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特開2022-164147画像検査装置、画像処理方法、画像処理プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164147
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像処理方法、画像処理プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20221020BHJP
【FI】
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069450
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 宣之
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA04
5L096DA02
5L096EA14
5L096FA15
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA02
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】画像の検査に関する一連の動作を簡単に切り替えできるようにする。
【解決手段】画像検査装置100は、検査対象のワークに照明光を照射する照明部15と、照明部15から照射され、ワークで反射された反射光を受光し、ワーク画像を生成するカメラ部14と、ワーク画像に基づいて所定の検査を行う検査部21と、カメラ部14による撮像設定、及び検査部21による検査設定を含む動作を、一連の動作セットとして設定するための動作設定部22と、動作設定部22により設定された複数の異なる動作セットを記憶可能な動作記憶部19bとを備える。検査部21は、動作記憶部19bに記憶された一の動作セットを実行し、検査部21による検査結果に応じて、次に実行すべき動作セットを、動作記憶部19bに記憶された他の動作セットに切り替え可能に構成している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象のワークに照明光を照射する照明部と、
前記照明部から照射され、ワークで反射された反射光を受光し、ワーク画像を生成するカメラ部と、
前記ワーク画像に基づいて所定の検査を行う検査部と、
前記カメラ部による撮像設定、及び前記検査部による検査設定を含む動作を、一連の動作セットとして設定するための動作設定部と、
前記動作設定部により設定された複数の異なる動作セットを記憶可能な動作記憶部と、
を備える画像検査装置であって、
前記検査部は、前記動作記憶部に記憶された一の動作セットを実行し、前記検査部による検査結果に応じて、次に実行すべき動作セットを、前記動作記憶部に記憶された他の動作セットに切り替え可能に構成してなる画像検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像検査装置であって、
前記動作セットはさらに、予め登録されたマスタ画像に対して設定された検査ツール、又は前記検査部による検査結果の出力設定を含んでなる画像検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像検査装置であって、
前記動作設定部は、前記検査部による検査結果に応じて、特定の動作セットへの自動切替を実行するか否かを設定可能であり、
さらに該自動切替を実行する場合は、切り替える対象の動作セットを設定可能としてなる画像検査装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の画像検査装置であって、
前記動作設定部は、前記検査部が前記動作セットの自動切替をする前のディレイ時間を設定可能に構成してなる画像検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像検査装置であって、
前記動作設定部は、前記ディレイ時間を、各動作セットの自動切替に対して個別に設定可能としてなる画像検査装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の画像検査装置であって、
前記検査部による所定の検査が、ワークの良否判定、又はワークを所定の種別に仕分ける仕分け判定である画像検査装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の画像検査装置であって、
前記検査部による検査結果が良否判定のNGの場合でも、動作セットの切替を実行できるよう構成してなる画像検査装置。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の画像検査装置であって、
前記検査部による検査結果が良否判定のOKの場合とNGの場合で、それぞれ割り当てられる動作セットを、前記動作記憶部で設定保存されている動作セットのいずれかをリスト化して選択できるよう構成してなる画像検査装置。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の画像検査装置であって、
前記検査部による所定の検査がワークの仕分け判定であり、該仕分け判定の結果、仕分けられた種別毎に関連付けて動作セットが切り替えられるよう構成してなる画像検査装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の画像検査装置であって、さらに、
前記動作設定部で設定された前記動作セットに従って実行される一連の動作を、フロー図として作成するフロー作成部を備えてなる画像検査装置。
【請求項11】
検査対象のワークに照明部から照明光を照射し、ワークで反射された反射光をカメラ部で受光し、ワーク画像を生成して、ワークに対する所定の検査を検査部で行う画像検査方法であって、
前記カメラ部による撮像設定、及び前記検査部による検査設定を含む動作を、一連の動作セットとして、動作設定部で複数セットを設定する工程と、
前記動作設定部で設定された複数の異なる動作セットを動作記憶部に記憶する工程と、
前記検査部で、前記動作記憶部に記憶された一の動作セットを実行し、前記検査部による検査結果に応じて、次に実行すべき動作セットを、前記動作記憶部に記憶された他の動作セットに切り替える工程と、
を含む画像検査方法。
【請求項12】
検査対象のワークに照明部から照明光を照射し、ワークで反射された反射光をカメラ部で受光し、ワーク画像を生成して、ワークに対する所定の検査を検査部で行うための画像検査プログラムであって、
前記カメラ部による撮像設定、及び前記検査部による検査設定を含む動作を、一連の動作セットとして、動作設定部で複数セットを設定する機能と、
前記動作設定部で設定された複数の異なる動作セットを動作記憶部に記憶する機能と、
