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特開2022-164177化粧シート、化粧板及び化粧シートの製造方法
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  • 特開-化粧シート、化粧板及び化粧シートの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164177
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】化粧シート、化粧板及び化粧シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/06 20060101AFI20221020BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221020BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B41M3/06 Z
B32B27/00 E
B41J2/01 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069503
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】塩田 歩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 彩加
【テーマコード(参考)】
2C056
2H113
4F100
【Fターム(参考)】
2C056EC69
2C056HA44
2H113AA01
2H113AA04
2H113BB02
2H113BB06
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB10
2H113BB12
2H113BC01
2H113BC10
2H113CA05
2H113CA46
2H113DA04
2H113DA46
2H113DA47
2H113DA49
2H113DA57
2H113DA62
2H113DA63
2H113EA06
2H113FA04
2H113FA43
4F100AK15A
4F100AR00B
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100GB08
4F100HB31B
4F100JB14
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】 意匠性がより高い化粧シートを提供する。
【解決手段】 帯状のシート基材と、シート基材の一方の面側に配置され、シート基材の長手方向に沿って一定のピッチpで反復印刷された複数の印刷図柄8が並んでおり、隣接する印刷図柄8の境界9を跨いで図柄が連続している絵柄層6と、を備えるようにした。また、絵柄層6は、無版印刷層とし、印刷図柄8のピッチpを2500mm以上とした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシート基材と、
前記シート基材の一方の面側に配置され、前記シート基材の長手方向に沿って一定のピッチで反復印刷された複数の印刷図柄が並んでおり、隣接する前記印刷図柄の境界を跨いで図柄が連続している絵柄層と、を備え、
前記絵柄層は、無版印刷層であり、前記印刷図柄のピッチが2500mm以上である
化粧シート。
【請求項2】
前記無版印刷層は、インクジェット印刷層である
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化粧シートと、
前記化粧シートの前記シート基材側の面に設けられた基板と、
を備える化粧板。
【請求項4】
帯状のシート基材の一方の面側に、前記シート基材の長手方向に沿って一定のピッチで複数の印刷図柄を反復印刷して絵柄層を形成する化粧シートの製造方法であって、
前記印刷図柄の反復印刷を、前記ピッチが2500mm以上となり、互いに隣接する前記印刷図柄の境界を跨いで図柄が連続するように、無版印刷法によって行う
化粧シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シート、化粧板及び化粧シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材と、基材の一方の面側に配置された絵柄層とを有する化粧シートが提案されている(例えば特許文献1参照)。絵柄層の形成方法としては、一般的に、シリンダー版を回転させ、シリンダー版のセル内に充填したインキを転写することで、基材の一方の面に対して、一定のピッチで複数の印刷図柄を反復印刷するグラビア印刷法が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-080241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、グラビア印刷法を用いた場合、印刷図柄のピッチは、使用するシリンダー版の周長で決まる。そのため、例えば、化粧シートが壁や床等の大面積の部分に使用されると、同じ印刷図柄が何度も繰り返し現れることで、意匠性が単調となる可能性がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、意匠性がより高い化粧シート、化粧板及び化粧シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る化粧シートは、(a)帯状のシート基材と、(b)シート基材の一方の面側に配置され、シート基材の長手方向に沿って一定のピッチで反復印刷された複数の印刷図柄が並んでおり、隣接する印刷図柄の境界を跨いで図柄が連続している絵柄層と、を備え、(c)絵柄層は、無版印刷層であり、印刷図柄のピッチが2500mm以上である。
