(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164382
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E03D9/08 B
E03D9/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069842
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】村田 謙豪
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 佑司
(72)【発明者】
【氏名】冨田 勝紀
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 浩和
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038JA05
2D038JC00
2D038JF06
(57)【要約】
【課題】開口部を開閉するシャッター部と、シャッター部の前面を洗浄可能なシャッター洗浄部と、を備える衛生洗浄装置において、シャッター部を簡易に構成できる衛生洗浄装置を提供すること。
【解決手段】衛生洗浄装置5は、機能部4に形成される開口部415を開閉するシャッター部52と、シャッター部52の上方に配置され、シャッター部52が開口部415を閉じた状態でシャッター部52の前面52aを洗浄するシャッター洗浄部6と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部に形成される開口部を開閉するシャッター部と、
前記シャッター部の上方に配置され、前記シャッター部が前記開口部を閉じた状態で前記シャッター部の前面を洗浄するシャッター洗浄部と、を備える、衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記シャッター洗浄部は、前記シャッター部が前記開口部を閉じた状態で前記シャッター部の裏面を洗浄可能である、請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記シャッター洗浄部は、前記シャッター部が前記開口部を閉じた状態で前記シャッター部の前面及び裏面を同時に洗浄可能である、請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記シャッター洗浄部は、前記シャッター部の前面に洗浄水を吐水する第1吐水部と、前記シャッター部の裏面に洗浄水を吐水する第2吐水部と、を有する、請求項2又は3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記シャッター洗浄部は、下方に向けて洗浄水を吐水する、請求項1~4のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記シャッター洗浄部は、斜め後ろ下方に向けて洗浄水を吐水する、請求項5に記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記シャッター部の上端部は、後方側に屈曲して形成される、請求項1~6のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記シャッター洗浄部は、前記機能部の前面を洗浄可能である、請求項1~7のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
前記シャッター部は、前記シャッター部が閉じた閉位置に位置する場合に、便器の後部に配置される前記機能部の前面の一部を覆うように前記前面に沿って配置され、
前記シャッター部及び前記機能部の少なくともいずれかには、前記シャッター部の裏面と前記機能部の前面との間に隙間を形成する突起が形成される、請求項1~8のいずれかに記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、進退可能な洗浄ノズルと、洗浄ノズルの前方開口部を開閉するシャッター部と、シャッター部を洗浄するシャッター洗浄部と、を備える衛生洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のシャッター洗浄部は、シャッター部の上部に設けられる吐水口を備え、吐水口から洗浄水を吐水することにより、シャッター部の前面を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシャッター部は、可動することで、洗浄ノズルの前方開口部を開閉する。そのため、吐水口を有するシャッター洗浄部を、可動するシャッター部の上部に設けると、シャッター部の構造が複雑になってしまう。そのため、シャッター部を簡易に構成することが求められている。
