(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164135
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/78 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
B65G47/78 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069432
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺井 俊朗
【テーマコード(参考)】
3F070
【Fターム(参考)】
3F070AA08
3F070EB01
3F070EB12
3F070FC02
3F070FC07
(57)【要約】
【課題】直進レール部から部品受取部に部品を確実に受け渡し可能な部品供給装置の提供。
【解決手段】本発明の部品供給装置1は、部品Wを直列に並べて搬送する搬送ユニット10と、この搬送ユニット10から排出された部品Wを受取位置で受け取って供給位置へ移載可能な部品受取ユニット20とを備える。部品受取ユニット20は、搬送ユニット10の後端側から排出された部品Wを受け取る受取部材21と、この受取部材21を摺動自在にガイドする枠体22と、受取部材21を往復移動させる往復移動体23と、搬送ユニット10の後端に位置する部品Wを受取部材21へ押し込む押込部材30とを備える。押込部材30は、搬送ユニット10の部品搬送面上方を旋回自在な爪31を備える。これにより、搬送ユニット10の後端に位置する部品Wは、爪31の旋回によって受取部材21へ確実に押し込められ安定的に供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を直列に並べて搬送する搬送ユニットと、この搬送ユニットから排出された部品を受取位置で受け取って供給位置へ移載可能な部品受取ユニットとを具備して成る部品供給装置であって、
前記部品受取ユニットは、前記搬送ユニットの後端側から排出された部品を受け取り支持する受取部材と、この受取部材を摺動自在にガイドする枠体と、前記受取部材を往復移動させる往復移動体と、前記搬送ユニットの後端に位置する部品を前記受取部材へ押し込む押込部材とを備え、
前記押込部材は、前記搬送ユニットの部品搬送面上方を旋回自在な爪を備えて成ることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記押込部材は、前記爪を部品搬送方向へ旋回させるように常時付勢する付勢部材を備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記押込部材は、前記受取部材と一体に摺動するよう構成されて成り、前記供給位置から前記受取位置へ向かって摺動し復帰する過程において、搬送ユニットの最後尾に位置する部品およびその直前に位置する部品の間に入り込み部品同士の間隔を保つ仕切り部材を備えて成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記枠体は、前記搬送ユニットから前記部品を侵入可能に成形された切欠き部と、この切欠き部から前記搬送ユニット側へ張り出すよう成形された壁部とを具備して成り、
前記切欠き部は、前記爪の旋回に必要な空間を構成する一方、
前記壁部は、前記爪の側面に当接して旋回を規制する高さを備えて成ることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を直列に搬送し順次次工程へ供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品供給装置は、特許文献1および特許文献2に示すように、部品を直列に搬送する直進レール部と、この直進レール部の後端に配され前記部品を1つずつ受け取り可能な部品受取部と、この部品受取部を直進レール部の部品搬送方向に対して直交方向または斜め方向へ往復移動可能な往復移動部とを備えて成る。このように構成された従来の部品供給装置は、前記部品を前記直進レール部に並べて振動等により部品受取部へ向かうよう搬送する。これにより直進レール部の後端へ進む部品は、順次振動しない部品受取部内へ送り込まれて、前記往復移動手段の作動によって直進レール部から切り離されて所定位置まで水平搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登2533452号公報
