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  • 特開-伸縮可能な紙製ストロー 図1
  • 特開-伸縮可能な紙製ストロー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016431
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】伸縮可能な紙製ストロー
(51)【国際特許分類】
   A47G 21/18 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
A47G21/18 ZAB
A47G21/18 ZBP
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139666
(22)【出願日】2021-08-30
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】510280970
【氏名又は名称】ワークアップ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 周一
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115BA18
3B115DA17
3B115EA03
(57)【要約】
【課題】保管時には、2本の円筒体が入れ子状に重ねられたコンパクトな形態であり、使用時には内部に収容された部分を引き出して長さを調節する。
【解決手段】紙製ストローは、小径筒1と大径筒2とからなり、小径筒1は末端部に末端部以外の部分より外径が大きいストッパー部1bを有し、大径筒2は第1端2aと中間部2cと第2端2bとからなり、第1端の内径Laは小径筒のストッパー部以外の部分の外径S1より大きく形成され、大径筒の第1端及び第2端の内径La,Lbは小径筒のストッパー部の外径S2より小さく形成され、大径筒の中間部の内径Lcは小径筒のストッパー部の外径S2より大きく形成され、小径筒のストッパー部1bが大径筒の中間部2cの内部に収容されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製の円筒である小径筒と紙製の円筒である大径筒とからなり
小径筒は、その末端部に末端部以外の部分より外径が大きいストッパー部を有し、
大径筒は、第1端と中央部と第2端とからなり、
大径筒の第1端の内径は、小径筒のストッパー部以外の部分の外径より大きく形成され、
大径筒の第1端及び第2端の内径は、小径筒のストッパー部の外径より小さく形成され、
大径筒の中央部の内径は、小径筒のストッパー部の外径より大きく形成され、
小径筒のストッパー部が大径筒の中央部の内部に収容されていることを特徴とする紙製ストロー。
【請求項2】
前記小径筒の全長を、ストッパー部が大径筒の第2端に当接させたた状態で、小径筒の先端部が大径筒の第1端から外部に突出する長さに形成したことを特徴とする、請求項1に記載の紙製ストロー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側の筒体が内側の筒体を収容した、伸縮可能な紙製ストローに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、自動販売機などで、紙パックに収容された多種多様な飲料が市販されている。このような容器には、コップなどに移さずに飲めるように、ストローが付属していることが多い。
【0003】
一般に流通しているストローの多くは、プラスチック製である。プラスチック製のストローは、環境問題の原因になるとして、削減への取り組みが進められている。例えば、諸外国において複数の世界的な飲食チェーンが、プラスチック製のストローを廃止することを表明している。また、日本国内においても同様に、プラスチック製ストローの提供を廃止した飲食店や、将来的に廃止することの検討を始めた企業が存在する。
【0004】
しかし、紙パックのような容器で提供される飲料は、コップなどに移すことができなければ、ストローを用いずに飲むことは困難である場合が多い。特に、直方体の形状で、容器の上部にストローを差し込むためのストロー挿入部を設けた容器の場合、容器の一部を開いて、内容物をコップなどに移すことは想定されていない。したがって、このような容器では、ストローの存在は必須である。
【0005】
従来のプラスチック製のストローに代替するものとして、紙製のストローが注目されている。紙製ストローは、自然界に存在する微生物の働きによって分解される。そのため、適正に処理されず自然界に流出した場合であっても、環境に与える悪影響を低減させることができる。
【0006】
