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特開2022-164301フロントサポート装置及びワークの曲げ加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164301
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】フロントサポート装置及びワークの曲げ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20221020BHJP
   B21D 5/01 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B21D5/02 W
B21D5/01 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069709
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】梅田 順也
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063BA01
4E063BA07
4E063GA02
4E063GA03
4E063GA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】曲げ加工機に対するワークの向きを変えて曲げ加工する作業を作業者が一人で作業できるフロントサポート装置を提供する。
【解決手段】フロントサポート装置(200)は、ワーク支持面(231a)を有する回動テーブル(231)と回動テーブル(231)を軸線(CL1)まわりに回動可能に支持するサポートテーブル(211)との組を含むテーブル体とそれを昇降する昇降部(2B)とを備え、曲げ加工機(100)前方に配置されて、昇降部(2B)は、テーブル体を、ワーク支持面(231a)の高さ位置が曲げ加工機(100)の下部テーブル(109)の上部に取り付けられたダイ(103)の上端位置と同じ高さになる第1の高さ位置(P1)と第1の高さ位置(P1)と曲げ加工機(100)の上部テーブル(111)の下部に取り付けられたパンチ(101)の下端位置との間の高さになる第2の高さ位置(P2)との間で昇降させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを支持するワーク支持面を有する回動テーブルと、前記回動テーブルを上下に延びる軸線まわりに回動可能に支持するサポートテーブルと、の組を含むテーブル体と、
前記テーブル体を昇降する昇降部と、
を備え、曲げ加工機の前方に配置されて曲げ加工に用いられ、
前記昇降部は、前記テーブル体を、前記ワーク支持面の高さ位置が、前記曲げ加工機の下部テーブルの上部に取り付けられたダイの上端位置と同じ高さになる第1の高さ位置と、前記第1の高さ位置と前記曲げ加工機の上部テーブルの下部に取り付けられたパンチの下端位置との間の高さになる第2の高さ位置と、
の間で昇降させるフロントサポート装置。
【請求項2】
前記サポートテーブルに対する前記回動テーブルの回動を、少なくとも2ヶ所の回動位置で位置決めする位置決め部を有する請求項1記載のフロントサポート装置。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記サポートテーブルに取り付けられた第1マグネットと前記回動テーブルに取り付けられた第2マグネットとを有し、
前記第1マグネットと前記第2マグネットとの間の磁気吸引力によって前記位置決めを行う請求項2記載のフロントサポート装置。
【請求項4】
前記昇降部を支持し、前記曲げ加工機の前面に対し、前記前面に沿って移動可能に連結する支持基部を備えた請求項1~3のいずれか1項に記載のフロントサポート装置。
【請求項5】
前記昇降部を前記前面に対し離隔及び接近する方向に移動可能に支持する請求項4記載のフロントサポート装置。
【請求項6】
前記昇降部を支持し、前記曲げ加工機が設置された設置面を移動可能な移動ベースを備えた請求項1~3のいずれか1項に記載のフロントサポート装置。
【請求項7】
前記回動テーブルは、前記ワーク支持面に対し出没するボールトランスファ群を有し、前記ボールトランスファ群が前記ワーク支持面から突出して前記ワークを水平移動自由に支持する第1支持状態と前記ボールトランスファ群が前記ワーク支持面から没して前記ワークを前記ワーク支持面で水平移動を規制して支持する第2支持状態との状態遷移が可能な請求項5又は請求項6記載のフロントサポート装置。
【請求項8】
曲げ加工機及び板状のワークを支持するフロントサポート装置を用いて前記ワークを曲げ加工するワークの曲げ加工方法であって、
前記曲げ加工機は、
下部テーブル及び前記下部テーブルの上部に取り付けられたダイと、前記下部テーブルの上方に配置された上部テーブル及び前記上部テーブルの下部に取り付けられたパンチとを備え、前記ダイと前記パンチとの間に挿入された前記ワークに対し前記上部テーブルと前記下部テーブルとを相対的に接近させて曲げ加工を行い、
前記フロントサポート装置を、
前記ワークを支持するワーク支持面を有する回動テーブルと、前記回動テーブルを上下に延びる軸線まわりに回動可能に支持するサポートテーブルと、
の組を含むテーブル体と、
前記テーブル体を昇降する昇降部と、
を備えるものとして前記曲げ加工機の前方に配置し、
前記曲げ加工機で前記ワークに曲げ加工を行うときには、
前記テーブル体を、前記ワーク支持面の高さ位置が前記ダイの上端の高さ位置と一致する第1の高さにし、
次の曲げ加工を前記ワークの向きを変えて行うときには、
前記テーブル体を前記ワーク支持面の高さ位置が前記ダイの上端よりも上方で前記パンチの下端よりも下方となる第2の高さにした後に、前記回動テーブルを回動させて前記回動テーブルで支持した前記ワークの向きを変える、
