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特開2022-164144粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法
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  • 特開-粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法 図1
  • 特開-粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法 図2
  • 特開-粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法 図3
  • 特開-粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法 図4
  • 特開-粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法 図5
  • 特開-粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164144
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/52 20220101AFI20221020BHJP
   C08L 79/02 20060101ALI20221020BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20221020BHJP
   C23C 18/52 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
B01F17/52
C08L79/02
C08L27/12
C23C18/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069447
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】591021028
【氏名又は名称】奥野製薬工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藪 浩
(72)【発明者】
【氏名】グリワル シン マンジット
(72)【発明者】
【氏名】阿部 博弥
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 佳
(72)【発明者】
【氏名】岩本 由香
(72)【発明者】
【氏名】内藤 和久
【テーマコード(参考)】
4D077
4J002
4K022
【Fターム(参考)】
4D077AA03
4D077AB03
4D077AC05
4D077BA07
4D077CA02
4D077DB05X
4D077DD42X
4D077DE08X
4J002BD12W
4J002BD13W
4J002BD14W
4J002BD15W
4J002BD18W
4J002CM01X
4J002GT00
4J002HA07
4K022BA34
4K022DA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フッ素系界面活性剤を用いない、粒子の分散液を提供する。
【解決手段】粒子の分散液であって、粒子、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマーを含み、アルカリ性である、分散液。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の分散液であって、
粒子、
ポリドーパミン、及び
アミノ基を含む水溶性ポリマー
を含み、
アルカリ性である、分散液。
【請求項2】
前記粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、及びポリテトラフルオロエチレンオキサイド(PTFEO)から成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子である、請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
前記粒子は、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化黒鉛、炭化タングステン(WC)、二硫化モリブデン(MoS2)、炭化ホウ素(B4C)、グラフェン、及びグラファイトから成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子である、請求項1に記載の分散液。
【請求項4】
前記アミノ基を含む水溶性ポリマーは、ポリエチレンイミン、ポリLリジン、スペルミン、及びスペルミジンから成る群から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を含む水溶性ポリマーである、請求項1~3のいずれかに記載の分散液。
【請求項5】
前記アルカリ性は、pHが8以上である、請求項1~4のいずれかに記載の分散液。
【請求項6】
アンモニア水溶液である、請求項1~5のいずれかに記載の分散液。
【請求項7】
前記粒子を、0.1g/L~1,500g/L含む、請求項1~6のいずれかに記載の分散液。
【請求項8】
前記ポリドーパミンを、0.2g/L~20g/L含む、請求項1~7のいずれかに記載の分散液。
【請求項9】
前記アミノ基を含む水溶性ポリマーを、0.1g/L~100g/L含む、請求項1~8のいずれかに記載の分散液。
【請求項10】
水溶液中で、粒子を分散させる方法であって、
(1)粒子を、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマーを含み、アルカリ性の水溶液に分散する工程
を有する、方法。
【請求項11】
水溶液中で、粒子の表面電位を制御させる方法であって、
(1)粒子を、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマーを含み、アルカリ性の水溶液に分散する工程
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の分散液、水溶液中で粒子を分散させる方法、及び水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に表す通り、PTFE粒子は、水に分散せず、表面電位の調節が困難である。PTFE粒子は、通常、フッ素系界面活性剤を用いて分散させる。
【0003】
特許文献1は、ポリテトラフルオロエチレン等の複合粒子又は繊維が分散され、界面活性剤が添加されてなる次亜リン酸塩を還元剤とする無電解複合めっき浴中にジエチルアミンや硫酸アンモニウムを添加して無電解複合めっきを行う事を開示している。
【0004】
特許文献2は、化合物を無電解複合めっき浴中に分散剤として含有させる事を開示している。
【0005】
特許文献3は、無電解複合めっき液用分散剤において、カチオン性ポリマーを含有する事を開示している。
【0006】
特許文献4は、SiC粒子にカチオン性界面活性剤を吸着させる工程と、めっき液に前記カチオン性界面活性剤を吸着したSiC粒子を分散する工程とを備えている複合めっき液の製造方法を開示している。
【0007】
特許文献5は、有機電解質がフルオ口ポリマー水性分散液のpHの低下を抑制する事を開示している。
【0008】
フッ素系素材の使用の規制に因り、フッ素系界面活性剤は、順次使用不可と成っている。フッ素系界面活性剤を用いないPTFE粒子の分散方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公平6-104903
【特許文献2】特許第3979968号
【特許文献3】特開2013-28845
【特許文献4】特公2013-241649
【特許文献5】WO2012/133655A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新たに、フッ素系界面活性剤を用いない、粒子の分散液を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、水溶液中で、粒子を、ポリドーパミン、及びポリエチレンイミンを含み、アルカリ性の水溶液に分散する事に依り、良好に粒子を分散させる事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、次の粒子の分散液に関する。
【0013】
項1.
