をおくもので検出結果と編み機の状態が関連付けられないため、編み物の品質の不具合を解消するために業者が全ての編み針を取り替える点で変わりはない。また、前記特許に係る技術案は、コンピュータが表面状態を認識して特徴学習を行わないと判断できないものである。実務上、円形編み機は1種の布地織物だけを編むように設計されたものではなく、1種の布地を編み始めてから特徴学習を行うのは、当該布地の編み作業が終わっても特徴学習が終わらない恐れがあり、実際のニーズに合わない。また、当該布地を編み始める前に特徴学習を行う場合、本生産に入る前に、コンピュータの特徴学習のために円形編み機で予め大量の織物を作らなければならず、業者にとって、大量の織物を作って廃品として処分する分だけ生産コストが増えるため、実際のニーズにも合わない。
【0005】
従来、織物工場では編み機の作業をチェックするのが人力で行われており、これだけでは織物の瑕疵は発見しにくく、瑕疵が生じた後も編み機が作業を続ける場合、玉揚げの後、織物がまとめて品質検査されるまで瑕疵が発見できず、しかも瑕疵のある織物は廃品として扱われるため、織物工場にとって資源の無駄になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国公開特許第CN102778414A号
【特許文献2】中国公開特許第CN102967606A号
【特許文献3】中国公開特許第CN103451846A号
【特許文献4】中国公開特許第CN103604809A号
【特許文献5】中国公開特許第CN108364291A号
【特許文献6】中国公開特許第CN108921819A号
【特許文献7】中国公開特許第CN109696442A号
【特許文献8】中国公開特許第CN110389130A号
【特許文献9】中国公開特許第CN105044121A号
【特許文献10】中国公開特許第CN110188806A号
【特許文献11】中国公開特許第CN111812108A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、円形編み機は織物の表面状態の検出結果から直すべき部分を判断できないという問題を解決することである。
【0008】
本発明の第2の目的は、従来の円形編み機では玉揚げと同時に瑕疵を検出できないことに関連する問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するためになされたもので、織物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機を提供し、当該円形編み機はカム受けと、駆動を受けて当該カム受けに対して回転するシリンダとを有し、当該円形編み機が作業して編み上げた織物は当該シリンダの当該カム受けから遠い側より玉揚げされ、当該円形編み機は、玉揚げ中の織物に対し撮影して複数の画像データを生成させる撮影モジュールであって、当該撮影モジュールのカメラは当該シリンダに従って回転せず複数の撮影信号の制御下で玉揚げ中の当該織物に対して撮影する当該撮影モジュールと、これらの画像データを受信し、これらの画像データのそれぞれを当該シリンダの少なくとも前の1周の回転で撮影された画像データで同じ垂線上に位置する他方の画像とだけ比較し、差異があると編み機の状態を知らせる情報処理装置と、当該シリンダの回転によって複数のパルス信号を生成するエンコーダであって、これらのパルス信号を当該撮影モジュール又は当該情報処理装置に出力し、受信側はこれらのパルス信号をカウントして当該撮影信号を生成させ、当該受信側のカウント値は当該シリンダが1周回転する時のパルス信号の総数の因数である当該エンコーダとを含む。
【0010】
一実施例では、当該撮影モジュールの撮影回数は中心角を等しく分け、且つ当該シリンダに対応する複数の編み針の総数を整除する数値である。
【0011】
一実施例では、当該複数の画像データに含まれる横方向ループ画像の数量が同じで、これらの横方向ループ画像のそれぞれは当該円形編み機の複数の編み針の1つに対応する。
【0012】
一実施例では、当該複数の画像データに含まれる縦方向ループ画像の数量が同じで、これらの縦方向ループ画像の長さの和は当該シリンダの1周回転分の玉揚げ量に比例する。
【0013】
一実施例では、当該円形編み機は当該カメラが当該シリンダの包囲領域内に吊るされるように取付けアームを含む。
【0014】
一実施例では、当該取付けアームは当該シリンダの包囲領域の中心からずれる。
【0015】
一実施例では、当該情報処理装置は当該複数の画像データにおける有彩色画素ごとに比較する。
【発明の効果】
【0016】