前記検査部で、前記動作記憶部に記憶された一の動作セットを実行し、前記検査部による検査結果に応じて、次に実行すべき動作セットを、前記動作記憶部に記憶された他の動作セットに切り替える機能と、
をコンピュータに実現させるための画像検査プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記憶した機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像処理方法、画像処理プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサにおいて、ユーザにより設定されたワークの撮像条件と、撮像されたワーク画像に対する検査条件は、一連の動作セット又は検査プログラムとして設定、保存される。複数のワークの検査を行いたい場合は、複数の動作セットを保存しておくことが可能であり、ユーザによる手動切り替え、又は外部入力信号によって動作セットを切り替えることができる。
【0003】
しかしながら、人が机上で行う組み立て作業の各工程の検査をオフラインに設置された画像センサを用いて行う場合は、各工程における画像処理を複数のプログラムを切り替えながら実行する必要があり、作業が非常に煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-033787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一は、画像の検査に関する一連の動作を簡単に切り替えできるようにした画像検査装置、画像処理方法、画像処理プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る画像検査装置は、検査対象のワークに照明光を照射する照明部と、前記照明部から照射され、ワークで反射された反射光を受光し、ワーク画像を生成するカメラ部と、前記ワーク画像に基づいて所定の検査を行う検査部と、前記カメラ部による撮像設定、及び前記検査部による検査設定を含む動作を、一連の動作セットとして設定するための動作設定部と、前記動作設定部により設定された複数の異なる動作セットを記憶可能な動作記憶部とを備える画像検査装置であって、前記検査部は、前記動作記憶部に記憶された一の動作セットを実行し、前記検査部による検査結果に応じて、次に実行すべき動作セットを、前記動作記憶部に記憶された他の動作セットに切り替え可能に構成している。
【0007】
また、本発明の他の側面に係る画像検査方法は、検査対象のワークに照明部から照明光を照射し、ワークで反射された反射光をカメラ部で受光し、ワーク画像を生成して、ワークに対する所定の検査を検査部で行う画像検査方法であって、前記カメラ部による撮像設定、及び前記検査部による検査設定を含む動作を、一連の動作セットとして、動作設定部で複数セットを設定する工程と、前記動作設定部で設定された複数の異なる動作セットを動作記憶部に記憶する工程と、前記検査部で、前記動作記憶部に記憶された一の動作セットを実行し、前記検査部による検査結果に応じて、次に実行すべき動作セットを、前記動作記憶部に記憶された他の動作セットに切り替える工程とを含む。
【0008】
さらに、本発明の他の側面に係る画像検査プログラムは、検査対象のワークに照明部から照明光を照射し、ワークで反射された反射光をカメラ部で受光し、ワーク画像を生成して、ワークに対する所定の検査を検査部で行うための画像検査プログラムであって、前記カメラ部による撮像設定、及び前記検査部による検査設定を含む動作を、一連の動作セットとして、動作設定部で複数セットを設定する機能と、前記動作設定部で設定された複数の異なる動作セットを動作記憶部に記憶する機能と、前記検査部で、前記動作記憶部に記憶された一の動作セットを実行し、前記検査部による検査結果に応じて、次に実行すべき動作セットを、前記動作記憶部に記憶された他の動作セットに切り替える機能とをコンピュータに実現させるための画像検査プログラムである。
【0009】
さらにまた、本発明の他の側面に係るコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記憶した機器は、上記プログラムを格納したものである。記録媒体には、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、Blu-ray、HD DVD(AOD)、UHD(いずれも商品名)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記憶した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面に係る画像検査装置によれば、従来はユーザが検査結果に応じて手動で選択していた動作セットの切り替えを、検査結果に応じて自動で切り替え可能とすることにより、作業の煩雑さを解消し、かつ誤りのない作業の移行を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る画像検査装置の構成を示す模式図である。
図2】画像検査装置のハードウエア構成を示す図である。
図3】プロセッサ部の機能を示すブロック図である。
図4】動作セットを設定し、運転を行う手順を示すフローチャートである。
図5図5A図5Eは、基板にコンデンサ、抵抗、スイッチを取り付けて、ケース内に収容する各作業を表示した模式図である。
図6】基板の組付け工程の検査フローを示すフローチャートである。
図7図6の検査フローの詳細を示すフローチャートである。
図8】設定ナビ画面を示す模式図である。
図9】出力割当画面を示す模式図である。
図10】出力割当画面でプログラムリストを表示させた模式図である。
図11】運転中画面を示す模式図である。
図12】出力割当画面を示す模式図である。
図13】出力割当画面を示す模式図である。
図14】作成されたフロー図の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための画像検査装置、画像処理方法、画像処理プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器を例示するものであって、本発明は画像検査装置、画像処理方法、画像処理プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0013】
本発明の実施形態1に係る画像検査装置を、図1の模式図に示す。画像検査装置は、例えば各種部品や製品等、ワークと呼ばれる検査対象物を撮像した画像に基づいて検査対象物の良否判定や仕分け判定を行うための装置であり、画像センサ等と呼ばれ、工場等の生産現場等で使用することができる。検査対象物は、それ全体が検査対象であってもよいし、一部のみが検査対象であってもよい。また一の検査対象物に複数の検査対象が含まれていてもよい。さらに一の画像に、複数の検査対象物が含まれていてもよい。
