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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164278
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069672
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】308022922
【氏名又は名称】株式会社ワークソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】荻原 真二
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 清美
(72)【発明者】
【氏名】宮本 治彦
(72)【発明者】
【氏名】跡部 光朗
(72)【発明者】
【氏名】原 敏美
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA02
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD13
4C058DD16
4C058EE01
4C058KK02
4C058KK28
4C058KK33
(57)【要約】
【課題】作業者の手に装着された手袋に対し紫外線を照射して手袋の表面を殺菌する紫外線照射装置であって、紫外線が殺菌室の外に照射されにくい紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】作業者Wの手に装着された手袋Gに対し、紫外線を照射して手袋Gの表面を殺菌する紫外線照射装置1。紫外線照射装置1は、紫外線を遮断する紫外線遮断部材からなり、内部に殺菌室12を有するとともに手袋Gを装着した手を殺菌室12に挿入するための挿入口14を有する殺菌室筐体10と、殺菌室12に紫外線を放出する紫外線源20と、紫外線を反射又は吸収することで紫外線の光路を制御する複数の光路制御板をルーバー状に組み合わせた光路制御ユニット30とを備え、光路制御ユニット30は、挿入口14に向かう紫外線を遮断する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の手に装着された手袋に対し、紫外線を照射して前記手袋の表面を殺菌する紫外線照射装置であって、
紫外線を遮断する紫外線遮断部材からなり、内部に殺菌室を有するとともに前記手袋を装着した手を前記殺菌室に挿入するための挿入口を有する殺菌室筐体と、
前記殺菌室筐体の内部に配置され、前記殺菌室に紫外線を放出する紫外線源と、
前記殺菌室筐体の内部に配置され、紫外線を反射又は吸収することで紫外線の光路を制御する複数の光路制御板をルーバー状に組み合わせた光路制御ユニットとを備え、
前記光路制御ユニットは、前記挿入口に向かう紫外線を遮断することを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記紫外線照射装置は、前記紫外線源を複数備え、
前記光路制御ユニットは、前記紫外線源ごとに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記光路制御ユニットにおいては、前記挿入口に近い側ほど長い前記光路制御板が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記光路制御ユニットにおいては、前記複数の前記光路制御板は、前記紫外線源から遠い側の端部が、前記手袋を装着した手を挿入する方向に対して平行な平面上に揃うように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記光路制御ユニットにおいては、前記複数の前記光路制御板は、前記紫外線源に近い側の端部が、前記光路制御板の主面に対して垂直な平面上に揃うように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記光路制御ユニットにおいては、最も前記挿入口に近い側に配置されている前記光路制御板における前記挿入口に近い側の表面が紫外線を吸収するように構成されていることを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記光路制御ユニットにおいては、最も前記挿入口に近い側に配置されている前記光路制御板以外の前記光路制御板についても、前記挿入口に近い側の表面が紫外線を吸収するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記紫外線照射装置は、前記殺菌室筐体の内部に配置され、前記紫外線源から対応する前記光路制御ユニットとは反対の側に放出される紫外線を前記光路制御ユニット側に反射するための反射部材をさらに備えることを特徴とする請求項2~7のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記反射部材と、前記光路制御ユニットを構成する前記光路制御板のうち最も前記挿入口側に存在する光路制御板とは、対応する前記紫外線源の前記挿入口側において接触又は連続していることを特徴とする請求項8に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記光路制御板の前記手袋を装着した手と近接する側の端部には、前記手袋と接触したときに前記手袋が損傷することを抑制するための加工又は処理がなされていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記紫外線照射装置は、周囲に人間が存在することを検知する人感センサーと、前記殺菌室に前記手袋が挿入されたことを検知する殺菌室センサーとをさらに備え、
