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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164251
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】医用情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20221020BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069631
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野呂 和正
(72)【発明者】
【氏名】狩野 佑介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 優大
(72)【発明者】
【氏名】有田 亘佑
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】効率的に必要な診療情報を参照できる医用情報処理装置を提供する。
【解決手段】効率的に必要な診療情報を参照できるようにする医用情報処理装置100において、処理回路150は、抽出機能153と、選択機能155と、表示制御機能151とを備える。抽出機能153は、診療に用いられる種々のデータを示す診療情報に含まれるテキストデータを示す第1診療データから、臨床的な意味を持つ文字列を、診療情報を参照するための視点を示すトピックとして抽出する。選択機能155は、抽出部が抽出したトピックから、ユーザの入力に応じて、1のトピックを選択する。表示制御機能151は、診療情報に含まれる、対象被検体の状態を表す1以上のデータを含む第2診療データのうち、選択部が選択した1のトピックと関連するデータを表示装置に表示する制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療に用いられる種々のデータを示す診療情報に含まれるテキストデータを示す第1診療データから、臨床的な意味を持つ文字列を、前記診療情報を参照するための視点を示すトピックとして抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記トピックから、ユーザの入力に応じて、1の前記トピックを選択する選択部と、
前記診療情報に含まれる、対象被検体の状態を表す1以上のデータを含む第2診療データのうち、前記選択部が選択した1の前記トピックと関連する前記データを表示装置に表示する制御を行う表示制御部と、
医用情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、診療情報の参照目的に応じた前記文字列を抽出するための条件を示す抽出条件に従い、前記第1診療データから、前記文字列を前記トピックとして抽出する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記抽出条件には、疾患名、診療科名、被検体を識別する被検体識別情報、医師を識別する医師識別情報のうち、少なくとも1つが含まれる、
請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記トピックの重要さの程度を示す重要度を算出する第1算出部を更に備える、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第1算出部が算出した前記トピックの重要度に応じて、前記トピックを並び替えて表示する制御を行う、
請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記抽出部が抽出した前記文字列を解析し、同義語、類義語、及び略語については1のトピックとして集約する集約部を更に備える、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
複数の前記トピック間の関係性の程度を示す関連度を算出する第2算出部と、
前記第2算出部が算出した前記関連度に応じて、1又は複数の前記トピックを集約してトピックグループを生成する生成部を更に備える、
請求項6に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記第2診療データの種類を示す分類情報に従って、前記第2診療データを配置して前記表示装置に表示する制御を行う、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記表示装置のサイズに合わせ、前記第2診療データの表示サイズ及び配置を変化させる制御を行う、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、ユーザが現在参照しているトピックよりも前に参照したトピックを示すトピック履歴を表示し、
前記選択部は、前記トピック履歴から、1の前記トピックを選択する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記抽出部が抽出した前記トピックの中から、ユーザにより指定された文字列と少なくとも一部が一致するトピックを検索する検索部を更に備える、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記検索部は、ユーザにより指定された文字列と、同義又は類義のトピックを検索する、
請求項11に記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記トピックと1以上の前記第2診療データとを対応付けた対応情報に基づいて、前記選択部が選択した1の前記トピックと対応する1以上のデータを表示装置に表示する制御を行う、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の医用情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、医用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療の現場で用いられている診療情報は、検体検査データ、医用画像データ、及び電子カルテデータ等、様々な種類が存在している。医師はこれらの情報を総合的に見て、被検体(例えば、患者)の診断や治療等を行うことになる。そこで、例えば、診断の効率化のため、医師が診断を行う際に必要な種々の診療データを、診断を支援するための情報と共に1つの画面上に表示する技術が提案されている。
【0003】
