(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164389
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】液体窒素製造装置および液体窒素製造方法
(51)【国際特許分類】
F25J 1/00 20060101AFI20221020BHJP
F25J 1/02 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
F25J1/00 D
F25J1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069852
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 伸二
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA01
4D047AB02
4D047BA03
4D047CA03
4D047CA07
4D047CA17
4D047DA01
4D047EA03
(57)【要約】
【課題】液化天然ガスの寒冷を利用して、窒素ガスから液体窒素を製造できる製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】液体窒素製造装置1は、供給窒素ガスを液化天然ガスの冷熱を利用して冷却するLNG熱交換器E3と、冷却された供給窒素ガスを圧縮し高圧窒素ガスを吐出するブースター11と、吐出された高圧窒素ガスを熱交換するリサイクル熱交換器E2と、リサイクル熱交換器E2の一部を通過した高圧窒素ガス中の一部である第一部分ガスが導入され、第一部分ガスを膨張し、低温窒素ガスを排出する膨張タービン12と、リサイクル熱交換器E2を通過した後で、高圧窒素ガス中の第一部分ガス以外の第二部分ガスを減圧する第一膨張弁13と、減圧された第二部分ガスと、膨張タービン12から排出された低温窒素ガスとが導入され、窒素ガスと液体窒素とを分離する第一セパレータ14とを備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一圧力の供給窒素ガスを、所定の温度範囲の液化天然ガスの冷熱を利用して冷却するLNG熱交換器と、
前記LNG熱交換器で冷却された供給窒素ガスを、前記第一圧力よりも高い第二圧力になるように圧縮し高圧窒素ガスを吐出する低温ブースターと、
前記低温ブースターから吐出される前記高圧窒素ガスを熱交換するリサイクル熱交換器と、
前記低温ブースターを駆動する膨張タービンであって、前記リサイクル熱交換器の一部を通過した前記高圧窒素ガス中の一部である第一部分ガスが導入され、前記第一圧力よりも低い第三圧力になるように当該第一部分ガスを膨張し、低温窒素ガスを排出する膨張タービンと、
前記リサイクル熱交換器を通過した後で、前記高圧窒素ガス中の前記第一部分ガス以外の第二部分ガスを減圧する第一膨張弁と、
前記第一膨張弁で減圧された第二部分ガスと、前記膨張タービンから排出された低温窒素ガスとが導入され、窒素ガスと液体窒素とを分離する第一セパレータと、
を備える、液体窒素製造装置。
【請求項2】
窒素ガスを熱交換する熱交換器と、
熱交換された窒素ガスを圧縮する第一圧縮機と、
前記第一圧縮機で圧縮後前記熱交換器で熱交換された窒素ガスを圧縮する第二圧縮機と、
前記第二圧縮機で圧縮後前記熱交換器で熱交換された窒素ガスを、前記LNG熱交換器へ送り、次いで前記熱交換器および/または熱源へ送り、再び前記LNG熱交換器へ送るための配管ラインと、
を備える、請求項1に記載の液体窒素製造装置。
【請求項3】
前記第一セパレータから取り出される液体窒素を冷却するサブクーラと、
前記サブクーラで冷却された前記液体窒素から一部の液体窒素を取り出す分岐経路と、
前記分岐経路に設けられ、液体窒素を減圧する第二膨張弁と、
前記第二膨張弁で減圧された気液混合状態の窒素が導入される第二セパレータと、
を備える、請求項1または2に記載の液体窒素製造装置。
【請求項4】
前記LNG熱交換器を通過し、前記低温ブースターへ送られる中圧の窒素ガスの温度を監視する第一温度監視部と、および/または、
前記LNG熱交換器へ供給される熱交換器入口および/または冷媒利用後の熱交換器出口の液化天然ガスの温度を監視する第二温度監視部と、
前記第一または第二温度監視部で測定された温度に応じて、前記低温ブースターの圧縮比を一定にするように制御する制御部と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体窒素製造装置。
【請求項5】
前記LNG熱交換器から前記ブースターへ送られる窒素ガスを冷却する予備熱交換器を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の液体窒素製造装置。
【請求項6】
第一圧力の供給窒素ガスを、所定の温度範囲の液化天然ガスの冷熱を利用して冷却するLNG冷却工程と、
前記LNG冷却工程で冷却された供給窒素ガスを、前記第一圧力よりも高い第二圧力になるように、低温ブースターで圧縮して高圧窒素ガスを生成する高圧窒素ガス生成工程と、
前記高圧窒素ガス生成工程で生成された高圧窒素ガスを冷却する第一冷却工程と、
