(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164215
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】揃え装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/40 20060101AFI20221020BHJP
B65H 31/30 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B65H31/40
B65H31/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069559
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】萬 秀紀
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054BA11
3F054BH14
3F054BH17
3F054BH28
3F054BJ04
3F054BJ09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シートを短時間で揃えることが可能な揃え装置を提供する。
【解決手段】揃え装置100は、複数のシートを収容する収容部2と、収容部2を振動させる振動部と、収容部2に設けられた排出口28から排出され、自重により下方に移動したシートを受け止める受部8とを備え、シートは、長辺と短辺とを有する矩形状に形成され、排出口28の幅は、長辺より短く、短辺より長く設定され、排出口28から排出されたシートを受部8へ向けて搬送する搬送部材59が設置され、また、前記構成において、収容部2と受部8との間の搬送路10に、搬送部材59によるシートの搬送順序を調整する調整部7を設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートを収容する収容部と、
前記収容部を振動させる振動部と、
前記収容部に設けられた排出口から排出され、自重により下方に移動した前記シートを受け止める受部とを備え、
前記シートは、長辺と短辺とを有する矩形状に形成され、
前記排出口の幅は、前記長辺より短く、前記短辺より長く設定され、
前記排出口から排出された前記シートを前記受部へ向けて搬送する搬送部材が設置された揃え装置。
【請求項2】
前記収容部と前記受部との間の搬送路に、前記搬送部材による前記シートの搬送順序を調整する調整部を設けた請求項1に記載の揃え装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記シートの下縁辺に接触し、該シートの搬送時の姿勢を変更させる姿勢変更部を備えた請求項1または請求項2に記載の揃え装置。
【請求項4】
前記調整部は、積層されつつ搬送される複数の前記シートのうち、前記搬送部材に接触していない非接触シートを下方より支持する支持部を備えた請求項2または請求項3に記載の揃え装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記非接触シートの前記下縁辺のうちの一部を支持する請求項4に記載の揃え装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記シートの前記下縁辺の中央部から所定範囲内で該シートを支持する請求項4または請求項5に記載の揃え装置。
【請求項7】
前記搬送部材による前記シートの搬送面の直交方向に複数の前記シートが積層されつつ搬送される場合に、前記支持部は、複数の前記非接触シートを、前記搬送部材との距離が短い前記非接触シートを、前記距離が長い前記非接触シートより低い位置で支持する請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の揃え装置。
【請求項8】
前記搬送部材は、搬送方向下流側の方が上流側より前記シートを速い速度で搬送する請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の揃え装置。
【請求項9】
前記搬送部材は、前記シートの前記下縁辺に沿った方向で該シートの中央部から所定範囲内で該シートに接触する請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の揃え装置。
【請求項10】
前記収容部は、前記長辺又は前記短辺のいずれかと、前記シートの他の部分とを同時に支持する一対の支持面が設けられ、
前記一対の支持面によって形成される角度が90度未満に設定される請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の揃え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揃え装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートを揃える装置について、下記特許文献1には、シートの直交する短辺と長辺とをそれぞれが2つの斜面部材に当接させ、縁辺が揃ったシート束とする技術が開示されている。そして、シートの短辺と長辺とのそれぞれの縁辺を、斜面部材に当接させたままで、斜面部材を傾斜位置から平行位置へ駆動することによって、シート束を揃えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献1では、振動によりシートの縁辺を斜面部材に当接させたのち、斜面部材を傾斜位置から平行位置へ移動させ、その後、短辺と長辺とが揃ったシート束を自重で受部へ落下させる。このため、所定時間が必要となる。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、シートを短時間で揃えることが可能な揃え装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる揃え装置は、複数のシートを収容する収容部と、前記収容部を振動させる振動部と、前記収容部に設けられた排出口から排出され、自重により下方に移動した前記シートを受け止める受部とを備え、前記シートは、長辺と短辺とを有する矩形状に形成され、前記排出口の幅は、前記長辺より短く、前記短辺より長く設定され、前記排出口から排出された前記シートを前記受部へ向けて搬送する搬送部材が設置された。