粒子の分散液であって、
粒子、
ポリドーパミン、及び
アミノ基を含む水溶性ポリマー
を含み、
アルカリ性である、分散液。
【0014】
項2.
前記粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、及びポリテトラフルオロエチレンオキサイド(PTFEO)から成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子である、前記項1に記載の分散液。
【0015】
項3.
前記粒子は、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化黒鉛、炭化タングステン(WC)、二硫化モリブデン(MoS2)、炭化ホウ素(B4C)、グラフェン、及びグラファイトから成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子である、前記項1に記載の分散液。
【0016】
項4.
前記アミノ基を含む水溶性ポリマーは、ポリエチレンイミン、ポリLリジン、スペルミン、及びスペルミジンから成る群から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を含む水溶性ポリマーである、前記項1~3のいずれかに記載の分散液。
【0017】
項5.
前記アルカリ性は、pHが8以上である、前記項1~4のいずれかに記載の分散液。
【0018】
項6.
アンモニア水溶液である、前記項1~5のいずれかに記載の分散液。
【0019】
項7.
前記粒子を、0.1g/L~1,500g/L含む、前記項1~6のいずれかに記載の分散液。
【0020】
項8.
前記ポリドーパミンを、0.2g/L~20g/L含む、前記項1~7のいずれかに記載の分散液。
【0021】
項9.
前記アミノ基を含む水溶性ポリマーを、0.1g/L~100g/L含む、前記項1~8のいずれかに記載の分散液。
【0022】
項10.
水溶液中で、粒子を分散させる方法であって、
(1)粒子を、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマーを含み、アルカリ性の水溶液に分散する工程
を有する、方法。
【0023】
項11.
水溶液中で、粒子の表面電位を制御させる方法であって、
(1)粒子を、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマーを含み、アルカリ性の水溶液に分散する工程
を有する、方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、新たに、フッ素系界面活性剤を用いない、粒子の分散液を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術を説明する図である。PTFE粒子は、水に分散せず、表面電位の調節が困難である。PTFE粒子は、通常、フッ素系界面活性剤を用いて分散させる。フッ素系素材の使用の規制に因り、フッ素系界面活性剤は、順次使用不可と成っている。フッ素系界面活性剤を用いないPTFE粒子の分散方法が求められている。
図2】本発明のコンセプトを説明する図である。本発明では、ポリドーパミン・ポリエチレンイミンに依り、水溶液中で、PTFE粒子等を良好に分散する事や、表面電位を制御する事が可能である。
図3】本発明の実施例を説明する図である。本発明では、ポリドーパミン・ポリエチレンイミンに依り、水溶液中で、PTFE粒子を良好に分散する事(1)が出来る。
図4】本発明の実施例を説明する図である。本発明では、ポリドーパミン・ポリエチレンイミンに依り、水溶液中で、PTFE粒子を良好に分散する事(2)が出来る。
図5】本発明の実施例を説明する図である。本発明では、ポリドーパミン・ポリエチレンイミン被覆の同定を説明する図である。PTFE粒子の表面は、ポリドーパミン・ポリエチレンイミンに依り、良好に被覆される。FT-IR解析では、フッ素樹脂のピークが消え、カテコール基や水酸基に由来するピークが出現する。XPS解析では、フッ素のピークが消え、C/N/Oのピークのみに成る。
図6】本発明の実施例を説明する図である。本発明では、ポリドーパミン・ポリエチレンイミンに依り、PTFE粒子の表面電位は、良好に制御される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0027】
(1)粒子の分散液
本発明は、粒子の分散液である。
【0028】
本発明の粒子の分散液は、粒子、ポリドーパミン、及びポリエチレンイミン、を含み、アルカリ性である。
【0029】
