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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164264
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ユーザ装置及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20221020BHJP
   H04W 8/18 20090101ALI20221020BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20221020BHJP
【FI】
H04W48/16 131
H04W8/18
H04W76/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069648
(22)【出願日】2021-04-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 智之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB21
5K067CC02
5K067DD02
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザ装置が、第1ネットワークとの通信の維持しながら、第2ネットワークからのページングを監視可能とする通信制御方法及びユーザ装置を提供する。
【解決手段】移動通信システムにおいて、複数の加入者識別モジュールを用いて複数のネットワークと通信するユーザ装置は、第1周波数帯において無線信号を受信する第1受信部と、第2周波数帯において無線信号を受信する第2受信部と、を備え、複数のネットワークに含まれる第1ネットワークとの通信に第1受信部が用いられている場合S201YES、複数のネットワークに含まれる第2ネットワークにおいてユーザ装置が在圏するキャンプオンセルを選択する選択動作において、第1周波数帯に属するセルよりも第2周波数帯に属するセルを優先して選択する優先制御を行うS202。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加入者識別モジュール(111、112)を用いて複数のネットワーク(200A、200B)と通信するユーザ装置(100)であって、
第1周波数帯において無線信号を受信する第1受信部(120A)と、
第2周波数帯において無線信号を受信する第2受信部(120B)と、
前記複数のネットワーク(200A、200B)に含まれる第1ネットワーク(200A)との通信に前記第1受信部(120A)が用いられている場合、前記複数のネットワーク(200A、200B)に含まれる第2ネットワーク(200B)において前記ユーザ装置(100)が在圏するキャンプオンセルを選択する選択動作において、前記第1周波数帯に属するセルよりも前記第2周波数帯に属するセルを優先して選択する優先制御を行う制御部(130)と、を備える
ユーザ装置。
【請求項2】
前記制御部(130)は、前記選択動作における周波数の優先度として、前記第1周波数帯に含まれる周波数の優先度を、前記第2周波数帯に含まれる周波数の優先度よりも低い優先度とみなすように前記優先制御を行う
請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項3】
前記制御部(130)は、前記選択動作における前記周波数の優先度として、前記第1周波数帯に含まれる前記周波数の前記優先度を最低優先度とみなすように前記優先制御を行う
請求項1又は2に記載のユーザ装置。
【請求項4】
前記制御部(130)は、前記選択動作における前記周波数の優先度として、前記第1周波数帯に含まれる前記周波数のうち前記第1ネットワーク(200A)との通信に用いられている周波数の優先度を最低優先度とみなすように前記優先制御を行う
請求項3に記載のユーザ装置。
【請求項5】
前記制御部(130)は、前記選択動作における前記周波数の優先度として、前記第1周波数帯に含まれる前記周波数のうち前記第2周波数帯と重複していない周波数の優先度を最低優先度とみなすように前記優先制御を行う
請求項3又は4に記載のユーザ装置。
【請求項6】
前記制御部(130)は、前記選択動作における周波数の優先度として、前記第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を、前記第1周波数帯に含まれる周波数の優先度よりも高い優先度とみなすように前記優先制御を行う
請求項1から5のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項7】
前記制御部(130)は、前記選択動作における周波数の優先度として、前記第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を、前記第1周波数帯に含まれる周波数のうち前記第2周波数帯と重複していない周波数よりも高い優先度とみなすように前記優先制御を行う
請求項1から5のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項8】
前記制御部(130)は、前記選択動作における前記周波数の優先度として、前記第2周波数帯に含まれる前記周波数の優先度を最高優先度とみなすように前記優先制御を行う
請求項6又は7に記載のユーザ装置。
【請求項9】
前記制御部(130)は、前記第1ネットワーク(200A)との通信に用いられている周波数に属するセルを、前記キャンプオンセルとして選択することが禁止される禁止セルとみなすように前記優先制御を行う
請求項1から8のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項10】
複数の加入者識別モジュール(111、112)を用いて複数のネットワーク(200A、200B)と通信するユーザ装置(100)で実行される通信制御方法であって、
前記ユーザ装置(100)の第1受信部(120A)が、第1周波数帯において無線信号を受信するステップと、
前記ユーザ装置(100)の第2受信部(120B)が、第2周波数帯において無線信号を受信するステップと、
前記複数のネットワーク(200A、200B)に含まれる第1ネットワーク(200A)との通信に前記第1受信部(120A)が用いられている場合、前記複数のネットワーク(200A、200B)に含まれる第2ネットワーク(200B)において前記ユーザ装置(100)が在圏するキャンプオンセルを選択する選択動作において、前記第1周波数帯に属するセルよりも前記第2周波数帯に属するセルを優先して選択する優先制御を行うステップと、を有する
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いるユーザ装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)のリリース17では、複数の加入者識別モジュールを搭載したユーザ装置が、複数の通信事業者のネットワークに在圏しつつデータ通信を行う機能を策定するためのワークアイテムが立ち上がっている。
【0003】
現状、複数のネットワークに在圏するユーザ装置がページング(すなわち、着信)を受ける仕組みは標準仕様上に規定がなく、ユーザ装置の実装依存となっている。ユーザ装置が複数の受信部(RX:Receiver)を備える場合には、1つの受信部を一方のネットワーク(以下、「第1ネットワーク」)との通信に用いつつ、他の受信部にて他方のネットワーク(以下、「第2ネットワーク」)にてページングを監視することができる。
【0004】