しかしながら、診療情報を参照する視点が変わった場合(例えば、医師が「診断がついたので、次は治療方針を検討しよう」等と考えた場合)、医師は、診療情報を参照する視点に応じて、必要な診療情報を収集し直す必要がある。これにより、診療情報の参照が非効率的になり、重要な診療情報の見落としが発生する可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-222478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、効率的に必要な診療情報を参照できるようにすることである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本願明細書に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1実施形態に係る医用情報処理装置は、抽出部と、選択部と、表示制御部とを備える。抽出部は、診療に用いられる種々のデータを示す診療情報に含まれるテキストデータを示す第1診療データから、臨床的な意味を持つ文字列を、診療情報を参照するための視点を示すトピックとして抽出する。選択部は、抽出部が抽出したトピックから、ユーザの入力に応じて、1のトピックを選択する。表示制御部は、診療情報に含まれる、対象被検体の状態を表す1以上のデータを含む第2診療データのうち、選択部が選択した1のトピックと関連するデータを表示装置に表示する制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係るトピックの抽出処理の一例を示すイメージ図である。
図3図3は、第1実施形態に係る関連するトピック表示画面の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る選択したトピックと関連する診療データを決定する処理の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る診療データ分類及び診療データ表示の一例を示すイメージ図である。
図6図6は、第1実施形態に係るデータ表示画面の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るデータ表示画面の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係るトピック検索処理の一例を示すイメージ図である。
図9図9は、第1実施形態に係る医用情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図11図11は、第2実施形態に係る同義のトピックの集約処理の一例を示すイメージ図である。
図12図12は、第2実施形態に係る医用情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、第3実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図14図14は、第3実施形態に係る関連するトピックの集約処理の一例を示すイメージ図である。
図15図15は、第3実施形態に係る関連するトピックグループの生成処理の一例を示すイメージ図である。
図16図16は、第3実施形態に係る関連するトピック表示画面の一例を示すイメージ図である。
図17図17は、第3実施形態に係る関連するトピック表示画面の一例を示すイメージ図である。
図18図18は、第3実施形態に係る医用情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、本実施形態に係る医用情報処理装置100は、ネットワーク200を介して、検体検査システム300、放射線部門システム400、電子カルテシステム500等と通信可能に接続される。例えば、医用情報処理装置100及び各システムは病院等に設置され、院内LAN等のネットワーク200によって相互に接続される。
【0010】
検体検査システム300は、被検体に対して実施された検体検査に関する診療データを生成し、システム内の記憶回路に記憶する。そして、検体検査システム300は、医用情報処理装置100からの要求に応じて、記憶回路に記憶されている診療データを医用情報処理装置100に送信する。
【0011】
放射線部門システム400は、被検体に対して実施されたバイタルや画像検査に関する診療データを生成し、システム内の記憶回路に記憶する。例えば、放射線部門システム400は、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)等を含む。
【0012】
また、画像検査には、X線CT(Computed Tomography)装置によって撮像されたCT画像を用いた検査や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置によって撮像されたMR画像を用いた検査、超音波診断装置によって撮像された超音波画像を用いた検査、X線診断装置によって撮像されたX線画像を用いた検査等が含まれる。
【0013】
放射線部門システム400は、医用情報処理装置100からの要求に応じて、記憶回路に記憶されている診療データを医用情報処理装置100に送信する。
【0014】
電子カルテシステム500は、被検体に対して実施された処方や看護記録に関する診療データを生成して、システム内の記憶回路に記憶する。そして、電子カルテシステム500は、医用情報処理装置100からの要求に応じて、記憶回路に記憶されている診療データを医用情報処理装置100に送信する。
【0015】
医用情報処理装置100は、ネットワーク200を介して、検体検査システム300、放射線部門システム400、及び電子カルテシステム500から各種の診療データを取得し、取得した診療データを用いて各種の情報処理を行う。例えば、医用情報処理装置100は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ、タブレット端末等のコンピュータ機器によって実現される。
【0016】
具体的には、医用情報処理装置100は、NW(network)インタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。
【0017】
NWインタフェース110は、処理回路150に接続されており、医用情報処理装置100と各システムとの間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、NWインタフェース110は、各システムから診療データを受信し、受信した診療データを処理回路150に出力する。例えば、NWインタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0018】
記憶回路120は、処理回路150に接続されており、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路120は、各システムから受信した診療データを記憶する。例えば、記憶回路120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0019】
入力インタフェース130は、処理回路150に接続されており、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース130は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路150に出力する。
【0020】
例えば、入力インタフェース130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、入力インタフェース130は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。
【0021】
例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
【0022】
