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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164119
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】シャッター開閉機の取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20221020BHJP
   E06B 9/56 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
E06B9/17 Z
E06B9/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069405
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】宮田 裕文
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】
揺動可能な巻胴内蔵型のシャッター開閉機の取付構造の耐久性を向上させる。
【解決手段】
巻胴30の一端側には、取付台7を介して開閉機6が内蔵されており、取付台7は筒状部70を備え、開閉機6の軸部60は巻胴30の内周面に固定された連結部31に固定されており、開閉機6は、筒状部70内に位置して一端側に揺動可能に支持されており、筒状部70の他端側には板状部8が設けてあり、板状部8は、巻胴30の端部よりも外側に位置しており、板状部8は、被固定部9に面接触した状態で固定されており、板状部8は、方形であった場合に比べて、前記板状部と前記被固定部の固定部位に生じる応力が分散された形状を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻胴の一端側には、取付台を介して開閉機が内蔵されており、
前記取付台は、前記開閉機が内装された筒状部を備え、前記開閉機の軸部は前記筒状部の一端側から突出して、前記巻胴の内周面に固定された連結部に固定されており、前記開閉機は、前記筒状部内に位置して、当該筒状部の一端側に揺動可能に支持されており、
前記筒状部の他端側には板状部が設けてあり、前記板状部は、前記巻胴の端部よりも外側に位置しており、
前記板状部は、被固定部に当接した状態で固定されており、
前記板状部は、方形であった場合に比べて、前記板状部と前記被固定部の固定部位に生じる応力が分散された形状を備えている、
シャッター開閉機の取付構造。
【請求項2】
前記板状部は、少なくとも半部が略半円形状となっている、
請求項1に記載のシャッター開閉機の取付構造。
【請求項3】
前記板状部は、少なくとも6つ以上の辺及び6つ以上の角部を備えており、少なくとも4つ以上の角部の内角が120°以上であり、全ての内角が90°以上である、
請求項1に記載のシャッター開閉機の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター開閉機の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッター開閉機には、シャッターカーテンの巻取体の内部に設けたいわゆる内蔵型と、シャッターカーテンの巻取体の外部に設置したいわゆる外置型と、がある。内蔵型のシャッター開閉機については、例えば、特許文献1、特許文献2の背景技術の欄に記載されている。
【0003】
図10に従来の内蔵型のシャッター開閉機の取付構造を示す。巻胴30´の駆動側の端部の内部には開閉機6´が設けてあるが、開閉機6´は、筒状の取付台7´を介して設置されている。取付台7´の基端側はサイドケース8´に連結されており、取付台7´とサイドケース8´から駆動側ブラケットが形成されている。筒状の取付台7´には開閉機6´が挿入されており、開閉機6´の軸部は取付台7´の先端よりも突出しており、巻胴30´と一体で回転する連結部31´に連結されている。
【0004】
内蔵型の取付構造においては、開閉機6´の軸部の回転力が巻胴30´に直接伝達されることから、回転力の伝達時に発生し得る無理な力を逃がすために、開閉機6´は取付台7´に対して上下に僅かに揺動可能ないし回動可能に支持されている。取付台7´に揺動可能に取り付けられた開閉機6´は、特許文献1、特許文献2の背景技術の欄に記載されている。
【0005】
