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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164225
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】保持体、保持装置および設置構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/22 20060101AFI20221020BHJP
   F16L 3/13 20060101ALI20221020BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
F16L3/22 A
F16L3/13
H02G3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069576
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池場 賢次
【テーマコード(参考)】
3H023
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AC34
3H023AD02
5G363AA16
5G363BA01
5G363BA07
5G363DA13
(57)【要約】
【課題】複数の配線・配管材を並設可能であるとともに、配線・配管材の並び方向の配設ピッチのずれに対応可能な保持体を提供する。
【解決手段】保持体100は、基部101と保持部107とを備える。基部101の一方側の側部101bには、第1連結部103が設けられ、基部101の他方側の側部101bには、第2連結部104が設けられている。一の保持体100と他の保持体100との関係において、第1連結部103および第2連結部104は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有する。一の保持体100と他の保持体100とが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態、および、第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の両方において、第1連結部103および第2連結部104が配設方向に相対移動することが規制される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に固定され、配線・配管材を保持するための保持体であって、一の保持体と他の保持体とが並設されることにより、複数の配線・配管材を並べて配設方向に保持可能であり、
前記設置面に固定される被固定面を有する基部と、
前記基部に連設され、前記配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部と、を備え、
前記基部の一方側の側部には、第1連結部が設けられ、前記基部の他方側の側部には、第2連結部が設けられ、
前記一の保持体と前記他の保持体との関係において、前記第1連結部および前記第2連結部は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有し、
前記一の保持体と前記他の保持体とが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態、および、前記一の保持体と前記他の保持体とが前記第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の両方において、前記第1連結部および前記第2連結部が配設方向に相対移動することが規制されることを特徴とする保持体。
【請求項2】
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記一の保持体および前記他の保持体が並設方向に近接または離反することにより、前記第1連結部および前記第2連結部による連結状態を形成または解除することが可能であり、および/または、前記一の保持体および前記他の保持体が並設方向および配設方向と直交する方向から近接または離反することにより、前記第1連結部および前記第2連結部による連結状態を形成または解除することが可能であるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の保持体。
【請求項3】
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記設置面に固定された前記一の保持体に対して、前記設置面に固定されていない前記他の保持体を連結可能であるように構成されている請求項2に記載の保持体。
【請求項4】
前記第1連結部および/または前記第2連結部には、前記第1連結部および前記第2連結部による連結状態において、前記設置面に対する垂直方向への離反を規制する規制壁部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の保持体。
【請求項5】
前記一の保持体と前記他の保持体とが並設されて前記第1連結部および前記第2連結部を介して連結したとき、前記第1連結部および前記第2連結部は、前記一の保持体および前記他の保持体の配設方向への相対移動を規制しつつ、並設方向へのスライド移動を許容することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の保持体。
【請求項6】
前記第1連結部は、前記基部の一方側の側部外面に凸設された第1係合凸部と、前記基部の前記一方側の側部外面に凹設された第1係合凹部とを備え、
前記第2連結部は、前記基部の他方側の側部外面に凸設された第2係合凸部と、前記基部の前記他方側の側部外面に凹設された第2係合凹部とを備え、
前記一の保持体と前記他の保持体との関係において、前記第1連結部および前記第2連結部は、互いに対向配置されたときに、前記第1係合凸部が前記第2係合凹部に入り込むとともに前記第2係合凸部が前記第1係合凹部に入り込むように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の保持体。
【請求項7】
前記第1係合凹部および前記第2係合凹部は、前記第2係合凸部および前記第1係合凸部をそれぞれ受け入れ可能であるように、前記被固定面側に開放されていることを特徴とする請求項6に記載の保持体。
【請求項8】
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記基部の前記被固定面の中心に対して互いに点対称となる形状を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の保持体。
【請求項9】
前記基部には、前記設置面に固定するための固定部材が挿通される固定孔が形成され、前記固定孔は、並設方向に延びる長孔状であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の保持体。
【請求項10】
前記被固定面を前記設置面に接着するための接着手段をさらに備え、前記一の保持体が前記設置面に接着した状態で前記他の保持体を前記一の保持体に近接または離間移動させることで、前記第1連結部および前記第2連結部の連結状態を形成または解除可能であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の保持体。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の2以上の保持体からなり、前記複数の保持体が互いに連結した状態で並設されて設置面に固定されることにより、複数の配線・配管材を前記設置面に対して並べて配設方向に保持可能であることを特徴とする保持装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の2以上の保持体が互いに連結した状態で設置面上に並設されて固定され、複数の配線・配管材が前記各保持体によってそれぞれ並べて保持されることで所定の配設方向に配設されたことを特徴とする配線・配管材の設置構造。
【請求項13】
設置面に対して設置され、複数の配線・配管材を並べて配設方向に保持するための保持装置であって、
並設方向に並んで前記設置面に固定され、配線・配管材をそれぞれ保持する第1保持体および第2保持体を備え、
前記第1保持体および前記第2保持体は、
前記設置面に固定される被固定面を有する基部と、
前記基部に連設され、前記配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部と、をそれぞれ備え、