前記人感センサーが人間の存在を検知していないときには、前記殺菌室に紫外線を照射し、
前記人感センサーが人間の存在を検知し、かつ、前記殺菌室センサーが前記殺菌室に前記手袋が挿入されたことを検知していないときには、前記殺菌室への紫外線の照射を中断し、
前記人感センサーが人間の存在を検知し、かつ、前記殺菌室センサーが前記殺菌室に前記手袋が挿入されていることを検知しているときには、前記殺菌室への紫外線の照射を再開することを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線による殺菌は、コロナウイルス、ノロウイルス、サルモネラ菌、O157などの広い範囲のウイルスや菌に対して高い効果が得られることから、食品や医療の分野などにおいては、紫外線を用いた紫外線照射装置が注目されている。
【0003】
紫外線は広い範囲のウイルスや菌に対して高い効果が得られるが、その一方で、人間に悪影響を与えることも知られている。このため、紫外線照射装置においては、殺菌室筐体内の殺菌室において照射される紫外線が作業者及びその周囲の作業者などに悪影響を与えないことが重要であり、この点を考慮した安全性の高い紫外線照射装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図6は、特許文献1に記載されている紫外線照射装置900を説明するための断面図である。特許文献1に記載されている紫外線照射装置900は、図6に示すように、手袋Gを装着した手が挿入される挿入口910を有する殺菌室筐体920と、殺菌室筐体920内に形成されている殺菌室921に紫外線を照射する紫外線照射ランプ930と、挿入口910の縁部から殺菌室921内に向かう方向に延出され、手袋を装着した手の挿入をガイドするとともに紫外線を遮断するスリーブ状のガイド部940と、挿入口910の正面及び側面を覆う紫外線遮断板950とを備えている。
【0005】
特許文献1に記載されている紫外線照射装置900は、作業者の手に装着された手袋Gに対し、紫外線を照射して手袋Gの表面を殺菌する紫外線照射装置である。すなわち、作業者の手に装着された手袋Gを装着した手を挿入口910から殺菌室921内に挿入すると、殺菌室921内で紫外線照射ランプ930が点灯して、手袋Gの表面に紫外線が照射されるようになっている。これにより、手袋Gの表面を殺菌することができる。
【0006】
また、特許文献1に記載されている紫外線照射装置900は、上述したように、スリーブ状のガイド部940及び紫外線遮断板950を有している。このため、殺菌室921内に照射される紫外線が、現時点で殺菌を行っている作業者及びその周囲の作業者に照射されることを抑制できる。これによって、特許文献1に記載されている紫外線照射装置900は、殺菌室筐体920内の殺菌室921において照射される紫外線が作業者及びその周囲の作業者等に悪影響を与えない安全性の高い紫外線照射装置であるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-63900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献1に記載されている紫外線照射装置900は安全性の高い紫外線照射装置であるが、安全性をより一層向上させた紫外線照射装置の開発も望まれている。安全性をより一層向上させた紫外線照射装置とするには、紫外線が殺菌室の外に一層照射されにくくすることが課題となる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、作業者の手に装着された手袋に対し紫外線を照射して手袋の表面を殺菌する紫外線照射装置であって、紫外線が殺菌室の外に照射されにくい紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の紫外線照射装置は、作業者の手に装着された手袋に対し、紫外線を照射して前記手袋の表面を殺菌する紫外線照射装置であって、前記紫外線を遮断する紫外線遮断部材からなり、内部に殺菌室を有するとともに前記手袋を装着した手を前記殺菌室に挿入するための挿入口を有する殺菌室筐体と、前記殺菌室筐体の内部に配置され、前記殺菌室に紫外線を放出する紫外線源と、前記殺菌室筐体の内部に配置され、紫外線を反射又は吸収することで紫外線の光路を制御する複数の光路制御板をルーバー状に組み合わせた光路制御ユニットとを備え、前記光路制御ユニットは、前記挿入口に向かう紫外線を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の紫外線照射装置は、作業者の手に装着された手袋に対し紫外線を照射して手袋の表面を殺菌する紫外線照射装置であって、紫外線が殺菌室の外に照射されにくい紫外線照射装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る紫外線照射装置1の外観構成図である。
