IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井本 満の特許一覧

<>
  • 特開-ゴルフ練習器具 図1
  • 特開-ゴルフ練習器具 図2
  • 特開-ゴルフ練習器具 図3
  • 特開-ゴルフ練習器具 図4
  • 特開-ゴルフ練習器具 図5
  • 特開-ゴルフ練習器具 図6
  • 特開-ゴルフ練習器具 図7
  • 特開-ゴルフ練習器具 図8
  • 特開-ゴルフ練習器具 図9
  • 特開-ゴルフ練習器具 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164115
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ゴルフ練習器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A63B69/36 531G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069399
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】513308505
【氏名又は名称】井本 満
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】井本 満
(57)【要約】
【課題】体幹の回転と、過剰な腕の動きの制限とを両立したスイングをゴルファーが身につけるために有用なゴルフ練習器具を提案する。
【解決手段】ゴルフ練習器具は、ユーザの右腰の前のズボンのベルト通しBに着脱自在に取付けることのできる取付部材50と、取付部材50と固定されたケース10と、第1線状体21及び第2線状体22を介してケース10に取付けられた第1パッド41及び第2パッド42を備えている。第1線状体21には常に、ケース10内に巻き取られる方向の力がはたらいており、第2線状体22も同様である。ユーザは、第1パッド41と第2パッド42を両脇の下に挟んだ状態で素振りを行う。ユーザの脇が開くと、第1パッド41と第2パッド42は、第1線状体21又は第2線状体22に引かれて、順にケース10付近に戻る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの腰の前側に着脱自在に取付けることのできる取付部材と、
前記取付部材が取付けられたケースと、
前記ケースにその基端が収納され、その基端に向けて巻き取られる力が前記ケース内に設けられた第1巻取り機構から常にかけられているとともに、前記第1巻取り機構からの力に抗することによって前記ケースから引出し可能とされた線状体である、第1線状体と、
前記第1線状体の先端に設けられたユーザが一方の脇の下に挟むことができる大きさ、形状とされた板状体である第1パッドと、
前記ケースにその基端が収納され、その基端に向けて巻き取られる力が前記ケース内に設けられた第2巻取り機構から常にかけられているとともに、前記第2巻取り機構からの力に抗することによって前記ケースから引出し可能とされた線状体である、第2線状体と、
前記第2線状体の先端に設けられたユーザが他方の脇の下に挟むことができる大きさ、形状とされた板状体である第2パッドと、
を備えている、ゴルフ練習器具。
【請求項2】
前記第1パッドと、前記第2パッドとは、それらの一方の面が凸面となっている、
請求項1記載のゴルフ練習器具。
【請求項3】
前記第1パッドと、前記第2パッドとは、弾性材料で構成されている、
請求項1記載のゴルフ練習器具。
【請求項4】
前記第1パッド、及び前記第2パッドは、その先端側が先細り且つ丸められた形状である、
請求項1記載のゴルフ練習器具。
【請求項5】
前記第1パッドと、前記第2パッドとは、無色透明又は無色半透明である、
請求項1記載のゴルフ練習器具。
【請求項6】
前記取付部材は、ユーザの履いたズボンのベルト通しに対して着脱自在に取付けられるようになっている、
請求項1記載のゴルフ練習器具。
【請求項7】
前記ケースには、前記第1線状体が前記ケースを通過するための前記ケースに設けられた開口である第1開口と、前記第2線状体が前記ケースを通過するための前記ケースに設けられた開口である第2開口とが設けられているとともに、
前記第1開口及び前記第2開口と、前記取付部材とは、前記ケースを挟んだ反対側の位置に位置している、
請求項1記載のゴルフ練習器具。
【請求項8】
前記第1線状体が前記第1巻取り機構によって巻き取られるときと、前記第2線状体が前記第2巻取り機構によって巻き取られるときとに、前記ユーザが聞き取り可能な音が生じるようになっている、
請求項1記載のゴルフ練習器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ練習器具に関し、特にはゴルフクラブをスイングする際の正しいフォームを身につけるために役立つゴルフ練習器具に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中でゴルフが人気を博している。ゴルフは、プロゴルファーのプレイが観戦の対象となるが、自らプレイするアマチュアゴルファーも数多く存在する。
もちろん多くのゴルファーにとって、スコアを縮めるのが究極の夢であり目標であるが、そのために必要な飛距離アップとショットの正確性の向上が、その手前の夢であり目標である。したがって、多くのゴルファーは、ゴルフクラブをスイングする際の正しいフォームを身につけることに腐心する。
多くのゴルファーはそのような欲求を強く抱くので、その手助けとなるような様々なゴルフ練習器具が提案され、既に公知或いは周知になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ゴルフのスイング理論にも様々なものがあるが、殆どのスイング理論で重要視されるのが、体幹の回転である。ボディーターン(body turn)などと称される体幹の回転をスムーズに行えるようにすることにより、ゴルファーは、スイング中の過剰な腕の動きを制限しつつ、ゴルフクラブをスイングすることができるようになる。体幹の回転をスムーズに行うとともに、過剰な腕の動きを制限することにより、スイングの速さ、及び正確性が向上し、飛距離アップと、ショットの正確性とが実現される。
【0004】
しかしながら、体幹の回転と、過剰な腕の動きの制限とを両立したスイングをゴルファーが身につけるのは容易ではない。そのようなスイングのフォームを身につけるための練習方法としては、例えば、両端を両脇の下に挟んだタオルを落とさないようにしながらハーフショットを繰り返すといったものが知られているが、そのような練習方法をより効果的なものとするのに有用なゴルフ練習器具は殆ど存在しない。また、上述のタオルを使った練習方法もそうであるが、仮にそのようなゴルフ練習器具が存在したとしても、従前のゴルフ練習器具は、反復練習によって上述の如きスイングをゴルファーが身につけるのを補助することはできるものの、反復練習を行っているゴルファーが、今行ったスイングが理想的なものであるか否かを直感的に判断するのが難しい。
【0005】
本願発明は、体幹の回転と、過剰な腕の動きの制限とを両立したスイングをゴルファーが身につけるために有用なゴルフ練習器具であって、練習中のゴルファー(そのゴルフ練習器具のユーザ)が、今行ったスイングが理想的なものであるか否かを直感的に判断することができるようにするものを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本願発明者は、以下の発明を提案する。