前記第1保持体の前記基部の側部には、第1連結部が設けられ、前記第2保持体の前記基部の側部には、第2連結部が設けられ、
前記第1連結部および前記第2連結部は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有し、
前記第1保持体と前記第2保持体とが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態、および、前記第1保持体と前記第2保持体とが前記第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の両方において、前記第1連結部および前記第2連結部が配設方向に相対移動することが規制されることを特徴とする保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置面に対して配線・配管材を保持して配設するための保持体、保持装置、および、その設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造体の壁面等の設置面に沿って配線・配管材を配設する際、配線・配管材を保持可能なサドル等の保持体を設置面の所定位置に固定した上で、当該保持体で配線・配管材を保持することにより、配線・配管材を所定の配設方向に配設することが行われている。また、用途に応じて、複数の配線・配管材を同じ配設方向に組として所定のピッチで並べて配設することが必要な場合がある。このような場合、複数の保持体が配設方向に直交または交差する方向に並設されて設置面に固定されることにより、複数の保持体が複数の配線・配管材をそれぞれ保持し、複数の配線・配管材が設置面上で並んで所定の配設方向に配設され得る。
【0003】
特許文献1は、配管材を固定するための配管材固定具を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。特許文献1の配管材固定具(10)は、台座(11)及び一対の周壁(12,13)を有する。台座(11)は、配設面に密接状態で対向配置される略板状をなし、配設面に固定されるようになっている。台座(11)の凹部(11a)の中央部には、台座(11)を厚さ方向に貫通する円形の挿通孔(11b)が形成されている。一対の周壁(12,13)は、内部に配管材(P)を収容保持する収容空間を形成するよう互いに対向して配置されている。台座(11)の幅方向両端には、それぞれ、対をなす第1連結部(15)及び第2連結部(16)が一体形成されている。一対の周壁(12,13)のうちの一方の周壁(12)の基端側には第1の連結部(15)が設けられている。また、他方の周壁(13)の基端側において第1の連結部(15)と対応する位置には、第1の連結部(15)と連結自在な第2の連結部(16)が設けられている。第1の連結部(15)は、外側方に開口する断面略チャンネル状をなしている。また、第2の連結部(16)は、第1の連結部(15)の内面形状に対応する断面略T字状をなしている。そして、第2の連結部(16)を台座(11)の幅方向一端側から第1の連結部(15)内に挿入して連結することにより、複数の配管材固定具(10)を幅方向に並設して連結することができる。複数の配管材(P)を並列して配管すべく、配管材固定具(10)を複数連接する場合、隣接する一方の配管材固定具(10)の第1の連結部(15)の長さ方向一端から、他方の配管材固定具(10)の第2の連結部(16)を内部に挿着する。そして、複数の配管材固定具(10)を第1及び第2の連結部(15,16)を介して互いに連結した状態で配設面(S)に固定する。これにより、両周壁(12,13)間の開口(14)から保持対象としての配管材(P)を内部に挿入して保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-038116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の配管材固定具のような従来の保持体では、複数の配線・配管材を並設するときの配設作業性を向上させるべく、一の保持体のチャンネル状の第1の連結部に他の保持体のT字状の第2の連結部が挿入されることにより、一の保持体および他の保持体が並設方向に連結される。しかしながら、このような従来の保持体では、並設方向に連結する保持体同士の連結ピッチによって、配線・配管材の並び方向の配設ピッチが一義的に定まることから、保持体の連結ピッチと異なるピッチに配線・配管材を並び方向にずらして配設するときなど、配線・配管材の配設ピッチの変更に柔軟に対応することができないことが課題として挙げられる。より具体的な例として、配線・配管材の配設ピッチの高い精度が要求される配電函への配線・配管材(電線管)の配設用途において、配電函に形成された電線管接続孔の並びピッチと、保持体の連結ピッチが相違する場合、僅かなずれであっても許容されず、配線・配管材を曲げる必要が生じたり、保持体が使用できなくなったりすることなどが問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の配線・配管材を並設可能であるとともに、配線・配管材の並び方向の配設ピッチのずれに対応可能な保持体、複数の保持体からなる保持装置、および、該保持体による配線・配管材の設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の保持体は、設置面に固定され、配線・配管材を保持するための保持体であって、一の保持体と他の保持体とが並設されることにより、複数の配線・配管材を並べて配設方向に保持可能であり、
前記設置面に固定される被固定面を有する基部と、
前記基部に連設され、前記配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部と、を備え、
前記基部の一方側の側部には、第1連結部が設けられ、前記基部の他方側の側部には、第2連結部が設けられ、
前記一の保持体と前記他の保持体との関係において、前記第1連結部および前記第2連結部は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有し、
前記一の保持体と前記他の保持体とが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態、および、前記一の保持体と前記他の保持体とが前記第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の両方において、前記第1連結部および前記第2連結部が配設方向に相対移動することが規制されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の保持体は、請求項1に記載の保持体において、前記第1連結部および前記第2連結部は、前記一の保持体および前記他の保持体が並設方向に近接または離反することにより、前記第1連結部および前記第2連結部による連結状態を形成または解除することが可能であり、および/または、前記一の保持体および前記他の保持体が並設方向および配設方向と直交する方向から近接または離反することにより、前記第1連結部および前記第2連結部による連結状態を形成または解除することが可能であるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の保持体は、請求項2に記載の保持体において、前記第1連結部および前記第2連結部は、前記設置面に固定された前記一の保持体に対して、前記設置面に固定されていない前記他の保持体を連結可能であるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の保持体は、請求項1から3のいずれか一項に記載の保持体において、前記第1連結部および/または前記第2連結部には、前記第1連結部および前記第2連結部による連結状態において、前記設置面に対する垂直方向への離反を規制する規制壁部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の保持体は、請求項1から4のいずれか一項に記載の保持体において、前記一の保持体と前記他の保持体とが並設されて前記第1連結部および前記第2連結部を介して連結したとき、前記第1連結部および前記第2連結部は、前記一の保持体および前記他の保持体の配設方向への相対移動を規制しつつ、並設方向へのスライド移動を許容することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の保持体は、請求項1から5のいずれか一項に記載の保持体において、前記第1連結部は、前記基部の一方側の側部外面に凸設された第1係合凸部と、前記基部の前記一方側の側部外面に凹設された第1係合凹部とを備え、
