(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164139
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】光学積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069442
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 颯矢
(72)【発明者】
【氏名】秦 和也
(72)【発明者】
【氏名】出▲崎▼ 忍
(72)【発明者】
【氏名】岩本 展明
(72)【発明者】
【氏名】白子 未来
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB19
2H149AB26
2H149BA02
2H149CA02
2H149EA12
2H149EA22
2H149FB01
2H149FB05
2H149FB08
(57)【要約】
【課題】カールを抑制可能な光学積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る光学積層体100の製造方法は、長尺帯状のセパレータ4に形成された粘着剤層3を介してセパレータを長尺帯状の偏光板10に貼り合わせるセパレータ貼合工程ST3と、セパレータ貼合工程の後に、偏光板に長尺帯状の表面保護フィルム5を貼り合わせる表面保護フィルム貼合工程ST5と、表面保護フィルム貼合工程の後に、長尺帯状のセパレータを粘着剤層から剥離した後、長尺帯状のセパレータを粘着剤層を介して偏光板に貼り合わせる第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状のセパレータに形成された粘着剤層を介して前記セパレータを長尺帯状の偏光板に貼り合わせるセパレータ貼合工程と、
前記セパレータ貼合工程の後に、前記偏光板に長尺帯状の表面保護フィルムを貼り合わせる表面保護フィルム貼合工程と、
前記表面保護フィルム貼合工程の後に、長尺帯状のセパレータを前記粘着剤層から剥離した後、長尺帯状のセパレータを前記粘着剤層を介して前記偏光板に貼り合わせる第1のセパレータ剥離・貼合工程と、を含む、
光学積層体の製造方法。
【請求項2】
前記セパレータ貼合工程は、長尺帯状のセパレータに粘着剤を塗布し、前記塗布した粘着剤を加熱して硬化させて前記粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程を含む、
請求項1に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項3】
前記表面保護フィルム貼合工程の前に、長尺帯状のセパレータを前記粘着剤層から剥離した後、長尺帯状のセパレータを前記粘着剤層を介して前記偏光板に貼り合わせる第2のセパレータ剥離・貼合工程を含む、
請求項1又は2に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項4】
前記第2のセパレータ剥離・貼合工程は、長尺帯状のセパレータを剥離した後に前記偏光板を検査する検査工程を兼ねる、
請求項3に記載の光学積層体の製造方法。
【請求項5】
前記第1のセパレータ剥離・貼合工程において、長尺帯状のセパレータを剥離してから長尺帯状のセパレータを貼り合わせるまでの時間が1分以内である、
請求項1から4の何れかに記載の光学積層体の製造方法。
【請求項6】
前記第1のセパレータ剥離・貼合工程において、長尺帯状のセパレータと前記偏光板とを貼合ローラによって貼り合わせ、
前記セパレータの前記貼合ローラへの進入角度が90°未満であり、前記偏光板の前記貼合ローラへの進入角度が90°未満である、
請求項1から5の何れかに記載の光学積層体の製造方法。
【請求項7】
前記貼合ローラは、前記セパレータに接触する第1ローラと、前記偏光板に接触する第2ローラとから構成され、
前記第1ローラ及び前記第2ローラのうち、一方の表面が樹脂から形成され、他方の表面が金属から形成されている、
請求項6に記載の記載の光学積層体の製造方法。
【請求項8】
前記第1ローラは、表面が金属から形成され、
前記第2ローラは、表面が樹脂から形成されている、
請求項7に記載の光学積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも偏光板、セパレータ及び表面保護フィルムを備えた光学積層体の製造方法に関する。特に、本発明は、カールを抑制可能な光学積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置や有機EL表示装置等の構成材料として、偏光板が使用されている。偏光板は、偏光フィルムの他、用途に応じて位相差フィルム等を備える。偏光フィルムは、例えば、ヨウ素などの二色性物質で染色した偏光子とこの偏光子を保護する保護フィルムとから構成されている。長尺帯状の偏光フィルムは、長尺帯状の偏光子の少なくとも片面に長尺帯状の保護フィルムを貼り合わせて製造される。製造された長尺帯状の偏光フィルムの片面には、長尺帯状の位相差フィルム等が貼り合わせられて、長尺帯状の偏光板が製造される。製造された長尺帯状の偏光板の片面には、長尺帯状のセパレータ(離型フィルム)が貼り合わせられ、他方の面には、長尺帯状の表面保護フィルムが貼り合わせられて、長尺帯状の光学積層体が製造される。これら長尺帯状の各フィルムの貼り合わせは、通常、ロールツーロール方式やロールツーシート方式で行われる。製造された長尺帯状の光学積層体は、用途に応じたサイズや形状に切断され、液晶表示装置等に用いられる。なお、液晶表示装置等に用いられる際には、セパレータは剥離されて、光学積層体の残りの構成要素が液晶表示装置等に貼り付けられる。
【0003】
図8は、従来の光学積層体の製造方法の概略工程例を示すフロー図である。
図8に示すように、従来の光学積層体の製造方法は、偏光フィルム製造工程ST1’、位相差フィルム貼合工程ST2’、セパレータ貼合工程ST3’、検査工程ST4’及び表面保護フィルム貼合工程ST5’を含む。
偏光フィルム製造工程ST1’では、長尺帯状の樹脂フィルムを原反フィルムとして、この原反フィルムを長手方向に搬送しながら各種の処理浴に浸漬させて、染色処理や延伸処理等の各種の処理を施すことによって、長尺帯状の偏光子を製造する。そして、長尺帯状の偏光子の少なくとも片面に長尺帯状の保護フィルムを貼り合わせることで、長尺帯状の偏光フィルムを製造する。
位相差フィルム貼合工程ST2’では、長尺帯状の偏光フィルムの片面に長尺帯状の位相差フィルム(1/2波長板や1/4波長板など)を貼り合わせることで、長尺帯状の偏光板を製造する。
【0004】
セパレータ貼合工程ST3’では、長尺帯状のセパレータを長手方向に搬送しながら粘着剤を塗布し、この塗布した粘着剤をオーブン等で加熱して乾燥させることで硬化させ、粘着剤層を形成する。そして、この長尺帯状のセパレータ(粘着剤層付きセパレータ)の粘着剤層側を長尺帯状の偏光板の片面に貼り合わせることで、偏光板と粘着剤層とセパレータとが積層された長尺帯状の中間体を製造する。
検査工程ST4’では、セパレータと偏光板との間に介在する粘着剤層を偏光板側に残したまま、セパレータのみを剥離して、偏光板を検査する。偏光板の検査方法としては、透過検査、クロスニコル検査、反射検査などが挙げられる。検査工程ST4’では、偏光板を検査した後、剥離したセパレータを再び偏光板に貼り合わせることで、元の中間体の状態に戻す。
【0005】
表面保護フィルム貼合工程ST5’では、長尺帯状の偏光板のセパレータが貼り合わせられた側とは反対側の面に長尺帯状の表面保護フィルムが貼り合わせられる。