しかし、ユーザ装置が備える受信部が1つのみである場合、1つの受信部にて第1ネットワークと通信を行っている間に第2ネットワークから着信があった場合、ユーザ装置は着信を見逃すことになる。そのため、ユーザ装置が第1ネットワークとの接続を維持したまま第2ネットワークのページングを監視するために、一時的に第1ネットワークとの通信を中断できる中断期間を第1のネットワークがユーザ装置に設定する方法が、3GPP標準化の場で検討されている(例えば、非特許文献1参照)。このような中断期間は、「ギャップ」と呼ばれることがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP寄書「R2-2100474」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザ装置が備える複数の受信部において無線信号を受信する周波数範囲が異なることがある。例えば、ユーザ装置が、第1周波数帯において無線信号を受信する第1受信部と、第2周波数帯において無線信号を受信する第2受信部とを備えるケースを想定する。
【0007】
このようなケースでは、複数のネットワークに含まれる第1ネットワークとの通信に第1受信部が用いられている場合、複数のネットワークに含まれる第2ネットワークにおいてユーザ装置が在圏するキャンプオンセルを選択する選択動作において、第1周波数帯のうち第2受信部が受信不能な周波数に属するセルが選択されると、第2ネットワークからのページングの監視に第1受信部を使用しなければならない。ユーザ装置が複数の受信部を備えているにもかかわらず、実質的に1つの受信部しか使用できないため、ユーザ装置にギャップを設定する必要がある。ユーザ装置は、ギャップが設定されている期間中は、第1ネットワークとの通信を中断しなければならず、第1ネットワークとの通信のパフォーマンスが低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、第1ネットワークとの通信の維持しながら、第2ネットワークからのページングを監視可能であるユーザ装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様に係るユーザ装置は、複数の加入者識別モジュールを用いて複数のネットワークと通信するユーザ装置であって、第1周波数帯において無線信号を受信する第1受信部と、第2周波数帯において無線信号を受信する第2受信部と、前記複数のネットワークに含まれる第1ネットワークとの通信に前記第1受信部が用いられている場合、前記複数のネットワークに含まれる第2ネットワークにおいて前記ユーザ装置が在圏するキャンプオンセルを選択する選択動作において、前記第1周波数帯に属するセルよりも前記第2周波数帯に属するセルを優先して選択する優先制御を行う制御部と、を備える。
【0010】
第2の態様に係る通信制御方法は、複数の加入者識別モジュールを用いて複数のネットワークと通信するユーザ装置で実行される通信制御方法であって、前記ユーザ装置の第1受信部が、第1周波数帯において無線信号を受信するステップと、前記ユーザ装置の第2受信部が、第2周波数帯において無線信号を受信するステップと、前記複数のネットワークに含まれる第1ネットワークとの通信に前記第1受信部が用いられている場合、前記複数のネットワークに含まれる第2ネットワークにおいて前記ユーザ装置が在圏するキャンプオンセルを選択する選択動作において、前記第1周波数帯に属するセルよりも前記第2周波数帯に属するセルを優先して選択する優先制御を行うステップと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、第1ネットワークとの通信の維持しながら、第2ネットワークからのページングを監視可能であるユーザ装置及び通信制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る移動通信システムのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
図3】実施形態に係るUEの構成例を示す図である。
図4】実施形態に係るUEの受信部を説明する図である。
図5】実施形態に係る第1ネットワークの基地局の構成例を示す図である。
図6】実施形態に係る移動通信システムの動作例を示す図である。
図7】実施形態に係るUEの選択動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0014】
(システム構成)
図1を参照して、実施形態に係る移動通信システム1の構成について説明する。以下において、移動通信システム1が3GPP規格の第5世代システム(5G/NR:New Radio)である一例を主として説明するが、移動通信システム1には、第4世代システム(4G/LTE:Long Term Evolution)システム及び/又は第6世代システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0015】
図1に示すように、実施形態に係る移動通信システム1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、第1ネットワーク200Aと、第2ネットワーク200Bとを有する。
【0016】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればよいが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0017】
UE100は、複数の加入者識別モジュール(SIM:Subscriber Identity Module)に対応するマルチSIMデバイスである。以下において、UE100が対応するSIMが2つである一例について主として説明するが、UE100は、3つ以上のSIMに対応していてもよい。「複数のSIMに対応する」とは、UE100が複数のSIMを取り扱う能力を有していることをいい、必ずしもUE100に複数のSIMが搭載されていなくてもよい。このようなUE100は、「複数のSIMをサポートするUE」と呼ばれることがある。なお、SIMは、カード型のSIM(いわゆる、SIMカード)に限らず、予めUE100に組み込まれた組み込み型のSIM(いわゆる、eSIM)であってもよい。SIMは、USIM(Universal Subscriber Identity Module)と呼ばれることがある。
【0018】
第1ネットワーク200Aは、UE100の一方のSIMと対応付けられたネットワークである。第2ネットワーク200Bは、UE100の他方のSIMと対応付けられたネットワークである。UE100は、一方のSIMを用いて第1ネットワーク200Aへの位置登録を行っており、他方のSIMを用いて第2ネットワーク200Bへの位置登録を行っているものとする。すなわち、UE100は、第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bのそれぞれに在圏している。第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bは、互いに異なる通信事業者のネットワークであってもよい。但し、第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bは、同一の通信事業者のネットワークであってもよい。第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bには、互いに異なるPLMN(Public Land Mobile Network) IDが割当てられていてもよい。
【0019】