【0007】
また、前記構成において、前記収容部と前記受部との間の搬送路に、前記搬送部材による前記シートの搬送順序を調整する調整部を設けた。
【0008】
更に、前記構成において、前記調整部は、前記シートの下縁辺に接触し、該シートの搬送時の姿勢を変更させる姿勢変更部を備えた。
【0009】
更に、前記各構成において、前記調整部は、積層されつつ搬送される複数の前記シートのうち、前記搬送部材に接触していない非接触シートを下方より支持する支持部を備えた。
【0010】
更に、前記各構成において、前記支持部は、前記非接触シートの前記下縁辺のうちの一部を支持する
【0011】
また、前記構成において、前記支持部は、前記シートの前記下縁辺の中央部から所定範囲内で該シートを支持する。
【0012】
そして、前記各構成において、前記搬送部材による前記シートの搬送面の直交方向に複数の前記シートが積層されつつ搬送される場合に、前記支持部は、複数の前記非接触シートを、前記搬送部材との距離が短い前記非接触シートを、前記距離が長い前記非接触シートより低い位置で支持する。
【0013】
更に、前記各構成において、前記搬送部材は、搬送方向下流側の方が上流側より前記シートを速い速度で搬送する。
【0014】
更に、前記各構成において、前記搬送部材は、前記シートの前記下縁辺に沿った方向で該シートの中央部から所定範囲内で該シートに接触する。
【0015】
更に、前記各構成において、前記収容部は、前記長辺又は前記短辺のいずれかと、前記シートの他の部分とを同時に支持する一対の支持面が設けられ、前記一対の支持面によって形成される角度が90度未満に設定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる収容装置によれば、前記排出口から排出された前記シートを前記受部へ向けて搬送する搬送部材が設置されたので、搬送部材によって、シートを受部へ向けて搬送することができ、短時間でシートを揃えることができる。
【0017】
また、前記収容部と前記受部との間の搬送路に、前記搬送部材による前記シートの搬送順序を調整する調整部を設けた場合は、搬送部材によるシートの搬送中に、調整部によってシートの搬送順序を調整することができる。
【0018】
そして、前記調整部は、前記シートの下縁辺に接触し、該シートの搬送時の姿勢を変更させる姿勢変更部を備えた場合は、シートの姿勢を搬送路の途中で変更しつつ、搬送部材によって下流側へシートを搬送することができ、搬送路の途中で複数のシートが滞留し詰まるのを抑制できる。
【0019】
更に、前記調整部は、積層されつつ搬送される複数の前記シートのうち、前記搬送部材に接触していない非接触シートを下方より支持する支持部を備えた場合は、搬送部材に接触するシートを優先的に搬送しつつ、搬送部材に非接触のシートは後回しとして待機させることができる。
【0020】
更に、前記支持部は、前記非接触シートの前記下縁辺のうちの一部を支持する場合は、非接触シートは、容易にバランスを失って搬送路の途中で傾倒されつつ、シートが順次下方へと搬送され、移動するので、搬送路の途中でジャムを生じるのを抑制できる。
【0021】
更に、前記支持部は、前記シートの前記下縁辺の中央部から所定範囲内で該シートを支持する場合は、シートが水平姿勢を比較的維持したまま幾分傾倒するので、シートの斜行を抑制できる。
【0022】
また、前記搬送部材による前記シートの搬送面の直交方向に複数の前記シートが積層されつつ搬送される場合に、前記支持部は、複数の前記非接触シートを、前記搬送部材との距離が短い前記非接触シートを、前記距離が長い前記非接触シートより低い位置で支持する場合は、搬送部材との距離が短い非接触シートから順次搬送する際に、より適切にシートを搬送することができる。
【0023】
そして、前記搬送部材は、搬送方向下流側の方が上流側より前記シートを速い速度で搬送する場合は、先行するシートが後続のシートと衝突するのを回避しつつ、適正に搬送できる。
【0024】
さらに、前記搬送部材は、前記シートの前記下縁辺に沿った方向で該シートの中央部から所定範囲内で該シートに接触する場合は、斜行することなくシートを適切に搬送できる。
【0025】
更に、前記収容部は、前記長辺又は前記短辺のいずれかと、前記シートの他の部分とを同時に支持する一対の支持面が設けられ、前記一対の支持面によって形成される角度が90度未満に設定される場合は、一対の支持面で、それぞれ長辺と短辺とを同時に支持することが困難な不安定な状態となる。よって、振動部の振動によって容易にシートの姿勢を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る揃え装置の斜視図である。
【
図5】前記揃え装置の背板を外した状態の背面図である。
【
図8】前記揃え装置の筐体から収容部を取り外した状態を示す。
【
図10】
図7におけるC-C線矢視拡大断面である。
【
図11】
図7の調整部及びその周辺の拡大縦断面図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態係る揃え装置の正面図である。
【
図13】前記揃え装置の調整部の拡大横断面図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態に係る揃え装置の正面図である。
【
図15】前記揃え装置の調整部の拡大横断面図である。
【
図16】前記揃え装置の調整部の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る揃え装置100の斜視図である。
図2は前記揃え装置100の正面図、
図3は前記揃え装置100の平面図、
図4は、前記揃え装置100の左側面図である。揃え装置100は、例えば投票用紙等のシートを揃えるための装置である。本第1の実施形態では、揃え装置100によって揃える対象であるシートSは、長辺Hと短辺Jとを有する矩形状のものである。
【0028】
図1~
