(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164234
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/14 20220101AFI20221020BHJP
【FI】
F24H1/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069595
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】弓削 良祐
(72)【発明者】
【氏名】中越 貴章
【テーマコード(参考)】
3L034
【Fターム(参考)】
3L034BA29
3L034BB03
3L034BB06
3L034BB07
(57)【要約】
【課題】出湯停止から出湯再開までの経過時間が長くなっても、再出湯時に、設定温度の湯よりも低温の湯水混合流体が出湯用カランから吐出されるのを抑制し、設定温度の湯が出湯されるまでのタイムラグを短縮することができる給湯装置を提供する。
【解決手段】加熱水路11内に水を流通させながら、湯を生成する熱交換器9の加熱水路11の上流端11aに下流端5bが接続された入水管5と、加熱水路11の下流端11bに上流端4aが接続された出湯管4と、入水管5の、下流端5bよりも上流側に位置する部分で分岐し、出湯管4の、上流端4bよりも下流側に位置する部分に接続されたバイパス管7とが設けられた給湯装置1において、バイパス管7と出湯管4の接続部CP
1と、入水管5と加熱水路11の上流端11aとの接続部CP
2とが、給湯装1の設置状態では、一水平面を基準として同一の高さに配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の並置された吸熱管が直列に接続されて構成される加熱水路を有し、加熱水路内に水を流通させながら、水を加熱して湯を生成する熱交換器と、熱交換器を加熱する加熱源とを備える給湯装置であって、
熱交換器よりも下方から熱交換器に向かってのび、熱交換器の加熱水路の上流端に下流端が接続され、加熱水路内に水を入水させる入水管と、熱交換器の加熱水路の下流端に上流端が接続され、熱交換器から離れるようにのび、加熱水路内から下方へ湯を出湯させる出湯管とが設けられ、
入水管の、下流端よりも上流側に位置する部分で分岐し、出湯管の、上流端よりも下流側に位置する部分に接続され、出湯管内に水を混入させるバイパス管が設けられるものにおいて、
バイパス管と出湯管の接続部と、入水管と加熱水路の上流端との接続部とが、給湯装置の設置状態では、一水平面を基準として同一の高さに配置されることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記熱交換器の前記加熱水路を構成する前記吸熱管の全てが、給湯装置の前記設置状態では、同一の高さに単一段で配置されることを特徴とする請求項1記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の吸熱管が並置され、直列に接続されて構成される加熱水路を有し、加熱水路内に水を流通させながら、水を加熱して湯を生成する熱交換器と、熱交換器を加熱して各吸熱管に吸熱させる加熱源とを備える給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記給湯装置の一種として、熱交換器よりも下方から熱交換器に向かってのび、熱交換器の加熱水路の上流端に下流端が接続され、加熱水路内に水を入水させる入水管と、熱交換器の加熱水路の下流端に上流端が接続され、熱交換器から離れるようにのび、加熱水路内から下方に湯を出湯させる出湯管とが設けられるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この給湯装置では、入水管の、下流端よりも上流側に位置する部分で分岐するバイパス管が、出湯管の、上流端よりも下流側に位置する部分に接続される。入水管から分岐する部分からバイパス管に流入する水は、出湯管内を流れる湯に混入され、給湯装置では所定の設定温度に調節された湯が生成される。
【0003】
上記の通りの給湯装置では、一般に、出湯停止から出湯再開までの経過時間が長くなると、再出湯時に、出湯用カランから吐出される湯の温度が一時的に低下する。その理由の一つとして、出湯停止後に出湯管内に残留する湯が、熱交換器の加熱水路内に向かって逆流することが挙げられる。