また、本発明の一態様に係る化粧板は、(a)上記の化粧シートと、(b)化粧シートのシート基材側の面に設けられた基板とを備えている。
【0006】
また、本発明の一態様に係る化粧シートの製造方法は、(a)帯状のシート基材の一方の面側に、シート基材の長手方向に沿って一定のピッチで複数の印刷図柄を反復印刷して絵柄層を形成する化粧シートの製造方法であって、(b)印刷図柄の反復印刷を、ピッチが2500mm以上となり、互いに隣接する印刷図柄の境界を跨いで図柄が連続するように、無版印刷法によって行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、意匠性がより高い化粧シート、化粧板及び化粧シートの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る化粧板の断面構成を示す図である。
図2】化粧板の平面構成を示す図である。
図3】無版印刷法による絵柄層の形成方法を示す図である。
図4】グラビア印刷法による絵柄層の形成方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る化粧シート、化粧板及び化粧シートの製造方法について、図面を参照しつつ説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた形態も、本発明の範囲に含まれる。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
【0010】
(構成)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧板1は、化粧シート2と、化粧シート2の裏面2b(化粧シート2のシート基材5側の面)に設けられた基板3とを備えている。化粧シート2と基板3との間には、接着剤層4が形成されている。接着剤層4の材料は、化粧シート2と基板3とを接着可能な接着剤であれば、どのような接着剤でもよい。例えば、反応系接着剤、溶液系接着剤、ホットメルト接着剤が挙げられる。
【0011】
(化粧シート)
化粧シート2は、シート基材5と、シート基材5の表面5a側(シート基材5の一方の面側)に形成された絵柄層6と、絵柄層6の表面6a側に形成された透明樹脂層7とを備えている。図1では、絵柄層6がシート基材5の表面5aと接し、透明樹脂層7が絵柄層6の表面6aと接する場合を例示している。なお、シート基材5と絵柄層6との間、絵柄層6と透明樹脂層7との間、絵柄層6の表面6a側には、他の層を設けてもよい。
【0012】
(シート基材)
シート基材5としては、帯状の基板を採用できる。例えば、紙、フィルム状の合成樹脂、フィルム状のゴム、不織布、金属箔が挙げられる。紙としては、例えば、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙が挙げられる。また、合成樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルが挙げられる。また、ゴムとしては、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンが挙げられる。また、不織布としては、例えば、有機系の不織布、無機系の不織布が挙げられる。また、金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、鉄箔、金箔、銀箔が挙げられる。シート基材5の厚みは、作業性やコストの点から20μm~250μmが好ましい。
【0013】
(絵柄層)
絵柄層6は、化粧板1や化粧シート2に意匠性を付与するための印刷層である。絵柄層6には、図2に示すように、シート基材5の長手方向に一定のピッチpで反復印刷された複数の印刷図柄8が並んでいる。印刷図柄8としては、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、或いはこれらの組み合わせを採用できる。図2では、複数の楕円柄からなる幾何学模様を用いた場合を例示している。また、印刷図柄8は、隣接する印刷図柄8の境界9で図柄が連続性を有するように、境界9付近の図柄が設定されている。図2では、図2内の上側に位置する印刷図柄8(「8a」とも記す)の下端部の楕円柄と、図2内の下側に位置する印刷図柄8(「8b」とも記す)の上端部の楕円柄とが境界9で途切れずに繋がって、楕円柄(図柄)を形成している場合を例示している。これにより、絵柄層6では、隣接する印刷図柄8の境界9を跨いで図柄が連続している。
印刷図柄8のピッチpは、2500mm以上が好ましい。また、3000mm以上がより好ましく、5000mm以上がさらに好ましい。これにより、例えば、化粧板1や化粧シート2を壁や床等の大面積の部分に使用した場合にも、同じ印刷図柄8が何度も繰り返し現れることを抑制でき、意匠性の単調性を抑制でき、意匠性を向上することができる。
【0014】
また、絵柄層6の形成方法としては、例えば、無版印刷法を採用できる。無版印刷法としては、例えば、インクジェット方式、電子写真方式が挙げられる。即ち、絵柄層6は、インクジェット方式によって形成された無版印刷層(インクジェット印刷層)としてもよいし、電子写真方式によって形成された無版印刷層(電子写真印刷層)としてもよい。