発明の内容に関する上記の記載から明らかなように、従来技術と比べて、本発明は次の利点を有する。本発明の円形編み機では、撮影モジュールを取り付けた後、そのカメラがシリンダに従って回転せず、カメラの撮影をトリガーするのは撮影モジュール又は情報処理装置が複数のパルス信号をカウントして生じた複数の撮影信号で、カメラが玉揚げ中の織物に対して撮影して複数の画像データを生成させる。情報処理装置は織物に対する瑕疵判断のために事前に深層学習を行う代わりに、これらの画像データのそれぞれをシリンダの少なくとも前の1周の回転で撮影された画像データで同じ垂線上に位置する他方の画像とだけ比較するため、情報処理装置の演算量が大幅に低減し、ハードウェア要件が緩和される。本発明の円形編み機において演算量が低減しながらも、判断効率が下がるばかりか、従来技術よりも速く織物における瑕疵の発生を判断でき、作業員は直ちに原因を特定して問題を解決できる。また、本発明の円形編み機は、異常が生じた画像データの1つだけで作業員は円形編み機に問題がある部分を知り、取り替えることができる。従来技術では円形編み機の複数の編み針の状態を1つずつチェックできないため、全ての編み針を取り替えることで、資源が無駄になる問題は解決される。また、本発明の円形編み機では、織物上の瑕疵を見つけると、作業員が直ちに編み機の作業を止めれば、瑕疵のある織物が生産され続けることが避けられ、瑕疵の原因を特定してから生産を再開するため、従来の実施形態では織物が完成してから瑕疵判断を行うと、廃品が多く発生する問題も避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の一実施例に係る円形編み機の一部構造概略図である。
図2図2は本発明の一実施例に係る円形編み機の一部構造断面概略図である。
図3図3は本発明の一実施例に係る円形編み機のユニット構成の概略図である。
図4図4は本発明の別の実施例に係る円形編み機のユニット構成の概略図である。
図5図5は本発明の一実施例に係る織物概略図である。
図6図6は本発明の一実施例に係る瑕疵のある織物の画像データの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を用いて、本発明の技術内容を詳細に説明する。
図1から図4が参照されるとおり、本発明は、編まれる織物30の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機20を提供する。まず、円形編み機20の基礎的な実施形態を説明し、円形編み機20は、カム受け21と、エンコーダ22と、シリンダ23とを有する。カム受け21及びシリンダ23の基礎的な形態は円形であり、シリンダ23はカム受け21の内周に設けられ、シリンダ23は(不図示の)駆動部品に連れてカム受け21に対して回転し、シリンダ23が回転すると、シリンダ23上の複数の編み針231はカム受け21上の複数のカム群211にガイドされて編み作業を行う。円形編み機20が作業して編み上げた織物30はシリンダ23のカム受け21から遠い側より玉揚げ(doffing)される。シリンダ23が回転するとエンコーダ22は複数のパルス信号221を生成し、これらのパルス信号221は規則的かつ連続的に生成され、シリンダ23の1周の回転においてエンコーダ22が生成させるパルス信号221は一定である。従来の円形編み機20においては、これらのパルス信号221はシリンダ23の回転角度を判断するために用いられるだけである。
【0019】
さらに、本発明の円形編み機20は撮影モジュール24と、情報処理装置25とを含む。撮影モジュール24は玉揚げ中の織物30に対し撮影して複数の画像データ241を生成させる。より具体的には、撮影モジュール24のカメラ242は玉揚げ中の織物30に対し撮影できる位置に設けられる。一実施例では、円形編み機20はカメラ242がシリンダ23の包囲領域内に吊るされるように取付けアーム26を含み、取付けアーム26は円形編み機20の(不図示の)糸ループ送りリングに設けられてもよいし、又は円形編み機20の外部構造に取り付けられてもよい。カメラ242の撮影距離、撮影品質などによって、取付けアーム26はシリンダ23の包囲領域の中心に位置する形態に限らず、中心からずれて設けられてもよい。本発明のカメラ242はシリンダ23に従って回転せず、つまりカメラ242は固定され、カメラ242を通りかかる物体に対し撮影する。本発明のカメラ241は絶えず織物30に対し撮影するのではないため、映像資料にならず、カメラ242は複数の撮影信号27を受けないと玉揚げ中の織物30に対し撮影しない。
【0020】