ワークの曲げ加工方法。
【請求項9】
曲げ加工機及び板状のワークを支持するフロントサポート装置を用いて前記ワークを曲げ加工するワークの曲げ加工方法であって、
前記曲げ加工機は、
下部テーブル及び前記下部テーブルの上部に取り付けられたダイと、前記下部テーブルの上方に配置された上部テーブル及び前記上部テーブルの下部に取り付けられたパンチとを備え、前記ダイと前記パンチとの間に挿入された前記ワークに対し前記上部テーブルと前記下部テーブルとを相対的に接近させて曲げ加工を行い、
前記フロントサポート装置を、
前記ワークを支持するワーク支持面及び前記ワーク支持面に対し出没するボールトランスファ群を有し、前記ボールトランスファ群が前記ワーク支持面から突出して前記ワークを水平移動自由に支持する第1支持状態と前記ボールトランスファ群が前記ワーク支持面から没して前記ワークを前記ワーク支持面で水平移動を規制して支持する第2支持状態との状態遷移が可能な回動テーブルと、
前記回動テーブルを上下に延びる軸線まわりに回動可能に支持するサポートテーブルと、
の組を含むテーブル体と、
前記テーブル体を昇降する昇降部と、
を備えるものとして前記曲げ加工機の前方に配置し、
前記曲げ加工機で前記ワークに曲げ加工を行うときには、
前記ボールトランスファ群を第1支持状態にすると共に、前記テーブル体を、前記ボールトランスファ群の上端の高さ位置が前記ダイの上端の高さ位置と一致する第1の高さにし、
次の曲げ加工を前記ワークの向きを変えて行うときには、
前記ボールトランスファ群を第2支持状態にして前記ワークを前記回動テーブルで支持し、かつ、前記テーブル体を前記ワーク支持面の高さ位置が前記ダイの上端よりも上方で前記パンチの下端よりも下方となる第2の高さにした後に、前記回動テーブルを回動させて前記回動テーブルで支持した前記ワークの向きを変える、
ワークの曲げ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの曲げ加工に用いるフロントサポート装置及びワークの曲げ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを支持するサポートテーブルを有し、曲げ加工機の前面に配置されて作業者のワーク曲げ加工作業を補助するフロントサポート装置が知られている。
このフロントサポート装置として、特許文献1に、曲げ加工機における下部フレームの前面に配置され、板状のワークを支持することで作業者の曲げ加工作業を補助するフロントテーブル装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-072735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたフロントテーブル装置は、板状のワークの曲げ位置を変える際に、作業者がワークを持ち上げながらその向きを変える必要がある。従って、作業者の体力的及び工数的な負担は大きく、質量が比較的大きいワークでは、作業に複数人を要する。
【0005】
そのため、フロントサポート装置は、曲げ加工におけるワークの取り扱いにおいて作業者の負担をより軽減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1) 本発明の一態様に係るフロントサポート装置は、板状のワークを支持するワーク支持面を有する回動テーブルと、前記回動テーブルを上下に延びる軸線まわりに回動可能に支持するサポートテーブルと、の組を含むテーブル体と、前記テーブル体を昇降する昇降部と、を備え、曲げ加工機の前方に配置されて曲げ加工に用いられ、前記昇降部は、前記テーブル体を、前記ワーク支持面の高さ位置が、前記曲げ加工機の下部テーブルの上部に取り付けられたダイの上端位置と同じ高さになる第1の高さ位置と、前記第1の高さ位置と前記曲げ加工機の上部テーブルの下部に取り付けられたパンチの下端位置との間の高さになる第2の高さ位置と、の間で昇降させる。
このフロントサポート装置は、ワークの向きを変える作業において、ワーク支持面の高さ位置を第2の高さにしてワークをダイとパンチとの間の高さ位置に位置決めできる。
これにより、作業者はワークが長尺であってもダイ及びパンチに干渉させることなく回動してそのワークの向きを変えることができる。
このように、本発明の一態様のフロントサポート装置によれば、ワークの取り扱いにおいて作業者の負担がより軽減する。
【0007】
2) 本発明の一態様に係るワークの曲げ加工方法は、曲げ加工機及び板状のワークを支持するフロントサポート装置を用いて前記ワークを曲げ加工するワークの曲げ加工方法であって、前記曲げ加工機は、下部テーブル及び前記下部テーブルの上部に取り付けられたダイと、前記下部テーブルの上方に配置された上部テーブル及び前記上部テーブルの下部に取り付けられたパンチとを備え、前記ダイと前記パンチとの間に挿入された前記ワークに対し前記上部テーブルと前記下部テーブルとを相対的に接近させて曲げ加工を行い、前記フロントサポート装置を、前記ワークを支持するワーク支持面を有する回動テーブルと、前記回動テーブルを上下に延びる軸線まわりに回動可能に支持するサポートテーブルと、の組を含むテーブル体と、前記テーブル体を昇降する昇降部と、を備えるものとして前記曲げ加工機の前方に配置し、前記曲げ加工機で前記ワークに曲げ加工を行うときには、
前記テーブル体を、前記ワーク支持面の高さ位置が前記ダイの上端の高さ位置と一致する第1の高さにし、次の曲げ加工を前記ワークの向きを変えて行うときには、前記テーブル体を前記ワーク支持面の高さ位置が前記ダイの上端よりも上方で前記パンチの下端よりも下方となる第2の高さにした後に、前記回動テーブルを回動させて前記回動テーブルで支持した前記ワークの向きを変える方法である。
ワークの向きを変える作業において、ワーク支持面の高さ位置が第2の高さにあるので、ワークはダイとパンチとの間の高さ位置にある。