【0015】
インクジェット方式は、図3に示すように、シート基材5の搬送方向に対して直交する方向に、印刷ヘッド10を走査しながらインキを吐出して印刷を行い、その走査が終了すると、隙間が生じないように搬送方向に一段順送りした後、再び走査しながら印刷を行うことを繰り返す方式である。また、インクジェット方式による印刷図柄8の反復印刷では、ピッチpが2500mm以上となり、互いに隣接する印刷図柄8の境界9を跨いで図柄が連続するように、印刷図柄8の原画像に加工を行い、加工後の原画像を基に、印刷ヘッド10の制御を行う。これにより、印刷ヘッド10を動作させて、インクジェット方式(無版印刷法)によって、ピッチpが2500mm以上であり、互いに隣接する印刷図柄8の境界9を跨いで図柄が連続した絵柄層6が得られる。即ち、本実施形態では、印刷図柄8の反復印刷を、ピッチpが2500mm以上となり、互いに隣接する印刷図柄8の境界9を跨いで図柄が連続するように、インクジェット方式(無版印刷法)によって行う、とも言える。インキは、シート基材5に印刷可能なインキであれば、どのようなインキでもよい。例えば、紫外線硬化型インキ、水性インキが挙げられる。特に、紫外線硬化型インキは、水性インキと比較して、乾燥機等の大規模な設備が不要となり、また、塗布直後の紫外線照射で硬化可能であるため、製造工程の簡易化、製造時間の短縮等が可能となる。
【0016】
(透明樹脂層)
透明樹脂層7は、絵柄層6を保護して良好な表面物性を付与するための樹脂層である。透明樹脂層7の材料としては、例えば、少なくとも絵柄層6を透視可能な程度の透明性を有する樹脂を採用できる。例えば、塩化ビニルフィルム、ポリオレフィンフィルムを採用できる。ポリオレフィンフィルムの材料(ポリオレフィン系樹脂)としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂が挙げられる。一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、即ち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。
【0017】
(基板)
基板3としては、板状の部材を採用できる。例えば、木質基板、繊維質基板、無機質基板、金属基板、合成樹脂基板、或いはこれらの組み合わせ(複合体、積層体)が挙げられる。木質基板としては、例えば、木材単板、合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板が挙げられる。また、繊維質基板としては、例えば、板紙、織布、不織布、樹脂含浸紙、樹脂含浸布が挙げられる。また、無機質基板としては、例えば、石膏ボード、スレート板、珪酸カルシウム板、スラグ石膏板、木毛セメント板、スラグセメント板、軽量気泡コンクリート板、ガラス繊維強化コンクリート板が挙げられる。また、金属基板としては、例えば、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラルミン板、ステンレス板が挙げられる。また、合成樹脂基板としては、アクリル樹脂板、スチロール樹脂板、ABS樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、ナイロン樹脂板、ポリスチレン樹脂板、ポリプロピレン樹脂板、ポリエステル樹脂板、ガラス繊維強化プラスチック板が挙げられる。
【0018】
ここで、例えば、図4に示すように、グラビア印刷法によって絵柄層6を形成した従来の化粧シート2では、印刷図柄8のピッチpは、使用するシリンダー版11の周長で決まる。そのため、例えば、化粧シート2が壁や床等の大面積の部分に使用されると、同じ印刷図柄8が何度も繰り返し現れることで、意匠性が単調となる可能性がある。また、例えば、ピッチpが長い印刷図柄8を印刷するために、周長の大きいシリンダー版11を用いると、生産効率やシリンダー管理等、様々な部分で不都合が生じる可能性がある。シリンダー版11としては、印刷図柄8のピッチpが1250mmであるものが殆どである。
【0019】
これに対し、本実施形態に係る化粧シート2及び化粧板1では、絵柄層6を無版印刷層、つまり、無版印刷法によって形成された印刷層としたため、シリンダー版11が必要なく、ピッチpが長い印刷図柄8(ロングリピート柄)を形成できる。それゆえ、印刷図柄8を2500mm以上とすることができ、例えば、化粧シート2が壁や床等の大面積の部分に使用された場合に、同じ印刷図柄8が繰り返し現れる回数を低減でき、意匠性を向上できる。これにより、意匠性がより高い化粧シート2及び化粧板1を提供できる。
また、例えば、グラビア印刷法によって絵柄層6を形成した従来の化粧シート2では再現できない、長尺の柄や複数の柄を組み合わせた大きな一枚絵を構築することもできる。
【実施例0020】
以下に、本発明の実施形態に係る化粧シート2の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、シート基材5として、PVCフィルム(バンドー化学(株) ビニバン)を用意した。続いて、シート基材5の一方の面(表面5a)に、インクジェット方式によって印刷図柄8を反復印刷して、絵柄層6を形成した。印刷図柄8のピッチpは、2500mmとした。また、印刷図柄8の反復印刷では、互いに隣接する印刷図柄8の境界を跨いで図柄が連続するように、印刷ヘッド10の制御に用いられる原画像に加工を行った(以下、「天地処理」とも呼ぶ)。インキとしては、UVインキ((株)ミマキエンジニアリング)を用いた。続いて、絵柄層6の表面6aに透明塩ビフィルムを熱圧着させて、透明樹脂層7を形成した。このような手順により、塩ビ床シート(化粧シート2)を作製した。
