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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164405
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】洗浄ノズルおよび局部洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E03D9/08 D
E03D9/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069875
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 一人
(72)【発明者】
【氏名】片山 透
(72)【発明者】
【氏名】薬袋 賢一
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038JA02
2D038JA03
2D038JF00
(57)【要約】
【課題】洗浄ノズルの大径化とコストの増加を抑えた簡易な構成で、吐出される洗浄水のピーク荷重を高める。
【解決手段】人体局部に向けて洗浄水を吐出する吐出口を有し、洗浄水の流路が軸方向に沿って形成された筒状の洗浄ノズルであって、流路に連通し、吐出口の中心軸に沿って吐出口に流れる洗浄水の本流を形成する本流路と、本流から分岐させた支流を形成し、本流の流れを乱すように中心軸に交差する方向で支流を本流に合流させる少なくとも1つの支流路と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部に向けて洗浄水を吐出する吐出口を有し、洗浄水の流路が軸方向に沿って形成された筒状の洗浄ノズルであって、
前記流路に連通し、前記吐出口の中心軸に沿って該吐出口に流れる洗浄水の本流を形成する本流路と、
前記本流から分岐させた支流を形成し、前記本流の流れを乱すように前記中心軸に交差する方向で前記支流を前記本流に合流させる少なくとも1つの支流路と、
を備える洗浄ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄ノズルであって、
前記本流の流れのエジェクタ効果により空気を吸入する少なくとも1つの吸気孔が形成され、
前記支流路は、前記吸気孔よりも前記吐出口側で前記本流から前記支流を分岐させる
洗浄ノズル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄ノズルであって、
前記支流路は、前記吐出口の中心軸に直交する方向で前記支流を前記本流に合流させる
洗浄ノズル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の洗浄ノズルであって、
上端に前記吐出口が形成されると共に側壁に貫通孔が形成された筒状部と、前記筒状部の上端側から径方向外側に延出するフランジ部とを有する吐出口形成部材と、
前記フランジ部を支持すると共に前記筒状部との間に隙間をもって前記吐出口形成部材を収容する凹部を有し、該凹部の底面の中心に前記本流路が形成された流路形成部材と、
を備え、
前記支流路は、前記筒状部と前記凹部との間の隙間として形成され、前記貫通孔を介して前記支流を合流させる
洗浄ノズル。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の洗浄ノズルを備える局部洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄ノズルおよび局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の局部洗浄装置としては、洗浄ノズルの吐出口から人体局部に向けて、洗浄水を吐出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、洗浄ノズル内に吐出口への流路を2つ設けると共に両流路の合流部に水溜室を設け、大気開放された開口から水溜室に空気が引き込まれるように構成する。そして、洗浄水を供給した際に、水溜室に引き込まれた空気の気泡を洗浄水と共に吐出口から吐出することで、流速が低い状態と流速が高い状態とを発生させて洗浄水を脈動させる。これにより、洗浄水のピーク荷重を高めて洗浄感を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-132051号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、洗浄ノズルの軸方向に延びる2つの流路や水溜室を設けるため、各流路を構成するための部材や水溜室の隔壁を洗浄ノズル内に配置する必要がある。このため、洗浄ノズルの外径が大きくなるだけでなく、コストの増加を招いてしまう。