図3及び図4が参照されるとおり、撮影信号27の説明の前に、撮影モジュール24を説明する。一実施例で、記憶された演算プログラムにより受信情報に対し演算する演算装置243を備える。なお、情報処理装置25は円形編み機20の中央制御モジュールとして実施されてもよく、情報処理装置25は有線又は無線で撮影モジュール24に通信可能に接続されて、撮影モジュール24より生成されたこれらの画像データ241を受信する。撮影信号27の説明に戻ると、エンコーダ22より生成されたパルス信号221は、円形編み機20の動作制御に用いられるだけでなく、撮影モジュール24又は情報処理装置25に出力され、なお撮影モジュール24に出力するのは撮影モジュール24が演算装置242を備えることが条件である。撮影モジュール24又は情報処理装置25はこれらのパルス信号221の受信側として、これらのパルス信号221をカウントしてこれらの撮影信号27を生成させ、当該受信側のカウント値はシリンダ23が1周回転する時のパルス信号221の総数の因数である。例えば、シリンダ23の1周回転でエンコーダ22が生成させたパルス信号221の総数が2640である場合、当該カウント値は2640を整除する数値であってもよく、例えば88である。これにより、受信側である撮影モジュール24又は情報処理装置25は88のパルス信号221を受信するごとに、撮影信号27を生成する。これにより、撮影モジュール24の撮影回数はパルス信号221の総数を当該カウント値で整除した商であり、前例だと30回の撮影となる。なお、シリンダ23の1周回転で撮影モジュール24の撮影回数が同じであるように、撮影回数は中心角を等しく分ける数値で実施する。好ましくは、撮影回数はシリンダ23に対応するこれらの編み針231の総数を整除する数値である。これらの画像データ241はこれらの編み針231を等しく含む。情報処理装置25は異常が生じたこれらの画像データ241の1つで、どちらの編み針231に異常が生じるかを作業員に知らせる。前例の続きとして、これらの編み針231の総数が2640で、撮影モジュール24の撮影回数が30回であると、シリンダ23が12度回転するごとに、撮影モジュール24は1回撮影することになり、シリンダ23の1周回転で生成したこれらの画像データ241の総数は30である。これによって、これらの画像データ241のそれぞれはこれらの編み針231のうちの88本を含む。つまりこれらの画像データ241の1つがこれらの編み針231の1本目から88本目を含むと、これらの画像データ241として続いて生成されたもう1つはこれらの編み針231の89本目から176本目を含む。図5が参照されるとおり、これらの画像データ241に含まれる横方向ループ画像601の数量が同じで、且つこれらの横方向ループ画像601のそれぞれが円形編み機20上のこれらの編み針231の1つに対応する。また、これらの画像データ241に含まれる縦方向ループ画像602の数量が同じで、これらの縦方向ループ画像602の長さの和はシリンダ23の1周回転分の玉揚げ量に比例する。このようにして、後に点検の時はこれらの画像データ241のうち差異が判定された1つに基づいて速やかに直すべき対象を発見できる。
【0021】
さらに、情報処理装置25は事前に記憶された実行プログラムに基づいてこれらの画像データ241に画像比較を行い、情報処理装置25はこれらの画像データ241のそれぞれ(図5のA)をシリンダ23の前の1周の回転でカメラ24によって撮影されたこれらの画像データ241で同じ垂線50上に位置する他方の画像(図5のB)とだけ比較する。分かりやすく説明すると、比較対象であるこれらの画像データ241の1つが、シリンダ23の2周目の回転で撮影モジュール24によって撮影された24番目の画像データである場合、前記複数の画像データ241の1つと比較されるのはシリンダ23の1周目の回転で撮影モジュール24によって撮影された24番目の画像データであり、前記複数の画像データ241のうちの2つが垂線50において連続的である場合、編み作業中に織物30が連続的に玉揚げされることを示す。情報処理装置25は前記2つを比較し、差異を見つけたら編み機の状態を知らせる。具体的には、本発明で比較とは、これらの画像データ241のうち比較対象である2つに対し有彩色画素で比較することである。図6を例に説明し、図6は織物30に発生した瑕疵の一態様であり、図6から直接的にループ疎領域603が見つかり、他はループ正常領域604であり、ループ疎領域603の画像とループ正常領域604の画像は異なるもので、これらの画像データ241がいずれも電子データで、これらの画像データ241で同じ部分を構成する有彩色画素に差異があることを示す。例えば、これらの画像データ241は3原色カラーモード(RGB)で各当該有彩色画素の表示色を定義したもので、一般にこれらの画像データの同じ部分で当該有彩色画素のRGBパラメータはR227、G23、B13で、これらの画像データのうちの1つは同じ部分における当該有彩色画素のRGBパラメータがR41、G36、B33に変わると、情報処理装置25は差異が生じると判断する。なお、上記の例は説明のためのものに過ぎず、実務上、情報処理装置25は大きな範囲の画像特徴値で類似比較又は同一比較を行うことができ、画像比較技術は本願の重点ではなく、同じ効果を得る従来技術で実現させればよい。