前記第一冷却工程で冷却された高圧窒素ガスの一部ガスを、前記低温ブースターを駆動する膨張タービンで膨張する第一膨張工程と、
前記第一冷却工程で冷却された高圧窒素ガスの前記一部ガス以外の残りガスをさらに冷却する第二冷却工程と、
前記第二冷却工程で冷却された残りガスを減圧する第一減圧工程と、
前記第一減圧工程で減圧された残りガスと、前記第一膨張工程で膨張された低温窒素ガスとから気液分離を行う気液分離工程と、
を含む、液体窒素製造方法。
【請求項7】
前記低温ブースターへ導入される供給窒素ガスの温度を監視する、温度監視工程と、
前記温度監視工程で測定された温度に応じて、前記低温ブースターの圧縮比を一定にするように制御する制御工程と、
を含む、請求項6に記載の液体窒素製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体窒素製造装置および液体窒素製造方法に関し、例えば、液化天然ガス(LNG)の寒冷を利用した液体窒素製造装置および液体窒素製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LNGの寒冷を有効利用する方法として特許文献1または特許文献2がある。特許文献1または特許文献2(例えば、
図2)では、窒素ガスの液化にLNG寒冷を利用する方法が開示されている。特許文献1は、液体ガスを効率的に製造するために、液化天然ガス(LNG)の受入及びガス化基地において、LNGを蒸発させる際に放出される冷熱を利用してガスを冷却する。また、LNGにおいてはボイルオフガス(BOG)の回収が重要であり、特許文献3(例えば、
図3)ではBOGの再液化についての方法が開示されている。
【0003】
BOGの再液化にLNGの寒冷を利用した場合、一般的には、LNGの温度が、例えば、約-156℃から-130℃程度まで変動することがある。上記特許文献1から3の技術では、LNG温度が上昇方向に変動すると液体窒素の製造量が著しく減少するか、またはLNGの温度によっては液体窒素の製造を諦める必要があった。また、LNGターミナルと深冷空気分離装置(ASU)の設置場所が離れている場合、LNGターミナルにLNG寒冷を採取する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4142559号公報
【特許文献2】中国実用新案第208751137号公報
【特許文献3】米国特許第9927068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術とは異なる方法で液化天然ガスの寒冷を利用して、窒素ガスから液体窒素を製造できる製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、従来よりも低い電力消費で、中圧窒素ガスから高圧窒素ガスを生成することができる製造装置および製造方法を提供する。
また、本発明は、例えば、四季による温度変動や高温の液化天然ガスの寒冷でも利用できる液体窒素を製造できる製造装置および製造方法を提供する。
また、本発明は、LNGタンクのBOGを再液化した後の液化天然ガスの寒冷を利用し、空気分離装置とも連動して窒素ガスから液体窒素を製造することができる製造装置および製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体窒素製造装置(1)は、
第一圧力(例えば、2.0MPaから3.0MPa)の供給窒素ガス(FG)を、所定の温度範囲(例えば、-160℃から-120℃)の液化天然ガス(LNG)の冷熱を利用して、(例えば、窒素ガスの臨界温度(-147℃)よりも高い温度まで)に冷却するLNG熱交換器(E3、E30)と、
前記LNG熱交換器(E3)で冷却された供給窒素ガス(G0)を、前記第一圧力よりも高い第二圧力(例えば、4.0MPa~5.0MPa)になるように圧縮し高圧窒素ガス(G1)を吐出する低温ブースター(11)と、
前記低温ブースター(11)から吐出される前記高圧窒素ガス(G1)を熱交換する(冷却する)、リサイクル熱交換器(E2、E12)と、
前記低温ブースター(11)を駆動する膨張タービン(12)であって、前記リサイクル熱交換器(E2、E12)の一部を通過した前記高圧窒素ガス(G1)の一部である第一部分ガス(G11)が導入され、前記第一圧力(例えば、2.0MPa)よりも低い第三圧力(例えば、0.5MPaから1.0MPa)になるように当該第一部分ガス(G11)を膨張し、(一部液化または液化点付近の温度の)低温窒素ガス(G111)を排出する膨張タービン(12)と、
前記リサイクル熱交換器(E2、E12)を通過した後で、前記高圧窒素ガス(G1)の前記第一部分ガス(G11)以外の第二部分ガス(G12)を(前記第三圧力(例えば、0.5MPa)と同じまたは同程度になるように)減圧する第一膨張弁(13)と、
前記第一膨張弁(13)で減圧された第二部分ガス(G12)と、前記膨張タービン(12)から排出された低温窒素ガス(G111)とが導入され、窒素ガス(N2G)と液体窒素(LN2)とを分離する第一セパレータ(14)と、
を備える。
【0007】
前記所定の温度範囲の液化天然ガスは、LNGタンクのBOGを再液化するのに使用された後の、液化天然ガスであってもよい。