以上に説明した偏光フィルム製造工程ST1’~表面保護フィルム貼合工程ST5’により、長尺帯状の光学積層体が製造される。
【0006】
しかしながら、以上のようにして製造される光学積層体には、製品サイズに切断後の光学積層体に、使用上問題となるカール(端部の反り)が発生する場合がある。
例えば、特許文献1には、偏光フィルムのカールを抑制する方法として、偏光子を保護する保護フィルムの材質を特定のものにすることが提案されているが、保護フィルムの材質が限定されるため、汎用的ではない。従来用いられている光学積層体の構成要素の材質を特に変えることなく、カールを抑制可能な方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、カールを抑制可能な光学積層体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、従来の光学積層体の製造方法のセパレータ貼合工程(
図8のST3’)におけるセパレータへの粘着剤層の形成が、光学積層体のカール発生要因の一つになっている可能性があることを見出した。具体的には、セパレータに塗布した粘着剤を加熱して乾燥させる際に、セパレータが収縮して、その厚み方向に凹凸が生じると考えられる。セパレータ貼合工程でこのセパレータを偏光板に貼り合わせる際や、検査工程(
図8のST4’)でセパレータを再び偏光板に貼り合わせる際には、加熱によってセパレータに生じていた凹凸が延ばされた状態で貼り合わされるものの、貼り合わせてから時間が経過すると、セパレータが収縮した状態に戻ろうとする力が作用し、これにより光学積層体にカールが発生すると考えられる。
本発明者らは、上記の発生要因に着目して更に鋭意検討した結果、従来の検査工程のようにセパレータを剥離した後にセパレータを貼り合わせる工程を、表面保護フィルム貼合工程(
図8のST5’)の後に行うことが、カールの発生を抑制するのに有効であることを見出した。すなわち、表面保護フィルムが貼り合わされている積層体は、表面保護フィルムが貼り合わされる前の積層体に比べて剛性が高くなるため、この剛性の高い積層体に凹凸が延ばされた状態のセパレータを貼り合わせれば、セパレータが収縮した状態に戻ろうとする力が作用してもカールが発生し難くなることを見出した。
本発明は、本発明者らの上記知見に基づき完成したものである。
【0010】
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、長尺帯状のセパレータに形成された粘着剤層を介して前記セパレータを長尺帯状の偏光板に貼り合わせるセパレータ貼合工程と、前記セパレータ貼合工程の後に、前記偏光板に長尺帯状の表面保護フィルムを貼り合わせる表面保護フィルム貼合工程と、前記表面保護フィルム貼合工程の後に、長尺帯状のセパレータを前記粘着剤層から剥離した後、長尺帯状のセパレータを前記粘着剤層を介して前記偏光板に貼り合わせる第1のセパレータ剥離・貼合工程と、を含む、光学積層体の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の第1のセパレータ剥離・貼合工程において、剥離したセパレータと貼り合わせるセパレータとは、同じセパレータであってもよいし、異なるセパレータであってもよい。すなわち、本発明の第1のセパレータ剥離・貼合工程には、セパレータを粘着剤層から剥離(粘着剤層を偏光板に残したままセパレータのみを剥離)した後、同じセパレータを粘着剤層を介して偏光板に再び貼り合わせる場合が含まれる。また、第1のセパレータ剥離・貼合工程には、剥離したセパレータと異なる新しいセパレータ(すなわち、粘着剤層を形成するための加熱を施していないために、凹凸の生じ難いセパレータ)を粘着剤層を介して偏光板に貼り合わせる(貼り替える)場合も含まれる。
本発明によれば、第1のセパレータ剥離・貼合工程を含むことで、セパレータの剥離とセパレータの貼り合わせとが行なわれる。換言すれば、貼り合わせるセパレータが剥離されるセパレータと同じであったとしても、セパレータの凹凸が延ばされた状態での偏光板への貼り合わせが行なわれる。そして、第1のセパレータ剥離・貼合工程を表面保護フィルム貼合工程の後に行うため、剛性の高い積層体に凹凸が延ばされた状態のセパレータを貼り合わせることになり、セパレータが収縮した状態に戻ろうとする力が作用しても、カールを抑制可能である。
【0012】
前記セパレータ貼合工程は、例えば、長尺帯状のセパレータに粘着剤を塗布し、前記塗布した粘着剤を加熱して硬化させて前記粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程を含む。
【0013】
好ましくは、本発明は、前記表面保護フィルム貼合工程の前に、長尺帯状のセパレータを前記粘着剤層から剥離した後、長尺帯状のセパレータを前記粘着剤層を介して前記偏光板に貼り合わせる第2のセパレータ剥離・貼合工程を含む。
第2のセパレータ剥離・貼合工程においても、第1のセパレータ剥離・貼合工程と同様に、剥離したセパレータと貼り合わせるセパレータとは、同じセパレータであってもよいし、異なるセパレータであってもよい。
上記の好ましい方法によれば、表面保護フィルム貼合工程の後だけではなく、表面保護フィルム貼合工程の前にも、セパレータの剥離とセパレータの貼り合わせとが行なわれる。換言すれば、貼り合わせるセパレータが剥離されるセパレータと同じであったとしても、セパレータの凹凸が延ばされた状態での偏光板への貼り合わせが行なわれるため、より一層、カールを抑制可能である。
【0014】
好ましくは、前記第2のセパレータ剥離・貼合工程は、長尺帯状のセパレータを剥離した後に前記偏光板を検査する検査工程を兼ねる。
上記の好ましい方法によれば、第2のセパレータ剥離・貼合工程が偏光板の検査工程を兼ねるため、第2のセパレータ剥離・貼合工程と検査工程を別個に設ける場合に比べて、製造工程が簡便になるという利点を有する。
【0015】
好ましくは、前記第1のセパレータ剥離・貼合工程において、長尺帯状のセパレータを剥離してから長尺帯状のセパレータを貼り合わせるまでの時間が1分以内である。
上記の好ましい方法によれば、長尺帯状のセパレータを剥離してから長尺帯状のセパレータを貼り合わせるまでの時間、換言すれば、粘着剤層が剥き出しになる時間が短い。そのため、例えば季節的な影響や日中又は夜間の影響で、前記第1のセパレータ剥離・貼合工程内の湿度が変化しても、偏光板が粘着剤層側から雰囲気中の水分を吸収して膨潤することに起因して発生するカールのばらつきを抑制可能である。
なお、本発明が第2のセパレータ剥離・貼合工程を含む場合には、第2のセパレータ剥離・貼合工程についても同様に、長尺帯状のセパレータを剥離してから長尺帯状のセパレータを貼り合わせるまでの時間が1分以内であることが好ましい。
【0016】
好ましくは、前記第1のセパレータ剥離・貼合工程において、長尺帯状のセパレータと前記偏光板とを貼合ローラによって貼り合わせ、前記セパレータの前記貼合ローラへの進入角度が90°未満であり、前記偏光板の前記貼合ローラへの進入角度が90°未満である。
【0017】
上記の好ましい方法において、「セパレータの貼合ローラへの進入角度」とは、貼合ローラを構成する対向する一対のローラの回転中心を通る直線に直交し、貼合ローラの出側に向いたベクトルと、貼合ローラに接触するまでのセパレータの進行方向を示すベクトルとの成す角度を意味する。同様に、「偏光板の貼合ローラへの進入角度」とは、貼合ローラを構成する一対のローラの回転中心を通る直線に直交し、貼合ローラの出側に向いたベクトルと、貼合ローラに接触するまでの偏光板の進行方向を示すベクトルとの成す角度を意味する。
