(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164335
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E02F9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069759
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
(72)【発明者】
【氏名】木谷 友則
(72)【発明者】
【氏名】和田 一朗
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015AA04
(57)【要約】
【課題】簡易且つ部品点数の少ない構成で油圧ピンの油圧配管をアッパフレーム側のカップラに容易且つ安全に接続できるようにする。
【解決手段】アッパフレーム4の一対の縦板8に脱着可能に取り付けられるサブフレーム5と、このサブフレーム5に脱着可能に取り付けられる作業装置と、サブフレーム5に設けられ、アッパフレーム4に設けた油圧源からの油圧によって、サブフレーム5を一対の縦板8に固定する固定位置と、サブフレーム5を一対の縦板8から分解可能な分解位置との間で伸縮動作可能な油圧ピン10と、先端側が油圧ピン10に接続され、基端側が油圧源からの油圧が供給されるアッパフレーム側カップラ32に着脱可能に構成されたサブフレーム側油圧配管20とを設ける。サブフレーム側油圧配管20に、油圧ピン10を作動可能な状態と、作業装置の少なくとも一部を作動可能な状態とに切り替え可能とするサブフレーム側切替バルブ21を設ける。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に延びる一対の縦板が形成されたアッパフレームと、該一対の縦板に脱着可能に取り付けられるサブフレームと、該サブフレームに脱着可能に取り付けられる作業装置とを備える建設機械であって、
上記サブフレームに設けられ、上記アッパフレームに設けた油圧源からの油圧によって、上記サブフレームを上記一対の縦板に固定する固定位置と、上記サブフレームを上記一対の縦板から分解可能な分解位置との間で伸縮動作可能な油圧ピンと、
先端側が上記油圧ピンに接続され、基端側が上記油圧源からの油圧が供給されるアッパフレーム側カップラに着脱可能に構成されたサブフレーム側油圧配管とを備え、
上記サブフレーム側油圧配管は、上記油圧ピンを作動可能な状態と、上記作業装置の少なくとも一部を作動可能な状態とに切り替え可能とする切替バルブを有する
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械であって、
上記切替バルブは、上記サブフレーム又は上記作業装置に設けられている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建設機械であって、
上記アッパフレームには、作業者が作業するための作業用足場が設けられており、上記アッパフレーム側カップラは、上記作業用足場に隣接して設けられている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械であって、
上記アッパフレーム側カップラは、上記作業装置の他の油圧機器用油圧配管を接続するカップラが設けられた配管用固定部材の上記作業用足場側に配置されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の建設機械であって、
上記作業装置の先端には、破砕機が取り付けられており、上記サブフレーム側油圧配管は、該破砕機の動作を行う油圧機器の動力を供給するように構成されている
ことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後に延びる一対の縦板が形成されたアッパフレームと、これら一対の縦板に脱着可能に取り付けられるサブフレームと、このサブフレームに脱着可能に取り付けられる作業装置とを備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の建設機械において、特に大型のものでは、重量制限などから分解して搬送させる必要がある。そこで、例えば、特許文献1のように、ブームをアッパフレームに取り付けるためのブーム取付構造が知られている。