前記液化天然ガスは、LNGターミナルから配管で送り込まれる液化天然ガスでもよく、コンテナあるいはボンベに貯蔵されている液化天然ガスでもよく、空気分離装置(ASU)へ実質的に供給可能なエリアから送られる液化天然ガスであってもよい。
前記LNG熱交換器(E3)に導入される前記供給窒素ガス(FG)が、空気分離装置(ASU)から導出された窒素富化ガスであってもよい。窒素富化ガスは、例えば、90%以上、好ましくは94%以上の窒素濃度である高純度窒素ガスや、いわゆる95%以上の純窒素ガスである。
【0008】
前記LNG熱交換器(E3)に供給される前記供給窒素ガス(FG)が、少なくとも1回の熱交換処理と、少なくとも1回の圧縮処理が施された窒素ガスであってもよい。
液体窒素製造装置(1)または空気分離装置(ASU)は、窒素ガスを熱交換(冷却)する熱交換器(E1)と、その後に窒素ガスを圧縮する第一圧縮機(21)と、第一圧縮機(21)で圧縮された後で熱交換器(E1)で熱交換(冷却)された窒素ガスを圧縮する第二圧縮機(22)と、を備えていてもよい。
液体窒素製造装置(1)または空気分離装置(ASU)は、前記第二圧縮機(22)で圧縮後、前記熱交換器(E1)で熱交換された窒素ガスを、前記LNG熱交換器(E3)へ送り、次いで前記熱交換器(E1)および/または熱源(E4)へ送り、再び前記LNG熱交換器(E3)へ送るための配管ライン(L1)と、を備えていてもよい。
前記供給窒素ガス(FG)は、前記第二圧縮機(22)で圧縮された窒素ガスが、前記LNG熱交換器(E3)へ導入されて冷却され、前記リサイクル熱交換器(E2)へ送られて熱交換され(温められ)、その一部が熱交換器(E1)で熱交換され(温められ)、その一部以外の残りが熱源(E4)(例えば、ブラインユニット)で温められ、それらが合流したガスで構成されていてもよい。
前記リサイクル熱交換機(E2)と熱交換器(E1)は物理的に単一の熱交換器(E12)で構成されていてもよく、別々の構成でもよく、熱交換比率に応じた配管ルートを有していてもよい。
前記LNG熱交換器、リサイクル熱交換機(E2)および熱交換器(E1)は物理的に単一の熱交換器(E30)で構成されていてもよく、別々の構成でもよく、熱交換比率に応じた配管ルートを有していてもよい。
前記第一セパレータ(14)で分離された前記液体窒素が、液体窒素(LN2)の製品として取り出されてもよい。
【0009】
前記第一セパレータ(14)において、前記第二部分ガス(G12)が前記低温窒素ガス(G111)で冷却されてもよい。
前記液体窒素製造装置(1)は、
前記第一セパレータ(14)から取り出される前記液体窒素(LN2)を冷却するサブクーラ(15)を備えていてもよい。
前記サブクーラ(15)で冷却(サブクール)された前記液体窒素(LN2)が、液体窒素の製品として取り出されてもよい。
前記サブクーラ(15)で冷却された前記液体窒素(LN2)から一部の液体窒素を取り出す分岐経路(L31)と、分岐経路(L31)に設けられ、液体窒素(LN2)を減圧(膨張)する第二膨張弁(151)と、第二膨張弁(151)で減圧された気液混合状態の窒素が導入される第二セパレータ(152)と、を備えていてもよい。
第二セパレータ(152)から、液体成分が前記サブクーラ(15)へ送られ、サブクーラ(15)内で蒸発し、ガス成分が第二セパレータ(152)へ戻ってもよい。この蒸発エネルギーがサブクーラ(15)で利用される。第二セパレータ(152)から、ガス成分が前記サブクーラ(15)へ送られ、サブクーラ(15)の冷媒として機能し、次いで、前記リサイクル熱交換器(E2、E12、E30)へ送られ、冷媒として機能し(寒冷を放出し)、第一圧縮機(21)へ送られてもよい。
前記第一セパレータ(14)で分離されたガス成分が、前記リサイクル熱交換器(E2、E12、E30)へ送られ冷媒として機能し(寒冷を放出し)、第二圧縮機(22)へ送られてもよい。
【0010】
前記膨張タービン(12)が前記低温ブースター(11)と機械的に連結され、駆動力を供給する構成であってもよい。これにより、従来よりも低電力で、約-158℃から-120℃の温度範囲で中圧(例えば、2.0MPaから3.0MPa)の窒素ガスから高圧窒素ガス(例えば、4.0MPa~5.0MPa)を効果的に生成することができる。
【0011】
前記液体窒素製造装置(1)は、
前記LNG熱交換器(E3、E30)を通過し、低温ブースター(11)へ送られる中圧の窒素ガス(G0)の温度を監視する第一温度監視部(16)を有し、
前記圧縮比制御部(17)は、第一温度監視部(16)で測定された温度(上昇または下降)に応じて、前記低温ブースター(11)の圧縮比(供給圧/吐出圧)を一定にするように制御する制御部と、を有していてもよい。
前記制御部は、第一圧縮機(21)および/または第二圧縮機(22)の吸入ガス量または吐出ガス量を変更(増加または減少)する圧縮比制御部(17)を有していてもよい。
前記液体窒素製造装置(1)は、
前記LNG熱交換器(E3、E30)へ導入される熱交換器入口および/または冷媒利用後の熱交換器出口の液化天然ガス(LNG)の温度を監視する第二温度監視部(161)と、
