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特開2022-164383制御装置、プログラム、およびシステム
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  • 特開-制御装置、プログラム、およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164383
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/44 20130101AFI20221020BHJP
【FI】
G06F21/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069845
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋祐
(57)【要約】
【課題】セキュリティ性の向上とリトライに要する時間の短縮とを両立する。
【解決手段】筐体に搭載される制御装置であって、前記筐体に搭載される第1の無線通信装置とユーザに携帯されるポータブル機器との間において送受信される第1の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた認証処理の結果、および前記筐体に搭載される第2の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第2の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果に基づいて、前記筐体に備えられる被制御装置を制御する制御部、を備え、前記制御部は、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記規定の処理の完了を待たずに前記認証処理の再実行が行われるよう制御する、制御装置が提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に搭載される制御装置であって、
前記筐体に搭載される第1の無線通信装置とユーザに携帯されるポータブル機器との間において送受信される第1の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた認証処理の結果、および前記筐体に搭載される第2の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第2の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果に基づいて、前記筐体に備えられる被制御装置を制御する制御部、
を備え、
前記制御部は、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記規定の処理の完了を待たずに前記認証処理の再実行が行われるよう制御する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合において、前記規定の処理の結果に関する情報を受信している場合、当該結果に関する情報を破棄する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記第1の無線通信装置に、前記ポータブル機器に対する認証要求の再送信を実行させる、
請求項1または請求項2のうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記認証処理において前記ポータブル機器の真正性が認められ、かつ前記規定の処理の結果が規定の条件を満たす場合、前記被制御装置に規定の動作を実行させる、
請求項1から請求項3までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記規定の処理は、前記筐体と前記ポータブル機器との位置関係を推定する処理を含む、
請求項1から請求項4までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記位置関係を推定する処理は、前記筐体と前記ポータブル機器との間の距離を推定する処理を含む、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第2の無線通信規格は、超広帯域無線通信を含む、
請求項1から請求項6までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記筐体は、移動体を含む、
請求項1から請求項7までのうちいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記被制御装置は、錠装置またはエンジンのうち少なくともいずれかを含む、
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
コンピュータを、筐体に搭載される制御装置として機能させ、
前記制御装置に、前記筐体に搭載される第1の無線通信装置とユーザに携帯されるポータブル機器との間において送受信される第1の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた認証処理の結果、および前記筐体に搭載される第2の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第2の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果に基づいて、前記筐体に備えられる被制御装置を制御する制御機能、を実現させ、
前記制御機能に、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記規定の処理の完了を待たずに前記認証処理の再実行が行われるよう制御させる、
プログラム。
【請求項11】
筐体に搭載される制御装置と、
前記筐体に搭載される第1の無線通信装置と、
前記筐体に搭載される第2の無線通信装置と、
ユーザに携帯されるポータブル機器と、
を備え、