【0003】
この建設機械のブーム取付構造では、アッパフレームは、底板と、この底板に立設される左右一対の縦板とを含むセンターセクションを有し、左右一対の縦板のうち外側を向く面には、左側ガイド孔と右側ガイド孔とがそれぞれ形成され、ブームの基端側には、ブームの基端部とブームを起伏させるブームシリンダの基端部とをそれぞれ回動可能に連結するアダプタが取り付けられており、アダプタの左右側板のうち外側を向く面には、左側ガイド孔に挿脱可能な左側ガイドピンと右側ガイド孔に挿脱可能な右側ガイドピンとがそれぞれ設けられ、ブームがアッパフレームに取り付けられる場合に、左側ガイドピンが左側ガイド孔に挿通すると共に右側ガイドピンが右側ガイド孔に挿通するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような建設機械では、一対の縦板間にサブフレームを配置した状態で、サブフレームを取り付けるための連結ピンを左右外側から挿入するスペースがないので、サブフレームの挿通孔の内側に設けた伸縮可能な油圧ピンを伸縮させてサブフレームを脱着可能にすることが考えられる。
【0006】
この伸縮可能な油圧ピンをサブフレーム側に設けると、アッパフレーム側のメンテ性や分解搬送性が向上するが、アッパフレーム側の油圧源と油圧ピンとが切り離されることになる。このため、油圧ピンに対してアッパフレームに設けた油圧源から油圧を供給する必要があるため、そのための配管及び接続部を設けてアッパフレーム側の油圧源と接続しなければならず、構成が複雑になり、部品点数も増えるという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易且つ部品点数の少ない構成で油圧ピンの油圧配管をアッパフレーム側のカップラに容易且つ安全に接続できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、油圧ピンの伸縮作業に使用可能なアッパフレーム側の配管を、サブフレームの接続後は作業装置の少なくとも一部を作動させる動力として用いるようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、前後に延びる一対の縦板が形成されたアッパフレームと、該一対の縦板に脱着可能に取り付けられるサブフレームと、該サブフレームに脱着可能に取り付けられる作業装置とを備える建設機械を対象とし、
上記建設機械は、
上記サブフレームに設けられ、上記アッパフレームに設けた油圧源からの油圧によって、上記サブフレームを上記一対の縦板に固定する固定位置と、上記サブフレームを上記一対の縦板から分解可能な分解位置との間で伸縮動作可能な油圧ピンと、
先端側が上記油圧ピンに接続され、基端側が上記油圧源からの油圧が供給されるアッパフレーム側カップラに着脱可能に構成されたサブフレーム側油圧配管とを備え、
上記サブフレーム側油圧配管は、上記油圧ピンを作動可能な状態と、上記作業装置の少なくとも一部を作動可能な状態とに切り替え可能とする切替バルブを有する。
【0010】
上記の構成によると、組立完了後の作業装置の作業中には使用しない油圧ピン作動用の油圧配管を作業装置の少なくとも一部の作動に活用することで、油圧ピンを作動させるためだけの油圧配管及び接続部の数が減る。特に、破砕機などの大型機は配管数が多いため、配管数をできるだけ少なくしたいというニーズにも合う。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記切替バルブは、上記サブフレーム又は上記作業装置に設けられている。
【0012】
上記の構成によると、アッパフレームとの接続配管は圧源用だけになるので、配管及び接続部の更なる省略化ができる。アッパフレーム側に切替バルブがあると、作業装置用の油圧配管が余計に必要となるが、切替バルブをサブフレーム又は作業装置に設けることで、配管及び接続部の省略が可能となる。サブフレームに切替バルブの設置スペースがない場合には、作業装置側に設ければよい。
【0013】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記アッパフレームには、作業者が作業するための作業用足場が設けられており、上記アッパフレーム側カップラは、上記作業用足場に隣接して設けられている。