【0004】
給湯装置の設置状態では、通常、熱交換器の加熱水路の下流端と出湯管との接続部は、一水平面を基準として、出湯管とバイパス管の接続部よりも高い位置に配置されている。ここで、上記「一水平面」として、給湯装置の外郭を形成するケースの底面等が例示される。出湯停止後、出湯管内、特に、熱交換器の加熱水路の下流端から出湯管とバイパス管との接続部までの部分内には加熱された湯が残留し、バイパス管が分岐する部分よりも下流側に位置する入水管の部分内及びバイパス管内には水が残留する。湯は水に比べて比重が軽く、また、熱交換器の加熱水路の下流端から出湯管とバイパス管との接続部とまでの部分内の湯は温度が最も高いため、出湯停止後、出湯管内に残留する湯は、熱交換器の加熱水路の下流端に向かって上昇しようとする。この流れが、湯の逆流である。湯の逆流に付随して、熱交換器の加熱水路の上流端側の部分内や入水管内の水は、出湯管の上流端よりも低い位置にあるバイパス管やバイパス管の下流側に接続される出湯管まで下降しようとする。
【0005】
上記の通りの湯の逆流とこれに付随する水の下降とによって、入水管の前記部分内及びバイパス管内に残留する水が、バイパス管と出湯管の接続部から出湯管内に流入する。流入する水は、出湯管内の湯に混入し、出湯停止直後に出湯管内に残留していた設定温度の湯より温度の低い湯水混合流体になる。
【0006】
その結果、出湯停止から出湯再開までの経過時間が長いと、所定の設定温度よりも低温の湯水混合流体が出湯用カランから吐出されると共に、設定温度の湯が出湯されるまでにタイムラグが生じる。設定温度よりも低温の湯水混合流体の吐出及び設定温度の湯が吐出されるまでのタイムラグは、給湯装置のユーザーに不快感を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、出湯停止から出湯再開までの経過時間が長くなっても、再出湯時に、設定温度の湯よりも低温の湯水混合流体が出湯用カランから吐出されるのを抑制すると共に、設定温度の湯が出湯されるまでのタイムラグを短縮することができる給湯装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の給湯装置は、複数本の並置された吸熱管が直列に接続されて構成される加熱水路を有し、加熱水路内に水を流通させながら、水を加熱して湯を生成する熱交換器と、熱交換器を加熱する加熱源とを備える給湯装置であって、熱交換器よりも下方から熱交換器に向かってのび、熱交換器の加熱水路の上流端に下流端が接続され、加熱水路内に水を入水させる入水管と、熱交換器の加熱水路の下流端に上流端が接続され、熱交換器から離れるようにのび、加熱水路内から下方に湯を出湯させる出湯管とが設けられ、入水管の、下流端よりも上流側に位置する部分で分岐し、出湯管の、上流端よりも下流側に位置する部分に接続され、出湯管内に水を混入させるバイパス管が設けられるものにおいて、バイパス管と出湯管の接続部と、入水管と加熱水路の上流端との接続部とが、給湯装置の設置状態では、一水平面を基準として同一の高さに配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の給湯装置によれば、湯と水に比重差はあっても、給湯装置の設置状態における一水平面を基準とする、バイパス管と出湯管の接続部の高さと、入水管と加熱水路の上流端との接続部の高さとが同一であるため、出湯停止後、入水管内およびバイパス管内の、温度が同じであり、即ち比重が同じである水は、出湯管側に移動することができない。このため、出湯管内に残留する湯も熱交換器に向かって上昇することができず、熱交換器の加熱水路内を湯が逆流するのを抑制することができる。したがって、出湯停止から出湯再開までの経過時間が長くなっても、再出湯時に、設定温度よりも低温の上記湯水混合流体が出湯用カランから吐出されるのを抑制することができる。
【0011】
