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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164132
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
H01L31/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069428
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒羽 淳史
【テーマコード(参考)】
5F889
【Fターム(参考)】
5F889BA01
5F889BB02
5F889BB09
5F889BC02
5F889BC06
5F889BC11
5F889BC21
5F889BC25
5F889CA21
5F889DA02
5F889EA01
5F889EA04
5F889EA06
5F889EA10
(57)【要約】
【課題】製造コストの増加を抑制すると共に、半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体装置1は、発光素子2と、受光素子3と、導電性材料からなるダイパッド20とを備える。ダイパッド20は、第1領域20A、および、第1領域20Aよりも厚い厚さを有する第2領域20Bを含む。受光素子3は、ダイパッド20に対して電気的に絶縁されるように、第1領域20Aの上面上に設けられている。発光素子2は、受光素子3の貫通孔4の内部において、導電性の接着層5を介して第2領域20Bの上面上に設けられている。発光素子2の上面の位置、および、受光素子3の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光領域を有する発光素子と、
受光領域を有する受光素子と、
導電性材料からなるダイパッドと、
を備え、
前記ダイパッドは、第1領域、および、前記第1領域よりも厚い厚さを有し、且つ、平面視において前記第1領域に囲まれた第2領域を含み、
前記受光素子には、前記受光素子を貫通する貫通孔が設けられ、
前記受光素子は、前記ダイパッドに対して電気的に絶縁されるように、前記第1領域の上面上に設けられ、
前記発光素子は、前記貫通孔の内部において、導電性の第1接着層を介して前記第2領域の上面上に設けられ、
前記発光素子の上面の位置、および、前記受光素子の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
その上面が前記第2領域の上面と面一になるように、前記第1領域の上面上に設けられた第1樹脂層を更に備え、
前記受光素子は、前記第1樹脂層を介して前記第1領域の上面上に設けられている、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
平面視において、前記第1接着層の端部は、前記第2領域と前記第1樹脂層との境界を越えないように、前記第2領域の上面上に位置している、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1領域の上面上に設けられた絶縁性の第2接着層を更に備え、
前記受光素子は、前記第2接着層を介して前記第1領域の上面上に設けられ、
前記第1領域の上面の位置から前記第2領域の上面の位置までの高さは、前記第2領域の厚さの50%以上、70%以下の範囲である、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第2領域は、前記発光素子が設けられる搭載部と、平面視において前記搭載部を囲む周辺部と、前記搭載部と前記周辺部との間に設けられた溝部とを有し、
前記搭載部の上面または前記周辺部の上面からの前記溝部の深さは、前記搭載部の厚さまたは前記周辺部の厚さの50%以上、70%以下の範囲である、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ダイパッドから物理的に離間するように、平面視において前記ダイパッドの外周に設けられ、且つ、導電性材料からなる複数のリード端子と、
前記受光素子と、前記複数のリード端子とを電気的に接続するボンディングワイヤと、
を更に備え、
前記複数のリード端子の各々の上面の位置は、前記第2領域の上面の位置よりも高く、
前記受光素子と、前記ダイパッド、前記発光素子、前記第1接着層および前記複数のリード端子との間には、前記貫通孔を埋め込むように、第2樹脂層が設けられている、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記複数のリード端子の各々は、第1リード端子部材と、導電性の第3接着層を介して前記第1リード端子部材の上面上に設けられた第2リード端子部材とを含み、
前記ボンディングワイヤは、前記受光素子と、前記複数の第2リード端子部材とを電気的に接続している、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記第1リード端子部材の厚さは、前記第2領域の厚さと同じである、半導体装置。
【請求項9】