図4において、揃え装置100は本体1、収容部2、振動部3、搬送部5、調整部7及び受部8を備える。
本体1は、三角柱状に形成される。本体1は、筐体11及び支持板12を備える。筐体11は、前板13、左右一対の側板14、底板15及び背板16を備える。前板13は、底板15の前端に立設されている。
【0029】
前板13は、上部が奥側に、下部が手前側に位置するよう仰角に傾斜設置される。前板13の水平面に対する傾斜角度αは、25度~89度とすることができ、好ましくは30度~85度、より好ましくは60度~80度とすることができる。前板13の前方中央部分には、上から順に、収容部2、搬送部5のローラ50の一部、受部8が設置される。また、前板13の下部の
図1,2における右側には表示部を兼ねた操作部41が設置される。
【0030】
前板13は長手方向ほぼ中央部で上下に分割されている。前板13の上部は上板131により構成される。前板13の下部は下板132により構成される。収容部2及び振動部3は、上板131に取り付けられる。一方、搬送部5、調整部7及び受部8は、下板132に取り付けられる。
【0031】
上板131と下板132との接続部分には、突出部134が設けられる。突出部134は、上板131の下端及び下板132の上端に設けられる。突出部134は、左右の幅方向Wの長さTが所定値を有する矩形状に形成される。突出部134は、上方及び下方に交互に繰り返しジグザグ状に突出して形成される。
【0032】
突出部134の左右の幅方向Wの長さTは、シートSの短辺Jの長さKより短く設置される。これより、シートSは、突出部134から筐体11内部へ入り込みにくくなる。そして、シートSが投票用紙などの場合に、該シートSが揃え装置100によって整列される際に、筐体11の内部へ入ってしまい、得票数として計数されないといった事態を回避可能である。
【0033】
一対の側板14は、底板15の左右両側端に立設されている。側板14は側面視直角三角形状に形成される。背板16は、底板15の後端に立設されている。背板16の上端は前板13の上端に接続される。底板15の下面には、複数の脚部18が取り付けられている。
【0034】
支持板12は筐体11の内方に設置される。
図5は、背板16を外した状態の揃え装置100の背面図である。支持板12は、筐体11とほぼ同じ形状で該筐体11より小さい略三角柱状に形成される。支持板12は、右支持板123、左支持板125及びこれらを接続する中央支持板124を備える。中央支持板124は、前板13の後方で、該前板13に沿って設置される。中央支持板124は、前板13より左右の幅方向Wの長さが短い。中央支持板124と前板13とは、左右の幅方向W中央部が一致される。支持板12は、振動部3及び搬送部5を支持する。
【0035】
支持板12は、搬送部5の第1-3ローラ51-53を回転自在に支持している。搬送部5の第1-3ローラ51-53が摩耗したときなど、第1-3ローラ51-53を交換する必要が生じたときには、下板132を支持板12に固定している螺子17を緩めることで、容易に下板132を支持板12から外すことができる。そして、第1-3ローラ51-53を交換可能である。このとき、上板131及び上板131に設置された収容部2及び振動部3を支持板12から取り外す必要はなく、設置したままとすることができる。よって、容易に第1-3ローラ51-53を交換することができ、メンテナンスしやすい。
【0036】
収容部2は、複数のシートSを収容する。収容部2は、正面視五角形状に形成される。
収容部2は、背面部21、左右一対の傾斜部22及び前面部23を備える。背面部21、傾斜部22及び前面部23は一体に構成され、一枚の金属製薄板が所定箇所で適宜略直角に折り曲げられ形成される。収容部2の前部は開放されている。
【0037】
背面部21は前板13に沿って設置される。よって背面部21は前板13と同様に、水平面に対して25度~89度とすることができ、好ましくは30度~85度、より好ましくは60度~80度程度仰角に傾斜している。背面部21は、シートSを後方から支承する。
【0038】
傾斜部22はシート13を側方及び下方より支承する。傾斜部22は、背面部21の上下方向中央部及び下部の左右両側方の傾斜した部分にそれぞれ前方に向けて立設される。左右一対の傾斜部22の水平方向の長さは、下方へ進むほど短くなる。傾斜部22には、シートSの長辺H又は短辺Jのいずれかと、シートSの他の部分とを同時に支持する一対の支持面25が設けられる。一対の支持面25によって形成される角度βは、90度未満に設定されている。 一対の傾斜部22の支持面25により形成される角度βは、好ましくは50度~89度、より好ましくは60度~85度に設定される。
【0039】
これより、4つの角が90度に形成されたシートSを保持部27で保持するとき、長辺Hと短辺Jとを一対の支持面25でそれぞれ同時に支持することは困難となる。シートSは保持部27内で安定せず、停止した状態とならない。振動部3の振動によって容易にシートSの姿勢が変更される。支持面25に短辺Jが沿った状態であっても、容易に支持面25に長辺Hが沿った状態へと姿勢を変更可能である。
【0040】
前面部23は、シートSを前方より支承する。前面部23は、傾斜部22の前端縁に接続される。前面部23は、傾斜部22とほぼ同じ形状に形成される。前面部23は、背面部21から傾斜部22の長さだけ離間して該背面部21とほぼ平行に設置される。
【0041】
背面部21の上部にシートの投入部26が形成される。背面部21の下部と、傾斜部22と、前面部23とで囲まれる空間によって、シートSの保持部27が形成される。収容部2の下端部は開放され、シートSの排出口28が形成される。
【0042】
排出口28において、シートSは下方の搬送路10へ向けて排出される。排出口の幅Pは、シートSの長辺Hより短く、短辺Jより長く設定される。これより、
図6(a)に示すように、シートSは、短辺Jが支持面25に沿っている場合、排出口28を通過することが困難となる。シートSの姿勢が変更され、同図(b)に示すように、長辺Hが支持面25に沿っていると、その後の振動部3の振動によって同図(c)に示すように、該シートSは排出口28を通過できるようになる。
【0043】
