(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164384
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】無線通信装置、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 12/06 20210101AFI20221020BHJP
H04W 12/63 20210101ALI20221020BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20221020BHJP
【FI】
H04W12/06
H04W12/63
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069846
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB28
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE25
5K067HH22
5K067JJ52
(57)【要約】
【課題】セキュリティ性の向上と一連の処理の完遂とを両立する。
【解決手段】無線通信装置であって、当該無線通信装置とは異なる他の無線通信装置との間において第1の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第1の無線通信部と、前記他の無線通信装置との間において前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第2の無線通信部と、前記第1の無線通信部および前記第2の無線通信部による無線信号の送受信を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の無線通信部に前記他の無線通信部の認証に用いられる認証要求を送信させた後、前記第1の無線通信部が規定の時間内に前記他の無線通信装置から前記認証要求への応答としての認証応答を受信できない場合、前記第2の無線通信部と前記他の無線通信装置との間における前記第2の通信規格に準拠した無線信号の送受信が完了した後に、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させる、無線通信装置が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置であって、
当該無線通信装置とは異なる他の無線通信装置との間において第1の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第1の無線通信部と、
前記他の無線通信装置との間において前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第2の無線通信部と、
前記第1の無線通信部および前記第2の無線通信部による無線信号の送受信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の無線通信部に前記他の無線通信部の認証に用いられる認証要求を送信させた後、前記第1の無線通信部が規定の時間内に前記他の無線通信装置から前記認証要求への応答としての認証応答を受信できない場合、前記第2の無線通信部と前記他の無線通信装置との間における前記第2の通信規格に準拠した無線信号の送受信が完了した後に、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させる、
無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の無線通信部が規定の時間内に前記認証応答を受信できない場合、前記第2の通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理が完了した後に、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させる、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させた場合、前記規定の処理が再実行されないよう制御する、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記認証の結果および前記規定の処理の結果に基づいて、移動体に搭載される被制御装置の動作制御を行う、
請求項2または請求項3のうちいずれか一項記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させた場合、前記認証要求の再送信前に得られた前記規定の処理の結果に基づいて、前記被制御装置の動作制御を行う、
請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記規定の処理は、当該無線通信装置と前記他の無線通信装置との間の距離を推定する測距を含む、
請求項4または請求項5のうちいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記認証応答に基づいて前記他の無線通信装置の真正性が認められ、かつ前記測距により得られた測距値が規定の範囲内である場合、前記被制御装置に規定の動作を実行させる、
請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
当該無線通信装置は、前記移動体に搭載され、
前記他の無線通信装置は、前記移動体を利用するユーザに携帯される、
請求項4から請求項7までのうちいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記他の無線通信装置は、移動体に搭載され、
当該無線通信装置は、前記移動体を利用するユーザに携帯される、