ディスプレイ140は、処理回路150に接続されており、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ140は、処理回路150から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ140は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。なお、ディスプレイ140は、表示装置の一例である。
【0023】
処理回路150は、入力インタフェース130を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、医用情報処理装置100の構成要素を制御する。具体的には、処理回路150は、NWインタフェース110から出力される診療データを記憶回路120に記憶させる。また、処理回路150は、記憶回路120から診療データを読み出し、ディスプレイ140に表示する。例えば、処理回路150は、プロセッサによって実現される。
【0024】
以上、本実施形態に係る医用情報処理装置100の全体構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係る医用情報処理装置100は、医師等の操作者が効率的に必要な診療情報を参照できるように構成されている。
【0025】
具体的には、本実施形態では、記憶回路120が、検体検査システム300、放射線部門システム400、及び電子カルテシステム500から取得した各種の診療データを含む統合診療DB(Data Base)を記憶する。ここで、統合診療DBに記憶される診療データには、数値(計測値)や画像、診療記録等の情報と、それらの記録日時を示す情報とが含まれる。
【0026】
例えば、統合診療DBには、検体検査データ、バイタルデータ、医用画像データ、処方データ、看護記録データ等が含まれる。検体検査データは、検体検査システム300から取得した検体検査に関する診療データである。また、バイタルデータは、放射線部門システム400から取得したバイタルに関する診療データである。また、医用画像データは、放射線部門システム400から取得した画像検査に関する診療データである。
【0027】
また、処方データは、電子カルテシステム500から取得した処方に関する診療データである。また、看護記録データは、電子カルテシステム500から取得した看護記録に関する診療データである。
【0028】
なお、統合診療DBに記憶される診療データは、検体検査システム300、放射線部門システム400、及び電子カルテシステム500それぞれから取得されたデータそのものでもよいし、各システムから取得したデータを統合したものであってもよいし、2次利用を目的として作成された情報であってもよい。
【0029】
また、記憶回路120は、ディスプレイ140の画面サイズ等を示すディスプレイ情報を記憶する。また、記憶回路120は、検体検査データ、バイタルデータ、医用画像データ、処方データ、及び看護記録データ等の分類を示す分類情報を記憶する。さらに、記憶回路120は、画面サイズ毎の診療データ(項目)の最大表示数を示す項目数情報を記憶する。
【0030】
そして、本実施形態では、処理回路150が、表示制御機能151と、設定機能152と、抽出機能153と、第1算出機能154と、選択機能155と、第2算出機能156と、決定機能157と、検索機能158と、を有する。
【0031】
なお、表示制御機能151は、表示制御部の一例である。また、抽出機能153は、抽出部の一例である。また、第1算出機能154は、第1算出部の一例である。また、選択機能155は、選択部の一例である。また、第2算出機能156は、第2算出部の一例である。また、決定機能157は、決定部の一例である。また、検索機能158は、検索部の一例である。
【0032】
表示制御機能151は、各種情報をディスプレイ140に表示する制御を行う。表示処理の詳細については、以下で説明する各機能の説明と併せて説明する。
【0033】
設定機能152は、診療情報の参照目的に応じた、臨床的な意味を持つ文字列を抽出するための条件を示す抽出条件を設定する。設定機能152は、ユーザが入力した文字列を抽出条件として設定する。
【0034】
例えば、診療の対象となる対象患者に関係する疾患として、「ファロー四徴症」があり、ユーザ(医師)が「ファロー四徴症」に関連する情報を参照したいと考えている場合、ユーザは、「ファロー四徴症」を抽出条件として入力する。この場合、設定機能152は、「ファロー四徴症」を抽出条件として設定する。
【0035】
なお、ここでは、疾患名を抽出条件としているが、抽出条件は、患者を識別する患者ID、診療を担当する医師を識別する医師ID、診療科を示す診療科名等であってもよい。また、これらの組み合わせを抽出条件としてもよい。また、設定機能152は、医用情報処理装置100のユーザを識別するユーザIDから担当の医師、診療科等を特定し、それらを自動的に抽出条件として設定してもよい。
【0036】
抽出機能153は、診療に用いられる種々のデータを示す診療情報に含まれるテキストデータを示す第1診療データから、臨床的な意味を持つ文字列を、診療情報を参照する視点を示すトピックとして抽出する。
【0037】
第1診療データとしては、例えば、検体検査データ、バイタルデータ、処方データ、看護記録データ等の診療データ(診療情報の一例)に含まれるテキストデータが挙げられる。また、他の第1の診療データとしては、医用画像データ(診療情報の一例)の属性を示すメタデータ(DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)タグ等)が挙げられる。
【0038】
具体的には、抽出機能153は、診療情報の参照目的に応じた、臨床的な意味を持つ文字列を抽出するための条件を示す抽出条件に従い、第1診療データから、臨床的な意味を持つ文字列をトピックとして抽出する。
【0039】
より具体的には、抽出機能153は、設定機能152が設定した抽出条件に従い、辞書、コーパス、及びオントロジー等の言語リソースを用いた、公知の自然言語処理技術(固有表現抽出等)により、第1診療データから臨床的な意味を持つ文字列を抽出する。
【0040】
なお、抽出条件が疾患名等を示す文字列として設定されている場合、抽出機能153は、当該疾患名等を示す文字列の同義語、類義語、及び略語に関連する文字列についてもトピックとして抽出する。
【0041】
以下、トピックの抽出について図2を用いて説明する。図2は、トピックの抽出処理の一例を示すイメージ図である。
【0042】
この例では、対象患者Pに関連する1以上の疾患Dの1つとして「ファロー四徴症」があり、医師が「ファロー四徴症」をトピックの抽出条件として入力した場合について説明する。この場合、まず、設定機能152は、「ファロー四徴症」を抽出条件Cとして設定する。
【0043】
抽出機能153は、統合診療DBを参照し、検体検査データ等の診療データに含まれるテキストデータから、既存の自然言語処理技術により、「ファロー四徴症」、「ファロー四徴症」の同義語「Fallot四徴症」、及び「ファロー四徴症」の略語「TOF」に関連する、浮腫、胸痛、息切れ等の臨床的な意味を持つ文字列Wをトピックとして抽出する。
【0044】
図1に戻り、説明を続ける。第1算出機能154は、トピックの重要さの程度を示す重要度を算出する。具体的には、第1算出機能154は、抽出機能153が抽出した各トピックについて、当該トピックの出現確率及び参照確率に基づいて、重要度を算出する。
【0045】