収容部2は必要により図示しないカバーを備えてもよい。カバーを設置することで、投入されたシートSが収容部2から零れ落ちることを抑制することができる。カバーは、シートSの処理状況を視認できるように、例えば樹脂等の透明又は半透明な素材によって構成することができる。
【0044】
振動部3は、収容部2を振動させる。
図7は、
図2のA-A線矢視断面図である。振動部3は、駆動部31、振動連結部38、偏心カム34、フォロアー36、摺動部37及びガイド39を備える。振動連結部38は、変速ギア32、ベルト33、偏心軸35を備える。駆動部31、ベルト33、変速ギア32は、中央支持板124の後方に設置される。駆動部31及び偏心軸35は補助支持部42を介して中央支持板124によって支持される。
【0045】
偏心軸35の前部、偏心カム34、フォロアー36、摺動部37及びガイド39は、前板13と背面部21との間に設置される。偏心カム34は前板13を介して後方の支持板12に回転自在に軸支される。偏心カム34は、駆動部31の駆動による変速ギア32の回転に伴って回転される。
【0046】
図8は、筐体11から収容部2を取り外した状態を示す。フォロアー36及び摺動部37は、背面部21の後面に固定される。フォロアー36は、偏心カム34の左右両側方で、該偏心カム34の周面に摺接するように左右一対設置される。一対のフォロアー36は、偏心カム34の直径の長さだけ離間して対向配置される。
図8では、フォロアー36が角材により構成される場合を示す。偏心カム34及びフォロアー36は、いずれも合成樹脂等により形成することができる。
【0047】
摺動部37は、側方よりガイド39に挿通される。摺動部37は、ガイド39によって摺動自在に支持される。ガイド39は、前板13に固定される。ガイド39は、偏心カム34の上下両側に所定長さで延在する。ガイド39の内方に摺動部37が挿通される。ガイド39は、該摺動部37を摺動自在に支持する。
【0048】
駆動部31の駆動により、ベルト33、変速ギア32及び偏心軸35を介して偏心カム34が回転すると、該偏心カム34の周面に当接するフォロアー36が左右に移動される。フォロアー36の移動に伴って、収容部2は左右の幅方向Wに沿って往復移動される。
【0049】
振動部3は、駆動部31の駆動量を図示しない制御装置で制御することによって、所定値以上の回転速度で偏心カム34を回転する。そして、収容部2を、摺動部37の左右の幅方向Wの長さより短い所定長さだけ、左右の幅方向Wへ移動させることによって、収容部2を振動させる。
【0050】
搬送部5は、排出口28から排出されたシートSを受部8へ向けて搬送する搬送部材59を備える。搬送部材59は、4つのローラ50、即ち第1―4ローラ51―54により構成される。搬送部材59は、シートSの下縁辺に沿った方向で該シートSの中央部から所定範囲内で該シートSに接触する。第1―4ローラ51―54はいずれもシートSの下縁辺に沿った幅方向Wで、該シートSの中央部に接触する位置に設置される。第1―4ローラ51―54は、シートSの下縁辺に沿った幅方向Wの長さが、シートSの短辺Jの長さより短く形成される。
【0051】
これより、第1―4ローラ51―54は、一方の短辺Jを先頭として搬送されるシートSの幅方向W中央部に接触し、シートSを搬送する。
【0052】
第1―4ローラ51―54は、縦方向に並設される。最上位に第1ローラ51が、中位に第2ローラ52が、最下位に第3ローラ53が設置される。第1、2,3ローラ51、52、53の回転軸511、521,531はいずれも左支持板125に回転自在に軸支される。
【0053】
図7に示すように、第4ローラ54は、第3ローラ53の設置位置とほぼ同じ高さに設置される。第4ローラ54は、第3ローラ53に対してシートSの搬送面Qを介して対向配置される。第4ローラ54の回転軸541は、下板132に設置されたローラ支持部542によって回転自在に軸支される。第4ローラ54は、弾性部材47によって、第3ローラ53に向けて付勢されている。第4ローラ54は、第3ローラ53の回転に伴って従動回転される。
【0054】
図9は、
図2におけるB-B線矢視断面図である。搬送部5は、第1駆動部55及び第2駆動部56と、第1連結部57及び第2連結部58とを備える。第1ローラ51及び第2ローラ52は、第1連結部57によって第1駆動部55に連結される。第3ローラ53は第2連結部58によって第2駆動部56に連結される。第1、2駆動部55、56は、左支持板125に設置される。
【0055】
搬送部材59は、シートSの搬送方向F下流側の方が上流側よりシートSを速い速度で搬送する。よって、第3ローラ53の方が第2ローラ52より速い速度でシートSを搬送するよう図示しない制御装置によって制御される。これより、先行するシートが後続のシートと衝突するのを回避し、適正に搬送できる。
【0056】
シートSの搬送路10の左右両側に、案内部材63が設置される。案内部材63は、シートSの左右側方に接触し、シートSを受部8へと案内する。案内部材63は、下板132から前方へ向けて立設される立設部633を備える。立接部633の後方端縁は、下板132に固定されている。一対の案内部材63の間の長さは、シートSの長辺Hの長さIより短く、短辺Jの長さKより長く設定されている。
【0057】
案内部材63は、第1案内部材631及び第2案内部材632を備える。第1案内部材631は、収容部2の下部から第2ローラ52設置位置までの搬送路10の左右両側に設置される。第2案内部材632は、第1案内部材631の下方に設置され、第2ローラ52設置位置からローラ支持部543までの搬送路10の左右両側に設置される。左右一対の案内部材63の間の距離は、シートSの長辺Hより短く、短辺Jより長くなっている。第1案内部材631及び第2案内部材632ともに、搬送方向F下流側に進むにつれて次第に、左右の幅方向Wの長さが短く形成される。
【0058】
調整部7は、収容部2と受部8との間の搬送路10に設けられる。調整部7は、搬送部材59によるシートSの搬送順序を調整する。調整部7は、シートSを搬送路10の途中で適宜一時的に減速させ、所定位置に保留する。調整部7は、第1調整部71及び第2調整部72を備える。第1調整部71は、第2ローラ52の前方に設置される。第2調整部72は、第4ローラ54の上方に設置される。