(a)導電性材料からなる金属板と、発光領域を有する発光素子と、受光領域を有し、且つ、貫通孔が設けられた受光素子とを用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記金属板を選択的にエッチングすることで、第1領域、および、前記第1領域よりも厚い厚さを有し、且つ、平面視において前記第1領域に囲まれた第2領域を含むダイパッドを形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記金属板を選択的にエッチングすることで、前記ダイパッドから物理的に離間されるように、平面視において前記ダイパッドの外周に複数のリード端子を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記ダイパッドに対して電気的に絶縁されるように、前記第1領域の上面上に、前記受光素子を設置する工程、
(e)前記(c)工程後、前記貫通孔の内部に位置するように、前記第2領域の上面上に、第1接着層を介して前記発光素子を設置する工程、
(f)前記(d)工程および前記(e)工程後、前記受光素子および前記複数のリード端子を第1ボンディングワイヤで電気的に接続し、前記発光素子および前記受光素子を第2ボンディングワイヤで電気的に接続する工程、
を備え、
前記発光素子の上面の位置、および、前記受光素子の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
(g)前記(b)工程と前記(c)工程との間で、その上面が前記第2領域の上面と面一になるように、前記第1領域の上面上に、第1樹脂層を設ける工程、
を更に備え、
前記(d)工程では、前記受光素子は、前記第1樹脂層を介して前記第1領域の上面上に設置されている、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
平面視において、前記第1接着層の端部は、前記第2領域と前記第1樹脂層との境界を越えないように、前記第2領域の上面上に位置している、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記受光素子は、絶縁性の第2接着層を介して前記第1領域の上面上に設置され、
前記第1領域の上面の位置から前記第2領域の上面の位置までの高さは、前記第2領域の厚さの50%以上、70%以下である、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記第2領域が、搭載部と、平面視において前記搭載部を囲む周辺部と、前記搭載部と前記周辺部との間に設けられた溝部とを有するように、前記金属板がエッチングされ、
前記搭載部の上面または前記周辺部の上面からの前記溝部の深さは、前記搭載部の厚さまたは前記周辺部の厚さの50%以上、70%以下の範囲であり、
前記(e)工程では、前記発光素子は、前記第1接着層を介して前記搭載部の上面上に設置される、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
(a)導電性材料からなる第1金属板と、導電性材料からなる第2金属板と、発光領域を有する発光素子と、受光領域を有し、且つ、貫通孔が設けられた受光素子とを用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1金属板を選択的にエッチングすることで、第1領域、および、前記第1領域よりも厚い厚さを有し、且つ、平面視において前記第1領域に囲まれた第2領域を含むダイパッドと、前記ダイパッドから物理的に離間されるように、平面視において前記ダイパッドの外周に複数の第1リード端子部材とを形成する工程、
(c)前記(a)工程後、前記第2金属板を選択的にエッチングすることで、複数の第2リード端子部材を形成する工程、
(d)前記(b)工程および前記(c)工程後、基材上に、前記発光素子が前記貫通孔の内部に位置するように、前記発光素子の上面、前記受光素子の上面および前記第2リード端子部材の上面を搭載する工程、
(e)前記(d)工程後、前記受光素子と前記第1領域とが物理的に離間されるように、前記発光素子の下面に、導電性の第1接着層を介して前記第2領域の上面を接着し、前記複数の第2リード端子部材の下面に、それぞれ導電性の第3接着層を介して前記複数の第1リード端子部材の上面を接着する工程、
(f)前記(e)工程後、前記貫通孔を埋め込むように、前記受光素子と、前記ダイパッド、前記発光素子、前記第1接着層、前記複数の第1リード端子部材および前記複数の第2リード端子部材との間に、樹脂層を設ける工程、
(g)前記(f)工程後、前記基材を除去する工程、
(h)前記(g)工程後、前記受光素子および前記複数の第2リード端子部材を第1ボンディングワイヤで電気的に接続し、前記発光素子および前記受光素子を第2ボンディングワイヤで電気的に接続する工程、
を備え、
前記発光素子の上面の位置、および、前記受光素子の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1リード端子部材の厚さは、前記第2領域の厚さと同じである、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、発光素子および受光素子を備えた半導体装置と、その製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気信号を光に変換して発光する発光素子と、受光した光を電気信号に変換する受光素子とを備えたフォトカプラなどの半導体装置が開発されている。発光素子から発せられた光は、被測定体で反射し、受光素子で受光される。
【0003】