【0005】
本開示は、開口部を開閉するシャッター部と、シャッター部の前面を洗浄可能なシャッター洗浄部と、を備え、シャッター部を簡易に構成できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、機能部に形成される開口部を開閉するシャッター部と、前記シャッター部の上方に配置され、前記シャッター部が前記開口部を閉じた状態で前記シャッター部の前面を洗浄するシャッター洗浄部と、を備える、衛生洗浄装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る便器装置の斜視図である。
【
図2】衛生洗浄装置を斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】シャッター洗浄部を斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】
図2のA-A線断面図であって、シャッター部が閉位置に位置した状態のシャッター洗浄部の縦断面図である。
【
図6】シャッター部が開位置に位置した状態のシャッター洗浄部の縦断面図である。
【
図7】第2実施形態の衛生洗浄装置のシャッター洗浄部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
便器装置1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、便座22に着座した使用者から見た場合の前後の向きを前後方向Yとする。前後方向Yにおいて、前側を前側Y1とし、後ろ側を後側Y2とする。便座22に着座した使用者から見た場合の左右の向きを左右方向Xとする。左右方向Xにおいて、便座22に着座した使用者から見た場合に、左側を左側X1とし、右側を右側X2とする。便器21が設置される床面に対する鉛直方向に沿う上下の向きを上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、上側をZ1とし、下側をZ2とする。
図5に示す断面は、
図2に示すA-A線において、前後方向Y及び上下方向Zに沿って切断した断面を、左右方向Xに見た断面である。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る便器装置1は、便器21と、便座22と、便蓋3と、機能部4と、を備える。便器21は、上方に向けて開口して形成される。便器21は、例えば陶器製及び樹脂製の何れかである。便座22及び便蓋3は、便器21の上方において、便器21に対して回転可能に取り付けられる。
【0010】
便器21は、
図1に示すように、便鉢211と、外周壁部212と、を有する。便鉢211は、便器21の前側Y1に配置される。外周壁部212は、便鉢211の外面や配管等の外側を囲む。
【0011】
機能部4は、
図1に示すように、便器21の後部の上部に配置される。機能部4は、少なくとも、
図2及び
図3に示すように、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置5を含む。機能部4は、衛生洗浄装置5を含む機能部品と、ベースプレート41と、機能部の外形を覆うカバー部材42と、を備える。ベースプレート41には、機能部4の機能部品の少なくとも一部が配置される。
【0012】
機能部品は、各種機能や他の部材との位置関係などを考慮して、ベースプレート41やその他の設置位置に設置される。機能部品は、例えば、便座22の保温装置や、洗浄タンクを備えた便器洗浄装置や、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置5や、ホースや、電源ユニットや、制御回路基板や、便座及び便蓋3を電動で開閉させる電動開閉ユニットや、バルブユニットや、各種配管等である。
【0013】
衛生洗浄装置5は、人体洗浄機能を有し、
図2及び
図3に示すように、進退可能な一対の洗浄ノズル51と、洗浄ノズル51の前方開口部415(開口部)を開閉するシャッター部52と、シャッター洗浄部6と、を有する。前方開口部415は、機能部4の前側Y1に形成される。
【0014】
一対の洗浄ノズル51は、機能部4の前側Y1における左右方向Xの中央において、左右方向Xに離れて配置される。一対の洗浄ノズル51は、それぞれ、人体の局部を洗浄する肛門洗浄やビデ洗浄に用いられる。洗浄ノズル51は、先端側の上部に設けられたノズル吐水口(図示せず)により人体に向けて洗浄水を吐水する。
【0015】
シャッター部52は、
図2及び
図4に示すように、機能部4の前側Y1において、左右方向Xの中央に配置される。シャッター部52は、便器21の左右方向X(横方向)に延びる板状に形成される。