図10は、
図7におけるC-C線矢視拡大断面である。第1調整部71及び第2調整部72と、下板132との間には、それぞれシートSが通過するため所定長さU,Vの通過口75、76が形成されている。
【0059】
第1調整部71は、所定長さの矩形薄板状部材88がアーチ状に湾曲され、搬送路10の幅方向Wにわたって設置される。第1調整部71の左右両端部は、第1案内部材631に固定される。第1調整部71は、左右の幅方向W中央部が最も高い位置に、第1案内部材631に固定された左右両端部が最も低い位置となるよう設置される。
【0060】
図11は、
図7の調整部7及びその周辺の拡大断面図である。第1調整部71の左右の幅方向W中央部の断面Dと、調整部7設置位置よりシートSの搬送方向F上流側となる下板132の上部とのなす角度θ1は、90度以下に設定される。
図11において右側に示す第1調整部71の前端部711は、左側に示す第1調整部71の後端部712よりシートSの搬送方向Fで上流側に位置することとなる。第1調整部71は、シートSの搬送方向F上流側となる前端部711より、下流側となる後端部712の方がシートSの搬送面Qにより近接するよう傾斜して配置されている。さらに、第1調整部71の幅方向W中央部の断面Dは、水平面とのなす角度がθ2となっており、シートSの通過口75に向けて下り勾配に傾斜している。
【0061】
支持部78は、搬送部材59の搬送面Qの直交方向Gに複数のシートSが積層されつつ搬送される場合に、複数の非接触シートNを、搬送部材59との距離が短い前記非接触シートNを搬送部材59との距離が長い非接触シートNより低い位置で支持する。よって、前後に積層されるシートSは、前方に位置するシートSが、第1調整部71上面に下端辺を支持されつつ自重及び振動部3の振動によって徐々に後方へと移動する。そして、搬送部材59設置位置に至る。
【0062】
調整部7は、シートSの下縁辺に接触し、該シートSの搬送時の姿勢を変更させる姿勢変更部74を備える。第1調整部71は、姿勢変更部74を構成する。第1調整部71は、前板13に接触しつつ下方へと搬送路10を進んできたシートSの先頭部分である下端辺の一部に接触し、該一部を下方より支持する。
【0063】
本第1の実施形態では、第1調整部71は、左右の幅方向W中央部が最も高い位置となるよう設置されているので、姿勢変更部74は、前板13に接触しつつ下方へと搬送路10を進んできたシートSの下端辺の幅方向W中央部に接触し、これを支持する。シートSの下端辺の中央部以外の部分は第1調整部71に接触せず支持されない状態となる。そして、振動部3の振動によりシートSは左右の幅方向Wのバランスを失って、姿勢変更部74設置位置で左方又は右方のいずれかに所定量傾倒される。
【0064】
本第1の実施形態では、姿勢変更部74は、湾曲部77を備える。湾曲部77は、薄板状部材全体が湾曲されているために、第1調整部71全体によって構成されるが、一部であってもよい。
【0065】
調整部7は、積層されつつ搬送される複数のシートSのうち、搬送部材59に接触していない非接触シートNを下方より支持する支持部78を備える。第1調整部71は、支持部78を構成する。積層されつつ搬送される複数のシートSのうち、搬送部材59に接触している接触シートMは、支持部78に支持されることなく、または、支持部78に支持されたのちに、第1調整部71と前板12との間に形成された通過口75を通過する。
【0066】
図10に示すように、第1支持部は、前部が高く、後部が低く傾斜配置されるために、通過口75は、第2ローラ52の対向位置である左右の幅方向W中央部が最も小さく、左右両端部で最も大きく設定される。これらより、姿勢変更部74に至ったシートSは、最も背面側にあるシートSが第2ローラ52に接触して下方へ搬送され、この第2ローラ52により搬送されるシートSより前方に位置するシートSは搬送ローラ59に後方のシートSを介して接触し、直接搬送ローラ59に接触しない非接触シートNとなる。
【0067】
通過口75の左右の幅方向W中央部における第1調整部71と下板132との間の距離Uは、0.5mm~10mmとすることが好ましく、1mm~5mmとすることがより好ましい。通過口75を10mmより短くすることで、シートSが搬送部材59に接触した順序でより確実に、該通過口75を通過させることができる。通過口75に大量のシートSが同時に進入したために、該シートSが通過口75を通過できず、ジャムが発生するのを抑制可能である。また、通過口75を0.5mmより長くすることで、通過口75をシートSが通過しやすくできる。
【0068】
支持部78は、第1支持部781を備える。第1支持部781は、非接触シートNの下縁辺のうちの一部を支持する。第1支持部781は、シートSの下縁辺の中央部から所定範囲内で該シートSを支持する。第1調整部71は、第1支持部781を構成する。第1調整部71は、湾曲部77を備え、シートSの搬送面Qに対し、第1調整部71の幅方向W中央部が、搬送方向F下流側程次第に近接するよう傾斜配置される。また湾曲部77の左右両端部は、幅方向W中央部より搬送面Qから離れた位置に位置する。このため、第1支持部781が搬送されるシートSの幅方向W全体ではなく、一部を支持することとなる。
【0069】
湾曲部77は、左右の幅方向W中央部が高く、両端部が低くなるよう湾曲して設置される。これより、複数積層された非接触シートNは、下端辺の幅方向W中央部が第1支持部781によって支持される。このように第1支持部781としての湾曲部77は、シートSの下縁辺の中央部から所定範囲内で該シートSを支持する。これに対し、非接触シートNの幅方向W中央部以外の部分は、下方から支持されることなく不安定な状態となる。
【0070】
第1支持部781は、前部が高く、後部が低くなるよう傾斜配置される。第1支持部781は、搬送部材59の搬送面Qの直交方向Gに複数のシートSが積層されつつ搬送される場合に、複数の非接触シートNを、搬送部材59との距離が短い前記非接触シートNを搬送部材59との距離が長い非接触シートNより低い位置で支持する。即ち、