例えば、特許文献1には、光の検出感度を向上させるために、発光素子の発光面の高さと、受光素子の受光面の高さとを実質的に同一平面上に位置させることで、発光面から被測定体までの距離と、被測定体から受光面までの距離とを実質的に等しくしたフォトカプラが開示されている。
【0004】
また、このような構造とするために、特許文献1の図1では、リードフレームに設けられた穴の内部に発光素子を収容し、受光素子に設けられた凹部にリードフレームを嵌め込むことで、発光素子および受光素子をリードフレームに固定している。また、特許文献1の図6では、発光素子および受光素子が、リードフレーム上に設けられておらず、樹脂で覆われることで互いに絶縁されている。また、特許文献1の図9では、発光素子および受光素子が、接着剤を介して、一定の厚さを有するリードフレーム上に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6620176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の図1では、受光素子に凹部を設けているが、この構造を実現するための加工技術の難易度が高く、製造工程も増加するので、製造コストが増加するという問題がある。また、特許文献1の図6では、ダイパッドを用いずに発光素子および受光素子を実装している。しかし、特に、大型のパッケージ形態になるに連れて、実装上の信頼性の確保が難しくなるという問題がある。また、特許文献1の図9のように、一定の厚さを有するリードフレーム上に発光素子および受光素子を単純に配置すると、導電性の接着剤が受光素子の側面または下面に接触し、受光素子が、発光素子およびリードフレームと短絡する恐れがある。すなわち、半導体装置の機能および信頼性が低下する恐れがある。
【0007】
本願の主な目的は、製造コストの増加を抑制すると共に、半導体装置の信頼性を向上させることである。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態における半導体装置は、発光領域を有する発光素子と、受光領域を有する受光素子と、導電性材料からなるダイパッドとを備える。前記ダイパッドは、第1領域、および、前記第1領域よりも厚い厚さを有し、且つ、平面視において前記第1領域に囲まれた第2領域を含み、前記受光素子には、前記受光素子を貫通する貫通孔が設けられ、前記受光素子は、前記ダイパッドに対して電気的に絶縁されるように、前記第1領域の上面上に設けられ、前記発光素子は、前記貫通孔の内部において、導電性の第1接着層を介して前記第2領域の上面上に設けられ、前記発光素子の上面の位置、および、前記受光素子の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している。
【0009】
一実施の形態における半導体装置の製造方法は、(a)導電性材料からなる金属板と、発光領域を有する発光素子と、受光領域を有し、且つ、貫通孔が設けられた受光素子とを用意する工程、(b)前記(a)工程後、前記金属板を選択的にエッチングすることで、第1領域、および、前記第1領域よりも厚い厚さを有し、且つ、平面視において前記第1領域に囲まれた第2領域を含むダイパッドを形成する工程、(c)前記(b)工程後、前記金属板を選択的にエッチングすることで、前記ダイパッドから物理的に離間されるように、平面視において前記ダイパッドの外周に複数のリード端子を形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記ダイパッドに対して電気的に絶縁されるように、前記第1領域の上面上に、前記受光素子を設置する工程、(e)前記(c)工程後、前記貫通孔の内部に位置するように、前記第2領域の上面上に、第1接着層を介して前記発光素子を設置する工程、(f)前記(d)工程および前記(e)工程後、前記受光素子および前記複数のリード端子を第1ボンディングワイヤで電気的に接続し、前記発光素子および前記受光素子を第2ボンディングワイヤで電気的に接続する工程、を備える。前記発光素子の上面の位置、および、前記受光素子の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している。
【0010】
一実施の形態における半導体装置の製造方法は、(a)導電性材料からなる第1金属板と、導電性材料からなる第2金属板と、発光領域を有する発光素子と、受光領域を有し、且つ、貫通孔が設けられた受光素子とを用意する工程、(b)前記(a)工程後、前記第1金属板を選択的にエッチングすることで、第1領域、および、前記第1領域よりも厚い厚さを有し、且つ、平面視において前記第1領域に囲まれた第2領域を含むダイパッドと、前記ダイパッドから物理的に離間されるように、平面視において前記ダイパッドの外周に複数の第1リード端子部材とを形成する工程、(c)前記(a)工程後、前記第2金属板を選択的にエッチングすることで、複数の第2リード端子部材を形成する工程、(d)前記(b)工程および前記(c)工程後、基材上に、前記発光素子が前記貫通孔の内部に位置するように、前記発光素子の上面、前記受光素子の上面および前記第2リード端子部材の上面を搭載する工程、(e)前記(d)工程後、前記受光素子と前記第1領域とが物理的に離間されるように、前記発光素子の下面に、導電性の第1接着層を介して前記第2領域の上面を接着し、前記複数の第2リード端子部材の下面に、それぞれ導電性の第3接着層を介して前記複数の第1リード端子部材の上面を接着する工程、(f)前記(e)工程後、前記貫通孔を埋め込むように、前記受光素子と、前記ダイパッド、前記発光素子、前記第1接着層、前記複数の第1リード端子部材および前記複数の第2リード端子部材との間に、樹脂層を設ける工程、(g)前記(f)工程後、前記基材を除去する工程、(h)前記(g)工程後、前記受光素子および前記複数の第2リード端子部材を第1ボンディングワイヤで電気的に接続し、前記発光素子および前記受光素子を第2ボンディングワイヤで電気的に接続する工程、を備える。前記発光素子の上面の位置、および、前記受光素子の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している。