【0016】
シャッター部52は、前方開口部415(
図3参照)を閉じた状態において、
図2に示すように、前側Y1から見た場合に、上端が左右方向Xに延びる直線状に形成される。前方開口部415は、ベースプレート41のベースプレート前面411の上側Z1の左右方向Xの中央に形成される。シャッター部52の下端は、左右方向Xの中央が最も下方に位置する共に、左右方向Xの外側に向かうに従って上方に向かうように円弧状に湾曲して形成される。シャッター部52は、機能部4のベースプレート41のベースプレート前面411に回転可能に取り付けられる。
【0017】
ベースプレート前面411は、
図4及び
図5に示すように、左右方向に延びると共に、前側Y1を向いて形成される。ベースプレート前面411は、上側縦面412と、下側傾斜面413と、を有する。
【0018】
上側縦面412は、
図5に示すように、上下方向Zに所定長さ延びる平面状に形成される。下側傾斜面413は、上側縦面412の下端部に、滑らかな曲面414を介して接続され、前側Y1から後側Y2に向かうに従って下方に下る下り傾斜の平面状に形成される。下側傾斜面413の傾斜方向の長さは、上側縦面412の上下方向Zの長さよりも長く形成される。
【0019】
シャッター部52は、
図2に示すように、閉位置に位置する場合に、機能部4の前面であるベースプレート前面411の上方側の一部を覆うように、ベースプレート前面411に沿って配置される。シャッター部52が配置される左右方向Xの範囲において、ベースプレート前面411の上方側の一部は、シャッター部52に覆われる。ベースプレート前面411におけるシャッター部52により覆われない下方側の部分は、前側Y1に露出している。
【0020】
シャッター部52は、
図5に示すように、上端屈曲部521と、傾斜平面部522と、を有する。上端屈曲部521は、シャッター部52が閉位置に位置する場合に、僅かに前側Y1に膨らんで上下方向Zに延びる。傾斜平面部522は、閉位置に位置する場合に、上端屈曲部521の下端から前側Y1から後側Y2に向かうに従って下る下り傾斜で平面状に延びる。
【0021】
上端屈曲部521は、
図5に示すように、前方側が凸になるように、シャッター部52の上端が、傾斜平面部522に対して後方側に屈曲して形成される。上端屈曲部521は、下り傾斜で延びる傾斜平面部522の上端から、傾斜平面部522を上側Z1に直線状に延長した仮想延長線Kよりも後方側に屈曲して形成される。
【0022】
シャッター部52は、
図3及び
図5に示すように、裏面52bの上部側から後方に突出する一対の突出支持部53を有する。突出支持部53は、左右方向Xに延びる円柱状の支持軸531を有する。支持軸531は、ベースプレート前面411の上側縦面412に設けられる一対のC字状開放係止部412aに回転可能に取り付けられる。シャッター部52は、一対の突出支持部53に取り付けられた状態で、支持軸531の左右方向Xに延びる回転軸Jを中心に回転可能である。
【0023】
本実施形態においては、シャッター部52の上端部は、後方側に屈曲して形成される。例えば、シャッター部52が閉位置から開位置に回転する場合に、仮にシャッター部52の全部を直線状に形成することで上端まで直線状にした場合には、シャッター部52の上端部の回転の軌跡の半径が大きくなる。この場合には、シャッター部52の上端部とシャッター部52の上方側の部品との間に大きな隙間を形成する必要性が生じる。
【0024】
これに対して、本開示においては、シャッター部52の上端部を後方側に屈曲させたため、シャッター部52を開いた場合に、シャッター部52の上端まで直線状に形成した場合よりも、
図6に示すように、シャッター部52の上端部を収容する隙間を小さくできるため、カバー部材42の上端部とシャッター部52との間の隙間を小さくできる。これにより、カバー部材42とシャッター部52との間の隙間を小さくできるため、外部から視認される隙間が小さくなり、意匠性を向上できる。
【0025】
ベースプレート41のベースプレート前面411の上側Z1の左右方向Xの中央には、
図3に示すように、前方開口部415が形成される。洗浄ノズル51が進退することにより、前方開口部415からは、洗浄ノズル51が出入りする。
【0026】
シャッター部52は、洗浄ノズル51が進退することにより、裏面が洗浄ノズル51に押されることで、
図6に示すように、洗浄ノズル51の前方に形成される前方開口部415を開閉する。シャッター部52は、
図5に示すように、閉位置に位置する場合に、機能部4のベースプレート41のベースプレート前面411の前方開口部415を塞ぐように配置される。
【0027】
シャッター部52は、
図5に示すように、閉位置に位置する場合に、ベースプレート41のベースプレート前面411との間に隙間Sを空けて配置される。ベースプレート前面411の下側傾斜面413には、