【0022】
図6は撮影モジュール24が新たに撮影した情報で、情報処理装置25は図6と同じ垂線50上に位置し且つシリンダ23の前の1周の回転で撮影された他方の(不図示の)画像データ241と比較し、前記他方の画像データ241は正常な編み作業である場合、ループ疎領域603が生じないはずである。ループ疎領域603の有彩色画素とループ正常領域604の有彩色画素が異なり、情報処理装置25はこれらの画像データ241のうちの2つに対し全ての部分を比較した後、これらの画像データ241のうちの2つに許容値を超える差異(表示色の差異)がある場合、情報処理装置25は織物30に品質の瑕疵があると判断し、編み機の状態を知らせる。本明細書で状態を知らせることは、例えば円形編み機20の表示灯又はベルアラームを駆動して動作させ、又は情報処理装置25が有線又は無線で情報装置28に伝送する信号を作業員が読み取るように、様々な技術案で実現できる。当該情報装置は当該作業員が所持する端末であってもよいし、又は当該端末と通信可能に接続されたサーバであってもよい。これに加え、情報処理装置25は表面状態に異常が検出されると、直ちにエンコーダ22はシリンダ23の駆動信号の発信を停止するように設定されてもよく、円形編み機20が一時的に作業停止となり、品質不良の織物30が絶えず作られることが避けられる。
【符号の説明】
【0023】
20 円形編み機
21 カム受け
211 カム群
22 エンコーダ
221 パルス信号
23 シリンダ
231 編み針
24 撮影モジュール
241 画像データ
242 カメラ
243 演算装置
25 情報処理装置
26 取付けアーム
27 撮影信号
28 情報装置
30 織物
50 垂線
601 横方向ループ画像
602 縦方向ループ画像
603 ループ疎領域
604 ループ正常領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム受けと、駆動を受けて前記カム受けに対して回転するシリンダとを有する、編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機であって、前記円形編み機が作業して編み上げた編み物は前記シリンダの前記カム受けから遠い側より玉揚げされる円形編み機において、
玉揚げ中の編み物に対し撮影して複数の画像データを生成させる撮影モジュールであって、前記撮影モジュールのカメラは前記シリンダに従って回転せず複数の撮影信号の制御下で玉揚げ中の前記編み物に対して撮影する前記撮影モジュールと、
これらの画像データを受信し、これらの画像データのそれぞれを前記シリンダの少なくとも前の1周の回転で撮影された画像データで同じ垂線上に位置する他方の画像とだけ比較し、差異があると編み機の状態を知らせる情報処理装置と、
前記シリンダの回転によって複数のパルス信号を生成するエンコーダであって、これらのパルス信号を前記撮影モジュール又は前記情報処理装置に出力し、受信側はこれらのパルス信号をカウントして前記撮影信号を生成させ、前記受信側のカウント値は前記シリンダが1周回転する時のパルス信号の総数の因数である前記エンコーダとを含むことを特徴とする、編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項2】
前記撮影モジュールの撮影回数は中心角を等しく分け、且つ前記シリンダに対応する複数の編み針の総数を整除する数値であることを特徴とする請求項1に記載の編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項3】
前記複数の画像データに含まれる横方向ループ画像の数量が同じで、これらの横方向ループ画像のそれぞれは前記円形編み機の複数の編み針の1つに対応することを特徴とする請求項1又は2に記載の編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項4】
前記複数の画像データに含まれる縦方向ループ画像の数量が同じで、これらの縦方向ループ画像の長さの和は前記シリンダの1周回転分の玉揚げ量に比例することを特徴とする請求項3に記載の編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項5】
前記円形編み機は前記カメラが前記シリンダの包囲領域内に吊るされるように取付けアームを含むことを特徴とする請求項4に記載の編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項6】