こうした紙製ストローは、紙製の基材を接着剤で接着し、筒状に形成することで製造される。接着剤としては、酢酸ビニル等の樹脂や、デンプン系の糊がよく使用される。これらは30分程度の浸漬であれば接着成分が溶出することはなく、安全性に問題はないとされている。また、食品衛生法においても、これらの接着成分の使用を禁止する規定はない。
【0007】
以上に述べたように、紙製ストローは徐々に浸透しつつある。しかし、紙パックのような容器に付属させるためには、ストローの長さについて、さらなる条件を満たすことが要求される。ストローを用いて飲料を飲むためには、容器の上部から底部までの長さに加えて、容器の外にあって口に含む部分の長さが必要となる。さらに、ストローを傾けて挿入しても、ストロー全体が容器内に入らないことが望ましい。
【0008】
このような長さでは、容器の外側にストローを貼付すると、容器の外面から突出するこ
とになる。そのため、輸送や保管の際に非効率な空間が発生する、ものが引っかかってストローや貼付部分に損傷が発生するなど、不都合の原因となる。
【0009】
特許文献1には、紙製基材から形成された大径筒と小径筒とからなり、大径筒に小径筒を挿入し、大径筒の内側の螺旋溝部と小径筒の外側の螺旋突部とでねじ嵌合する構成が開示されている。この構成は、使用前までは短く、使用時には十分な長さを有するストローを提供可能である。しかしながら、使用の際には使用者がねじを嵌合して組み立てる必要がある。したがって、より簡便に使用可能にするという観点において、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2020-92746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
紙パックなどの容器に収容された飲料には、ストローが付属していることが多い。しかし、現在流通しているストローの多くはプラスチック製であり、より環境負荷が小さい代替品として、紙製ストローが注目されている。このような容器に貼付して用いるストローには、容器の1つの面からはみ出さずに貼付するため、形態を変化させる機能が必要となる。
【0012】
本発明は、保管時には、2本の円筒体が入れ子状に重ねられたコンパクトな形態であり、使用時には内部に収容された部分を引き出すだけで使用可能な、紙製ストローを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の紙製ストローは、紙製の円筒である小径筒と紙製の円筒である大径筒とからなり、小径筒は、その末端部に末端部以外の部分より外径が大きいストッパー部を有し、大径筒は、第1端と中間部と第2端とからなり、大径筒の第1端の内径は、小径筒のストッパー部以外の部分の外径より大きく形成され、大径筒の第1端及び第2端の内径は、小径筒のストッパー部の外径より小さく形成され、大径筒の中間部の内径は、小径筒のストッパー部の外径より大きく形成され、小径筒のストッパー部が大径筒の中央部の内部に収容されていることを特徴とする。
また、上記特徴に加えて、小径筒の全長を、ストッパー部が大径筒の内部で第2端に当接させた状態で、小径筒の先端部が大径筒の第1端から外部に突出する長さに形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による紙製ストローは、保管時には、小径筒の大部分を大径筒の内部に収容させてストローの全長を短縮させることができる。そのため、紙パック飲料の容器の外面から突出させることなく貼付することができる。また、小径筒のストッパー部は大径筒内を移動可能であるが、両端からは抜けない。したがって、ストローの使用時に伸縮させて適当な長さに調整することができるが、引き出しすぎて分離することがなく、使い勝手が極めて良い。
また、小径筒の先端部が常に大径筒外に露出するため、小径筒を把持して引き出す操作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による紙製ストローを模式的に表す断面図である。
図2】寸法を表す符号を加えた、図1の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の紙製ストローの代表的な実施例について、図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明の紙製ストローに用いる紙製基材は、ストローとして製造および使用するのに十分な、剛性および強度を有することが求められる。また、飲用に用いるため、耐水性を有すると同時に、使用中に溶出するようなコーティングおよび添加剤等を含まないことを要する。さらに、環境に与える負荷を抑制するという本発明の目的から、自然界の微生物によって分解される必要がある。これらの条件を満たす限り、任意の素材を用いることができる。