前記制御装置は、前記第1の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第1の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた認証処理の結果、および前記第2の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第2の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果に基づいて、前記筐体に備えられる被制御装置を制御する制御部、
を備え、
前記制御部は、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記規定の処理の完了を待たずに前記認証処理の再実行が行われるよう制御する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置間で信号を送受信した結果に従って認証する技術が開発されている。例えば、下記特許文献1では、車載器が携帯機との間で信号を送受信することで携帯機の認証を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-208419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシステムにおいて、セキュリティ性を向上させるためには、認証の仕組みを多段とする構成も想定される。しかし、この場合、リトライに要する時間が増大する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、セキュリティ性の向上とリトライに要する時間の短縮とを両立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、筐体に搭載される制御装置であって、前記筐体に搭載される第1の無線通信装置とユーザに携帯されるポータブル機器との間において送受信される第1の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた認証処理の結果、および前記筐体に搭載される第2の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第2の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果に基づいて、前記筐体に備えられる被制御装置を制御する制御部、を備え、前記制御部は、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記規定の処理の完了を待たずに前記認証処理の再実行が行われるよう制御する、制御装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、筐体に搭載される制御装置として機能させ、前記制御装置に、前記筐体に搭載される第1の無線通信装置とユーザに携帯されるポータブル機器との間において送受信される第1の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた認証処理の結果、および前記筐体に搭載される第2の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第2の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果に基づいて、前記筐体に備えられる被制御装置を制御する制御機能、を実現させ、前記制御機能に、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記規定の処理の完了を待たずに前記認証処理の再実行が行われるよう制御させる、プログラムが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、筐体に搭載される制御装置と、前記筐体に搭載される第1の無線通信装置と、前記筐体に搭載される第2の無線通信装置と、ユーザに携帯されるポータブル機器と、を備え、前記制御装置は、前記第1の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第1の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた認証処理の結果、および前記第2の無線通信装置と前記ポータブル機器との間において送受信される第2の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果に基づいて、前記筐体に備えられる被制御装置を制御する制御部、を備え、前記制御部は、前記認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記規定の処理の完了を待たずに前記認証処理の再実行が行われるよう制御する、システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、セキュリティ性の向上とリトライに要する時間の短縮とを両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
図2】同実施形態に係る比較システム8による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3】同実施形態に係るシステム1による処理の流れを示すシーケンス図である。
図4】同実施形態に係る制御装置130による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例について述べる。本実施形態に係るシステム1は、規定の筐体に搭載される各種の装置と、ユーザに携帯されるポータブル機器とを備える。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。図1
に示す一例の場合、システム1は、移動体10に搭載される各種の装置と、ポータブル機器20とを備える。
【0014】
(移動体10)