前記第2連結部は、前記基部の他方側の側部外面に凸設された第2係合凸部と、前記基部の前記他方側の側部外面に凹設された第2係合凹部とを備え、
前記一の保持体と前記他の保持体との関係において、前記第1連結部および前記第2連結部は、互いに対向配置されたときに、前記第1係合凸部が前記第2係合凹部に入り込むとともに前記第2係合凸部が前記第1係合凹部に入り込むように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の保持体は、請求項6に記載の保持体において、前記第1係合凹部および前記第2係合凹部は、前記第2係合凸部および前記第1係合凸部をそれぞれ受け入れ可能であるように、前記被固定面側に開放されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の保持体は、請求項1から7のいずれか一項に記載の保持体において、前記第1連結部および前記第2連結部は、前記基部の前記被固定面の中心に対して互いに点対称となる形状を有することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の保持体は、請求項1から8のいずれか一項に記載の保持体において、前記基部には、前記設置面に固定するための固定部材が挿通される固定孔が形成され、前記固定孔は、並設方向に延びる長孔状であることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の保持体は、請求項1から9のいずれか一項に記載の保持体において、前記被固定面を前記設置面に接着するための接着手段をさらに備え、前記一の保持体が前記設置面に接着した状態で前記他の保持体を前記一の保持体に近接または離間移動させることで、前記第1連結部および前記第2連結部の連結状態を形成または解除可能であることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の保持装置は、請求項1から10のいずれか一項に記載の2以上の保持体からなり、前記複数の保持体が互いに連結した状態で並設されて設置面に固定されることにより、複数の配線・配管材を前記設置面に対して並べて配設方向に保持可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の配線・配管材の設置構造は、請求項1から10のいずれか一項に記載の2以上の保持体が互いに連結した状態で設置面上に並設されて固定され、複数の配線・配管材が前記各保持体によってそれぞれ並べて保持されることで所定の配設方向に配設されたことを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の保持装置は、設置面に対して設置され、複数の配線・配管材を並べて配設方向に保持するための保持装置であって、
並設方向に並んで前記設置面に固定され、配線・配管材をそれぞれ保持する第1保持体および第2保持体を備え、
前記第1保持体および前記第2保持体は、
前記設置面に固定される被固定面を有する基部と、
前記基部に連設され、前記配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部と、をそれぞれ備え、
前記第1保持体の前記基部の側部には、第1連結部が設けられ、前記第2保持体の前記基部の側部には、第2連結部が設けられ、
前記第1連結部および前記第2連結部は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有し、
前記第1保持体と前記第2保持体とが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態、および、前記第1保持体と前記第2保持体とが前記第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の両方において、前記第1連結部および前記第2連結部が配設方向に相対移動することが規制されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、一の保持体の第1連結部および他の保持体の第2連結部が並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合し得る連結状態を形成することにより、一の保持体および他の保持体を、配線・配管材の配設方向にずれることを規制した状態で連結させつつ設置面に容易に並設することができる。すなわち、本発明の保持体は、一の保持体と他の保持体との間の第1連結部および第2連結部による連結によって、一の保持体および他の保持体を係合させつつ設置面に並設することを可能とする。その結果、複数の配線・配管材の配設作業を容易とするものである。また、本発明の保持体は、一の保持体と他の保持体との関係において、配設方向の相対移動の規制を維持したまま、並設方向における第1および第2の相対位置で第1および第2の連結状態をそれぞれ形成し、異なる連結ピッチで2以上の保持体を並設可能であり、配線・配管材の(配設方向に直交または交差する)並び方向の配設ピッチのずれや変更に対応することができる。したがって、本発明の保持体は、配線・配管材を並設する作業性を確保しつつ、配線・配管材の並び方向の配設ピッチのずれに対応可能としたものである。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、一の保持体および他の保持体を並設方向、および/または、(並設方向および配設方向と直交する)設置面に対する垂直方向から相対的にスライド移動させることにより、第1連結部および第2連結部の連結状態を形成または解除することが可能である。すなわち、一の保持体および他の保持体を並設方向からスライド移動させる場合、並設作業と連結作業の方向性が同一なのでユーザーが直感的に作業し易いという利点がある。また、一の保持体および他の保持体を設置面に対する垂直方向からスライド移動させる場合、ユーザーが設置面の正面から保持体を操作して並設作業および連結作業することができるので、ユーザーが直感的に作業し易いという利点がある。したがって、複数の保持体を並設させて設置面に固定する作業が容易となる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて、一の保持体を先に設置面に固定した上で、他の保持体を設置面に沿って、および/または、設置面に垂直な方向からスライド移動させて、一の保持体および他の保持体の連結状態を容易に形成することができる。すなわち、一の保持体が設置面に固定された状態で、他の保持体を操作することができるので、他の保持体を落下させずに操作することが可能である。これにより、複数の保持体を並設させて設置面に固定する作業が容易となる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれかの発明の効果に加えて、第1連結部および第2連結部が連結した状態で、一の保持体および他の保持体が並設されたとき、一の保持体および他の保持体の一方が、配設方向に相対移動して分離することが規制されるだけでなく、規制壁部により設置面から離隔する方向に相対移動して分離することもまた規制される。これにより、一の保持体および他の保持体をより安定して連結および固定することが可能となる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から4のいずれかの発明の効果に加えて、一の保持体および他の保持体の配設方向の係合状態が維持されつつ並設方向へのスライド移動が許容されることにより、隣接する保持体の連結ピッチを並設方向のスライドによって無段階で調整することが可能である。すなわち、保持体は、配線・配管材の並び方向の配設ピッチのずれに無段階で対応することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から5のいずれかの発明の効果に加えて、一の保持体と他の保持体との関係において、第1連結部および第2連結部は、互いに対向配置されたときに、第1係合凸部が第2係合凹部に入り込むとともに第2係合凸部が第1係合凹部に入り込んで、2箇所で係合を形成することにより、配設方向に係合する連結状態をより確実に維持することが可能である。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の発明の効果に加えて、第1係合凹部および第2係合凹部は、設置面に沿った方向および設置面に向かう方向の2方向で開放されているので、設置面に沿った方向への移動および設置面に向かう方向への移動のどちらによっても、第2係合凸部および第1係合凸部を第1係合凹部および第2係合凹部に対してそれぞれ係合させることができる。