本発明者らの知見によれば、セパレータの貼合ローラへの進入角度が大きい(90°以上である)と、TD方向(長尺帯状の光学積層体の搬送方向(MD方向)に直交する方向)のカールで且つマイナスのカール(セパレータの位置する側が凹状になるカール)が大きくなり、偏光板の貼合ローラへの進入角度が大きい(90°以上である)と、TD方向のカールで且つプラスのカール(セパレータの位置する側が凸状になるカール)が大きくなる。
上記の好ましい方法によれば、セパレータ及び偏光板の貼合ローラへの進入角度の双方を90°未満とすることで、カールをより一層抑制可能である。
なお、本発明が第2のセパレータ剥離・貼合工程を含む場合には、第2のセパレータ剥離・貼合工程についても同様に、長尺帯状のセパレータと前記偏光板とを貼合ローラによって貼り合わせ、前記セパレータの前記貼合ローラへの進入角度が90°未満であり、前記偏光板の前記貼合ローラへの進入角度が90°未満であることが好ましい。
【0018】
好ましくは、前記貼合ローラは、前記セパレータに接触する第1ローラと、前記偏光板に接触する第2ローラとから構成され、前記第1ローラ及び前記第2ローラのうち、一方の表面が樹脂から形成され、他方の表面が金属から形成されている。
第1ローラの表面及び第2ローラの表面の双方が金属から形成されている場合には、セパレータと偏光板とを貼り合わせる際、セパレータと偏光板との界面(セパレータと粘着剤層との界面)に気泡が発生するおそれがある。第1ローラの表面及び第2ローラの表面の双方が樹脂から形成されている場合には、セパレータに皺が発生するおそれがある。
上記の好ましい方法によれば、第1ローラ及び第2ローラのうち、一方の表面が樹脂から形成され、他方の表面が金属から形成されることで、気泡や皺が発生するおそれを抑制可能である。
なお、本発明が第2のセパレータ剥離・貼合工程を含む場合には、第2のセパレータ剥離・貼合工程についても同様に、前記貼合ローラは、前記セパレータに接触する第1ローラと、前記偏光板に接触する第2ローラとから構成され、前記第1ローラ及び前記第2ローラのうち、一方の表面が樹脂から形成され、他方の表面が金属から形成されていることが好ましい。
【0019】
好ましくは、前記第1ローラは、表面が金属から形成され、前記第2ローラは、表面が樹脂から形成されている。
上記の好ましい方法によれば、気泡や皺が発生するおそれを抑制可能であることに加えて、偏光板に接触する第2ローラの表面が樹脂から形成されているため(金属から形成されていないため)、偏光板に傷や打痕等の外観不良が生じることを抑制可能である。
なお、本発明が第2のセパレータ剥離・貼合工程を含む場合には、第2のセパレータ剥離・貼合工程についても同様に、前記第1ローラは、表面が金属から形成され、前記第2ローラは、表面が樹脂から形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来用いられている光学積層体の構成要素の材質を特に変えることなく、カールを効果的に抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造される光学積層体の概略構成を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る光学積層体の製造方法の概略工程を示すフロー図である。
【
図3】
図2に示す検査工程ST4を実行する装置の概略構成例を模式的に示す側面図(各フィルムの搬送方向に直交する水平方向から見た図)である。
【
図4】
図2に示す第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6を実行する装置の概略構成例を模式的に示す側面図(各フィルムの搬送方向に直交する水平方向から見た図)である。
【
図5】
図4に示す貼合ローラR7による第3中間体M3とセパレータ4bとの貼り合わせを説明する説明図である。
【
図6】
図2に示す第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例を実行する装置の概略構成例を模式的に示す側面図(各フィルムの搬送方向に直交する水平方向から見た図)である。
【
図8】従来の光学積層体の製造方法の概略工程例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る光学積層体の製造方法について説明する。なお、各図は、参考的に表したものであり、各図に表された光学積層体や装置の構成要素の寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。
【0023】
<光学積層体の構成>
最初に、本実施形態に係る製造方法によって製造される光学積層体の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る製造方法によって製造される光学積層体の概略構成を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の光学積層体100は、偏光フィルム1と、位相差フィルム2と、粘着剤層3と、セパレータ4と、表面保護フィルム5と、を備える。偏光フィルム1と位相差フィルム2との積層体が偏光板10を構成している。偏光板10と粘着剤層3との積層体が第1中間体M1を構成している。第1中間体M1とセパレータ4との積層体が第2中間体M2を構成している。第1中間体M1と表面保護フィルム5との積層体が第3中間体M3を構成している。以下、光学積層体100の各構成要素について説明する。
【0024】
[偏光フィルム1]
偏光フィルム1は、偏光子11と、この偏光子11を保護する保護フィルム12、13とから構成されている。本実施形態では、偏光子11の両面に保護フィルム12、13が貼り合わせられているが、これに限るものではなく、偏光子11の少なくとも片面に保護フィルムが貼り合わせられていればよい。
【0025】
(偏光子11)
偏光子11は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムで構成される。
樹脂フィルムとしては、偏光子として用いることができる任意の適切な樹脂フィルムを採用することができる。樹脂フィルムは、代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)フィルムである。
【0026】
上記PVA系樹脂フィルムを形成するPVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン-ビニルアルコール共重合体は、エチレン-酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。
【0027】
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択することができる。平均重合度は、通常1000~10000であり、好ましくは1200~4500、さらに好ましくは1500~4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726-1994に準じて求めることができる。
【0028】
樹脂フィルムに含まれる二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料等が挙げられる。これらは、単独で、又は、二種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、ヨウ素が用いられる。
【0029】
樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであっても、二層以上の積層体であってもよい。