【0005】
本発明は、洗浄ノズルの大径化とコストの増加を抑えた簡易な構成で、吐出される洗浄水のピーク荷重を高めることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の洗浄ノズルは、
人体局部に向けて洗浄水を吐出する吐出口を有し、洗浄水の流路が軸方向に沿って形成された筒状の洗浄ノズルであって、
前記流路に連通し、前記吐出口の中心軸に沿って該吐出口に流れる洗浄水の本流を形成する本流路と、
前記本流から分岐させた支流を形成し、前記本流の流れを乱すように前記中心軸に交差する方向で前記支流を前記本流に合流させる少なくとも1つの支流路と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の洗浄ノズルでは、本流から分岐させた支流を形成し、本流の流れを乱すように吐出口の中心軸に交差する方向で支流を本流に合流させる少なくとも1つの支流路を備える。本流の流れを乱すことにより断続的な流れとなり、吐出口から吐出される洗浄水の脈動を大きくするから、洗浄水のピーク荷重を高めることができる。また、本流路と支流路とを洗浄ノズルの軸方向に延びるように設ける必要がなく、そのためのスペースを確保したり部材を設けたりしなくてよいから、洗浄ノズルの大径化とコストの増加を抑えることができる。したがって、簡易な構成で、吐出される洗浄水のピーク荷重を高めることができる。
【0009】
本発明の洗浄ノズルにおいて、前記本流の流れのエジェクタ効果により空気を吸入する少なくとも1つの吸気孔が形成され、前記支流路は、前記吸気孔よりも前記吐出口側で前記本流から前記支流を分岐させるものとしてもよい。こうすれば、空気の気泡が混入した支流を合流させて本流の流れを分断し易くするから、洗浄水の脈動を大きくしてピーク荷重をより高めることができる。
【0010】
本発明の洗浄ノズルにおいて、前記支流路は、前記吐出口の中心軸に直交する方向で前記支流を前記本流に合流させるものとしてもよい。こうすれば、支流路からの洗浄水を本流に衝突させるように合流させて本流の流れを分断し易くするから、洗浄水の脈動を大きくしてピーク荷重をより高めることができる。
【0011】
本発明の洗浄ノズルにおいて、上端に前記吐出口が形成されると共に側壁に貫通孔が形成された筒状部と、前記筒状部の上端側から径方向外側に延出するフランジ部とを有する吐出口形成部材と、前記フランジ部を支持すると共に前記筒状部との間に隙間をもって前記吐出口形成部材を収容する凹部を有し、該凹部の底面の中心に前記本流路が形成された流路形成部材と、を備え、前記支流路は、前記筒状部と前記凹部との間の隙間として形成され、前記貫通孔を介して前記支流を合流させるものとしてもよい。こうすれば、支流路を簡易な構成で形成することができるから、コストの増加を抑えることができる。
【0012】
本発明の局部洗浄装置は、上述したいずれかの洗浄ノズルを備えるから、本発明の洗浄ノズルが奏する効果、即ち洗浄ノズルの大径化とコストの増加を抑えた簡易な構成で、吐出される洗浄水のピーク荷重を高める効果を奏するものとなる。このため、局部洗浄装置の大型化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】局部洗浄装置を含む洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図である。
図2】おしり洗浄ノズル20のヘッド部21の外観斜視図である。
図3】ヘッド部21の断面斜視図である。
図4】ヘッド部21の断面斜視図である。
図5】ヘッド部21の断面斜視図である。
図6】ヘッド部21の断面斜視図である。
図7】吐出口形成部材31と流路形成部材41の断面図である。