【発明の効果】
【0011】
一実施の形態によれば、製造コストの増加を抑制できると共に、半導体装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図2】実施の形態1における半導体装置を示す底面図である。
図3】実施の形態1におけるダイパッドおよび複数のリード端子を示す平面図である。
図4】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図5】実施の形態1における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図6図5に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図7図6に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図11】実施の形態2における半導体装置を示す平面図である。
図12】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図13】実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図14図13に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図15図14に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図16図15に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図18図17に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図19】変形例における半導体装置を示す平面図である。
図20】変形例における半導体装置を示す断面図である。
図21】実施の形態3における半導体装置を示す平面図である。
図22】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
図23】実施の形態3における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図24図23に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図25図24に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図26図25に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図27図26に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0014】
また、本願で説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の縦方向、上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面視」という表現は、X方向およびY方向によって構成される面を、Z方向から見ることを意味する。
【0015】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
以下に図1~4を用いて、実施の形態1における半導体装置1について説明する。図1は、半導体装置1を示す平面図であり、図2は、半導体装置1を示す底面図であり、図3は、半導体装置1のうちダイパッド20および複数のリード端子30のみを示す平面図である。図4は、図1図3に示されるA-A線に沿った断面図である。
【0016】
実施の形態1における半導体装置1は、例えば光学式エンコーダ用に適したフォトカプラである。図1図3に示されるように、半導体装置1は、発光素子2、受光素子3、ダイパッド20および複数のリード端子30などを備える。
【0017】
発光素子2は、例えば発光ダイオードのような発光領域を有している。受光素子3は、例えばフォトダイオードのような受光領域と、フォトダイオードを駆動するための複数のトランジスタとを有している。発光素子2から発せられた光は、被測定体(図示せず)で反射し、反射した光は、受光素子3で受光される。ここでは、発光素子2の上面が発光面となり、受光素子3の上面が受光面となっている。
【0018】
ダイパッド20および複数のリード端子30は、導電性の材料からなるが、一枚の金属板50をエッチング加工することで形成できる。複数のリード端子30は、ダイパッド20から物理的に離間されるように、平面視においてダイパッド20の外周に設けられている。
【0019】
図4に示されるように、ダイパッド20は、第1領域20A、および、第1領域20Aよりも厚い厚さを有し、且つ、平面視において第1領域20Aに囲まれた第2領域20Bを含む。