請求項1から請求項3までのうちいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記第2の通信規格は、超広帯域無線を含む、
請求項1から請求項9までのうちいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
コンピュータに、
他の無線通信装置との間において第1の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第1の無線通信部と、前記他の無線通信装置との間において前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第2の無線通信部と、を制御する制御機能を実現させ、
前記制御機能に、前記第1の無線通信部に前記他の無線通信部の認証に用いられる認証要求を送信させた後、前記第1の無線通信部が規定の時間内に前記他の無線通信装置から前記認証要求への応答としての認証応答を受信できない場合、前記第2の無線通信部と前記他の無線通信装置との間における前記第2の通信規格に準拠した無線信号の送受信が完了した後に、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させる、
プログラム。
【請求項12】
第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を備え、
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置との間において第1の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第1の無線通信部と、
前記第2の無線通信装置との間において前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第2の無線通信部と、
前記第1の無線通信部および前記第2の無線通信部による無線信号の送受信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の無線通信部に前記第2の無線通信部の認証に用いられる認証要求を送信させた後、前記第1の無線通信部が規定の時間内に前記第2の無線通信装置から前記認証要求への応答としての認証応答を受信できない場合、前記第2の無線通信部と前記第2の無線通信装置との間における前記第2の通信規格に準拠した無線信号の送受信が完了した後に、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させる、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置間で信号を送受信した結果に従って認証を行う技術が開発されている。例えば、下記特許文献1では、車載器が携帯機との間で信号を送受信することで携帯機の認証を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシステムにおいて、セキュリティ性を向上させるためには、認証の仕組みを多段とする構成も想定される。しかし、この場合、異なる複数の処理の実行が重なることで、いずれかの処理が影響を受ける可能性がる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、セキュリティ性の向上と一連の処理の完遂とを両立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、無線通信装置であって、当該無線通信装置とは異なる他の無線通信装置との間において第1の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第1の無線通信部と、前記他の無線通信装置との間において前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第2の無線通信部と、前記第1の無線通信部および前記第2の無線通信部による無線信号の送受信を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の無線通信部に前記他の無線通信部の認証に用いられる認証要求を送信させた後、前記第1の無線通信部が規定の時間内に前記他の無線通信装置から前記認証要求への応答としての認証応答を受信できない場合、前記第2の無線通信部と前記他の無線通信装置との間における前記第2の通信規格に準拠した無線信号の送受信が完了した後に、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させる、無線通信装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、他の無線通信装置との間において第1の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第1の無線通信部と、前記他の無線通信装置との間において前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第2の無線通信部と、を制御する制御機能を実現させ、前記制御機能に、前記第1の無線通信部に前記他の無線通信部の認証に用いられる認証要求を送信させた後、前記第1の無線通信部が規定の時間内に前記他の無線通信装置から前記認証要求への応答としての認証応答を受信できない場合、前記第2の無線通信部と前記他の無線通信装置との間における前記第2の通信規格に準拠した無線信号の送受信が完了した後に、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させる、プログラムが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を備え、前