【0018】
本発明の紙製ストローに用いる接着剤としては、使用中に溶出する成分を含有せず、生分解性を有する任意の物質を用いることができる。例えば、酢酸ビニル等の樹脂や、デンプン系の糊、パラフィンワックス、シェラック、ポリ乳酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明のストローは、図1に断面構造の概略と図2に部分拡大図を示すとおり、紙製の円筒である小径筒1と紙製の円筒である大径筒2とからなり、小径筒1は、その一方の端部が、大径筒2の内部に収容されている。大径筒2の内部に収容された小径筒1の端部には、その端部以外の部分より相対的に外径が大きいストッパー部1bが形成されている。小径筒1のストッパー部1b以外の部分の外径をS1とし、ストッパー部1bの外径をS2とする。このとき、S1<S2の関係となる。なお、図1及び図2において、小径筒1のストッパー部1bの内径をストッパー部以外の部分の内径よりも大きく描いているが、小径筒1の各部の内径を同一にして、ストッパー部1bのみ紙厚を増して外径S2をストッパー部1b以外の部分の外径S1より大きくなるよう形成してもよい。
【0020】
大径筒2は、両端をそれぞれ第1端2a、第2端2bとし、第1端2aと第2端2bの間の部分を中間部2cとする。また、第1端2a、第2端2b、中間部2cの内径を、それぞれLa、Lb、Lcとする。大径筒の第1端の内径Laは、小径筒のストッパー部の外径S2より小さく、小径筒のストッパー部以外の部分の外径S1より大きく形成する。すなわち、S1<La<S2の関係となる。また、大径筒の中間部2cの内径は、小径筒のストッパー部の外径S2より大きい。すなわち、S2<Lcの関係となる。したがって、小径筒1は、ストッパー部1bが大径筒2の第1端2aに当接するまでの範囲で、大径筒2の内部で任意にスライドさせて、ストローを伸縮させ、その全長を適当な長さに調節することができる。また、ストッパー部1bの外径S2が大径筒の第1端2aの内径Laより大きいため、小径筒1が大径筒2の第1端2aから抜けることはない。
【0021】
大径筒2の第2端2bの内径Lbは、小径筒1のストッパー部1bの外径S2より小さい。すなわち、Lb<S2の関係となり、Lb<S2<Lcの関係となる。したがって、ストッパー部1bが大径筒2の第1端2a及び第2端2bを超えて外側にスライドすることはできず、小径筒1が大径筒2の第2端2bから抜けることはない。
【0022】
以上により、小径筒1は、ストッパー部1bが大径筒2の第1端2a又は第2端2bのいずれかに当接するまでの範囲で、大径筒2の内部を任意にスライドさせてストローの全長を使用の態様に応じて適切な長さに調節することができる。また、スライドさせても、小径筒1が大径筒2から抜け落ちることはない。
【0023】
小径筒1のストッパー部1bの外径S2の大きさは、前述のようにその部分の紙厚を調整してS1<S2の関係を満たすように形成してもよく、又は、筒体の内外から型押しによって力を加えることで、外径または内径を変化させて形成してもよい。
また、大径筒2の第1端2aの内径Laおよび第2端2bの内径Lbの大きさも、その部分の紙厚を調整してS1<La<S2の関係の関係を満たすように形成してもよく、又は、筒体の内外から型押しによって力を加えることで、外径または内径を変化させて形成してもよい。
【0024】
小径筒1および大径筒2の長さは、任意であってよいが、小径筒1のストッパー部1bが大径筒2の第2端2bに当接した状態すなわちストローの全長を最も短縮させた状態で、小径筒1の先端部1aが大径筒2の第1端2aから外部に突出する長さであることが好ましい。これによって、小径筒1の先端部1aが常に大径筒2の第1端2aから外部に露出するため、小径筒1の先端部1aを手指で掴んで大径筒2から引き出す操作が容易となる。
【0025】
本発明による紙製ストローは、必須ではないが、大径筒2の第1端2aから突出する小径筒1の先端部1aが、尖った形状を有することが好ましい。これによって、飲料容器のストロー挿入部に設けられた封止フィルムに突き刺して突き破り、ストローを差し込む操作が容易となる。
【0026】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の技術的範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0027】
1 小径筒
1a 小径筒の先端部
1b 小径筒のストッパー部
2 大径筒
2a 大径筒の第1端
2b 大径筒の第2端
2c 大径筒の中間部
S1 小径筒のストッパー部以外の部分の外径
S2 小径筒のストッパー部の外径
La 大径筒の第1端の内径
Lb 大径筒の第2端の内径
Lc 大径筒の中間部の内径

図1
図2