図8】吐出口形成部材31の外観斜視図である。
図9】吐出口形成部材31の構成図である。
図10図9のA-A断面図である。
図11】洗浄水を吐出する様子の一例を示す説明図である。
図12】吐出される洗浄水の荷重測定結果の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
図1は、局部洗浄装置を含む洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図である。洗浄便座装置10は、図1に示すように、便器1の上面に取り付けられ、便座装置本体12と、便座装置本体12に対して開閉可能に支持された便座14および便蓋16と、使用者による各種操作が可能な操作パネル18とを備える。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向および上下方向は、図1に示した通りとする。
【0016】
便座装置本体12は、給水管(水道配管)に接続された洗浄水の給水路、止水弁、熱交換ユニット、洗浄水の流量や供給先を切り替える切替バルブ、洗浄水を吐出する洗浄ノズルを有するノズルユニットなどを含む局部洗浄装置を備え、これらは樹脂製のハウジング内に収容されている。熱交換ユニットは、例えば1200W程度の定格出力を有するセラミックヒータ等を内蔵し、洗浄水を瞬間的に加温可能となっている。また、切替バルブは、例えばステッピングモータにより駆動するロータリディスクバルブとして構成されており、給水口を介して供給された洗浄水の流量を調整しながら供給先を切り替え可能となっている。ノズルユニットは、洗浄ノズルとして、おしり洗浄用のおしり洗浄ノズル20とビデ洗浄用のビデ洗浄ノズルとを備え、各洗浄ノズルをそれぞれ収容位置と洗浄位置との間で前後方向に進退移動させるように構成されている。
【0017】
操作パネル18には、図示しないが、洗浄強さの強いおしり洗浄であるパワフル洗浄を指示するパワフル洗浄スイッチや洗浄強さの弱いおしり洗浄であるマイルド洗浄を指示するマイルド洗浄スイッチ、ビデ洗浄を指示するビデ洗浄スイッチ、洗浄の強さを調整するための洗浄強さ調整スイッチ、洗浄位置を前後に調整するための洗浄位置調整スイッチ、洗浄の停止を指示する停止スイッチなどが設けられている。
【0018】
以下、おしり洗浄ノズル20の構成を説明する。図2は、おしり洗浄ノズル20のヘッド部21の外観斜視図であり、図3図6は、ヘッド部21の断面斜視図である。また、図7は、吐出口形成部材31と流路形成部材41の断面図であり、図8は、吐出口形成部材31の外観斜視図であり、図9は、吐出口形成部材31の構成図であり、図10は、図9のA-A断面図である。
【0019】
本実施形態のおしり洗浄ノズル20は、パワフル洗浄とマイルド洗浄とを行うように構成された筒状部材であり、先端側にパワフル洗浄用の吐出口32とマイルド洗浄用の吐出口25とが形成されている。このおしり洗浄ノズル20は、切替バルブから供給された洗浄水の流路が軸方向に延びる筒状の本体部(図示略)と、本体部に同軸に取り付けられる筒状のヘッド部21とを組み合わせた構成となっている。
【0020】
ヘッド部21は、吐出口32(吐出部33)が形成された吐出口形成部材31と、吐出口形成部材31を収容し吐出口形成部材31への洗浄水の流路を形成する流路形成部材41とが取り付けられている。また、ヘッド部21は、本体部からヘッド部21に亘って軸方向に延在する図示しない給水管およびこの給水管と連通する流路22がパワフル洗浄用の流路として設けられ、給水管の外周面とおしり洗浄ノズル20の内周面(本体部の内周面およびヘッド部21の内周面27)との間の空間がマイルド洗浄用の流路として設けられている。また、ヘッド部21は、吐出口形成部材31の吐出口32と連通するように径方向に開口(貫通)した開口23が設けられている。この開口23と吐出口32とを合わせて、パワフル洗浄用の吐出口と称してもよい。
【0021】