【0030】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、PVA系樹脂フィルムにヨウ素による染色処理及び延伸処理(代表的には、一軸延伸処理)が施されたものが挙げられる。ヨウ素による染色処理は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することによって行われる。一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸後に染色を行ってもよい。必要に応じて、PVA系樹脂フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。
【0031】
積層体から構成される偏光子の具体例としては、樹脂基材とこの樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、又は、樹脂基材とこの樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体から構成される偏光子が挙げられる。樹脂基材とこの樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体から構成される偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得た後、この積層体を延伸及び染色してPVA系樹脂層を偏光子とすることにより作製することができる。本実施形態において、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することを含んでもよい。得られた樹脂基材/偏光子の積層体は、そのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、この剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば、特開2012-73580号公報に記載されている。この公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0032】
偏光子11の厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは1μm~12μmであり、さらに好ましくは3μm~10μmであり、特に好ましくは3μm~8μmである。
【0033】
偏光子11は、好ましくは、波長380nm~780nmの範囲内の何れかの波長で吸収二色性を示す。偏光子11の単体透過率は、好ましくは40.0%~45.0%であり、より好ましくは41.5%~43.5%である。偏光子11の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0034】
(保護フィルム12、13)
保護フィルム12、13としては、任意の適切な樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムの形成材料としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂及び/又はメタクリル系樹脂を意味する。保護フィルム12、13の形成材料は互いに同じであっても異なるものであってもよい。
【0035】
保護フィルム12、13の厚みは、代表的には10μm~100μmであり、好ましくは20μm~40μmである。保護フィルム12、13の厚みは互いに同じであっても異なるものであってもよい。
【0036】
保護フィルム12、13の偏光子11と反対側の表面には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。さらに/又は、保護フィルム12、13の偏光子11と反対側の表面には、必要に応じて、偏光サングラスを介して視認する場合の視認性を改善する処理(代表的には、(楕)円偏光機能を付与する処理、超高位相差を付与する処理)が施されていてもよい。なお、表面処理が施されて表面処理層が形成される場合、保護フィルム12、13の厚みは、表面処理層を含めた厚みである。
【0037】
なお、保護フィルム12、13は、任意の適切な接着剤層(図示せず)を介して、それぞれ偏光子11に貼り合わせられて、積層されている。接着剤層を構成する接着剤として、代表的にはPVA系接着剤又は活性化エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。
【0038】
[位相差フィルム2]
位相差フィルム2は、例えば、広視野角を付与する補償板であってもよいし、偏光膜と共に用いられて円偏光を生成するための1/2波長板や1/4波長板等の位相差板(円偏光板)であってもよい。位相差フィルム2の厚みは、例えば、1~200μmである。
【0039】
位相差フィルム2は、例えば、重合性液晶を重合させることにより形成される層又は樹脂で形成される。重合性液晶とは、重合性基を有し、且つ、液晶性を有する化合物である。重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶が有する液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック液晶でもよく、サーモトロピック液晶を秩序度で分類すると、ネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。
また、位相差フィルム2を形成する樹脂としては、例えば、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリビニルアルコール、ポリフマル酸エステル、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ノルボルネン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂及びポリウレタンが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【0040】
なお、位相差フィルム2は、任意の適切な接着剤層又は粘着剤層(図示せず)を介して、偏光フィルム1(保護フィルム13)に貼り合わせられて、積層されている。接着剤層を構成する接着剤として、代表的にはPVA系接着剤又は活性化エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。
【0041】
[粘着剤層3]
粘着剤層3は、セパレータ4の片面に粘着剤を塗布し、この塗布した粘着剤をオーブン等で加熱して乾燥させることで硬化して形成される。
粘着剤の加熱温度は、100℃~160℃の範囲に設定することが好ましく、140℃~160℃の範囲に設定することがより好ましい。この加熱温度で、20秒~3分加熱することが好ましく、1分~3分加熱することがより好ましい。
【0042】
粘着剤層3を形成する粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、及び、ポリエーテル系粘着剤が挙げられる。粘着剤のベース樹脂を形成するモノマーの種類、数、組み合わせ及び配合比、並びに、架橋剤の配合量、反応温度、反応時間等を調整することにより、目的に応じた所望の特性を有する粘着剤を調製することができる。粘着剤のベース樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。透明性、加工性及び耐久性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤層を構成する粘着剤の詳細は、例えば、特開2014-115468号公報に記載されており、当該公報の記載は本明細書に参考として援用されている。粘着剤層の厚みは、例えば10μm~100μmにすることができる。