【0014】
上記の構成によると、作業性のよい作業用足場においてアッパフレーム側カップラにサブフレーム側油圧配管を安全に接続できる。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
上記アッパフレーム側カップラは、上記作業装置の他の油圧機器用油圧配管を接続するカップラが設けられた配管用固定部材の上記作業用足場側に配置されている。
【0016】
上記の構成によると、他の油圧機器用油圧配管を接続するカップラが配置される配管用固定部材における、作業用足場から見て手前側に接続カップラがあるので、視認性が良く作業性がよい。
【0017】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
上記作業装置の先端には、破砕機が取り付けられており、上記サブフレーム側油圧配管は、該破砕機の動作を行う油圧機器の動力を供給するように構成されている。
【0018】
上記の構成によると、破砕機の、例えば回転機能に要する油圧は、他のアタッチメントであるブーム、アーム、バケットのシリンダ動作に要する油圧に比べると低圧でよいので、転用に適している。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、簡易且つ部品点数の少ない構成で油圧ピンの油圧配管をアッパフレーム側のカップラに容易且つ安全に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】サブフレーム及びブームの取付作業中の、本発明の実施形態に係る油圧ショベルを示す側面図である。
【
図2】サブフレーム及びブームが取り付けられた状態の本発明の実施形態に係る油圧ショベルを示す平面図である。
【
図3】油圧ピンが固定位置にある一対の縦板及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【
図6】作業用足場及びその周辺を示す斜視図である。
【
図7】配管用固定部材及びその周辺を拡大して示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
-建設機械の構成-
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る建設機械としての油圧ショベル1は、下部走行体2、上部旋回体3及び作業装置(図示省略)等を備えている。作業装置は特に限定されないが、本実施形態では破砕機とする。油圧ショベル1は、破砕機を装着した場合には建築物解体用の解体機となる。例えば、本実施形態の作業装置(アタッチメント)は、多数のブームが接続され、その先端に破砕機が取り付けられているので、中間ブームを起伏させる油圧シリンダや破砕機、鉄筋カッターなどを開閉させる油圧シリンダ、破砕機、鉄筋カッターなどを回転させる油圧モータなどの各種アクチュエータを含む。
【0023】
上部旋回体3は、
図2に示すアッパフレーム4を備え、このアッパフレーム4には、
図3に示すサブフレーム5を介して作業装置が装着される。サブフレーム5は、作業装置を構成するブーム6やブームシリンダ7を一体化した状態で分解及び組立するためのアダプタである。例えば
図1に示すように、ブーム6とサブフレーム5とは、ブームフットピン6aで連結され、ブームシリンダ7とサブフレーム5とは、ブームシリンダピン7aで連結され、ブーム6とブームシリンダ7とは、シリンダ連結ピン7bで連結される。図示しないが、ブーム6には、複数本の中間ブームが連結され、その先端に破砕機などが接続される。作業装置は、これらの中間ブームを起伏させる油圧シリンダや、破砕機の回転機構、開閉機構などの油圧アクチュエータを含む。
【0024】
図3に示すように、アッパフレーム4は、底板4aと、底板4aに立設する左右一対の縦板8とを備えている。それぞれ縦板8には、例えば、2本の油圧ピン10を挿通するための、一対のピン挿通孔8aが所定の間隔をあけて形成されている。
【0025】