【0014】
ここでは、検査対象物の外観を撮像して、予め規定された検査条件に従い、良否判定や仕分け判定を行う画像検査装置の例を説明する。良否判定は、例えば良品か不良品かを判定する所定の良否判定条件を設定時に設定しておき、運用時あるいは運転時において、撮像した検査対象物の画像を撮像し、良否判定条件に照らして検査対象物の良否を判定する。また仕分け判定は、良品と判定された検査対象物をさらに、予め規定された仕分け条件に従い、複数の種別のいずれに属するかを判定する。例えば検査対象物の色を、赤、青、緑のいずれかに仕分ける仕分け条件に従い、これに応じて良品を赤、青、緑のいずれかに仕分ける例が該当する。
【0015】
画像検査装置100は、装置本体となる制御ユニット2と、撮像ユニット3と、表示部4と、パーソナルコンピュータ5と、操作部6を備えている。パーソナルコンピュータ5には、画像検査装置100を操作する画像検査プログラムをインストールする。画像検査プログラムのユーザインターフェース画面は、パーソナルコンピュータ5のモニタや、表示部4に表示させることができる。なおパーソナルコンピュータ5は、必須のものではなく、省略することもできる。この場合は制御ユニット2が、画像検査を実行する。また制御ユニット2で、画像検査プログラムを実行させるようにしてもよい。
【0016】
さらに表示部4の代わりにパーソナルコンピュータのディスプレイを用いることもできる。また図1では、画像検査装置100の構成例の一例として、制御ユニット2、撮像ユニット3、表示部4、パーソナルコンピュータ5、操作部6を別々のものとして記載しているが、これらのうち、任意の複数を組み合わせて一体化することもできる。例えば、制御ユニット2と撮像ユニット3を一体化することや、制御ユニット2と表示部4を一体化することもできる。また、制御ユニット2を複数のユニットに分割して一部を撮像ユニット3や表示部4に組み込むことや、撮像ユニット3を複数のユニットに分割して一部を他のユニットに組み込むこともできる。さらに操作部6も、別途設ける他、パーソナルコンピュータが備える入力デバイスを利用したり、表示部をタッチパネルとする等、他の部材に統合してもよい。
【0017】
また図1の例では、制御ユニット2を、撮像ユニット3と、表示部4と、パーソナルコンピュータ5にそれぞれケーブルを介して接続している。ただ本発明は各部材の接続を有線接続に限定するものでなく、無線LANや公衆通信回線、NFC等の電波、赤外線、光等の媒体を介した無線接続としてもよい。また通信規格は、イーサネットやIEEE802.1x、USB、Bluetooth、ZigBee(いずれも登録商標又は製品名)等、規格化された汎用のものや、専用のプロトコルやインターフェースが適宜利用できる。
【0018】
本発明の実施形態1に係る画像検査装置100のハードウェア構成を、図2のブロック図に示す。この図に示す画像検査装置100は、制御ユニット2と撮像ユニット3を含む筐体1と、表示部4と、パーソナルコンピュータ5を備える。
【0019】
筐体1は、画像検査装置100の外形を形成するケーシングであり、その内部に照明部15やカメラ部14、プロセッサ部20等を収容する。筐体1には、ユーザからの各種の設定を受け付けるインタフェースが設けられる。インタフェースを介して、ワーク画像の良否判定を行う良否判定モードと、入力されたワーク画像の仕分けを行う仕分けモードのいずれかを選択としている。
(制御ユニット2)
【0020】
制御ユニット2は、メイン基板13と、コネクタ基板16と、通信基板17と、電源基板18と、記憶部19と、出力部12を備えている。メイン基板13には、プロセッサ部20と、メモリ部133とが搭載されている。メモリ部133は、RAMやROM等で構成される。
【0021】
コネクタ基板16は、電源インタフェース161に設けてある電源コネクタを介して、外部の電源から電力の供給を受ける。電源基板18は、供給された電力を各基板に供給する。本実施形態では、カメラ部14にはメイン基板13を介して電力を供給している。電源基板18のモータドライバ181は、カメラ部14のモータ141に駆動電力を供給し、オートフォーカスを実現している。
【0022】
通信基板17は、メイン基板13から出力された検査対象物の良否判定結果を示すOK/NG信号(判定信号)や画像データ等を表示部4へ送信する。判定信号を受信した表示部4は、判定結果を表示する。なお、本実施形態では、通信基板17を介して判定信号を出力する構成にしているが、例えばコネクタ基板16を介して判定信号を出力する構成にしても良い。
(操作部6)
【0023】
また画像検査装置100は、ユーザの操作を受け付ける操作部6を備えている。操作部6は、キーボードやマウス、タッチパネル等の既存の入力でバイスが利用できる。図2の例では、通信基板17は、表示部4が有するタッチパネル41やパーソナルコンピュータ5のキーボード51等から入力されたユーザの各種操作を受け付けることができるように構成されている。表示部4のタッチパネル41は、例えば感圧センサを搭載した既知のタッチ式操作パネルであり、ユーザによるタッチ操作を検出して通信基板17へ出力する。パーソナルコンピュータ5は、キーボード51の他に、マウスやタッチパネルを備えており、これら操作デバイスから入力されたユーザの各種操作を受け付けることができるように構成されている。通信は、有線であってもよいし、無線であってもよく、いずれの通信形態も、従来から周知の通信モジュールによって実現することができる。
【0024】
照明部15は、検査対象物を撮像する撮像領域に照明光を照射する光源として、複数のLED11を備えている。LED11にはレンズやリフレクタを設けることができる。レンズは、短距離用又は長距離用のレンズユニットとして交換可能とできる。照明部15の光源には、LEDの他、OLEDやLD等の半導体発光素子が好適に利用できる。なお本明細書において照明光とは、主に照明部15で照射される光を指すが、自然光等、照明部15によらずに存在する環境光も含む意味で使用する。
【0025】
撮像ユニット3は、カメラ部14と、照明部15を備えている。カメラ部14は、モータ141が駆動することにより、オートフォーカス動作の制御を行うことができる。このカメラ部14は、メイン基板13からの撮像指示信号に応じて検査対象物を撮像する。本実施形態では、撮像素子としてCMOS基板142を備えている。撮像されたカラー画像は、CMOS基板142にてダイナミックレンジを広げる変換特性に基づいてHDR画像に変換され、メイン基板13のプロセッサ部20へ出力される。
【0026】
メイン基板13は、接続してある各基板の動作を制御する。例えば照明部15に対しては、複数のLED11の点灯/消灯を制御する制御信号を、LEDドライバ151へ送信する。LEDドライバ151は、プロセッサ部20からの制御信号に応じて、例えばLED11の点灯/消灯、光量等を調整する。また、カメラ部14のモータ141に対しては、電源基板18のモータドライバ181を介してオートフォーカス動作を制御する制御信号を送信する。さらにCMOS基板142に対しては、撮像指示信号を送信する。