図2】実施形態1に係る紫外線照射装置1の断面図である。
図3】実施形態1における紫外線源20及び光路制御ユニット30を説明するために示す断面図である。
図4】実施形態2に係る紫外線照射装置2の断面図である。
図5】変形例に係る紫外線照射装置3の断面図である。
図6】特許文献1に記載されている紫外線照射装置900を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の紫外線照射装置を下記に示す各実施形態に基づいて説明する。なお、各実施形態を説明するための各図に示す構造などは模式図であり、寸法や角度の表示は必ずしも現実に即したものとはなっていない。
【0014】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る紫外線照射装置1の外観構成図である。
図2は、実施形態1に係る紫外線照射装置1の断面図である。図2は、図1におけるx方向に垂直な平面で前記紫外線照射装置1の中央付近(スリットS1とスリットS2との間)を切断した状態を示す図である。
図3は、実施形態1における紫外線源20及び光路制御ユニット30を説明するために示す断面図である。図3における破線は、紫外線源20から放出される紫外線の光路を示す。
【0015】
実施形態1に係る紫外線照射装置1は、作業者Wの手に装着された手袋Gに対し、紫外線を照射して手袋Gの表面を殺菌する装置である。紫外線照射装置1は、図1及び図2に示すように、殺菌室筐体10と、紫外線源20と、光路制御ユニット30と、反射部材40と、人感センサー50と、殺菌室センサー60とを備える。なお、紫外線照射装置1は壁面に取り付けるタイプの装置であり、図1において符号18で示すのは、紫外線照射装置1を壁面に固定するための部材である。
【0016】
殺菌室筐体10は、金属板等の紫外線を遮断する紫外線遮断部材からなり、内部に殺菌室12を有するとともに手袋Gを装着した手を殺菌室12に挿入するための挿入口14を有する(図2参照。)。実施形態1に係る紫外線照射装置1は、手袋Gを装着した手を下から上方向に殺菌室12内に挿入するタイプのものである。このため、挿入口14は、殺菌室筐体10の下面側に設けられている。
【0017】
挿入口14は、左右の手を両方入れられるように設けられている。挿入口14は、左右の手ごとに別々に(一対の挿入口として)設けられていてもよい。なお、手袋Gを装着した手を殺菌室12内に挿入する際は、作業者Wの左右の手のひらをそれぞれ当該作業者Wの顔の側に向けた状態で挿入するものとする。
【0018】
手袋Gは、紫外線非透過性材料からなる手袋であって、例えば、ニトリルやラテックス等のゴム材又は酸化チタン等の紫外線遮断物質を含有する熱可塑性樹脂から形成されたものであることが好ましい。
【0019】
殺菌室筐体10の前面(作業者Wの顔と対面する側の面)には、スリットS1,S2が所定間隔を置いて形成されている(図1参照。)。スリットS1,S2には、紫外線の通過を抑制できるような加工(スモーク加工など)が施されている半透明のアクリル板などが嵌め込まれている。スリットS1,S2の存在により、作業者Wは、手袋Gを装着した手を殺菌室12内に挿入した際に、紫外線の影響を受けることなく、手袋Gを装着した手が殺菌室12の所定深さまで挿入された状態となっている否かを目視によって確認できる。「殺菌室の所定深さまで挿入された状態」というのは、「殺菌室において適正な殺菌が可能となる深さ(位置)まで挿入された状態」であることを意味している。なお、作業者Wは、手袋Gを装着した手を殺菌室12内に挿入したら、それぞれの指を開くようにすることが好ましい。
【0020】
殺菌室筐体10の外面には、各種表示(安全や危険を知らせるランプの点灯、文字の表示など)を行うための表示部16が設けられている(図1参照。)。なお、紫外線照射装置1は、スピーカー等の音声による報知手段をさらに備えていてもよい。
【0021】
紫外線源20は、殺菌室筐体10の内部に配置され、殺菌室12に紫外線を放出する。紫外線照射装置1は、紫外線源20を複数(実施形態1においては8個)備える(図2参照。)。紫外線源20は、例えば、波長185nm~280nmの紫外線を放出する水銀ランプである。複数の紫外線源20は、殺菌室12の内壁面に平行に設置されており、個々の紫外線源20は所定間隔を置いて平行に配置されている。複数の紫外線源20は、殺菌室12の内部において、幅方向(x軸方向)のほぼ全域に亘って架け渡されている。
【0022】
紫外線照射装置1は、紫外線源20が破損しても殺菌室12内に紫外線源20の破片が飛び散らないようにするための保護シートや保護網をさらに備えていてもよい。図示は省略するが、殺菌室筐体10の各内壁面には、皺加工されたアルミニウム箔が貼付されており、殺菌室12の各内壁面に照射された紫外線を反射しつつ散乱する。
【0023】