図4Aに示すように、サブフレーム5は、左右一対の側板5aを有し、それぞれの側板5aは、一対のピン挿通孔5bが同一軸上にそれぞれ形成された2枚の板部材で構成されている。側板5aを構成する2枚の板部材は、対応するアッパフレーム4の縦板8の一対のピン挿通孔8aが形成された部分を挿入可能な幅を隔てて対向している。
【0026】
図4A及び
図4Bに示すように、サブフレーム5には、サブフレーム側ピン連結装置11が設けられている。このサブフレーム側ピン連結装置11は、サブフレーム5を構成する側板5aとアッパフレーム4を構成する縦板8とを連結する装置である。
図4Aに示すように、サブフレーム側ピン連結装置11は、シリンダロッド12a及びシリンダヘッド12bを含むピン用油圧シリンダ12と、回り止めプレート14とを備えた油圧ピン10を含む。
【0027】
一方、
図5A及び
図5Bに示すように、アッパフレーム4側にも同様のアッパフレーム側ピン連結装置11’が設けられている。
【0028】
以下は、主としてサブフレーム側ピン連結装置11について説明する。ピン用油圧シリンダ12は、機械幅方向(左右方向)にストローク作動する油圧式のシリンダであり、シリンダロッド12aがサブフレーム5側に立設されたピン固定用ブラケット15に固定され、シリンダヘッド12b側が伸縮するように構成されている。このピン用油圧シリンダ12は、ピン固定用ブラケット15側から機械側方側にシリンダヘッド12bが伸長し且つ機械側方側からピン固定用ブラケット15側にシリンダヘッド12bが収縮するように配置されている。
【0029】
油圧ピン10は、厚肉円筒状の油圧ピン本体13を有し、この油圧ピン本体13を側板5aに形成されたピン挿通孔5bと縦板8に形成されたピン挿通孔8aとに挿通して側板5aと縦板8とを連結する部品である。油圧ピン10は、内部に設けたピン用油圧シリンダ12のシリンダヘッド12bが伸縮作動することにより、ピン挿通孔5b及びピン挿通孔8aに挿入及び離脱するように構成されている。言い換えれば、油圧ピン10は、油圧を利用してサブフレーム5を一対の縦板8に固定する固定位置と、サブフレーム5を一対の縦板8から分解可能な分解位置との間で伸縮動作可能に構成されている。
【0030】
回り止めプレート14は、油圧ピン本体13の収縮側端部に複数のボルトで固定された円形状のプレートである。
図4A及び
図5Aに示すように、回り止めプレート14は、外縁の一部に油圧ピン10の径方向の外側に延在した突起部14aを有し、それぞれの油圧ピン本体13の突起部14aに径方向に延びるように設けた回り止めボルト14bがサブフレーム5側に設けた軸方向に延びる回り止めプレート16の、軸方向に延びる長孔16a内をそれぞれ移動することで、油圧ピン10の回り止めが行われている。また、回り止めプレート14に図示しない外装カバー17を固定できるようになっている。
【0031】
一方、アッパフレーム側ピン連結装置11’は、ピン固定用ブラケット15がアッパフレーム4の底板4aに固定されている点が主として上記サブフレーム側ピン連結装置11と異なる。また、回り止めプレート14は、底板4aに固定された回り止めプレート16の長孔16a内を移動することで、軸方向には移動可能で周方向へ回り止めされている。
【0032】
また、アッパフレーム4には、油圧タンク35の前側に作業者が配管作業などを行うための作業用足場30が設けられている。
【0033】
-油圧回路-
次いで、油圧ピン10回りの油圧回路について説明する。詳しくは図示しないが、油圧源34は、油圧ショベル1のエンジンや電動モータで駆動される油圧ポンプ、油圧タンク35、コントロールバルブなどよりなり、アッパフレーム4側に設けられている。
【0034】
図8に示すように、油圧ショベル1は、先端側が油圧ピン10のピン用油圧シリンダ12に接続され、基端側が油圧源34からの油圧が供給されるアッパフレーム側カップラ32に着脱可能に構成されたサブフレーム側油圧配管20を備えている。
【0035】
また、サブフレーム側油圧配管20は、油圧ピン10を作動可能な油圧ピン操作位置と、作業装置の少なくとも一部(本実施形態では回転装置)を作動可能な作業装置操作位置とに切り替え可能とするサブフレーム側切替バルブ21を有する。
【0036】