(記憶部19)
【0027】
制御ユニット2には、例えば半導体メモリやハードディスクドライブ等の記憶部19が設けられている。記憶部19には、各種の制御や処理を上記ハードウエアによって実行可能にするためのプログラムファイルや設定ファイルの他、マスタ画像、良否判定結果、仕分け結果等が記憶されている。プログラムファイルや設定ファイルは、例えばUSBメモリや光ディスク等の可搬式の記憶媒体に格納しておき、この記憶媒体に格納されたプログラムファイルや設定ファイルを制御ユニット2に読み込むこともできる。
(動作セット)
【0028】
また記憶部19は、動作設定部により設定された複数の異なる動作セットを記憶するための動作記憶部19bとして機能する。動作セットは、カメラ部14による撮像設定や、後述する検査部21による検査設定等、複数の動作を、一連の動作としてまとめたものであり、検査プログラム、あるいは単にプログラム等と呼ばれることもある。動作セットは上記に加えて、あるいは上記に代えて、予め登録されたマスタ画像に対して設定された検査ツール、又は検査部21による及び検査結果の出力設定を含んでもよい。このように動作セットは、撮像条件のみを切り替えるものでなく、例えば出力設定で異なる出力が割り当てられている場合は、出力先や出力内容も出力設定に従って切り替わる。なお本明細書において「検査プログラム」とは、動作セットに含まれる一以上の動作を規定したものであり、画像検査や画像処理に関して実行される処理を指すものとする。
(プロセッサ部20)
【0029】
メイン基板13のプロセッサ部20は、与えられた信号やデータを処理して各種の演算を行い、演算結果を出力する制御回路や制御素子である。プロセッサ部20は、汎用PC向けのCPUやMPU、GPU、TPU等のプロセッサに限定するものでなく、特定用途向けにカスタマイズされたLSIやFPGA、ASIC等のゲートアレイ、マイコン、あるいはSoC等のチップセットやパッケージ等で構成できる。プロセッサ部20は、後述する複数の機能を実現する。なお本発明は、物理的に一のプロセッサ部で構成する例に限られず、複数のCPU等でプロセッサ部を構成してもよい。複数のCPUには、物理的に複数のCPUとする他、複数のCPUコアを一パッケージに組み込んだいわゆるマルチコアのMPUとしてもよい。この場合において、複数のCPUやCPUコアで各機能を実現する他、CPUやCPUコア毎に異なる機能を割り当てて実行してもよい。さらに、CPUとGPUの組み合わせでプロセッサ部を構成してもよい。この場合において、GPUは上述した表示制御部の機能を果たす他、プロセッサ部に割り当てられた機能の一部又は全部を実行させるように構成してもよい。
【0030】
図2の例では、メイン基板13のプロセッサ部20をFPGAとDSPで構成している。 FPGAは、照明制御、撮像制御をすると共に、取得した画像データに対する画像処理を実行する。また、DSPは、画像データについて、エッジ検出処理、パターン検索処理等を実行する。パターン検索処理の結果として、検査対象物の良否を示す判定結果を通信基板17へ出力する。演算処理結果等はメモリ部133に記憶される。なお上記の例ではFPGAが照明制御、撮像制御等を実行するが、DSPが実行しても良い。また、FPGAとDSPの組み合わせに代えて、一の主制御回路乃至主制御部を設けても良い。例えば一のCPUが主制御部として、複数のLED11の点灯/消灯を制御する制御信号をLEDドライバ151へ送信したり、オートフォーカス動作を制御する制御信号をカメラ部14のモータ141へ送信したり、撮像指示信号等をCMOS基板142へ送信したりといった機能を果たす。
【0031】
プロセッサ部20のブロック図を図3に示す。この図に示すようにプロセッサ部20は、検査部21と、動作設定部22と、フロー作成部23の機能を実現する。検査部21は、ワーク画像に基づいて所定の検査を行う。ここで所定の検査とは、ワークの良否判定や仕分け判定等が含まれる。動作設定部22は、カメラ部14による撮像設定、及び検査部21による検査設定を含む動作を、一連の動作セットとして設定するための部材である。検査部21は、動作記憶部19bに記憶された一の動作セットを実行し、検査部21による検査結果に応じて、次に実行すべき動作セットを、動作記憶部19bに記憶された他の動作セットに切り替え可能としている。これにより、従来はユーザが検査結果に応じて手動で選択していた動作セットの切り替えを、検査結果に応じて自動で切り替え可能とすることにより、作業の煩雑さを解消し、かつ誤りのない作業の移行を実現できる。
(動作設定部22)
【0032】
動作設定部22は、検査結果に応じた動作セットの切替先を設定する。ここで動作設定部22は、検査部21による検査結果に応じて、特定の動作セットへの自動切替を実行するか否かを規定できる。ここでは初期状態では、切り替えを実行しないようにしている。またこのような自動切替を実行する場合は、切り替える対象の動作セットを設定することもできる。
(判定NG時の切替)
【0033】
また検査部21による検査として良否判定を行う例において、検査結果がNGの場合であっても、動作セットの切替を実行できるよう構成してもよい。一般には良否判定結果がNGの場合は、動作セットの切り替えを行わないことが多いものの、どのような原因でNGとなったのか、原因の究明等のために新たな撮像や検査を行う場合もある。本実施形態に係る画像検査装置100では、このような用途にも適切に対応できる。
(出力部12)
【0034】
出力部12は、検査部21による検査結果を出力するための部材である。この出力部12は、検査内容によって出力を変更できる。例えば良否判定の結果としてOK/NGの判定信号を出力する。また検査内容がワークの仕分け判定の場合は、仕分け結果に応じた複数種類の出力、例えば仕分けられたワークの種別毎の信号を出力する。また出力部12は、複数の出力ポート12a、12b、...12nを備えてもよい。各出力ポート12a、12b、...12nは、仕分け処理で仕分けられた種別毎に、出力先として割り当てることができる。このような出力先や出力内容の割当は、動作設定部22で行う。例えば検査部21による仕分け判定の結果、各種別に紐づけて動作セットの切替ができるようにしてもよい。
【0035】
このように本実施形態に係る画像検査装置100では、カメラ部14でワークを撮像した結果に基づいて、次に切り替わるべき動作に、自動的に切り替えることができる。従来の組み立て作業等においては、一度の画像処理結果を得るだけでは足りず、複数の異なる作業の要所要所でワークを撮像し、ワーク画像を確認し、確認ができた上で次の作業に移るという流れが多かった。また作業毎に複数の異なる検査プログラムを駆使しながら作業を行っていたため、複数の検査プログラムの選択や切り替え、設定等の作業も煩雑であった。これに対し、本実施形態に係る画像検査装置100では、ある検査プログラムから次は、どの検査プログラムに移るかといった一連の動作を、動作セットとして予め設定可能としている。また、検査プログラムの切り替えに際して、従前の検査プログラムの表示を維持する時間を設定可能としている。