本実施形態に係る移動体10は、後述する各装置が搭載される筐体の一例である。移動体10以外の筐体の例としては、例えば、屋内または屋外に設置されるドア装置などが想定される。
【0015】
本実施形態に係る移動体10は、例えば、人の搭乗が可能な車両、船舶、航空機などであってもよい。以下においては、本実施形態に係る移動体10が一般車両である場合を主な例として説明を行う。
【0016】
(第1の無線通信装置110)
本実施形態に係る第1の無線通信装置110は、移動体10を利用するユーザ(例えば、移動体10のオーナー、または当該オーナーにより移動体10の利用を許可された人物)に携帯されるポータブル機器20との間において、第1の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0017】
上記第1の無線通信規格には、例えば、LF(Low Frequency)帯の信号、およびUHF(Ultra-High
Frequency)帯の信号が使用されてもよい。
【0018】
第1の無線通信装置110は、上記第1の無線通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナ素子を備える。
【0019】
また、本実施形態に係る第1の無線通信装置110は、送受信した無線信号を用いた認証処理を実行する。
【0020】
一例として、本実施形態に係る第1の無線通信装置110は、制御装置130による制御に従い、ポータブル機器20に対して認証要求を送信し、当該認証要求への応答としてポータブル機器20が送信する認証応答を受信する。
【0021】
この場合、上記認証要求は、ポータブル機器20の真正性に係る認証に必要となる情報を要求するための信号であり、上記認証要求は、認証に必要となる情報を含む信号であってもよい。
【0022】
なお、上記認証に必要となる情報としては、例えば、ポータブル機器20の識別子、予め定められたパスワード、鍵情報、ハッシュ関数を用いた演算の結果などが挙げられる。
【0023】
また、第1の無線通信装置110は、認証処理の結果を制御装置130に送信する。
【0024】
(第2の無線通信装置120)
本実施形態に係る第2の無線通信装置120は、ポータブル機器20との間において、第1の無線通信規格とは異なる第2の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0025】
上記第2の無線通信規格の一例としては、超広帯域(UWB:Ultra-Wide Band)無線通信が挙げられる。
【0026】
一方、本実施形態に係る第2の無線通信規格は上記の例に限定されるものではなく、後述する規定の処理の実行に利用可能な各種の規格であってよい。
【0027】
第2の無線通信装置120は、上記第2の無線通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナ素子を備える。
【0028】
また、本実施形態に係る第2の無線通信装置120は、送受信した無線信号を用いた規定の処理を実行してもよい。
【0029】
上記規定の処理は、例えば、移動体10とポータブル機器20との位置関係(より正確には、第2の無線通信装置120とポータブル機器20との位置関係)を推定する処理であってもよい。
【0030】
上記位置関係を推定する処理としては、例えば、移動体10とポータブル機器20との間の距離を推定する処理(以下、測距とも称する)、移動体10を起点としたポータブル機器の角度を推定する処理が挙げられる。
【0031】
また、第2の無線通信装置120は、規定の処理の結果を制御装置130に送信する。
【0032】
(制御装置130)
本実施形態に係る制御装置130は、プロセッサ等から構成される制御部135を備える。
【0033】
本実施形態に係る制御部135は、第1の無線通信装置110による第1の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信、および第2の無線通信装置120による第2の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を制御する。
【0034】
また、本実施形態に係る制御部135は、第1の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた認証処理の結果、および第2の無線通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果に基づいて、移動体10に備えられる所定の被制御装置140を制御する。
【0035】
本実施形態に係る制御部135は、認証処理においてポータブル機器20の真正性が認められ、かつ規定の処理の結果が規定の条件を満たす場合、被制御装置140に規定の動作を実行させてもよい。
【0036】
例えば、規定の処理が上述の位置関係を推定する処理である場合、制御部135は、認証処理においてポータブル機器20の真正性が認められ、かつ移動体10とポータブル機器20とが規定の位置関係にあると推定される場合、被制御装置140に規定の動作をさせてもよい。
【0037】
また、例えば、規定の処理が上述の距離を推定する処理である場合、制御部135は、認証処理においてポータブル機器20の真正性が認められ、かつ移動体10とポータブル機器20との間の距離が規定の範囲にある推定される場合、被制御装置140に規定の動作をさせてもよい。
【0038】
一方、本実施形態に係る制御部135は、認証処理が規定の時間内に完了しない場合、規定の処理の完了を待たずに認証処理の再実行が行われるよう制御することを特徴の一つとする。
【0039】
上記のような制御によれば、認証処理と規定の処理によりセキュリティ性を向上させながら、リトライに要する時間を短縮することが可能となる。
【0040】
本実施形態に係る制御装置130による制御については別途詳細に説明する。
【0041】
(被制御装置140)
本実施形態に係る被制御装置140は、移動体10に備えられる所定の装置であり、制御装置130による制御に従い規定の動作を実行する。
【0042】