【0020】
受光素子3には、受光素子3を貫通する貫通孔4が設けられ、受光素子3は、ダイパッド20に対して電気的に絶縁されるように、第1領域20Aの上面上に設けられている。実施の形態1では、第1領域20Aの上面上に樹脂層10が設けられ、受光素子3は、樹脂層10および絶縁性の接着層6を介して第1領域20Aの上面上に設けられている。
【0021】
樹脂層10の上面の位置は、第2領域20Bの上面の位置とほぼ同じである。すなわち、樹脂層10の上面は、第2領域20Bの上面と面一になっている。
【0022】
発光素子2は、貫通孔4の内部において、導電性の接着層5を介して第2領域20Bの上面に設けられている。すなわち、発光素子2は、平面視において受光素子3に囲まれている。また、発光素子2の発光領域のカソード側が、導電性の接着層5を介してダイパッド20に電気的に接続されている。
【0023】
また、発光素子2および受光素子3は、ボンディングワイヤ7によって電気的に接続されている。すなわち、発光素子2の発光領域のアノード側が、ボンディングワイヤ7を介して受光素子3に電気的に接続される。また、受光素子3および複数のリード端子30が、ボンディングワイヤ7によって電気的に接続されている。
【0024】
<半導体装置の製造方法>
以下に図5図10を用いて、実施の形態1における半導体装置1の製造方法について説明する。なお、図5図10は、図4と同様に、A-A線に沿った断面図である。
【0025】
まず、導電性材料からなる金属板50と、発光素子2と、受光素子3とを用意する。金属板50は、例えば銅であるか、銅に錫、ジルコニウムまたは鉄などを添加した銅合金である。
【0026】
次に、図5に示されるように、金属板50の上面上に、レジストパターンRP1を形成する。次に、図6に示されるように、レジストパターンRP1をマスクとして、金属板50を選択的にエッチングすることで、金属板50の一部が薄くなるように、金属板50を加工する。これにより、相対的に薄い第1領域20A、および、相対的に厚い第2領域20Bを含むダイパッド20を形成する。その後、レジストパターンRP1を除去する。また、第1領域20Aの上面の位置から第2領域20Bの上面の位置までの高さは、例えば金属板50の厚さ(第2領域20Bの厚さ)の60%以上、80%以下の範囲である。
【0027】
次に、図7に示されるように、第1領域20Aの上面上に樹脂層10を設ける。樹脂層10は、第1領域20Aと第2領域20Bとの間の段差を埋め込むように設けられ、樹脂層10の上面が第2領域20Bの上面と面一になるように設けられる。または、第1領域20Aと第2領域20Bとの間の段差を越えて樹脂層を形成した後、金属板50の上面を研削し、不要な樹脂を除去することで、第1領域20Aと第2領域20Bとの間の段差を埋める樹脂層10を設けても良い。なお、樹脂層10は、絶縁性樹脂からなり、例えばエポキシ樹脂からなる。
【0028】
次に、図8に示されるように、金属板50の下面上に、レジストパターンRP2を形成する。次に、レジストパターンRP2をマスクとして、金属板50を選択的にエッチングすることで、金属板50の一部を切断するように、金属板50を加工する。これにより、ダイパッド20から物理的に離間されるように、平面視においてダイパッド20の外周に複数のリード端子30が配置されたリードフレームLF1が形成される。その後、レジストパターンRP2を除去する。
【0029】
次に、図9に示されるように、ダイパッド20に対して電気的に絶縁されるように、第1領域20Aの上面上に、樹脂層10および絶縁性の接着層6を介して、受光素子3を設置する。そして、受光素子3の貫通孔4の内部に位置するように、第2領域20Bの上面上に、導電性の接着層5を介して発光素子2を設置する。接着層5は、例えば銀ペーストからなり、接着層6は、例えば熱硬化性樹脂からなる。接着層5および接着層6の各々の厚さは、例えば10μm以上、20μm以下である。
【0030】
なお、受光素子3を設置する工程と、発光素子2を設置する工程とは、何れが先であっても構わない。また、発光素子2の上面の位置は、受光素子3の上面の位置と実質的に同一平面上にある。
【0031】
次に、図10に示されるように、受光素子3および複数のリード端子30をボンディングワイヤ7で電気的に接続し、発光素子2および受光素子3をボンディングワイヤ7で電気的に接続する。その後、複数のリード端子30の各々の上面、受光素子3の上面の一部、および、ボンディングワイヤ7を覆うように、樹脂層11で封止することで、図4に示される半導体装置1が製造される。
【0032】
<実施の形態1の主な効果>
実施の形態1の半導体装置1では、特許文献1の図1のように、受光素子3に凹部を形成する難易度の高い加工技術を必要とせず、比較的容易な製造技術で半導体装置1を製造できるので、製造コストの増加を抑制できる。
【0033】
また、発光素子2および受光素子3がダイパッド20の上面上に実装されているので、特許文献1の図6のようにリードフレームを用いない実装形態と比較して、実装上の信頼性の確保が容易となり、半導体装置1の信頼性を向上できる。
【0034】
また、発光素子2の上面の位置は、受光素子3の上面の位置と実質的に同一平面上にある。より具体的には、発光素子2の上面の位置、および、受光素子3の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している。
【0035】