以下、重要度の算出処理について説明する。この例では、「浮腫」というトピックの重要度を算出する場合について説明する。この場合、まず、第1算出機能154は、「浮腫」の出現確率を算出する。第1算出機能154は、例えば、抽出機能153が抽出したトピックの総数(延べ数)に対する抽出機能153が抽出した「浮腫」の総数(延べ数)の割合から、「浮腫」の出現確率を算出する。
【0046】
なお、対象患者に「浮腫」というトピックがどの程度の確率で出現しているのかという観点から、第1算出機能154は、抽出機能153が抽出した「浮腫」の総数に対する抽出機能153が対象患者の第1診療データから抽出した「浮腫」の総数の割合から、「浮腫」の出現確率を算出してもよい。
【0047】
また、ある期間において「浮腫」というトピックがどの程度の確率で出現しているのかという観点から、第1算出機能154は、抽出機能153が抽出した「浮腫」の総数に対する抽出機能153がある一定期間中(例えば、直近1か月)に抽出した「浮腫」の総数の割合から、「浮腫」の出現確率を算出してもよい。さらに、場面に応じて、上述した複数の算出法を使い分けてもよいし、複数の算出法を組み合わせてもよい。
【0048】
次に、第1算出機能154は、「浮腫」の参照確率を算出する。第1算出機能154は、例えば、ユーザによるトピックの参照総数(延べ数)に対するユーザによる「浮腫」の参照総数(延べ数)の割合から、「浮腫」の参照確率を算出する。
【0049】
なお、対象患者の診療において「浮腫」というトピックがどの程度の確率でユーザに参照されているのかという観点から、第1算出機能154は、ユーザによる「浮腫」の参照総数に対する対象患者の診療における「浮腫」の参照総数の割合から、「浮腫」の参照確率を算出してもよい。
【0050】
また、ある期間において「浮腫」というトピックがどの程度の確率で参照されているのかという観点から、第1算出機能154は、ユーザによる「浮腫」の参照総数に対する一定期間(例えば、直近1か月)における「浮腫」の参照総数の割合から、「浮腫」の参照確率を算出してもよい。さらに、場面に応じて、上述した複数の算出法を使い分けてもよいし、複数の算出法を組み合わせてもよい。
【0051】
そして、第1算出機能154は、「浮腫」の出現確率と「浮腫」の参照確率との和から「浮腫」の重要度を算出する。なお、出現確率と参照確率との何れを重要視するかによって、夫々に重み付けを行ってもよい。
【0052】
その後、表示制御機能151は、第1算出機能154が算出したトピックの重要度に応じて、トピックを並び替えてディスプレイ140に表示する制御を行う。
【0053】
以下、図3を用いてトピックの表示処理について説明する。図3は、トピック表示画面の一例を示す図である。
【0054】
抽出機能153により、トピックが抽出されると、図3に示すように、表示制御機能151は、ディスプレイ140に表示したデータ表示画面DDに、患者データPD、トピック表示パネルTD、トピックログパネルTL、及び診療データ一覧Lを表示する。
【0055】
患者データ欄PDは、対象患者の氏名等の対象患者に関する基本的な情報を示す表示欄である。この例では、表示制御機能151は、患者データ欄PDに、「患者ID:P001」で識別される「氏名:○○ ○○」に関する基本的な情報を表示している。
【0056】
トピックパネルTDは、トピックに関する項目の表示欄である。表示制御機能151は、トピックパネルTDに、検索ボックスSC、検索ボタンSB、トピック表示領域TE、及びカーソルCSを表示する。検索ボックスSC、検索ボタンSB、及びカーソルCSについては後述する。
【0057】
この例では、表示制御機能151は、トピック表示領域TEに、トピックTとして、「浮腫」、「息切れ」、「手術」、「痙攣」、及び「心不全」を、第1算出機能154が算出した重要度が高い順に表示している。
【0058】
トピックログパネルTLは、過去に参照したトピック(過去トピック)を示すトピック履歴を表示するための表示欄である。トピックログパネルTLについては、後述する。診療データ一覧Lは、対象患者(図3の例では、「患者ID:P001」で識別される患者)の診療データのリストである。ユーザは、診療データ一覧L内のアイコンを選択してクリックすることで、任意の診療データをデータ表示画面DDに表示させることができる。
【0059】
図1に戻り、説明を続ける。選択機能155は、抽出機能153が抽出したトピックから、ユーザの入力に応じて、1のトピックを選択する。
【0060】
具体的には、選択機能155は、ユーザの操作に従い、トピック表示領域TEに表示されたトピックTを選択する。図7の例では、ユーザがカーソルCSを、トピックTの1つである「手術」に乗せ、マウスで左クリックした場合、選択機能155は、「トピック:手術」を選択する。また、例えば、ユーザが、トピックログパネルTLに表示された過去トピックをマウスで左クリックした場合、選択機能155は、過去トピックを選択する。
【0061】
第2算出機能156は、複数のトピック間の関係性の程度を示す関連度を算出する。具体的には、第2算出機能156は、選択機能155が選択したトピックと他のトピックとの間の関連度を算出する。
【0062】
より具体的には、第2算出機能156は、アソシエーション分析、共起ネットワーク、因果推論(IPTW法、DR法)、因果探索(LinGAM、ベイジアンネットワーク)、ナレッジグラフ、主成分分析(PCA)、トピックモデル(LDA)、潜在意味解析(LSA)、分散表現(Word2Vec)等の公知の分析手法を用いて、抽出機能153が抽出した各トピック間の関連について解析を行い、解析結果に基づいてトピック間の関連度を算出する。
【0063】
表示制御機能151は、選択機能155が1のトピックを選択した場合に、当該トピックとの間の関連度が閾値を超えるトピック(以下、関連トピックとも言う)を、関連度の高い順に当該トピックの下に並べて表示する。
【0064】
決定機能157は、診療情報に含まれる、対象被検体の状態を表す1以上のデータを含む第2診療データのうち、選択機能155が選択した1のトピックと関連するデータを表示するための表示レイアウトを決定する。
【0065】
具体的には、まず、決定機能157は、第2算出機能156と協働し、トピック間の関連度の算出と同様の公知の分析手法を用い、選択機能155が選択したトピック(選択トピック)と、検体検査データ、バイタルデータ、処方データ、看護記録データ等に含まれるテキストデータ又は、医用画像データの属性を示すメタデータと、の関連度を算出する。
【0066】
そして、決定機能157は、選択トピックとの関連度が閾値を超えるテキストデータ(又はメタデータ)を含む検体検査データ、バイタルデータ、医用画像データ、処方データ、及び看護記録データ等の診療データ(第2診療データの一例)を、データ表示画面DDに表示する表示候補として決定する。
【0067】
次に、決定機能157は、記憶回路120に記憶されたディスプレイ情報を参照し、データ表示画面DDを表示するディスプレイ140の画面サイズを確認する。また、決定機能157は、表示候補として決定した各診療データの分類情報を確認する。そして、決定機能157は、選択トピックとの関連度、診療データの分類情報、及びディスプレイ140の画面サイズに基づいて、診療データの表示サイズ及び表示位置を決定する。
【0068】
以下、図4乃至図7を用いて表示レイアウトの決定及び診療データの表示処理について説明する。図4は、トピックと診療データとの関連度の算出処理の一例を示すイメージ図である。
【0069】