前記取付けアームは前記シリンダの包囲領域の中心からずれることを特徴とする請求項5に記載の編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項7】
前記円形編み機は前記カメラが前記シリンダの包囲領域内に吊るされるように取付けアームを含むことを特徴とする請求項1に記載の編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項8】
前記取付けアームは前記シリンダの包囲領域の中心からずれることを特徴とする請求項7に記載の編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【請求項9】
前記情報処理装置は前記複数の画像データにおける有彩色画素ごとに比較することを特徴とする請求項7又は8に記載の編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編み機の状態判断が可能な円形編み機に関し、特に、編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機に関する。
【背景技術】
【0002】
円形編み機の作業品質とは、言い換えれば編み物表面に瑕疵があるかどうかのことで、瑕疵の発生は円形編み機上の複数の編み針の摩耗状況に大きく関係している。複数の編み針で1本の下縁が多く削られた場合には、当該1本が所定の高さまで持ち上げられないため、ラッチ部が完全に広がらないこと、前の糸ループが処理されずに編み針が2本の糸で編み模様が誤ること、フック部が新しい糸に引っ掛からず編み物に穴が出来ることがある。また、複数の編み針で1本の上縁が多く削られた場合には、糸ループが抜けずに残ると編み物に穴ができ、編み上げたものに不自然の模様が現われること、糸ループがそれまでより小さくなり編み物に不自然の模様が現われることがある。
【0003】
従来、編み物の品質検出に関する技術案が多くあり、例えば、特許文献1~8などの特許がある。これらの従来技術では編み作業の品質検出を行うのは円形編み機が編み上げた後で、編み物に瑕疵が見つかっても、円形編み機の複数の編み針のどちらを交換すべきか判断できないもので、そのため編み物に瑕疵が見つかった場合に、業界では円形編み機の全ての編み針を取り替えることが一般的な処理である。円形編み機は一般に編み針の数量が1500~2640本で、一度に多くの編み針を取り外してそれぞれに状態評価を行うのは時間的に余裕がない。資源が無駄になり、生産コストが増える要因でもある。
【0004】
上記のものの他にも、円形編み機において編み物の品質検出を行う技術案があり、例えば、特許文献9~11がある。当該技術は編み物の品質検出に重点をおくもので検出結果と編み機の状態が関連付けられないため、編み物の品質の不具合を解消するために業者が全ての編み針を取り替える点で変わりはない。また、前記特許に係る技術案は、コンピュータが表面状態を認識して特徴学習を行わないと判断できないものである。実務上、円形編み機は1種の布地編み物だけを編むように設計されたものではなく、1種の布地を編み始めてから特徴学習を行うのは、当該布地の編み作業が終わっても特徴学習が終わらない恐れがあり、実際のニーズに合わない。また、当該布地を編み始める前に特徴学習を行う場合、本生産に入る前に、コンピュータの特徴学習のために円形編み機で予め大量の編み物を作らなければならず、業者にとって、大量の編み物を作って廃品として処分する分だけ生産コストが増えるため、実際のニーズにも合わない。
【0005】
従来、編み物工場では編み機の作業をチェックするのが人力で行われており、これだけでは編み物の瑕疵は発見しにくく、瑕疵が生じた後も編み機が作業を続ける場合、玉揚げの後、編み物がまとめて品質検査されるまで瑕疵が発見できず、しかも瑕疵のある編み物は廃品として扱われるため、編み物工場にとって資源の無駄になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国公開特許第CN102778414A号
【特許文献2】中国公開特許第CN102967606A号
【特許文献3】中国公開特許第CN103451846A号
【特許文献4】中国公開特許第CN103604809A号
【特許文献5】中国公開特許第CN108364291A号
【特許文献6】中国公開特許第CN108921819A号
【特許文献7】中国公開特許第CN109696442A号
【特許文献8】中国公開特許第CN110389130A号
【特許文献9】中国公開特許第CN105044121A号
【特許文献10】中国公開特許第CN110188806A号