図3に示すように、左右方向Xに離れて配置される一対の突起413aが形成される。一対の突起413aは、
図5に示すように、シャッター部52とベースプレート前面411の下側傾斜面413との間に、隙間Sを形成する。
【0028】
これにより、シャッター部52は、閉位置に位置する場合に、一対の突起413aに当接することで、シャッター部52とベースプレート前面411の下側傾斜面413との間には、隙間Sが形成される。隙間Sには、後述するシャッター洗浄部6の裏面洗浄吐水部62から吐水されて、シャッター部52の裏面52bを沿って移動する洗浄水が流れる。
【0029】
シャッター洗浄部6は、シャッター部52が前方開口部415を閉じた状態で、シャッター部52の前面52a及び裏面52bを洗浄する。シャッター洗浄部6は、シャッター部52の上端部の上方に配置される。シャッター洗浄部6は、シャッター部52が前方開口部415を閉じた閉位置に位置する場合に、シャッター部52に下方に向けて洗浄水を吐水する。
【0030】
本実施形態において、「シャッター部52が前方開口部415を閉じた状態」や「シャッター部52が前方開口部415を閉じた閉位置に位置する場合」とは、シャッター部52が前方開口部415を完全に閉じていなくてもよい。「シャッター部52が前方開口部415を閉じた状態」や「シャッター部52が前方開口部415を閉じた閉位置に位置する場合」は、例えば、シャッター部52が洗浄ノズル51により押されて僅かに開いている場合において、シャッター部52が前方開口部415を概ね塞いでいる状態も含む。
【0031】
シャッター洗浄部6は、
図5及び
図6に示すように、前面洗浄吐水部61(第1吐水部)と、裏面洗浄吐水部62(第2吐水部)と、を有する。
【0032】
前面洗浄吐水部61は、
図3及び
図4に示すように、複数の前面吐水口611を有する。複数の前面吐水口611は、シャッター部52の前面52aに洗浄水を吐水する。裏面洗浄吐水部62は、複数の裏面吐水口621を有する。複数の裏面吐水口621は、シャッター部52の裏面52bに洗浄水を吐水する。
【0033】
前面洗浄吐水部61及び裏面洗浄吐水部62は、洗浄水貯留部63に一時的に貯留された洗浄水を吐水する。洗浄水貯留部63は、
図2、
図4及び
図5に示すように、機能部4の前部の上部において、カバー部材42の内部に配置される。洗浄水貯留部63は、左右方向Xに延びる中空状に形成される。洗浄水貯留部63の下面632は、前後方向Yに幅を有して左右方向Xに延びる平面状に形成される。
【0034】
洗浄水貯留部63の下面632には、前面洗浄吐水部61の複数の前面吐水口611及び裏面洗浄吐水部62の複数の裏面吐水口621が形成される。洗浄水貯留部63の左右方向Xの両端には、
図4及び
図5に示すように、それぞれ、洗浄水供給流路631が接続されている。洗浄水貯留部63には、洗浄水供給流路631を介して洗浄水が導入されて貯留される。洗浄水貯留部63に一時的に貯留された洗浄水は、前面洗浄吐水部61の複数の前面吐水口611と、裏面洗浄吐水部62の複数の裏面吐水口621と、により、シャッター部52に向けて吐水される。
【0035】
複数の前面吐水口611及び複数の裏面吐水口621は、
図5及び
図6に示すように、洗浄水貯留部63の下面632において、前後に2列に並んで配置される。
図4に示すように、複数の前面吐水口611は、洗浄水貯留部63の下面632の前側Y1に配置され、複数の裏面吐水口621は、後側Y2に配置される。複数の前面吐水口611及び複数の裏面吐水口621は、左右方向Xのシャッター部52が設けられる領域において、左右方向Xの位置が重ならないように互い違いに、それぞれ、左右方向Xに直線状に並んで配置される。
【0036】
複数の前面吐水口611は、
図3に示すように、洗浄水貯留部63の下面632の前側Y1において、洗浄水貯留部63の下面632を上下方向Zに貫通する貫通孔により形成される。複数の前面吐水口611は、
図5に示すように、シャッター部52が閉位置に位置した状態において、シャッター部52の前面52aに沿って洗浄水を流すように、下方に向けて開口する。
【0037】
複数の前面吐水口611は、シャッター部52の上端屈曲部521の前側Y1の面521aの上方において、上端屈曲部521の前側Y1の面521aに沿う方向である下方に向けて開口する。これにより、複数の前面吐水口611から吐水された洗浄水は、シャッター部52の上端屈曲部521の前側Y1の面521aに沿うように吐水され、シャッター部52の前面52aに沿って流れることで、シャッター部52の前面52aを洗浄できる。
【0038】
複数の裏面吐水口621は、