【特許文献2】特開平06-48561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の部品供給装置は、直進レール部の振動が弱かったりあるいは振動時間が短かったりすると、部品が前記直進レール部と部品受取部との間に留まってしまい不完全な受け渡し状態になることがある。このような部品が不完全な受け渡し状態のままで往復移動手段が作動すると、当該部品は、直進レール部とここから切り離されるよう移動する部品受取部との間で挟み込まれる。よって、従来の部品供給装置は、部品受取部への部品の不完全な受け渡し状態を生じて易く、当該部品を次工程へ供給できないという問題があった。また、この問題を解消するために、部品が部品受取部へ正しい姿勢で受け渡されたか否か検出する到着確認センサを設置することも考えられるが、この場合、往復移動手段の制御が煩雑になってしまうという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、部品を直列に並べて搬送する搬送ユニットと、この搬送ユニットから排出された部品を受取位置で受け取って供給位置へ移載可能な部品受取ユニットとを具備して成る部品供給装置であって、前記部品受取ユニットは、前記搬送ユニットの後端側から排出された部品を受け取り支持する受取部材と、この受取部材を摺動自在にガイドする枠体と、前記受取部材を往復移動させる往復移動体と、前記搬送ユニットの後端に位置する部品を前記受取部材へ押し込む押込部材とを備え、前記押込部材は、前記搬送ユニットの部品搬送面上方を旋回自在な爪を備えて成ることを特徴とする。なお、前記押込部材は、前記爪を部品搬送方向へ旋回させるように常時付勢する付勢部材を備えて成ることが望ましい。また、前記押込部材は、前記受取部材と一体に摺動するよう構成されて成り、前記供給位置から前記受取位置へ向かって摺動し復帰する過程において、搬送ユニットの最後尾に位置する部品およびその直前に位置する部品の間に入り込み部品同士の間隔を保つ仕切り部材を備えて成ることが望ましい。さらに、前記枠体は、前記搬送ユニットから前記部品を侵入可能に成形された切欠き部と、この切欠き部から前記搬送ユニット側へ張り出すよう成形された壁部とを具備して成り、前記切欠き部は、前記爪の旋回に必要な空間を構成する一方、前記壁部は、前記爪の側面に当接して旋回を規制する高さを備えて成ることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る部品供給装置は、部品搬送面の上方を旋回自在な爪を具備するので、例えば、搬送ユニットが振動など作動していなくても搬送ユニットの後端に位置する部品を前記爪の旋回によって前記受取部材へ押し込むことができるという利点がある。また、本発明に係る部品供給装置は、付勢部材の付勢力により旋回する爪を備えるので、部品の押込時にエアなどの特別な駆動源が必要ないという利点もある。さらに、本発明に係る部品供給装置は、受取部材と一体に摺動する仕切り部材を押込部材に配して成るので、爪による部品の受取部材への押し込みと、仕切り部材による搬送ユニットと部品受取ユニットとの部品の分断とを一連の摺動動作によって可能とする。これにより、受取部材へ押し込められた部品は、搬送ユニット上の部品から完全に分断されるので、搬送ユニットの振動などの影響を受けず、部品の安定供給が可能になるという利点もある。また、本発明に係る部品供給装置は、前記爪の旋回を許容する空間である切欠き部と、前記爪の旋回を規制する壁部とを備えた枠体を具備しているので、受取位置に位置する受取部材に部品を旋回する爪によって押し込むことができる。しかも、前記爪は、一度受取部材へ押し込んだ部品を受取位置に留めている間、押し込み続けられるので、次の部品が受取部材へ入り込まないようにストッパとしても役割を果たす。よって、本発明に係る部品供給装置は、複数部品が侵入することによる可動部での部品の噛み込み等の問題も生じ難いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る部品供給装置の一例を示す概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図2】(a)は
