(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164109
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】中空部を有する複合体
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20221020BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
E04G23/02 F
E04H12/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069390
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】515179358
【氏名又は名称】衛藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 武志
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA11
2E176BB17
2E176BB29
(57)【要約】
【課題】
中空柱状物の中空部に流動性硬化材を充填するなどの補強方法において中空部に既設の電気配線やケーブルが付設されている場合でも配線を撤去や移動することなく付設と補強ができる中空部を有する複合体を提案する。
【解決手段】
本発明に係る中空部を有する複合体は、繊維シートの筒形を形成し筒形の両端には流動性硬化材を封止する鏡布を設けてあり中空構造の蛇腹状管は筒形の中空部を通り両端の鏡布を連通して配設してあるから既存の配線を撤去や移動することなく蛇腹状管の中に配線を通して付設ができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強材は筒形を形成し筒形の両端に鏡布を設け中空蛇腹管は筒形の中空部を通り両端の前記鏡布を連通して配設されており注入ホースは前記補強材と前記鏡布に系合されている中空部を有する複合体。
【請求項2】
前記補強材は、高ヤング率の繊維シートを筒形にして形成されている請求項1に記載の中空部を有する複合体。
【請求項3】
前記鏡布は前記補強材に使用される織物と同等以上の伸度を保持する繊維シート、又はプラスチックシート、不織布、網織シートで形成されている請求項1に記載の中空部を有する複合体。
【請求項4】
前記鏡布は前記補強材にノリ代を設け筒形に接着材による接着又は縫製、あるいはその両方の方法で前記補強材に接合されて封止されている請求項1に記載の中空部を有する複合体。
【請求項5】
前記鏡布は前記中空蛇腹管の全周わたりプラスチックベルト、金属ベルト、接着剤あるいはその両方により前記鏡布の1層および折り返した2層に係合され封止されている請求項1に記載の中空部を有する複合体。
【請求項6】
前記注入ホースは屈曲性のビニル管あるいはプラスチック管又は金属管を接着又は縫製あるいはネジあるいはその両方で前記補強材と前記鏡布に接合あるいは系合されている請求項1に記載の中空部を有する複合体。
【請求項7】
前記注入ホースは屈曲して係合することで流動性硬化材の逆流を封止することができる請求項1に記載の中空部を有する複合体。
【請求項8】
前記補強材の外周表面には防錆剤の層を形成することができる請求項1に記載の中空部を有する複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する発明は、中空部を有する複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の中空柱状物の中空部に流動性硬化材を充填するなどの補強方法において中空部に既設の電気配線やケーブルが付設されている場合はこれらの配線等は流動性硬化材の中に埋設されるので何らかの処理が必要である。
【0003】
これらの補強方法で配線等を流動性硬化材の中に埋設させた場合は流動性硬化材の硬化後に配線の引き直しや取り換えができなくなる。
【0004】
封止してある筒形の補強材を中空柱状物に挿入してから流動性硬化材を注入する補強方法の場合に配線等の撤去や移設なしで施工すると中空柱状物の内面と補強体の間に配線が挟まるなどして空隙や非補強部が生じるから強度が低下する。
【0005】
特許文献1には、上下端を封止した筒状の繊維補強シート内には流動性硬化材を注入する補強方法が開示されているが配線等がある場合は補強シートと補強対象面に配線が挟まってしまうから撤去あるいは移設しないと施工できない。
【0006】