本願発明は、ユーザの腰の前側に着脱自在に取付けることのできる取付部材と、前記取付部材が取付けられたケースと、前記ケースにその基端が収納され、その基端に向けて巻き取られる力が前記ケース内に設けられた第1巻取り機構から常にかけられているとともに、前記第1巻取り機構からの力に抗することによって前記ケースから引出し可能とされた線状体である、第1線状体と、前記第1線状体の先端に設けられたユーザが一方の脇の下に挟むことができる大きさ、形状とされた板状体である第1パッドと、前記ケースにその基端が収納され、その基端に向けて巻き取られる力が前記ケース内に設けられた第2巻取り機構から常にかけられているとともに、前記第2巻取り機構からの力に抗することによって前記ケースから引出し可能とされた線状体である、第2線状体と、前記第2線状体の先端に設けられたユーザが他方の脇の下に挟むことができる大きさ、形状とされた板状体である第2パッドと、を備えている、ゴルフ練習器具である。
このゴルフ練習器具は、取付部材が取付けられたケースを備える。取付部材は、ユーザの腰の前側に取付可能となっている。ケースには2つの線状体である第1線状体と第2線状体とが収納されている。第1線状体と第2線状体とは、ケースから引き出し可能であり、且つ常にそれらには、第1巻取り機構又は第2巻取り機構から、それらの基端に向けて巻き取られる力が常にかけられている。第1線状体の先端には板状の第1パッドが、第2線状体の先端には板状の第2線状体が、それぞれ取付けられている。第1パッドと第2パッドとはそれぞれ、ユーザの脇の下の一方と他方に挟むことができるような大きさ、形状となっている。
このゴルフ練習器具は、ユーザの腰の前側に取付部材を介してケースを取付けた状態で用いられる。ユーザは、第1巻取り機構から第1線状体にかかっている第1線状体を巻き取ろうとする力に抗して、第1線状体の先端に取付けられた第1パッドを上方に引っ張って(そのとき第1線状体は、ケースから引き出される。)、第1パッドを一方の脇の下に挟み込む。また、ユーザは、第2巻取り機構から第2線状体にかかっている第2線状体を巻き取ろうとする力に抗して、第2線状体の先端に取付けられた第2パッドを上方に引っ張って(そのとき第2線状体は、ケースから引き出される。)、第2パッドを他方の脇の下に挟み込む。
第1パッドと第2パッドのいずれを右脇の下に挟んでも良いし、左脇の下に挟んでも良い。例えば、第1線状体と第2線状体とが交差しないような位置関係となるようにして、第1パッドと第2パッドを右脇の下と左脇の下の一方と他方に挟み込むようにすれば、交差した第1線状体と第2線状体が絡むなどのトラブルを避けることができる。
【0007】
これには限られないが、以下の説明では、第1パッドが右脇の下に、第2パッドが左脇の下に挟まれたとする。
その状態で、ユーザは、例えばゴルフクラブを握って素振りを行う。ゴルフクラブの代わりに、ゴルフクラブよりも短いグリップ練習用具(ゴルフクラブのグリップ部分に、10~15cm程度のシャフト相当の部品が取付けられたもの。多くは樹脂の一体成型品かその内部に金属製の棒を仕込んだものである。)を持って素振りを行っても良いし、或いは何も握らず素手のまま素振りを行っても良い。素振りは例えば以下のように行う。ユーザが右打ちであると仮定する。
ユーザは、まず、ゴルフクラブを握って前傾し、いわゆる構え(アドレス)の状態を取る。このときユーザは、右脇も左脇も締めた状態とする。
ここからテークバックが始まる。
ユーザは、そのまま、右脇も左脇も締めたまま、右股関節を45°撚り(この「45°」は、「理想的には45°」を意味し、実際は、「45°程度」を意味する。以下も、何らかの関節を「45°」撚る、回転させる等いうときには、同じ意味である。)、更に上体を45°右側に撚ることにより、都合、ボールの飛ぶ方向に対して、上体を真後ろに向ける。このとき、理想的には、ゴルフクラブのシャフトは、ボールの飛ぶ方向に対して真後ろを向いており、略水平である。
その状態から、両手を真上に引き上げることにより、ゴルフクラブのフェイスがスクェアな状態を保ったままでトップの姿勢を取る。トップの姿勢を取る直前まで、ユーザは、右脇、左脇ともに締めた状態とし、トップの姿勢を取る前の段階で右腕を引き上げ始めると右脇が開く。そうすると、右脇の下に挟まれていた第1パッドが右脇の下から外れる。その先端に第1パッドが取付けられている第1線状体には、第1巻取り機構によって常に、基端に向けて巻き取ろうとする力がはたらいているので、第1線状体が第1巻取り機構によって巻き取られるのにともなって、第1パッドは、ケースに近接する位置まで移動する。第1パッドがそのような移動を行ったことを感じ取ることにより、ユーザは、トップの姿勢を取る直前まで右脇の下を締めた正しいフォーム、つまり過度には腕を使っていないフォームを保てていた、と判断することができる。しかも、腕を使っていないにも関わらず、ゴルフクラブを振り上げたトップの姿勢を作れたということは、体幹がしっかりと回転していたと判断することもできる。
トップの姿勢を取ったユーザは、続けてダウンスイングを開始する。
ダウンスイングを行う場合、右股関節と、上体とを戻しながら、左腕リードで右肘を下方に締め、或いは右肘を勢いよく引き下げ、更に左股関節を45°撚った状態で仮想のボールを打ち、そしてゴルフクラブのシャフトを、ボールの射出方向に向けている。このときは、まだ、左脇の下は締まった状態である。
そして、そのままユーザはフォロースルーの動作を行う。
フォロースルーでは、ユーザは、上体を更に左方向に45°撚ることによって、仮想のボールの飛ぶ方向に上半身を向けるとともに、左腕を引き上げる。このとき、左脇の下が開く。最終的に左腕の上腕部は略水平となるようにし、フィニッシュの姿勢を作る。そうすると、フィニッシュの姿勢を取る直前で、左脇の下に挟まれていた第2パッドが左脇の下から外れる。その先端に第2パッドが取付けられている第2線状体には、第2巻取り機構によって常に、基端に向けて巻き取ろうとする力がはたらいているので、第2線状体が第2巻取り機構によって巻き取られるのにともなって、第2パッドは、ケースに近接する位置まで移動する。第2パッドがそのような移動を行ったことを感じ取ることにより、ユーザは、フィニッシュの姿勢を取る直前まで左脇の下を締めた正しいフォーム、つまり過度には腕を使っていないフォームを保てていた、と判断することができる。しかも、過度に腕を使っていないにも関わらず、フィニッシュの姿勢を作れたということは、体幹がしっかりと回転していたと判断することもできる。
【0008】
このように、本願発明によるゴルフ練習器具を用いると、第1パッドが右脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングと、第2パッドが左脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングとをユーザが感じ取ることにより、ユーザは、自分がそのとき行った素振り(スイング)における、右脇の下が開くタイミングと左脇の下が開くタイミングとが正しかったのか否かを、直感的に判断することができるようになる。
これにより、例えばユーザがゴルフの初心者なのであれば、素振りを行っている最中において生じた第1パッドが右脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングと、第2パッドが左脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングとによって、ユーザは自分の行っている素振りが、正しいフォームに基づいた、或いは正しいフォームに近いフォームで行えているのか否かを判断することができる。したがって、このゴルフ練習器具を用いて素振りの反復練習を行うユーザは、自分の素振りが正しいフォームに近づいているのか否かを確認しながら反復練習を行うことができるため、容易にゴルフの腕前が向上する。