この例では、図3でユーザが「トピック:手術」にカーソルCSを乗せ、マウスで左クリックした場合について説明する。この場合、選択機能155は、「トピック:手術」を選択する。次に、決定機能157は、「トピック手術」と、患者ID「P001」で識別される対象患者の検体検査データ等の診療データと、の関連度を算出する。
【0070】
例えば、決定機能157は、第2算出機能156と協働し、「トピック:手術」Tと「検体検査データ:Na」MD1に含まれる文字列「Na」との関連度を算出する。この数値が、「トピック:手術」Tと「検体検査データ:Na」MD1との関連度となる。決定機能157は、「トピック:手術」Tと「検体検査データ:Na」MD1との関連度が閾値を超えている場合、「検体検査データ:Na」MD1を表示候補とする。
【0071】
決定機能157は、「検体検査データ:NTproBNP」MD2、「処方データ:ラシックス」MD3、バイタルデータ:SpO2」MD4、「看護記録データ:20XX-05-20」MD5、「医用画像データ:US」MD6及び「医用画像データ:CR」MD7についても同様の処理を行う。
【0072】
次に、決定機能157は、記憶回路120に記憶された分類情報を参照し、表示候補となった診療データの各々ついて、分類情報を確認する。
【0073】
ここで、図5は、診療データの分類及び診療データ表示の一例を示すイメージ図である。この例では、診療データが、「検体検査データ:Na」MD1、「検体検査データ:NTproBNP」MD2、「処方データ:ラシックス」MD3、「バイタルデータ:SpO2」MD4、「看護記録データ:20XX-05-20」MD5、「医用画像データ:US」MD6及び「医用画像データ:CR」MD7であった場合について説明する。
【0074】
例えば、決定機能157は、分類情報を参照し、「検体検査データ:Na」MD1及び「検体検査データ:NTproBNP」MD2が「分類:検体検査」C1に属することを確認する。同様に、決定機能157は、「処方データ:ラシックス」MD3が「分類:投薬」C2に属することを確認する。
【0075】
同様に、決定機能157は、「バイタルデータ:SpO2」MD4が「分類:バイタル」C3という分類に属することを確認する。同様に、決定機能157は、「看護記録データ:20XX-05-20」MD5が「分類:カルテ記載」C4という分類に属することを確認する。同様に、決定機能157は、「医用画像データ:US」MD6及び「医用画像データ:CR」MD7が「分類:画像検査」C5という分類に属することを確認する。
【0076】
そして、決定機能157は、「分類:検体検査」C1の診療データが「検体検査パネル」SP内に、「分類:投薬」C2の診療データが「投薬パネル」MP内に、「分類:バイタル」C3の診療データが「バイタルパネル」BP内に、「分類:カルテ記載」C4の診療データが「カルテ記載パネル」KP内に、「分類:画像検査」C5の診療データが「画像検査パネル」IP内に表示されるよう、夫々の診療データの表示の配置を決定する。
【0077】
なお、夫々のパネルの表示サイズ、夫々のパネルの配置、夫々の診療データの表示サイズ、及び夫々の診療データの配置は、トピックと診療データの関連度及びディスプレイ140の画面サイズ等に基づいて、決定機能157が決定する。ここで、決定機能157によるデータ表示画面のレイアウトの決定について詳しく説明する。
【0078】
表示候補となる診療データが決まった場合、決定機能157は、記憶回路120に記憶されたディスプレイ情報及び項目数情報を参照し、表示に用いるディスプレイ140に、最大いくつの診療データ(項目)を表示可能であるか確認し、データ表示画面に表示する項目を示す表示項目を決定する。決定機能157は、表示候補となる診療データの数が、表示可能な診療データの数以内の場合、表示候補とした全診療データを表示項目とする。
【0079】
一方、表示候補となる診療データの数が、表示可能な診療データの数を超えている場合、決定機能157は、表示候補となる診療データを、選択トピックとの関連度が高い順に並べ、「表示可能な診療データの最大数」番目までの診療データを表示項目とする。
【0080】
このように、表示装置の画面サイズ毎に「表示可能な診療データの最大数」を定めておくことで、選択トピックと関連する診療データの数が多過ぎるために夫々の診療データの表示サイズが小さくなってしまい、ユーザが診療データの内容を把握し難くなる事態を防止できる。
【0081】
なお、本実施形態では、画面サイズに応じて、データ表示画面に表示可能な診療データの最大数が決められているが、データ表示画面に表示する診療データの数は、ユーザが手動で設定できるようにしてもよい。
【0082】
表示項目が決まった場合、決定機能157は、分類毎の診療データの数、及び選択トピックとの関連度に基づいて、データ表示パネル(「検体検査パネル」等)の配置及びサイズを決定する。例えば、決定機能157は、分類毎の診療データの数が多くなるほど、データ表示パネルのサイズを大きくする。
【0083】
また、例えば、決定機能157は、選択トピックとの関連度が高い診療データが属する分類のデータ表示パネルほど、データ表示パネルのサイズを大きくする。さらに、決定機能157は、例えば、分類毎に、選択トピックと診療データとの関連度の平均値を算出し、関連度の平均値が高い順に、左からデータ表示パネルを並べる。
【0084】
このように、選択トピックと診療データとの関連度等に応じて、夫々の診療データの配置や表示サイズを変化させて表示することで、重要な情報が視界に入りやすくなり、ユーザは、効率的に診療情報の参照を行うことができると考えられる。
【0085】
データ表示パネルの配置等が決まった場合、決定機能157は、各診療データの配置及びサイズを決定する。例えば、決定機能157は、選択トピックとの関連度が高い診療データほど、診療データの表示サイズを大きくする。また、例えば、決定機能157は、選択トピックとの関連度が高い診療データほど、データ表示パネル内で上に表示されるように診療データを並べる。
【0086】
以下、表示レイアウト決定処理及び診療データ表示処理について図6及び図7を用いて具体的に説明する。図6及び図7は、データ表示画面の一例を示す図である。
【0087】
例えば、図5の例で、選択機能155が「トピック:手術」を選択した場合、まず、表示制御機能151は、選択トピックST(この例では、「トピック:手術」)をトピック表示領域TEの最上部に表示する。
【0088】
また、表示制御機能151は、「トピック:手術」との間の関連度が閾値を超えるトピックを、選択トピックSTの関連トピックSR(この例では、「トピック:Rastelli術」、「トピック:心不全」、及び「トピック:カテ」)として、選択トピックSTの下に表示する。
【0089】
これにより、ユーザは、参照したいトピックが選択トピックSTの関連トピックSRとして表示された場合、自ら診療データを収集しなくて済むため、効率的に必要な診療情報を参照できる。また、選択トピックSTの関連トピックSRを自動的に表示することで、ユーザに別の視点が存在することを伝えることができるため、重要な診療データの見落としが発生する確率を低下させることも可能である。
【0090】
次に、決定機能157は、第2算出機能156と協働し、「トピック:手術」と各診療データとの関連度を算出し、関連度が閾値以上の診療データを表示候補として決定する。この例では、決定機能157は、「分類:画像検査」の診療データ2項目、「分類:レポート」の診療データ2項目(計4項目)を表示候補として決定している。