このサブフレーム側切替バルブ21は、作業装置としてのブーム6に設けられている。サブフレーム側切替バルブ21は、サブフレーム5に設けられていてもよい。本実施形態では、ピン用油圧シリンダ、サブフレーム側切替バルブ21を含むサブフレーム側油圧配管20は、油圧源34と切り離された状態でサブフレーム5と共に搬送されるようになっている。このため、アッパフレーム4側の重量が減って分解搬送性は向上している。
【0037】
サブフレーム5側のピン用油圧シリンダ12は、サブフレーム側切替バルブ21が油圧ピン操作位置にあるときには、サブフレーム側切替バルブ21に接続されたサブフレーム側ピン操作バルブ22によって伸縮操作可能となっている。一方、サブフレーム側切替バルブ21が作業装置操作位置にあるときには、サブフレーム側ピン操作バルブ22によって例えば作業装置の回転回路の操作が行えるように構成されている。
【0038】
一方、アッパフレーム側ピン連結装置11’のアッパフレーム側油圧配管20’は、油圧源34のあるアッパフレーム4に設けたアッパフレーム側切替バルブ21’に接続されている。アッパフレーム側油圧配管20’は、サブフレーム側油圧配管20と異なり、油圧源34のあるアッパフレーム4と一緒に分解及び搬送されるので、分解及び搬送時でも接続されたままである。このため、組立時にカップラの脱着は必要ない。
【0039】
アッパフレーム4側のピン用油圧シリンダ12は、アッパフレーム側切替バルブ21’が油圧ピン操作位置にあるときには、アッパフレーム側切替バルブ21’に接続されたアッパフレーム側ピン操作バルブ22’によって伸縮操作可能となっている。一方、アッパフレーム側切替バルブ21’が作業装置操作位置にあるときには、アッパフレーム側ピン操作バルブ22’作業装置の回転回路の操作が行えるように構成されている。
【0040】
図6に示すように、サブフレーム側油圧配管20のカップラが接続されるアッパフレーム側カップラ32は、作業用足場30に隣接して設けられている。
図7にも示すように、アッパフレーム側カップラ32は、作業装置の他の油圧機器用油圧配管を接続するカップラが設けられた、例えば水平方向に延びる金属フレームで構成された配管用固定部材33の最も作業用足場30側に配置されている。このように、作業用足場30の手前側に接続カップラがあるので、極めて作業性がよい。
【0041】
上述したように、例えば、作業装置の先端には、破砕機が取り付けられており、サブフレーム側油圧配管20は、この破砕機の回転動作を行う油圧機器の動力を供給するように構成されている。破砕機の、特に回転機能に要する油圧は、ブーム、アーム、バケットのシリンダ動作に要する油圧に比べると低圧でよいので、転用に適している。
【0042】
-サブフレームの組付手順-
次に、本実施形態に係るサブフレーム5の組付手順について説明する。
【0043】
まず、
図1に示すように、サブフレーム5をブーム6及びブームシリンダ7と結合した状態で、図示しないクレーンによって吊り上げてアッパフレーム4の一対の縦板8に近付ける。この際、作業者は吊り荷であるサブフレーム5等の振れや落下による危険性回避のためサブフレーム5等に近付くことはできない。サブフレーム側油圧配管20のカップラは、サブフレーム5のピン挿通孔5bの近傍の作業性のよい場所に束ねておく。油圧ピン10は、いずれも
図4B及び
図5Bに示すように、縮小した分解位置にある。また、サブフレーム側切替バルブ21及びアッパフレーム側切替バルブ21’は、油圧ピン操作位置にしておく。アッパフレーム側油圧配管20’は、油圧源34に接続されたままである。
【0044】
次いで、
図1に示すように、サブフレーム5のピン挿通孔5bを縦板8のピン挿通孔8aに位置合わせする。
【0045】
例えば、まず、カップラ接続の必要のないアッパフレーム4側の油圧ピン10のピン用油圧シリンダ12をまず伸長させる。具体的には、
図5Bに示す分解位置から、アッパフレーム側ピン操作バルブ22’を操作してピン用油圧シリンダ12を伸長させて
図5Aに示す固定位置にし、油圧ピン10をピン挿通孔5b,8aに完全に挿通させた後、ピン用油圧シリンダ12の伸長動作を停止させる。
【0046】
この状態で、サブフレーム5は、アッパフレーム4に一部固定されているので、作業者はサブフレーム5に近付いて作業をすることができる。
【0047】