図11において、最も左側のシートSは、搬送部材59に接触する接触シートMである。搬送部材59に接触していない非接触シートN1,N2,N3のうち、左側の非接触シートN1は、右側の非接触シートN2,N3より搬送部材59との距離が長く、該搬送部材59から離れた位置にある。
【0071】
図11で、左側の非接触シートN1は、中央の非接触シートN2より搬送部材59との距離が短い。そして、右側の非接触シートN1の下端辺は、第1支持部781によって中央の非接触シートN2より低い位置で支持される。中央の非接触シートN2は、左側の非接触シートN3より搬送部材59との距離が短く、中央の非接触シートN2は、左側の非接触シートN3より低い位置で第1支持部781によって支持される。このように、搬送部材59と非接触シートN1、N2、N3との距離が長くなり、搬送面Qから離れるほど、これら非接触シートN1、N2,N3のそれぞれの下端辺が次第に高い位置で第1支持部781によって支持される。
【0072】
また、第1調整部71は、幅方向W中央部が後方に両端部が前方に位置するよう水平面に対し傾斜配置される。
【0073】
第2調整部72は、シートSの搬送面Qに対して、下部ほど搬送面Qに近接するよう傾斜配置される。第2調整部72は、矩形薄板状部材89が平面形状を維持したまま搬送路10の幅方向Wに渡ってシートSの搬送面Qに対し傾斜して設置される。第2調整部72は、湾曲していないために第1調整部71の矩形薄板状部材88より幅方向Wの長さが短く形成される。第2調整部72は、ローラ支持部542の上面に固定される。
【0074】
第2調整部72は、シートSの搬送方向F上流側より下流側の方がシートSの搬送面Qにより近接するよう傾斜して配置される。第2調整部72は、姿勢変更部74を構成する。第2調整部72は、シートSの下縁辺に接触し、該シートSが搬送される際、前後方向の姿勢を変更させる。第2調整部72は、積層されつつ搬送される複数のシートSのうち、搬送部材59に接触していない非接触シートNを下方より支持する。第2調整部72は、搬送部材59の搬送面Qの直交方向Gに複数のシートSが積層されつつ搬送される場合に、複数の非接触シートNを、搬送部材59との距離が短い前記非接触シートNを搬送部材59との距離が長い非接触シートNより低い位置で支持する。
【0075】
第2調整部72も積層されつつ搬送される複数の前記シートSのうち、搬送部材59に接触していない非接触シートNを下方より支持する支持部78を構成する。支持部78は第2支持部782を備える。第2調整部72は、第2支持部782を構成する。第2支持部782は、左右の第2案内部材631の幅方向Wにわたって正面視水平に設置されているので、複数積層された非接触シートNの下縁辺の幅方向Wの全体を支持することとなる。
【0076】
第2調整部72の通過口76の大きさVは、第2調整部72と前板13との間の距離が、第1調整部71の通過口75の幅方向W中央部の長さと同様に、0.5mm~10mmとすることが好ましく、1mm~5mmとすることがより好ましい。
【0077】
第1調整部71及び第2調整部72を構成する薄板状部材は双方ともポリプロピレン、ポリエチレン、PET、塩化ビニルなどの合成樹脂、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等によって構成される。
【0078】
受部8は、収容部2に設けられた排出口28から排出され、自重により下方に移動したシートSを受け止める。受部8は、停止部82、幅ガイド859を備える。受部8はシートSの大きさよりやや大きく形成される。受部8には、作業者が指を挿入してシートSを取り出すための凹部87が設けられる。
【0079】
以下、上記した構成における作用を説明する。作業者が、操作部41を操作すると、振動部3及び搬送部5が稼動される。
【0080】
振動部3の稼働により、駆動部31が回転し、ベルト33、変速ギア32、偏心軸35を介して偏心カム34が回転される。フォロアー36は、回転する偏心カム34の左右両周面に摺接し、左右の幅方向Wに移動される。また、上下一対の摺動部37は、ガイド39に案内されつつ幅方向Wに移動される。これより、収容部2は、左右の幅方向Wに所定周期で移動させ、振動される。
【0081】
搬送部5は、第1駆動部55の駆動により第1連結部57を介して第1ローラ51および第2ローラ52が回転される。第2ローラ52は、第1ローラ51より速く回転される。また、第2駆動部56の駆動により第2連結部58を介して第3ローラ53が回転され、第4ローラ54が従動回転される。第3ローラ53は第2ローラ52より速く回転される。
【0082】
この状態で、作業者は、投入部26から収容部2へシートSを投入する。揃え装置100を選挙の開票、集計作業等で用いる場合は、シートSとしての投票用紙が、投票箱から作業台上に取り出され、人手により撹拌され、集められ、不揃いのままで投入部26から投入される。このとき、投入部26が収容部2の前面に開放して形成されているので、作業者は投入操作を容易に行うことができる。
【0083】
収容部2に収容された複数のシートSは、背面部18が傾斜しており、かつ収容部2が振動部3によって振動されることで、表裏面が背面部21に沿うよう姿勢が変更される。シートSの長辺H又は短辺Jのいずれかが左右の傾斜部22の何れかに衝突し、振動部3の振動に伴って、長辺H又は短辺Jのいずれかが傾斜部22に沿うようになり、該傾斜部22に摺接しつつ下方へ向けて移動する。
【0084】
シートSが排出口28を通過する際、
図6(b)に示すように、長辺Hが傾斜部22に沿って下向きに移動している場合には、そのまま排出口28を通過する。一方、短辺Jが傾斜部22に沿って移動している場合には、排出口28の幅が長辺Hより短く形成されているので、このままの姿勢で排出口28を通過することはできない。
この場合、更なる振動部3の振動によって、シートSの向きが徐々に回転される。そして短辺Jを横方向、長辺Hを上下方向の姿勢へと向きを変えられる。その後、排出口28から排出される。
【0085】