(動作セットの設定手順)
【0036】
ここで、動作セットを設定する設定手順、及び設定された動作セットで運転を行う手順を、図4のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、検査部21が行う検査を、ワークの良否判定とし、ワークの良否判定結果がOKの場合に、次の動作に移るものとする。
【0037】
まずステップS401において、動作セットを複数設定し用意する。次にステップS402において、各動作セットの設定において、良否判定がOKの場合の動作セットの切替先と、NGの場合の動作セットの切替先を、それぞれ設定する。
【0038】
さらにステップS403において、切り替わる際のディレイ時間を設定する。
またステップS404において、必要に応じてリトライ回数を設定することもできる。例えば、判定結果がOKとなるまで3回リトライする等、判定結果がNGの場合に判定を再度行う回数を規定する。
(運転時の動作手順)
【0039】
以上のようにして、ステップS405で、設定作業を終了する。続いて、設定後に画像検査装置を実際に動作させる運用時の動作を説明する。まずステップS405において、運転を開始する。必要に応じてステップS406で、表示部4に表示される運転画面に、次に移る、移り先の検査プログラムを表示してもよい。次にステップS407において、判定結果に従って動作セットを切り替える際に、設定したディレイ時間分、切替前の画面を表示した後に、次の動作セットの待機画面とする。このようにして、画像検査装置の運転動作が行われる。
(自動プログラム切替の一例)
【0040】
さらに、一の検査プログラムから他の検査プログラムに移行するように動作セットを設定する他、さらにこの検査プログラムから別の検査プログラムに移行するように設定することもできる。このように、数珠つなぎに複数の検査プログラムをまたぐ設定を行うことで、ユーザの一連の作業に対し簡易的な作業支援プログラムのような使い方も可能となる。以下、自動プログラム切り替えの一例として、基板への抵抗やコンデンサ等の組付け作業を説明する。画像検査装置は工場等のコンベアラインに設置され、コンベア上を流れてくるワークの良否判定や仕分けに使われることが多いが、部品の組み立て等の作業工程において、各工程のチェックに用いることもできる。各工程の作業完了時に、画像検査装置を用いてチェックを行うことで、作業が正しく完了しているかどうかを工程毎に確認することができるので、作業ミスを防いだり、作業ミスが発生したとしても大きな手戻りを防ぐことができる。
【0041】
図5A図5Eは、基板CBにコンデンサCP、抵抗RG、スイッチSWを取り付けて、ケースCS内に収容する組み立て工程を示す模式図である。これらの図は、表示部4に表示された基板CBの状態を示している。基板CBの右上には、十字状のアライメントマークAMが設けられている。また検査対象領域である検出ウィンドウDWは破線の枠状で示している。初期状態では、図5Aに示すように、まず組み立ての対象である正しい基板CBが机上に置かれたかどうかを、画像検査装置の仕分け機能を用いて確認する。画像検査装置は、仕分けに用いる特徴量をプロセッサ部20で抽出する。特徴量としては、検出ウィンドウ内の色や検出されたエッジ間の距離等、種々の特徴量を採用することができる。
【0042】
作業者は基板CBを机上に配置したら、画像検査装置に検査実行を指示し、正しい基板CBが配置されているかどうかを判定し、画像検査装置の表示部4で判定結果を確認する。正しい基板CBが配置されていると確認したら、続いて作業者は図5Bに示すように、コンデンサCPを所定の位置に組み付けて、画像検査装置に再度検査実行を指示する。画像検査装置は検査指示を受け付けると、基板CB上に設けられたアライメントマークAMを検出し、基板CBの位置補正を行う。作業者は位置補正を行うことにより、基板CBを机上にラフに置いても、予め定めた検出ウィンドウを基板CB上の適切な座標位置に自動で配置できる。図5Bの例では、位置補正により検出ウィンドウDW1がコンデンサCPを囲むように位置決めされている。
【0043】
画像検査装置は、検出ウィンドウDW1内の画像の特徴量に基づいて、正しくコンデンサCPが取り付けられているか否かを判定し、表示部4に判定結果を表示する。作業者は判定結果を目視で確認し、正しくコンデンサCPが基板CBに取り付けられているか否かを確認する。作業者は正しくコンデンサCPが基板CBに取り付けられていることを確認したら、続いて図5Cに示すように、抵抗RGとスイッチSWを所定の位置に取り付けて画像検査装置に検査実行を指示する。画像検査装置は、抵抗RGとスイッチSWにそれぞれ対応する検出ウィンドウDW2、DW3内の画像の特徴量に基づいて、適切に抵抗RGやスイッチSWが取り付けられているか否かを判定し、表示部4に判定結果を表示する。作業者は判定結果を目視で確認し、適切に抵抗RGとスイッチSWが取り付けられているか否かを確認する。続いて、作業者はスイッチSWをOFF状態からON状態に変更してから、画像検査装置に検査実行を指示する。画像検査装置は、図5Dに示すように、スイッチSWに対応する検出ウィンドウDW3内の画像の特徴量に基づいて、適切にスイッチSWの状態がOFF状態からON状態に変化しているか否かを判定し、表示部4に判定結果を表示する。作業者は判定結果を目視で確認し、判定結果がOKであることを確認する。最後に作業者は基板CBをケースCSに収容し、蓋RDを被せて、画像検査装置に検査実行を指示する。画像検査装置は、図5Eに示すように、蓋RDに適切なラベルLBが貼られているか否かを検出ウィンドウDW4内の画像の特徴量に基づいて判定し、判定結果を表示部4に表示する。作業者は表示部4で判定結果を確認し、判定結果がOKであることを確認し、作業完了となる。
【0044】
上記の例において、各検査工程において適切な撮像条件は異なる。例えば、コンデンサCPの検査工程と蓋RDのラベルLBの検出では、適切なカメラ部14の焦点位置が異なる。また、各部品の位置が違うため、検出ウィンドウの位置も異なる。部品によっては外付けの照明を使って照明しないと適切に特徴量を抽出できない可能性もあるため、どのような照明条件で照明を照射すべきかも異なる。そのため、作業者は事前に、各工程に応じた適切な動作セット、例えば撮像条件設定、検査条件設定、出力設定を設定する必要がある。
【0045】
ここで撮像条件設定とは、カメラ部14の焦点位置、露光時間、照明時間、照明輝度、使用する照明部15の種類等が挙げられる。また露光時間を変えて複数回の撮像を行って撮影した画像を合成し、ダイナミックレンジを拡大するHDR処理の実行をするか否かも、撮像条件設定に含まれる。