本発明の粒子の分散液を用いると、水溶液中で、フッ素系界面活性剤を用いずに、粒子を良好に分散させる事が出来る。本発明の粒子の分散液を用いると、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る。
【0030】
(1-1)粒子
本発明の粒子の分散液が含む粒子は、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、及びポリテトラフルオロエチレンオキサイド(PTFEO)から成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子である。
【0031】
本発明の粒子の分散液が含む粒子は、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事や、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る点で、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いる。
【0032】
本発明の粒子の分散液が含む粒子は、好ましくは、セラミックス、グラス、滑石、プラスチック、ダイヤモンド、グラファイト、酸化物、ケイ化物、炭酸塩、カーバイド、硫化物、リン酸エステル、ホウ化物、ケイ酸塩、窒化物、金属、及び金属のフッ化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子である。
【0033】
本発明の粒子の分散液が含む粒子は、より好ましくは、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化黒鉛、炭化タングステン(WC)、二硫化モリブデン(MoS2)、炭化ホウ素(B4C)、グラフェン、及びグラファイトから成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子である。
【0034】
本発明の粒子の分散液が含む粒子は、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事や、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る点で、好ましくは、炭化ケイ素(SiC)を用いる。
【0035】
本発明の分散液は、前記粒子を、1種単独で、又は2種以上を混合して用いる事が出来る。
【0036】
粒子の粒子径
本発明の粒子の分散液が含む粒子の粒子径は、好ましくは、1nm~100μmであり、より好ましくは、1nm~10μm、更に好ましくは、1nm~1μmである。
【0037】
本発明の粒子の分散液が含む粒子として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、及びポリテトラフルオロエチレンオキサイド(PTFEO)から成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子を用いる場合、粒子の粒子径は、好ましくは、1nm~100μmであり、より好ましくは、1nm~10μm、更に好ましくは、1nm~1μmである。
【0038】
本発明の粒子の分散液が含む粒子として、セラミックス、グラス、滑石、プラスチック、ダイヤモンド、グラファイト、酸化物、ケイ化物、炭酸塩、カーバイド、硫化物、リン酸エステル、ホウ化物、ケイ酸塩、窒化物、金属、及び金属のフッ化物から成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化黒鉛、炭化タングステン(WC)、二硫化モリブデン(MoS2)、炭化ホウ素(B4C)、グラフェン、及びグラファイトから成る群から選ばれる少なくとも1種の粒子等の粒子を用いる場合、粒子の粒子径は、好ましくは、1nm~100μmであり、より好ましくは、1nm~10μm、更に好ましくは、1nm~1μmである。
【0039】
粒子の粒子径を、好ましくは、1nm~100μmであり、より好ましくは、1nm~10μm、更に好ましくは、1nm~1μmに調整する事に依り、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事や、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る。
【0040】
粒子の含有量
本発明の粒子の分散液が含む粒子の含有量は、好ましくは、0.1g/L~1,500g/Lであり、より好ましくは、1g/L~1,200g/Lであり、更に好ましくは、10g/L~1,000g/Lである。