上述のように、発光素子2から発生せられた光は、被測定体で反射し、反射した光は、受光素子3で受光される。従って、発光素子2の上面(発光領域)から被測定体までの距離と、被測定体から受光素子3の上面(受光領域)までの距離とを実質的に等しくすることができる。そのため、半導体装置1の検出精度を向上できる。
【0036】
なお、発光素子2の上面の位置、および、受光素子3の上面の位置は、例えばこれらの下方に設けられる接着層5および接着層6の形成条件によって、完全に一致しない場合もある。しかし、双方の上面の位置が5μm以下の範囲内で一致していれば、半導体装置1の検出精度を十分に向上できる。
【0037】
また、絶縁性の接着層6の形成条件によっては、接着層6の内部にボイドなどが発生し、受光素子3とダイパッド20との間で、絶縁性が十分に確保されない場合がある。これに対して実施の形態1では、受光素子3の下方に接着層6だけでなく、樹脂層10も設けられている。そのため、仮に上記ボイドなどが存在していた場合でも、受光素子3とダイパッド20との間で、絶縁性を十分に確保することができるので、半導体装置1の信頼性を向上できる。
【0038】
また、導電性の接着層5の形成条件によっては、接着層5が、発光素子2から広がり過ぎて、受光素子3に近づく場合がある。例えば特許文献1の図9のように、一定の厚さを有するダイパッド20上に発光素子2および受光素子3を単純に配置すると、導電性の接着層5が受光素子3の側面または下面に接触し、受光素子3が、発光素子2およびダイパッド20と短絡する恐れがある。このような短絡を防止するために、発光素子2と受光素子3との間の距離(接着層5と接着層6との間の距離)を長くすることが考えられる。しかし、そうすると、半導体装置1のサイズが大きくなるので、半導体装置1の微細化を促進することができない。
【0039】
これに対して実施の形態1では、樹脂層10の上面が第2領域20Bの上面と面一にされ、第2領域20Bと樹脂層10との境界が存在している。第2領域20Bおよび樹脂層10は、互いに異なる材料からなるので、接着層5の広がり方が、第2領域20Bの上面上と樹脂層10の上面上とで異なってくる。すなわち、仮に接着層5が第2領域20Bの上面上に広がったとしても、接着層5が、上記境界を越えて、樹脂層10の上面上に広がり難くなる。従って、半導体装置1のサイズを変えることなく、受光素子3が、発光素子2およびダイパッド20と短絡する恐れを抑制できる。すなわち、半導体装置1の微細化に対応しながら、半導体装置1の信頼性を向上できる。
【0040】
なお、図4に示されるように、接着層5の端部が、第2領域20Bと樹脂層10との境界を越えないように、第2領域20Bの上面上に位置していることが理想的である。
【0041】
(実施の形態2)
以下に図11および図12を用いて、実施の形態2における半導体装置1について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。図11は、半導体装置1を示す平面図であり、図12は、図11に示されるA-A線に沿った断面図である。
【0042】
図11および図12に示されるように、ダイパッド20が相対的に薄い第1領域20A、および、相対的に厚い第2領域20Bを含んでいる点については、実施の形態2は、実施の形態1と同様である。しかし、実施の形態2では、第1領域20Aの上面上に樹脂層10が設けられておらず、第1領域20Aの上面上に接着層6が直接設けられ、接着層6の上面上に受光素子3が設けられている。
【0043】
それ故、受光素子3とダイパッド20との間で、絶縁性を十分に確保するという点については、実施の形態1の方が、実施の形態2よりも優れている。しかしながら、実施の形態2では、樹脂層10を設置するための製造工程が省略できるので、製造コストの増加を実施の形態1よりも更に抑制できる。
【0044】
また、第1領域20Aと第2領域20Bとの間の段差によって、発光素子2から受光素子3までの距離(沿面距離)が長くなり、また、段差において表面張力が生じるので、接着層5が発光素子2から広がり過ぎた場合でも、接着層5が受光素子3の側面または下面に接触し難くなっている。そのため、受光素子3が、発光素子2およびダイパッド20と短絡し難くなっているので、半導体装置1の信頼性が確保される。なお、第1領域20Aの上面の位置から第2領域20Bの上面の位置までの高さは、例えば金属板50の厚さ(第2領域20Bの厚さ)の50%以上、70%以下の範囲である。
【0045】
<実施の形態2における半導体装置の製造方法>
以下に図13図18を用いて、実施の形態2における半導体装置1の製造方法について説明する。なお、図13図18は、図12と同様に、A-A線に沿った断面図である。
【0046】
まず、実施の形態1と同様に、導電性材料からなる金属板50と、発光素子2と、受光素子3とを用意する。
【0047】
次に、図13に示されるように、金属板50の上面上に、レジストパターンRP3を形成する。次に、レジストパターンRP3をマスクとして、金属板50を選択的にエッチングすることで、相対的に薄い第1領域20A、および、相対的に厚い第2領域20Bを含むダイパッド20を形成する。その後、レジストパターンRP3を除去する。
【0048】
次に、図14に示されるように、金属板50の下面上に、レジストパターンRP4を形成する。次に、レジストパターンRP4をマスクとして、金属板50を選択的にエッチングすることで、ダイパッド20から物理的に離間されるように、平面視においてダイパッド20の外周に複数のリード端子30が配置されたリードフレームLF1が形成される。その後、レジストパターンRP4を除去する。