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置との間において第1の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第1の無線通信部と、前記第2の無線通信装置との間において前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に準拠した無線信号を送受信する第2の無線通信部と、前記第1の無線通信部および前記第2の無線通信部による無線信号の送受信を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の無線通信部に前記第2の無線通信部の認証に用いられる認証要求を送信させた後、前記第1の無線通信部が規定の時間内に前記第2の無線通信装置から前記認証要求への応答としての認証応答を受信できない場合、前記第2の無線通信部と前記第2の無線通信装置との間における前記第2の通信規格に準拠した無線信号の送受信が完了した後に、前記第1の無線通信部に前記認証要求を再送信させる、システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、セキュリティ性の向上と一連の処理の完遂とを両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態に係る第1の通信規格に準拠した無線信号に基づく認証と、第2の通信規格に準拠した無線信号に基づく規定の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図3】同実施形態に係る認証要求の再送信制御の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図4】同実施形態に係る車載器10の制御部130による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例について述べる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す一例の場合、本実施形態に係るシステム1は、車両などの移動体40に搭載される車載器10と被制御装置30、ポータブル機器20を備える。
【0015】
(車載器10)
本実施形態に係る車載器10は、移動体40に搭載され、他の無線通信装置(ポータブル機器20)との間において無線通信を行う無線通信装置の一例である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る車載器10は、第1の無線通信部110、第2の無線通信部120、および制御部130を備えてもよい。
【0017】
(第1の無線通信部110)
本実施形態に係る第1の無線通信部110は、車載器10が搭載される移動体40を利用するユーザ(例えば、移動体40のオーナー、または当該オーナーにより移動体40の利用を許可された人物)に携帯されるポータブル機器20との間において、第1の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0018】
上記第1の無線通信規格には、例えば、LF(Low Frequency)帯の信号、およびUHF(Ultra-High
Frequency)帯の信号が使用されてもよい。
【0019】
第1の無線通信部110は、上記第1の無線通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナ素子を備える。
【0020】
また、本実施形態に係る第1の無線通信部110は、送受信した無線信号に基づいてポータブル機器20の認証を行ってもよい。
【0021】
一例として、本実施形態に係る第1の無線通信部110は、制御部130による制御に従い、ポータブル機器20に対して認証要求を送信し、当該認証要求への応答としてポータブル機器20が送信する認証応答を受信する。
【0022】
この場合、上記認証要求は、ポータブル機器20の真正性に係る認証に必要となる情報を要求するための信号であり、上記認証要求は、認証に必要となる情報を含む信号であってもよい。
【0023】
なお、上記認証に必要となる情報としては、例えば、ポータブル機器20の識別子、予め定められたパスワード、鍵情報、ハッシュ関数を用いた演算の結果などが挙げられる。
【0024】
第1の無線通信部110は、認証の結果を制御部130に送信する。
【0025】
一方、認証要求および認証応答に基づく認証は、制御部130により実行されてもよい。
【0026】
(第2の無線通信部120)
本実施形態に係る第2の無線通信部120は、ポータブル機器20との間において、第1の無線通信規格とは異なる第2の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0027】
上記第2の無線通信規格の一例としては、超広帯域(UWB:Ultra-Wide Band)無線通信が挙げられる。
【0028】
一方、本実施形態に係る第2の無線通信規格は上記の例に限定されるものではなく、後述する規定の処理の実行に利用可能な各種の規格であってよい。
【0029】
第2の無線通信部120は、上記第2の無線通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナ素子を備える。
【0030】
また、本実施形態に係る第2の無線通信部120は、送受信した無線信号を用いた規定の処理を実行してもよい。
【0031】
上記規定の処理は、例えば、車載器10とポータブル機器20との位置関係(より正確には、第2の無線通信部120とポータブル機器20に備えられる第2の無線通信部220との位置関係)を推定する処理であってもよい。
【0032】
上記位置関係を推定する処理としては、例えば、車載器10とポータブル機器20との間の距離を推定する処理(以下、測距とも称する)、車載器10を起点としたポータブル機器20の角度を推定する処理が挙げられる。