【0091】
次に、決定機能157は、記憶回路120に記憶されたディスプレイ情報及び項目数情報を参照し、ディスプレイ140の画面サイズ及び表示可能な診療データの最大数を確認する。例えば、表示可能な診療データの最大数が「10」であった場合、表示候補は4項目であるため、決定機能157は、全ての表示候補を表示項目として決定する。
【0092】
次に、決定機能157は、「トピック:手術」と各診療データとの関連度、「分類:画像検査」の診療データ数、及び「分類:レポート」の診療データ数に基づいて、「画像検査パネル」IPと「レポートパネル」RPの配置及び配置サイズを決定する。
【0093】
また、決定機能157は、「トピック:手術」と各医用画像データとの関連度に基づいて、「画像検査パネル」IPにおける各医用画像データの配置及び表示サイズを決定する。さらに、決定機能157は、「トピック:手術」と各レポートデータとの関連度に基づいて、「レポートパネル」RPにおける各レポートデータの配置及び表示サイズを決定する。
【0094】
決定機能157がデータ表示画面のレイアウトを決定すると、表示制御機能151は、決定機能157が決定したレイアウトに従い、データ表示画面DDをディスプレイ140に表示する制御を行う。
【0095】
例えば、表示制御機能151は、図6に示すように、ディスプレイ140に表示したデータ表示画面DDに、患者データPD、トピック表示パネルTD、トピックログパネルTL、診療データ一覧L、「画像検査パネル」IP、及び「レポートパネル」RPを表示する。
【0096】
患者データPD、トピック表示パネルTD、及び、診療データ一覧Lについては、上述した説明のとおりであるため、説明を省略する。「画像検査パネル」IPは、「分類:画像検査」に分類される診療データを表示するためのパネルである。
【0097】
「レポートパネル」RPは、「分類:レポート」に分類される診療データを表示するためのパネルである。パネルの左側は、レポートの一覧を表しており、ユーザが任意の1のレポートを選択可能である。パネルの右側は拡大表示欄であり、表示制御機能151は、ユーザが右側のレポートの一覧から選択した1のレポートを拡大表示する。
【0098】
ここで、ユーザがトピック表示パネルTDに表示された別のトピックにカーソルCSを合わせ、マウスで左クリックした場合、選択機能155が当該トピックを選択し、決定機能157は、再度レイアウト決定を行い、表示制御機能151は、決定機能157が再決定した画面レイアウトに従い、データ表示画面DDを表示する。
【0099】
例えば、選択機能155が、トピックTの1つである「トピック:心不全」を選択した場合、表示制御機能151は、図7に示すように、決定機能157の決定した画面レイアウトに従い、データ表示画面DDに「トピック:心不全」に関連する診療データを表示する。
【0100】
図7の例では、表示制御機能151は、決定機能157が決定した画面レイアウトに従い、「分類:検体検査」に属する診療データを「検体検査パネル」SPに、「分類:画像検査」に属する診療データを「画像検査パネル」IPに、「分類:バイタル」に属する診療データを「バイタルパネル」BPに、「分類:カルテ記載」に属する診療データを「カルテ記載パネル」KPに表示する。
【0101】
また、表示制御機能151は、診療データの表示を選択トピックと関連するものに切り替えるだけでなく、トピックログパネルTLの表示を変更する制御も行う。
【0102】
例えば、表示制御機能151は、現在の選択トピックSTを参照する前に参照していた過去トピック(図7の例では、「トピック:手術」)をトピックログパネルTL内に表示する。そして、表示制御機能151は、トピックログパネルTLに、過去トピックを選択するための選択ボタンLB及び過去トピックを選択した場合に表示されるデータ表示画面の縮小表示PVを表示する。
【0103】
なお、この例では、表示制御機能151は、過去トピックを1つのみ表示しているが、過去に参照したトピックが複数ある場合は、過去トピックを複数表示してもよい。このように、過去トピックを選択可能に表示することで、ユーザは、元の表示に戻って情報を確認したい場合に、効率的に診療情報を参照することができる。
【0104】
図1に戻り、説明を続ける。検索機能158は、抽出機能153が抽出したトピックの中から、ユーザにより指定された文字列と少なくとも一部が一致するトピックを検索する。また、検索機能158は、抽出機能153が抽出したトピックの中から、ユーザにより指定された文字列と、同義又は類義のトピックを検索する。
【0105】
ここで、トピックの検索処理について図8を用いて説明する。図8は、トピック検索処理の一例を示すイメージ図である。
【0106】
この例では、ユーザがキーボード等で、検索ボックスSCに「心」と入力し、検索開始ボタンSBを押した場合について説明する。この場合、検索機能158は、抽出機能153が抽出したトピックの中から、「心」が含まれるトピックを検索する。また、検索機能158は、「心」の同義語である「Heart」が含まれるトピックについても検索する。
【0107】
表示制御機能151は、トピック表示領域TEに、検索でヒットしたトピックREである「トピック:心不全」及び「トピック:心エコー」を、第1算出機能154が算出した重要度が高い順に表示する。ユーザは、カーソルCSを検索にヒットしたトピックREに乗せてマウスで左クリックすることで当該トピックを選択することができる。
【0108】
このように検索機能158を備えることで、ユーザは、抽出機能153が抽出したトピックが多過ぎるような場合に、効率的に参照したいトピックを見つけることができる。
【0109】
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置100が実行する処理について説明する。図9は、第1実施形態に係る医用情報処理装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0110】
まず、設定機能152は、ユーザの指示に従い、トピックの抽出条件を設定する(ステップS1)。
【0111】
次に、抽出機能153は、設定機能152が設定したトピックの抽出条件に従い、診療データに含まれるテキストデータから、臨床的な意味を持つ文字列をトピックとして抽出する(ステップS2)。
【0112】
次に、第1算出機能154は、抽出機能153が抽出したトピックの重要度を算出する(ステップS3)。
【0113】
次に、表示制御機能151は、抽出機能153が抽出したトピックを、第1算出機能154が算出した重要度が高い順に、ディスプレイ140に表示する制御を行う(ステップS4)。
【0114】
次に、選択機能155は、ユーザの入力に応じて、抽出機能153が抽出したトピックの中から1のトピックを選択する(ステップS5)。
【0115】
次に、第2算出機能156は、選択機能155が選択したトピック(選択トピック)と他のトピックとの間の関連度を算出する(ステップS6)。
【0116】
次に、表示制御機能151は、第2算出機能156が算出した、選択トピックとの間の関連度が閾値を超えるトピックを関連トピックとして、選択トピックの下に表示する制御を行う(ステップS7)。
【0117】
次に、決定機能157は、第2算出機能156と協働し、選択トピックと、対象患者の診療データとの関連度を算出する(ステップS8)。
【0118】