これにより、良好な作業性を発揮し得る。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から7のいずれかの発明の効果に加えて、第1連結部および第2連結部が互いに点対称となるような形状を有していることから、設置面上で、一の保持体と他の保持体を互いに対して反転させることなく、保持体の前後面を合わせて連結することが可能である。あるいは、一の保持体と他の保持体の一方を反転させた場合であっても、一の保持体と他の保持体の第1連結部同士または第2連結部同士を連結させることが可能である。すなわち、保持体を左右の区別なく用いることが可能である。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1から8のいずれかの発明の効果に加えて、固定部材を固定孔に貫通させて保持体を設置面に仮固定し、当該仮固定状態で、固定部材を長孔状の固定孔内で移動させるように、保持体を並設方向にスライドさせることができる。これにより、保持体を位置合わせしつつ設置面に固定する作業が容易となる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、請求項1から9のいずれかの発明の効果に加えて、接着手段を用いて保持体を設置面に仮固定しつつ、一の保持体および他の保持体を連結させて設置面に並設することが可能である。これにより、保持体を並設させて設置面に固定する作業が容易となる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1から9のいずれかの発明の効果を保持装置として発揮することが可能である。すなわち、本発明の保持装置は、配線・配管材を並設する作業性を確保しつつ、配線・配管材の並び方向の配設ピッチのずれに対応可能としたものである。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、請求項1から9のいずれかの発明の効果を配線・配管材の設置構造として発揮することが可能である。すなわち、本発明の設置構造は、配線・配管材を並設する作業性を確保しつつ、配線・配管材の並び方向の配設ピッチのずれに対応して構築されたものである。
【0032】
請求項13に記載の発明によれば、第1保持体の第1連結部および第2保持体の第2連結部が並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合し得る連結状態を形成することにより、第1保持体および第2保持体を、配線・配管材の配設方向にずれることを規制した状態で連結させつつ設置面に容易に並設することができる。すなわち、本発明の保持装置は、第1保持体と第2保持体との間の第1連結部および第2連結部による連結によって、第1保持体および第2保持体を配設方向に係合させつつ設置面に並設することを可能とする。その結果、複数の配線・配管材の配設作業を容易とするものである。また、本発明の保持装置は、第1保持体および第2保持体の配設方向の相対移動の規制を維持したまま、並設方向における第1および第2の相対位置で第1および第2の連結状態をそれぞれ形成し、異なる連結ピッチで第1および第2保持体を並設可能であり、配線・配管材の(配設方向に直交または交差する)並び方向の配設ピッチのずれや変更に対応することができる。したがって、本発明の保持装置は、配線・配管材を並設する作業性を確保しつつ、配線・配管材の並び方向の配設ピッチのずれに対応可能としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)における保持体の(a)上方から見た斜視図、および(b)下方から見た斜視図。
図2図1の保持体の(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)右側面図および(e)左側面図。
図3図2の保持体のA-A断面図。
図4図2の保持体のB-B断面図。
図5図2の保持体のC-C断面図。
図6】本発明の一実施形態における保持装置を示す概略斜視図。
図7】本発明の一実施形態における配線・配管材の設置構造を示す概略斜視図。
図8図7の設置構造の(a)平面図、および(b)正面図。
図9図8の設置構造の(a)D-D断面図、および(b)E-E断面図。
図10図9の設置構造において、配線・配管材の配設ピッチを第2の配設ピッチに調整した設置構造を示す断面図。
図11図7の設置構造を構築すべく、保持体を設置面に並設して固定する工程を示す模式図。
図12】本発明の一実施形態の保持体を使用した別形態の設置構造を示す概略斜視図。
図13図12の設置構造の正面図。
図14】本発明の別実施形態(第2実施形態)における保持体の(a)上方から見た斜視図、および(b)下方から見た斜視図。
図15図14の保持体の(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)右側面図および(e)左側面図。
図16図15の保持体のF-F断面図。
図17図14の保持体を設置面に並設させて設置する工程を示す模式図。
図18】本発明の別実施形態(第3実施形態)における保持体の(a)上方から見た斜視図、および(b)下方から見た斜視図。
図19図18の保持体を設置面に並設させて設置する工程を示す模式図。
図20】本発明の変形例の保持体を示す概略図。
図21】本発明の変形例の保持体を示す概略図。
図22】本発明の変形例の保持体を示す概略図。
図23】本発明の変形例の保持体を示す概略図。
図24】本発明の変形例の保持体を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。
【0035】
本発明の一実施形態の保持体100は、建造物や配電函などの設置面に固定され、配線・配管材を保持するためのサドルとして例示される。本実施形態では、2以上の保持体100が設置面に並設されることにより、複数の配線・配管材を保持体100の並設方向と同じ並び方向に並べて配設することを可能とする。ここで、保持装置11は、複数の保持体100から構成された装置であって、複数の保持体100が互いに連結した状態で並設されて設置面に固定され、複数の配線・配管材を並べて設置面に対して配設方向に沿って保持するものである。
【0036】
本実施形態の保持体100の構成について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本発明に係る一実施形態の保持体100の概略斜視図である。図2(a)~(e)は、該保持体100の平面図、正面図、底面図、右側面図および左側面図である。図3図5は、該保持体100のA-A断面図、B-B断面図およびC-C断面図である。
【0037】
図1乃至図5に示すとおり、保持体100は、基部101と、該基部101の上面側に連設され、配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部107と、を備える。本実施形態では、保持体100は、合成樹脂材料で一体成形されてなる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、保持体100は、金属材料等の他の材料で形成されてもよい。
【0038】
基部101は、所定の長さ、幅および厚さを有し、長手状に延在する矩形体である。保持体100は、他の保持体100とともに基部101の長手方向に並設されるように構成され、この長手方向が並設方向として定められた。また、保持体100の平面視において、並設方向に直交(または交差)する方向が配線・配管材の配設方向として定められた。そして、並設方向および配設方向の両方に直交する方向が、保持体100の設置面に対する接離方向として定められた。換言すると、基部101の長手方向が並設方向に相当し、幅方向が配設方向に相当し、そして、厚さ方向が接離方向に相当する。
【0039】
基部101は、設置面に固定される被固定面101aと、長手方向の両側を向く側部101b,101bとを有している。また、基部101の被固定面101aの反対側の上面には、凹状部101cが設けられている。該凹状部101cは、基部101の長手方向の略中央に形成され、正面側に開放されている。そして、該凹状部101c内の基部101の平面視中心には、保持体100を設置面に固定するための固定部としての固定孔102が設けられている。固定孔102は、ビスやボルトなどの軸状の固定部材109を挿入可能に基部101に穿設された貫通孔である。ここで、固定孔102は、長手方向(並設方向)に長手状に延びる長孔からなることから、固定部材109が固定孔102を貫通した状態で長孔内を並設方向に相対スライド可能である。なお、凹状部101cは、固定部材109を固定孔102に挿通して保持体100を設置面に固定する際、ボックスレンチを挿入して作業することを可能とする。