本発明の給湯装置においては、上記熱交換器の上記加熱水路を構成する上記吸熱管の全てが、給湯装置の上記設置状態では、同一の高さに単一段で配置されることが望ましい。全ての吸熱管が同一の高さに配置される単一段の加熱水路を有する熱交換器では、同様な加熱水路を上下に複数段配して直列に接続した熱交換器に比べ、熱交換器の、加熱水路の上流端の水温と加熱水路の下流端の湯温とを、複数段配して直列に接続した熱交換器の上記水温及び湯温と同じにする場合、加熱水路の温度変化幅が大きい。例えば、加熱水路を上下2段に配して直列に接続し、下段の加熱水路に上流端を設け、上段の加熱水路に下流端を設けた熱交換器では、上段の加熱水路内には下段の加熱水路で加熱された後の比較的温かい湯が流通するため、上段の加熱水路内は、比重の比較的小さい湯が残留し、加熱水路内の温度変化幅が小さくなる。これに対し、加熱水路が単一段である熱交換器では、全ての吸熱管が同一の高さに配置されているため、加熱水路内に湯と水が残留し、加熱水路内の温度変化幅が大きくなる。さらに、加熱水路が単一段である熱交換器は、加熱水路が複数段(上記では2段で説明)である熱交換器と比べ、同じ熱量を吸熱するためには、一段当たりの加熱水路の長さが長くなると共に、内部に残留する湯水の量も多くなる。したがって、全吸熱管が同一の高さに単一段で配置される加熱水路を有する熱交換器の方が、出湯停止後に加熱水路内の湯と水の移動を妨げにくくなり、また、出湯管内の湯が上昇して加熱水路に逆流する余裕があり、湯の逆流が起こりやすい。しかしながら、上記の通り、バイパス管と出湯管の接続部と、入水管と加熱水路の上流端との接続部とは同一の高さに配置されるため、単一段の加熱水路を有する熱交換器の方が、湯の逆流の抑制が顕在化する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の給湯装置の一実施形態を示す斜視図。
【
図2】
図1に示す給湯装置の主要部を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本実施形態の給湯装置1を説明する。以下の説明における「上下」とは、給湯装置1の設置状態での上下に相当する。
【0014】
図1を参照して、本実施形態の給湯装置1は、家屋等の建物の外壁等にボルト等により締結されて設置される。このために、給湯装置1が備えるケース2には、建物の外壁等に対向する背面2aの下端から下方に突出する下部固定片3が設けられていると共に、背面2aの上端から上方に突出する、下部固定片3と同様に機能する上部固定片が設けられている(図示省略)。また、ケース2には、ケース2内を下方にのび、底面2bから垂下する、後述する出湯管の下流端部4aと、底面2bに垂直に交わり、ケース2内に進入する、後述する入水管の上流端部5aと、燃料ガス供給管(図示省略)の上流端部6が夫々下方に突出している。出湯管の下流端部4aには、出湯用カランに至る給湯配管が接続され、入水管の上流端部5aには、水道管に接続された給水配管が接続される。同様に、燃料ガス供給管の上流端部6には、燃料ガスの供給元に連通する燃料ガス配管が接続される。
【0015】
さらに、ケース2の上端には、図示省略の給気筒及び排気筒が径方向の内方と外方とで夫々独立して設けられた、上方にのびる円筒状の給排気筒Tが設けられている。給排気筒Tは、ケース2の外部の空気を後述するファンの回転によってケース2内に吸引する。ケース2内に吸引された空気は、ケース2内に設けられた後述する燃焼筐内で上記燃料ガス供給管を通じて供給される燃料ガスと混合され、混合気とされる。また、給排気筒Tは、上記燃焼筐内での混合気の燃焼によって生じる燃焼ガスをケース2の外部に排気する。
【0016】
図2を参照して、バイパス管7は、入水管5の、
図1に示す上流端部5aよりも下流側に位置する部分で、且つ下流端5bよりも上流側に位置する部分で、入水管5から分岐している。給湯装置1の主要部MPは、
図1に示すケース2内に収納されている。主要部MPは、燃焼筐8と、燃焼筐8の上端部に取り付けられた熱交換器9と、燃焼筐8の下方に配置されたファン10とを備えている。また、主要部MPは、
図1に示すケース2内を熱交換器9に向かって上方にのびる入水管5と、ケース2内で熱交換器9から離れるように下方に延びる出湯管4と、ケース2内で入水管5から上記の通りに分岐し、出湯管4の下流側の部分に接続されたバイパス管7とを備えてもいる。
【0017】
ここで、燃焼筐8及び熱交換器9において、
図1に示すケース2の背面2aに対向する部分を、夫々、背面8a,9aと呼称する。また、図示を簡略化しているが、
図1に示す入水管5の上流端部5aには、水道管に接続された給水配管WSPが接続される。したがって、バイパス管7は、入水管5から分岐する部分よりも上流側に位置し、上流端部5aに至るまでの入水管5の部分を介して給水配管WSPに接続される。出湯管4の下流端部4aには、出湯用カランに至る給湯配管HSPが接続される。