前記第二温度監視部(161)で測定された入口および/または出口の温度(上昇または下降)に応じて、前記低温ブースター(11)の圧縮比(供給圧/吐出圧)を一定にするように制御する制御部と、を有していてもよい。
前記制御部は、第一圧縮機(21)および/または第二圧縮機(22)の吸入ガス量または吐出ガス量を変更(増加または減少)する圧縮比制御部(17)を有していてもよい。
第一、第二温度監視部(16、161)の両方が設けられていてもよく、圧縮比制御部(17)は、いずれか一方の温度結果または両者の温度結果の総合評価で制御が実行されてもよい。
吸入ガス量または吐出ガス量の制御は、圧縮機または熱交換器の入口側または出口側の配管に設定される流量調整装置または圧縮機の吸入弁を制御することで実施されてもよい。
入口および出口の温度が測定される場合は、入口と出口の温度差を監視対象としてもよい。
これにより、低温ブースター(11)へ送られる窒素ガスの温度または液化天然ガス(LNG)の温度が変動することに対応して圧縮機の吸入量あるいは吐出量をフィードフォワード制御し、低温ブースター(11)の圧縮比を一定に維持させるようにして、液体窒素の製造量を大きく変動させることがなく連続生産に対して柔軟に対応することができる。
【0012】
前記液体窒素製造装置(1)は、
前記LNG熱交換器(E3、E30)から前記低温ブースター(11)へ送られる窒素ガスを冷却する予備熱交換器(E5)をさらに有していてもよい。
前記予備熱交換器(E5)は、前記低温ブースター(11)へ送られる中圧の窒素ガス(G0)を、窒素ガスの臨界温度(-147℃)よりも高い温度となるように冷却してもよい。
【0013】
他の発明の液体窒素製造装置(1)は、
LNGを送るLNG配管(L0)と、
LNG配管(L0)で送られるLNGを冷熱として利用するLNG熱交換機(E30)と、
低圧窒素ガス(LPN2 Gas)をLNG熱交換器(E30)へ送る第一配管(L1)と、
LNG熱交換器(E30)の少なくとも一部を通過した窒素ガスを圧縮する第一圧縮機(21)と、
第一圧縮機(21)で圧縮された窒素ガスをLNG熱交換器(E30)の少なくとも一部を通過した後で、さらに圧縮する第二圧縮機(22)と、
第二圧縮機(22)で圧縮された第一圧力(例えば、2.0MPaから3.0MPa)の窒素ガス(G1)をLNG熱交換器(E30)を通過し(例えば、窒素ガスの臨界温度(-147℃)よりも高い温度まで冷却し)た後で、前記第一圧力よりも高い第二圧力(例えば、4.0MPa~5.0MPa)になるように圧縮し高圧窒素ガス(G1)を吐出する低温ブースター(11)と、
前記低温ブースター(11)から吐出される前記高圧窒素ガス(G1)がLNG熱交換器(E30)へ送られ、その一部を通過した、高圧窒素ガス(G1)の一部である第一部分ガス(G11)が導入され、第一圧力(例えば、2.0MPa)よりも低い第三圧力(例えば、0.5MPaから1.0MPa)になるように当該第一部分ガス(G11)を膨張し、(一部液化または液化点付近の温度の)低温窒素ガス(G111)を排出する膨張タービン(12)と、ここで、膨張タービン(12)は低温ブースター(11)を駆動する、
LNG熱交換器(E30)の少なくとも一部を通過した後で、高圧窒素ガス(G1)の第一部分ガス(G11)以外の第二部分ガス(G12)を(第三圧力(例えば、0.5MPa)と同じまたは同程度になるように)減圧する第一膨張弁(13)と、
第一膨張弁(13)で減圧された第二部分ガス(G12)と、膨張タービン(12)から排出された低温窒素ガス(G111)とが導入され、窒素ガス(N2G)と液体窒素(LN2)とを分離する第一セパレータ(14)と、
第一セパレータ(14)から取り出される液体窒素(LN2)を冷却するサブクーラ(15)と、
サブクーラ(15)で冷却された液体窒素(LN2)から一部の液体窒素を取り出す分岐経路(L31)と、分岐経路(L31)に設けられ、液体窒素(LN2)を減圧(膨張)する第二膨張弁(151)と、第二膨張弁(151)で減圧された気液混合状態の窒素が導入される第二セパレータ(152)と、を備える。
第二セパレータ(152)から、液体成分が前記サブクーラ(15)へ送られ、サブクーラ(15)内で蒸発し、ガス成分が第二セパレータ(152)へ戻ってもよい。この蒸発エネルギーがサブクーラ(15)で利用される。第二セパレータ(152)から、ガス成分が前記サブクーラ(15)へ送られ、サブクーラ(15)の冷媒として機能し、次いで、LNG熱交換器(E30)へ送られ、冷媒として機能し(寒冷を放出し)、第一圧縮機(21)へ送られてもよい。
第一セパレータ(14)で分離されたガス成分が、LNG熱交換器(E30)へ送られ冷媒として機能し(寒冷を放出し)、第二圧縮機(22)へ送られてもよい。
前記液体窒素製造装置(1)は、
前記LNG熱交換器(E30)を通過し、低温ブースター(11)へ送られる中圧の窒素ガス(G0)の温度を監視する第一温度監視部(16)を有し、
前記圧縮比制御部(17)は、第一温度監視部(16)で測定された温度(上昇または下降)に応じて、前記低温ブースター(11)の圧縮比(供給圧/吐出圧)を一定にするように制御する制御部と、を有していてもよい。
前記制御部は、第一圧縮機(21)および/または第二圧縮機(22)の吸入ガス量または吐出ガス量を変更(増加または減少)する圧縮比制御部(17)を有していてもよい。