図3に示すように、洗浄水貯留部63の下面632の複数の前面吐水口611よりも後側Y2において、洗浄水貯留部63の下面632を上下方向Zに貫通する貫通孔により形成される。複数の裏面吐水口621は、
図5に示すように、シャッター部52が閉位置に位置した状態において、シャッター部52の裏面52bに沿って洗浄水を流すように、下方に向けて開口する。
【0039】
複数の裏面吐水口621は、シャッター部52の上端屈曲部521の後側Y2の面521bに沿う方向である下方に向けて開口する。これにより、複数の裏面吐水口621から吐水された洗浄水は、シャッター部52の上端屈曲部521の後側Y2の面521bに沿うように吐水され、シャッター部52の裏面52bに沿って流れることで、シャッター部52の裏面52bを洗浄できる。
【0040】
複数の裏面吐水口621から吐水された洗浄水は、シャッター部52の裏面52bに沿って流れた後に、機能部4のベースプレート前面411に沿って流れる。これにより、シャッター洗浄部6は、複数の裏面吐水口621から吐水された洗浄水により、機能部4のベースプレート前面411を洗浄可能である。
【0041】
以上のシャッター洗浄部6において、前面洗浄吐水部61及び裏面洗浄吐水部62は、シャッター部52を閉じた状態で、洗浄水貯留部63に貯留された洗浄水を同じタイミングで下方に吐水する。これにより、シャッター洗浄部6は、シャッター部52の前面52a及び裏面52bを同時に洗浄可能である。
【0042】
前面洗浄吐水部61は、
図5に示すように、シャッター部52を閉じた状態で、複数の前面吐水口611により洗浄水を下方に吐水することで、シャッター部52の上端屈曲部521の前側Y1の面521aに洗浄水を吐水する。シャッター部52の上端屈曲部521の前側Y1の面521aに吐水された洗浄水は、シャッター部52の前面52aに沿って流れる。
【0043】
シャッター部52の前面52aに沿って流れる洗浄水は、シャッター部52の前面52aにおける傾斜平面部522の前側Y1の面522aにおいては、水の表面張力により、傾斜平面部522の前側Y1の面522aに沿って流れる。このようにして、前面洗浄吐水部61は、複数の前面吐水口611により洗浄水を吐水することで、シャッター部52の前面52aを洗浄する。
【0044】
裏面洗浄吐水部62は、
図5に示すように、シャッター部52を閉じた状態で、複数の裏面吐水口621により洗浄水を下方に吐水することで、シャッター部52の上端屈曲部521の後側Y2の面521bに洗浄水を吐水する。シャッター部52の上端屈曲部521の後側Y2の面521bに吐水された洗浄水は、シャッター部52の裏面52bに沿って流れる。
【0045】
シャッター部52の裏面52bに沿って流れる洗浄水は、シャッター部52の裏面52bと機能部4のベースプレート前面411の下側傾斜面413との間の隙間Sを通り、水の表面張力により、ベースプレート前面411の下側傾斜面413の下方側の部分に沿って流れる。これにより、シャッター部52の裏面52bを洗浄した洗浄水は、シャッター部52の裏面52bを洗浄するのに加えて、機能部4のベースプレート前面411の下側傾斜面413の下方側の部分も洗浄する。
【0046】
シャッター洗浄部6は、所定のタイミングでシャッター部52を洗浄する動作を実行する。シャッター洗浄部6がシャッター部52を洗浄する動作を実行する所定のタイミングは、シャッター部52が閉じた状態であればよく、例えば、洗浄ノズル51が人体の局部を洗浄する洗浄動作の実行前のタイミングでもよいし、洗浄ノズル51が人体の局部を洗浄する洗浄動作の終了後のタイミングでもよいし、洗浄ノズル51を洗浄水で清掃するタイミングと同じタイミングでもよい。
【0047】
以上説明した本実施形態の衛生洗浄装置5によれば、以下のような効果を奏する。
【0048】
本実施形態の衛生洗浄装置5は、機能部4に形成される前方開口部415を開閉するシャッター部52と、シャッター部52の上方に配置され、シャッター部52が前方開口部415を閉じた状態でシャッター部52の前面52aを洗浄するシャッター洗浄部6と、を備える。
【0049】
そのため、可動部であるシャッター部52の上方に、シャッター部52とは別体のシャッター洗浄部6を設けることができる。これにより、シャッター部52とは別体のシャッター洗浄部6により洗浄できる。よって、シャッター部52を簡易な構成にすることできる。更に、シャッター部52の前面52aを、シャッター部52が前方開口部415を閉じた状態で洗浄できる。そのため、シャッター洗浄部6から吐水される洗浄水が、便器21の前側Y1に飛ぶことを抑制できる。
【0050】
本実施形態においては、シャッター洗浄部6は、シャッター部52が前方開口部415を閉じた状態でシャッター部52の裏面52bを洗浄可能である。これにより、シャッター洗浄部6により、シャッター部52の前面52aと裏面52bとの両面を洗浄することができる。