【0041】
粒子の含有量を、好ましくは、0.1g/L~1,500g/Lに調整する事に依り、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事や、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る。
【0042】
本発明では、粒子として、例えば、PTFEを用いる分散液の場合、PTFEは、好ましくは、1g/L~1,000g/L程度の含有量とする。
【0043】
本発明では、粒子として、例えば、SiCを用いる分散液の場合、SiCは、好ましくは、1g/L~500g/L程度の含有量とする。
【0044】
本発明では、粒子として、例えば、グラフェンを用いる分散液の場合、グラフェンは、好ましくは、1g/L~500g/L程度の含有量とする。
【0045】
(1-2)ポリドーパミン(PDA)
本発明の粒子の分散液が含むポリドーパミン(PDA)は、アミノ酸誘導体ドーパミン(DA)が重合したものである。カテコール基を有するドーパミン(DA)の自発的重合に依り、ポリドーパミン(PDA)が得られる。例えば、塩基性溶液下において、ドーパミン(DA)の酸化により生成する5,6-ジヒドロキシインドール(DHI)が重合してポリドーパミン(PDA)が得られる。
【0046】
ポリドーパミン(PDA)の含有量
本発明の粒子の分散液が含むポリドーパミン(PDA)の含有量は、好ましくは、0.1g/L~100g/Lであり、より好ましくは、0.2g/L~20g/Lであり、更に好ましくは、0.3g/L~15g/Lである。
【0047】
ポリドーパミン(PDA)の含有量を、好ましくは、0.1g/L~100g/L、より好ましくは、0.2g/L~20g/Lに調整する事に依り、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事や、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る。
【0048】
(1-3)アミノ基を含む水溶性ポリマー
水、低級アルコール(エタノール等)等に可溶である。
【0049】
本発明の粒子の分散液が含むアミノ基を含む水溶性ポリマーは、好ましくは、ポリエチレンイミン、及びポリLリジンから成る群から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を含む水溶性ポリマーである。
【0050】
本発明の粒子の分散液が含むアミノ基を含む水溶性ポリマーは、好ましくは、スペルミン、及びスペルミジンから成る群から選ばれる少なくとも1種のポリアミン類である。
【0051】
ポリエチレンイミン(PEI)
本発明の粒子の分散液が含むアミノ基を含む水溶性ポリマーは、より好ましくは、ポリエチレンイミンである。ポリエチレンイミン(PEI)、或はポリアジリジン(polyaziridine)とも言い、アミンと脂肪族スペーサー(CH2CH2)の繰り返し単位からなるポリマーである。
【0052】
アミノ基を含む水溶性ポリマーの含有量
本発明の粒子の分散液が含むアミノ基を含む水溶性ポリマーの含有量は、好ましくは、0.1g/L~100g/Lであり、より好ましくは、1g/L~100g/Lであり、更に好ましくは、2g/L~50g/Lであり、特に好ましくは、5g/L~20g/Lである。
【0053】
アミノ基を含む水溶性ポリマーの含有量を、好ましくは、1g/L~100g/Lに調整する事に依り、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事や、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る。
【0054】
(1-4)水溶液のアルカリ性
本発明の粒子の分散液は、アルカリ性であり、好ましくは、pHが8以上であり、より好ましくは、pHが8.5~14である。
【0055】
本発明の粒子の分散液は、アルカリ性であり、好ましくは、pHが8以上に調整する事に依り、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事や、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る。
【0056】
本発明の粒子の分散液は、アルカリ性であり、好ましくは、アンモニア水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、ピリジン水溶液、より好ましくは、アンモニア水溶液等であり、更に好ましくは、アンモニア水溶液である。