【0033】
また、第2の無線通信部120は、規定の処理の結果を制御部130に送信する。
【0034】
(制御部130)
本実施形態に係る制御部130は、第1の無線通信部110および第2の無線通信部120による無線信号の送受信を制御する。
【0035】
また、本実施形態に係る制御部130は、第1の通信規格に準拠した無線信号を用いた認証の結果と、第2の通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理の結果とに基づいて、移動体40に搭載される被制御装置30の動作制御を行う。
【0036】
例えば、本実施形態に係る制御部130は、認証応答に基づいてポータブル機器20の真正性が認められ、かつ規定の処理が規定の範囲内である場合、被制御装置30に規定の動作を実行させてもよい。
【0037】
例えば、規定の処理が上述の位置関係を推定する処理である場合、制御部130は、ポータブル機器20の真正性が認められ、かつ車載器10とポータブル機器20とが規定の位置関係にあると推定される場合、被制御装置30に規定の動作をさせてもよい。
【0038】
また、例えば、規定の処理が上述の測距である場合、制御部130は、ポータブル機器20の真正性が認められ、かつ車載器10とポータブル機器20との間の距離の推定値、すなわち測距により得られた測距値が規定の範囲にある推定される場合、被制御装置30に規定の動作をさせてもよい。
【0039】
なお、本実施形態に係る被制御装置30は、移動体40に搭載される各種の装置であってよい。
【0040】
本実施形態に係る被制御装置30は、例えば、移動体40のドアの解錠および施錠を制御する錠装置、エンジンなどであってもよい。
【0041】
例えば、制御部130は、ポータブル機器20の真正性が認められ、かつ規定の処理の結果が規定の条件を満たす場合、錠装置にドアの解錠を実行させてもよいし、エンジンを始動させてもよい。
【0042】
本実施形態に係る制御部130が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0043】
(ポータブル機器20)
本実施形態に係るポータブル機器20は、移動体40を利用するユーザにより携帯され、移動体40に搭載される車載器10との間において無線通信を行う無線通信装置の一例である。
【0044】
図1に示すように、本実施形態に係るポータブル機器20は、第1の無線通信部210、第2の無線通信部220、および制御部230を備えてもよい。
【0045】
(第1の無線通信部210)
本実施形態に係る第1の無線通信部210は、移動体40に搭載される車載器10との間において第1の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0046】
このために、本実施形態に係る第1の無線通信部210は、第1の無線通信規格に準拠した無線信号を送受信可能なアンテナ素子を備える。
【0047】
なお、上記では、車載器10の第1の無線通信部110が認証要求を送信し、ポータブル機器20の第1の無線通信部210が当該認証要求への応答として認証応答を送信する場合を例に挙げた。
【0048】
一方で、ポータブル機器20が車載器10の認証を行う場合は、認証要求はポータブル機器20の第1の無線通信部210により送信されてもよい。この場合、車載器10の第1の無線通信部110は、受信した認証要求への応答として認証応答を送信する。
【0049】
(第2の無線通信部220)
本実施形態に係る第2の無線通信部220は、移動体40に搭載される車載器10との間において第2の無線通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0050】
このために、本実施形態に係る第2の無線通信部220は、第2の無線通信規格に準拠した無線信号を送受信可能なアンテナ素子を備える。
【0051】
また、本実施形態に係る第2の無線通信部220は、送受信した無線信号に基づき規定の処理を実行してもよい。
【0052】
(制御部230)
本実施形態に係る制御部230は、第1の無線通信部210および第2の無線通信部220による無線信号の送受信を制御する。
【0053】
本実施形態に係る制御部130が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0054】
以上、本実施形態に係るシステム1の構成例について述べた。なお、
図1を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係るシステム1の構成は係る例に限定されない。
【0055】
例えば、車載器10は、複数の第2の無線通信部120を備えてもよい。この場合、複数の第2の無線通信部120の各々は、ポータブル機器20との間において無線通信の送受信を行い、また規定の処理を実行してよい。
【0056】
<<1.2.詳細>>
次に、本実施形態に係るシステム1による処理について詳細に説明する。
【0057】
ここで、まず、第1の通信規格に準拠した無線信号に基づく認証と、第2の通信規格に準拠した無線信号に基づく規定の処理とを実行する場合の処理の流れについて述べる。
【0058】
なお、以下においては、上記規定の処理が測距である場合を例示する。
【0059】
図2は、本実施形態に係る第1の通信規格に準拠した無線信号に基づく認証と、第2の通信規格に準拠した無線信号に基づく規定の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0060】
図2に示す一例の場合、まず、車載器10の制御部130が、第1の無線通信部110に認証要求を送信させる(S102)。
【0061】