これにより、作業者はワークが長尺であってもダイ及びパンチに干渉することなく回動してそのワークの向きを変えることができる。
このように、本発明の一態様のワーク曲げ加工方法によれば、ワークの取り扱いにおいて作業者の負担がより軽減する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様の、フロントサポート装置及びワークの曲げ加工方法によれば、ワークの取り扱いにおいて作業者の負担がより軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例のサポート装置200とサポート装置200が取り付けられた曲げ加工機100とを示す部分側面図である。
図2図2は、サポート装置200と曲げ加工機100とを示す部分正面図である。
図3図3は、サポート装置200が備えるサポートテーブル211を示す上面図である。
図4図4は、サポート装置200及び曲げ加工機100を含んで構成される曲げ加工システムSTのブロック図である。
図5図5は、サポート装置200及び曲げ加工機100の第1の状態を示す部分側面図である。
図6図6は、サポート装置200及び曲げ加工機100の第2の状態を示す部分側面図である。
図7図7は、サポート装置200及び曲げ加工機100の第3の状態を示す部分側面図である。
図8図8は、サポート装置200及び曲げ加工機100の第4の状態を示す部分側面図である。
図9図9は、サポート装置200の回動テーブル231を、第4の状態から90°回動させた状態を示す部分側面図である。
図10A図10Aは、本発明の実施の形態に係るワークの曲げ加工方法の実施例である曲げ加工方法M1の前段を示すフロー図である。
図10B図10Bは、曲げ加工方法M1の後段を示すフロー図である。
図11図11は、サポート装置200の変形例1であるサポート装置200Aを示す側面図である。
図12図12は、サポート装置200の変形例2であるサポート装置200Bを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図4を参照して、本発明の実施の形態に係るフロントサポート装置の実施例であるサポート装置200を説明する。
図1は、本実施の形態に係るサポート装置200とサポート装置200が取り付けられた曲げ加工機100とを示す部分側面図である。
図2は、サポート装置200と曲げ加工機100とを示す部分正面図である。
図3は、サポート装置200が備えるサポートテーブル211を示す上面図である。
図4は、サポート装置200と曲げ加工機100とを含んで構成される曲げ加工システムSTのブロック図である。
以下の説明における上下左右前後の各方向は、図1に示される矢印に示された方向に規定する。図1において左方向は紙面奥方向であり、右方向は紙面手前方向である。上下方向は、特に記載がない限り鉛直方向と一致している。
【0011】
まず、図1及び図2を主に参照して曲げ加工機100を説明する。
曲げ加工機100は、下部テーブル109と、下部テーブル109の上方に配置された上部テーブル111と、左右一対の側板107と、制御部CTとを有する。
図1及び図4に示されるように、制御部CTは、中央処理装置(CPU)CTa及び記憶部CTbを有し、制御部CTには、入力部CN及び出力部CDが接続されている。入力部CNは、動作指示及び加工データなどが入力される。中央処理装置CTaは、出力情報を出力部CDから画像又は音声で出力する。記憶部CTbには、加工プログラム及び金型情報などの加工情報が記憶される。
【0012】
下部テーブル109は、左右方向を長手とする概ね直方体状のテーブルであって、設置面として例えば床FLに設置される。
一対の側板107は、上下前後方向に延在し平行に対向してそれぞれ下部テーブル109の左右両端に連結されている。
上部テーブル111は、一対の側板107間を上部で連結するビーム(不図示)に支持される。上部テーブル111及び下部テーブル109の一方は、ビームに支持された昇降駆動部K1(図1参照)によって他方に対し上下方向に離隔及び接近するように昇降する(図1の矢印DR1参照)。昇降駆動部K1の動作は、制御部CTによって制御される。
【0013】
下部テーブル109の上端部には、ダイホルダ115が取り付けられている。ダイホルダ115には、下部曲げ金型であるダイ103が着脱自由に取り付けられている。
上部テーブル111の下端部には、パンチホルダ113が取り付けられている。パンチホルダ113には、ダイ103と組になる上部曲げ金型であるパンチ101が着脱自由に取り付けられている。
これにより、曲げ加工機100は、作業者の手作業などによってダイ103とパンチ101との間に挿入された板金のワークWに対し、上部テーブル111と下部テーブル109とを相対的に接近させてダイ103とパンチ101との組み合わせに応じた曲げ形状となるよう曲げ加工を行う。
【0014】
図1及び図2に示されるように、下部テーブル109の前面109fには、支持部109aが取り付けられている。支持部109aは、左右に延びるレール状の部材である。支持部109aは、サポート装置200を支持し、サポート装置200の左右方向の移動を案内する。
【0015】
図1において、ダイ103の後方側には、突き当て部117aを有するバックゲージ装置117が配置されている。バックゲージ装置117は、突き当て駆動部117bの動作によって突き当て部117aを前後方向に移動させ(図1の矢印DR2参照)、任意の位置でロックする。
また、バックゲージ装置117自体もゲージ昇降部117c(図4参照。図1は不図示。)によって、図1に示された突き当て位置と、突き当て位置よりも下方の退避位置との間で上下移動する(矢印DR3参照)。
【0016】
突き当て部117aの前端面には、ダイ103とパンチ101との間に挿入されたワークWが突き当てられ、その突き当てられた状態で曲げ加工が実行される。