【0057】
本発明の粒子の分散液は、アルカリ性であり、好ましくは、アンモニア水溶液を用いる事に依り、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事や、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る。
【0058】
(2)水溶液中で粒子を分散させる方法
本発明は、水溶液中で、粒子を分散させる方法である。
【0059】
本発明の方法は、(1)粒子を、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマー(好ましくは、ポリエチレンイミン、ポリLリジン等)を含み、アルカリ性の水溶液に分散する工程を有する。
【0060】
本発明の、水溶液中で、粒子を分散させる方法は、粒子を、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマー(好ましくは、ポリエチレンイミン、ポリLリジン等)を含み、アルカリ性の水溶液に分散する事に依り、この工程に依り、水溶液中で、粒子を良好に分散させる事が出来る。
【0061】
前記粒子、ポリドーパミン、アミノ基を含む水溶性ポリマー(好ましくは、ポリエチレンイミン、ポリLリジン等)、及びアルカリ性の水溶液等は、前記粒子の分散液の項目で説明した内容を適用する。
【0062】
(3)水溶液中で粒子の表面電位を制御させる方法
本発明は、水溶液中で、粒子の表面電位を制御させる方法である。
【0063】
本発明の方法は、(1)粒子を、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマー(好ましくは、ポリエチレンイミン、ポリLリジン等)を含み、アルカリ性の水溶液に分散する工程を有する。
【0064】
本発明の、水溶液中で、粒子の表面電位を制御させる方法は、粒子を、ポリドーパミン、及びアミノ基を含む水溶性ポリマー(好ましくは、ポリエチレンイミン、ポリLリジン等)を含み、アルカリ性の水溶液に分散する事に依り、この工程に依り、水溶液中で、粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る。
【0065】
前記粒子、ポリドーパミン、アミノ基を含む水溶性ポリマー(好ましくは、ポリエチレンイミン、ポリLリジン等)、及びアルカリ性の水溶液等は、前記粒子の分散液の項目で説明した内容を適用する。
【実施例0066】
以下に、本発明を、実施例及び比較例を示して、具体的に説明する。但し、本発明は、実施例に限定されない。
【0067】
実施例:図3のS. No. 1、図4
アルカリ性の水溶液に、PTEF粒子を、ポリドーパミン、及びポリエチレンイミンの存在下で分散する事に依り、PTEF粒子を、良好に分散させる事が出来た。
【0068】
実施例:図5
アルカリ性の水溶液に、PTEF粒子を、ポリドーパミン、及びポリエチレンイミンの存在下で分散する事に依り、PTFE粒子の表面は、ポリドーパミン・ポリエチレンイミンに依り、良好に被覆された。FT-IR解析では、フッ素樹脂のピークが消え、カテコール基や水酸基に由来するピークが出現した。XPS解析では、フッ素のピークが消え、C/N/Oのピークのみに成った。
【0069】
実施例:図6
アルカリ性の水溶液に、PTEF粒子を、ポリドーパミン、及びポリエチレンイミンの存在下で分散する事に依り、PTEF粒子の表面電位は、良好に制御された。
【0070】
実施例の結果に表れる通り、本発明は、本発明の粒子の分散液を用いる事に依り、水溶液中で、PTFE粒子等の粒子を良好に分散させる事が出来、更に、水溶液中で、PTFE粒子等の粒子の表面電位を良好に制御させる事が出来る点で優れている(図2)。
【0071】
実施例、及び比較例:表1
粒子分散液の分散性を評価した。粒子分散液を、ホモジナイザーを用いて、30分間撹拌し、その後、粒子分散液の分散性を評価した。
【0072】
<分散性の評価基準>
○:撹拌後、30分以上、分散を維持した。
△:撹拌後、5分未満で、一部不分散であった。
×:撹拌後、5分未満で、不分散であった。
×評価は、添加した粒子が沈降、又は液面に浮遊した。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例の結果に表れる通り、本発明は、本発明の粒子の分散液を用いる事に依り、水溶液中で、PTFE粒子等の粒子を良好に分散させる事が出来る点で優れている(表1)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6