次に、決定機能157は、記憶回路120に記憶されたディスプレイ情報を参照し、ディスプレイ140の画面サイズを確認する。そして、決定機能157は、ディスプレイ140の画面サイズ及び選択トピックとの関連度に基づいて、データ表示画面のレイアウト(診療データの配置及び表示サイズ等)を決定する(ステップS9)。
【0119】
次に、表示制御機能151は、決定機能157の決定に従い、データ表示画面に、選択トピックと関連する診療データを表示する(ステップS10)。
【0120】
次に、選択機能155は、ユーザから現在選択しているトピックとは別のトピックの選択入力を受付けたか否かを確認する(ステップS11)。別のトピックの選択入力を受付けた場合(ステップS11:Yes)、選択機能155は、ユーザが選択した別のトピックを選択し、ステップS6の処理へ移行する。一方、別のトピックの選択入力を受付けない場合(ステップS11:No)、本処理を終了する。
【0121】
以上に述べた第1実施形態に係る医用情報処理装置100は、診療に用いられる種々のデータを示す診療情報に含まれるテキストデータを示す第1診療データから、臨床的な意味を持つ文字列を、診療情報を参照するための視点を示すトピックとして抽出する抽出機能153と、抽出機能153が抽出したトピックから、1のトピックを選択する選択機能155と、診療情報に含まれる、対象被検体の状態を表す1以上のデータを含む第2診療データのうち、選択機能155が選択した1のトピックと関連するデータを表示装置に表示する制御を行う表示制御機能151と、を備える。
【0122】
これにより、臨床的な意味を持つ文字列がトピックとして自動的に抽出されるため、ユーザは、トピックを選択するだけで当該トピックに関連する診療情報を画面で確認することができる。ユーザは、診療情報の参照目的に合致するトピックがあれば、自ら参照目的に合わせて診療情報を収集する必要がなくなる。したがって、本実施形態に係る医用情報処理装置100によれば、ユーザは、効率的に必要な診療情報を参照することができる。
【0123】
また、効率的に必要な診療情報を参照することができれば、ユーザは、診断や治療方針の決定等の診療に関わる意思決定を円滑に行うことが可能になると考えられる。
【0124】
(第2実施形態)
第2実施形態は第1実施形態を基にできたものであり、第1実施形態との相違点は、第2実施形態において、医用情報処理装置100は、集約機能159を有することにある。以下、主に第2実施形態と第1実施形態との相違点を説明すると共に、繰り返す説明を適度に省略する。
【0125】
図10は、第2実施形態に係る医用情報処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る医用情報処理装置100の処理回路150は、更に集約機能159を有する。
【0126】
集約機能159は、抽出機能153が抽出した臨床的な意味を持つ文字列を解析し、同義語、類義語、及び略語については1のトピックとして集約する。具体的には、集約機能159は、公知の医療オントロジー、シソーラス、及び辞書等を用い、トピックの持つ臨床的な意味に基づき、同義語、類義語、上位/下位概念語、略語-正式名称の関係にある単語を1つのトピックに集約する。
【0127】
以下、トピックの集約処理について図11を用いて説明する。図11は、トピックの集約処理の一例を示すイメージ図である。
【0128】
この例では、図2で浮腫、胸痛、息切れ等の臨床的な意味を持つ文字列Wがトピックとして抽出された後に、行われる処理について説明する。まず、集約機能159は、例えば、公知の医療オントロジー、シソーラス、及び辞書等を用い、「浮腫」、「浮腫み」、「むくみ」、及び「edema」が相互に同義語等の関係にあることを認識する。
【0129】
次に、集約機能159は、「浮腫」、「浮腫み」、「むくみ」、及び「edema」について第1算出機能154が算出した重要度を確認する。そして、例えば、これらの中で「浮腫」の重要度が最も高い場合、集約機能159は、「浮腫」をトピック名として、「浮腫」、「浮腫み」、「むくみ」、及び「edema」を1つの「トピック:浮腫」T1に集約する。
【0130】
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置100が実行する処理について説明する。図12は、第2実施形態に係る医用情報処理装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0131】
まず、ステップS31乃至ステップS33については、図9のステップS1乃至ステップS3と同様の処理のため、説明を省略する。
【0132】
ステップS33の処理の後、集約機能159は、抽出機能153が抽出したトピックの持つ臨床的な意味に基づき、同義語、類義語、上位/下位概念語、略語-正式名称の関係にあるトピックを1つのトピックに集約する(ステップS34)。このとき、集約機能159は、1つに集約したトピックの中で最も重要度が高いトピックの名称をトピック名とする。
【0133】
また、ステップS35以降の処理は、図9のステップS4乃至ステップS11と同様の処理のため、説明を省略する。
【0134】
以上に述べた第2実施形態に係る医用情報処理装置100は、抽出機能153が抽出した臨床的な意味を持つ文字列を解析し、同義語、類義語、及び略語については1のトピックとして集約する集約機能159を備える。
【0135】
これにより、同義語や類義語等の関係にあるトピック同士が1つのトピックに集約されるため、抽出機能153が抽出したトピックの中に、同義や類義のトピックが多数存在しているような場合に、ユーザが目的のトピックを見つけやすくなる。したがって、本実施形態に係る医用情報処理装置100によれば、ユーザは、効率的に必要な診療情報を参照することができる。
【0136】
(第3実施形態)
第3実施形態は第2実施形態を基にできたものであり、第2実施形態との相違点は、第2実施形態において、医用情報処理装置100は、生成機能160を有することにある。以下、主に第3実施形態と第2実施形態との相違点を説明すると共に、繰り返す説明を適度に省略する。
【0137】
図13は、第3実施形態に係る医用情報処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る医用情報処理装置100の処理回路150は、更に生成機能160を有する。
【0138】
本実施形態では、第2算出機能156は、集約機能159が集約したトピックについて、夫々他のトピックとの間の関連度を算出する。なお、第2算出機能156は、集約前のトピック間の関連度を算出してもよい。
【0139】
生成機能160は、第2算出機能156が算出した関連度に応じて、1又は複数のトピックを集約し、トピックグループを生成する。具体的には、まず、生成機能160は、第2算出機能156が算出した関連度が閾値以上を示すトピック同士を集約する。次に、生成機能160は、集約した各トピックについて、第1算出機能154が算出した重要度を確認する。
【0140】
そして、生成機能160は、集約したトピックの中で最も重要度の高いトピックの名称をトピックグループの名称として、集約したトピックが属するトピックグループを生成する。なお、トピックグループに属するトピックは、1つであってもよい。また、生成機能160は、同義語等の関係にあるトピックの集約を行わず、トピックグループの生成のみを行ってもよい。
【0141】