図1(a)のA-A線断面図であり、(b)は
図1(b)のB-B線要部拡大断面図である。
【
図3】
図2(b)に示す状態から受取部材が動作をはじめ受取位置から供給位置へ向かい、供給位置から受取位置へ復帰する動作を示す動作説明図であり、(a)は受取部材が供給位置へ向かって移動している状態を示し、(b)は受取部材が供給位置に到着した時点を示し、(c)は受取部材から部品が取り除かれた後、受取部材が供給位置から受取位置へ復帰する状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る部品供給装置を
図1ないし
図3に基づいて説明する。本発明に係る部品供給装置1は、
図1(a),(b)および
図2(a)に示すように部品Wを直列に並べて搬送する搬送ユニット10と、
図2(b)および
図3(c)に示すようにこの搬送ユニット10の後端から排出される部品Wを受け取り可能な部品受取ユニット20とを具備して成る。
【0009】
前記部品Wは、ねじ山を備えた小径軸部W1と、この小径軸部W1よりも大径の大径軸部W2と、前記小径軸部W1とほぼ同径であるもののねじ山を備えない第3軸部W3とを備えて成り、前記大径軸部W2が小径軸部W1および第3軸部W3の間に位置するよう配置されている。
【0010】
前記搬送ユニット10は、前記部品Wの前記大径軸部W2を支持する支持レール11,11と、この支持レール11,11に連結された振動体(図示せず)とを備えて成る。前記支持レール11,11は、前記部品Wを垂直姿勢で直列に並べられるよう構成されており、2つの部材が小径軸部W1または第3軸部W3をガイドするように所定間隔を空けて対向配置され成る。また、前記振動体は、前記支持レール11,11に振動を伝達可能に構成されており、前記支持レール11,11に支持された部品Wを搬送ユニット10の後端へ向かうよう直進搬送可能に構成されている。
【0011】
前記部品受取ユニット20は、搬送ユニット10の後端から順次排出される部品Wを吊り下げ可能な受取部材21と、この受取部材21を摺動自在にガイドする枠体22と、前記受取部材21を搬送ユニット10の部品Wの搬送方向に対して直行する方向へ往復移動可能な往復移動体23と、この往復移動体23を摺動自在にガイドして前記枠体22の下方に配されたガイドブロック24と、前記往復移動体23に連結され搬送ユニット20の後端に位置する部品Wを受取部材21へ押し込む押込部材30とを備えて成る。
【0012】
前記受取部材21は、前記部品Wの小径軸部W1または第3軸部W3をガイドする支持レール11,11の隙間よりも若干幅広でかつ前記大径軸部W2を吊下可能な切欠き溝21aを備えて成る。
【0013】
前記枠体22は、前記往復移動体23をガイドしたガイドブロック24に固定されて成り、前記受取部材21を覆うように配されている。また、この枠体22は、前記搬送ユニット10から部品Wを侵入可能に成形された切欠き部22aと、この切欠き部22aから搬送ユニット10側へ張り出すよう成形され支持レール11,11に干渉しないよう成形された壁部22bとを具備して成る。
【0014】
前記切欠き部22aは、前記押込部材30の後記爪31の旋回に必要な空間を構成する一方、前記壁部22bは、爪31の側面に当接して当該爪31の旋回を規制する高さを備えて成る。
【0015】
前記往復移動体23は、外部から供給される圧縮エアの圧力を受けて搬送ユニット10の部品Wの搬送方向と直交する方向へ往復移動可能に構成されている。また、往復移動体23は、常時は
図2(b)に示すように、搬送ユニット10の後端から排出される部品Wを受取部材21によって受取可能な受取位置に留めて成る一方、前記圧縮エアの圧力を受けることで
図3(a)および
図3(b)に示すように受取位置から離反して図示しない別ユニットにより部品Wを次工程へ供給するための供給位置に位置させることができる。さらに、往復移動体23は、
図3(c)に示すように供給位置から受取位置へ移動可能であり、この場合は圧縮エアを先ほどとは逆方向から供給することでこの供給位置から受取位置へ復帰される。
【0016】
前記押込部材30は、前記搬送ユニット10の部品搬送面上方を旋回自在な爪31と、この爪31を旋回可能に支持して成るピン部材34と、前記爪31を常時一方向へ旋回させるよう付勢して成る付勢部材の一例である圧縮ばね32と、前記爪31を旋回自在に支持するとともに圧縮ばね32を一部突出させて配置可能な仕切り部材33とから構成される。