【0049】
次に、図15に示されるように、基材8上に、ダイパッド20の下面(第1領域20Aの下面、第2領域20Bの下面)および複数のリード端子30の下面を搭載する。基材8は、搭載物を支持できるものであればよく、例えばポリイミドテープ等の粘着テープである。
【0050】
次に、図16に示されるように、ダイパッド20に対して電気的に絶縁されるように、第1領域20Aの上面上に、絶縁性の接着層6を介して、受光素子3を設置する。そして、受光素子3の貫通孔4の内部に位置するように、第2領域20Bの上面上に、導電性の接着層5を介して発光素子2を設置する。
【0051】
なお、受光素子3を設置する工程と、発光素子2を設置する工程とは、何れが先であっても構わない。また、発光素子2の上面の位置は、受光素子3の上面の位置と実質的に同一平面上にある。
【0052】
次に、図17に示されるように、受光素子3および複数のリード端子30をボンディングワイヤ7で電気的に接続し、発光素子2および受光素子3をボンディングワイヤ7で電気的に接続する。
【0053】
次に、図18に示されるように、複数のリード端子30の各々の上面、受光素子3の上面の一部、および、ボンディングワイヤ7を覆うように、樹脂層11で封止する。ここで、樹脂層11は、受光素子3と複数のリード端子30との間、および、ダイパッド20と複数のリード端子30との間にも設けられる。次に、基材8を除去する。すなわち、基材8が粘着テープである場合、基材8を引き剥がす。以上で、図12に示される半導体装置1が製造される。
【0054】
(実施の形態2の変形例)
以下に図19および図20を用いて、実施の形態2の変形例における半導体装置1について説明する。図19は、半導体装置1を示す平面図であり、図20は、図19に示されるA-A線に沿った断面図である。
【0055】
変形例では、図19および図20に示されるように、第2領域20Bは、発光素子2が設けられる搭載部21と、平面視において搭載部21を囲む周辺部22と、搭載部21と周辺部22との間に設けられた溝部23とを有する。搭載部21の上面または周辺部22の上面からの溝部23の深さは、例えば金属板50の厚さ(搭載部21の厚さまたは周辺部22の厚さ)の50%以上、70%以下の範囲である。
【0056】
変形例では、実施の形態2と比較して、第2領域20Bに溝部23が設けられていることで、発光素子2から受光素子3までの距離(沿面距離)が更に長くなる。また、接着層5が広がったとしても、周辺部22が壁となるので、接着層5は、周辺部22を超えて受光素子3まで到達し難い。従って、接着層5が、受光素子3の側面または下面に更に接触し難くなり、受光素子3が、発光素子2およびダイパッド20と更に短絡し難くなるので、半導体装置1の信頼性を更に向上できる。
【0057】
なお、ここでは、搭載部21の平面積が発光素子2の平面積よりも大きくなっているが、搭載部21は、発光素子2を安定して設置できる程度のサイズであればよい。すなわち、搭載部21の平面積が、発光素子2の平面積よりも小さくてもよい。
【0058】
また、搭載部21、周辺部22および溝部23を設けるためには、図13のレジストパターンRP3を、溝部23となる領域がレジストパターンRP3から露出するようなパターンへ変更すればよい。その後、そのレジストパターンRP3をマスクとして金属板50をエッチングすることで、搭載部21と周辺部22との間に溝部23が形成される。このように、変形例では、マスクパターンの変更のみを行えばよいので、実施の形態2と比較して、製造工程が増加することは無い。
【0059】
(実施の形態3)
以下に図21および図22を用いて、実施の形態3における半導体装置1について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1および実施の形態2との相違点について主に説明し、実施の形態1および実施の形態2と重複する点については説明を省略する。図21は、半導体装置1を示す平面図であり、図22は、図21に示されるA-A線に沿った断面図である。
【0060】
図21および図22に示されるように、ダイパッド20が相対的に薄い第1領域20A、および、相対的に厚い第2領域20Bを含んでいる点については、実施の形態3は、実施の形態1および実施の形態2と同様である。
【0061】
しかし、実施の形態3では、受光素子3と第1領域20Aとの間に接着層6が設けられておらず、受光素子3は、ダイパッド20、発光素子2、接着層5および複数のリード端子30に対して、樹脂層12によって絶縁されている。言い換えれば、受光素子3と、ダイパッド20、発光素子2、接着層5および複数のリード端子30との間には、貫通孔4を埋め込むように、樹脂層12が設けられている。
【0062】
接着層6を用いた場合、接着層6の内部にボイドなどが発生し、絶縁性が十分に確保されない恐れがあった。そこで、厚さが十分に厚い樹脂層12を用いることで、受光素子3と、ダイパッド20などの他構造物との間で、絶縁性が十分に確保される。
【0063】
このような構造を成すために、実施の形態3では、複数のリード端子30の各々の厚さが、実施の形態1および実施の形態2と比較して厚くなっており、複数のリード端子30の各々の上面の位置は、第2領域20Bの上面の位置よりも高くなっている。そして、図22に示されるように、複数のリード端子30の各々の上面、樹脂層12の上面、受光素子3の上面および発光素子2の上面が、実質的に同じ高さに位置し、面一になっている。従って、実施の形態3でも、発光素子2の上面の位置、および、受光素子3の上面の位置は、5μm以下の範囲内で一致している。