これにより曲げ位置に対応した前後の位置が規定され、折り曲げ位置が精度よく決められる。
突き当て部117aの前後移動及びバックゲージ装置117の上下移動は、制御部CTによって制御される。
【0017】
次に、フロントサポート装置であるサポート装置200を説明する。サポート装置200と曲げ加工機100とを含んで曲げ加工システムSTが構成される。
図1及び図2に示されるように、サポート装置200は、下方から順に取り付け部2A,昇降部2B,及び回動部2Cを有する。
【0018】
(取り付け部2A)
取り付け部2Aは、支持基部250,スライダ251,及び支柱253を有する。
支持基部250は、左右に長い直方体状の部材であり、左右端部に近い位置それぞれに、後方に突出するスライダ251が取り付けられている。
スライダ251は、曲げ加工機100における下部テーブル109の前面109fに取り付けられた支持部109aによって、左右に移動可能(図2の矢印DR4参照)かつ任意位置でロック可能に係合支持されている。
一対の支柱253は、支持基部250のそれぞれ左端及び右端に近い位置において、上下方向に移動可能(図2の矢印DR5参照)かつ任意位置でロック可能に挿入係合して支持されている。
【0019】
下部テーブル109に対する支持基部250の左右方向の位置調整、及び支持基部250に対する一対の支柱253の上下方向の位置調整は、曲げ加工の内容に応じ作業者によって手動で行われる。
このように、サポート装置200は、全体が、曲げ加工機100の前方において、左右方向に移動し、かつ任意位置で維持可能となっている。また、昇降部2B及び回動部2Cは、後述のように一対の支柱253で支持されているので、支柱253の上下移動に伴い上下移動しかつ任意位置で維持可能となっている。
【0020】
(昇降部2B)
昇降部2Bは、ベースプレート255,エアシリンダ257,及びサポートテーブル211を有する。
ベースプレート255は、左右に長く上方視で長方形となる板状部材である。
ベースプレート255は、取り付け部2Aの一対の支柱253の上部に固定され、一対の支柱253の昇降に伴い、水平姿勢で昇降するようになっている。
図2に示されるように、ベースプレート255の中心位置には、リング状の案内リング259が取り付けられている。案内リング259及びベースプレート255には、両部材を貫通して、上下方向に延びる軸線CL1を中心とする貫通孔259aが形成されている。
【0021】
エアシリンダ257は、一対の支柱253の一方に配置されている。詳しくは、エアシリンダ257の一部が一方の支柱253の内部に進入し、駆動方向が上下方向となるよう配置されている。すなわち、エアシリンダ257のロッド257aは、その上部から出入りし、突出量が最も少ない最下位置(図1参照)と、上方に突出した突出位置(図8参照)との間で上下移動する。エアシリンダ257の動作は、制御部CTによって制御される。
他方の支柱253には、従動ロッド257bが昇降自由に設置され、エアシリンダ257のロッド257aの伸縮動作に追従してスムースに昇降するようになっている。
【0022】
サポートテーブル211は、左右に長く上方視で長方形となる板状部材である。サポートテーブル211は、エアシリンダ257のロッド257a及び従動ロッド257bの先端に水平姿勢となるよう固定されている。
図2に示されるように、サポートテーブル211の下面211bの中心位置には、軸線CL1を中心軸として下方に突出した下突出軸部221を有する。
下突出軸部221は、ベースプレート255及び案内リング259を貫通する貫通孔259aにほぼ遊びなく挿通されている。これにより、エアシリンダ257の動作に伴うサポートテーブル211のベースプレート255に対する上下移動が円滑に案内される。
【0023】
サポートテーブル211の上面211aには、前後に2列、左右に4列の合計8個のボールトランスファ217が設置されている。以下、8個のボールトランスファ217をまとめてボールトランスファ群217Gと称する(図3参照)。
全てのボールトランスファ217の上端は同一の水平面SF2に位置する。
【0024】
サポートテーブル211の上面211aの中心位置には、軸線CL1を軸として上方に突出する円柱状の上突出軸部213が設けられている。上突出軸部213の上面位置は、水平面SF2よりも上方にある。
図2に示されるように、サポートテーブル211における長手に沿う両縁部には、その長手方向に離隔して4つの第1マグネット219が取り付けられている。4つの第1マグネット219のうち、外側の2つが第1外側マグネット219aであり内側の2つが第1内側マグネット219bである。マグネット291bは、図2において軸線CL1を挟んで左右等距離に位置している。
【0025】
(回動部2C)
回動部2Cは、回動テーブル231及び軸受け部237を有する。また、回動部2Cはボールトランスファユニット233を有していてもよい。ここでは、回動部2Cがボールトランスファユニット233を有する例を説明する。
回動テーブル231は、水平姿勢で配置された上方視で長方形の板状部材である。軸受け部237は、回動テーブル231の中心位置に、軸線CL1を中心軸として配置されている。軸受け部237は、アンギュラベアリングを有し、その外輪が回動テーブル231側に固定され、内輪にサポートテーブル211の上突出軸部213が固定されている。
また、回動テーブル231は、下面231bにサポートテーブル211のボールトランスファ群217Gが接触している。
これにより、上突出軸部213に対し回動テーブル231は、軸受け部237及びボールトランスファ群217Gを介してサポートテーブル211で支持され、かつ軸線CL1まわりに手作業のわずかな力で回動可能となっている(図3の矢印DR6参照)。
【0026】