ポータブル機器20の制御部230は、ステップS102において第1の無線通信部210が認証要求を受信したことに基づいて、第1の無線通信部210に当該認証要求への応答として認証応答を送信させる(S104)。
【0062】
ステップS104において、車載器10の第1の無線通信部110が認証応答を受信した場合、第1の無線通信部110または制御部130は、当該認証応答に基づいてポータブル機器20の認証を行う(図示しない)。
【0063】
一方、ポータブル機器20の制御部230は、ステップS104において第1の無線通信部210に認証応答を送信させた後、第2の無線通信部220に測距に用いられる第1の測距用信号を送信させる(S106)。
【0064】
ステップS106において、車載器10の第2の無線通信部120が第1の測距用信号を受信した場合、制御部130は、第2の無線通信部120に当該第1の測距用信号の応答として第2の測距用信号を送信させる(S108)。
【0065】
次に、ポータブル機器20の第2の無線通信部220は、ステップS106において送信した第1の測距用信号およびステップS108において受信した第2に測距用信号に基づいて測距値を算出する(S110)。
【0066】
このように、本実施形態に係る測距は、第1の測距用信号および第2の測距用信号の送受信と、両信号に基づく測距値の算出を含んでもよい。
【0067】
ポータブル機器20の第2の無線通信部220は、第1の測距用信号を送信した時刻から第2の測距用信号を受信する時刻までの時間ΔT1と、車載器10の第2の無線通信部120が第1の測距用信号を受信した時刻から第2の測距用信号を送信するまでの時間ΔT2とに基づいて、測距値を算出することが可能である。
【0068】
より具体的には、ポータブル機器20の第2の無線通信部220は、時間ΔT1から時間ΔT2を差し引くことにより第1の測距用信号および第2の測距用信号の伝搬に要した時間(すなわち往復の通信に要した時間)を算出することができ、また当該時間を2で割ることにより、第1の測距用信号または第2の測距用信号のいずれかの伝搬に要した時間(すなわち片道の通信に要した時間)を算出することができる。
【0069】
さらには、第2の無線通信部220は、(時間ΔT1-時間ΔT2)/2の値に信号の速度を掛けることで、測距値を算出することが可能である。
【0070】
ポータブル機器20の第2の無線通信部220は、上記のように算出した測距値を車載器10の第2の無線通信部120に対して送信する(S112)。
【0071】
車載器10の制御部130は、ステップS104において第1の無線通信部110が受信した測距応答に基づく認証の結果と、ステップS112において第2の無線通信部120が受信した測距値に基づいて被制御装置30の動作制御を行う。
【0072】
以上、本実施形態に係る第1の通信規格に準拠した無線信号に基づく認証と、第2の通信規格に準拠した無線信号に基づく規定の処理の流れについて一例を挙げて説明した。
【0073】
なお、
図2を用いた上記の説明では、第1の測距用信号をポータブル機器20の第2の無線通信部220が送信し、第2の測距用信号を車載器10の第2の無線通信部120が送信する場合の例について述べた。
【0074】
一方、第1の測距用信号は車載器10の第2の無線通信部120により送信され、第2の測距用信号はポータブル機器20の第2の無線通信部220により送信されてもよい。
【0075】
また、測距値の算出も同様に、車載器10の第2の無線通信部120またはポータブル機器20の第2の無線通信部220のいずれかにより実行されればよい。
【0076】
測距値の算出は、上述の時間ΔT1および時間ΔT2に関する情報を送受信することにより、第2の無線通信部120と第2の無線通信部220のいずれでも実行可能である。
【0077】
さらには、第1の測距用信号および第2の測距用信号の送受信、測距値の算出は複数回実行されてもよい。
【0078】
本実施形態に係る測距の処理の流れは柔軟に変形可能である。
【0079】
続いて、本実施形態に係る認証要求の再送信制御について説明する。
【0080】
図2を用いた上記の説明では、車載器10の第1の無線通信部110が認証要求を送信し、また当該認証要求への応答としてポータブル機器20から認証応答を正常に受信する場合の例を述べた。
【0081】
しかし、認証要求や認証応答は、ノイズなどの影響により相手方の装置に正常に受信されない場合も想定される。
【0082】
このような場合、車載器10の制御部130は、第1の無線通信部110に認証要求を再送信させることにより認証のリトライを試行してもよい。
【0083】
ただし、この場合において、第1の測距用信号や第2の測距用信号が送受信されているタイミングに重なって認証要求や認証応答が再送信されると、第1の通信規格に準拠した無線信号と第2の無線信号に準拠した無線信号とが互いに干渉する可能性も捨てきれない。
【0084】
また、プロセッサの仕様などによっては、認証と測距との並列処理が困難な場合も想定される。
【0085】
このため、本実施形態に係る車載器10の制御部130は、第1の無線通信部110に認証要求を送信させた後、第1の無線通信部110が規定の時間内にポータブル機器20から認証要求への応答としての認証応答を受信できない場合、第2の無線通信部120とポータブル機器20との間における第2の通信規格に準拠した無線信号の送受信が完了した後に、第1の無線通信部110に認証要求を再送信させることを特徴の一つとする。
【0086】
上記のような制御によれば、第1の通信規格に準拠した無線信号と第2の通信規格に準拠した無線信号との干渉を防止することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態に係る車載器10の制御部130は、第1の無線通信部110が規定の時間内に認証応答を受信できない場合、第2の通信規格に準拠した無線信号を用いた規定の処理が完了した後に、第1の無線通信部110に認証要求を再送信させてもよい。