【0046】
また検査条件設定とは、位置決め処理、色検出処理、輪郭検出処理等のツール設定や、検査対象となる検出ウィンドウの位置等に関する設定である。
【0047】
さらに出力設定とは、判定結果の出力先を選択できることに加えて、判定結果に対して次にどの動作セットを実行するかを定めることができる設定である。例えば、検査条件設定が良否判定に関するものである場合、判定結果がOKの時は他の動作セットを実行するように移行し、判定結果がNGの時はさらに他の動作セットを実行するように設定することができる。一方で検査条件設定が仕分け処理に関するものである場合は、仕分け結果と動作セットを関連付けて設定することができる。
【0048】
従来は上記の組付け作業と画像検査装置の検査プログラムの切り替え作業を交互に実施しなければならず、非常に手間がかかっていた。これに対し本実施形態に係る画像検査装置では、撮像条件設定、検査条件設定、出力設定を一の動作セットとしてまとめ、各工程の作業完了に合わせて動作セット単位で自動的に切り替わるよう構成されているため、非常に効率性が高い。
【0049】
上述した基板CBの組付け工程の検査フローを図6のフローチャートに、またより詳細な検査フローを図7のフローチャートに、それぞれ示す。作業者が図5Aに示すように机上に基板CBを配置し、画像検査装置に検査実行を指示すると、画像検査装置は、基板CBの仕分け処理に関する動作セットAを実行する(図6のステップST1)。動作セットAでは、まず予め定められた撮像条件Aで撮像を行い(図7のステップST1-1)、取得した画像に基づいて仕分け処理Aを実行する(図7のステップST1-2)。ここで仕分け処理Aは、基板CBが適切な基板かどうかの仕分け処理であり、仕分け処理の結果、適切な基板CBであることが確認できたら、表示部4に検査結果を「OK」と表示し、動作セットAに関連付けられて設定されたディレイタイムAの分だけ待機(図7のステップST1-3)してから、次の動作セットBに移行する。ディレイタイムAの時間は、次の動作セットに移行する猶予があるため、作業者は作業工程を終えてから、表示部4で判定結果を確認してから、次の動作に移行できる。
【0050】
続いて、図6のステップST2で動作セットB、ここでは図5Bに示すコンデンサCPの組み付け確認を実行する。動作セットBが実行されると、画像検査装置はまず撮像条件Bで撮像を行い(図7のステップST2-1)、基板CBに設けられたアライメントマークAMを正規化相関等のパターンサーチアルゴリズムを用いて検出する(図7のステップST2-2)。アライメントマークAMが検出されたら、アライメントマークAMと相対的な位置関係が定められた検出ウィンドウの位置が決定される。図5Bの例では、検出ウィンドウDW1内のコンデンサCPに対応する部分の画像の特徴量に基づいて、画像検査装置はコンデンサCPが適切に組付けられているか否かを判定する(図7のステップST2-3)。判定結果がOKなら、動作セットBに関連付けられて設定されたディレイタイムBの分だけ待機してから(図7のステップST2-4)、次の動作セットCに移行する。判定結果がNGなら、動作セットBを繰り返す。なお動作セットBを所定回数実行し、NGが繰り返される場合は、検査結果NGとして終了するようにしても良い。
【0051】
続いて、図6のステップST3で動作セットC、ここでは図5Cに示す抵抗RGとスイッチSWの組み付け確認を実行する。動作セットCが実行されると、画像検査装置は撮像条件Cで撮像を行う(図7のステップST3-1)。作業者は検出対象や検出領域の違いにより、適切な撮像条件を事前に設定するため、撮像条件Cは撮像条件Bとは異なりうる。また、動作セットCでは、抵抗RGに対応する部分に検出ウィンドウDW2が設定され、スイッチSWに対応する部分に検出ウィンドウDW3が設定される。各動作セットにはそれぞれ異なる数の検出ウィンドウを設定可能である。画像検査装置は検出ウィンドウDW2とDW3の両方の検査を行い(図7のステップST3-2)、判定結果がOKの場合は、表示部4にOKを表示し、ディレイタイムCを待機し(図7のステップST3-3)、次の動作プログラムDに移行する。判定結果がNGの場合は、動作セットCを繰り返す。
【0052】
続いて、図6のステップST4で動作セットD、ここでは図5Dに示すスイッチSWの動作確認を実行する。画像検査装置は、動作セットDが実行されると、撮像条件Dで撮像を行う(図7のステップST4-1)。動作セットDでは、スイッチSWの動作不良を検出したり、作業員によるスイッチSWの動作確認漏れを防止するための検査設定がされ、スイッチSWに対応する部分に検出ウィンドウDW3内の画像の特徴量が抽出される。抽出された画像の特徴量が、スイッチSWが押された状態の特徴量と閾値以上乖離していた場合はNGとして判定する(図7のステップST4-2)。ここで閾値を段階的に設定しておくと、単なる動作確認漏れであれば、ステップST4の最初に戻ることとし、スイッチSWの動作不良であれば、検査NGとして検査フローを完了するように設定することができる。
【0053】
ステップST4で判定結果がOKの場合は、ディレイタイムDを待機後(図7のステップST4-3)、動作セットE、ここでは図5Eに示す蓋RDの取り付け確認を実行する(図6のステップST5)。動作セットEでは適切に組み立てられた基板CBがケースCSに収容され、蓋RDが閉じられている状態を検査するための工程である。ステップST4では蓋RDの上面に焦点を合わせるために、撮像条件A~Dとは異なる撮像条件Eで撮像を実行する(図7のステップST5-1)。そして、蓋RDに貼付されたラベルLBの文字を認識し、正しいラベルLBが貼付されているか否かを判定し(図7のステップST5-2)、正しいラベルLBが貼付されていると判定した場合は、検査を完了する。
【0054】
次に、画像検査プログラムを用いて動作セットを作成する様子を図8図10に基づいて説明する。図8は、一連の動作セットを設定する手順を案内する設定ナビ画面200を示している。ここでは設定すべき手順として、撮像条件の設定201、マスタ画像登録202、ツール設定203、出力割当204の4つの作業が順に示されている。ユーザは設定ナビ画面200で示される手順に従って設定を行うことで、設定作業をナビゲートされ、過不足なく設定を行える。
【0055】
撮像条件の設定201では、カメラ部14で検査用画像を生成する際の撮像条件として、撮像視野や画像の明るさ、ピント等を設定する。マスタ画像登録202では、画像検査を行う検査対象領域を設定するためのマスタ画像を登録する。検査対象領域は枠状のウィンドウとして設定される。また、運用時において撮像する検査用画像の明るさが変動する場合は、明るさが変動した画像も取得しておき、1品種目の登録画像とすることで、明るさの変動に対応することができる。
【0056】