また、ユーザが初心者か否かに関わらず、このゴルフ練習器具を用いて素振りを行うことで、ユーザは、現時点における自分の素振りが、正しいフォームに基づくものか否かを判断することができる。その意味では、本願発明によるゴルフ練習器具は、ゴルフの腕前を上げるための練習器具としての側面だけでなく、現時点における自分の素振りのフォームの正しさを確認するための、素振りのフォームの適切さの確認器具としての側面も持つ。
更に、従来から提案されてきたゴルフ練習器具の殆どはゴルフ練習場や家庭での使用を主目的としたものが殆どであるのに対して、本願発明のゴルフ練習器具は、それを腰の前に身に着けた状態で、ゴルフ場においてラウンドを行うことも可能である。そして、ラウンド中に、右脇の下及び左脇の下に、第1パッドと第2パッドの一方と他方とを挟んで素振りを行うことにより、その時点における自分の素振りが正しいフォームに基づくものとなっているか否かを確認することも可能となる。ユーザがその気になれば、右脇の下及び左脇の下に、第1パッドと第2パッドの一方と他方とを挟んでから、素振りではなく実際にボールを打つことも可能である。それにより、ユーザは、ラウンド中に、自分のスイングの適切さを確認することが可能となる。
【0009】
第1パッドと第2パッドとは、それらを右脇の下と左脇の下の双方に挟むことができるような大きさ、形状であれば、その詳細は問わない。例えば、第1パッドと第2パッドとは、それらの一方の面が凸面となっていても良い。それにより、第1パッドと第2パッドとを右脇の下か左脇の下の双方に挟むときに、それらの一方の面である凸面を、右脇の下又は左脇の下の直下の窪んだ部分に添わせることができるので、第1パッドと第2パッドとを右脇の下と左脇の下の双方に挟んだ場合にユーザが違和感を覚えにくくなるとともに、右脇の下又は左脇の下がまだ開いていない意図せぬタイミングで、右脇の下又は左脇の下から第1パッド又は第2パッドが抜けるのを防ぎ易くなる。
前記第1パッドと、前記第2パッドとは、弾性材料で構成されていてもよい。弾性材料の例は、シリコーンゴムその他の合成ゴムや、天然ゴムである。弾性材料で第1パッドと第2パッドとを構成することにより、第1パッドと第2パッドとを右脇の下と左脇の下の双方に挟んだ場合にユーザが違和感を覚えにくくなるとともに、第1パッド及び第2パッドと、ユーザが着用している上着との間の摩擦抵抗を増すことが可能となるため、右脇の下又は左脇の下が開いていない意図せぬタイミングで、右脇の下又は左脇の下から第1パッド又は第2パッドが抜けるのを防ぎ易くなる。
前記第1パッド、及び前記第2パッドは、その先端側が先細り且つ丸められた形状であっても良い。第1パッド、第2パッドがそのような形状であれば、先細り丸められた部分を右脇の下又は左脇の下に差し込み易いし、また、先端が丸められているのであれば、第1パッドと第2パッドとを右脇の下と左脇の下の双方に挟んだ場合にユーザが違和感を覚えにくくなる。例えば、第1パッドは、第1パッドにおける第1線状体との接続部分から最も遠い頂点を鋭角とする、すべての頂点が丸められた略三角形状とされ、第2パッドは、第2パッドにおける第2線状体との接続部分から最も遠い頂点を鋭角とする、すべての頂点が丸められた略三角形状とされていてもよい。
前記第1パッドと、前記第2パッドとは、不透明であってもよいし、有色透明又は有色半透明であってもよいが、無色透明又は無色半透明であってもよい。第1パッドと第2パッドとが無色透明又は無色半透明であれば、ゴルフ練習器具の中で最も目立つ可能性の高い第1パッドと第2パッドとを目立たないようにすることができる。これは、特にこのゴルフ練習器具がゴルフ場その他の他の人間がいる場所で用いられる場合に、第1パッドと第2パッドが目立たないため、ユーザが着ている服のコーディネートを乱さないという利点を生む。
【0010】
取付部材は、上述したように、ユーザの腰の前側に着脱自在に取付けられる。例えば、取付部材は、ユーザの着衣における腰の前側に相当する部分に着脱自在に取付けられるようになっている。
かかる着脱自在な取付は、例えば、安全ピンによって達成することができる。また、前記取付部材は、ユーザの履いたズボンのベルト通しに対して着脱自在に取付けられるようになっていてもよい。ズボンのベルト通しに対して着脱自在な取付を行える取付部材は、もちろんキュロット、スカート等のベルト通しに対しても着脱自在な取付を行うことができる。もちろん、そのような用途に用いられることがあっても、ユーザの履いたズボンのベルト通しに対して着脱自在に取付けられるようになっているという要件は充足される。ベルト通しはループ状になっているので、ベルト通しに対して着脱自在な取付を行う取付部材としては例えば、ベルト通しに対して引っ掛けることのできるフック状の部材を例示することができる。また、ベルト通しからの脱落を防止するのであれば、取付部材としてカラビナを採用することもできる。
取付部材を、ユーザの履いたズボンのベルト通しに対して着脱自在に取付けられるようにすると、以下の利点を得ることができる。ズボンのベルト通しのうち、右前に位置するものは、概ね、体幹から見て右前(平面視した場合に、体幹の正面から概ね45°右側に回転した位置)に位置する。その位置に本願発明のゴルフ練習器具のケースが取付けられたユーザは、素振りを行うとき、既に述べたようにまず、右脇も左脇も締めたまま右股関節を45°右側に撚るが、上述の位置にゴルフ練習器具が取付けられているならば、上半身が45°撚られた状態で、ゴルフ練習器具のケースはボールの飛ぶ方向に対して体幹の真後ろの位置に来る。したがって、ユーザは、ケースがボールの飛ぶ方向に対して体幹の真後ろに来たということを例えば間接視野で視認することにより、ゴルフクラブのスイングの初期段階の動作を正しく行えているか否かを確認することができるようになる。もっとも、この効果は、取付部材をベルト通しのうち右前に位置するものに取付けた場合に限らず、同じ位置に取付部材を取り付ければ得られる。取付部材がベルト通しに着脱自在に取付けられるようなものであれば、取付部材をベルト通しの右前に位置するものに取付けることにより、上記効果を簡単、確実に得られるということである。
【0011】
前記ケースには、前記第1線状体が前記ケースを通過するための前記ケースに設けられた開口である第1開口と、前記第2線状体が前記ケースを通過するための前記ケースに設けられた開口である第2開口とが設けられているとともに、前記第1開口及び前記第2開口と、前記取付部材とは、前記ケースを挟んだ反対側の位置に位置していてもよい。
上述したように、本願発明のゴルフ練習器具におけるケースは、ユーザの腰の前に取付けられる。取付部材による、ユーザの腰の前におけるケースの取付け方にもよるが、例えば、取付部材がカラビナであって、ズボンのベルト通しに取付けられるような場合には、第1パッドと第2パッドとを右脇の下と左脇の下とに挟もうとしていないときには、取付部材の下にケースがぶら下がった状態となる。他方、第1パッドと第2パッドとを右脇の下と左脇の下とに挟もうとしたときには、ケースには第1線状体と第2線状態から上方に向けて引っ張る力がはたらくので、ケースが上で、ズボンのベルト通しに取付けられた取付部材が下という上下が反転した(或いは倒立した)状態となる。このとき、第1線状体と第2線状体とは、上方に向けて伸びようとするので、取付部材と第1開口及び第2開口とがケースを挟んで反対側に位置していると、第1開口と第2開口とが上向きに開口した状態となるので、第1線状体と第2線状体とをスムーズにケースから引き出せることになる。
このような事情は、取付部材がカラビナであって、ズボンのベルト通しに取付けられるような場合に限られず、取付部材がユーザの例えば衣服に、ケースが上下反転可能な態様で取付けるものである場合一般に妥当する。
【0012】