作業者は、作業用足場30に立ってサブフレーム側油圧配管20のカップラをアッパフレーム側カップラ32に接続する。このとき、作業性のよい作業用足場30においてアッパフレーム側カップラ32にサブフレーム側油圧配管20を安全に接続できる。なお、アッパフレーム4側の油圧ピン10を伸長させる前にカップラの接続を完了させてもよい。
【0048】
接続完了後に、
図4Bに示す分解位置からサブフレーム側ピン操作バルブ22を操作してピン用油圧シリンダ12を伸長させて
図4Bに示す固定位置にして油圧ピン10をピン挿通孔5b,8aに挿通させた後、ピン用油圧シリンダ12の伸長動作を停止させる。これにより、サブフレーム5が確実にアッパフレーム4に接続される。
【0049】
次いで、サブフレーム側油圧配管20は接続したまま、サブフレーム側切替バルブ21及びアッパフレーム側切替バルブ21’を作業装置操作位置に切り替える。これにより、サブフレーム5の組付後には、サブフレーム側ピン操作バルブ22及びアッパフレーム4側ピン操作バルブ22’は、破砕機の回転動作の操作用として利用される。
【0050】
このように、本実施形態では、組立完了後の作業中には使用しない油圧ピン10用の油圧配管を作業機械の回転回路に切り替えることで、油圧配管及び接続部の数が減る。特に、破砕機などの大型機は配管数が多いので、できるだけ少なくしたいというニーズにも合う。
【0051】
また、本実施形態では、サブフレーム側切替バルブ21をサブフレーム5側に配置したので、アッパフレーム4との接続配管は圧源用だけになり、配管及び接続部の更なる省略化ができる。アッパフレーム4側にサブフレーム側切替バルブ21があると、作業装置用の油圧配管が余計に必要となるが、サブフレーム側切替バルブ21をサブフレーム5又は作業装置(基端側のブーム6の上面)に設けることで、配管及び接続部の省略が可能となる。
【0052】
したがって、本実施形態に係る油圧ショベル1によると、簡易且つ部品点数の少ない構成で油圧ピン10の油圧配管をアッパフレーム側カップラ32に容易且つ安全に接続できるようにすることができる。
【0053】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0054】
すなわち、上記実施形態では、建設機械は、解体機などの油圧ショベル1としたが、解体機に限定されず、バケットを有する油圧ショベル1でもよく、また、油圧ショベル1以外のクレーン、土木機械などでもよい。その場合、サブフレーム側油圧配管20は、サブフレーム側切替バルブを切り替えた後は、作業装置の油圧機器を操作する油圧配管として使用すればよい。
【0055】
上述したようなピン連結装置とは異なる位置合わせ構造によってアッパフレーム4とサブフレーム5とを固定した後に、サブフレーム側油圧配管20を接続し、油圧ピン10を挿入する手順としてもよい。
【0056】
上記実施形態では、油圧ピン10の連結の順番として、初めにアッパフレーム側ピン連結装置11’の連結後に、サブフレーム側ピン連結装置11の連結をするようにしているが、初めにサブフレーム側ピン連結装置11の後方にある位置合わせ構造にて仮固定後、サブフレーム側ピン連結装置11の配管を接続するようにしてもよい。
【0057】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0058】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 アッパフレーム
4a 底板
5 サブフレーム
5a 側板
5b ピン挿通孔
6 ブーム(作業装置)
6a ブームフットピン
7 ブームシリンダ
7a ブームシリンダピン
7b シリンダ連結ピン
8 一対の縦板
8a ピン挿通孔
10 油圧ピン
11 サブフレーム側ピン連結装置
11’ アッパフレーム側ピン連結装置
12 ピン用油圧シリンダ
12a シリンダロッド
12b シリンダヘッド
13 油圧ピン本体
14 回り止めプレート
14a 突起部
14b ボルト
15 ピン固定用ブラケット
16 プレート
16a 長孔
17 外装カバー
20 サブフレーム側油圧配管
20’ アッパフレーム側油圧配管
21 サブフレーム側切替バルブ
21’ アッパフレーム側切替バルブ
22 サブフレーム側ピン操作バルブ
22’ アッパフレーム側ピン操作バルブ
30 作業用足場
32 アッパフレーム側カップラ
33 配管用固定部材
34 油圧源
35 油圧タンク