【0017】
前記爪31は、
図2(b)に示す時には前記枠体22の切欠き部22aによって壁部22bとの干渉を解かれているので、前記圧縮ばね32の付勢を受けて部品Wを受取部材21へ押し込む方向に旋回した状態となる。一方、前記爪31は、
図3(a)に示す時には前記壁部22bとの干渉によって押し込む方向から逆方向へ旋回してその先端の向きを変えて成る。この後も爪31は、
図3(b)に示すように仕切り部材33とともに移動するので圧縮ばね32を圧縮させた状態にする。
【0018】
また、前記爪31は、
図3(b)に示す供給位置から
図2(b)に示す受取位置へ移動する時には、
図3(c)に示すように切欠き部22aに到達することで圧縮ばね32の付勢を受けて部品Wを押し込む方向へ旋回を始めるよう構成されている。
【0019】
前記仕切り部材33は、
図1(a),(b)に示すように前記壁部22bに沿うよう配置されており、受取位置では搬送ユニット10の後端上方へ張り出すよう配されている。また、仕切り部材33の先端は、
図2(b)に示すように斜面が形成されており、受取位置において、前記受取部材21へ押し込む部品Wと搬送ユニット10に吊下した部品Wとを分断するよう構成されている。これにより、仕切り部材33は、前記斜面に当接する部品Wを受取部材21側へ直進させないよう仕切ることができる。
【0020】
このように構成された本発明に係る部品供給装置1の作用について以下に説明する。
図1および
図2に示すように、受取位置に留まり部品Wを支持した受取部材21は、前記圧縮エアにより供給位置へ向かって往復移動体23とともに枠体22内を摺動し始める。これにより受取部材21に支持された部品Wは、
図3(a)に示すように前記大径軸部W2の面取り部に当接して奥方へ押される。やがて、前記受取部材21は、
図3(b)に示す供給位置に到達して前記部品Wを支持した状態で当該供給位置に留まる。
【0021】
このように供給位置に到着した部品Wは、図示しない部品取出装置などによって取り出され、この部品取出装置の部品Wの取り出しが完了すれば、前記枠体22内の圧縮エアが外部へ解放されるとともに先ほどとは逆方向から新たな圧縮エアが供給される。
【0022】
これにより、前記往復移動体23の受取位置への復帰が始まり部品Wを支持していない受取部材21が仕切り部材33とともに位置へ移動する。この時、爪31は、前記壁部22bによって旋回を規制されたまま移動するものの、
図3(c)に示すよう壁部22bから切欠き部22aへ到達する。これにより、爪31は、壁部22bによる旋回の規制が解かれて支持レール11,11の後端に位置する部品Wを受取部材21へ押し込むように旋回する。
【0023】
また、この時、仕切り部材33は、支持レール11の上方へ入り込むため、前述の爪31により押し込む前記部品Wとその直前に位置する支持レール11,11に吊り下げられた部品Wとを分断することができる。やがて、前記受取部材21は、受取位置に到着するので、
図2(b)に示す状態へとなって爪31に押し込められた部品Wを吊り下げて支持することができる。
【0024】
このように本発明に係る部品供給装置1は、供給位置から受取位置への受取部材21の移動時に搬送ユニット10の後端に位置する部品Wを爪31によって受取部材21へ押し込むことができる。したがって、支持レール11,11および受取部材21の異なる部材への部品Wの受け渡しが確実となり、部品の安定的な供給が可能となる。
【0025】
なお、本実施形態において、前記部品Wは、前記大径軸部W2が小径軸部W1と第3軸部W3との間に配置されているものとしたが、これに限定されるものではなく、支持レール11,11に支持される大径軸部W2と、当該支持レール11,11の隙間でガイドされる小径軸部W1または第3軸部W3の一方とから構成されるものであってもよい。この場合、前記爪31は、支持レール11,11の上方に位置する前記大径軸部W2に当接して前記受取部材21へこの部品Wを押し込むように構成されている。
【符号の説明】
【0026】
1 … 部品供給装置
10 … 搬送ユニット
11 … 支持レール
20 … 部品受取ユニット
21 … 受取部材
22b… 壁部
30 … 押込部材
31 … 爪
32 … 圧縮ばね
33 … 仕切り部材