【特許文献11】中国公開特許第CN111812108A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、円形編み機は編み物の表面状態の検出結果から直すべき部分を判断できないという問題を解決することである。
【0008】
本発明の第2の目的は、従来の円形編み機では玉揚げと同時に瑕疵を検出できないことに関連する問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するためになされたもので、編み物の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機を提供し、当該円形編み機はカム受けと、駆動を受けて当該カム受けに対して回転するシリンダとを有し、当該円形編み機が作業して編み上げた編み物は当該シリンダの当該カム受けから遠い側より玉揚げされ、当該円形編み機は、玉揚げ中の編み物に対し撮影して複数の画像データを生成させる撮影モジュールであって、当該撮影モジュールのカメラは当該シリンダに従って回転せず複数の撮影信号の制御下で玉揚げ中の当該編み物に対して撮影する当該撮影モジュールと、これらの画像データを受信し、これらの画像データのそれぞれを当該シリンダの少なくとも前の1周の回転で撮影された画像データで同じ垂線上に位置する他方の画像とだけ比較し、差異があると編み機の状態を知らせる情報処理装置と、当該シリンダの回転によって複数のパルス信号を生成するエンコーダであって、これらのパルス信号を当該撮影モジュール又は当該情報処理装置に出力し、受信側はこれらのパルス信号をカウントして当該撮影信号を生成させ、当該受信側のカウント値は当該シリンダが1周回転する時のパルス信号の総数の因数である当該エンコーダとを含む。
【0010】
一実施例では、当該撮影モジュールの撮影回数は中心角を等しく分け、且つ当該シリンダに対応する複数の編み針の総数を整除する数値である。
【0011】
一実施例では、当該複数の画像データに含まれる横方向ループ画像の数量が同じで、これらの横方向ループ画像のそれぞれは当該円形編み機の複数の編み針の1つに対応する。
【0012】
一実施例では、当該複数の画像データに含まれる縦方向ループ画像の数量が同じで、これらの縦方向ループ画像の長さの和は当該シリンダの1周回転分の玉揚げ量に比例する。
【0013】
一実施例では、当該円形編み機は当該カメラが当該シリンダの包囲領域内に吊るされるように取付けアームを含む。
【0014】
一実施例では、当該取付けアームは当該シリンダの包囲領域の中心からずれる。
【0015】
一実施例では、当該情報処理装置は当該複数の画像データにおける有彩色画素ごとに比較する。
【発明の効果】
【0016】
発明の内容に関する上記の記載から明らかなように、従来技術と比べて、本発明は次の利点を有する。本発明の円形編み機では、撮影モジュールを取り付けた後、そのカメラがシリンダに従って回転せず、カメラの撮影をトリガーするのは撮影モジュール又は情報処理装置が複数のパルス信号をカウントして生じた複数の撮影信号で、カメラが玉揚げ中の編み物に対して撮影して複数の画像データを生成させる。情報処理装置は編み物に対する瑕疵判断のために事前に深層学習を行う代わりに、これらの画像データのそれぞれをシリンダの少なくとも前の1周の回転で撮影された画像データで同じ垂線上に位置する他方の画像とだけ比較するため、情報処理装置の演算量が大幅に低減し、ハードウェア要件が緩和される。本発明の円形編み機において演算量が低減しながらも、判断効率が下がるばかりか、従来技術よりも速く編み物における瑕疵の発生を判断でき、作業員は直ちに原因を特定して問題を解決できる。また、本発明の円形編み機は、異常が生じた画像データの1つだけで作業員は円形編み機に問題がある部分を知り、取り替えることができる。従来技術では円形編み機の複数の編み針の状態を1つずつチェックできないため、全ての編み針を取り替えることで、資源が無駄になる問題は解決される。また、本発明の円形編み機では、編み物上の瑕疵を見つけると、作業員が直ちに編み機の作業を止めれば、瑕疵のある編み物が生産され続けることが避けられ、瑕疵の原因を特定してから生産を再開するため、従来の実施形態では編み物が完成してから瑕疵判断を行うと、廃品が多く発生する問題も避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の一実施例に係る円形編み機の一部構造概略図である。
図2図2は本発明の一実施例に係る円形編み機の一部構造断面概略図である。
図3図3は本発明の一実施例に係る円形編み機のユニット構成の概略図である。
図4図4は本発明の別の実施例に係る円形編み機のユニット構成の概略図である。
図5図5は本発明の一実施例に係る編み物概略図である。