ツール設定203では、登録済みのマスタ画像に対して、検査対象領域を設定すると共に、判定条件を設定する。判定条件は、検査部21が行う検査内容によって異なり、例えば良否判定を行う場合は、良否判定の基準となる良否判定基準を設定する。例えば画像から特徴量を抽出したニューラルネットワークの特徴量空間上に、ワークの良否判定を行うための良否判定境界を設定する。また検査内容が仕分け判定の場合は、仕分けられる品種を登録する。また仕分け判定を行う場合は、仕分けされる種別毎にワーク画像を準備し、ニューラルネットワークに入力して得られた各ワーク画像を特徴付ける複数の仕分け特徴量に基づいて、ニューラルネットワークの特徴量空間上にワークの分類を行うための仕分け境界を設定する。仕分け特徴量は、仕分けに有効となり得る画像のパラメータであり、仕分け先の種別に応じて設定される。例えばワークの色に応じて仕分ける場合は画像の色度や明度が有効となり、ワークの形状に応じて仕分ける場合は画像のエッジが有効となる。仕分け特徴量は、種別に応じて良否特徴量と共通することもある。そして仕分け特徴量に基づいて、ニューラルネットワークの特徴量空間上に、ワークの仕分けを行うための仕分け境界を設定する。
(出力割当204)
【0057】
出力割当204では、出力ポート毎に出力される内容を割り当てる。各出力ポートに割当可能な出力として、設定された品種の種別情報、良否判定の結果(OK又はNG)、運転、ビジー、エラー、出力なし等が挙げられる。このような割り当てられる出力の内容は、出力ポート毎にユーザが選択可能とできる。図9に、このような出力割当を行う出力割当画面210の例を示す。ここでは、良否判定の結果に応じた動作セットを規定する例を示している。また検査プログラムとして、PROGRAM000が実行されるものとする。この出力割当画面210は、良否判定の結果がOKの場合の動作を規定するOK時動作規定欄211と、良否判定の結果がNGの場合の動作を規定するNG時動作規定欄212を設けている。OK時動作規定欄211とNG時動作規定欄212はいずれも、初期設定では「現在のプログラム」が指定されている。すなわち、初期設定では良否判定の結果に拘わらず、検査プログラムは切り替えられない。
【0058】
また、良否判定のOKの場合とNGの場合で、それぞれ割り当てられる動作セットを、リスト化して選択できるよう構成してもよい。リスト化される動作セットは、動作記憶部19bに予め設定保存されている動作セットである。図9の例では、OK時動作規定欄211には「PROGRAM001:ボタンカクニン」が指定されている。ここでは良否判定の結果がOK、すなわち良品の場合は、検査プログラムがPROGRAM000からPROGRAM001に切り替えられ、さらにボタンの確認画面となる。一方でNG時動作規定欄212には「現在のプログラム」が指定されており、良否判定がNGの場合は検査プログラムは切り替えられず、PROGRAM000のままとなる。この状態でNG時動作規定欄212の右側に表示された▽のボタンを押下すると、図10に示すようにプルダウンメニューが表示され、候補となる検査プログラムの一覧がリスト状に表示される。ここでは検査プログラムの候補として、登録済みの検査プログラムPROGRAM000~PROGRAM011がプログラムリスト213に表示されている。ユーザは所望の検査プログラムを、プログラムリスト213中から選択して設定できる。なお登録済みの検査プログラムは、良否判定に用いるものと、仕分け判定に用いるものを区別してもよい。例えばプルダウンメニューで表示されるプログラムリストに、標準(良否判定)、「仕分け」等のラベルを付して表示させてもよい。また未設定の検査プログラムには「未設定」と表示させてもよい。
【0059】
さらに検査プログラムの選択に加えて、選択した検査プログラムの動作を規定してもよい。また検査プログラムの内容が判り易いように、名前を付けてもよい。例えば上述したOK時動作規定欄211の「PROGRAM001:ボタンカクニン」では、検査プログラムPROGRAM001で、選択するボタンを確認する画面を表示させる。また、選択した検査プログラムの、所定のボタンを押下する設定や、検査プログラムを所定の回数実行させる設定等を選択できるようにしてもよい。あるいは、例えば基板の組立工程においては、検査プログラムの選択と動作の例として、「プログラム000:基板設置確認」、「プログラム001:基板ボタン有無確認」、「プログラム002:基板ボタンA詳細確認」、「プログラム003:基板ボタンB詳細確認」等を設定してもよい。
【0060】
このようにして動作セットの設定を終えると、右下の「完了」ボタン214を押下して設定作業を終了し、動作セットの設定内容を記憶部19に保存する。また、複数の動作セットを登録して、運用時にはいずれの動作セットを実行させるかを選択するようにしてもよい。また、所定の動作セットを画像検査装置側で予め準備しておき、プリ設定された動作セットを運用時において選択するように構成してもよい。
【0061】
このようにして画像検査装置100に動作セットを設定し、運転時において画像検査装置100を動作させると、図11に示すように運転中画面220が表示部4に表示される。運転中画面220では、左側の画像表示領域221の下部に、自動切替設定表示欄223が設けられている。自動切替設定表示欄223では、設定された、あるいは選択された動作セットの内容が表示されている。ここでは現在実行中の検査プログラムとして「現在 プログラム_00」、また良否判定の結果がOKの場合の動作として「OK時 プログラム_01」、良否判定の結果がNGの場合の動作として「プログラム_02」が、それぞれ実行されることを示している。また自動切替設定表示欄223の左側には、登録済みのマスタ画像を表示させるマスタ画像表示欄224を設けている。さらに運転中画面220の右側に設けられた操作領域222には、しきい値調整欄225が設けられ、輪郭や色面積の強度を調整可能としている。
(自動プログラム切替)
【0062】
さらに、動作セットとして検査プログラムを切り替える設定を行った場合に、検査プログラムの切り替えが自動で行われるように設定することもできる。すなわち、検査プログラムの切り替えに際しては、ユーザに対し、検査プログラムの切り替えを行うように促したり、切り替えを実行するための確認ダイヤログ等を表示させてもよいし、このような作業を経ることなく自動で検査プログラムの切り替えを実行するようにしてもよい。図9図10等の出力割当画面210の例では、自動プログラム切替設定欄215を設けており、ここで自動プログラム切替の有効か無効かを選択することで、自動プログラム切替機能のON/OFFを切り替えることができる。
(ディレイ時間)
【0063】