【0018】
図3も参照して、入水管5は、ファン10を迂回して熱交換器9よりも下方に位置する上流端部5aから上方にのび、下流端5bが、熱交換器9の背面9aから突出している、加熱水路11の上流端11aに接続されている。
【0019】
出湯管4の上流端4bは、加熱水路11の下流端11bに接続されている。加熱水路11の下流端11bは、熱交換器9の側面9cの外側に配置されている。出湯管4は、加熱水路11の下流端11bから熱交換器9の側面9cに平行に、且つ熱交換器9及び背面9aに対向する正面9bの両方に直交する方向に直線状にのび、背面9aに至るまでの途中で下方に屈曲している。入水管5の上記部分で入水管5から分岐するバイパス管7は、出湯管4の、上流端4bから下方に屈曲するまでの直線状の部分4cの下側に下流端7aが接続されている。なお、本実施形態では、加熱水路11の下流端11bに出湯管4の上流端4bが接続され、出湯管の直線状の部分4cの下側にバイパス管7の下流端7aを接続しているが、加熱水路11の下流端11bを出湯管4の一部とみなすこともできる。また、加熱水路11の下流端11bは、後述するように、熱交換器9で最も下流側に位置し、熱交換器9の正面9bから突出する部分の一端とみなすこともできる。いずれの場合も、バイパス管7の下流端7aは、加熱水路11の下流端11b等の下流端に接続された出湯管4の部分の下側に接続される。
【0020】
熱交換器9の内部には、複数のフィン12が、正面9bから背面9aまでの中空部に設けられ、各フィン12は、正面9b及び背面9aに平行に配置されている。加熱水路11は、上流端11aを形成する、上流端を有する1本の直管状の第1吸熱管13、第1吸熱管13と直管部分14aが平行に配置される4本のU字管状の第2吸熱管14、第1吸熱管13の下流端と、その隣に位置する第2吸熱管14の直管部分14aの上流端とを接続するU字状の第1ベント管15、隣接する2本の第2吸熱管14の各直管部分14aの下流端と上流端を接続する,第1ベント管15と同様な第2ベント管16、及び最も下流側に位置する第2吸熱管14の直管部分14aの下流端に接続され、下流端が、加熱水路11の下流端11bを形成する、第1ベント管15及び第2ベント管16と同様な第3ベント管17から形成されている。第1吸熱管13及び各第2吸熱管14は、第1ベント管15及び第2ベント管16を介して直列に接続されると共に、第3ベント管17が、加熱水路11の最も下流側に位置する第2吸熱管14に直列に接続されている。したがって、加熱水路11は、上流端11aから下流端11bまでを蛇行している。なお、加熱水路11の下流端は、熱交換器9で最も下流側に位置する第2吸熱管14の直管部分14aの、第3ベント管17の上流端が接続される下流端としてもよい。この場合、出湯管4は、第3ベント管17から直線状の部分4cまで至る管を含むものとしてみなすことができる。
【0021】
なお、第1吸熱管13の下流端と、第2吸熱管14の直管部分14aの上流端及び下流端とは、熱交換器9の正面9bの外側に突出している。したがって、第1ベント管15、第2ベント管14及び第3ベント管17も、熱交換器9の正面9bの外側に突出している。一方、各第2吸熱管14のUターン部分14bは、第1吸熱管13の上流端と同様に、熱交換器9の背面9aの外側に突出している。第1吸熱管13及び各第2吸熱管14は、各フィン12と共に、熱伝導率の高い、例えば銅等の金属から形成されている。
【0022】
図3に示すように、熱交換器9では、側面9cから、側面9cに対向し、加熱水路11の最も上流側の部分に位置する他方の側面9dまでの間を、第1吸熱管13及び各第2吸熱管14の直管部分14aが、所定の間隔を存して並置されると共に、各フィン12をこれに直交する方向に貫通している。また、第1吸熱管13及び各第2吸熱管14の直管部分14aの全てが、
図1に示す給湯装置1において同一の高さに配置されている。ここで、「高さ」とは、設置状態での給湯装置1のケース2の底面2b等の一水平面を基準としての高さを言う。言い換えれば、第1吸熱管13及び各第2吸熱管14の直管部分14aの全ては、夫々の中心線13a,14cが同一の水平面HP内に存して配置されている。また、第1吸熱管13及び各第2吸熱管14の直管部分14aだけでなく、