第1ネットワーク200Aは、無線アクセスネットワークを構成する基地局210Aと、コアネットワーク220Aとを有する。コアネットワーク220Aは、モビリティ管理装置221Aと、ゲートウェイ装置222Aとを有する。同様に、第2ネットワーク200Bは、無線アクセスネットワークを構成する基地局210Bと、コアネットワーク220Bとを有する。コアネットワーク220Bは、モビリティ管理装置221Bと、ゲートウェイ装置222Bとを有する。以下において、基地局210A及び200Bを区別しないときは単に基地局210と呼び、モビリティ管理装置221A及び221Bを区別しないときは単にモビリティ管理装置221と呼び、ゲートウェイ装置222A及び222Bを区別しないときは単にゲートウェイ装置222と呼ぶ。
【0020】
基地局210は、UE100との無線通信を行う無線通信装置である。基地局210は、1又は複数のセルを管理する。基地局210は、自セルとの無線リソース制御(RRC)レイヤにおける接続を確立したUE100との無線通信を行う。基地局210は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。図1において、基地局210AがセルC1を管理し、基地局210BがセルC2を管理する一例を示している。UE100は、セルC1及びセルC2の重複領域に位置している。
【0021】
UE100と基地局210との間の無線通信で用いるフレームは、例えば10msであり、各フレームにはシステムフレーム番号(SFN:System Frame Number)が割り振られている。各フレームは、例えば、1msのサブフレームに分割され、各サブフレームは複数のOFDMシンボルにより構成される。
【0022】
基地局210は、5G/NRの基地局であるgNB、又は4G/LTEの基地局であるeNBであってもよい。以下において、基地局210がgNBである一例について主として説明する。基地局210は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とに機能分割されていてもよい。基地局210は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノード等の中継ノードであってもよい。
【0023】
モビリティ管理装置221は、制御プレーンに対応した装置であって、UE100に対する各種モビリティ管理を行う装置である。モビリティ管理装置221は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信し、UE100が在圏するトラッキングエリアの情報を管理する。モビリティ管理装置221は、UE100に対して着信を通知するために、基地局210を通じてページングを行う。モビリティ管理装置221は、5G/NRのAMF(Access and Mobility Management Function)、又は4G/LTEのMME(Mobility Management Entity)であってもよい。
【0024】
ゲートウェイ装置222は、ユーザプレーンに対応した装置であって、UE100のデータの転送制御を行う装置である。ゲートウェイ装置222は、5G/NRのUPF(User Plane Function)、又は4G/LTEのS-GW(Serving Gateway)であってもよい。
【0025】
(プロトコルスタックの構成例)
図2を参照して、移動通信システム1のプロトコルスタックの構成例について説明する。
【0026】
図2に示すように、UE100と基地局210との間の無線区間のプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRCレイヤとを有する。
【0027】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤと基地局210のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0028】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤと基地局210のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。基地局210のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースを決定する。
【0029】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤと基地局210のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0030】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0031】
PDCPレイヤの上位レイヤとしてSDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤが設けられていてもよい。SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。
【0032】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCレイヤと基地局210のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間にRRC接続がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間のRRC接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0033】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、UE100のセッション管理及びモビリティ管理を行う。UE100のNASレイヤとモビリティ管理装置221のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0034】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0035】
(選択動作の概要)
UE100は、キャンプオンセルを選択する選択動作として、セル選択動作又はセル再選択動作を行うことができる。UE100は、例えば、以下のいずれかの場合に、選択動作を実行できる。
【0036】
・新たなPLMN又は新たなSNPN(Stand-alone Non-Public Network)が選択された場合
・UE100にUSIMが挿入された場合又はSNPNサブスクリプションが追加された場合
・適切なセル(suitable cell)が見つからない場合
・RRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態へ遷移する場合
【0037】
(A)セル選択動作
セル選択動作では、UE100は、周波数帯域をサーチして、各周波数について最も強いセル(例えば、CD-SSB(cell-defining SS/PBCH Block)の検出レベルが最も高いセル、CD-SSBの受信電力(RSRP)が最も大きいセル、又は、CD-SSBの受信品質(RSRQ)が最も高いセル)を識別する。次に、UE100は、最も強いセルの中から適切なセルを識別する。UE100は、適切なセルを識別できない(すなわち、適切なセルが見つからない)場合、許容可能なセルを識別する。UE100は、適切なセルを識別できた(すなわち、適切なセルが見つかった)場合、適切なセルをキャンプオンセルとして選択する。UE100は、許容可能なセルのみを識別できた(すなわち、許容可能なセルが見つかった)場合、許容可能なセルをキャンプオンセルとして選択する。
【0038】
なお、適切なセルは、測定されたセルの通信品質がセル選択基準を満たすセルである。適切なセルのPLMNは、選択されたPLMN、登録されたPLMN又はそれらのPLMNと等しいPLMNである。適切なセルは、禁止セル又は予約セルではなく、かつ「ローミング用の禁止されたトラッキングエリア」のリストに含まれるトラッキングエリアの一部ではない。許容可能なセルは、測定されたセルの通信品質がセル選択基準を満たすセルであり、且つ禁止セルではない。