既に述べたように、本願発明によるゴルフ練習器具を用いる場合、ユーザは、第1パッドが右脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングと、第2パッドが左脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングとを感じ取ることによって、自分がそのとき行った素振りのフォームが正しかったのか否かを直感的に判断する。
したがって、ユーザが、第1パッドが右脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングと、第2パッドが左脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングとをユーザが正確に感じ取ることができれば、自分がそのとき行った素振りのフォームが正しかったのか否かの判断がより正確になる。
そのような点を考慮すると、本願発明によるゴルフ練習器具は、前記第1線状体が前記第1巻取り機構によって巻き取られるときと、前記第2線状体が前記第2巻取り機構によって巻き取られるときとに、前記ユーザが聞き取り可能な音が生じるようになっているのが好ましい。これによれば、第1線状体が第1巻取り機構によって巻き取られるときと、第2線状体が第2巻取り機構によって巻き取られるときとに生じる音に基づき、ユーザは聴覚により、第1パッドが右脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングと、第2パッドが左脇の下から外れてケースに近接する位置まで移動したタイミングとを的確に把握することが可能となる。しかも、聴覚によるかかる把握は、ユーザが、ボール(仮想のボール)から目を離すことを必要としないので、素振りのフォームが安定するし、素振りのフォームが実際のゴルフクラブのスイングに即したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるゴルフ練習器具の全体構成を示す正面図。
図2図1に示したゴルフ練習器具のケース内の構造を概念的に示す正面断面図。
図3図1に示したゴルフ練習器具の第1パッドの図1におけるA-A断面図。
図4図1に示したゴルフ練習器具の第1パッドと第2パッドとをケースから引き離した状態を示す斜視図。
図5図1に示したゴルフ練習器具を、ユーザの着用したズボンの右前のベルト通しに取付けた状態を示す正面図。
図6図1に示したゴルフ練習器具の第1パッドを右脇の下に、第2パッドを左脇の下に挟んだ状態を示す正面図。
図7図1に示したゴルフ練習器具を用いて素振りを行う際の、構えを取る直前の状態を示す正面図。
図8図1に示したゴルフ練習器具を用いて素振りを行う際の、テークバックの途中の状態を示す正面図。
図9図1に示したゴルフ練習器具を用いて素振りを行う際の、トップの状態を示す正面図。
図10図1に示したゴルフ練習器具を用いて素振りを行う際の、フィニッシュの状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
この実施形態におけるゴルフ練習器具の正面図を図1に示す。
ゴルフ練習器具は、ケース10を備えている。ケース10は、後述するような第1巻取り機構と第2巻取り機構とを収納するものである。それが可能な限り、ケース10の大きさ、形状は基本的に不問である。もっとも、ケース10は、後述する取付部材の機能によってユーザの腰の前に取付けられ、その状態でユーザはゴルフクラブのスイングや素振りを行うことになるので、かかるスイングや素振りの動作の妨げにならない程度に小さい必要がある。また、同様の理由で、ケース10はそれに内蔵された部品も含めた重さが、なるべく軽いほうが良い。後述するように、ユーザがゴルフ練習器具を装着したままゴルフ場でラウンドすることを意図するのであれば、ゴルフ練習器具全体の重さを軽くしたほうが良いのは自明であろう。
これには限られないが、この実施形態におけるケース10は、厚み(図1の奥行き方向)が1~2cm程度で、直径が3~5cmの薄い円柱状である。また、これには限られないが、その素材は、樹脂製又は金属製である。
【0016】
ケース10は中空であり、その中には、第1巻取り機構と第2巻取り機構とが組込まれている。第1巻取り機構は、第1線状体に常に巻き取る方向の力を加えるためのものであり、第2巻取り機構は、第2線状体に常に巻き取る方向の力を加えるためのものである。他方、第1線状体は、第1巻取り機構から受ける力に抗して引っ張ることによって、第1巻取り機構から、或いはケース10から引出し可能である。同様に、第2線状体は、第2巻取り機構から受ける力に抗して引っ張ることによって、第2巻取り機構から、或いはケース10から引出し可能である。そのような機能を実現するための第1巻取り機構、第2巻取り機構は、例えば、巻尺などに古くから用いられており、公知といよりもはや周知である。
第1線状体及び第1巻取り機構は、第2線状体及び第2巻取り機構と同様に構成することができる。その点を考慮して、第2巻取り機構の原理のみを簡単に説明する。
【0017】
ケース10内部の構造を、簡略化して図2に示す。図2中22が第2線状体である。図2では、第2線状体22は、その長さ一杯まで引き出された状態となっている。
ケース10には薄い円筒形状のドラム11が収納されている。ドラム11は、例えばケース10の内面からケース10の内面に向けてケース10の厚さ方向に伸びる円筒形の中心軸12に回転自在に軸支されている。ドラム11の側面の適宜の位置に第2線状体22の基端が固定されている。第2線状体22が巻き取られるときには、ドラム11の周囲に第2線状体22が巻き付けられる。
ドラム11の内側にはゼンマイバネ13が配されている。ゼンマイバネ13は、その一端が中心軸12に、その他端がドラム11の内側に接続されている。ゼンマイバネ13は、公知或いは周知のものであり、渦巻状に巻かれた長尺の板バネである。第2線状体22が引き出されることによりドラム11が回転すると、ゼンマイバネ13は、徐々に引き締められていく。図2に示した状態では、ゼンマイバネ13は最も引き締められた状態となっている。引き締められたゼンマイバネ13には、元の状態に戻ろうとする力が常時はたらく。したがって、第2線状体22には、ケース10内のドラム11に巻き取られようとする力が常時はたらくようになっている。この実施形態では、第2線状体22がケース10からまったく引き出されいないときでも、ゼンマイバネ13は幾らか引き締められた状態となるようになっており、したがって、第2線状体22がケース10から引き出されるその時点から、第2線状体22には、その基端に向けて巻き取られる方向の力がかかるようになっている。
ケース10の外周の図1図2における下側には、第2線状体22をケース10の外部に導くための孔14B2を有する筒状の第2筒部材14Bが取付けられている。この第2筒部材14Bの内側の孔14B2を介して、第2線状体22はケース10の内と外とを行き来するようになっている。第2筒部材14Bに設けられた孔14B2は、第2線状体22の進行方向を決定すべく、ケース10から出ていく第2線状体22を案内する役割をも担っている。
なお、この実施形態におけるケース10内には、必ずしも必須ではないが、第2筒部材14Bの孔14B2とドラム11との間で第2線状体22を案内して第2線状体22の向きを変えるための、滑らかな曲面をその外側に持つガイド部15が設けられている。これには限られないが、例えば、ガイド部15は、ケース10の内面に設けられている。
ドラム11、中心軸12、ゼンマイバネ13、第2筒部材14B、ガイド部15のうち、少なくとも、ドラム11、中心軸12、ゼンマイバネ13を併せたものが、本願でいう第2巻取り機構に相当する。
【0018】