【0043】
[セパレータ4]
セパレータ4としては、任意の適切なセパレータを採用することができる。具体例としては、剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルム、不織布又は紙が挙げられる。剥離剤の具体例としては、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤が挙げられる。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが挙げられる。セパレータ4の厚みは、例えば10μm~100μmとすることができる。
【0044】
[表面保護フィルム5]
表面保護フィルム5は、代表的には、基材と粘着剤層とを有する。本実施形態において、表面保護フィルム5の厚みは、例えば30μm以上である。表面保護フィルム5の厚みの上限は、例えば150μmである。なお、本明細書において、「表面保護フィルムの厚み」とは、基材と粘着剤層との合計厚みをいう。
【0045】
基材は、任意の適切な樹脂フィルムで構成することができる。樹脂フィルムの形成材料としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。好ましくは、エステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂)である。
【0046】
粘着剤層を形成する粘着剤としては、任意の適切な粘着剤を採用することができる。粘着剤のベース樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂が挙げられる。
【0047】
<本実施形態に係る製造方法>
以上に説明した構成を有する光学積層体100を製造するための本実施形態に係る光学積層体100の製造方法について、以下に説明する。
図2は、本実施形態に係る光学積層体100の製造方法の概略工程を示すフロー図である。
図2に示すように、本実施形態に係る製造方法は、偏光フィルム製造工程ST1と、位相差フィルム貼合工程ST2と、セパレータ貼合工程ST3と、検査工程(本発明の第2のセパレータ剥離・貼合工程を兼ねる)ST4と、表面保護フィルム貼合工程ST5と、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6と、を含む。以下、各工程ST1~ST6について説明する。
【0048】
[偏光フィルム製造工程ST1]
偏光フィルム製造工程ST1では、長尺帯状の樹脂フィルムを原反フィルムとして、この原反フィルムを長手方向(MD方向)に搬送しながら各種の処理浴に浸漬させて、染色処理や延伸処理等の各種の処理を施すことによって、長尺帯状の偏光子11を製造する。そして、長尺帯状の偏光子11に長尺帯状の保護フィルム12、13を貼り合わせることで、長尺帯状の偏光フィルム1を製造する。
【0049】
[位相差フィルム貼合工程ST2]
位相差フィルム貼合工程ST2では、長尺帯状の偏光フィルム1の片面(保護フィルム13)に長尺帯状の位相差フィルム2を貼り合わせることで、長尺帯状の偏光板10を製造する。
なお、光学積層体100が位相差フィルム2を備えない(偏光板10が位相差フィルム2を備えない)場合には、位相差フィルム貼合工程ST2は不要である。
【0050】
[セパレータ貼合工程ST3]
セパレータ貼合工程ST3では、長尺帯状のセパレータ4を長手方向(MD方向)に搬送しながら粘着剤を塗布し、この塗布した粘着剤をオーブン等で加熱して乾燥させることで硬化させ、粘着剤層3を形成する粘着剤層形成工程を実行する。そして、長尺帯状のセパレータ4に形成された粘着剤層3を介してセパレータ4を長尺帯状の偏光板10に貼り合わせる。具体的には、長尺帯状のセパレータ4(粘着剤層3付きセパレータ4)の粘着剤層3側を長尺帯状の偏光板10の片面(位相差フィルム2)に貼り合わせる。これにより、偏光板10と粘着剤層3とセパレータ4とが積層された第2中間体M2を製造する。
【0051】
[検査工程(第2のセパレータ剥離・貼合工程)ST4]
本実施形態の検査工程ST4は、表面保護フィルム貼合工程ST5の前に実行される。検査工程ST4では、長尺帯状のセパレータ4を粘着剤層3から剥離(セパレータ4と偏光板10との間に介在する粘着剤層3を偏光板10側に残したまま、セパレータ4のみを剥離)した後、偏光板10を検査する。そして、偏光板10を検査した後、剥離したセパレータ4を再び偏光板10に貼り合わせることで、元の第2中間体M2の状態に戻す。
【0052】
図3は、検査工程ST4を実行する装置の概略構成例を模式的に示す側面図(各フィルムの搬送方向に直交する水平方向から見た図)である。
図3に示す矢符は、各フィルムの搬送方向を意味する。
検査工程ST4では、前述のようにセパレータ貼合工程ST3で製造された第2中間体M2が、
図3に示す繰出ローラR1に巻回されて、装置の最上流側(第2中間体M2の搬送方向最上流側)に配置される。そして、繰出ローラR1から繰り出された第2中間体M2が剥離ローラR2に向けて搬送される。剥離ローラR2では、第2中間体M2からセパレータ4が剥離され、剥離されたセパレータ4は貼合ローラR3に向けて搬送される。
【0053】
一方、剥離ローラR2によって第2中間体M2からセパレータ4が剥離されることで得られた、偏光板10と粘着剤層3との積層体である第1中間体M1は、検査装置20によって検査される。
図3に示す検査装置20は、透過検査を行う装置であり、光源20aと、撮像手段20bと、演算手段(図示せず)と、を備える。検査装置20の撮像手段20bが、光源20aから出射し、第1中間体M1を透過した光を受光して結像し、その光量に応じた電気信号を撮像信号として演算手段に出力する。演算手段は、この入力された撮像信号に基づき、透過画像を生成する。そして、演算手段は、生成された透過画像に対して、他の画素領域と輝度値(画素値)が異なる画素領域を抽出する2値化等の公知の画像処理を適用することで、第1中間体M1(偏光板10)に存在する欠点を検出する。
なお、検査工程ST4で行われる検査は、上記の透過検査に限定されるものではない。偏光板10が備える偏光子11の偏光軸に対してクロスニコルになるように配置された検査用偏光フィルタ及び第1中間体M1を透過する光によってクロスニコル画像を生成し、このクロスニコル画像に基づき、第1中間体M1(偏光板10)に存在する欠点を検出するクロスニコル検査を採用することも可能である。また、第1中間体M1で反射する光によって反射画像を生成し、この反射画像に基づき、第1中間体M1(偏光板10)に存在する欠点を検出する反射検査を採用することも可能である。さらに、透過検査、クロスニコル検査及び反射検査のうちの任意の検査の組み合わせを実行することも可能である。
【0054】
検査装置20によって検査された後の第1中間体M1は、貼合ローラR3に向けて搬送される。そして、貼合ローラR3によって、セパレータ4が第1中間体M1に再び貼り合わされる。すなわち、第1中間体M1を構成する粘着剤層3を介して、セパレータ4が第1中間体M1を構成する偏光板10に貼り合わされる。これにより第2中間体M2が製造され、巻取ローラR4で巻き取られる。繰出ローラR1から繰り出された第2中間体M2のセパレータ4も、巻取ローラR4で巻き取られる第2中間体M2のセパレータ4も、同じセパレータ4である。
【0055】