シャッターカーテンの昇降時には、開閉機6´が上下揺動を繰り返すことから、開閉機6´を揺動可能に支持する駆動側ブラケット(取付台7´及びサイドケース8´)に応力が発生する。この時、巻胴30´の長さ方向両端を支持する駆動側ブラケットと従動側ブラケットが、左右のガイドレールの上端に支持されているような場合には、駆動側ブラケットは躯体や他の部材に固定されていないため、例えば、取付台7´及びサイドケース8´に発生した応力は、取付台7´及びサイドケース8´の振動として消散される。
【0006】
しかしながら、シャッター装置が他の装置(例えば、エアカーテン)に組み込まれるような場合には、取付台7´とサイドケース8´からなる駆動側ブラケットをそのまま用いることができず、また、開閉機6´を支持する駆動側ブラケットは、前記他の装置の部分に固定する必要があるが、開閉機6´の揺動に伴って駆動側ブラケットに発生した応力が固定部位に作用して、シャッター開閉機の取付構造の耐久性に影響を与えるおそれがある。
【特許文献1】特開2000-64749
【特許文献2】特開2010-174529
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、耐久性が向上された、揺動可能な巻胴内蔵型のシャッター開閉機の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が採用した技術手段は、
巻胴の一端側には、取付台を介して開閉機が内蔵されており、
前記取付台は、前記開閉機が内装された筒状部を備え、前記開閉機の軸部は前記筒状部の一端側から突出して、前記巻胴の内周面に固定された連結部に固定されており、前記開閉機は、前記筒状部内に位置して、当該筒状部の一端側に揺動可能に支持されており、
前記筒状部の他端側には板状部が設けてあり、前記板状部は、前記巻胴の端部よりも外側に位置しており、
前記板状部は、被固定部に当接した状態で固定されており、
前記板状部は、方形であった場合に比べて、前記板状部と前記被固定部の固定部位に生じる応力が分散された形状を備えている、
シャッター開閉機の取付構造、である。
【0009】
仮に、開閉機の取付台の板状部が方形であったとすると、前記板状部は、略90°の四つの内角を備えた四辺を備えており、板状部の角部(アールがついていたとしても)と被固定部との当接箇所において応力が集中するおそれがある。
本発明では、板状部の一部あるいは全部の角部を無くして曲面としたり、多角形の辺の数を増やすと共に、一部あるいは全部の角部の内角を大きくしたりする(例えば、120°以上)ことで、方形であった場合に比べて、前記板状部と前記被固定部の固定部位に生じる応力が分散された形状を得るようにしている。
【0010】
1つの態様では、前記板状部は、少なくとも半部が略半円形状となっている。
すなわち、巻胴の一端側には、取付台を介して開閉機が内蔵されており、
前記取付台は、前記開閉機が内装された筒状部を備え、前記開閉機の軸部は前記筒状部の一端側から突出して、前記巻胴の内周面に固定された中子に固定されており、当該筒状部の他端側は板状部を備えており、
前記開閉機は、前記筒状部内に位置して、当該筒状部の一端側に揺動可能に支持されており、
前記筒状部の他端側及び前記板状部は、前記巻胴の端部よりも外側に位置しており、
前記板状部は、被固定部に面接触した状態で固定されており、
前記板状部は、少なくとも半部が略半円形状となっている、
シャッター開閉機の取付構造、である。
1つの態様では、前記板状部は、上半部が略半円形状であり、下半部が略長方形状である。
1つの態様では、前記板状部は、略円形の全周縁を備えた円板状部である。
【0011】
1つの態様では、前記板状部は、少なくとも6つ以上の辺及び6つ以上の角部を備えており、少なくとも4つ以上の角部の内角が120°以上であり、全ての内角が90°以上である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る取付構造では、巻胴に内蔵された開閉機を揺動可能に支持する取付台を、筒状部と、板状部と、から形成し、前記板状部を、被固定部に当接した状態で固定するものにおいて、前記板状部を、方形であった場合に比べて、前記板状部と前記被固定部の固定部位に生じる応力が分散された形状とすることによって、前記取付台の前記板状部と前記被固定部との固定部位に局所的に作用し得る応力を低減させることができ、揺動可能な巻胴内蔵型のシャッター開閉機の取付構造の耐久性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】シャッター装置が組み込まれたエアカーテンの正面図である。
図2】シャッター装置が組み込まれたエアカーテンの縦断面図である。
図3】シャッター装置の巻取体を示す正面図である。