この実施形態では、第2巻取り機構と第1巻取り機構とが、ケース10の厚さ方向に重ね合わせて配置されている。第1巻取り機構と第2巻取り機構との間には、両者を区画する図示せぬ区画板が存在している。第1巻取り機構と、第2巻取り機構とは、基本的に同じものとすることができ、第1巻取り機構は、第2巻取り機構と同じく、ドラム11、中心軸12、ゼンマイバネ13、第2筒部材14Bに相当する第1筒部材14A、ガイド部15を備えたものとすることができる。第1巻取り機構は、図2に示した第2巻取り機構と鏡像の関係となるようにすることができ、この実施形態ではそうされている。
図2には、第1線状体21と、それを通過させる、孔14A1を有する第1筒部材14Aのみが図示されている。
【0019】
図1に戻る。
第1線状体21の先端には、後述する接続金具が第1筒部材14Aの孔14A1に入り込むのを防ぐための孔14A1よりもかなり大径とされた接続部材31と、接続部材31の先端に取付けられた接続金具32とが取付けられている。また、接続金具32には、板状体である、第1パッド41が取付けられている。第1パッド41と第1線状体21との接続は、この実施形態では、第1パッド41に設けられた孔41Aに環状の接続金具32を通すことにより行われている。もっとも、第1パッド41と第1線状体21とが互いに接続されていれば、それらの接続方法はこれには限られず、第1線状体21の先端に第1パッド41が直接接続されていても構わない。
同様に、第2線状体22の先端には、後述する接続金具が第2筒部材14Bの孔14B2に入り込むのを防ぐための孔14B2よりもかなり大径とされた接続部材33と、接続部材33の先端に取付けられた接続金具34とが取付けられている。また、接続金具34には、板状体である、第2パッド42が取付けられている。第2パッド42と第2線状体22との接続は、この実施形態では、第2パッド42に設けられた孔42Aに環状の接続金具34を通すことにより行われている。もっとも、第2パッド42と第2線状体22とが互いに接続されていれば、それらの接続方法はこれには限られず、第2線状体22の先端に第2パッド42が直接接続されていても構わないのは、第1パッド41及び第1線状体21の場合と同様である。これには限られないが、この実施形態では、接続部材31と接続部材33、接続金具32と接続金具34は、それぞれ同じものである。
【0020】
第1線状体21と第2線状体22はいずれも線状体である。ある程度丈夫なものであることも必要であるが、ユーザの身体に触れることがあることを考慮すれば、それらはなるべくしなやかなものであるのが好ましい。例えば、ポリエチレン樹脂製の繊維を編み込んで作られた糸や、釣り糸などに使用されるものと同等のナイロン糸などを第1線状体21及び第2線状体22として用いることができる。この実施形態では、第1線状体21、第2線状体22ともに、これには限られないが、ナイロン糸により構成されている。
また、第1線状体21は、ケース10がユーザの腰の前側に取付けられた状態で、その先端に取付けられた第1パッド41をユーザの右脇の下か左脇の下に挟み込むことができるような長さである必要がある。同様に、第2線状体22は、ケース10がユーザの腰の前側に取付けられた状態で、その先端に取付けられた第2パッド42をユーザの右脇の下か左脇の下に挟み込むことができるような長さである必要がある。それを考慮すると、第1線状体21と第2線状体22とに求められる長さは、ユーザの体格にもよるが、ケース10から露出する部分の長さが、例えば、50cmもあれば十分である。対象となるユーザが女性である場合など小柄なのであれば、ケース10から露出する第1線状体21と第2線状体22の長さは、30cmもあれば十分であることが殆どである。第1線状体21と第2線状体22の長さは同じである必要はないが、異ならせる理由も特にないため、これには限られないがこの実施形態では両者の長さは同じで、ケース10から露出する部分の長さが50cmとしてある。
【0021】
第1パッド41と第2パッド42とは、それらを右脇の下と左脇の下の双方に挟むことができるような大きさ、形状であればその詳細は問わないが、両者は同じものであっても、そうでなくても良い。この実施形態では、第1パッド41と第2パッド42とは、互いに鏡像の関係にある。
第1パッド41と第2パッド42とはともに、板状体である。必ずしもこの限りではないが、第1パッド41、第2パッド42は、弾性材料でできている。弾性材料の例は、シリコーンゴムその他の合成ゴムや、天然ゴムである。第1パッド41、第2パッド42は、必ずしもこの限りではないが、無色透明又は無色半透明である。無色透明又は無色半透明の弾性体の例としては、シリコーンゴムやウレタンゴムを挙げることができる。これには限られないが、この実施形態では、第1パッド41と第2パッド42とはともに、弾性材料であり透明な、シリコーンゴムにて形成されている。
これには限られないがこの実施形態では、第1パッド41、及び第2パッド42は、その先端側が先細り且つ丸められた形状とされている。第1パッド41、第2パッド42がそのような形状であれば、それらを右脇の下か左脇の下に挟み込むときに、先細り丸められた部分を右脇の下又は左脇の下に差し込み易いし、また、先端が丸められているのであれば、第1パッド41と第2パッド42とを右脇の下と左脇の下の双方に挟んだ場合にユーザが違和感を覚えにくくなる。これには限られないがこの実施形態では、第1パッド41は、第1パッド41における第1線状体21との接続部分から最も遠い頂点を鋭角とする、すべての頂点が丸められた略三角形状とされている。他方、第2パッド42は、第2パッド42における第2線状体22との接続部分から最も遠い頂点を鋭角とする、すべての頂点が丸められた略三角形状とされている。
また、これには限られないが、この実施形態における第1パッド41と第2パッド42とは、それらの一方の面が凸面となっている。それにより、第1パッド41と第2パッド42とを右脇の下か左脇の下の双方に挟むときに、それらの一方の面である凸面を、右脇の下又は左脇の下の直下の窪んだ部分に添わせることができるので、第1パッド41と第2パッド42とを右脇の下と左脇の下の双方に挟んだ場合にユーザが違和感を覚えにくくなるとともに、右脇の下又は左脇の下がまだ開いていない意図せぬタイミングで、右脇の下又は左脇の下から第1パッド41又は第2パッド42が抜けるのを防ぎ易くなる。具体的には、図1と、図3による図1におけるA-A断面図とに示したように、第1パッド41の中央付近には、第1パッド41の全体の形状をひと回り小さくした範囲に、丘状に盛り上がった凸部41Bが設けられている。同様に、第2パッド42の中央付近にも、凸部41Bと同様の凸部42Bが設けられている。
【0022】
第1線状体21の先端に取付けられた第1パッド41と、第2線状体22の先端に取付けられた第2パッド42とは、例えば、第1パッド41と第2パッド42をケース10から引き離すように引っ張ることにより、図4に示したようにケース10から引き離すことが可能である。第1線状体21と第2線状体22にはケース10内に巻き取られる方向の力が第1巻取り機構と第2巻取り機構とからはたらいているが、その力以上の力をかけて第1パッド41と第2パッド42とを引っ張ることにより、図4に示したような状態とすることができる。
第1パッド41と第2パッド42に加えていた力を開放すると、第1パッド41と第2パッド42とは、第1線状体21と第2線状体22とがケース10内に巻き取られることにより、ケース10に近接した、図1に示した状態に戻るようになっている。
【0023】
ケース10の図1における上方には、取付部材50が取付けられている。取付部材50は、ケース10を、ユーザの腰の前の部分に着脱自在に取付けるためのものである。典型的には、ケース10或いは取付部材50は、ユーザが着用している服のユーザの腰の前側に取付けられる。ユーザの着衣に取付けられる等して、ユーザの腰の前に取付部材50乃至ケース10を位置させることができるのであれば、取付部材50はどのような構成を採用していても構わない。この限りではないがこの実施形態では、カラビナとして構成されている。