排出口28において、シートSの背面は、回転する第1ローラ51に所定の摩擦力で接触する。これより、仮に2枚以上のシートSが前後方向に積層されている場合であっても、最も背面側に位置するシートSが、第1ローラ51によって他のシートSより先に搬送される。最も背面側のシートSが第1ローラ51に接触しなくなった後、2番目に背面側に位置していたシートSが、第1ローラ51に接触する。そして、該第1ローラ51によって下方へ搬送される。
【0086】
これを繰り返すことで、複数積層されたシートSは、背面側から順次第1ローラ51に接触し、下方へ向けて搬送される。
【0087】
シートSが第2ローラ52の設置位置に至ると該第2ローラ52によって、更に下方へ搬送される。同様に、シートが第3ローラ53の設置位置に至ると、該第3ローラ53によってさらに下方へ搬送される。第3ローラ53は第2ローラ52より搬送速度が速くなるよう設定されているので、先行するシートSに後続のシートSが衝突するといった問題は生じにくい。
【0088】
複数のシートSが積層されつつ第1調整部71に至ると、シートSは第1調整部71によって支持される。前後方向に積層されつつ搬送されてきた複数のシートSは、第1調整部71に接触することで、減速され、ときには短い時間停止される。シートSの下縁辺は、幅方向Wの全体ではなく幅方向W中央部の一部のみ第1調整部71によって、支持された状態となる。
【0089】
振動部3の振動、及び自重によりシートSはバランスを失って、搬送路10の左方又は右方のいずれかに姿勢が変更される。特に、湾曲部77によって、非接触シートNの下端辺の狭い範囲を支持することで、シートSはバランスを取りにくい状態に晒され、振動部3の振動によってより大きく揺さぶられる。前後方向に積層された複数のシートSは、相互に分散される。
【0090】
姿勢が変更されたシートSは、左右の第1案内部材631によって側方から支持される。左右の第1案内部材631の間の長さは、シートSの長辺より短いので、シートSが過剰に回転することなく、下端辺が短辺Jとなった状態を維持する。
【0091】
そして、シートSはやや不安定な状態のままで第2ローラ52の回転により下方へ搬送される。このとき前後に積層されるシートSは、背面側から順次下方へと搬送される。そして、通過口75を通過し、第2調整部72の設置位置に至る。
【0092】
このように、姿勢変更部74によってシートSの姿勢が搬送路10の途中で変更されるとともに、搬送部材59によって下流側へと搬送されるので、搬送路10の途中で複数のシートSが詰まるのを抑制できる。
【0093】
また、支持部78によって、積層されつつ搬送される複数のシートSのうち、搬送部材59に接触していない非接触シートNを下方より支持するので、搬送部材59に接触するシートMを優先的に搬送し、搬送部材59に非接触のシートNは後回しとして待機させることができる。これより、背面側のシートSから順にシートSを搬送することができる。通過口75を一度に複数のシートSが通過しようとすることで、詰まってしまう不具合を回避可能である。
【0094】
支持部78は、非接触シートNの下縁辺のうちの全体を支持してもよいが、本第1の実施形態では、支持部78は下縁辺の一部を支持するので、非接触シートNは、振動や自重によって容易にバランスを失って搬送路10の途中で傾倒される。これより、シートSは、順次下方へと移動するので、搬送路10の途中でシートSが安定した状態に陥って停止してしまい、ジャムを生じるのを回避可能である。
【0095】
また、搬送部材59は、シートSの下縁辺に沿った方向でシートの中央部から所定範囲内で該シートSに接触するので、幅方向Wの左端または右端のみに接触して搬送する場合に比較して、シートSが斜行するのを抑制できる。
【0096】
支持部78は、シートSの下縁辺の中央部から所定範囲内で該シートSを支持するので、振動や自重等によって姿勢が変更されるとき、複数のシートSは、左方又は右方のいずれか略等しい割合で傾倒する。複数のシートSは左方または右方のいずれか一方に偏ることなく分散されるので、これらのシートSを順次搬送することができる。
【0097】
搬送部材59によるシートSの搬送面Qの直交方向Gに複数の前記シートが積層されつつ搬送される場合に、支持部78は、複数の非接触シートNを、搬送部材59との距離が短い非接触シートNを、距離が長い非接触シートNより低い位置で支持するので、より下方に位置する搬送部材59との距離が短い非接触シートNから順に、搬送部材59によって搬送することができる。
【0098】
複数のシートSが第2調整部72に至ると、シートSの下端縁は第2調整部72によって支持される。そして、背面側に位置するシートSから順に第3ローラ53と第4ローラ54とによって、下方へと搬送される。第2調整部72は、水平方向に対し傾斜配置され、複数の非接触シートNを、搬送面Qまでの距離が短い非接触シートNを、距離が長い非接触シートNより低い位置で支持するので、後方のシートSから順次整列させながら下方へと搬送することができる。
【0099】
通過口76を通過したシートSは受部8に揃えられた状態で収容される。
【0100】
以上より、本実施形態に係る揃え装置100は、排出口28から排出されたシートSを受部8へ向けて搬送する搬送部材59が設置されたので、搬送部材59によって、シートSを受部8へ向けて搬送することができ、適正に揃えられたシートSを受部8に収容することができる。そして、搬送部材59によってシートSを搬送することで、短時間でシートSを揃えることができる。
【0101】
また、収容部2と受部8との間の搬送路10に、搬送部材59によるシートSの搬送順序を調整する調整部を設けたので、搬送部材59によるシートSの搬送中に調整部7によってシートSの搬送順序を調整することができ、ジャムの発生を抑制しつつ適切にシートSを揃えることができる。
【0102】
そして、搬送部材59は、シートSの下縁辺に沿った方向でシートSの中央部から所定範囲内でシートSに接触するので、斜行することなくシートSを適切に搬送できる。
【0103】
(第2の実施形態)
図12は本発明の第2の実施形態係る揃え装置100aの正面図を示す。
図13は、
図12の揃え装置100aの第1調整部71aの拡大断面図である。上記第1の実施形態では、第1調整部71が湾曲部77を備え、所定長さの矩形薄板状部材88がアーチ状に湾曲され、搬送路10の幅方向Wに渡って設置されたが、本第2の実施形態では、第1調整部71aが傾面部79を備える。傾面部79は、所定長さの矩形薄板状部材90が、長手方向中央部で、所定角度屈曲され形成される。