【0051】
本実施形態においては、シャッター洗浄部6は、シャッター部52が前方開口部415を閉じた状態でシャッター部52の前面52a及び裏面52bを同時に洗浄可能である。これにより、シャッター部52の前面52a及び裏面52bを短時間で同時に洗浄することができる。
【0052】
本実施形態においては、シャッター洗浄部6は、シャッター部52の前面52aに洗浄水を吐水する前面洗浄吐水部61と、シャッター部52の裏面52bに洗浄水を吐水する裏面洗浄吐水部62と、を有する。これにより、前面洗浄吐水部61によりシャッター部52の前面52aを洗浄でき、裏面洗浄吐水部62によりシャッター部52の裏面52bを洗浄することができるため、シャッター部52の前面52aと裏面52bとの両方を効率よく洗浄することができる。
【0053】
本実施形態においては、シャッター洗浄部6は、下方に向けて洗浄水を吐水する。これにより、シャッター部52がシャッター洗浄部6の下方に配置されるため、重力の方向に洗浄水を吐水できる。よって、シャッター部52を容易に洗浄することができる。
【0054】
本実施形態においては、シャッター部52は、上端部が後方側に屈曲して形成される。そのため、シャッター部52を開いた場合に、シャッター部52の上端まで直線状に形成した場合よりも、カバー部材42の上端部とシャッター部52との間の隙間を小さくできる。これにより、カバー部材42とシャッター部52との間の隙間を小さくできるため、意匠性を向上できる。
【0055】
本実施形態においては、シャッター部52は、機能部4のベースプレート前面411の一部を覆うようにベースプレート前面411に沿って配置され、機能部4には、シャッター部52の裏面52bと機能部4のベースプレート前面411との間に隙間Sを形成する突起413aが形成される。これにより、裏面洗浄吐水部62は、シャッター部52の裏面52bを洗浄することができると共に、機能部4のベースプレート前面411の下方側の部分も洗浄することができる。
【0056】
第2実施形態の衛生洗浄装置5Aについて説明する。第2実施形態で説明しない点については、第1実施形態の説明を援用できる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付けて、その説明を省略する。
【0057】
図7に示すように、第2実施形態の衛生洗浄装置5Aは、進退可能な一対の洗浄ノズル51と、洗浄ノズル51の前方開口部415(開口部)を開閉するシャッター部52Aと、シャッター洗浄部6Aと、を有する。
【0058】
シャッター部52Aは、第1実施形態のシャッター部52と同様に、機能部4の前側Y1において、左右方向Xの中央に配置される。シャッター部52Aは、便器21の左右方向X(横方向)に延びる板状に形成される。シャッター部52Aは、機能部4のベースプレート41のベースプレート前面411に回転軸Jを中心に回転可能に取り付けられる。
【0059】
シャッター部52Aは、
図7に示すように、閉位置に位置する場合に、前側Y1から後側Y2に向かうに従って下る下り傾斜で平面状に延びる。シャッター部52Aの上端部の前面側は、上端側が僅かに先細りするように傾斜する曲面状に形成される。
【0060】
シャッター洗浄部6Aは、シャッター部52Aが前方開口部415を閉じた状態で、シャッター部52Aの前面55a及び裏面55bを洗浄する。シャッター洗浄部6Aは、シャッター部52Aの上端部の斜め前の上方に配置される。シャッター洗浄部6Aは、シャッター部52Aが前方開口部415を閉じた閉位置に位置する場合に、斜め後ろ下方に向けて洗浄水を吐水する。
【0061】
シャッター洗浄部6Aは、
図7に示すように、前面洗浄吐水部65(第1吐水部)と、裏面洗浄吐水部66(第2吐水部)と、を有する。
【0062】
前面洗浄吐水部65は、複数の前面吐水口651を有する。複数の前面吐水口651は、シャッター部52Aの前面55aに洗浄水を吐水する。裏面洗浄吐水部66は、複数の裏面吐水口661を有する。複数の裏面吐水口661は、シャッター部52Aの裏面55bに洗浄水を吐水する。
【0063】
前面洗浄吐水部65及び裏面洗浄吐水部66は、洗浄水貯留部67に一時的に貯留された洗浄水を吐水する。洗浄水貯留部67は、機能部4の前部の上部において、カバー部材42の内部に配置される。洗浄水貯留部67の傾斜下面672は、前側Y1から後側Y2に向かうに従って下方側から上方側に向かうように傾斜し、左右方向Xに延びる。
【0064】
洗浄水貯留部67の傾斜下面672には、前面洗浄吐水部65の複数の前面吐水口651及び裏面洗浄吐水部66の複数の裏面吐水口661が形成される。洗浄水貯留部67に一時的に貯留された洗浄水は、前面洗浄吐水部65の複数の前面吐水口651と、裏面洗浄吐水部66の複数の裏面吐水口661と、により、シャッター部52Aに向けて吐水される。