【0040】
基部101の一方側(正面視における左側)の側部101bには、第1連結部103が設けられ、基部101の他方側(正面視における右側)の側部101bには、第2連結部104が設けられている。一の保持体100と(当該一の保持体100と同一形状を有する別個の保持体100である)他の保持体100との関係において、第1連結部103および第2連結部104は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有している。本実施形態では、第1連結部103および第2連結部104は、互いに対して相補形状をなすように構成された。そして、第1連結部103および第2連結部104は、平面視または底面視における基部101の被固定面101aの中心に対して互いに点対称となる形状を有している。
【0041】
より具体的には、第1連結部103は、基部101の一方側の側部101b外面に凸設された第1係合凸部103aと、該第1係合凸部103aと同じ側部101b外面に凹設された第1係合凹部103bとを備える。第1係合凸部103aおよび第1係合凹部103bは、側部101b外面の幅方向の中心から外側にそれぞれ同じ距離でずれた位置に形成されている。
【0042】
第1係合凸部103aは、側部101b外面から並設方向に沿って所定の突出長さで略垂直に突出した略矩形状の突出片からなる。第1係合凸部103aは、基部101の厚み方向(接離方向)の中心に対して下方に偏った位置に形成されている。特には、第1係合凸部103aの上面が基部101の上面から離隔し、その下面が被固定面101aと面一である。また、第1係合凸部103aの先端の角部は、面取加工がなされ、湾曲している。
【0043】
第1係合凹部103bは、側部101b外面から並設方向に所定の後退長さで内側に後退した矩形状の窪みである。ここで、第1係合凸部103aの形状寸法(突出長さ、幅および高さ)と、第1係合凹部103bの形状寸法(後退長さ、幅および高さ)は、実質的に同じである。第1係合凹部103bは、第1係合凸部103aと同様に、基部101の厚み方向(接離方向)の中心に対して下方に偏った位置に形成されている。また、第1係合凹部103bは、(被固定面101aの反対側の)上方で閉塞されている。つまり、第1係合凹部103bの上部は基部101の肉部により覆われており、当該覆い壁が規制壁部103cをなしている。一方で、第1係合凹部103bは、被固定面101a側の下方に開放されている。図4に示すように、第1係合凹部103bの下方の開口端に隣接して、下端に近づくにつれて幅広となるテーパー部103dが設けられている。すなわち、第1係合凹部103bは、並設方向の一方向および接離方向の一方向の2方向に開放されている。
【0044】
第2連結部104は、基部101の他方側の側部101b外面に凸設された第2係合凸部104aと、該第2係合凸部104aと同じ側部101b外面に凹設された第2係合凹部104bとを備える。第2係合凸部104aおよび第2係合凹部104bは、側部101b外面の幅方向の中心から外側にそれぞれ同じ距離でずれた位置に形成されている。上述したとおり、第1連結部103および第2連結部104は、点対称となる形状を有していることから、第2係合凸部104aは、第1係合凸部103aと同様の形状をなし、第2係合凹部104bは、第1係合凹部103bと同様の形状をなしている。また、基部101の幅方向における、第2係合凸部104aおよび第1係合凹部103bの位置が同じであり、かつ、第2係合凹部104bおよび第1係合凸部103aの位置が同じである。そして、第2係合凸部104aは、第1係合凹部103bに対する(互いに嵌合可能な)相補形状を有し、第2係合凹部104bは、第1係合凸部103aに対する(互いに嵌合可能な)相補形状を有している。
【0045】
第2係合凹部104bは、第1係合凸部103aを並設方向の外側から受入可能であるとともに、接離方向の下側からも受入可能である。このとき、テーパー部104dにより、第1係合凸部103aの接離方向の下側(設置面側)からの受入がガイドされ得る。また、第2係合凹部104bが第1係合凸部103aを受容した状態では、規制壁部104cが第1係合凸部103aの上面側に位置し、当該規制壁部104cにより、第1係合凸部103aが設置面と離反する方向に移動することが規制され得る。同様に、第1係合凹部103bは、第2係合凸部104aを並設方向の外側から受入可能であるとともに、接離方向の下側からも受入可能である。このとき、テーパー部103dにより、第2係合凸部104aの接離方向の下側(設置面側)からの受入がガイドされ得る。また、第1係合凹部103bが第2係合凸部104aを受容した状態では、規制壁部103cが第2係合凸部104aの上面側に位置し、当該規制壁部103cにより、第2係合凸部104aが設置面と離反する方向に移動することが規制され得る。
【0046】
すなわち、一の保持体100および他の保持体100を並設方向に配置し、一の保持体100の第1連結部103と、他の保持体100の第2連結部104とを対向配置したときに、第1係合凸部103aが第2係合凹部104bに挿入されるとともに配設方向に係合し、かつ、第2係合凸部104aが第1係合凹部103bに挿入されるとともに配設方向に係合することにより、配設方向に係合可能である連結状態を形成する。また、第1係合凸部103a(または第2係合凸部104a)は、第2係合凹部104b(第1係合凹部103b)に対して連結状態を維持したまま並設方向にスライド可能である。つまり、第1係合凸部103a(または第2係合凸部104a)の少なくとも一部が、第2係合凹部104b(第1係合凹部103b)に挿入されていれば、第1係合凸部103a(または第2係合凸部104a)および第2係合凹部104b(第1係合凹部103b)が配設方向に係合し得ることから、一の保持体100および他の保持体100の配設方向の相対移動(ずれ)が規制され得る。
【0047】
保持部107は、基部101上面に連設され、配線・配管材を配設方向に向けて保持するように突出している。本実施形態では、保持部107は、基部101から立設した一対の腕部107a,107aから構成されている。一対の腕部107a,107aは、配線・配管材をその間に挟み込んで挟持可能な間隔で立設し、上方に配線・配管材を導入するための開口を有している。つまり、一対の腕部107a,107aは、配設方向に保持される配線・配管材の軸心を中心に挟み込むように、並設方向に並んで対向するように立設している。各腕部107aは、外方に膨らむように円弧状に湾曲した板材からなる。各腕部107aの内面には、円弧状に突出した突条107eが設けられている。また、各腕部107aの先端には、腕部107aの円弧部位から外側に屈折して延びる拡開部107bが形成されている。当該拡開部107bは、配線・配管材を一対の腕部107a,107aの間に導入するときのガイドとして機能する。また、一対の腕部107a,107aは、互いに近接および離間する方向に弾性変形可能である。すなわち、一対の腕部107a,107aは、当該一対の腕部107a,107aの先端間から基部101に向けて配線・配管材を押し込むことで、先端間が離れるように弾性変形して当該一対の腕部107a,107aの間に配線・配管材を受け入れ可能であるとともに、元に戻ろうとする弾性復元力により受け入れた配線・配管材を押圧保持するように構成されている。
【0048】
また、各腕部107aの拡開部107bの内側および外側の面には、配設方向に延びる凹溝107c,107cがそれぞれ凹設されている。凹溝107cは、拡開部107bの配設方向の略中央から端縁にかけて延在し、配設方向の一方に開放している。また、拡開部107bの内外の凹溝107c,107cでは、配設方向における開放の向きが反対である。そして、拡開部107bの内外の凹溝107cが重合する部位(拡開部107bの配設方向の中央部位)には、スリット107dが貫通形成されている。スリット107dは、配設方向に延びる長孔である。当該スリット107dは、一対の腕部107a,107aをドライバーでこじて開くための引っ掛け孔として使用され得る。また、当該スリット107dは、番線や結束バンドを通して配線・配管材を括る付けるための通し孔としても使用され得る。
【0049】
なお、図示しないが、一対の腕部107a,107aの少なくとも一方が、外方に回動して開くように変形し、先端がガマグチのように拡開するように構成されてもよい。このような構成を選択することで、配線・配管材の抜き出しが容易となる。
【0050】