【0014】
他の発明の液体窒素製造方法は、
第一圧力の供給窒素ガス(FG)を、所定の温度範囲の液化天然ガス(LNG)の冷熱を利用して冷却するLNG冷却工程と、
前記LNG冷却工程で冷却された供給窒素ガス(G0)を、前記第一圧力よりも高い第二圧力になるように、低温ブースター(11)で圧縮して高圧窒素ガス(G1)を生成する高圧窒素ガス生成工程と、
前記高圧窒素ガス生成工程で生成された高圧窒素ガス(G1)を冷却する第一冷却工程と、
前記第一冷却工程で冷却された高圧窒素ガス(G1)の一部ガス(G11)を、前記低温ブースター(11)を駆動する膨張タービン(12)で膨張する第一膨張工程と、
前記第一冷却工程で冷却された高圧窒素ガス(G1)の前記一部ガス(G11)以外の残りガス(G12)をさらに冷却する第二冷却工程と、
前記第二冷却工程で冷却された残りガス(G12)を減圧する第一減圧工程と、
前記第一減圧工程で減圧された残りガス(G12)と、前記第一膨張工程で膨張された一部ガス(G111)とを第一セパレータ(14)に導入して、気液分離を行う気液分離工程と、を含む。
【0015】
前記液体窒素製造方法は、
前記LNG冷却工程の後で、さらに供給窒素ガスを冷却する予備冷却工程をさらに含み、高圧窒素ガス生成工程は、予備冷却工程で冷却された供給窒素ガスを圧縮してもよい。
【0016】
前記液体窒素製造方法は、
前記気液分離工程で分離された液体窒素を製品として取り出す、製品取出工程を含んでいてもよい。
前記液体窒素製造方法は、
前記気液分離工程で分離された液体窒素を冷却するサブクール工程と、
前記サブクール工程で冷却された液体窒素を製品として取り出す、製品取出工程を含んでいてもよい。
前記液体窒素製造方法は、
前記サブクール工程で冷却された液体窒素から一部を取り出し、減圧する第二減圧工程と、
前記第二減圧工程で減圧された気液混合状態の窒素の液体成分を蒸発させることで得られる蒸発エネルギーを、前記サブクール工程の冷媒に利用する冷媒供給工程と、を含んでいてもよい。
【0017】
前記液体窒素製造方法は、
空気分離装置から送られた窒素ガスを、第一冷却処理および第一圧縮処理を行う第一前処理工程と、
前記第一前処理工程のあとで、第二冷却処理および第二圧縮処理を行う第二前処理工程と、を含み、
前記第一前処理工程の第一圧縮処理は、前記冷媒供給工程において冷媒として使用されたガス成分と、前記第一冷却処理で冷却された窒素ガスとを共に圧縮してもよく、および/または、
前記第二前処理工程の第二圧縮処置は、前記気液分離工程で分離されたガス成分と、前記第二冷却処理で冷却されたガス成分とを共に圧縮してもよい。
【0018】
前記液体窒素製造方法は、
前記高圧窒素ガス生成工程において、前記低温ブースター(11)へ導入される供給窒素ガス(G0)の温度を監視する、温度監視工程と、
前記温度監視工程で測定された温度(上昇または下降)に応じて、前記低温ブースター(11)の圧縮比(供給圧/吐出圧)を一定にするように制御する制御工程と、を含んでいてもよい。
前記液体窒素製造方法は、
空気分離装置から送られた窒素ガスを、第一冷却処理および第一圧縮処理を行う第一前処理工程と、
前記第一前処理工程のあとで、第二冷却処理および第二圧縮処理を行う第二前処理工程と、を含み、
前記制御工程は、第一圧縮処理および/または第二圧縮処理において、圧縮される窒素ガスの量(圧縮機へ導入される吸入量、圧縮機から吐出される吐出量)を変更(増加または減少)する圧縮比制御工程を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】実施形態1の液体窒素製造装置を示す図である。
【
図1B】実施形態2の液体窒素製造装置を示す図である。
【
図1C】実施形態3の液体窒素製造装置を示す図である。
【
図2】実施形態4の液体窒素製造装置を示す図である。
【
図3】実施形態5の液体窒素製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1の液体窒素製造装置1について
図1Aを用いて説明する。
液体窒素製造装置1は、熱交換器E1、第一圧縮機21,第二圧縮機22,リサイクル熱交換器E2、LNG熱交換器E3、ブラインユニットE4、低温ブースター11、膨張タービン12、第一セパレータ14、サブクーラ―15を備える。
【0022】
一般的な空気分離装置や、タンク、供給配管などから、高窒素濃度の低圧窒素ガス(LPN2G)が、本装置1へ配管L1を介して送られる。低圧窒素ガス(LPN2G)は、例えば、40℃、1.15barAである。
低圧窒素ガス(LPN2G)は、熱交換器E1へ送られて冷却され、次いで第一圧縮機21へ送られて圧縮され、例えば5barAとなる。次いで、熱交換器E1へ送られて冷却され、次いで第二圧縮機22へ送られて圧縮され、例えば、20barAの中圧窒素ガス(MPN2G)となる。中圧窒素ガス(MPN2G)は、第一圧力(例えば、2.0から3.0MPa)に調整される。
【0023】
中圧窒素ガス(MPN2G)は、LNG熱交換器E3へ送られる。LNG熱交換器E3の冷媒は、例えば、約-158℃から-120℃の液化天然ガス(LNG)である。