特許文献2には、筒形の補強材の内側に流動性固化材を注入する補強方法が開示されているが、筒形の上下端は封止していないのであるから既存の配線等がある場合その配線は流動性硬化材に埋設されてしまうから撤去あるいは移設しないと施工できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-004546
【特許文献2】特開2019-190014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の背景に鑑みて本発明は、既存の配線の撤去や移設なしで補強ができるので補強の対象範囲が広がると考えられ容易に利用可能な中空部を有する複合体を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る中空部を有する複合体は、繊維シートの筒形を形成し筒形の両端には流動性硬化材を封止する鏡布を設けてあり中空構造の蛇腹状管は筒形の中空部を通り両端の鏡布を連通して配設してあるから既存の配線を撤去や移動することなく蛇腹状管の中に配線を通して付設ができる。
【0010】
本発明に係る中空部を有する複合体は、流動性硬化材を筒形の中に充填するための注入ホースを配設しており注入ホースは鏡布のどちらか1方または補強材の自由な位置、あるいはその両方に配設することができる。
【0011】
本発明に係る中空部を有する複合体は、鏡布で封止された筒形に流動性硬化材を注入することで発生する押圧力で補強材を施工面へ固定して付設ことができる。
【0012】
本発明に係る中空部を有する複合体は、補強材の外周面に防錆剤を塗布することができるので補強対象面の塗布が不要となる。
【発明の効果】
【0013】
繊維シートの筒形の中に充填材を注入して補強材を付設面に固定すると共に既存の配線を撤去や移動をせずに補強ができ、且つ補強材の外周面に防錆剤を塗布できるので補強対象面の塗布が不要となるから構造物への付設と補強に容易に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る中空部を有する複合体のタテ断面図(A)とヨコ断面図(B)
【
図2】実施形態に係る中空部を有する複合体の連通部の断面詳細図
【
図3】実施形態に係る中空部を有する複合体の注入ホースの屈曲図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る中空部を有する複合体の実施形態について、
図1にタテ断面図(A)とヨコ断面図(B)で示しており
図2に鏡布2と中空蛇腹管4の連通部の詳細を示している。また
図3に注入ホースを屈曲させている図を示している。
【0016】
図1の本実施形態の中空部を有する複合体の補強材1は高ヤング率の繊維シートから筒形に形成されたシート状の織物からなり鏡布2は補強材1に使用される織物と同等以上の伸度を保持する繊維シート、又はプラスチックシート、不織布、網織シートで形成され補強材1との接合部はノリ代を設け筒形に封止してある。ノリ代部は接着材による接着又は縫製、あるいはその両方で補強材1に接合されている。
【0017】
図2は鏡布2と中空蛇腹管4との連通部の詳細である。中空蛇腹管4は筒形に形成した補強材1の中空部を通り両端の鏡布2を連通して配設してあり、中空蛇腹管4の全周にわたり鏡布2はプラスチックベルト、金属ベルト、接着剤あるいはその両方により鏡布2の1層は係合1に係合されて、その折り返した2層は係合2により係合され封止されている。
【0018】
図1の補強材1の中に流動性硬化材7を注入して使用するので、その注入のための注入ホース5(a)、5(b)が設けられている。注入ホースは屈曲性のビニル管あるいはプラスチック管又は金属管を接着又は縫製、あるいはネジ、あるいはその両方で補強材1および鏡布2に接合あるいは系合されている。
【0019】
図3の注入ホース5(a)、5(b)は屈曲して係合3することで流動性硬化材の逆流を封止することができる
【0020】
図1(A)の鏡布2で封止された筒形の補強材1に流動性硬化材7を注入することで発生する押圧力で補強材1を中空柱状物Pの対象面に湾曲することなく固定して付設ことができる。
【0021】
図1(A)の補強材1の外周表面には防錆剤8の層が形成されており、中空柱状物Pの対象面に斑なく防錆剤8を塗布することができる。
【0022】
防錆剤8にはアミン系カルボン酢酸、エポキシ、亜鉛、リン酸アルミのどれかが含有されているか、あるいはそれらを混合したものが含有されている。
【0023】
1 補強材
2 鏡布
3 係合部
3(a)係合1
3(b)係合2
4 中空蛇腹管
5(a) 注入ホース1
5(b) 注入ホース2
6 防錆剤
7 流動性硬化材
8 係合3
P 中空柱状物