回動テーブル231の長手に沿う両縁部には、それぞれ第2マグネット239が設置固定されている。
詳しくは、第2マグネット239は、図1及び図2に示されるように、サポートテーブル211の第1外側マグネット219aに接触又は近接して互いに吸引固定する位置に設置されている。
第2マグネット239は、回動テーブル231をサポートテーブル211に対し軸線CL1まわりに180°回動させると、再び第1外側マグネット219aに接触又は近接して互いに吸引固定するようになっている。
【0027】
第2マグネット239と第1外側マグネット219aとの吸引力は、回動テーブル231がサポートテーブル211に対し長手方向を同じとする図1及び図2に示される第1回動位置、及び軸線CL1まわりに180°回動した第2回動位置を良好に位置決めして維持する。そして、これらの磁気吸引力の大きさは、作業者の手の力で位置決めを脱して回動可能な程度に設定される。
【0028】
これらにより、回動テーブル231は、サポートテーブル211に対し第1回動位置及び第2回動位置で良好に位置決め維持され、作業者の手作業によって第1回動位置と第2回動位置との間で少なくとも180°回動させて向きの転換が容易にできるようになっている。
この回動テーブル231の回動手作業をさらに容易にするため、回動テーブル231の4つの縁部には、それぞれ外方に突出して作業者が把持できるハンドル235a~235dが取り付けられている。
以下、サポートテーブル211と、サポートテーブル211に回動可能に支持されている回動テーブル231とを合わせてテーブル体Tと称する。
【0029】
ボールトランスファユニット233は、図3に示されるように、軸線CL1を挟んで前後に平行対向するよう離隔して一対設けられている。
それぞれのボールトランスファユニット233は、細長い板状のベース部233bと、ベース部233bにおいて長手方向に離隔して配置された複数(この例で6個)のボールトランスファ233aを有する。以下、複数(この例で6個2列の合計12個)のボールトランスファ233aをまとめてボールトランスファ群233Gと称する。
【0030】
一対のボールトランスファユニット233は、それぞれ、回動テーブル231に備えられた浮上駆動部K231によって同期して昇降する。詳しくは、一対のボールトランスファユニット233は、回動テーブル231の上面231aに対し同期して出没するように昇降する。より詳しくは、ボールトランスファユニット233は、ボールトランスファ群233Gの各ボールトランスファ233aの上端位置が、回動テーブル231の上面231aから没した没入位置と上面231aよりも上方に突出した浮上位置との間で昇降する。浮上駆動部K231の動作は制御部CTによって制御される。
上面231aは、ボールトランスファユニット233が下降したときに、ワークWを支持するワーク支持面である。
すべてのボールトランスファ233aの上端は、同一の水平面SF1に位置している。図1は、ボールトランスファユニット233が浮上位置にある状態を示し、図2は没入位置にある状態が示されている。
【0031】
図1に示されるように、ボールトランスファユニット233が浮上位置にあるときの水平面SF1の高さ位置である位置P1と、サポートテーブル211の第2マグネット239の下端の高さ位置である位置P4(図5も参照)との間の上下方向の距離を距離H1とする。距離H1は、上部テーブル111が最上昇位置にあるときの、パンチ101の下端位置とダイ103の上端位置との間の上下方向の距離H2に対し十分に小さく(薄く)形成されている。
【0032】
ボールトランスファユニット233が浮上位置にあるとき、ワークWはボールトランスファ群233Gによって水平移動自由に支持される。この状態を第1支持状態と称する。
ボールトランスファユニット233が没入位置にあるとき、ワークWは回動テーブル231の上面231aであるワーク支持面231aで水平移動が規制されて支持される。この状態を第2支持状態と称する。ボールトランスファユニット233の昇降により、第1支持状態と第2支持状態と状態遷移が行われる。
【0033】
昇降部2Bによるテーブル体Tの昇降動作は、図1に示されるように、ボールトランスファユニット233が浮上位置にあるときの水平面SF1が、ダイ103の上端の位置と一致する高さ位置P1と、水平面SF1が高さ位置P1よりも上方でパンチ101の下端よりも下方の第2高さ位置P2との間で昇降するように行われる。位置P1を第1の高さ位置として下降位置と称し、位置P2を第2の高さ位置として上昇位置と称する。
より詳しくは、上昇位置は、水平面SF1と回動テーブル231の上面231aとの両方が、高さ位置P1よりも上方でパンチ101の下端よりも下方に位置する。
高さ位置P1と高さ位置P2との間の上下方向の距離H3は、距離H1と、曲げ加工対象のワークWの最大厚さとを加算した距離よりも大きく設定される。
これにより、回動テーブル231を、第1回動位置から、第2回動位置である軸線CL1まわりに180°回動した位置に回動させる際に、ワークW及びワークWを支持した回動テーブル231がパンチ101及びダイ103と干渉することはない。
回動テーブル231の180°の回動でワークWが側板107と干渉する場合には、サポート装置200を曲げ加工機100の前方で左右方向に移動して干渉しないように位置調整が容易にできる。
そのため、ワークWを、軸線CL1まわりに180°向きを変える作業は、1人の作業者の手作業で行うことができ、その作業は極めて容易である。
これにより、サポート装置200及び曲げ加工システムSTは、ワークWの取り扱いにおいて作業者の負担が軽減する。
【0034】
実施例のサポート装置200,曲げ加工システムSTは、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0035】
(変形例1)
図11は、サポート装置200の変形例1であるサポート装置200Aを示す側面図である。