光路制御ユニット30は、殺菌室筐体10の内部に配置され、紫外線を反射又は吸収することで紫外線の光路を制御する複数の光路制御板32a~32eをルーバー状(平行板状)に組み合わせたものである(図2及び図3参照。)。光路制御ユニット30は、挿入口14に向かう紫外線を遮断する。光路制御ユニット30は、紫外線源20ごとに(つまり、紫外線源20と1対1で)配置されている。光路制御板32a~32eは、平板状の金属板などの紫外線を遮断する部材からなる。
【0024】
光路制御ユニット30においては、挿入口14に近い側ほど長い光路制御板が配置されている。実施形態1においては、最も長い光路制御板32aが最も挿入口14に近い側(図2及び図3の紙面下側)に配置されており、挿入口14から遠くなるほど順々に短い光路制御板32b~32eが配置されている。
【0025】
光路制御ユニット30においては、複数の光路制御板32a~32eは、紫外線源20から遠い側の端部が、手袋Gを装着した手を挿入する方向に対して平行な平面上に揃うように配置されている。このため、図2及び図3のような断面図では、光路制御ユニット30の紫外線源20側が階段状にずれているように見える。
【0026】
光路制御ユニット30においては、最も挿入口14に近い側に配置されている光路制御板32aにおける挿入口14に近い側の表面が紫外線を吸収するように構成されている。また、光路制御ユニット30においては、最も挿入口14に近い側に配置されている光路制御板32a以外の光路制御板32b~32eについても、挿入口14に近い側の表面が紫外線を吸収するように構成されている。当該構成は、例えば、紫外線を吸収する物質を含む塗料の塗布や表面加工により実現することができる。実施形態1においては、光路制御板32a~32eの挿入口14に近い側の表面には、紫外線吸収層33が形成されている。なお、光路制御板32a~32eの挿入口14から遠い側の表面は、紫外線を反射するように構成されている。
【0027】
上記のような光路制御ユニット30の存在により、紫外線源20が放出する紫外線のうち、光路制御板32a~32eに接触しない紫外線(例えば、図3の光路U1参照。)や、光路制御板32a~32eの挿入口14から遠い側の表面にのみ接触する紫外線(例えば、図3の光路U2参照。)は殺菌室12に向かって照射されることになる。一方、紫外線源20が挿入口14側に放出する紫外線(例えば、図3の光路U3参照。)は光路制御板32a~32eにより遮断(紫外線吸収層33により吸収)される。
【0028】
なお、実施形態1における光路制御ユニット30は、紫外線源20の手袋Gを装着した手と近接する側の全てを覆うようには配置されておらず、挿入口14から遠い側の一部には光路制御板が配置されていない。これは、光路制御板が配置されていない位置を通過する紫外線は、直接的には挿入口14に向かうことがないためである。紫外線を照射する向きをより揃えたい場合には、光路制御板32eの挿入口14から遠い側に追加の光路制御板を配置してもよい。
【0029】
光路制御板32a~32eの手袋Gを装着した手と近接する側の端部には、手袋Gと接触したときに手袋Gが損傷することを抑制するための加工又は処理がなされている。当該加工又は処理の例としては、面取り加工及び丸め加工を挙げることができる。また、摩擦低減などを目的として塗料を塗布してもよい。
【0030】
反射部材40は、殺菌室筐体10の内部に配置され、紫外線源20から対応する光路制御ユニット30とは反対の側に放出される紫外線を光路制御ユニット30側に反射する。反射部材40は、いわゆるリフレクター状の形状からなり、紫外線源20から放出される紫外線を開口側に向かって反射する(例えば、図3の光路U4参照。)。反射部材40と、光路制御ユニット30を構成する光路制御板32a~32eのうち最も挿入口14側に存在する光路制御板32aとは、対応する紫外線源20の挿入口14側において接触している。なお、反射部材40と光路制御板32aとは、連続していても(つまり、反射部材40と光路制御板32aとが一つの部材であっても)よい。反射部材40は、湾曲させた金属板等の紫外線を反射可能な部材からなる。
【0031】
人感センサー50は、周囲に人間が存在すること(人間が存在しないことでもよい)を検知する。本明細書における「人感センサー」は、「人間の存在を検知できるセンサー」であればよく、「人間の存在を特異的に検知できるセンサー」である必要はない。人感センサー50としては、例えば、赤外線センサーを用いることができる。
【0032】
殺菌室センサー60は、殺菌室12に手袋Gが挿入されたことを検知する。本明細書における「殺菌室センサー」は、「手袋が挿入されたことを検知できるセンサー」であればよく、「手袋が挿入されたことを特異的に検知できるセンサー」である必要はない。殺菌室センサー60としては、例えば、赤外線センサーを用いることができる。
【0033】
紫外線照射装置1は、人感センサー50が人間の存在を検知していないときには、殺菌室12に紫外線を照射する。紫外線照射装置1は、人感センサー50が人間の存在を検知し、かつ、殺菌室センサー60が殺菌室12に手袋Gが挿入されたことを検知していないときには、殺菌室12への紫外線の照射を中断する。紫外線照射装置1は、人感センサー50が人間の存在を検知し、かつ、殺菌室センサー60が殺菌室12に手袋Gが挿入されていることを検知しているときには、殺菌室12への紫外線の照射を再開する。