以下、トピックグループの生成処理について図14及び図15を用いて説明する。図14は、関連するトピックの集約処理の一例を示すイメージ図である。図15は、トピックグループの生成処理の一例を示すイメージ図である。
【0142】
この例では、図11で同義語等の関係にあるトピックの集約が行われた後に、行われる処理について説明する。まず、第2算出機能156は、例えば、アソシエーション分析等の公知の分析手法を用いて、「トピック:浮腫」T1-「トピック:胸水」T2及び「トピック:浮腫」T1-「トピック:胸痛」T3等のトピック間の関連度を算出する。
【0143】
例えば、「トピック:浮腫」T1-「トピック:胸水」T2及び「トピック:浮腫」T1-「トピック:胸痛」T3のトピック間の関連度が閾値以上である場合、生成機能160は、図14に示すように、「トピック:浮腫」T1、「トピック:胸水」T2及び「トピック:胸痛」T3を集約する。
【0144】
次に、生成機能160は、「浮腫」、「胸水」、及び「胸痛」について第1算出機能154が算出した重要度を確認する。そして、例えば、これらの中で「浮腫」の重要度が最も高い場合、生成機能160は、図15に示すように、「浮腫」をトピックグループ名として、「トピック:浮腫」T1、「トピック:胸水」T2及び「トピック:胸痛」T3が属する「トピックグループ:浮腫」TGを生成する。
【0145】
ここで、トピックグループ名となっている「トピック:浮腫」T1を見出しトピック、「トピック:胸水」T2及び「トピック:胸痛」T3を見出しトピックの関連トピックと呼ぶものとする。
【0146】
生成機能160がトピックグループを生成すると、表示制御機能151は、トピックをディスプレイ140に表示する制御を行う。以下、図16及び図17を用いてトピックの表示処理について説明する。図16及び図17は、トピック表示画面の一例を示すイメージ図である。
【0147】
生成機能160がトピックグループを生成すると、表示制御機能151は、ディスプレイ140に、図16に示すようなトピック表示パネルTDを表示する。
【0148】
この例では、表示制御機能151は、トピック表示領域TEに、見出しトピックTTとして、「浮腫」、「息切れ」、「手術」、「痙攣」、及び「利尿薬」を、第1算出機能154が算出した重要度が高い順に表示している。また、表示制御機能151は、各見出しトピックTTの右端に展開ボタンEBを表示している。
【0149】
ここで、例えば、ユーザがカーソルCSを展開ボタンEBに乗せ、マウスで左クリックすると、表示制御機能151は、図17に示すように、トピック表示領域TEに見出しトピックの関連トピックRTを表示する。図17の例では、表示制御機能151は、見出しトピックTTである「トピック:浮腫」の関連トピックRTとして、「胸痛」及び「胸水」を、第1算出機能154が算出した重要度が高い順に表示している。
【0150】
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置100が実行する処理について説明する。図18は、第3実施形態に係る医用情報処理装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0151】
まず、ステップS51乃至ステップS54については、図12のステップS31乃至ステップS34と同様の処理のため、説明を省略する。
【0152】
ステップS54の処理の後、第2算出機能156は、抽出機能153が抽出し、集約機能159が集約したトピックについて、トピック間の関連度を算出する(ステップS55)。
【0153】
次に、生成機能160は、第2算出機能156が算出した関連度が閾値以上のトピックを集約し、1以上のトピックグループを生成する(ステップS56)。このとき、生成機能160は、生成したトピックグループ内で最も重要度が高いトピックの名称をトピックグループ名とする。
【0154】
次に、表示制御機能151は、生成機能160が生成した1以上のトピックグループ名をディスプレイ140に表示する制御を行う(ステップS57)。このとき、表示制御機能151は、トピックグループに属する1以上のトピック名についてもディスプレイ140に表示する制御を行う。
【0155】
次に、選択機能155は、ユーザの指示に従い、抽出機能153が抽出したトピックの中から1のトピックを選択する(ステップS58)。
【0156】
次に、表示制御機能151は、表示制御機能151は、第2算出機能156が算出した、選択トピックとの間の関連度が閾値を超えるトピックを関連トピックとして、選択トピックの下に表示する制御を行う(ステップS59)。
【0157】
ステップS60乃至ステップS62については、図12のステップS39乃至ステップS42と同様の処理のため、説明を省略する。
【0158】
以上に述べた第3実施形態に係る医用情報処理装置100は、第2算出機能156が算出した関連度に応じて、1又は複数のトピックを集約してトピックグループを生成する生成機能160を備える。
【0159】
これにより、関連するトピックを集約したトピックグループが生成されるため、ユーザは、関連するトピックを見つけやすくなり、効率的に必要な診療情報を参照することができる。
【0160】
なお、上述した第1実施形態乃至第3実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0161】
(変形例1)
上述の第1実施形態乃至第3実施形態では、決定機能157は、公知の分析手法を用いて、選択トピックと診療データ(項目)との関連度を算出し、関連度が閾値以上の診療データ(項目)をデータ表示画面に表示する表示候補として決定する形態について説明した。これに対し、決定機能157は、トピックと1以上の診療データ(項目)とを対応付けた対応情報に基づいて、表示候補を決定してもよい。
【0162】
なお、上記対応情報は、診療ガイドライン等に基づいて定めるものとする。本変形例によれば、選択トピックと診療データ(項目)との関連度を算出する処理が不要になるため、医用情報処理装置100に掛かる負荷を軽減することができる。
【0163】
(変形例2)
上述の第1実施形態乃至第3実施形態では、決定機能157が表示画面のレイアウトを決定する形態について説明した。これに対し、決定機能157が表示画面のレイアウトを決定した後、ユーザが診療データ(項目)の入れ替えや診療データ(項目)の表示サイズの変更を行えるようにしてもよい。さらに、ユーザによる変更後のレイアウトに任意の名称を付けてカスタムトピックとして記憶回路120に記憶できるようにしてもよい。
【0164】
本変形例によれば、ユーザ独自の視点に対応する診療データ(項目)の表示を効率的に行うことができるようになる。
【0165】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、効率的に必要な診療情報を参照できる。
【0166】
いくつかの実施形態(変形例)を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0167】
100 医用情報処理装置
150 処理回路
151 表示制御機能
152 設定機能
153 抽出機能
154 第1算出機能
155 選択機能
156 第2算出機能
157 決定機能
158 検索機能
159 集約機能
160 生成機能
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