[表面保護フィルム貼合工程ST5]
表面保護フィルム貼合工程ST5は、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の前に実行される。表面保護フィルム貼合工程ST5では、長尺帯状の第2中間体M2に長尺帯状の表面保護フィルム5を貼り合わせる。具体的には、第2中間体M2を構成する偏光板10のセパレータ4が貼り合わせられた側とは反対側の面に、長尺帯状の表面保護フィルム5が貼り合わせられる。これにより、長尺帯状の光学積層体100が製造される。
【0056】
[第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6]
第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6では、長尺帯状の光学積層体100に対して、長尺帯状のセパレータ4を粘着剤層3から剥離(セパレータ4と偏光板10との間に介在する粘着剤層3を偏光板10側に残したまま、セパレータ4のみを剥離)した後、長尺帯状のセパレータ4を粘着剤層3を介して偏光板10に貼り合わせることで、元の光学積層体100の状態に戻す。
【0057】
図4は、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6を実行する装置の概略構成例を模式的に示す側面図(各フィルムの搬送方向に直交する水平方向から見た図)である。
図4に示す矢符は、各フィルムの搬送方向を意味する。
第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6では、前述のように表面保護フィルム貼合工程ST5で製造された光学積層体100が、
図4に示す繰出ローラR5に巻回されて、装置の最上流側(光学積層体100の搬送方向最上流側)に配置される。そして、繰出ローラR5から繰り出された光学積層体100が剥離ローラR6に向けて搬送される。剥離ローラR6では、光学積層体100からセパレータ4が剥離され、剥離されたセパレータ4は貼合ローラR7に向けて搬送される。
【0058】
一方、剥離ローラR6によって光学積層体100からセパレータ4が剥離されることで得られた、表面保護フィルム5と偏光板10と粘着剤層3との積層体である第3中間体M3も、貼合ローラR7に向けて搬送される。そして、貼合ローラR7によって、セパレータ4が第3中間体M3に再び貼り合わされる。すなわち、第3中間体M3を構成する粘着剤層3を介して、セパレータ4が第3中間体M3を構成する偏光板10に貼り合わされる。これにより光学積層体100が製造され、巻取ローラR8で巻き取られる。繰出ローラR5から繰り出された光学積層体100のセパレータ4も、巻取ローラR8で巻き取られる光学積層体100のセパレータ4も、同じセパレータ4である。
本実施形態に係る製造方法は、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6を含むことで、セパレータ4の剥離とセパレータ4の貼り合わせとが行なわれる。換言すれば、貼り合わせるセパレータ4が剥離されるセパレータ4と同じであったとしても、セパレータ4の凹凸が延ばされた状態での偏光板10への貼り合わせが行なわれる。そして、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6を表面保護フィルム貼合工程ST5の後に行うため、剛性の高い積層体(第3中間体M3)に凹凸が延ばされた状態のセパレータ4を貼り合わせることになり、セパレータ4が収縮した状態に戻ろうとする力が作用しても、カールを抑制可能である。
また、本実施形態に係る製造方法は、第2のセパレータ剥離・貼合工程としての検査工程ST4を含むことで、表面保護フィルム貼合工程ST5の後だけではなく、表面保護フィルム貼合工程ST5の前にも、セパレータ4の剥離とセパレータ4の貼り合わせとが行なわれる。このため、より一層、カールを抑制可能である。
【0059】
本実施形態では、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6において、長尺帯状のセパレータ4を剥離してから長尺帯状のセパレータ4を貼り合わせるまでの時間が1分以内、好ましくは45秒以内、より好ましくは30秒以内である。具体的には、
図4に示すように、剥離ローラR6から貼合ローラR7までの光学積層体100の搬送経路の長さをLとし、搬送速度をVとすると、L/V≦1分(好ましくは45秒、より好ましくは30秒)となるように、搬送経路の長さLや搬送速度Vが設定されている。
このように、本実施形態では、セパレータ4を剥離してからセパレータ4を貼り合わせるまでの時間、換言すれば、粘着剤層3が剥き出しになる時間が短いため、例えば季節的な影響や日中又は夜間の影響で、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6内の湿度が変化しても、偏光板10が粘着剤層3側から雰囲気中の水分を吸収して膨潤することに起因して発生するカールのばらつきを抑制可能である。
【0060】
以下、貼合ローラR7による第3中間体M3とセパレータ4との貼り合わせについて、より具体的に説明する。
図5は、貼合ローラR7による第3中間体M3とセパレータ4との貼り合わせを説明する説明図である。
図5に示すように、貼合ローラR7は、対向する一対の第1ローラR71と第2ローラR72とから構成されている。第1ローラR71は、セパレータ4に接触して、第1ローラR71と第2ローラR72との間にセパレータ4を搬送するローラである。第1ローラR71の表面は、金属(例えば、鉄)から形成されている。第2ローラR72は、第3中間体M3に接触して、第1ローラR71と第2ローラR72との間に第3中間体M3を搬送するローラである。第2ローラR72の表面は、樹脂(例えば、ゴム)から形成されている。
【0061】
図5に示すように、第1ローラR71の回転中心C1と第2ローラR72の回転中心C2とを通る直線(仮想直線)を直線CLとする。直線CLに直交し、貼合ローラR7の出側(
図5の右側)に向いたベクトル(仮想ベクトル)をベクトルVCとする。このとき、セパレータ4の貼合ローラR7への進入角度αは、ベクトルVCと、貼合ローラR7に接触するまでのセパレータ4の進行方向を示すベクトルとの成す角度を意味する。また、第3中間体M3の貼合ローラR7への進入角度(偏光板10の貼合ローラR7への進入角度に相当)βは、ベクトルVCと、貼合ローラR7に接触するまでの第3中間体M3の進行方向(偏光板10の進行方向に相当)を示すベクトルとの成す角度を意味する。
本実施形態では、進入角度α及び進入角度βの双方が90°未満に設定されている。
図4では、便宜上、α=90°、β=0°で図示しているが、実際には、α<90°、β<90°であり、好ましくは、10°<α<80°であり、より好ましくは、20°<α<50°である。また、好ましくは、0°<β<80°であり、より好ましくは、0°<β<75°である。進入角度αを大きくすることで、第3中間体M3(偏光板10)の搬送性が向上する。
【0062】
本発明者らの知見によれば、セパレータ4の貼合ローラR7への進入角度αが大きい(90°以上である)と、TD方向のカールで且つマイナスのカール(セパレータ4の位置する側が凹状になるカール)が大きくなり、第3中間体M3(偏光板10)の貼合ローラR7への進入角度βが大きい(90°以上である)と、TD方向のカールで且つプラスのカール(セパレータ4の位置する側が凸状になるカール)が大きくなる。
したがって、上記のように、α<90°、β<90°とすることで、カールをより一層抑制可能である。
【0063】