図6は、一実施形態の保持装置11の概略斜視図である。本実施形態の保持装置11は、2以上の同一形状の保持体100からなり、複数の保持体100が互いに連結した状態で並設されて設置面に固定されることにより、複数の配線・配管材を設置面に対して並べて配設方向に保持可能である。図6では、保持装置11は、2つの保持体100,100からなるように例示されたが、配設する配線・配管材の数に応じて3以上の保持体100から構成されてもよい。図6に示すように、保持装置11では、左側に位置する一の保持体100の第1連結部103と、右側に位置する他の保持体100の第2連結部104が対向して連結される。また、保持装置11では、第1連結部103および第2連結部104が基部101の中心に点対称となるように形成されていることから、一の保持体100および他の保持体100を(反転させることなく)配設方向の前後の面を揃えて連結して並設することができる。一方で、一の保持体100と他の保持体100の一方の前後を反転させた場合であっても、一の保持体100と他の保持体100の第1連結部103,103同士または第2連結部104,104同士を連結させることも可能である。そして、保持装置11の一の保持体100および他の保持体100の関係において、第1連結部103および第2連結部104は、一の保持体100および他の保持体100が並設方向に近接または離反することにより、第1連結部103および第2連結部104による連結状態を形成または解除することが可能である。
【0051】
次に、図7乃至図9を参照して、本実施形態の保持体100(または保持装置11)を設置面13に設置して複数(ここでは2本)の配線・配管材15を並べて配設方向に配設した設置構造10について説明する。図7は、設置構造10の概略斜視図である。図8(a)、(b)は、設置構造10の平面図および正面図である。図9(a)、(b)は、設置構造10のD-D断面図およびE-E断面図である。ここでは、設置面13は、建造物の垂直に立設した壁面であり、配線・配管材15は、ケーブルを保護する波付管である。なお、配線・配管材15は、説明の便宜上、仮想線にて図示された。
【0052】
図7乃至図9に示すとおり、一の保持体100と他の保持体100とが第1の相対位置で並設されて設置面13に固定されている。そして、各保持体100の保持部107によって配線・配管材15が保持されている。これにより、2本の配線・配管材15,15が第1の配設ピッチP1で並んで、共通の配設方向に沿って軸心(管軸)が延伸するように配設されている。ここで、配線・配管材15,15の配設ピッチP1は、隣接する配線・配管材15,15の軸心間の距離であり、並設された保持体100,100の連結ピッチと同じである。また、本実施形態では、並設方向と配設方向(軸心方向)とが直交しているが、本発明において、これらが任意の角度で交差するように構成されてもよい。
【0053】
特には、各保持体100の被固定面101aが設置面13に面で接触し、固定孔102を固定部材109が貫通することにより、保持体100が設置面13に固定されている。一の保持体100および他の保持体100は、第1連結部103および第2連結部104を介して並設方向に連結されている。より詳細には、(正面から見て右側の)一の保持体100の第1連結部103の第1係合凸部103aおよび第1係合凹部103bが、(正面から見て左側の)他の保持体100の第2連結部104の第2係合凹部104bおよび第2係合凸部104aと、それぞれ嵌合関係をなしている。第1および第2係合凸部103a、104aは、第2および第1係合凹部104b,103bの内壁と配設方向に当接し(または当接可能な位置にあり)、一の保持体100と他の保持体100とが配設方向に相対移動することが規制されている。また、図7の連結状態では、一の保持体100および他の保持体100は、その基部101の側部101b同士が当接し、最も近接した位置で連結されている。すなわち、一の保持体100と他の保持体100とが第1の相対位置(または第1の連結ピッチ)で並設されて連結した第1の連結状態をなしている。この第1の相対位置では、配線・配管材15が第1の配設ピッチで保持および配設され得る。
【0054】
図10は、一の保持体100と他の保持体100とが、第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の設置構造10’を示している。ここで、第2の相対位置とは、一の保持体100と他の保持体100とが第1の相対位置において保持する配線・配管材15,15の軸間の距離と異なる距離で、配線・配管材15,15を保持する一の保持体100と他の保持体100との間の相対位置を示す。当該設置構造10’では、一の保持体100と他の保持体100とが、第2の連結ピッチで並設されており、これに対応するように、第2の配設ピッチP2で配線・配管材15が保持されている。第2の連結状態の設置構造10’では、一の保持体100および他の保持体100の基部101の側部101b同士が離間して、第1の相対位置と比べて、一の保持体100と他の保持体100とが互い離間する方向に移動して配置されている。すなわち、第2の連結状態の設置構造10’における、第2の配設ピッチP2は、第1の配設ピッチP1よりも大きい。図10に示すように、一の保持体100の第1連結部103の第1係合凸部103aが、他の保持体100の第2連結部104の第2係合凹部104bに部分的に入り込んでいる。同様に、他の保持体100の第2連結部104の第2係合凸部104aが、一の保持体100の第1連結部103の第1係合凹部103bに部分的に入り込んでいる。このような部分的な嵌合関係であっても同様に、第1および第2係合凸部103a、104aは、第2および第1係合凹部104b,103bの内壁と配設方向に係合し、一の保持体100と他の保持体100とが配設方向に相対移動することが規制されている。すなわち、一の保持体100と他の保持体100との間の並設方向の相対位置が異なる第1の連結状態および第2の連結状態の両方において、第1連結部103および第2連結部104が配設方向に相対移動することが規制され得る。
【0055】
配線・配管材15,15の配設ピッチP1,P2は、少なくとも一方の保持体100の固定部材109を緩めて 固定部材109を長孔状の固定孔102内で相対移動させるように保持体100を並設方向にスライドさせることによって、簡単に変更または調整され得る。すなわち、第1および第2係合凸部103a、104aは、第2および第1係合凹部104b,103bに対して、配設方向への係合可能な状態を維持しつつ、並設方向に沿ってスライド移動可能である。これにより、一の保持体100と他の保持体100とが並設されて第1連結部103および第2連結部104を介して連結したとき、第1連結部103および第2連結部104は、一の保持体100および他の保持体100の配設方向への相対移動を規制しつつ、並設方向へのスライド移動を許容する。そして、一の保持体100が他の保持体100に対して並設方向にスライドすることによって、配線・配管材15,15の配設ピッチP1,P2を連続的に調整することができる。調整幅は、第1および第2係合凸部103a、104aの突出長さ(第1および第2係合凹部103b,104bの後退長さ)に対応する。そして、第1および第2係合凸部103a、104aが第2および第1係合凹部104b,103bから抜け出る位置まで移動すると、第1連結部103および第2連結部104間の連結が解除され得る。なお、当該突出長さを変更することにより、配設ピッチの調整幅を適宜増大させることが可能である。
【0056】
続いて、図11を参照して、2つの保持体100,100を設置面13に並設させて固定し、設置構造10を構築する方法について説明する。
【0057】
まず、並べて配設する配線・配管材15の本数に合わせて、所定数の保持体100を準備する。ここでは、説明の便宜上、配線・配管材15および保持体100の数は、それぞれ2つとする。一の保持体100を、設置面13に固定部材109で固定する。具体的には、基部101の被固定面101aを設置面13の所定位置に位置決めして宛がい、保持部107の開口の向きを、配線・配管材15の配設方向(配設後の軸心方向)に合わせて、固定孔102を介して設置面13に固定部材109を打ち込むことで、保持体100を設置面13に固定する。
【0058】