【0039】
セル選択基準は、例えば、Srxlev>0且つSqual>0である。Srxlevは、セル選択受信電力を表している。Srxlevは、Srxlev=Qrxlevmeas-(Qrxlevmin+Qrxlevminoffset)-Pcompensation-Qoffsettempによって算出される。Qrxlevmeasは、測定されたセルの受信電力(RSRP)である。Qrxlevminは、最小要求受信電力である。Qrxlevminoffsetは、定常的に適用される所定オフセットである。Pcompensationは、アップリンクの能力に関するパラメータである。Qoffsettempは、一時的に適用されるオフセットである。Squalは、セル選択品質レベルを表している。Squalは、Squal=Qqualmeas-(Qqualmin+Qqualminoffset)-Qoffsettempによって算出される。Qqualmeasは、測定されたセルの品質レベル(RSRQ)である。Qqualminは、最小要求品質レベルである。Qqualminoffsetは、定常的に適用される所定オフセットである。Qoffsettempは、一時的に適用されるオフセットである。
【0040】
(B)セル再選択動作
セル再選択動作では、UE100は、サービングセル及び隣接セルの通信品質を測定する。UE100は、例えば、以下の基準に基づいて、サービングセルとして用いるキャンプオンセルを選択する。UE100は、周波数の優先度によって、選択するセルの優先度を判定する。UE100は、現在のサービングセルにキャンプしてから1秒以上経過した場合に、以下の基準に基づいて、キャンプオンセルを選択してよい。
【0041】
(B1)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの周波数の優先度よりも高い:
UE100は、所定期間(例えば、TreselectionRAT)に亘ってSqual>ThreshX,HighQの関係を満たすセル、若しくは、所定期間に亘ってSrxlev>ThreshX,HighPの関係を満たすセルを選択する。ThreshX,HighP及びThreshX,HighQのそれぞれは、所定の閾値である。
【0042】
(B2)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの周波数の優先度と同じである:
UE100は、現在のサービングセルのランキングRs及び隣接セルのランキングRnを算出する。UE100は、所定期間に亘ってRsよりも高いランキングRnを有するセルをキャンプオンセルとして選択する。
【0043】
Rsは、Rs=Qmeas,s+Qhyst-Qoffsettempによって算出される。Rnは、Rn=Qmeas,n-Qoffset-Qoffsettempによって算出される。Qmeas,sは、現在のサービングセルの受信電力(RSRP)である。Qmeas,nは、隣接セルの受信電力(RSRP)である。Qhystは、現在のサービングセルが再選択されやすくするためのヒステリシス値である。Qoffsettempは、一時的に適用されるオフセットである。
【0044】
(B3)隣接セルの周波数の優先度が現在のサービングセルの周波数の優先度よりも低い:
UE100は、所定期間に亘ってSqual<ThreshServing,LowQ若しくは、Srxlev<ThreshServing,LowPの関係をサービングセルが満たすという前提下において、所定期間に亘ってSqual>ThreshX,LowQの関係を満たすセル、若しくは、所定期間に亘ってSrxlev>ThreshX,LowPの関係を満たすセルを選択する。ThreshX,LowP及びThreshX,LowQのそれぞれは、所定の閾値である。
【0045】
セルの選択で用いる各種パラメータは、基地局210からブロードキャストされる情報(SIB:System Information Block)に含まれる。各種パラメータは、周波数の優先度(例えば、cellReselectionPriority、cellReselectionSubPriority)、所定期間(TreselectionRAT)、各種オフセット(Qqualminoffset、Qrxlevminoffset、Qoffsettemp、Qhyst、Qoffset)、各種閾値(ThreshX,HighQ、ThreshX,HighP、ThreshServing,LowQ、ThreshServing,LowP、ThreshX,LowP、ThreshX,LowQ)を含む。cellReselectionPriorityは、8段階で周波数の優先度を示し、cellReselectionSubPriorityは、4段階で周波数のサブ優先度を示す。これにより、周波数に最大32段階の優先度をUE100に設定することができる。周波数の優先度は、RRC解放メッセージでUE100へ通知されてよい。RRC解放メッセージで通知される周波数の優先度は、リスト形式により複数の周波数の優先度を指定できる。当該周波数の優先度は、ブロードキャストされる周波数の優先度よりも優先される。UE100は、基地局210から受信した情報に基づいて、キャンプオンセルを選択する選択動作を行う。
【0046】
なお、RRC解放メッセージは、周波数を指定するキャリア情報(いわゆる、redirectedCarrierInfo)を含んでよい。キャリア情報は、周波数の優先度よりも優先される。UE100は、周波数の優先度に関係なく、キャリア情報により指定された周波数に属するセルを優先的に選択する。
【0047】
(UEの構成例)
図3及び図4を参照して、UE100の構成例について説明する。図3に示すように、UE100は、アンテナ101と、アンテナ102と、SIM111と、SIM112と、通信部120と、制御部130とを有する。アンテナ101及びアンテナ102は、UE100の外部に設けられてもよい。アンテナ101は、後述の第1通信部120Aに用いられるものであってよく、アンテナ102は、後述の第2通信部120Bに用いられるものであってよい。SIM111及びSIM112は、SIMカード又はeSIMである。
【0048】
SIM111は、UE100が第1ネットワーク200Aと通信するために必要な加入者情報及び設定情報を記憶する。SIM111は、第1ネットワーク200AにおけるUE100の識別情報、例えば、電話番号及びIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等を記憶する。
【0049】
SIM112は、UE100が第2ネットワーク200Bと通信するために必要な加入者情報及び設定情報を記憶する。SIM112は、第2ネットワーク200BにおけるUE100の識別情報、例えば、電話番号及びIMSI等を記憶する。
【0050】
通信部120は、制御部130の制御下で、アンテナ101を介して第1ネットワーク200Aとの無線通信及び第2ネットワーク200Bとの無線通信を行う。通信部120は、複数のSIMを用いて複数のネットワークと通信する。通信部120は、第1通信部120Aと第2通信部120Bとを有する。通信部120は、複数の受信部(RX:Receiver)121を有する。本実施形態では、第1通信部120Aは、第1受信部121Aを含み、第2通信部120Bは、第2受信部121Bを含む。通信部120は、複数の送信部(TX:Transmitter)122を有する。通信部120は、送信部122を1つのみ有してもよい。本実施形態では、第1通信部120Aは、第1送信部122Aを含み、第2通信部120Bは、第2送信部122Bを含む。受信部121は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号である受信信号に変換し、受信信号に対する信号処理を行ったうえで制御部130に出力する。送信部122は、制御部130が出力するベースバンド信号である送信信号に対する信号処理を行ったうえで無線信号に変換し、無線信号をアンテナ101から送信する。