【0088】
上記のような制御によれば、規定の処理が正常に完了した後に、認証のリトライを開始することで、一連の処理をより確実に完遂することが可能となる。
【0089】
図3は、本実施形態に係る認証要求の再送信制御の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0090】
図3に示すステップS202~S212における各処理については、
図2に示すS102~S112における各処理と実質的に同一であってよいため、詳細な説明は省略する。
【0091】
ただし、
図3に示すステップS204においては、車載器10の第1の無線通信部110が、ポータブル機器20の第1の無線通信部210により送信された認証応答を正常に受信できなかったものとする。
【0092】
この場合、本実施形態に係る車載器10の制御部130は、ステップS206における第1の測距用信号の送受信、ステップS208における第2の測距用信号の送受信、ステップS210における測距値の算出、およびステップS212における測距値の送受信が完了した後に、第1の無線通信部110に認証要求を再送信させる(S214)。
【0093】
この際、車載器10の制御部130は、ステップS212において第2の無線通信部120が測距値を受信したことに基づいて、認証要求の再送信の実行を制御してもよい。
【0094】
一方、車載器10の制御部130は、予め計測された測距に要する時間が経過したことに基づいて、認証要求の再送信の実行を制御してもよい。
【0095】
ポータブル機器20の制御部230は、ステップS214において再送信された認証要求を第1の無線通信部210が受信したことに基づいて、第1の無線通信部210に認証応答を送信させる(S216)。
【0096】
この場合、車載器10の制御部130は、ステップS216において第1の無線通信部110が受信した認証応答に基づく認証の結果に基づいて、被制御装置30の動作制御を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態に係る車載器10の制御部130は、上記のように第1の無線通信部110に認証要求の再送信させた場合、測距などの規定の処理が再実行されないよう制御してもよい。
【0098】
すなわち、本実施形態に係る車載器10の制御部130は、第1の測距用信号の送受信、第2の測距用信号の送受信、および測距値の算出が再実行されないよう制御を行ってもよい。
【0099】
なお、
図3に示すように、第1の測距用信号がポータブル機器20の第2の無線通信部220により送信される場合においては、車載器10は、例えば、第1の測距用信号の再送信を実行しない指示を含む認証要求を第1の無線通信部110に送信させればよい。
【0100】
また、このような場合、本実施形態に係る車載器10の制御部130は、第1の無線通信部110に認証要求を再送信させる前に得られた規定の処理の結果に基づいて、被制御装置30の動作制御を行ってもよい。
【0101】
図3に示す一例の場合、車載器10の制御部130は、ステップS210において算出された測距値に基づいて被制御装置30の動作制御を行ってもよい。
【0102】
上記のような制御によれば、認証のリトライとともに規定の処理のリトライを行う場合と比較して、処理全体に要する時間を効果的に低減することが可能となる。
【0103】
続いて、車載器10の制御部130による制御の流れについてより詳細に説明する。
【0104】
図4は、本実施形態に係る車載器10の制御部130による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0105】
なお、
図4には、第2の通信規格に準拠した無線信号に基づく規定の処理が測距である場合の制御の一例が示されている。
【0106】
図4に示す一例の場合、制御部130は、まず、第1の無線通信部110に認証要求を送信させる(S302)。
【0107】
次に、制御部130は、規定の時間内に第1の無線通信部110が認証応答を受信したか否かを判定する(S304)。
【0108】
規定の時間内に第1の無線通信部110が認証応答を受信していない場合(S304:No)、制御部130は、測距の完了後に第1の無線通信部110に認証要求を再送信させ(S306)、ステップS304に復帰する。
【0109】
一方、規定の時間内に第1の無線通信部110が認証応答を受信した場合(S304:Yes)、制御部130は、受信された認証応答に基づいてポータブル機器20の真正性が認められるか否かを判定する(S308)。
【0110】
ここで、認証応答に基づいてポータブル機器20の真正性が認められない場合(S308:No)、制御部130は、一連の処理を終了してもよい。
【0111】
または、制御部130は、ステップS306に移行し第1の無線通信部110に認証要求を再送信させてもよい。
【0112】
他方、認証要求に基づいてポータブル機器20の真正性が認められる場合(S308:Yes)、制御部130は、測距値が規定の範囲内であるか否かを判定する(S310)。
【0113】
ここで、測距値が規定の範囲内ではない場合(S310:No)、制御部130は、一連の処理を終了してもよい。
【0114】
一方、測距値が規定の範囲内である場合(S310:Yes)、制御部130は、被制御装置30による規定の動作が実行されるよう制御する(S312)。
【0115】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0116】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10:車載器、110:第1の無線通信部、120:第2の無線通信部、130:制御部、20:ポータブル機器、210:第1の無線通信部、220:第2の無線通信部、230:制御部、30:被制御装置、40:移動体