サポート装置200Aは、サポート装置200の支持基部250の替わりに支持基部250Aを有する。
支持基部250Aは、ガイドレール部252Aとスライダ251Aとを有する。
ガイドレール部252Aは、前後方向に延びる案内レールであり、スライダ251Aは、サポート装置200におけるスライダ251に相当し、下部テーブル109の支持部109aに案内係合されて左右方向に移動可能である。
【0036】
支柱253の下端部には、ガイドレール部252Aと係合して、矢印DR14のように前後方向にスライドする支柱スライダ254Aを有する。支柱スライダ254Aは、不図示のロック構造によってガイドレール部252A上の所望の位置で位置決めロック可能となっている。
この構造により、サポート装置200Aは、テーブル体Tを、曲げ加工機100の前方において左右方向のみならず前後方向にも移動可能となっている。
これにより、サポート装置200Aは、ワークWのサイズ及び形状に応じてワークWを支持する部位の自由度が増し、ワークWの取り扱いが更に容易となって作業者の負担は一段と軽減する。
【0037】
サポート装置200Aは、曲げ加工機100に対し前後方向に移動可能なので、回動テーブル231を軸線CL1まわりに90°回動させた位置でも位置決め保持できるようになっている。
具体的には、図2及び図3に示されるように、回動テーブル231の長手方向中央部において、長手方向及び幅方向に離隔して二対となる4個の第3マグネット240が設置固定されている。
第3マグネット240は、図9に示されるように、回動テーブル231をサポートテーブル211に対し軸線CL1まわりに90°回動させた状態で、第1内側マグネット219bに接触又は近接して互いに吸引固定する位置に設置されている。
【0038】
第2マグネット239と第1外側マグネット219aとの吸引力、及び第3マグネット240と第1内側マグネット219bとの磁気吸引力は、回動テーブル231がサポートテーブル211に対し、長手方向を同じとする図1及び図2に示される第1回動位置、軸線CL1まわりに180°回動した第2回動位置、及び長手方向が直交する図9に示される第3回動位置を良好に位置決めして維持する。そして、これらの磁気吸引力の大きさは、作業者の手の力で位置決めを脱して回動可能な程度に設定される。
【0039】
これらにより、回動テーブル231は、サポートテーブル211に対し、第1回動位置,第2回動位置,及び第3回動位置で良好に位置決め維持される。そのため、回動テーブル231は、作業者の手作業によって、第1回動位置と、第2回動位置及び第3回動位置との間でそれぞれ180°及び90°回動させて向きの転換が容易にできるようになっている。従って、変形例1においても、ワークWの取り扱いにおいて作業者の負担はより軽減する。
この回動テーブル231の回動手作業をさらに容易にするため、回動テーブル231の4つの縁部には、それぞれ外方に突出して作業者が把持できるハンドル235a~235dが取り付けられている。
【0040】
(変形例2)
図12は、サポート装置200の変形例2であるサポート装置200Bを示す側面図である。
サポート装置200Bは、曲げ加工機100に支持されるものではなく、独立した装置として曲げ加工機100の近傍に床置きで使用される。
具体的には、サポート装置200における支持基部250の替わりに、支持基部250Bと移動ベース256Bとを有する。
移動ベース256Bは、下部にロック機構付きのキャスタを有する。従って、サポート装置200Bは、床FLに移動可能に設置され、ロック機構を働かせて任意の位置で停止維持可能である。
これにより、サポート装置200Bは、テーブル体Tの位置を前後左右方向の所望の位置に決めることができ、テーブル体Tの長手方向を曲げ加工機100の左右方向に限定されず自由な方向に決められる。そのため、サポート装置200Bは、様々な大きさのワークWを支持してその曲げ加工に利用できる。
変形例1と同様に、変形例2のサポート装置200Bも、曲げ加工機100に対し前後方向に移動可能なので、回動テーブル231を第1回動位置から軸線CL1まわりに90°回動させた第3回動位置でも位置決め保持されるようになっている。
回動テーブル231は第3マグネット240を有して変形例1と同様構造で、回動テーブル231はサポートテーブル211に対し、第1回動位置、軸線CL1まわりに180°回動した第2回動位置、及び長手方向が直交する図9に示される第3回動位置を良好に位置決めして維持する。そして、これらの磁気吸引力の大きさは、作業者の手の力で位置決めを脱して回動可能な程度に設定される。
【0041】
これらにより、変形例2において、回動テーブル231は、サポートテーブル211に対し第1回動位置,第2回動位置,及び第3回動位置で良好に位置決め維持され、作業者の手作業によって第1回動位置と、第2回動位置及び第3回動位置との間でそれぞれ180°及び90°回動させて向きの転換が容易にできるようになっている。
従って、変形例2においても、ワークWの取り扱いにおいて作業者の負担はより軽減する。
【0042】
次に、サポート装置200,200A,200B及び曲げ加工機100を含む曲げ加工システムSTによる板金のワークWの曲げ加工方法について、実施例の曲げ加工方法M1により説明する。説明は、主に図5図9、並びに、図10A及び図10Bを参照して説明する。図5図9では、便宜的に取り付け部2Aを有するサポート装置200が示されている。
図5は、サポート装置200及び曲げ加工機100の第1の状態を示す部分側面図である。図6は、サポート装置200及び曲げ加工機100の第2の状態を示す部分側面図である。図7は、サポート装置200及び曲げ加工機100の第3の状態を示す部分側面図である。図8は、サポート装置200及び曲げ加工機100の第4の状態を示す部分側面図である。図9は、サポート装置200のサポートテーブル211を、第4の状態から90°回動させた状態を示す部分側面図である。図10Aは、本発明の実施の形態に係るワークの曲げ加工方法の実施例である曲げ加工方法M1の前段を示すフロー図である。図10Bは、曲げ加工方法M1の後段を示すフロー図である。