【0051】
図4に示すように、第1受信部121Aにおいて無線信号を受信する周波数範囲と、第2受信部121Bにおいて無線信号を受信する周波数範囲とが異なる。第1受信部121Aは、第1周波数帯において無線信号を受信する。第1受信部121Aは、第1周波数帯での無線信号の受信をサポートしており、第1周波数帯以外の無線信号の受信をサポートしていない。第2受信部121Bは、第2周波数帯において無線信号を受信する。第2受信部121Bは、第2周波数帯での無線信号の受信をサポートしており、第2周波数帯以外の無線信号の受信をサポートしていない。第1周波数帯と第2周波数帯とは、部分的に重複している。従って、第1受信部121Aで受信可能な周波数(すなわち、第2受信部121Bで受信不能な周波数)と、第1受信部121Aと第2受信部121Bとで受信可能な周波数と、第2受信部121Bで受信可能な周波数(すなわち、第1受信部121Aで受信不能な周波数)と、が存在する。例えば、図4では、第1周波数帯は、周波数A及び周波数Bを含む。第2周波数帯は、周波数B及び周波数Cを含む。この場合、第1受信部121Aは、周波数A及び周波数Bのそれぞれにおいて無線信号を受信できる一方で、周波数Cにおいて無線信号を受信できない。第2受信部121Bは、周波数B及び周波数Cのそれぞれにおいて無線信号を受信できる一方で、周波数Aにおいて無線信号を受信できない。
【0052】
制御部130は、通信部120を制御するとともに、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、SIM111を用いて第1ネットワーク200Aとの通信を制御するとともに、SIM112を用いて第2ネットワーク200Bとの通信を制御する。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでもよい。プロセッサは、デジタル信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサ(DSP)と、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)とを含んでもよい。なお、メモリの一部は通信部120に設けられていてもよい。また、DSPは、通信部120に設けられていてもよい。
【0053】
このように構成されたUE100において、通信部120は、第1ネットワーク200Aの基地局210Aと通信する。例えば、UE100は、第1ネットワーク200Aの基地局210AのセルC1においてRRCコネクティッド状態にあるものとする。また、UE100は、第2ネットワーク200Bの基地局210BのセルC2においてRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるものとする。このようなセルC2は、UE100のキャンプオンセルと呼ばれてよい。UE100は、キャンプオンセルに在圏する。
【0054】
制御部130は、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられている場合、第2ネットワーク200BにおいてUE100が在圏するキャンプオンセルを選択する選択動作において、第1周波数帯に属するセルよりも第2周波数帯に属するセルを優先して選択する優先制御を行う。これにより、UE100は、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられている場合、第1受信部121Aにて受信する第1周波数帯に属するセルよりも第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる。第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択することで、第1受信部121Aにて第1ネットワーク200Aとの通信を維持しながら、第2受信部121Bにて第2ネットワーク200Bからのページングを監視することができる。なお、「第1ネットワーク200Aとの通信」は、RRCコネクティッド状態における第1ネットワーク200Aとの通信であってもよいし、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態における第1ネットワーク200Aとの通信(例えば、ページングの監視)であってもよい。
【0055】
また、制御部130は、選択動作における周波数の優先度として、第1周波数帯に含まれる周波数の優先度を、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度よりも低い優先度とみなすように優先制御を行ってよい。これにより、第1受信部121Aにて受信する第1周波数帯に含まれる周波数に属するセルが選択され難くなり、第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる。
【0056】
制御部130は、選択動作における前記周波数の優先度として、第1周波数帯に含まれる周波数の優先度を最低優先度とみなすように優先制御を行ってよい。これにより、第1受信部121Aにて受信する第1周波数帯に含まれる周波数に属するセルが選択され難くなり、第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる。従って、UE100は、複数のSIMをサポートするマルチSIM能力を有しており、複数の受信部121を有しており、かつ第1ネットワーク200AにSIM111で既にキャンプしている場合、UE100は、SIM112でキャンプする周波数を最低優先度とみなしてよい。
【0057】
なお、最低優先度は、例えば、cellReselectionPriority及びcellReselectionSubPriorityにより示される32段階の優先度のうち32番目の優先度であってよい。或いは、最低優先度は、ネットワークにより設定される最低優先度よりも低い優先度であってよい。
【0058】
制御部130は、選択動作における周波数の優先度として、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第1ネットワーク200Aとの通信に用いられている周波数の優先度を最低優先度とみなすように優先制御を行ってよい。これにより、第1ネットワーク200Aとの通信に用いられている周波数に属するセルが選択され難くなり、第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる。
【0059】
制御部130は、選択動作における周波数の優先度として、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない周波数の優先度を最低優先度とみなすように優先制御を行ってよい。これにより、第1受信部121Aにて受信する第1周波数帯に含まれる周波数に属するセルが選択され難くなる一方で、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2受信部121Bにて受信する第2周波数帯に含まれる周波数に属するセルまでも選択され難くなることを避けることができる。これにより、第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる。
【0060】