なお、本実施形態では、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6において、剥離したセパレータ4と貼り合わせるセパレータ4とが同じセパレータ4である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6において、剥離したセパレータ4と貼り合わせるセパレータ4とが異なるセパレータ4であってもよい。以下、剥離したセパレータ4と貼り合わせるセパレータ4とが異なる第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例について説明する。
【0064】
第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例では、剥離したセパレータ4と異なる新しいセパレータ4を粘着剤層3を介して偏光板10に貼り合わせる。以下、適宜、剥離するセパレータ4(検査工程ST4で貼り合わせたセパレータ4)を「セパレータ4a」と称し、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例で貼り合わせる新しいセパレータ4を「セパレータ4b」と称して、両者を区別する。
【0065】
図6は、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例を実行する装置の概略構成例を模式的に示す側面図(各フィルムの搬送方向に直交する水平方向から見た図)である。
図6に示す矢符は、各フィルムの搬送方向を意味する。
第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例では、前述のように表面保護フィルム貼合工程ST5で製造された光学積層体100が、
図6に示す繰出ローラR9に巻回されて、装置の最上流側(光学積層体100の搬送方向最上流側)に配置される。そして、繰出ローラR9から繰り出された光学積層体100が剥離ローラR10に向けて搬送される。剥離ローラR10では、光学積層体100からセパレータ4aが剥離され、剥離されたセパレータ4aは巻取ローラR11で巻き取られる。
【0066】
一方、剥離ローラR10によって光学積層体100からセパレータ4aが剥離されることで得られた、表面保護フィルム5と偏光板10と粘着剤層3との積層体である第3中間体M3は、貼合ローラR12に向けて搬送される。また、繰出ローラR13に巻回された新しいセパレータ(すなわち、粘着剤層3を形成するための加熱を施していないために、凹凸の生じ難いセパレータ)4bが用意され、このセパレータ4bが繰出ローラR13から繰り出されて貼合ローラR12に向けて搬送される。そして、貼合ローラR12によって、セパレータ4bが第3中間体M3に貼り合わされる。すなわち、第3中間体M3を構成する粘着剤層3を介して、セパレータ4bが第3中間体M3を構成する偏光板10に貼り合わされる。これにより光学積層体100が製造され、巻取ローラR14で巻き取られる。繰出ローラR9から繰り出された光学積層体100のセパレータ4はセパレータ4aであるが、巻取ローラR14で巻き取られる光学積層体100のセパレータ4はセパレータ4bである。
第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例によれば、剥離したセパレータ4aと異なる新しいセパレータ4bを貼り合わせるため、より一層、カールを抑制可能である。
なお、本変形例では、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例において偏光板10に貼り合わされる新しいセパレータ4bの弾性率(TD方向の弾性率)は、例えば6000[N/mm2]以上である一方、セパレータ貼合工程ST3の粘着剤層形成工程後(すなわち、加熱後)のセパレータ4aの弾性率(TD方向の弾性率)は、例えば6000[N/mm2]未満であり、セパレータ4bの弾性率の方が、セパレータ4aの弾性率よりも高い。セパレータ4bの弾性率の方が、セパレータ4aの弾性率よりも高ければ、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例で貼り合わせられる(貼り替えられる)新しいセパレータ4bは収縮し難いため、より一層、カールを抑制可能である。セパレータ4bの弾性率(TD方向の弾性率)の上限は特に限定されないが、例えば、7000[N/mm2]以下であり、6500[N/mm2]以下であることが好ましい。セパレータ4aの弾性率(TD方向の弾性率)の下限は特に限定されないが、例えば、5000[N/mm2]以上であり、5500[N/mm2]以上であることが好ましい。
上記の弾性率は、例えば、島津製作所社製の引張試験機「オートグラフ」を用いて測定可能である。具体的には、セパレータ4a、4b単体から、それぞれ幅(MD方向の寸法)10mmで、長さ(TD方向の寸法)100mmのサンプルを切り出し、このサンプルをオートグラフにセットして、TD方向に50mm/minの速度で引っ張り、サンプルを所定量だけ伸ばすために掛けた力[N]に基づき、弾性率を算出することが可能である。
【0067】
第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例でも、
図4及び
図5を参照して説明した第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6と同様に、剥離ローラR10でセパレータ4aを剥離してから、貼合ローラR12でセパレータ4bを貼り合わせるまでの時間は1分以内、好ましくは45秒以内、より好ましくは30秒以内である。また、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例でも、貼合ローラR12を構成する一対の対向するローラのうち、セパレータ4bに接触して、一対のローラ間にセパレータ4bを搬送するローラの表面は、金属(例えば、鉄)から形成されている。第3中間体M3に接触して、一対のローラ間に第3中間体M3を搬送するローラの表面は、樹脂(例えば、ゴム)から形成されている。さらに、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例でも、セパレータ4bの貼合ローラR12への進入角度α及び第3中間体M3(偏光板10)の貼合ローラR12への進入角度βの双方が90°未満に設定されている。これらにより、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例でも、カールをより一層抑制可能である。セパレータ4bの貼合ローラR12への進入角度α及び第3中間体M3(偏光板10)の貼合ローラR12への進入角度βは、好ましくは、10°<α<80°であり、より好ましくは、20°<α<50°である。また、好ましくは、0°<β<80°であり、より好ましくは、0°<β<75°である。進入角度αを大きくすることで、第3中間体M3(偏光板10)の搬送性が向上する。
【0068】
また、
図3を参照して説明した検査工程ST4でも、
図4及び