本実施形態に係る被制御装置140には、例えば、移動体10のドアの解錠および施錠を制御する錠装置、エンジンなどが含まれてもよい。
【0043】
例えば、制御装置130は、認証処理においてポータブル機器20の真正性が認められ、かつ規定の処理の結果が規定の条件を満たす場合、錠装置に解錠を実行させてもよいし、エンジンの始動を許可してもよい。
【0044】
(ポータブル機器20)
本実施形態に係るポータブル機器20は、移動体10を利用するユーザに携帯される装置である。
【0045】
図1に示すように、本実施形態に係るポータブル機器20は、第1の無線通信部210、第2の無線通信部220、および制御部230を備える。
【0046】
(第1の無線通信部210)
本実施形態に係る第1の無線通信部210は、移動体10に搭載される第1の無線通信装置110との間において第1の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0047】
このために、本実施形態に係る第1の無線通信部210は、第1の無線通信規格に準拠した無線信号を送受信可能なアンテナ素子を備える。
【0048】
(第2の無線通信部220)
本実施形態に係る第2の無線通信部220は、移動体10に搭載される第2の無線通信装置120との間において第2の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0049】
このために、本実施形態に係る第2の無線通信部220は、第2の無線通信規格に準拠した無線信号を送受信可能なアンテナ素子を備える。
【0050】
(制御部230)
本実施形態に係る制御部230は、第1の無線通信部210および第2の無線通信部220による動作を制御する。
【0051】
本実施形態に係る制御部230の機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0052】
以上、本実施形態に係るシステム1の構成例について述べた。なお、図1を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係るシステム1の構成は係る例に限定されない。
【0053】
例えば、移動体10には、複数の第2の無線通信装置120が搭載されてもよい。この場合、複数の第2の無線通信装置120は、それぞれポータブル機器20との間において無線通信の送受信を行い、また規定の処理を実行してよい。
【0054】
本実施形態に係るシステム1の構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0055】
<<1.2.制御の詳細>>
次に、本実施形態に係る制御装置130による制御について詳細に述べる。
【0056】
ここで、本実施形態に係る制御装置130により奏される効果について説明するために、まず、一般的な比較システム8による処理の流れについて一例を示す。
【0057】
なお、比較システム8は、移動体80およびポータブル機器90を備えるものとする。また、移動体80には、第1の無線通信装置810、第2の無線通信装置820、および制御装置830が搭載されるものとする。また、ポータブル機器90は、第1の無線通信部910、第2の無線通信部920、および制御部930を備えるものとする。
【0058】
図2は、比較システム8による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、図2においては、規定の処理として、移動体80とポータブル機器90との間の距離を推定する測距が行われる場合を例示する。
【0059】
図2に示す一例の場合、まず、移動体80に搭載される第1の無線通信装置810が、制御装置830による制御に従い、認証要求を送信する(S102)。
【0060】
次に、ポータブル機器90の第1の無線通信部910が、ステップS102において受信した認証要求への応答として測距応答を送信する(S104)。
【0061】
しかし、第1の無線通信部910がステップS102において第1の無線通信部910により送信された距応答を受信できない場合や、受信できた場合であっても、ノイズ等の影響により情報を正常に取得できない状況も生じ得る。
【0062】
この際、比較システム8においては、ステップS106~S112における測距が完了した後に、認証要求の再送信(認証処理のリトライ)が行われる(S114)。また、その後、再度測距が行われる。
【0063】
このように、比較システム9においては、測距の完了を待ってから認証処理のリトライ、および当該認証処理のリトライに伴う測距のリトライが実行されることから、リトライ間隔が大きくなる傾向がある。
【0064】
特に、第1の無線通信装置810と第1の無線通信部910間において複数回の測距が行われる場合、また複数の第1の無線通信装置810がそれぞれ測距を行う場合には、上記の傾向がより顕著となる。
【0065】
本発明の技術思想は上記の点に着目して発想されたものであり、認証処理に係るリトライ間隔を効果的に短縮することを可能とする。
【0066】
このために、本実施形態に係る制御装置130の制御部135は、認証処理が規定の時間内に完了しない場合、前記規定の処理の完了を待たずに認証処理の再実行が行われるよう制御を行う。
【0067】
図3は、本実施形態に係るシステム1による処理の流れを示すシーケンス図である。
【0068】
図3に示す一例の場合、まず、移動体10に搭載される第1の無線通信装置110が、制御装置130の制御部135による制御に従い、認証要求を送信する(S202)。
【0069】
次に、ポータブル機器20の第1の無線通信部210が、ステップS202において受信した認証要求への応答として測距応答を送信する(S204)。
【0070】
一方、制御装置130の制御部135は、ステップS202において第1の無線通信装置110に認証要求を送信させてから、規定の時間内に認証処理が完了しない場合には、送信済みの認証要求に後続する測距(S208~S214)の完了を待たずに、第1の無線通信装置110に認証要求を再送信させてもよい。
【0071】