図4】駆動側ブラケットの組立図である。
図5】駆動側ブラケットの組立図である。
図6】開閉機取付台を示す図である。
図7】開閉機取付台の板状部を示す図である。
図8】従動側ブラケットの組立図である。
図9】開閉機取付台の板状部の他の実施形態を示す図である。
図10】従来のシャッター開閉機の取付構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、シャッター装置が組み込まれた外部装置の概略正面図及び底面図、図2は、縦断面図である。外部装置は、開口部の左右に立設された側柱1と、側柱1の上端間を架け渡すように延びる上枠2と、を備えている。本実施形態に係る外部装置はエアカーテンであり、側柱1の見込面10には、エアー吹き出し口(図示せず)が形成されており、開口部にエアカーテンを形成するようになっている。
【0015】
開口部の上方の上枠2は、開口幅方向の左右の側面部20と、前後の見付面21、22と、上面23と、下面24と、を備え、左右の側面部20と、前後の見付面21、22と、上面23と、下面24で囲まれた空間に、シャッター装置の巻取体3が回転可能に設けてあり、巻取体3にはシャッターカーテン4の上端が連結されている。開口部の左右には、左右の側柱1の見付面にガイド柱5が設けてあり、左右のガイド柱5には、シャッターカーテン4の左右両端部を受け入れ上下に案内するガイドレール50が対向状に形成されている。巻取体3の回転によって、シャッターカーテン4が巻取体3に巻き取られて上昇し、あるいは、巻取体3から繰り出されて降下するようになっている。上枠2の内部空間が、巻取体3に巻き取られたシャッターカーテン4の収納部となっている。
【0016】
巻取体3は、左右の側面部20間に回動可能に支持された円筒状の巻胴30を備えており、巻胴30の外周面にシャッターカーテン4が巻き取られるようになっている。巻胴30の一端側は駆動側、他端側は従動側となっており、巻胴30の駆動側には、開閉機6が内蔵されており、開閉機6の回転によって、巻胴30が回転して、シャッターカーテン4を巻胴30に巻き取り、あるいは、巻胴30から繰り出すようになっている。
【0017】
図1図3図5に示すように、巻胴30の内周面には、駆動側に位置して中子と称される連結体31が固定されており、開閉機6の軸部60は連結体31に固定されており、開閉機6の軸部60、連結体31、巻胴30が一体で回転可能となっている。
【0018】
図1図3図8に示すように、巻胴30の内周面には、従動側に位置して中子と称される連結体32が固定されており、連結体32には、従動軸33の一端が固定されており、従動軸33の他端は従動側ブラケット34に回動自在に支持されている。
【0019】
すなわち、巻胴30の駆動側は、開閉機6の軸部60と連結されており、巻胴30の従動側は、従動側ブラケット34に回転自在に支持された従動軸33に連結されており、巻胴30は、開閉機6の軸部60の駆動軸として回転するようになっている。
【0020】
開閉機6は、取付台7を介して巻胴30に取り付けられている。取付台7は、筒状部70を備えており、筒状部70の外形は巻胴30の内部空間よりも小さく、筒状部70の内部空間は、開閉機6の外形よりも大きい。取付台7の筒状部70には、開閉機6が内装されており、開閉機6の軸部60は筒状部70の一端側から突出して、巻胴30の内周面に固定された連結部31に固定されており、開閉機6は、筒状部70内に位置して、筒状部70の一端側の揺動連結部71において上下に揺動可能に支持されている。揺動連結部71の構成については、特許文献2の背景技術の欄の記載を参照することができる。
【0021】
取付台7の筒状部70の他端側は板状部8を備えており、図3図5に示すように、筒状部70の他端側及び板状部8は、巻胴30の端部(駆動側)よりも外側に位置しており、板状部8は、被固定部9に面接触した状態で被固定部9に固定されている。被固定部9は、上枠2の一方の側面部20の内方の部分である。従動側ブラケット34は、上枠2の他方の側面部20の内方の部分に固定されている。
【0022】
図6に示すように、筒状部70は、対向する円弧状の湾曲部70Aと、対向する平面部70Bと、からなり、概ね円筒状の全体形状を備えている。平面部70Bの先端側には、揺動連結部71が設けてある。本実施形態に係る板状部8は、筒状部70とは別体で用意され(図7参照)、筒状部70の基端に溶接によって固定することで取付台7を構成するようになっている。筒状部70と板状部8からなる取付台7は、巻取体3(巻胴30)の駆動側を回転可能に支持する駆動側ブラケットを構成する。