図6図6は本発明の一実施例に係る瑕疵のある編み物の画像データの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を用いて、本発明の技術内容を詳細に説明する。
図1から図4が参照されるとおり、本発明は、編まれる編み物30の表面状態に基づいて直ちに編み機の状態を知らせる円形編み機20を提供する。まず、円形編み機20の基礎的な実施形態を説明し、円形編み機20は、カム受け21と、エンコーダ22と、シリンダ23とを有する。カム受け21及びシリンダ23の基礎的な形態は円形であり、シリンダ23はカム受け21の内周に設けられ、シリンダ23は(不図示の)駆動部品に連れてカム受け21に対して回転し、シリンダ23が回転すると、シリンダ23上の複数の編み針231はカム受け21上の複数のカム群211にガイドされて編み作業を行う。円形編み機20が作業して編み上げた編み物30はシリンダ23のカム受け21から遠い側より玉揚げ(doffing)される。シリンダ23が回転するとエンコーダ22は複数のパルス信号221を生成し、これらのパルス信号221は規則的かつ連続的に生成され、シリンダ23の1周の回転においてエンコーダ22が生成させるパルス信号221は一定である。従来の円形編み機20においては、これらのパルス信号221はシリンダ23の回転角度を判断するために用いられるだけである。
【0019】
さらに、本発明の円形編み機20は撮影モジュール24と、情報処理装置25とを含む。撮影モジュール24は玉揚げ中の編み物30に対し撮影して複数の画像データ241を生成させる。より具体的には、撮影モジュール24のカメラ242は玉揚げ中の編み物30に対し撮影できる位置に設けられる。一実施例では、円形編み機20はカメラ242がシリンダ23の包囲領域内に吊るされるように取付けアーム26を含み、取付けアーム26は円形編み機20の(不図示の)糸ループ送りリングに設けられてもよいし、又は円形編み機20の外部構造に取り付けられてもよい。カメラ242の撮影距離、撮影品質などによって、取付けアーム26はシリンダ23の包囲領域の中心に位置する形態に限らず、中心からずれて設けられてもよい。本発明のカメラ242はシリンダ23に従って回転せず、つまりカメラ242は固定され、カメラ242を通りかかる物体に対し撮影する。本発明のカメラ241は絶えず編み物30に対し撮影するのではないため、映像資料にならず、カメラ242は複数の撮影信号27を受けないと玉揚げ中の編み物30に対し撮影しない。
【0020】
図3及び図4が参照されるとおり、撮影信号27の説明の前に、撮影モジュール24を説明する。一実施例で、記憶された演算プログラムにより受信情報に対し演算する演算装置243を備える。なお、情報処理装置25は円形編み機20の中央制御モジュールとして実施されてもよく、情報処理装置25は有線又は無線で撮影モジュール24に通信可能に接続されて、撮影モジュール24より生成されたこれらの画像データ241を受信する。撮影信号27の説明に戻ると、エンコーダ22より生成されたパルス信号221は、円形編み機20の動作制御に用いられるだけでなく、撮影モジュール24又は情報処理装置25に出力され、なお撮影モジュール24に出力するのは撮影モジュール24が演算装置242を備えることが条件である。撮影モジュール24又は情報処理装置25はこれらのパルス信号221の受信側として、これらのパルス信号221をカウントしてこれらの撮影信号27を生成させ、当該受信側のカウント値はシリンダ23が1周回転する時のパルス信号221の総数の因数である。例えば、シリンダ23の1周回転でエンコーダ22が生成させたパルス信号221の総数が2640である場合、当該カウント値は2640を整除する数値であってもよく、例えば88である。これにより、受信側である撮影モジュール24又は情報処理装置25は88のパルス信号221を受信するごとに、撮影信号27を生成する。これにより、撮影モジュール24の撮影回数はパルス信号221の総数を当該カウント値で整除した商であり、前例だと30回の撮影となる。なお、シリンダ23の1周回転で撮影モジュール24の撮影回数が同じであるように、撮影回数は中心角を等しく分ける数値で実施する。好ましくは、撮影回数はシリンダ23に対応するこれらの編み針231の総数を整除する数値である。これらの画像データ241はこれらの編み針231を等しく含む。情報処理装置25は異常が生じたこれらの画像データ241の1つで、どちらの編み針231に異常が生じるかを作業員に知らせる。前例の続きとして、これらの編み針231の総数が2640で、撮影モジュール24の撮影回数が30回であると、シリンダ23が12度回転するごとに、撮影モジュール24は1回撮影することになり、シリンダ23の1周回転で生成したこれらの画像データ241の総数は30である。これによって、これらの画像データ241のそれぞれはこれらの編み針231のうちの88本を含む。