図2に示す、各第2吸熱管14のUターン部分14b、第1ベント管15、第2ベント管16、及び第3ベント管17も、第1吸熱管13及び各第2吸熱管14の直管部分14aの全てと同一の高さに配置されている。
【0023】
このような熱交換器9が上端部に取り付けられた燃焼筐8内には、燃焼筐8の側面8bから、側面8bに対向し、熱交換器9の側面9cの下方に配置される側面8cまでの下部に、バーナ18が設けられている。バーナ18は、隙間を存して並設された計19本の単位バーナ18aを備えている。バーナ18では、各単位バーナ18aは、燃焼筐8の
図1に示す背面8a側から、背面8aに対向する正面側に向かって配列されている。
【0024】
従来の給湯装置と同様に、
図1に示す、上記燃料ガス供給管の上流端部6に接続される燃料ガス配管を経て、ケース2内に進入する上記燃料ガス供給管からガスマニホールド(図示省略)を介して供給される燃料ガスは、ファン10の作動により
図1に示す給排気筒Tの上記給気筒から吸引されるケース2の外部の空気の一部である一次空気と混合され、燃料ガスと一次空気の混合気が単位バーナ18a内に供給される。また、単位バーナ18aの上端の炎口部には、単位バーナ18aの隙間を通じて上記給気筒から吸引される空気の残部が二次空気として供給される。そして、イグナイタの作動に伴う点火電極のスパークによる火花によって各単位バーナ18aが点火され、バーナ18が点火される。バーナ18が点火されると、混合気が燃焼して生ずる燃焼ガスは、バーナ18の上方の燃焼室8dから熱交換器9に向かい、各フィン12の間を通過して
図1に示す給排気筒Tの上記排気筒からケース2の外部に排気される。燃焼ガスが熱交換器9の各フィン12の間を通過する時に、燃焼ガスの顕熱が、各フィン12に吸熱され、第1吸熱管13及び各第2吸熱管14の直管部分14aに伝熱される。また、バーナ18の点火時には、入水管5を通じて水が、
図2に示す下流端5bから熱交換器9の加熱水路11の上流端11aに供給され、加熱水路11内を流通する。加熱水路11内を流通する水は、熱交換器9の第1吸熱管13及び各第2吸熱管14の直管部分14aに伝熱された熱によって加熱され、湯となり、加熱水路11の下流端11bから上流端4bを通じて出湯管4内に流出する。
【0025】
なお、上記イグナイタ及び上記点火電極は、従来の給湯装置に装備されるものであるので、図示を省略している。また、バーナ18の点火及び入水管5内を通じての加熱水路11内への水の入水及び加熱水路11内から出湯管4内への湯の出湯は、上記出湯用カランがユーザーにより開操作されることによって開始される。同様に、上記出湯用カランがユーザーにより閉操作されることによって、上記出湯用カランからの湯の吐出が停止され、加熱水路11内の水の流通も停止し、バーナ18は消火される。このような給湯装置1の自動運転も従来の給湯装置と同様である。しがって、給湯装置1の自動運転のために設けられる、給水及び出湯用のバルブユニット、燃料ガスの供給及び停止用のバルブユニット、並びに上記イグナイタ及び上記各バルブユニットの動作を制御するコントローラ等も図示を省略している。
【0026】
そして、給湯装置1では、
図2に示すように、バイパス管7と出湯管4の接続部CP
1が、入水管5と加熱水路11の上流端11aとの接続部CP
2と同一の高さに配置されている。具体的には、接続部CP
1は、出湯管4の直線状の部分4cにバイパス管7の下流端7aが接続された部分であり、接続部CP
2は、加熱水路11の上流端11aと入水管5の下流端5bが接続された部分である。また、「同一の高さ」とは、上記の通り、給湯装置1の設置状態での
図1に示すケース2の底面2b等の一水平面を基準にしている。そして、接続部CP
1の高さが接続部CP
2の高さが同一であるとは、
図3に示すように、出湯管4の直線状の部分4cの中心線4c
1と、バイパス管7の下流端7aの中心線7a
1との交点IPと、加熱水路11の一部を構成する第1吸熱管13の中心線13aとが、
図4に示す水平面HP内に存すると言い換えることもできる。
【0027】