制御部130は、選択動作における周波数の優先度として、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を、第1周波数帯に含まれる周波数の優先度よりも高い優先度とみなすように優先制御を行ってよい。これにより、第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる。
【0061】
制御部130は、選択動作における周波数の優先度として、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない周波数よりも高い優先度とみなすように優先制御を行ってよい。これにより、第1周波数帯に含まれる周波数に属するセルよりも第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる一方で、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2受信部121Bにて受信する第2周波数帯に含まれる周波数に属するセルまでも選択され難くなることを避けることができる。
【0062】
制御部130は、選択動作における周波数の優先度として、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を最高優先度とみなすように優先制御を行ってよい。これにより、第1周波数帯に含まれる周波数に属するセルよりも第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる。
【0063】
制御部130は、第1ネットワーク200Aとの通信に用いられている周波数に属するセルを、キャンプオンセルとして選択することが禁止される禁止セルとみなすように優先制御を行ってよい。これにより、第1ネットワーク200Aとの通信に用いられている周波数に属するセルが選択されず、第2周波数帯に属するセルをキャンプオンセルとして選択し易くなる。
【0064】
なお、以下において、UE100が備える機能部(具体的には、通信部120、第1通信部120Aと第2通信部120B、第1受信部121A、第2受信部121B、第1送信部122A、第2送信部122B、及び制御部130の少なくともいずれか)の動作を、UE100の動作として説明することがある。
【0065】
(基地局の構成例)
図5を参照して、第1ネットワーク200Aの基地局210Aの構成例について説明する。なお、第2ネットワーク200Bの基地局210Bも基地局210Aと同様の構成であるため、説明を省略する。図5に示すように、基地局210Aは、アンテナ211と、通信部212と、ネットワークインターフェイス213と、制御部214とを有する。
【0066】
通信部212は、制御部214の制御下で、アンテナ211を介してUE100との通信を行う。通信部212は、受信部212aと、送信部212bとを有する。受信部212aは、アンテナ211が受信する無線信号をベースバンド信号である受信信号に変換し、受信信号に対する信号処理を行ったうえで制御部214に出力する。送信部212bは、制御部214が出力するベースバンド信号である送信信号に対する信号処理を行ったうえで無線信号に変換し、無線信号をアンテナ211から送信する。
【0067】
ネットワークインターフェイス213は、コアネットワーク220Aと接続される。ネットワークインターフェイス213は、制御部214の制御下で、モビリティ管理装置221A及びゲートウェイ装置222Aとのネットワーク通信を行う。
【0068】
制御部214は、通信部212を制御するとともに、基地局210Aにおける各種の制御を行う。制御部214は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでもよい。プロセッサは、デジタル信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサ(DSP)と、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)とを含んでもよい。なお、メモリの一部は通信部212に設けられていてもよい。また、DSPは、通信部212に設けられていてもよい。
【0069】
なお、以下において、基地局210が備える機能部(具体的には、通信部212、ネットワークインターフェイス213、及び制御部214の少なくともいずれか)の動作を、基地局210の動作として説明することがある。
【0070】
(移動通信システムの動作)
図6及び図7を参照して、移動通信システム1の動作例について説明する。以下の動作説明において、UE100は、第1ネットワーク200Aの基地局210AのセルC1においてRRCコネクティッド状態にあり、第2ネットワーク200Bの基地局210BのセルC2においてRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるものとする。UE100は、第1ネットワーク200Aにおいて第1周波数帯に属するセルC1においてRRC接続を確立している。UE100は、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aを用いている。第1受信部121Aは、第1周波数帯において無線信号を受信する。UE100は、第2ネットワーク200Bにおいて第1周波数帯又は第2周波数帯に属するセルC2に在圏(すなわち、キャンプ)している。第2受信部121Bが、第2周波数帯において無線信号を受信する。なお、セルC2は、第2ネットワーク200Bにおけるサービングセルである。
【0071】
ステップS101:
UE100は、第2ネットワーク200Bにおける通信品質の測定を行う。UE100(制御部130)は、後述のステップS102における選択動作において用いる通信品質(例えば、受信電力、受信品質など)を周波数毎に測定してよい。UE100(制御部130)は、セルC2の優先度よりも高い周波数において通信品質を測定してもよい。UE100(制御部130)は、セルC2の通信品質が所定の閾値を下回った場合に、セルC2の優先度と同じ優先度又は低い優先度を有する周波数において通信品質を測定してもよい。
【0072】
ステップS102:
UE100は、第2ネットワーク200Bにおいてキャンプオンセルを選択する選択動作を行う。選択動作の詳細は、後述する。
【0073】
ステップS103:
UE100は、第2周波数帯に属するセルに在圏する。具体的には、UE100(制御部130)は、第2ネットワーク200BにおけるセルC2として、選択動作において選択したセルである第2周波数帯に属するセルに在圏する。セルC2に在圏しているUE100(第2受信部121B)は、例えば、ページングを監視する。ページングの監視は、第2ネットワーク200Bの基地局210BからのPDCCH(Physical Downlink Control CHannel)を受信することにより、UE100宛てのページングがあるか否かを確認するものである。UE100(制御部130)は、第2ネットワーク200Bとの通信に第2受信部121Bを用いるため、第1ネットワーク200Aとの通信の維持しながら、第2ネットワーク200Bからのページングを監視可能となる。
【0074】
次に、図4及び図7を参照して、選択動作例について説明する。
【0075】
ステップS201:
UE100(制御部130)は、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられているか否かを判定する。UE100(制御部130)は、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられていると判定した場合(YES)、ステップS202の処理を実行する。UE100(制御部130)は、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられていないと判定した場合(NO)、ステップS203の処理を実行する。