中圧窒素ガス(MPN2G)は、LNG熱交換器E3で冷却され、リサイクル熱交換器E2の一部を通過し、その一部が配管L1bを介して主熱交換機E1へ送られ冷熱を放出し、その残りが配管L1aを介してブラインユニットE4へ送られ、温められ、それらが合流し、再び、LNG熱交換器E3へ送られ冷却される。
【0024】
冷却された中圧窒素ガスG0は、配管L2を介して低温ブースター11へ送られ圧縮される。低温ブースター11で、中圧窒素ガスは、例えば、50barAの高圧窒素ガスG1となる。高圧窒素ガスG1は、第一圧力よりも高い第二圧力(例えば、4.0MPa~5.0MPa)に調整される。
高圧窒素ガスG1は配管L2を介してリサイクル熱交換器E2へ送られる。リサイクル熱交換器E2の途中で、高圧窒素ガスG1の一部が分岐配管L21を介して取り出され、この取り出された第一部分ガスG11が、膨張タービン12へ送られる。膨張タービン12は、低温ブースター11と機械的に連結され、低温ブースター11へ駆動力を提供する。
【0025】
第一部分ガスG11は、膨張タービン12で膨張され、例えば5barAまで減圧され、一部液化または液化点付近である低温窒素ガスG111となり、配管L21を介して第一セパレータ14へ送られる。
一方、第一部分ガスG11以外の残りの第二部分ガスG12は、配管L22を介して第一膨張弁13へ送られ例えば、5barAまで減圧される。減圧された第二部分ガスG12は、第一セパレータ14へ送られ、ここで、低圧液体窒素G111と接触し、一部が液化される。
【0026】
第一セパレータ14の気相にあるガス成分(N2G)は、配管L41を介して、リサイクル熱交換器E2へ送られ寒冷を放出した後、第二圧縮機22へ送られ、第一圧縮機21で圧縮され熱交換器E1を通過した窒素ガスと共に、圧縮される。
【0027】
第一セパレータ14の液相に溜まった液体窒素(LN2)は、配管L3を介してサブクーラ15へ送られて冷却され、その後、製品として取り出される。配管L3には仕切弁または流量制御弁V3が設けられていてもよい。
配管L3から分岐する分岐配管L31に、第二膨張弁151が設けられている。液体窒素(LN2)の一部がこの分岐配管L31で送られ第二膨張弁151で減圧され、気液混合状態となり第二セパレータ152へ送られる。
【0028】
第二セパレータ152の下部の第一部と、サブクーラ15の下部の第一部とが配管L33で連通し、液体成分が送り込まれる。液体成分はサブクーラ15内で蒸発し、ガス成分が配管L34を介して第二セパレータ152へ戻る。この蒸発エネルギーがサブクーラ15で利用される。第二セパレータ152から、ガス成分が配管L32を介してサブクーラ15へ送られ、サブクーラ15の冷媒として機能し、次いで、配管L42を介して、リサイクル熱交換器E2へ送られ、冷媒として機能し(寒冷を放出し)、次いで第一圧縮機21へ送られ、熱交換器E1を通過した窒素ガスと共に圧縮される。第二セパレータ152は、液体成分がガス化する機構を備えていてもよい。
【0029】
第一温度監視部16は、LNG熱交換器E3を通過し、低温ブースター11へ送られる中圧の窒素ガスG0の温度を監視する。第一温度監視部16は、温度を測定する温度センサーと、測定結果を保存するメモリと、測定結果を圧縮比制御部17へ送信する送信部(無線通信手段、有線通信手段でもよい)とを有していてもよい。
圧縮比制御部17は、第一温度監視部16で測定された温度が、設定値あるいは単位時間あたりの移動平均温度を基準にして閾値以上上昇または下降したことに応じて、低温ブースター11の圧縮比(供給圧/吐出圧)を一定にするように、第二圧縮機22の吸入ガス量を増加または減少する。例えば、温度上昇に応じて、吸入ガス量を増加させるように、第二圧縮機22の入口側の吸入弁を制御し、温度下降に応じて、吸入ガス量を減少させるように、第二圧縮機22の入口側の吸入弁を制御する。低温ブースター11の圧縮比(供給圧/吐出圧)が第二圧力(例えば、4.0MPa~5.0MPa)を維持するように制御される。
【0030】
(実施形態2)
実施形態2の液体窒素製造装置1について
図1Bを用いて説明する。実施形態1と異なる構成要素を中心に説明し、実施形態1と同じ構成要素の説明は省略する。実施形態2では、熱交換機E1とリサイクル熱交換器E2が単一の熱交換器E12として構成されている。また、第一温度監視部16が、低温ブースター11の入口付近に設置されている。各構成要素の配置、配管は同じである。
【0031】
(実施形態3)
実施形態3の液体窒素製造装置1について
図1Cを用いて説明する。実施形態1と異なる構成要素を中心に説明し、実施形態1と同じ構成要素の説明は省略する。実施形態3では、第一温度監視部16に替わり、第二温度監視部161を有する。
第二温度監視部161は、LNG熱交換器E3へ導入される熱交換器入口の液化天然ガス(LNG)の温度を監視する。第二温度監視部161は、温度を測定する温度センサーと、測定結果を保存するメモリと、測定結果を圧縮比制御部17へ送信する送信部(無線通信手段、有線通信手段でもよい)とを有していてもよい。