つまりこれらの画像データ241の1つがこれらの編み針231の1本目から88本目を含むと、これらの画像データ241として続いて生成されたもう1つはこれらの編み針231の89本目から176本目を含む。図5が参照されるとおり、これらの画像データ241に含まれる横方向ループ画像601の数量が同じで、且つこれらの横方向ループ画像601のそれぞれが円形編み機20上のこれらの編み針231の1つに対応する。また、これらの画像データ241に含まれる縦方向ループ画像602の数量が同じで、これらの縦方向ループ画像602の長さの和はシリンダ23の1周回転分の玉揚げ量に比例する。このようにして、後に点検の時はこれらの画像データ241のうち差異が判定された1つに基づいて速やかに直すべき対象を発見できる。
【0021】
さらに、情報処理装置25は事前に記憶された実行プログラムに基づいてこれらの画像データ241に画像比較を行い、情報処理装置25はこれらの画像データ241のそれぞれ(図5のA)をシリンダ23の前の1周の回転でカメラ24によって撮影されたこれらの画像データ241で同じ垂線50上に位置する他方の画像(図5のB)とだけ比較する。分かりやすく説明すると、比較対象であるこれらの画像データ241の1つが、シリンダ23の2周目の回転で撮影モジュール24によって撮影された24番目の画像データである場合、前記複数の画像データ241の1つと比較されるのはシリンダ23の1周目の回転で撮影モジュール24によって撮影された24番目の画像データであり、前記複数の画像データ241のうちの2つが垂線50において連続的である場合、編み作業中に編み物30が連続的に玉揚げされることを示す。情報処理装置25は前記2つを比較し、差異を見つけたら編み機の状態を知らせる。具体的には、本発明で比較とは、これらの画像データ241のうち比較対象である2つに対し有彩色画素で比較することである。図6を例に説明し、図6編み物30に発生した瑕疵の一態様であり、図6から直接的にループ疎領域603が見つかり、他はループ正常領域604であり、ループ疎領域603の画像とループ正常領域604の画像は異なるもので、これらの画像データ241がいずれも電子データで、これらの画像データ241で同じ部分を構成する有彩色画素に差異があることを示す。例えば、これらの画像データ241は3原色カラーモード(RGB)で各当該有彩色画素の表示色を定義したもので、一般にこれらの画像データの同じ部分で当該有彩色画素のRGBパラメータはR227、G23、B13で、これらの画像データのうちの1つは同じ部分における当該有彩色画素のRGBパラメータがR41、G36、B33に変わると、情報処理装置25は差異が生じると判断する。なお、上記の例は説明のためのものに過ぎず、実務上、情報処理装置25は大きな範囲の画像特徴値で類似比較又は同一比較を行うことができ、画像比較技術は本願の重点ではなく、同じ効果を得る従来技術で実現させればよい。
【0022】
図6は撮影モジュール24が新たに撮影した情報で、情報処理装置25は図6と同じ垂線50上に位置し且つシリンダ23の前の1周の回転で撮影された他方の(不図示の)画像データ241と比較し、前記他方の画像データ241は正常な編み作業である場合、ループ疎領域603が生じないはずである。ループ疎領域603の有彩色画素とループ正常領域604の有彩色画素が異なり、情報処理装置25はこれらの画像データ241のうちの2つに対し全ての部分を比較した後、これらの画像データ241のうちの2つに許容値を超える差異(表示色の差異)がある場合、情報処理装置25は編み物30に品質の瑕疵があると判断し、編み機の状態を知らせる。本明細書で状態を知らせることは、例えば円形編み機20の表示灯又はベルアラームを駆動して動作させ、又は情報処理装置25が有線又は無線で情報装置28に伝送する信号を作業員が読み取るように、様々な技術案で実現できる。当該情報装置は当該作業員が所持する端末であってもよいし、又は当該端末と通信可能に接続されたサーバであってもよい。これに加え、情報処理装置25は表面状態に異常が検出されると、直ちにエンコーダ22はシリンダ23の駆動信号の発信を停止するように設定されてもよく、円形編み機20が一時的に作業停止となり、品質不良の編み物30が絶えず作られることが避けられる。
【符号の説明】
【0023】
20 円形編み機
21 カム受け
211 カム群
22 エンコーダ
221 パルス信号
23 シリンダ
231 編み針
24 撮影モジュール
241 画像データ
242 カメラ
243 演算装置
25 情報処理装置
26 取付けアーム
27 撮影信号
28 情報装置
30 編み物
50 垂線
601 横方向ループ画像
602 縦方向ループ画像
603 ループ疎領域
604 ループ正常領域