【0024】
カラビナそれ自体は、それこそ100年以上も前から公知或いは周知であるため、その構成の説明は簡単にしか行わない。カラビナとして構成される取付部材50は、図1図2においてケース10の右上から伸びる例えば弓状の弓部材と51と、図1図2においてケース10の左上から伸びる、これには限られないが直線状の可動部材52とを含んで構成されている。可動部材52は、可動部材52の下端を軸支する軸53を軸として回転乃至揺動できるようになっている。具体的には、可動部材52は、図2に実線で示された閉位置と、一点鎖線で示された開位置との間で揺動することができるようになっている。可動部材52が閉位置にあるときには、弓部材51と可動部材52と、弓部材51と可動部材52のそれぞれの基端の間に位置するケース10の上部とが環状の部材により囲まれた空間を作る。可動部材52が開位置にあるときには、可動部材52の先端と、弓部材51の先端とが離れるため、その環状の部材に囲まれた空間の一部が外部と連通した状態となる。
可動部材52には、軸53の近辺に設けられた図示せぬ弾性体(例えば、ねじりコイルばねその他のバネ)から、開位置から閉位置に向かう方向に揺動させる力がかけられている。したがって、可動部材52は、弾性体からの力に抗して移動させれば閉位置から開位置に移動させることができるが、外力がかかっていないときには常に、閉位置に位置するようになっている。弓部材51の先端のケース10に面した側(図1図2における下側)には、可動部材52の先端を係止する段差51Aが設けられているので、可動部材52には上述した弾性体から、可動部材52を閉位置に戻す方向の、図1図2において反時計回りの力が常にはたらいているものの、可動部材52の先端が弓部材51の先端より図1図2における左側に移動することはない。
可動部材52が開位置にあるときには、弓部材51の先端と可動部材52の先端との間の隙間から、上述の環状の部材に囲まれた空間に何かを挿入することができ、その状態で可動部材52を閉位置に戻すことにより、環状の部材に囲まれた空間に挿入された上述の「何か」は、環状の部材に囲まれたその空間から出られないことになる。この実施形態では、環状の部材に囲まれた空間に挿入される「何か」としては、ユーザが着用しているズボンのベルト通しが想定されている。つまり、この実施形態では、ズボンのベルト通しに、取付部材50が着脱自在に取付けられることになる。
取付部材50の他の例は、安全ピンである。安全ピンを用いることによれば、ユーザの着衣の適宜の部分に取付部材50を着脱自在に取付けることが可能となる。もちろん、ユーザの腰の前側に取付部材50を取付けることも可能である。取付部材50のケース10への固定は適当な方法で行うことができる。両者の固定は、固定的なものでなくてもよく、例えば、数cm程度の紐を用いて両者を結びつける等しても良い。
取付部材50は複数であってもよい。例えば、取付部材50としてのカラビナと取付部材50としての安全ピンとの双方が、ケース10に取付けられていても構わない。その場合には、ユーザが着用しているズボンのベルト通しに取付部材50を取付けるときにはカラビナである取付部材50を利用し、ユーザがスカートを着用しておりズボンを着用していないとか、ユーザが着用しているズボンにベルト通しが存在しないといった理由でカラビナである取付部材50の利用が行えない場合などには、安全ピンである取付部材50を利用する、といった複数種類の取付部材50の使い分けを行うようにすることもできる。
取付部材50は、図2においてケース10の上側に位置している。他方、第1線状体21を通過させるためのケース10に設けられた孔である、第1筒部材14Aの内側の孔14A1と、第2線状体22を通過させるためにケース10に設けられた孔である、第2筒部材14Bの内側の孔14B2とはともに、図2におけるケース10の下側、つまり、取付部材50とはケース10を挟んで反対側に位置している。
【0025】
以上で説明したゴルフ練習器具の使用方法と動作について説明する。
このゴルフ練習器具を使用する場合には、ユーザは、ゴルフ練習器具をユーザの腰の前に取付ける。これには限られないが、ユーザが右打ちの場合、この実施形態ではゴルフ練習器具を、ユーザの腰の右前に取付ける。左打ちのユーザであれば、ゴルフ練習器具をユーザの腰の左前に取付ける。
ユーザの腰の右前にゴルフ練習器具を取付けるには、取付部材50を用いる。この実施形態における取付部材50は上述したようにカラビナ様に構成されている。この取付部材50を用いてユーザの履いているズボンの右前側のベルト通しに、取付部材50を着脱自在に取付ける。取付部材50の取付けにベルト通しを用いる必要がないことは既に述べた通りである。
かかる取付けを行うには、通常は閉位置にある取付部材50の可動部材52を弾性体からの力に抗して図1、2の右側に移動させることにより、開位置に移動させる。そうすると、弓部材51の先端と可動部材52の先端との間に隙間が生じ、弓部材51と可動部材52と、弓部材51と可動部材52のそれぞれの基端の間に位置するケース10の上部とによって作られる、環状の部材により囲まれた空間の一部が開放される。その隙間から、環状の部材によって囲まれた上述の空間内に、ズボンの右前側のベルト通しを挿入する。そして、ユーザが可動部材52から手を離すと、可動部材52の先端は、閉位置に戻り、弓部材51の先端の段差51Aに係止される。
以上により、練習器具のユーザの腰の右前への取付けが終了する(図5)。ゴルフ練習器具は、弓部材51と可動部材52と、弓部材51と可動部材52のそれぞれの基端の間に位置するケース10の上部とによって作られる、環状の部材により囲まれた空間の中に、ユーザが着用したズボンの右前のベルト通しBが通った状態となる。
これにより、ズボンの右前のベルト通しBに着脱自在に取付けられた取付部材50の下にケース10が吊り下げられ、更にケース10の下に第1パッド41と第2パッド42が吊り下げられた状態となる。図5に示された第1パッド41と第2パッド42との左右の位置関係は、逆転していても構わない。
ズボンのベルト通しBのうち、右前に位置するものは一般的に、ユーザの体幹から見て右前(平面視した場合に、体幹の正面から概ね45°右側に回転した位置)に位置する。
【0026】
ユーザは、ズボンのベルト通しBにゴルフ練習器具を装着した状態で、素振り(ゴルフクラブを用いて実際にボールを打っても良い。)を行うが、素振りを行う前に、ユーザは、第1パッド41と第2パッド42のうち図5の状態で右側にあるもの(この例では、第1パッド41)を右脇の下に、図5の状態で左側にあるもの(この例では、第2パッド42)を左脇の下にそれぞれ挟む(図6)。第1パッド41を右脇の下に挟むのと、第2パッド42を左脇の下に挟むのは、いずれを先に行っても良い。このとき、第1線状体21と第2線状体22とが交差しないようにするのが好ましい。
第1パッド41を右脇の下に挟むには、第1パッド41を上方に引張り、第1線状体21に第1巻取り機構からはたらく第1線状体21を巻き取る方向の力に抗して、第1線状体21をケース10から引出せば良い。そのとき、ケース10は、第1線状体21からの力を受けて上方に引っ張られることになるので、ズボンのベルト通しBに取付けられた取付部材50が下に位置し、その上にケース10が位置する状態となる。つまり、ズボンのベルト通しBを軸としてゴルフ練習器具が図5の状態から転倒した状態となる。このとき、第1線状体21を通過させるためのケース10に設けられた孔である、第1筒部材14Aの内側の孔14A1と、取付部材50とはケース10を挟んで反対側にあるため、孔14A1は上側に向かって開放された状態となるので、第1線状体21は、ケース10に設けられた孔14A1から上方に向かってスムーズに伸びていくことになる。