【0065】
複数の前面吐水口651は、洗浄水貯留部67の傾斜下面672の前側Y1において、洗浄水貯留部67の傾斜下面672を、斜め後ろ下方に傾斜して貫通する貫通孔により形成される。複数の前面吐水口651は、シャッター部52Aが閉位置に位置した状態において、シャッター部52Aの前面55aに沿って洗浄水を流すように、斜め後ろ下方に向けて開口する。
【0066】
複数の前面吐水口651は、シャッター部52Aの斜め前の上方において、前面55aに沿う方向である斜め後ろ下方に向けて開口する。これにより、複数の前面吐水口651から吐水された洗浄水は、シャッター部52Aの前面55aに沿って流れることで、シャッター部52Aの前面55aを洗浄できる。
【0067】
複数の裏面吐水口661は、洗浄水貯留部67の傾斜下面672の複数の前面吐水口651よりも後側Y2に配置される。複数の裏面吐水口661は、洗浄水貯留部67の傾斜下面672を、斜め後ろ下方に傾斜して貫通する貫通孔により形成される。複数の裏面吐水口661は、シャッター部52Aが閉位置に位置した状態において、シャッター部52Aの裏面55bに沿って洗浄水を流すように、斜め後ろ下方に向けて開口する。
【0068】
複数の裏面吐水口661は、シャッター部52Aの斜め前の上方において、シャッター部52Aの裏面55bに沿う方向である斜め後ろ下方に向けて開口する。これにより、複数の裏面吐水口661から吐水された洗浄水は、シャッター部52Aの裏面55bに沿って流れることで、シャッター部52Aの裏面55bを洗浄できる。
【0069】
以上のシャッター洗浄部6Aにおいて、前面洗浄吐水部65及び裏面洗浄吐水部66は、シャッター部52Aを閉じた状態で、洗浄水貯留部67に貯留された洗浄水を同じタイミングで下方に吐水する。これにより、シャッター洗浄部6Aは、シャッター部52Aの前面55a及び裏面55bを同時に洗浄可能である。
【0070】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することに加えて、下記効果を奏する。第2実施形態においては、シャッター洗浄部6Aは、斜め後ろ下方に向けて洗浄水を吐水する。そのため、真下に向けて洗浄水を吐水する場合と比べて、斜め後ろ下方に向けて洗浄水を吐水するため、シャッター部52Aの前面55a上や裏面55b上に水を流しやすい。これにより、シャッター洗浄部6Aとシャッター部52Aとの配置位置について、製造や組み立てのバラツキを吸収しやすい。よって、製造や組み立てのバラツキを吸収可能な範囲を大きくすることができる。
【0071】
本実施形態においては、シャッター部52Aが付いていない状態であっても、シャッター洗浄部6Aから吐水される洗浄水を、後方側に流すことができる。そのため、シャッター洗浄部6Aから吐水される洗浄水を、便器21内に溜まった溜水の方向ではなく、後方側に流すことができる。これにより、シャッター部52Aが付いていない状態であっても、洗浄水を後方側に流すことができるため、使用者は違和感を感じにくい。
【0072】
本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0073】
前記実施形態においては、前面洗浄吐水部61及び裏面洗浄吐水部62を、複数の吐水口により構成した。これに限定されない。前面洗浄吐水部61及び裏面洗浄吐水部62を、左右方向Xに延びて開口するスリット状に構成してもよい。
【0074】
複数の前面吐水口611及び複数の裏面吐水口621の向きは、限定されない。例えば、複数の前面吐水口611及び複数の裏面吐水口621は、真下に向けて洗浄水を吐水してもよいし、斜め後方に向けて洗浄水を吐水してもよいし、後方側に水平に洗浄水を吐水してもよい。
【0075】
前記実施形態においては、突起413aを機能部4の前面に設けた。しかし、これに限定されない。突起をシャッター部52の裏面52bに設けてもよい。
【0076】
前記実施形態においては、シャッター部を、洗浄ノズルの前方に形成される開口部を開閉するように構成した。これに限定されない。シャッター部を、例えば、温風乾燥装置、脱臭装置、便器洗浄吐水部、ミストノズル又は泡ノズルなどの前方に形成される開口部を開閉するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0077】
2 便器、4 機能部、5,5A 衛生洗浄装置、6,6A シャッター洗浄部、51 洗浄ノズル、52,52A シャッター部、52a,55a 前面、52b,55b 裏面、61,65 前面洗浄吐水部(第1吐水部)、62,66 裏面洗浄吐水部(第2吐水部)、411 ベースプレート前面(機能部の前面)、413a 突起、415 前方開口部(開口部)、S 隙間