【0064】
複数のリード端子30の各々の厚さを厚くすることで、製造工程上、受光素子3とダイパッド20と間の距離が長くなるように、樹脂層12の厚さを調整できる。実施の形態3では、複数のリード端子部材を積層させて1つのリード端子30を構成することで、リード端子30の厚さを厚くしている。
【0065】
ここでは、複数のリード端子30の各々は、第1リード端子部材30Aと、導電性の接着層9を介して第1リード端子部材30Aの上面上に設けられた第2リード端子部材30Bとを含んでいる。
【0066】
また、第1リード端子部材30Aおよびダイパッド20は、同じ金属板50を加工することで形成されるので、第1リード端子部材30Aの厚さは、第2領域20Bの厚さと同じになる。従って、第1リード端子部材30Aおよび第2リード端子部材30Bを含むリード端子30の厚さは、自明的に、第2領域20Bの厚さよりも厚くなる。
【0067】
<実施の形態3における半導体装置の製造方法>
以下に図23図27を用いて、実施の形態3における半導体装置1の製造方法について説明する。なお、図23図27は、図22と同様に、A-A線に沿った断面図である。
【0068】
まず、導電性材料からなるリードフレームLF1と、導電性材料からなるリードフレームLF2と、発光素子2と、受光素子3とを用意する。
【0069】
図23に示されるリードフレームLF1は、以下のように形成される。図13および図14のエッチング処理と同様の手法によって、金属板50を選択的にエッチングすることで、相対的に薄い第1領域20A、および、相対的に厚い第2領域20Bを含むダイパッド20を形成し、ダイパッド20から物理的に離間されるように、平面視においてダイパッド20の外周に複数の第1リード端子部材30Aを形成する。
【0070】
一方で、金属板50とは別に用意した金属板60に同様の手法によって選択的にエッチングをすることで、複数の第2リード端子部材30BからなるリードフレームLF2を形成する。金属板60に用いる導電性の金属は、金属板50と同一の材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。
【0071】
次に、図24に示されるように、基材8上に、発光素子2が貫通孔4の内部に位置するように、発光素子2の上面、受光素子3の上面および第2リード端子部材30Bの上面を搭載する。
【0072】
次に、図25に示されるように、受光素子3と第1領域20Aとが物理的に離間されるように、発光素子2の下面に、接着層5を介して第2領域20Bの上面を接着し、複数の第2リード端子部材30Bの下面に、それぞれ接着層9を介して複数の第1リード端子部材30Aの上面を接着する。接着層9は、例えば銀ペーストからなる。
【0073】
次に、図26に示されるように、貫通孔4を埋め込むように、受光素子3と、ダイパッド20、発光素子2、接着層5、複数の第1リード端子部材30Aおよび複数の第2リード端子部材30Bとの間を、樹脂層12で封止する。なお、樹脂層12は、絶縁性樹脂であり、例えばエポキシ樹脂である。次に、基材8を除去する。すなわち、基材8が粘着テープである場合、基材8を引き剥がす。
【0074】
次に、図27に示されるように、受光素子3および複数のリード端子30をボンディングワイヤ7で電気的に接続し、発光素子2および受光素子3をボンディングワイヤ7で電気的に接続する。
【0075】
その後、複数のリード端子30の各々の上面、受光素子3の上面の一部、および、ボンディングワイヤ7を覆うように、樹脂層11を形成することで、図22に示される半導体装置1が製造される。
【0076】
なお、実施の形態3では、リード端子30の厚さを厚くするために、第1リード端子部材30Aおよび第2リード端子部材30Bを積層させたが、リード端子部材を積層させる数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。その場合、同一の金属板をエッチングすることで、第2領域20Bと発光素子2との間にも、1つのリード端子部材の厚さに相当するリードフレーム(ダイパッド)を残す。リード端子部材を積層させる数を調整することで、受光素子3とダイパッド20と間の距離を調整できる。
【0077】
また、金属板50よりも厚い1つの金属板を用意し、1つの金属板に対して、複数のレジストパターンおよび複数回のエッチング処理を用いることで、1つの金属板から、第1領域20Aおよび第2領域20Bを含むダイパッド20と、第2領域20Bよりも厚いリード端子30とを形成してもよい。
【0078】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 半導体装置
2 発光素子
3 受光素子
4 貫通孔
5 導電性の接着層
6 絶縁性の接着層
7 ボンディングワイヤ
8 基材
9 導電性の接着層
10、11、12 樹脂層
20 ダイパッド
20A 第1領域
20B 第2領域
21 搭載部
22 周辺部
23 溝部
30 リード端子
30A 第1リード端子部材
30B 第2リード端子部材
50、60 金属板
LF1、LF2 リードフレーム
RP1~RP4 レジストパターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27