【0043】
図5に示される第1の状態は、サポート装置200において、作業者が回動テーブル231を長手方向がサポートテーブル211の長手方向に一致する第1回動位置とし、制御部CTがボールトランスファユニット233を浮上位置とし、テーブル体Tを下降位置とし、バックゲージ装置117を突き当て位置にした状態である。
【0044】
まず、作業者は、第1の状態のサポート装置200のボールトランスファユニット233の上に平板状のワークWを載置し、ワークWの第1辺をバックゲージ装置117に突き当てる〔図10A:(ステップS1)〕。次いで作業者は、制御部CTに対し入力部CNから曲げ加工の実行指示を出し、曲げ加工機100によって突き当てた第1辺の縁部にL曲げを行う(ステップS2)。
図5は、(ステップS2)による曲げ加工を実行した後の、ワークWをボールトランスファ群233G上に再載置した状態が示されている。
作業者は、図6に矢印DR7に示されるように、ワークWを、その全体がボールトランスファ群233Gに支持される位置に移動する。
【0045】
作業者は、次の曲げ加工のためにワークWを回動させる必要があるか否かを判定する(ステップS3)。この判定は、作業者が加工プログラムに基づいて判定するが、記憶部CTbに記憶された加工プログラムに基づいて中央処理装置CTaが判定してもよい。中央処理装置CTaが判定する場合、中央処理装置CTaは判定結果を出力部CDから外部に音声又は画像で出力し、その出力を作業者が把握する。
【0046】
作業者は、(ステップS3)でワークWを回動させる必要がない(NO)と判定した場合、図10Bの(ステップS11)に移行し、(ステップS11)~(ステップS13)で次の曲げ加工を実行する。
作業者は、(ステップS3)でワークWを回動させる必要がある(YES)と判定した場合、制御部CTに対し、入力部CNから「ワーク回動ON」の指示を出す(ステップS4)。
【0047】
制御部CTは、入力部CNから「ワーク回動ON」の指示が入来したら、次のa)~c)の動作を実行する(ステップS5)。各動作の実行順は限定されない。
a)ゲージ昇降部117cを駆動して、突き当て位置にあるバックゲージ装置117を、退避位置に下降する(図6:矢印DR8参照)。
b)浮上駆動部K231を駆動して、浮上位置にあるボールトランスファユニット233を、没入位置に下降する(図7の矢印DR9参照)。
これにより、ボールトランスファ群233Gに支持されていたワークWは、下降して回動テーブル231の上面231aに直接載置される。上面231aは、載置されたワークWとの間に一定程度の摩擦力が生じるように面処理されている。そのため、ワークWは大きい外力が付与されない限り回動テーブル231の上面231a上で移動することはない。
c)エアシリンダ257を駆動して、下降位置にあるサポートテーブル211と、サポートテーブル211に磁気吸引され一体化している回動テーブル231とを含むテーブル体Tを、上昇位置に上昇させる(図8:矢印DR10参照)。
【0048】
(ステップS5)の動作が終了したら、作業者は、テーブル体Tを90°回動させる際に、回動テーブル231に載置されたワークWが曲げ加工機100の一対の側板107のいずれかなどに干渉するか否かを判定する(図10B:ステップS6)。
【0049】
(ステップS6)で作業者が干渉する(YES)と判定したら、作業者は、サポート装置200を、干渉する側板107から遠ざけるように下部テーブル109の支持部109a上を移動させて、干渉しない位置に調整固定し(ステップS7)、(ステップS6)に戻る。
(ステップS6)で作業者が干渉しない(NO)と判定したら、テーブル体Tを90°回動して第2回動位置にする(ステップS8)(図9:矢印DR11参照)。
【0050】
作業者は、(ステップS8)のテーブル体Tの回動が完了したら、制御部CTに対し、入力部CNから「ワーク回動OFF」の指示を出す(ステップS9)。
【0051】
制御部CTは、入力部CNから「ワーク回動OFF」の指示が入来したら、次のd)~f)の動作を実行する(ステップS10)。各動作の実行順は限定されない。
d)ゲージ昇降部117cを駆動して、退避位置にあるバックゲージ装置117を、突き当て位置に上昇する(図6:破線矢印DR12参照)。
b)浮上駆動部K231を駆動して、没入位置にあるボールトランスファユニット233を、浮上位置に上昇する(図7の破線矢印DR13参照)。これにより、回動テーブル231の上面231aに直接支持されていたワークWは、ボールトランスファ群233Gに支持されるようになり、作業者はワークWを手作業で容易に水平移動できる。
【0052】
制御部CTが(ステップS9)を実行したら、作業者は、ワークWに対し次の曲げ加工を行うことができる。
すなわち、作業者は、入力部CNから制御部CTに対し、次の曲げ加工の実行を指示する。この指示を受け、制御部CTは、バックゲージ装置117を次の曲げ加工に対応した位置に移動する(ステップS11)。
作業者は、ワークWにおける次に曲げる縁部に対応した第2辺を、バックゲージ装置117の突き当て部117aに突き当てる(ステップS12)。
次いで作業者は、入力部CNから制御部CTに対し曲げ加工の実行指示を出し、曲げ加工機100によって突き当てた第2辺の縁部にL曲げを行う(ステップS13)。
【0053】
以上の曲げ加工方法M1によれば、回動テーブル231を回動させない状態で、ワークWは回動テーブル231のボールトランスファ群233Gに支持されている。そのため、作業者は、ワークWの水平移動を手作業で容易に行える。