【0104】
第1調整部71aの左右両端部は、第1案内部材631aに固定される。頂部81は、シートSの搬送路10aの左右の幅方向W中央部に設けられる。頂部81の前端部711aは、最も高い位置に設置される。第1調整部71aの左右両端部は、最も低い位置となるよう設置され、第1案内部材631aに固定される。
【0105】
頂部81は、2つの斜面部79の連結位置に設けられる。頂部81及び斜面部79は、姿勢変更部74aを構成する。頂部81及び斜面部79は、積層されつつ搬送される複数のシートSのうち、搬送部材59aに接触していない非接触シートNを下方より支持する支持部78aを構成する。支持部78aは、第1支持部781aを構成し、非接触シートNの下縁辺のうちの一部を支持する。第1支持部781aは、シートSの下縁辺の中央部から所定範囲内で該シートSを支持する。
【0106】
第1調整部71aと、下板132aとの間には、それぞれシートSが通過するための通過口75aが形成されている。
【0107】
また、第1案内部材631は、上記第1の実施形態では、全体が下板132から前方へ向けて立設される立設部633を備えた。本第2の実施形態では、第1案内部材631aは、立設部633aに加え、垂設部64を備える。垂設部64は、収容部2aの左右一対の傾斜部22aの下端部にそれぞれ垂設される。垂設部64は、振動部3の振動により収容部2aが所定速度で左右に移動し振動するのに伴って振動する。
【0108】
垂設部64の下方に、立設部633aが設置される。立設部633aは第1案内部材631aを構成し、下板132aから前方へ向けて立設される。
【0109】
第2の実施形態に係る揃え装置100aでは、頂部81によって下方より支持されたシートSはバランスを失って傾倒され、垂設部64及び立設部633aによってシートSの側方を支持される。そして、下端辺が短辺Jaとなる状態を維持したまま順次搬送部材59aによって下流側へ搬送される。第2の実施形態に係る調整部71aは、頂部81及び斜面部79を備えるので、容易に製造できる。
【0110】
(第3の実施形態)
図14は本発明の第3の実施形態に係る揃え装置100bの正面図を示す。
図15は、
図14の揃え装置100bの調整部71bの拡大断面図である。上記第1、2の実施形態では、第1調整部71、71aが所定長さの矩形薄板状部材が湾曲または屈曲され、搬送路10,10aの幅方向Wに渡って設置されたが、本第3の実施形態では、第1調整部71bが棒状支持部83を備える。棒状支持部83は、所定長さの円柱状の棒材によって構成される。
【0111】
棒状支持部83は架設部84によって支持される。棒状支持部83の前端部711bは、架設部84の幅方向W中央部設けられた螺子部86に螺合されている。架設部84は、左右の案内部材63bの立設部633bの間に架設される。棒状支持部83は、シートSの搬送路10bの幅方向W中央部から所定範囲内に設置される。棒状支持部83の前端部711bは高い位置となり、後端部712bは低い位置となるよう傾斜配置される。
【0112】
棒状支持部83の後端部712bと、下板132bとの間には、シートSが通過するための通過口75bが形成されている。棒状支持部83の後端部712bと下板132bとの距離は、棒状支持部83を螺子部86に対し進退させることで、容易に調整することができる。これより、シートSの厚さや重量、表面加工の状態に応じて、棒状支持部83と下板132bとの距離を調整することができる。
【0113】
第3の実施形態に係る揃え装置100bでは、棒状支持部83によってシートSの下端辺の幅方向W中央部のみを下方より支持されたシートSは、姿勢が変更され、傾倒される。
【0114】
姿勢が変更されたシートSは、案内部材部63bによって該シートSの側方を支持される。そして、下端辺が短辺Jとなる状態を維持したまま順次搬送部材59bによって下流側へ搬送される。
【0115】
第3の実施形態に係る調整部71bは、棒状支持部83を備えるので、シートSがより容易にバランスを失って傾倒され、姿勢が変更される。また、棒状支持部83によって、前後に積載されたシートSを少ない接触面積で下方より支持するので、シートSがより分散されやすい。搬送部材59bよってより適切に搬送され、揃えることができる。特に、棒状支持部83が金属によって形成される場合は、棒状支持部83に対するシートSの摩擦が小さく、棒状支持部83が変形し辛いためにシートSとの接触面積が小さくなるので、より容易にシートSの姿勢が変更可能である。
【0116】
尚、上記実施形態では、収容部2が、前部の開放された正面視六角形状とされたが、これに限定されず、シートの投入部が直方体や立方体等に形成された四角柱や三角柱、五角形以上の多角形柱状、円柱状、楕円型等であってもよい。この場合、投入部を構成する例えば四角形の投入口の1組の平行な対向する辺、または楕円形の投入口の短径の2倍の長さは、シートの短辺より短いことが、シートを適切に揃える点でより好ましい。また、投入口が菱形に形成された四角柱状の収容部としてもよい。
【0117】
また、収容部2と受部8との間の搬送路に、搬送部材59によるシートの搬送順序を調整する調整部7を設けたが、調整部を設けない構成としてもよく、収容部からシートを排出する際に、シートの排出順序を調整しつつ搬送部材によって搬送し、シートを揃えてもよい。
【0118】
また、調整部7は、姿勢変更部74を備えたが、シートの上部や側部に接触し、シートの姿勢を変更してもよく、姿勢を維持したまま搬送部材によって搬送してもよい。
【0119】
また、調整部7は、積層されつつ搬送される複数のシートSのうち、搬送部材59に接触していない非接触シートを下方より支持する支持部78を備えたが、非接触シートを側方より支持してもよい。
【符号の説明】
【0120】
H 長辺,J 短辺、S シート、2,2a 収容部、3,3a 振動部、7 調整部、8 受部、10 搬送路、28 排出口、59,59a,59b 搬送部材、74、74a 姿勢変更部、78、78a 支持部、100、100a、100b 揃え装置。