圧縮比制御部17は、第二温度監視部161で測定された温度が、設定値あるいは単位時間あたりの移動平均温度を基準にして閾値以上上昇または下降したことに応じて、低温ブースター11の圧縮比(供給圧/吐出圧)を一定にするように、第二圧縮機22の吸入ガス量を増加または減少する。例えば、温度上昇に応じて、吸入ガス量を増加させるように、第二圧縮機22の入口側の吸入弁を制御し、温度下降に応じて、吸入ガス量を減少させるように、第二圧縮機22の入口側の吸入弁を制御する。低温ブースター11の圧縮比(供給圧/吐出圧)が第二圧力(例えば、4.0MPa~5.0MPa)を維持するように制御される。
実施形態3において、熱交換機E1とリサイクル熱交換器E2が単一の熱交換器E12として構成されていてもよい。
【0032】
(実施形態4)
実施形態4の液体窒素製造装置1について
図2を用いて説明する。実施形態2と異なる構成要素を中心に説明し、実施形態2と同じ構成要素の説明は省略する。
予備熱交換機E5が、LNG熱交換器E3と低温ブースター11との間の配管ラインL2に配置される。予備熱交換器E5は、低温ブースター11へ送られる中圧窒素ガスG0を、窒素ガスの臨界温度(-147℃)よりも高い温度となるように冷却する。
【0033】
第一温度監視部16または第二温度監視部161(不図示)の測定温度に応じて、予備熱交換器E5の駆動をON/OFFしてもよく、予備熱交換器E5を通過させず、それをバイパスする経路を通過させて低温ブースター11へ送るように構成させてもよい。
第一温度監視部16は、予備熱交換器E5よりも下流に配置されていてもよい。
実施形態4において、単一の熱交換器E12は、実施形態1と同様に熱交換機E1とリサイクル熱交換器E2の別体として構成されていてもよい。
【0034】
(実施形態5)
実施形態5の液体窒素製造装置1について
図3を用いて説明する。実施形態5では、LNG熱交換器、熱交換器、リサイクル熱交換器が、単一のLNG熱交換器E30で構成されている。実施形態2と異なる構成要素を中心に説明し、実施形態2と同じ構成要素の説明は省略または簡単に説明する。
【0035】
LNGは、LNG配管L0介してLNG熱交換器E30へ送られ、その一部は、LNG熱交換器E30から出て、ブラインユニットE4へ送られ、温められる。その残りのLNGはLNG熱交換器E30を出て配管L0bを介して、ブラインユニットE4を介して温められたLNGと合流し、天然ガスとして導出される。
【0036】
空気分離装置から送られた低圧窒素ガス(LPN2 Gas)は、第一配管L1を介してLNG熱交換器E30へ送られる。
低圧窒素ガスは、LNG熱交換器E30の少なくとも一部を通過し、第一圧縮機21に送られ圧縮される。次いで、第一圧縮機21で圧縮された窒素ガスはLNG熱交換器E30へ送られ、少なくとも一部を通過した後で、第二圧縮機22に送られ圧縮される。
第二圧縮機22で圧縮された第一圧力(例えば、2.0MPaから3.0MPa)の窒素ガス(G1)は、LNG熱交換器E30を通過し(例えば、窒素ガスの臨界温度(-147℃)よりも高い温度まで冷却し)た後で、配管L2を介して低温ブースター11へ送られる。
【0037】
低温ブースター11は、第一圧力よりも高い第二圧力(例えば、4.0MPa~5.0MPa)になるように、圧縮し高圧窒素ガス(G1)を吐出する。低温ブースター11から吐出された高圧窒素ガス(G1)は、LNG熱交換器E30へ送られる。LNG熱交換器E30の一部を通過した、高圧窒素ガス(G1)の一部である第一部分ガス(G11)は、膨張タービン12へ送られる。膨張タービン12は、第一部分ガス(G11)を、第一圧力(例えば、2.0MPa)よりも低い第三圧力(例えば、0.5MPaから1.0MPa)になるように膨張し、(一部液化または液化点付近の温度の)低温窒素ガス(G111)を排出する。なお、膨張タービン12は低温ブースター11を駆動する。
【0038】
高圧窒素ガス(G1)の第一部分ガス(G11)以外の第二部分ガス(G12)は、LNG熱交換器E30の少なくとも一部を通過した後で、配管L22を介して、第一膨張弁13へ送られる。第一膨張弁13において、第二部分ガス(G12)は、第三圧力(例えば、0.5MPa)と同じまたは同程度になるように、減圧される。
第一膨張弁13で減圧された第二部分ガス(G12)と、膨張タービン12から排出された低温窒素ガス(G111)とは、第一セパレータ14へ送られる。第一セパレータ14において、窒素ガス(N2G)と液体窒素(LN2)とに分離される。
【0039】
第一セパレータ14から取り出された液体窒素(LN2)は、サブクーラ15へ送られ冷却される。サブクーラ15で冷却された液体窒素(LN2)は、その一部の液体窒素が分岐経路L31を介して第二膨張弁151へ送られ減圧さる。減圧された液体窒素(LN2)は、第二セパレータ152へ送られる。
第二セパレータ152から、液体成分がサブクーラ15へ送られ、サブクーラ15内で蒸発し、ガス成分が第二セパレータ152へ戻る。第二セパレータ152から、ガス成分がサブクーラ15へ送られた後、LNG熱交換器E30へ送られ、第一圧縮機21へ送られる。第一セパレータ14で分離されたガス成分は、LNG熱交換器E30へ送られ、第二圧縮機22へ送られる。
【0040】
第一温度監視部16は、LNG熱交換器E30を通過し、低温ブースター11へ送られる中圧の窒素ガス(G0)の温度を監視する。圧縮比制御部17は、第一温度監視部16で測定された温度(上昇または下降)に応じて、低温ブースター11の圧縮比(供給圧/吐出圧)を一定にするように、第二圧縮機22の吸入ガス量を変更(増加または減少)する。