また自動プログラム切替を行うにあたっては、検査プログラムの切り替えに際して一定の時間をおくディレイを設定することができる。また、このディレイ時間を調整可能としてもよい。特に、各検査プログラムの切り替えに際してディレイ時間を一律に調整する他、検査プログラムの切り替え毎に個別にディレイ時間を調整可能としてもよい。これにより、検査プログラムの切り替えを作業環境に応じて適切に設計できる。例えばセル生産の現場においては、工程の途中で動作確認や検品を行う必要がある。この場合において、組み立て中のワークをカメラ部で撮像して異常等がないかを目視で確認することが行われている。目視による確認の結果、異常なしと判断されると、次の工程に移ることができる。このような場面において、工程毎に異なる動作セットを割り当てることで、工程の切り替え時に、ユーザが手作業で撮像条件等を調整する手間を省力化できる。
【0064】
また、工程毎の切り替えのタイミングで、目視による確認作業を行った上で次の工程に移る際、予めディレイ時間を設定し、このディレイ時間の経過後に自動的に次の工程に対応した動作セットに切り替わるように設定しておけば、一々作業の一時停止や再開の指示を行わずとも、自動で次工程の作業環境に応じた動作セットに切り替えることができ、さらに省力化が図られる。
【0065】
その一方で、目視による確認を行う際に要する時間は、工程の種類やその時点での検査対象のワークの状態等によって左右される。例えばセル生産の現場においては、同じワークであっても、工程の初期段階であれば確認すべき事項が比較的単純であったり確認する箇所が少ない等の理由で、短時間で確認作業を終えることがある。その一方で、組立工程が進んでくると、ワークの構造が複雑となり、確認すべき項目が増え、チェック項目も細かくなってくることから、自ずと確認に要する時間も長くなる。このように、目視等の確認作業に要する時間は、場面毎に変化し、一律ではない。そこで、動作セットの自動切り替え時におけるディレイ時間を、個別に設定できるようにすることで、作業の状況等に応じた適切なディレイ時間を設定でき、自動切替の利便性が向上する。このように本実施形態に係る画像検査装置100においては、動作設定部22が、各動作セットに対して個別にディレイ時間を設定可能としている。
【0066】
ディレイ時間を設定する様子を、図12の出力割当画面230に基づいて説明する。ここでは、NG時動作規定欄212の下段に、ディレイ時間設定欄231を設けている。ディレイ時間設定欄231では、ディレイ時間を数値で入力することができる。なおディレイ時間は、自動プログラム切替を行わない場合は、設定できない。例えば図13の出力割当画面230に示すように、自動プログラム切替を無効にした場合は、ディレイ時間設定欄231はグレーアウトされて選択できないようにする。
(フロー図作成機能)
【0067】
また本実施形態に係る画像処理装置は、動作セットに従って実行される一連の動作を、フロー図として作成するフロー図作成機能を備えることもできる。図2の画像検査装置100は、プロセッサ部20がフロー作成部23の機能を実現する。フロー作成部23は、動作設定部22で設定された動作セットに従って実行される一連の動作を、フロー図として作成する。作成されたフロー図は、表示部4に表示させることができる。これにより、設定された動作セットに規定された一連の動作をフロー図として確認できるようにすることで、ユーザに対して視覚的に理解し易い環境が実現される。
【0068】
フロー作成部23が作成したフロー図の例を、図14に示す。ここでは、後処理としてワークの良否判定後に、OKかNGかに応じて自動で検査プログラムの切り替えを行う動作セットの例を示している。切替先の検査プログラムを選択させることにより、簡易的にフロー検査を実現できる。図14に示すフロー図は、ステップS1401において、検査プログラムPROG000を実行させる。次にステップS1402において、この検査プログラムPROG000の実行結果を判定する。ここでは良否判定の結果がNGの場合は、ステップS1401に戻って処理を繰り返す。一方、良否判定の結果がOKの場合は、ステップS1403に進み、検査プログラムPROG001に自動で切り替える。そしてステップS1404でこの検査プログラムPROG001を実行し、ステップS1405で検査プログラムPROG001の実行結果を判定する。ここで、良否判定の結果がOKの場合は、ステップS1406に進み、さらに別の検査プログラムPROG002に自動で切り替えて、ステップS1407でこの検査プログラムPROG002を実行する。そしてステップS1408において、検査プログラムPROG002の実行結果を判定する。ここで良否判定の結果がNGの場合の動作はステップS1407に戻って処理を繰り返す。一方、良否判定の結果がOKの場合は、ステップS1401に戻って上記の工程を繰り返す。
【0069】
また一方でステップS1405において、検査プログラムPROG001による良否判定の結果がNGの場合は、ステップS1409に進み、検査プログラムPROG003に自動で切り替え、ステップS1410でこの検査プログラムPROG003を実行し、ステップS1411で検査プログラムPROG003の実行結果を判定する。ここで良否判定の結果がNGの場合は、ステップS1410に戻って処理を繰り返す。一方、良否判定の結果がOKの場合は、ステップS1401に戻って上記の工程を繰り返す。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の画像検査装置、画像検査方法、画像検査プログラム及びコンピュータで読取可能な記録媒体並びに記録した機器は、検査対象物のワークを撮像した画像に基づいて検査対象物の良否判定や仕分けを行う用途等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0071】
100…画像検査装置
1…筐体
2…制御ユニット
3…撮像ユニット
4…表示部
5…パーソナルコンピュータ
6…操作部
11…LED
12…出力部;12a、12b、...12n…出力ポート
13…メイン基板
14…カメラ部
15…照明部
16…コネクタ基板
17…通信基板
18…電源基板
19…記憶部;19b…動作記憶部
20…プロセッサ部
21…検査部
22…動作設定部
23…フロー作成部
41…タッチパネル
51…キーボード
133…メモリ部
141…モータ
142…基板
151…ドライバ
161…電源インタフェース
181…モータドライバ
200…設定ナビ画面
201…撮像条件の設定
202…マスタ画像登録
203…ツール設定
204…出力割当
210…出力割当画面
211…OK時動作規定欄
212…NG時動作規定欄
213…プログラムリスト
214…「完了」ボタン
215…自動プログラム切替設定欄
220…運転中画面
221…画像表示領域
222…操作領域
223…自動切替設定表示欄
224…マスタ画像表示欄
225…しきい値調整欄
230…出力割当画面
231…ディレイ時間設定欄
CB…基板
CP…コンデンサ
RG…抵抗
SW…スイッチ
CS…ケース
RD…蓋
AM…アライメントマーク
DW、DW1、DW2、DW3、DW4…検出ウィンドウ
LB…ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14