なお、規定の時間内に認証処理が完了しないことを検出するための条件としては、制御部135が規定の時間内に認証処理の結果を受信できないこと、第1の無線通信装置110が規定の時間内に測距応答を受信でないこと等が挙げられる。
【0072】
上記のような制御によれば、規定の時間内に完了しなかった認証処理と同一のサイクルにおける測距に要する時間を待たずにすむため、認証処理に係るリトライ間隔を効果的に短縮することが可能となる。
【0073】
なお、制御部135は、第1の無線通信装置110に認証要求を再送信させる場合、送信済みの認証要求に後続する測距(S208~S214)が中断されるよう制御を行ってもよい。
【0074】
一方、制御部135は、送信済みの認証要求に後続する測距(S208~S214)の結果に関する情報を受信した場合、当該結果に関する情報を破棄してもよい。
【0075】
例えば、ポータブル機器20の第2の無線通信部220は、ステップS202において、第1の無線通信部210が認証要求を受信したことに基づいて、移動体10の第2の無線通信装置120に対して測距要求を送信する(S208)。
【0076】
第2の無線通信装置120は、ステップS208において受信した測距要求への応答として測距応答を送信する(S210)。
【0077】
第2の無線通信部220は、ステップS208において送信した測距要求、およびステップS210において受信した測距応答に基づいて測距値を算出する(S212)。
【0078】
第2の無線通信部220は、測距要求を送信した時刻から測距応答を受信した時刻までの時間ΔT1と、第2の無線通信装置120が測距要求を受信した時刻から測距応答を送信するまでの時間ΔT2に基づき測距値を算出する。
【0079】
より具体的には、第2の無線通信部220は、時間ΔT1から時間ΔT2を差し引くことにより測距要求および測距応答の往復の通信に要した時間を算出し、また当該時間を2で割ることにより測距要求または測距応答の片道の通信に要した時間を算出する。さらに、第2の無線通信部220は、(時間ΔT1-時間ΔT2)/2の値に信号の速度を掛けることで、移動体10とポータブル機器20との間の距離の推定値である測距値を算出する。
【0080】
また、第2の無線通信部220は、ステップS202において算出した測距値を第2の無線通信装置120に送信する(S214)。
【0081】
ただし、上述したように、制御部135は、既に認証処理のリトライ制御を実施していることから、ステップS214において第2の無線通信装置120が受信した測距値に係る測距結果(測距値そのもの、または測距値に基づき判定の結果)を破棄してよい。
【0082】
なお、図2では、測距値の算出が第2の無線通信部220により行われる場合を例示したが、測距値の算出は第2の無線通信装置120により行われてもよい。
【0083】
また、測距要求および測距応答の送受信、測距値の算出は、複数回実行されてもよい。
【0084】
以上、本実施形態に係るシステム1による処理の流れについて一例を挙げて説明した。
【0085】
続いて、本実施形態に係る制御装置130による制御の流れについて今一度詳細に説明する。
【0086】
図4は、本実施形態に係る制御装置130による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0087】
図4に示す一例の場合、制御部135は、まず、第1の無線通信装置110に認証要求を送信させた後、規定の時間内に認証処理の結果を受信できたか否かを判定する(S302)。
【0088】
ここで、規定の時間内に認証処理の結果を受信できていない場合(S302:No)、制御部135は、認証処理のリトライを制御する(S304)。
【0089】
具体的には、制御部135は、第1の無線通信装置110に認証要求を再送信させる。
【0090】
次に、制御部135は、ステップS304におけるリトライ制御前の測距(ステップS304において第1の無線通信装置110に再送信させた認証要求に後続する測距を除くすべての測距)の結果を受信しているか否かを判定する(S306)。
【0091】
ここで、該当する測距の結果を受信している場合(S306:Yes)、制御部135は、当該測距の結果を破棄する(S308)。
【0092】
一方、ステップS302において、規定の時間内に認証処理の結果を受信した場合(S302:Yes)、制御部135は、認証処理の結果に基づいてポータブル機器の真正性が認められるか否かを判定する(S310)。
【0093】
ここで、ポータブル機器の真正性が認められない場合(S310:No)、制御装置130は、一連の処理を終了してもよい。
【0094】
一方、ポータブル機器の真正性が認められる場合(S310:Yes)、制御部135は、認証処理のリトライに後続する測距の結果を受信しているか否かを判定する(S312)。
【0095】
ここで、認証処理のリトライに後続する測距の結果が所定時間内に受信できていない場合(S312:No)、制御装置130は、一連の処理を終了してもよい。
【0096】
一方、認証処理のリトライに後続する測距の結果が所定時間内に受信できている場合(S312:Yes)、制御部135は、測距の結果が規定の条件を満たすか否かを判定する(S314)。
【0097】
この際、例えば、受信した測距の結果が測距値である場合、制御部135は、当該測距値が規定の範囲内にあるか否かを判定してもよい。
【0098】
また、例えば、受信した測距の結果が、測距値が規定の範囲にあるか否かを示す情報である場合、制御部135は、当該情報に基づく判定を行ってもよい。
【0099】
測距の結果が規定の条件を満たす場合(S314:Yes)、制御部135は、被制御装置140による規定の動作の実行を制御する(S316)。
【0100】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1:システム、10:移動体、110:第1の無線通信部、120:第2の無線通信部、130:制御装置、135:制御部、140:被制御装置、20:ポータブル機器、210:第1の無線通信部、220:第2の無線通信部、230:制御部
図1
図2
図3
図4