第1パッド41が右脇の下に達したら、ユーザは、第1パッド41を右脇の下に挟む。このとき、第1パッド41のうち、図1において、下側に描かれた、丸められた鋭角な頂点が上向きとなるようにして、且つ図3に示した凸部41Bが設けられている凸面が右脇の下の胴体側の窪みに位置するようにして、第1パッド41を右脇の下に挟み込む。右脇の下に挟まれた第1パッド41には、第1線状体21から、ケース10に向かって戻る向きの力がはたらいているが、右脇を締めてしっかりと第1パッド41を挟み込むことにより、第1パッド41は右脇の下にとどまる。
同様にして、第2パッド42を上方に引張り、第2線状体22に第2巻取り機構からはたらく第2線状体22を巻き取る方向の力に抗して、第2線状体22をケース10から引出す。このとき、第2線状体22を通過させるためのケース10に設けられた孔である、第2筒部材14Bの内側の孔14B2と、取付部材50とはケース10を挟んで反対側にあるため、孔14B2は上側に向かって開放された状態となるので、第2線状体22は、ケース10に設けられた孔14B2から上方に向かってスムーズに伸びていくことになる。
第2パッド42が左脇の下に達したら、ユーザは、第2パッド42を左脇の下に挟む。このとき、第2パッド42のうち、図1において、下側に描かれた、丸められた鋭角な頂点が上向きとなるようにして、且つ凸部42Bが設けられている凸面が左脇の下の胴体側の窪みに位置するようにして、第2パッド42を左脇の下に挟み込む。左脇の下に挟まれた第2パッド42には、第2線状体22から、ケース10に向かって戻る向きの力がはたらいているが、左脇を締めてしっかりと第2パッド42を挟み込むことにより、第2パッド42は左脇の下にとどまる。
第1パッド41、第2パッド42ともに弾性体でできており、且つ脇の下に挟まれる側の先端は上述したように先細り且つ丸められた形状であるため、ユーザは脇の下に第1パッド41、第2パッド42を挟んでも違和感を覚えにくい。また、第1パッド41、第2パッド42ともに透明であるから、それ自体が目立たず、ユーザが着ている服のコーディネートを邪魔しない。
【0027】
これでユーザが素振りを行う準備が整った。
その状態で、ユーザは、ゴルフクラブ等を握って(何も握らなくとも良い。)いわゆる構え(アドレス)の状態を取る。図7には構えを取る状態の直前の状態を示している。また、図7においてユーザが握っているのは、ゴルフクラブのグリップを模した部分に、10~15cm程度のシャフトを模した部分が、例えば一体的に取付けられた市販のグリップ練習用具である。
構えを取るときユーザは、グリップ練習用具を握って仮想のボールに正対し、肩幅かそれよりも若干広い程度の足幅を取って前傾する。このとき、ユーザは、右脇も左脇も締めた状態とする。右脇と左脇とが閉まっていれば、第1パッド41は右脇の下にとどまったままであり、第2パッド42は左脇の下にとどまったままである。それをもってユーザは、この段階で右脇と左脇とが締まったままの状態であることを認識することができる。もっとも、この段階で、右脇の下や左脇の下が開くユーザは殆どいないであろう。
【0028】
ここからテークバックが始まる。
ユーザは、構えの状態から、右脇も左脇も締めたまま、右股関節を45°更に上体を45°右側に撚ることにより、都合、ボールの飛ぶ方向に対して、上体を真後ろに向ける。このとき、理想的には、ゴルフクラブのシャフトは、ボールの飛ぶ方向(図8の右側)に対して真後ろ(図8の左側)を向いており、略水平である(図8)。
右股関節が45°右側にしっかりと撚られたのであれば、構えの状態で、体幹の正面から概ね45°右側に回転した位置に位置するズボンのベルト通しBに取付けられていたケース10が、ボールの飛ぶ方向に対して真後ろに位置することになる。それを例えば、間接視野で確認することにより、ユーザは、右股関節が45°だけしっかりと右側に撚られたことを認識することができる。
また、第1パッド41が右脇の下にとどまったままであり、第2パッド42が左脇の下にとどまったままであることをもってユーザは、この段階で右脇と左脇とが締まったままの状態であることを認識することができる。
もし、この段階でユーザの右脇の下が開くと、第1パッド41は、右脇の下から外れ、第1巻取り機構によって巻き取られた第1線状体21に引かれて、ケース10の付近(図5に示した位置)に戻ることになる。それをもって、ユーザは、この段階で早くも右脇の下が開いてしまったことを認識することになる。第1パッド41がケース10に向かって戻るときには、締まった状態になっていたゼンマイバネ13が急激に緩むことにより、ゼンマイバネ13の擦れ合う音が鳴るし、移動する第1パッド41がユーザの上着と擦れることによっても音が鳴る。また、場合によっては、ケース10に第1パッド41が勢いよく当たることによっても音が鳴るし、多少の衝撃も生じる。そのような音を聞いたり、衝撃を感じたりすることにより、ユーザはボールを見たままであったとしても、第1パッド41がケース10付近に戻ったことを感じ取ることができる。
同様に、ユーザの左脇の下が開くと、第2パッド42は、左脇の下から外れ、第2巻取り機構によって巻き取られた第2線状体22に引かれて、ケース10の付近(図5に示した位置)に戻ることになる。それをもって、ユーザは、この段階で早くも左脇の下が開いてしまったことを認識することになる。第2パッド42がケース10に向かって戻ったことをユーザは、第1パッド41の場合と同様に感じ取ることができる。
ユーザは、自らのスイングのフォームが正しいのか否かを、右股関節が45°しっかり撚られたか否かをケース10の位置によって知る以外については、第1パッド41が右脇の下から外れたタイミングと、第2パッド42が左脇の下から外れたタイミングとによって知ることができる。仮に、図8に示した段階で第1パッド41が右脇の下から外れるか、第2パッド42が左脇の下から外れるかした場合には、自分のスイングのフォームが右脇又は左脇が開くのが早過ぎる適切でないものであった、ということを確認することができることになる。
ユーザが第1パッド41が右脇から外れたタイミングを即座に知ることができるようにするためには、第1パッド41が右脇の下から外れてからケース10付近に戻るまでの時間が短い方が好ましい。例えば、その時間は、1秒以内とするのが好ましいし、もっと早くてももちろん良い。第2パッド42が左脇の下から外れてからケース10付近に戻るまでの時間も同様である。
【0029】
次にユーザは、図8に示した状態から、両手を真上に引き上げることにより、ゴルフクラブのフェイス(仮想のフェイス)がスクェアな状態を保ったままでトップの姿勢を取る(図9)。
トップの姿勢を取る前の段階まで、ユーザは、右脇、左脇ともに締めた状態とし、トップの姿勢を取る前の段階で右腕を引き上げる。右腕を引き上げるのは、右脇が締まったままだとゴルフクラブがインサイドに引かれて、ゴルフクラブのヘッドがスイングプレーンを外れ、トップの位置が低くなり過ぎるからである。右腕を引き上げ始めると、右脇が開く。そうすると、右脇の下に挟まれていた第1パッド41が右脇の下から外れる。そうすると、上述したようにして、第1パッド41がケース10付近にまで戻ることになる。図9では、第1パッド41は既にケース10の付近にまで戻っている。そのときに生じた音や衝撃によって、ユーザは第1パッド41が右脇の下から外れたことを容易に知ることができる。