一般に、加熱水路11の上流端11aでの水温は5~25℃程度であり、下流端11bでの湯温は50~70℃程度である。水の比重は、4℃を超えると、温度が上昇するにつれて低下する。したがって、加熱水路11の下流端11bでの湯は、加熱水路11の上流端11aでの水よりも軽い。しかしながら、上記の通り、バイパス管7と出湯管4の接続部CP1の高さと、入水管5と加熱水路11の上流端11aとの接続部CP2の高さとが同一であるため、水と湯には比重差はあっても、給湯装置1では、出湯停止後、出湯管4内に残留する湯が出湯管4内を上昇したり、加熱水路11の上流端11a側や入水管5内、バイパス管7内に残留する水が出湯管4側に流入したりすることがない。したがって、出湯停止から出湯再開までの経過時間が長くなっても、再出湯時に、湯と水が混ざり合った、設定温度よりも低温の湯水混合流体が出湯用カランから吐出するのを抑制することができる。
【0028】
また、給湯装置1では、
図3及び
図4に示すように、熱交換器9の加熱水路11を形成する第1吸熱管13、第2吸熱管14、第1ベント管15、第2ベント管16、及び第3ベント管17の全てが同一の高さに配置されている。このように、全ての吸熱管13,14が同一の高さに配置される単一段の加熱水路11を有する熱交換器9では、同様な加熱水路11を上下に複数段配して直列に接続した熱交換器に比べ、熱交換器9の、加熱水路11の上流端11aの水温と加熱水路11の下流端(11b等)の湯温とを、複数段配して直列に接続した熱交換器の上記水温及び湯温と同じにする場合、加熱水路11の温度変化幅が大きい。例えば、加熱水路11を上下2段に配して直列に接続し、下段の加熱水路11に上流端11aを設け、上段の加熱水路に下流端(11b等)を設けた熱交換器では、上段の加熱水路11内には下段の加熱水路11で加熱された後の比較的温かい湯が流通するため、上段の加熱水路11内は、比重の比較的小さい湯が残留し、加熱水路11内の温度変化幅が小さくなる。これに対し、加熱水路11が単一段である熱交換器9では、全ての吸熱管13,14が同一の高さに配置されているため、加熱水路11内に湯と水が残留し、加熱水路11内の温度変化幅が大きくなる。さらに、加熱水路11が単一段である熱交換器9は、加熱水路11が複数段(上記では2段で説明)である熱交換器と比べ、同じ熱量を吸熱するためには、一段当たりの加熱水路11の長さが長くなると共に、内部に残留する湯水の量も多くなる。したがって、全吸熱管13,14が同一の高さに単一段で配置される加熱水路11を有する熱交換器9の方が、出湯停止後に加熱水路11内の湯と水の移動を妨げにくくなり、また、出湯管4内の湯が上昇して加熱水路11に逆流する余裕があり、湯の逆流が起こりやすい。しかしながら、上記の通り、バイパス管7と出湯管4の接続部CP
1と、入水管5と加熱水路11の上流端11aとの接続部CP
2とは同一の高さに配置されるため、単一段の加熱水路11を有する熱交換器9の方が、湯の逆流の抑制が顕在化する。
【0029】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、加熱水路11を構成する吸熱管の形状、本数等には特に制限はない。また、入水管5、出湯管4及びバイパス管7の形状等についても同様である。さらに、主要部MPを除くバルブユニット、コントローラ及びバーナ18等の構成及び構造についても同様である。さらにまた、バイパス管7と出湯管4の接続部CP1が、入水管5と加熱水路11の上流端11aとの接続部CP2と同一の高さに配置される限り、熱交換器9には、高さの異なる複数の加熱水路11を設けることができる。この場合、例えば、各加熱水路11の入水管5の下流端5b及び出湯管4の上流端4bの付近に、高さ方向に分岐するヘッダー等を介設することによって、各加熱水路11を熱交換器9の異なる高さに配置することができ、各加熱水路11は並列に接続される。また、この場合のバイパス管7と出湯管4の接続部CP1は、ヘッダー等での分岐部の上流側に配置し、入水管5と加熱水路11の上流端11aとの接続部CP2は、ヘッダーでの分岐部の下流側に配置する。
【0030】
そして、本発明は、熱交換器9が暖房用の熱交換器と並設される給湯装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1…給湯装置、4…出湯管、4b…出湯管4の上流端、5…入水管、5b…入水管5の下流端、7…バイパス管、9…熱交換器、11…加熱水路、11a…加熱水路の上流端、13…吸熱管(第1吸熱管),14…吸熱管(第2吸熱管)、18…加熱源(バーナ)、CP1…バイパス管7と出湯管4の接続部、CP2…入水管5と加熱水路11の上流端11aとの接続部。