【0034】
なお、殺菌室センサー60は、手袋Gを装着した手が殺菌室12の所定深さまで挿入されたかどうかについての検知や、手袋Gを装着しない手を殺菌室12に挿入していないかどうかについての検知が可能なものであってもよい。上記のような検知は、例えば、人間の素肌温度と同様の温度を有する物体から放出される波長の赤外線を検知可能な赤外線センサーを用いることで実現することができる。
【0035】
以下、実施形態1に係る紫外線照射装置1の効果を説明する。
実施形態1に係る紫外線照射装置1は、紫外線を遮断する紫外線遮断部材からなり、内部に殺菌室12を有するとともに手袋Gを装着した手を殺菌室12に挿入するための挿入口14を有する殺菌室筐体10と、殺菌室筐体10の内部に配置され、殺菌室12に紫外線を放出する紫外線源20と、殺菌室筐体10の内部に配置され、紫外線を反射又は吸収することで紫外線の光路を制御する複数の光路制御板32a~32eをルーバー状に組み合わせた光路制御ユニット30とを備え、光路制御ユニット30は、挿入口14に向かう紫外線を遮断するため、作業者Wの手に装着された手袋Gに対し紫外線を照射して手袋Gの表面を殺菌する紫外線照射装置であって、紫外線が殺菌室12の外に照射されにくい紫外線照射装置となる。
【0036】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、紫外線源20を複数備え、光路制御ユニット30は、紫外線源ごとに配置されているため、光量を増やすために紫外線源20を増やした場合であっても、紫外線が殺菌室12の外に照射されにくくすることが可能となる。
【0037】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、光路制御ユニット30においては、挿入口14に近い側ほど長い光路制御板が配置されているため、光路制御ユニット30を構成するのに必要な資材を減らすことが可能となる。
【0038】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、光路制御ユニット30においては、複数の光路制御板32a~32eは、紫外線源20から遠い側の端部が、手袋Gを装着した手を挿入する方向に対して平行な平面上に揃うように配置されているため、手袋Gと複数の光路制御板32a~32eとが接触した際の手袋Gの損傷を抑制することが可能となる。
【0039】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、光路制御ユニット30においては、最も挿入口14に近い側に配置されている光路制御板32aにおける挿入口14に近い側の表面が紫外線を吸収するように構成されているため、光路制御ユニット30の挿入口14側に存在する紫外線源20からの紫外線を吸収して、紫外線が殺菌室12の外に一層照射されにくくすることが可能となる。
【0040】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、光路制御ユニット30においては、最も挿入口14に近い側に配置されている光路制御板32a以外の光路制御板32b~32eについても、挿入口14に近い側の表面が紫外線を吸収するように構成されているため、光路制御ユニット30を通過する紫外線のうち挿入口14に向かう可能性がある紫外線を吸収することが可能となる。
【0041】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、殺菌室筐体10の内部に配置され、紫外線源20から対応する光路制御ユニット30とは反対の側に放出される紫外線を光路制御ユニット30側に反射するための反射部材40をさらに備えるため、無駄になってしまう紫外線を減らすことが可能となる。
【0042】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、反射部材40と、光路制御ユニット30を構成する光路制御板32a~32eのうち最も挿入口14側に存在する光路制御板32aとは、対応する紫外線源20の挿入口14側において接触又は連続しているため、反射部材40と光路制御板32aとの間からの紫外線の漏れを低減又は防止して、紫外線が殺菌室12の外に一層照射されにくくすることが可能となる。
【0043】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、光路制御板32a~32eの手袋Gを装着した手と近接する側の端部には、手袋Gと接触したときに手袋Gが損傷することを抑制するための加工又は処理がなされているため、手袋Gと複数の光路制御板32a~32eとが接触した際の手袋Gの損傷を抑制することが可能となる。
【0044】