【0076】
UE100(制御部130)は、例えば、以下の少なくともいずれかの場合に、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられていると判定してよい。
・第1受信部121Aが第1ネットワーク200Aの基地局210Aから無線信号を受信している。
・第1受信部121Aが第1ネットワーク200Aの基地局210Aから無線信号を監視している。
・第1ネットワーク200においてUE100が、RRCコネクティッド状態、RRCアイドル状態、及びRRCインアクティブ状態のいずれかの状態である。
・UE100が第1ネットワーク200Aへの位置登録を行っている。
・UE100が、適切なセルを見つけた状態(いわゆる、「Camped normally」状態)、すなわち、適切なセルに在圏(すなわち、キャンプ)している状態である。
【0077】
UE100(制御部130)は、例えば、以下の少なくともいずれかの場合に、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられていないと判定してよい。
・第1受信部121Aが第1ネットワーク200Aの基地局210Aから無線信号を受信できていない。
・UE100が第1ネットワーク200Aへの位置登録を行っていない。
・UE100が、適切なセルを見つけていない状態(例えば、「Any Cell Selection」状態)、すなわち、適切なセルに在圏していない状態である。
【0078】
ステップS202:
UE100(制御部130)は、第1受信部121Aが無線信号を受信する第1周波数帯に属するセルよりも、第2受信部121Bが無線信号を受信する第2周波数帯に属するセルを優先して選択する優先制御を行う。UE100(制御部130)は、優先制御として、以下の(a)から(j)の少なくともいずれかの制御を行ってよい。以下において、図4に示すように、第1周波数帯が周波数A及び周波数Bを含み、第2周波数帯が周波数B及び周波数Cを含むケースを例に挙げて説明することがある。なお、ここでの「周波数」は、基地局210Bから受信した周波数の識別子により示される周波数である。「周波数」は、UE100により通信品質が測定された周波数であってよい。
【0079】
(a)UE100(制御部130)は、第1周波数帯に含まれる周波数の優先度を、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度よりも低い優先度とみなす。なお、第1周波数帯に含まれる周波数は、第1周波数帯に含まれる全ての周波数であってもよいし、第1周波数帯に含まれる一部の周波数であってもよい。
【0080】
具体的には、UE100(制御部130)は、周波数Aの優先度を周波数Cの優先度よりも低い優先度とみなす。UE100(制御部130)は、周波数Bの優先度を周波数Cの優先度よりも低い優先度とみなしてよい。
【0081】
UE100(制御部130)は、第2周波数帯に複数の周波数が含まれる場合、第1周波数帯に含まれる周波数の優先度を、第2周波数帯に含まれる複数の周波数の優先度のうちで最も低い優先度よりも低い優先度とみなしてよい。
【0082】
(b)UE100(制御部130)は、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない周波数(以下、第1非重複周波数と適宜称する)の優先度を、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度よりも低い優先度とみなしてよい。なお、第1非重複周波数は、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない全ての周波数であってもよいし、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない一部の周波数であってもよい。
【0083】
具体的には、UE100(制御部130)は、周波数Aの優先度を周波数Cの優先度よりも低い優先度とみなす。一方で、UE100(制御部130)は、周波数Bの優先度を周波数Cの優先度よりも低い優先度とみなさずに、周波数Bの優先度を維持する。
【0084】
(c)UE100(制御部130)は、第1周波数帯に含まれる周波数の優先度を、最低優先度とみなす。なお、第1周波数帯に含まれる周波数は、第1周波数帯に含まれる全ての周波数であってもよいし、第1周波数帯に含まれる一部の周波数であってもよい。
【0085】
具体的には、UE100(制御部130)は、周波数Aの優先度を最低優先度とみなす。UE100(制御部130)は、周波数Bの優先度を最低優先度とみなしてよい。
【0086】
(d)UE100(制御部130)は、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第1ネットワーク200Aとの通信に用いられている周波数の優先度を最低優先度とみなす。具体的には、UE100(制御部130)は、第1ネットワーク200Aとの通信に周波数Aを用いている場合、周波数Aの優先度を最低優先度とみなす。
【0087】
(e)UE100(制御部130)は、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない周波数(第1非重複周波数)の優先度を最低優先度とみなす。なお、第1非重複周波数は、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない全ての周波数であってもよいし、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない一部の周波数であってもよい。
【0088】
具体的には、UE100(制御部130)は、周波数Aの優先度を最低優先度とみなす。一方で、UE100(制御部130)は、周波数Bの優先度を最低優先度とみなさずに、周波数Bの優先度を維持する。
【0089】
(f)UE100(制御部130)は、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を、第1周波数帯に含まれる周波数の優先度よりも高い優先度とみなす。なお、第2周波数帯に含まれる周波数は、第2周波数帯に含まれる全ての周波数であってもよいし、第2周波数帯に含まれる一部の周波数であってもよい。
【0090】
具体的には、UE100(制御部130)は、周波数Cの優先度を周波数Aの優先度よりも高い優先度とみなす。UE100(制御部130)は、周波数Bの優先度を周波数Aの優先度よりも高い優先度とみなしてよい。
【0091】
UE100(制御部130)は、第1周波数帯に複数の周波数が含まれる場合、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を、第1周波数帯に含まれる複数の周波数の優先度のうち最も高い優先度よりも高い優先度とみなしてよい。
【0092】
(g)UE100(制御部130)は、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない周波数(すなわち、第1非重複周波数)よりも高い優先度とみなす。なお、第2周波数帯に含まれる周波数は、第2周波数帯に含まれる全ての周波数であってもよいし、第2周波数帯に含まれる一部の周波数であってもよい。
【0093】
具体的には、UE100(制御部130)は、例えば、周波数Cの優先度を周波数Aの優先度よりも高い優先度とみなす。UE100(制御部130)は、例えば、周波数Bの優先度を周波数Aの優先度よりも高い優先度とみなしてよい。
【0094】
(h)UE100(制御部130)は、第2周波数帯に含まれる周波数の優先度を最高優先度とみなす。なお、第2周波数帯に含まれる周波数は、第2周波数帯に含まれる全ての周波数であってもよいし、第2周波数帯に含まれる一部の周波数であってもよい。具体的には、UE100(制御部130)は、周波数Bの優先度を最高優先度とみなしてよい。