【0023】
巻取体3は、工場において、巻胴30、連結部31、32、開閉機6、取付台7(筒状部70+板状部8)、従動軸33、従動側ブラケット34を組み立て、かつ、シャッターカーテン4が巻装された組立体として、現場に搬入され、上枠2の内部空間に位置させて、駆動側ブラケット(取付台7)、従動側ブラケット34を外部装置の側面部20の内方の部分に取り付けるようにして、外部装置に組み込まれれる。
【0024】
本実施形態に係る板状部8は、上半部が略半円形状であり、下半部が略長方形状であり、正方形の板体の上側の左右の角部を四分円状に切り欠いた形状となっている。図6図7に示すように、板状部8の周縁は、上側の半円縁80と、半円縁80の左右から垂下する左右の側縁81、82と、水平状の下縁83と、からなり、側縁81、82と下縁83の角部はそれぞれアールがついている。板状部8の中央部位には開口84が形成されており、板状部8には、開口84の周りに周方向に間隔を存して複数の取付孔85´が形成されており、各取付孔85´に位置してナット85が固定されている。板状部8は、板状部8の面部を、被固定部9の面部に面部同士で当接させた面接触状態で、被固定部9からボルト86を板状部8のナット85に固定することで、被固定部9に固定されている。
【0025】
シャッターカーテン4の昇降時には、開閉機6が上下方向に揺動を繰り返すことから、開閉機6を揺動可能に支持する取付台7と被固定部9の固定部位に応力が発生するが、本実施形態に係る板状部8は、方形であった場合に比べて、板状部8と被固定部9の固定部位に生じる応力が分散された形状を備えている。仮に、開閉機の取付台の板状部が方形であったとすると、前記板状部は、略90°の四つの内角を備えた四辺を備えており、板状部の角部(アールがついていたとしても)と被固定部との当接箇所において応力が集中するおそれがある。本実施形態では、板状部8の2つの角部を無くして曲面とすることで、方形であった場合に比べて被固定部への応力伝達が分散された形状を得るようにしている。
【0026】
本実施形態に係る板状部8は、上半部が略半円形状であり、下半部が略長方形状であり、水平状の下縁83を設けることで、搬送時等における巻取体3の取り扱いを容易にしているが、本発明に係る板状部の形状は図4図7に示すものに限定されるものではなく、板状部の一部あるいは全部の角部を無くして曲面としたり、多角形の辺の数を増やすと共に、一部あるいは全部の角部の内角を大きくしたりする(例えば、120°以上)ことで、方形であった場合に比べて、板状部と被固定部の固定部位に生じる応力が分散された形状を得ることができる。板状部の他の態様例を図9に示す。
【0027】
図9(A)に示す板状部8Aは、略円形の全周縁80´を備えた円板状部である。板状部8Aはいかなる角部も備えていないので、板状部8Aの面部を、被固定部9の面部に面部同士で当接させた面接触状態で、板状部8Aと被固定部9の固定部位における応力が局所的に集中することがない。板状部8Aは、板状部8において下半部を略半円形状としたものであるが、板状部8において下半部の左右方向の半部を四分円形状としたもの(すなわち、1つの角部を備えた円周状の板状部)でもよい。
【0028】
図9(B)に示す板状部8Bは、第1辺81´、第2辺82´、第3辺83´、第4辺84´、第5辺85´、第6辺86´、第7辺87´、第8辺88´を備えた正八角形の板状部であり、8つの全ての角部の内角は135°である。板状部8Bの面部を、被固定部9の面部に面部同士で当接させた面接触状態で、方形である場合に比べて、角部の数を増やして全ての内角を大きくしたことで、板状部8Bと被固定部9の固定部位における応力を分散する。
【0029】
図9(C)に示す板状部8Cは、第1辺81´、第2辺82´、第3辺83´、第4辺84´´、第5辺85´´、第6辺86´´を備えた六角形の板状部であり、4つの角部の内角は135°であり、2つの角部の内角は90°である。板状部8Cの面部を、被固定部9の面部に面部同士で当接させた面接触状態で、方形である場合に比べて、角部の数を増やして一部の内角を大きくしたことで、板状部8Cと被固定部9の固定部位における応力を分散する。なお、図9(B)、(C)に示す態様において、1つ以上の角部を湾曲面としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
3 巻取体
30 巻胴
6 開閉機
7 開閉機の取付台
70 筒状部
8、8A、8B、8C 板状部
9 被固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10