また、ワークWの曲げ位置を変えるべく水平面内でワークWの向き変える場合には、制御部CTの制御により、ボールトランスファ群233Gを回動テーブル231に没入させ、ワークWを回動テーブル231の上面231aで、摩擦力により容易に動かないように支持する。これにより、作業者は、回動テーブル231と回動テーブル231に載置されたワークWとを、軸線CL1まわりの所望の角度だけ手作業で回動できる。
また、回動テーブル231の回動でワークWが側板107と干渉する場合には、サポート装置200を曲げ加工機100の前方で左右方向に移動して干渉しないように位置調整が容易にできる。
そのため、ワークWの向き変え作業は、1人の作業者の手作業で行うことができ、その作業は極めて容易である。
【0054】
このように、サポート装置200,200A,200Bは、曲げ加工におけるワークWの取り扱いにおいて作業者の負担をより低減する。
【0055】
また、回動テーブル231は、第1回動位置と、第1回動位置から180°回動した第2回動位置と、第1回動位置から90°回動した第3回動位置とにおいて、磁気吸着を利用した位置決め部LKによってサポートテーブル211に対し位置決め保持される。そのため、作業者は、回動テーブル231の180°及び90°の回動を、容易に精度よく行うことができる。
これにより、サポート装置200,200A,200Bは、曲げ加工におけるワークWの取り扱いにおいて作業者の負担がさらに低減される。
【0056】
以上詳述したように、サポート装置200,200A,200Bと曲げ加工機100とを含んで構成された曲げ加工システムSTは、サポート装置200,200A,200Bが曲げ加工機100の前方において左右方向に移動可能で任意の位置でロック可能に取り付けられている。
そのため、ワークWを支持した回動テーブル231を上下方向に延びる軸線CL1まわりにワークWと共に回動させる際に、ワークWと側板107とが干渉しないようにできる。
【0057】
また、サポート装置200,200A,200Bは、回動テーブル231を、サポートテーブル211に対する所定の回動位置で維持する位置決め部LKを有する。
回動テーブル231の所定の回動位置での維持は、サポートテーブル211側に取り付けられた第1マグネット219と、回動テーブル231側に取り付けられた第2マグネット239及び第3マグネットの一方とが、回動テーブル231のサポートテーブル211に対する所定の回動位置で選択的に磁気吸着することで行われる。
すなわち、位置決め部LKは、第1マグネット219と第2マグネット239との組、及び第1マグネット219と第3マグネット240との組、の少なくとも一方の組を有して構成される。
このような簡素な構成で、サポートテーブル211によって軸線CL1まわりに回動自由に支持された回動テーブル231を、所望の向きで位置決め維持できる。
【0058】
実施例のサポート装置200、変形例1,2のサポート装置200A,200B、曲げ加工システムST、及びワークの曲げ加工方法M1は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において別の変形例としてもよい。
【0059】
上述の実施例,変形例1,及び変形例2は、可能な範囲で自由に組み合わせてよい。
【0060】
ボールトランスファユニット233は、必ずしも備えられていなくてもよい
また、ボールトランスファユニット233が有するボールトランスファ233aの数は、限定されない。
また、回動テーブル231の回動位置を決める位置決め部LKとして、第1マグネットと、第2マグネット239及び第3マグネット240のいずれかとが、磁気吸着する構造を説明したが、これに限定されない。
ソレノイド等を用い、第1回動位置及び第2回動位置で電流を流して電磁吸着する構造であってもよい。
回動テーブル231がサポートテーブル211に対して回動する際に、位置規制される回動位置は、周方向に2ヶ所又は3ヶ所であることに限定されず、4ヶ所以上であってもよい。また、2ヶ所の回動位置の間の回動角度は180°或いは90°に限定されるものではなく、自由に設定できる。
【符号の説明】
【0061】
100 曲げ加工機
101 パンチ
103 ダイ
107 側板
109 下部テーブル
109a 支持部
109f 前面
111 上部テーブル
113 パンチホルダ
115 ダイホルダ
117 バックゲージ装置
117a 突き当て部
117b 突き当て駆動部
117c ゲージ昇降部
2A 取り付け部
2B 昇降部
2C 回動部
200,200A,200B サポート装置(フロントサポート装置)
211 サポートテーブル
211a 上面
211b 下面
213 上突出軸部
217 ボールトランスファ
217G ボールトランスファ群
219 第1マグネット
219a 第1外側マグネット
219b 第1内側マグネット
221 下突出軸部
231 回動テーブル
231a 上面
231b 下面
233 ボールトランスファユニット
233a ボールトランスファ
233b ベース部
233G ボールトランスファ群
235a~235d ハンドル
237 軸受け部
239 第2マグネット
240 第3マグネット
250 支持基部
251,251A スライダ
252A ガイドレール部
253 支柱
254A 支柱スライダ
255 ベースプレート
256B 移動ベース
257 エアシリンダ
257a ロッド
257b 従動ロッド
259 案内リング
259a 貫通孔
CD 出力部
CL1 軸線
CN 入力部
CT 制御部
CTa 中央処理装置(CPU)
CTb 記憶部
FL 床
H1,H2,H3 距離
K1 昇降駆動部
K231 浮上駆動部
LK 位置決め部
M1 曲げ加工方法
P1,P4 位置
SF1,SF2 水平面
ST 曲げ加工システム
T テーブル体
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12