(実施例2)
実施例2では、印刷図柄8のピッチpを3000mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
【0021】
(比較例1)
比較例1では、印刷図柄8のピッチpを1250mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
(比較例2)
比較例2では、印刷図柄8のピッチpを625mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
【0022】
(比較例3)
比較例3では、印刷図柄8の天地処理を省略した。即ち、印刷図柄8の反復印刷では、印刷ヘッド10の制御に用いられる原画像への加工を行わなかった。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
(比較例4)
比較例4では、印刷図柄8の天地処理を省略した。また、印刷図柄8のピッチpを3000mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
【0023】
(比較例5)
比較例5では、印刷図柄8の天地処理を省略した。また、印刷図柄8のピッチpを1250mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
(比較例6)
比較例6では、印刷図柄8の天地処理を省略した。また、印刷図柄8のピッチpを625mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
【0024】
(比較例7)
比較例7では、印刷図柄8の反復印刷をグラビア印刷法で行い、それ以外は実施例1と同じ条件として、化粧シート2の作成を試みた。しかしながら、シリンダー版11の製造用の金属ロール(シリンダー)は周長1250mmのものが殆どで、周長2500mmのシリンダーの入手が容易ではなく、比較例7の化粧シート2は作製できなかった。
【0025】
(比較例8)
比較例8では、印刷図柄8の反復印刷をグラビア印刷法で行うようにした。また、印刷図柄8のピッチpを1250mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
(比較例9)
比較例9では、印刷図柄8の反復印刷をグラビア印刷法で行うようにした。また、印刷図柄8のピッチpを625mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
【0026】
(比較例10)
比較例10では、印刷図柄8の反復印刷をグラビア印刷法で行い、印刷図柄8の天地処理を省略し、それ以外は実施例1と同じ条件として、化粧シート2の作成を試みた。しかしながら、周長2500mmのシリンダー(シリンダー版11の製造用の金属ロール)の入手が容易ではなく、比較例11の化粧シート2は作製できなかった。
【0027】
(比較例11)
比較例11では、印刷図柄8の反復印刷をグラビア印刷法で行うようにした。また、印刷図柄8の天地処理を省略した。また、印刷図柄8のピッチpを1250mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
(比較例12)
比較例12では、印刷図柄8の反復印刷をグラビア印刷法で行うようにした。また、印刷図柄8の天地処理を省略した。また、印刷図柄8のピッチpを625mmとした。それ以外は、実施例1と同じ条件で化粧シート2を作製した。
【0028】
(意匠性の評価)
実施例1、2、比較例1~12の化粧シート2に対して、意匠性の性能評価を行った。意匠性の評価では、意匠性が「優」である場合を「◎」、意匠性が「良」である場合を「○」、意匠性が「可」である場合を「△」、意匠性が「不可」である場合を「×」とした。
(評価結果)
意匠性の評価結果を表1に示す。
【表1】
【0029】
表1に示すように、実施例1、2の化粧シート2では、印刷図柄8のピッチp(2500mm、3000mm)が大きいため、同じ柄の繰り返し頻度が低く、意匠性の評価結果は、優「◎」となった。また、比較例1、8の化粧シート2は、実施例1、2の化粧シート2よりもピッチp(1250mm)が小さいため、実施例1、2の化粧シート2よりも同じ柄の繰り返し頻度が高く、また、そのピッチpが現在広く用いられているピッチと同一であるため、意匠性の評価結果は、良「○」(十分に実用的であるが、優「○」よりも劣る)となった。また、比較例2、9の化粧シート2では、印刷図柄8のピッチp(625mm)が1250mmよりも小さいため、同じ柄の繰り返し頻度が高く、意匠性の評価結果は、可「△」となった。また、比較例3~6、11、12の化粧シート2では、印刷図柄8の天地処理を行わないため、隣接する印刷図柄8の境界9で図柄が途切れ、意匠性は、不可「×」となった。なお、比較例7、10では、周長2500mmのシリンダー(シリンダー版11の製造用の金属ロール)を入手できず、評価不能「-」となった。
したがって、実施例1、2の化粧シート2は、比較例1~12の化粧シート2に比べ、意匠性に優れることが確認できた。
【符号の説明】
【0030】
1‥・化粧板、2‥・化粧シート、3‥・基板、4‥・接着剤層、5‥・シート基材、6‥・絵柄層、7‥・透明樹脂層、8‥・印刷図柄、9‥・境界、10‥・印刷ヘッド、11‥・シリンダー版
図1
図2
図3
図4