【0095】
(i)UE100(制御部130)は、第1周波数に属するセルを、キャンプオンセルとして選択することが禁止される禁止セルとみなす。禁止セルのリストは、ブラックリストと称されてよい。具体的には、UE100(制御部130)は、周波数Aに属するセルを禁止セルとみなす。UE100(制御部130)は、周波数Bに属するセルを禁止セルとみなしてよい。
【0096】
(j)UE100(制御部130)は、第1周波数帯に含まれる周波数のうち第2周波数帯と重複していない周波数(すなわち、第1非重複周波数)に属するセルを禁止セルとみなす。具体的には、UE100(制御部130)は、周波数Aに属するセルを禁止セルとみなす。
【0097】
UE100(制御部130)は、上述の優先制御を行った後に、通常のセル選択動作又はセル再選択動作を行う。UE100(制御部130)は、優先制御により、例えば、第1周波数帯に含まれる周波数の優先度が第2周波数帯に含まれる周波数の優先度よりも相対的に低くなる。これにより、UE100(制御部130)は、第1周波数帯に属するセルよりも第2周波数帯に属するセルを優先して選択し易くなる。
【0098】
ステップS203:
UE100(制御部130)は、通常のセル選択動作又はセル再選択動作を行う。
【0099】
[その他の実施形態]
上述の実施形態の動作において、第1ネットワーク200A及び基地局210AをセルC1(第1セル)と読み替えてもよいし、第1ネットワーク200A及び基地局210AをセルC2(第2セル)と読み替えてもよい。
【0100】
上述の実施形態の動作において、受信部121の数は、3つ以上であってよい。また、送信部122の数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0101】
上述の実施形態の動作において、「周波数」は、「周波数バンド(frequency band)」に置き換えられてもよい。なお、第1周波数帯は、第1受信部121Aがサポートする周波数範囲、すなわち、第1受信部121Aによる無線信号の受信が行われる周波数の範囲を示してよく、第2周波数帯は、第2受信部121Bがサポートする周波数範囲、すなわち、第2受信部121Bによる無線信号の受信が行われる周波数の範囲を示してよい。第1周波数帯(すなわち、第1受信部121Aがサポートする周波数範囲)及び第2周波数帯(すなわち、第2受信部121Bがサポートする周波数範囲)のそれぞれは、1つの周波数バンドにより構成されてもよく、複数の周波数バンドにより構成されてよい。
【0102】
上述の実施形態の動作において、第1周波数帯と第2周波数帯とは、重複していなくてよい。すなわち、第1周波数帯と第2周波数帯とは、周波数軸において離れていてもよい。例えば、第1受信部121Aは、FR1(Frequency Range 1)とFR2(Frequency Range 2)との一方の周波数領域での無線信号の受信をサポートし、第2受信部121Bは、他方の周波数領域での無線信号の受信をサポートしてよい。FR1は、450~6000Mhzの範囲の周波数帯である。FR2は、24250~52600MHzの範囲の周波数帯である。
【0103】
上述の実施形態の動作において、優先制御として、通信品質にオフセット値を加えてよい。例えば、UE100(制御部130)は、第1周波数帯に含まれる周波数において測定された通信品質(例えば、受信電力、受信品質)に負のオフセット値を加えることで、選択動作における基準と比較される通信品質を低下させてよい。また、UE100(制御部130)は、第2周波数帯に含まれる周波数において測定された通信品質に正のオフセット値を加えることで、選択動作における基準と比較される通信品質を上昇させてよい。
【0104】
上述の実施形態の動作において、UE100(制御部130)は、RRCコネクティッド状態である場合に、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられていると判定し、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態である場合に、第1ネットワーク200Aとの通信に第1受信部121Aが用いられていないと判定してもよい。
【0105】
上述の実施形態の動作におけるステップは、必ずしもフロー図又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、動作におけるステップは、フロー図又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、動作におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。さらに、上述の各動作フローは、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の動作フローを組み合わせて実施可能である。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよいし、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。
【0106】
UE100又は基地局210が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、UE100又は基地局210が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又は基地局210の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0107】
なお、上述の実施形態において、「送信する(transmit)」は、送信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に送信することを意味してもよい。或いは、「送信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に送信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「受信する(receive)」は、受信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に受信することを意味してもよい。或いは、「受信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に受信することとの組合せを意味してもよい。
【0108】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 :移動通信システム
100 :UE
101 :アンテナ
102 :アンテナ
120 :通信部
120A :第1通信部
120B :第2通信部
121 :受信部
121A :第1受信部
121B :第2受信部
122 :送信部
122A :第1送信部
122B :第2送信部
130 :制御部
200A :第1ネットワーク
200B :第2ネットワーク
210 :基地局
210A :基地局
210B :基地局
211 :アンテナ
212 :通信部
212a :受信部
212b :送信部
213 :ネットワークインターフェイス
214 :制御部
220A :コアネットワーク
220B :コアネットワーク
221 :モビリティ管理装置
221A :モビリティ管理装置
221B :モビリティ管理装置
222 :ゲートウェイ装置
222A :ゲートウェイ装置
222B :ゲートウェイ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7