このタイミングで第1パッド41が右脇の下から外れるのはユーザが行っている素振りのフォームが、少なくともこの段階までは適切だからである。つまり、この段階で第1パッド41が右脇の下から外れたということは、ユーザが、トップの姿勢を取る直前まで右脇の下を締めた正しいフォーム、つまり過度には腕を使っていないフォームを保てていたことを示しているし、過度に腕を使っていないにも関わらず、ゴルフクラブを振り上げたトップの姿勢を作れたということは、体幹がしっかりと回転していたと判断することも保証される。したがって、ユーザは、この段階で第1パッド41が右脇の下から外れたことをもって、この段階までの自らのスイングのフォームが適切であることを確認することができる。
【0030】
図9に示したトップの姿勢を取ったユーザは、続けてダウンスイングを開始する。
ダウンスイングを行う場合、右股関節と、上体とを戻しながら、左腕リードで右肘を下方に締め、或いは、右肘を下方に引き、更に左股関節を45°撚った状態で仮想のボールを打ち、そしてゴルフクラブのシャフトを、ボールの射出方向に向けていく。このときは、まだ、左脇の下は締まった状態である。
そして、そのままユーザはフォロースルーの動作を行う。
フォロースルーでは、ユーザは、上体を更に左方向に45°撚ることによって、仮想のボールの飛ぶ方向に上半身を向けるとともに、左腕を引き上げる。このとき、左脇の下が開く。最終的に左腕の上腕部は略水平となるようにし、フィニッシュの姿勢を作る。そうすると、フィニッシュの姿勢を取る直前で、左脇の下に挟まれていた第2パッド42が左脇の下から外れる。図10では、第2パッド42は既にケース10の付近にまで戻っている。そのときに生じた音や衝撃によって、ユーザは第2パッド42が左脇の下から外れたことを容易に知ることができる。
このタイミングで第2パッド42が左脇の下から外れるのはユーザが行っている素振りのフォームのうち、ダウンスイングからフィニッシュまでの動作が適切だからである。つまり、この段階で第2パッド42が左脇の下から外れたということは、ユーザが、フィニッシュの姿勢を取る直前まで左脇の下を締めた正しいフォーム、つまり過度には腕を使っていないフォームを保てていたことを示しているし、過度に腕を使っていないにも関わらず、フィニッシュの姿勢を作れたということは、体幹がしっかりと回転していたことも保証される。したがって、ユーザは、この段階で第2パッド42が左脇の下から外れたことをもって、ダウンスイングからフィニッシュまでの自らのスイングのフォームが適切であることを確認することができる。
【0031】
このようにして、第1パッド41が右脇の下から外れたタイミングと、第2パッド42が左脇の下から外れたタイミングとによって、ユーザは、自分の素振りのフォームの全体が適切なものであったか否かを知ることができる。
このゴルフ練習器具を用いて素振りを繰返し、第1パッド41が右脇の下から外れるタイミングと、第2パッド42が左脇の下から外れるタイミングとが適切になるまでスイングを矯正すれば、体幹が十分に回った、いわゆる手打ちではないゴルフスイングのフォームを身につけることができる。
そして、このゴルフ練習器具は、ユーザが正しいフォームを身につけるために用いるだけでなく、例えば、ラウンド中のゴルフ場での使用も可能であるから、ラウンドの最中に自分の今現在のスイングがどのような状態にあるかを確認するために用いることも可能である。
【0032】
なお、このゴルフ練習器具の用法としてここまでに説明したのは、フルスイングのフォームを身に着けることと、フルスイングのフォームが適切であるかを確認することとを目的としていた。
他方、このゴルフ練習器具は、フルスイングではなく、ショートゲームの際に多く用いられるゴルフクラブのハーフスイングや、パターを用いたパットの際のスイングのフォームを身に着けたり、確認したりするためにも用いることができる。
例えば、構えを取ったユーザの背後に、ユーザの腰の辺りを中心とした仮想の大きな時計の文字盤が存在するのをユーザの前側から見た場合におけるいわゆる7時5時のスイングを行う場合を考える。7時5時のスイングでは、ユーザの正面から見た場合において構えの状態で鉛直だったクラブのシャフトが、トップの状態で30°程度後方に傾き、フィニッシュの状態で30°程度前方に傾いた状態となる。7時5時のスイングは、パターのスイングを練習する場合の基礎的なスイングである。適切なフォームでは、ユーザの両肩を結んだ直線と、両腕とが作る二等辺三角形が崩れずに、パターのヘッドの動きが安定する。パター以外のゴルフクラブでのハーフスイングとして、7時5時のスイングの練習を行っても良い。
さて、7時5時のスイングを行う場合には、構えの状態からフィニッシュの状態にまで至るすべての状態で、右脇の下と左脇の下とを締め続けることが重要である。そこで、この実施形態で説明したゴルフ練習器具が役に立つ。
ゴルフ練習器具を上述したように、ユーザの腰の前、例えば、ユーザの腰の右前に取付け、その状態で、第1パッド41をユーザの右脇の下に、第2パッド42をユーザの左脇の下にそれぞれ挟み込む。その状態で、ユーザは、7時5時の素振りを行う。第1パッド41、第2パッド42とも脇の下から外れなければ、ユーザがそのとき行っていた素振りは、適切なフォームに基づくものであるといえる。このゴルフ練習器具を用いて練習を行った際に、第1パッド41、第2パッド42とも脇の下から外れないようにすれば、ユーザは適切なフォームを手に入れることができる。
同様に、8時4時のスイングを行う場合を考える。8時4時のスイングでは、ユーザの正面から見た場合において構えの状態で鉛直だったクラブのシャフトが、トップの状態で60°程度後方に傾き、フィニッシュの状態で60°程度前方に傾いた状態となる。8時4時のスイングは、ハーフスイングの一種である。
8時4時のスイングを行う場合にも、構えの状態からフィニッシュの状態にまで至るすべての状態で、右脇の下と左脇の下とを締め続けることが重要である。そこで、パターの練習の場合と同様に、第1パッド41をユーザの右脇の下に、第2パッド42をユーザの左脇の下にそれぞれ挟み込んだ状態で素振りを行う。素振りの全行程で第1パッド41、第2パッド42とも脇の下から外れなければ、ユーザがそのとき行っていた素振りは、適切なフォームに基づくものであるといえる。
同様に、9時3時のスイングを行うこともできる。9時3時のスイングでは、ユーザの正面から見た場合において構えの状態で鉛直だったクラブのシャフトが、トップの状態で90°程度後方に傾き、フィニッシュの状態で90°程度前方に傾いた状態となる。9時3時のスイングも、ハーフスイングの一種である。
9時3時のスイングを行う場合にも、構えの状態からフィニッシュの状態にまで至るすべての状態で、右脇の下と左脇の下とを締め続けることが重要である。そこで、パターの練習の場合と同様に、第1パッド41をユーザの右脇の下に、第2パッド42をユーザの左脇の下にそれぞれ挟み込んだ状態で素振りを行う。素振りの全行程で第1パッド41、第2パッド42とも脇の下から外れなければ、ユーザがそのとき行っていた素振りは、適切なフォームに基づくものであるといえる。
このようにして、例えば、同じクラブを用いて7時5時、8時4時、9時3時のスイングを繰返し練習し、そのときにボールがどの程度飛ぶかを覚える。そうすると、一つのクラブで、正確に様々な距離を打ち分けることが可能となる。
【0033】
不要になったらユーザは、ゴルフ練習器具を着衣から外す。カラビナ様の取付部材50であれば、可動部材52を弓部材51の基端に向けて押し込んで、可動部材52の先端と弓部材51の先端との間に隙間を作り、そこからズボンのベルト通しBを抜けば、ユーザのズボンからゴルフ練習器具を取り外すことが可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 ケース
11 ドラム
13 ゼンマイバネ
21 第1線状体
22 第2線状体
41 第1パッド
42 第2パッド
50 取付部材
51 弓部材
52 可動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10