また、実施形態1に係る紫外線照射装置1によれば、周囲に人間が存在することを検知する人感センサー50と、殺菌室12に手袋Gが挿入されたことを検知する殺菌室センサー60とを備え、人感センサー50が人間の存在を検知していないときには、殺菌室12に紫外線を照射し、人感センサー50が人間の存在を検知し、かつ、殺菌室センサー60が殺菌室12に手袋Gが挿入されたことを検知していないときには、殺菌室12への紫外線の照射を中断し、人感センサー50が人間の存在を検知し、かつ、殺菌室センサー60が殺菌室12に手袋Gが挿入されていることを検知しているときには、殺菌室12への紫外線の照射を再開するため、安全性を高くしつつ、手袋Gを挿入してすぐに十分な紫外線を照射することが可能となる。
【0045】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る紫外線照射装置2の断面図である。
実施形態2に係る紫外線照射装置2は、基本的には実施形態1に係る紫外線照射装置1と同様の構成を有するが、光路制御板の配置が異なる。紫外線照射装置2の光路制御ユニット70においては、複数の前記光路制御板(符号を図示せず)は、紫外線源20に近い側の端部が、光路制御板の主面に対して垂直な平面上に揃うように配置されている。なお、本明細書における「光路制御板の主面」とは、光路制御板の面のうち最も面積が広い面のことをいう。このため、図4のような断面図では、光路制御ユニット70の紫外線源20とは反対の側が階段状にずれているように見える。
【0046】
実施形態2に係る紫外線照射装置2は、光路制御板の配置が異なる以外の点においては実施形態1に係る紫外線照射装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る紫外線照射装置1と同様に、作業者Wの手に装着された手袋Gに対し紫外線を照射して手袋Gの表面を殺菌する紫外線照射装置であって、紫外線が殺菌室12の外に照射されにくい紫外線照射装置となる。また、実施形態1に係る紫外線照射装置1が有する効果のうち該当する効果も有する。
【0047】
また、実施形態2に係る紫外線照射装置2によれば、光路制御ユニット70においては、複数の光路制御板は、紫外線源20に近い側の端部が、光路制御板の主面に対して垂直な平面上に揃うように配置されているため、光路制御板と紫外線源20とを全体的に近接させることで光路の制御を容易なものとすることが可能となる。
【0048】
なお、本発明は上述の各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0049】
(1)上記各実施形態における光路制御ユニット30,70及び反射部材40の向きは例示である。図5は、変形例に係る紫外線照射装置3の断面図である。例えば、図5に示すように、光路制御ユニット及び反射部材が挿入口とは反対の側に傾いて配置されていてもよい。また、光路制御ユニット及び反射部材の向きが紫外線源ごとに異なっていてもよい。
【0050】
(2)本発明の紫外線照射装置は、特許文献1に記載されている紫外線照射装置900における、手袋を装着した手の挿入をガイドするとともに紫外線を遮断するスリーブ状のガイド部940や、挿入口910の正面及び側面を覆う紫外線遮断板950のような構成要素をさらに備えていてもよい。
【0051】
(3)上記各実施形態においては、手袋Gは、作業者Wの指先から手首までを覆う丈の短いタイプの手袋であるとして説明したが、これに限られるものではなく、作業者Wの指先から肘に近い部分までを覆うことのできる丈の長いタイプの手袋であってもよい。また、手袋Gとアームカバーを組み合わせて使用してもよい。
【0052】
(4)上記各実施形態及び変形例に係る紫外線照射装置1,2,3は、手袋Gを装着した手を殺菌室12内に挿入する際に、手袋Gを装着した手を下から上方向に挿入するタイプのものであったが、特許文献1に記載されている紫外線照射装置900のように手袋Gを装着した手を上から下方向に挿入するタイプのものであってもよい。また、図示は省略するが、本発明の紫外線照射装置は、手袋Gを装着した手を斜め上方向、斜め下方向又は水平方向に挿入するタイプのものであってもよい。
【0053】
(5)上記各実施形態及び変形例に係る紫外線照射装置1,2,3においては、紫外線源20が水銀ランプである場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。紫外線源は紫外線を放出可能なものであればよく、例えば、紫外線発光ダイオード(UV LED)のようなものであってもよい。
【0054】
(6)上記各実施形態及び変形例に係る紫外線照射装置1,2,3における反射部材40の形状は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。反射部材は、いわゆるリフレクター状の形状以外の形状(例えば、平板状の形状)からなるものであってもよい。また、本発明の紫外線照射装置は、反射部材を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,2,3…紫外線照射装置、10…殺菌室筐体、12…殺菌室、14…挿入口、16…表示部、20…紫外線源、30,70…光路制御ユニット、32a~32e…光路制御板、33…紫外線吸収層、40…反射部材、50…人感センサー、60…殺菌室センサー、G…手袋、S1,S2…スリット、W…作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6