次に、他の保持体100を、設置面13に固定された一の保持体100に並設させるように設置する。図11(a)に示すように、一の保持体100の第1連結部103(または第2連結部104)に対し、他の保持体100の第2連結部104(または第1連結部103)を対向させる位置で、他の保持体100の被固定面101aを設置面13に宛がう。次いで、他の保持体100を一の保持体100に対して近接させるように設置面13に沿ってスライドさせて、第1および第2係合凸部103a、104aを、それぞれ第2および第1係合凹部104b,103bに挿入する。そして、第1連結部103および第2連結部104が配設方向に係合した連結状態を維持しつつ、予め定められた配設ピッチに合わせるように、一の保持体100と他の保持体100とを所定の連結ピッチで連結する。図11(b)の例では、配設ピッチをP1とした。なお、当該連結状態において、一の保持体100および他の保持体100が配設方向にずれることが規制されるので、固定された一の保持体100に対して並設した他の保持体100の姿勢を簡単に維持可能であり、固定部材109による他の保持体100の固定作業を容易に行うことができる。
【0059】
一の保持体100と他の保持体100とを所定の連結ピッチに配置した後、図11(b)に示すように、他の保持体100の固定孔102を介して設置面13に固定部材109を打ち込むことで、他の保持体100を設置面13に固定する。なお、固定部材109を設置面13に完全に打ち込む前の仮止めとすることで、他の保持体100は、固定部材109により垂直な設置面13から落下することなく仮保持され、かつ、並設方向にスライドすることが許容され、配設ピッチの調整が容易となる。そして、保持体100,100を設置面に並設させて固定した後、各配線・配管材15を各保持体100の保持部107に対して設置面13の正面側から押し込むことにより、配線・配管材15を保持体100に保持させ、所定の配設方向に配設することができる。以上の工程を経て、配線・配管材15の設置構造10を構築することができる。
【0060】
本実施形態の保持体100または保持装置11は、建造物の壁面だけでなく、図12および図13に示すような台座14に設置されてもよい。台座14は、上面に設置面を有し、長手方向において、所定の間隔で複数(ここでは4つ)の雌ねじ16aが形成されている。当該雌ねじ16aの間隔が、配線・配管材の配設ピッチP3を決定する。すなわち、当該台座14は、雌ねじ16aの間隔によって配線・配管材の配設ピッチを正確に定めることを可能とする。例えば、当該台座14は、配線・配管材の正確な配設ピッチによる配設を必要とする配電函の外部近傍に設置されてもよい。
【0061】
図12および図13に示すように、ねじからなる固定部材109が固定孔102を介して雌ねじ16aに螺着することにより、複数の保持体100が、所定の連結ピッチで台座14上に並設されて固定されている。各保持体100は、隣接する保持体100に対して第1連結部103および第2連結部104によって配設方向に係合した状態で連結している。保持体100の連結ピッチは、雌ねじ16aのピッチに合うように調整されている。すなわち、複数の保持体100は、台座14の設置面上で、配設方向の係合を維持しつつ連結して並設方向に連なり、所望の配設ピッチP3で配線・配管材を保持可能に設置されている。
【0062】
以下、本発明に係る一実施形態の保持体100(または保持装置11)の作用効果について説明する。
【0063】
本実施形態の保持体100(または保持装置11)によれば、一の保持体100の第1連結部103および他の保持体100の第2連結部104が並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合し得る連結状態を形成することにより、一の保持体100および他の保持体100を、配線・配管材15の配設方向にずれることを規制した状態で連結させつつ設置面13に容易に並設することができる。すなわち、本実施形態の保持体100は、一の保持体100と他の保持体100との間の第1連結部103および第2連結部104による連結によって、一の保持体100および他の保持体100を係合させつつ設置面13に並設することを可能とする。その結果、複数の配線・配管材15の配設作業を容易とするものである。また、本実施形態の保持体100は、一の保持体100と他の保持体100との関係において、配設方向の相対移動の規制を維持したまま、並設方向における第1および第2の相対位置で第1および第2の連結状態をそれぞれ形成し、異なる連結ピッチで2以上の保持体を並設可能であり、配線・配管材15の(配設方向に直交または交差する)並び方向の配設ピッチのずれや変更に対応することができる。したがって、本実施形態の保持体100は、配線・配管材15を並設する作業性を確保しつつ、配線・配管材15の並び方向の配設ピッチのずれに対応可能としたものである。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下に例示する別実施形態および変形例において、下二桁の符番が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0065】
(第2実施形態)
図14乃至図17を参照して、第2実施形態の保持体200について説明する。保持体200は、設置面に固定される被固定面201aを有する基部201と、該基部201に連設され、配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部207と、を備える。基部201は、円板形状の拡張部位201dを有し、被固定面201aが円状に延在している。基部201の一方側の側部201bには、第1連結部203が設けられ、基部201の他方側の側部201bには、第2連結部204が設けられている。第1連結部203および第2連結部204の構成は、第1実施形態の保持体100と同様である。すなわち、一の保持体200と他の保持体200との関係において、第1連結部203および第2連結部204は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有する。一の保持体200と他の保持体200とが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態、および、一の保持体200と他の保持体200とが第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の両方において、第1連結部203および第2連結部204が配設方向に相対移動することが規制される。
【0066】
本実施形態の保持体200は、被固定面201aを設置面に接着するための接着手段208をさらに備える。接着手段208は、設置面の種類に応じて、例えば、接着剤、両面テープ、磁石、面ファスナー等から選択され得る。当該保持体200において、接着面積をより多く確保するために被固定面201aは、被固定面101aに対して円形状に拡張されている。また、被固定面201aには、複数の凹部が形成されているが、これら凹部は、接着手段208として接着剤が選択された際、接着剤との接触面積を増加させるように機能する。
【0067】
図17に示すように、一の保持体200を接着手段208を用いて設置面13に接着し、一の保持体200が設置面13に接着した状態で他の保持体200を設置面13に沿って一の保持体200に近接または離反移動させることで、第1連結部203および第2連結部204の連結状態を形成または解除可能である。なお、接着手段208が(固化前の)接着剤や磁石である場合には、接着手段208を設置面13に当接させつつ保持体200をスライドさせることが可能である。そして、一の保持体200および他の保持体200を位置決めして設置面13に並設して接着した後、固定部材209によって本固定することができる。
【0068】
(第3実施形態)
図18および図19を参照して、第3実施形態の保持体300について説明する。保持体300は、設置面に固定される被固定面301aを有する基部301と、該基部301に連設され、配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部307と、を備える。保持体300は、第2実施形態の保持体200と大部分の構成で共通するが、その第1連結部303および第2連結部304の構成において相違する。より具体的には、第1係合凹部303bおよび第2係合凹部304bは、基部301の厚さ方向(設置面への接離方向)の上面側および被固定面301a側の両方に開放され、第2係合凸部303aおよび第2係合凸部304aを2方向から受け入れ可能である。すなわち、第1連結部303および第2連結部304は、一の保持体300および他の保持体300が並設方向に近接または離反することにより、第1連結部303および第2連結部304による連結状態を形成または解除することが可能であり、かつ、一の保持体300および他の保持体300が並設方向および配設方向と直交する方向(設置面との接離方向)から近接または離反することにより、第1連結部303および第2連結部304による連結状態を形成または解除することが可能であるように構成されている。