【0041】
(実施形態1から5の変形例)
実施形態1から5において、ブラインユニットE4が設けられているが、ブラインユニットE4を無くした構成でもよい。ブラインユニットE4は、空気分離装置で使用されているブライン装置から供給されるブラインを使用していてもよい。
各配管ラインには、必要に応じて弁(仕切弁、流量調整弁、圧力調整弁など)が設けられていてもよい。また、各配管ラインには、圧力調整装置、流量制御装置などが設置され、圧力調整または流量調整が行われていてもよい。
【0042】
(液体窒素製造方法)
液体窒素製造方法は、上記実施形態1から5の製造装置に適宜採用でき、液体窒素製造方法は、以下の工程を含む。
第一圧力の供給窒素ガス(FG)を、所定の温度範囲の液化天然ガス(LNG)の冷熱を利用して冷却するLNG冷却工程と、
前記LNG冷却工程で冷却された供給窒素ガス(G0)を、前記第一圧力よりも高い第二圧力になるように、低温ブースター(11)で圧縮して高圧窒素ガス(G1)を生成する高圧窒素ガス生成工程と、
前記高圧窒素ガス生成工程で生成された高圧窒素ガス(G1)を冷却する第一冷却工程と、
前記第一冷却工程で冷却された高圧窒素ガス(G1)の一部ガス(G11)を、前記低温ブースター(11)を駆動する膨張タービン(12)で膨張する第一膨張工程と、
前記第一冷却工程で冷却された高圧窒素ガス(G1)の前記一部ガス(G11)以外の残りガス(G12)をさらに冷却する第二冷却工程と、
前記第二冷却工程で冷却された残りガス(G12)を減圧する第一減圧工程と、
前記第一減圧工程で減圧された残りガス(G12)と、前記第一膨張工程で膨張された一部ガス(G111)とを第一セパレータ(14)に導入して、気液分離を行う気液分離工程と、
前記気液分離工程で分離された液体窒素を冷却するサブクール工程と、
前記サブクール工程で冷却された液体窒素を製品として取り出す、製品取出工程と、
前記サブクール工程で冷却された液体窒素から一部を取り出し、減圧する第二減圧工程と、
前記第二減圧工程で減圧された気液混合状態の窒素の液体成分を蒸発させることで得られる蒸発エネルギーを、前記サブクール工程の冷媒に利用する冷媒供給工程と、を含む。
【0043】
また、液体窒素製造方法は、
空気分離装置から送られた窒素ガスを、第一冷却処理および第一圧縮処理を行う第一前処理工程と、
前記第一前処理工程のあとで、第二冷却処理および第二圧縮処理を行う第二前処理工程と、を含み、
前記第一前処理工程の第一圧縮処理は、前記冷媒供給工程において冷媒として使用されたガス成分と、前記第一冷却処理で冷却された窒素ガスとを共に圧縮してもよく、および/または、
前記第二前処理工程の第二圧縮処置は、前記気液分離工程で分離されたガス成分と、前記第二冷却処理で冷却されたガス成分とを共に圧縮してもよい。
【0044】
(実施例)
実施形態2(
図1B)の構成でシミュレーション実施した一例を示す。
LNG熱交換器E3へ送られるLNGの温度は-150℃とした。空気分離装置から低圧窒素ガスが1.15barA、40℃、44,500Nm
3/hで供給した。低圧窒素ガスは、単一の熱交換器E12に導入されて-88.3℃まで冷却され、サブクーラ15から送られ単一の熱交換器E12で温められた窒素ガスと合流し、合流したガスが第一圧縮機21で5barAまで圧縮された。その後、再び単一の熱交換器E12で冷却され、セパレータ14から送られ単一の熱交換器E12で温められた窒素ガスと合流し、合流したガスが第二圧縮機22で21barAまで圧縮された。圧縮された窒素ガスは、LNG熱交換器E3内でLNGとの熱交換によって-107℃まで冷やされた。冷却された窒素ガスの一部は単一の熱交換器E12で40℃まで昇温され、その残りはブラインユニットE4で昇温され、これらが合流し、合流した窒素ガスが再びLNG熱交換器E3で-140℃まで冷却された。
冷却された窒素ガスは、低温ブースター11で50barAまで圧縮された。その後、単一の熱交換器E12で-110℃まで冷却された後、その一部は膨張タービン12にて5barAまで膨張した。膨張タービン12へ送られなかった残りの窒素ガスは、単一の熱交換器E12でさらに冷却され、第一膨張弁13によって5barAまで減圧された後、セパレータ14に導入され気液分離された。セパレータ14内の液体窒素は、サブクーラ15でサブクールされた後、44,500Nm
3/hが製品として導出され、残りの液体窒素は、第二膨張弁152にて減圧された後、第二セパレータ152を介してサブクーラ15に冷媒として供給された。既述した通り、サブクーラ15の気相の窒素ガスはさらに単一の熱交換器E12に送られそこで寒冷を放出した後、第一圧縮機21に導入された。
【符号の説明】
【0045】
1 液体窒素製造装置
11 低温ブースター
12 膨張タービン
13 第一膨張弁
14 第一セパレータ
15 サブクーラ
151 第二膨張弁
152 第二セパレータ
21 第一圧縮機
22 第二圧縮機
E1 熱交換器
E2 リサイクル熱交換器
E3 LNG熱交換器
E4 ブラインユニット
E5 予備熱交換器
E12 単一の熱交換器
E30 LNG熱交換器