図5を参照して説明した第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6と同様に、剥離ローラR2でセパレータ4を剥離してから、貼合ローラR3でセパレータ4を貼り合わせるまでの時間は1分以内、好ましくは45秒以内、より好ましくは30秒以内である。また、検査工程ST4でも、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6と同様に、貼合ローラR3を構成する一対の対向するローラのうち、セパレータ4に接触して、一対のローラ間にセパレータ4を搬送するローラの表面は、金属(例えば、鉄)から形成されている。第1中間体M1に接触して、一対のローラ間に第1中間体M1を搬送するローラの表面は、樹脂(例えば、ゴム)から形成されている。また、検査工程ST4でも、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6と同様に、セパレータ4の貼合ローラR3への進入角度α及び第1中間体M1(偏光板10)の貼合ローラR3への進入角度βの双方が90°未満に設定されている。これらにより、検査工程ST4でも、カールをより一層抑制可能である。さらに、検査工程ST4でも、
図6を参照して説明した第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6の変形例と同様に、剥離したセパレータ4と異なる新しいセパレータ4を検査後の偏光板10に貼り合わせる態様を採用することも可能である。セパレータ4の貼合ローラR3への進入角度α及び第1中間体M1(偏光板10)の貼合ローラR3への進入角度βは、好ましくは、10°<α<80°であり、より好ましくは、20°<α<50°である。また、好ましくは、0°<β<80°であり、より好ましくは、0°<β<75°である。進入角度αを大きくすることで、第1中間体M1(偏光板10)の搬送性が向上する。
【0069】
以上に説明した本実施形態に係る製造方法によれば、従来用いられている光学積層体100の構成要素の材質を特に変えることなく、カールを効果的に抑制可能である。
【0070】
本実施形態では、検査工程ST4が第2のセパレータ剥離・貼合工程を兼ねる態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、検査工程ST4と第2のセパレータ剥離・貼合工程とを別個に実行することも可能である。或いは、検査工程ST4において検査を行わない(すなわち、単にセパレータ4の剥離と貼り合わせを行う第2のセパレータ剥離・貼合工程にする)態様を採用することも可能である。或いは、検査工程ST4自体を実行しない(すなわち、セパレータ4の剥離と貼り合わせは、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6においてのみ実行する)態様を採用することも可能である。
【0071】
また、本実施形態では、偏光板10が偏光フィルム1と位相差フィルム2との積層体である態様を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。偏光板10が偏光フィルム1と位相差フィルム2と更に他の構成要素との積層体である態様や、位相差フィルム2が存在せずに偏光板10が偏光フィルム1と他の構成要素との積層体である態様や、偏光板10に偏光フィルム1のみが存在する態様などを採用することも可能である。
【0072】
以下、
図2に示す本実施形態に係る製造方法(実施例)で製造した光学積層体100のカールを評価した結果の一例と、
図8に示す従来の製造方法(比較例)で製造した光学積層体のカールを評価した結果の一例と、について説明する。
実施例及び比較例で製造した光学積層体100は、何れも以下の順に積層された構成を有する。
(1)表面保護フィルム5(基材:PET・厚み38μm、粘着剤層:アクリル系粘着剤・厚み10μm)
(2)ハードコート層(厚み7μm)付きシクロオレフィン系保護フィルム12(総厚み32μm)
(3)接着剤
(4)ポリビニルアルコール系偏光子11(厚み12μm)
(5)接着剤
(6)トリアセチルセルロース系保護フィルム13(厚み25μm)
(7)接着剤
(8)重合性液晶系1/2波長板2(厚み2.5μm)
(9)アクリル系粘着剤層3(厚み20μm)
(10)セパレータ4(PET・厚み38μm)
なお、実施例で製造した光学積層体100は、第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6及び検査工程ST4において、剥離したセパレータ4と同じセパレータ4を検査後の偏光板10に貼り合わせた(第1のセパレータ剥離・貼合工程ST6及び検査工程ST4において、セパレータ4の貼り替えは行なわなかった)ものである。
【0073】
図7は、カールの評価方法を説明する説明図である。
図7(a)に示すように、実施例では、長尺の光学積層体100のTD方向に沿って、複数枚の製品サイズ(縦148mm×横70mm)の矩形の光学積層体100Sを切り出した。
図7(a)では、便宜上、3枚の光学積層体100Sを図示しているが、実際には、1つの光学積層体100のTD方向に沿って10枚の光学積層体100Sを切り出した。これを複数の光学積層体100について実施し、計500枚の光学積層体100Sを得た。そして、500枚の光学積層体100Sの中からランダムに選択した100枚について、カールを評価した。なお、
図7(b)に示すように、光学積層体100Sを切り出す際には、光学積層体100のMD方向(偏光子11の吸収軸の方向に相当)が、光学積層体100Sの長辺及び短辺に対して45°となるように、斜めに切り出した。
【0074】
図7(c)に示すように、カールを評価する際には、光学積層体100Sの下側が凸になるように(光学積層体100Sの4つの角部の反りが鉛直方向上方に向かうように)、光学積層体100Sを平坦な載置台30上に載置し、光学積層体100Sの4つの角部のそれぞれについて、載置台30の上面から角部までの鉛直方向の距離Hを測定した。距離Hは、光学積層体100Sの角部近傍に鉛直方向に延びるスケールを立て、このスケールの目盛りを目視で読み取ることで測定した。
光学積層体100Sの下側が凸になるように載置台30上に載置した際、光学積層体100Sのセパレータ4の位置する側が下になる(表面保護フィルム5の位置する側が上になる)場合をプラスのカールとし、測定した距離Hをそのままカール値として算出した。一方、光学積層体100Sの下側が凸になるように載置台30上に載置した際、光学積層体100Sのセパレータ4の位置する側が上になる(表面保護フィルム5の位置する側が下になる)場合をマイナスのカールとし、測定した距離Hに-1を乗算した値をカール値として算出した。
【0075】
次に、光学積層体100Sからセパレータ4を剥離して第3中間体M3の状態にした。そして、第3中間体M3についても、上記と同様の手順で、4つの角部のカール値を算出した。
【0076】
そして、光学積層体100Sの4つの角部のカール値と、第3中間体M3の4つの角部のカール値とが、全て-5mm≦カール値≦5mmの条件を満たす場合を合格とし、満たさない場合を不合格とした。
比較例についても、以上に説明した実施例と同様の手順でカール値を算出し、合格か不合格かを判定した。
【0077】
表1は、実施例及び比較例のカールの評価結果を示す。
【表1】
表1に示すように、比較例では、100枚の光学積層体のうち44枚が合格(合格率44%)であったのに対し、実施例では、100枚の光学積層体のうち95枚が合格(合格率95%)であり、カールが抑制されることが分かった。
【符号の説明】
【0078】
1・・・偏光フィルム
10・・・偏光板
11・・・偏光子
12、13・・・保護フィルム
2・・・位相差フィルム
3・・・粘着剤層
4・・・セパレータ
5・・・表面保護フィルム
100、100S・・・光学積層体
ST1・・・偏光フィルム製造工程
ST2・・・位相差フィルム貼合工程
ST3・・・セパレータ貼合工程
ST4・・・検査工程(第2のセパレータ剥離・貼合工程)
ST5・・・表面保護フィルム貼合工程
ST6・・・第1のセパレータ剥離・貼合工程