【0069】
図19に示すように、一の保持体300を接着手段308を用いて設置面13に接着し、一の保持体300が設置面13に接着した状態で他の保持体300を設置面13に対して近接または離間移動させることで、第1連結部303および第2連結部304の連結状態を形成または解除可能である。すなわち、接着手段308が設置面13に擦れることなく、一の保持体300および他の保持体300を連結または連結解除することができる。そして、一の保持体300および他の保持体300を位置決めして設置面13に並設した後、固定部材309によって本固定することができる。
【0070】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されず、以下に例示するように種々の変形例を取り得る。
【0071】
(1)上記実施形態では、一の保持体の第1連結部および他の保持体の第2連結部は、互いに並設方向に連結状態(配設方向に係合した状態)でスライドすることが許容されるように構成されたが、本発明はこれに限定されない。図20の保持体400および保持装置40は、上記実施形態とは異なる形態の第1連結部403および第2連結部404を有している。第1連結部403は、第1係合凸部403aおよび第1係合凹部403bを備え、第2連結部404は、第2係合凸部404aおよび第2係合凹部404bを備える。第1係合凸部403aおよび第2係合凸部404aは、2箇所で拡径した部位を有する形状をなし、第1係合凹部403bおよび第2係合凹部404bはその相補形状をなしている。本変形例において、一の保持体400と他の保持体400とが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態(図20(a)参照)、および、一の保持体400と他の保持体400とが第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態(図20(b)参照)が形成され得る。そして、第1の連結状態および第2の連結状態の両方において、第1連結部403および第2連結部404が配設方向に相対移動することが規制され得る。
【0072】
(2)上記実施形態では、1つの連結部に係合凸部および係合凹部の両方が設けられるとともに、第1連結部および第2連結部が基部の中心に対して点対称となる形状で設けられたが、本発明はこれに限定されない。図21に示す保持体500では、第1連結部503が1つの係合凹部からなり、かつ、第2連結部504が1つ係合凸部からなるように構成されている。このような構成であっても同様に、一の保持体500と他の保持体500との関係において、第1連結部503および第2連結部504は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能であるとともに、連結ピッチが異なる第1の連結状態および第2の連結状態を形成することが可能である。すなわち、第1連結部および第2連結部は、互いに連結可能な形状であれば、異なる形状であってもよい。また、連結部における凹凸要素は、任意に増減されてもよい。
【0073】
(3)上記実施形態では、第1係合凹部および第2係合凹部は、少なくとも基部の被固定面側に開放されているが、本発明はこれに限定されない。図22に示す保持体600のように、第1係合凹部603bおよび第2係合凹部604bは、基部601の厚み方向の中央に凹設され、上下において壁部で覆われていてもよい。他方、第1係合凸部603aおよび第2係合凸部604aは、基部601の上面および被固定面601aから離隔した位置で突出している。第1連結部603および第2連結部604は、並設方向に対向配置されたとき、一の保持体600および他の保持体600が並設方向に近接または離反することにより、第1連結部603および第2連結部604による連結状態を形成または解除することが可能である。
【0074】
(4)上記実施形態では、保持部は、上方に開口した一対の腕部からなるが、本発明はこれに限定されない。図23に示す保持体700は、両サドルとして形成されている。保持体700は、設置面に固定される被固定面701a,701aを有する基部701,701と、該基部701,701に連設され、配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部707とを備える。基部701,701は、中央部位に形成された保持部707の両側に延在し、各基部701には、固定部としての固定孔702が形成されている。保持部707は、設置面側から配線・配管材を導入可能に被固定面701a側に開放されたU字形状を有する。基部701の一方側の側部701bには、第1連結部703が設けられ、基部701の他方側の側部701bには、第2連結部704が設けられている。第1連結部703は、一方側の側部701b外面に凸設された第1係合凸部703aと、同じ側部701b外面に凹設された第1係合凹部703bとを備える。第2連結部704は、他方側の側部701b外面に凸設された第2係合凸部704aと、同じ側部701b外面に凹設された第2係合凹部704bとを備える。一の保持体700と他の保持体700との関係において、第1連結部703および第2連結部704は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有する。そして、本形態の保持体700においても同様に、一の保持体700と他の保持体700とが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態、および、一の保持体700と他の保持体700とが第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の両方において、第1連結部703および第2連結部704が配設方向に相対移動することが規制され得る。
【0075】
(5)上記実施形態では、保持装置は、同一形状を有する保持体から構成されたが、本発明の保持装置は、異なる形状を有する保持体の組から構成されてもよい。図24に示す保持装置80は、互いに異なる形状からなる第1保持体800Aおよび第2保持体800Bから構成されている。第1保持体800Aおよび第2保持体800Bは、設置面に固定される被固定面801aを有する基部801と、基部801に連設され、配線・配管材を配設方向に向けて保持するように構成された保持部807と、をそれぞれ備える。第1保持体800Aの基部801の片方の側部801bにのみ、第1連結部803が設けられている。また、第2保持体800Bの基部801の片方の側部801bにのみ、第2連結部804が設けられている。第1連結部803および第2連結部804は、並設方向に対向配置されたときに、互いに配設方向に係合して連結状態を形成可能な構成を有している。当該保持装置80において、第1保持体800Aと第2保持体800Bとが第1の相対位置で並設されて連結した第1の連結状態、および、第1保持体800Aと第2保持体800Bとが第1の相対位置と異なる第2の相対位置で並設されて連結した第2の連結状態の両方において、第1連結部803および第2連結部804が配設方向に相対移動することが規制され得る。
【0076】
(6)上記実施形態では、保持体は、固定孔によって設置面に固定されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、基部から固定孔を省略する代わりに、基部の被固定面に、接着剤、磁石、面ファスナー等の接着手段を形成し、当該接着手段が固定部として用いられてもよい。
【0077】
(7)本発明の保持体、保持装置および設置構造は、上述した実施形態および変形例の種々の構成を組み合わせて備えることができる。
【0078】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0079】
10 設置構造
11 保持装置
13 設置面
15 配線・配管材
16 台座
16a 雌ねじ
100 保持体
101 基部
101a 被固定面
101b 側部
101c 凹状部
102 固定孔(固定部)
103 第1連結部
103a 第1係合凸部
103b 第1係合凹部 拡径
103c 規制壁部
103d テーパー部
104 第2連結部
104a 第2係合凸部
104b 第2係合凹部
104c 規制壁部
104d テーパー部
107 保持部
107a 腕部
107b 拡開部
107c 凹溝
107d スリット
107e 突条
109 固定部材
208 接着手段
図1
図2
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