吐出口形成部材31は、上端(一端)に吐出口32を有すると共に下端(他端)が開口した円筒状空間としての吐出部33を形成する円筒状部34と、円筒状部34の上端側から径方向に延出するフランジ部35とを備える。吐出部33は、下端の開口が後述する本流路43と連通し、吐出口32の中心軸と同軸に流れる洗浄水の本流が本流路43から流入する。円筒状部34は、外径が下端側に向かうにつれて小さくなるテーパ部34aが形成されると共に、中心軸に直交する方向即ち径方向に側壁を貫通する貫通孔37が形成されている。なお、貫通孔37は、1つでもよいし複数でもよい。円筒状部34の側壁の外周面には、螺旋状に延在する螺旋部38が形成されている。この螺旋部38は、上端が貫通孔37の近傍まで延在している(図8参照)。なお、吐出部33は、円筒状空間に限られず筒状空間であればよく、円筒状部34も円筒状に限られず筒状であればよい。
【0022】
流路形成部材41は、吐出口形成部材31を収容する凹部48が形成されており、凹部48に吐出口形成部材31を収容した状態でヘッド部21の先端(前端)に取り付けられてヘッド部21の先端を封止する。この流路形成部材41は、ヘッド部21の流路22に連通する連通流路42と、連通流路42に連通し吐出口32(吐出部33)の中心軸と同軸に延びる本流路43と、本流路43から分岐する支流路47とを形成する。
【0023】
連通流路42は、流路22に連通する上流側から本流路43に連通する下流側に向かうにつれて内径が小さくなり、下流側の端部が上方(吐出口32側)に開口するように形成されている。本流路43は、連通流路42の端部に連通する小径部43aと、小径部43aに連通し小径部43aよりも大径の大径部43bと、大径部43bに連通し上方に向かうにつれて内径が大きくなるテーパ部43cとを有する。テーパ部43cは、凹部48の底面の中心孔として凹部48内に露出している。即ち、本流路43は、凹部48の底面に連通する中心孔として形成され、吐出口32の中心軸と同軸に流れる洗浄水の本流を形成する。
【0024】
また、流路形成部材41は、大気開放されて内部に空気を導入可能な空気導入路45が形成されている。空気導入路45は、本流路43の径方向に延在して流路形成部材41を貫通するように形成されており、大径部43bを形成する側壁に設けられた2つの吸気孔46を介して本流路43と連通する。この空気導入路45は、本流路43における本流の流れのエジェクタ効果により、吸気孔46を介して本流路43内に空気を吸入させる。
【0025】
凹部48は、吐出口形成部材31のフランジ部35を支持する支持凹部48aと、支持凹部48aよりも小さな内径で同軸に連通し吐出口形成部材31の円筒状部34を収容する収容凹部48bとを有する。収容凹部48bは、螺旋部38の外径よりも若干大きな内径に形成されており、円筒状部34の側壁との間に所定の隙間をもって円筒状部34を収容する。また、円筒状部34の下端のテーパ部34aは、収容凹部48bの底面に露出する本流路43のテーパ部43cと傾斜角度が略同じ角度に形成されて隙間をもって対向する。このため、円筒状部34と収容凹部48bとは、本流路43のテーパ部43c即ち凹部48(収容凹部48b)の底面から円筒状部34の側壁の外周面に回り込むように連続的な隙間を形成する。
【0026】
支流路47は、上述した収容凹部48bと円筒状部34との連続的な隙間として形成されている。支流路47は、本流路43の本流から分岐させた支流を、当該隙間に流通させて、円筒状部34の貫通孔37から吐出部33内の本流に合流させる。また、本実施形態の支流路47は、吸気孔46よりも吐出口32側で本流路43から分岐している。上述したように、貫通孔37が円筒状部34の側壁を吐出部33の径方向に貫通しているから、支流路47を流通した支流は吐出部33内に径方向に流入して合流することになる。
【0027】
次に、こうして構成された洗浄便座装置10の動作、特に、おしり洗浄ノズル20でパワフル洗浄を行う場合について説明する。図11は、パワフル洗浄用の洗浄水を吐出する様子の一例を示す説明図である。
【0028】
図11に示すように、連通流路42から本流路43(小径部43a)に流れた洗浄水は、吐出口32の中心軸に沿った本流として、吐出部33に向けて直線状に流通する。また、本流路43の小径部43aから大径部43bに内径が広がる箇所では、本流の一部が支流路47へ分岐すると共に、本流の流れのエジェクタ効果により吸気孔46から空気が吸入される。吸入された空気は、気泡となって洗浄水と共に流通する。吸気孔46は径方向外側から空気を吸入するため、気泡は主に支流路47を流通する。このため、図示は省略するが、気泡は螺旋部38の下面に沿って貫通孔37へ向かう。そして、支流路47を流通した支流は、貫通孔37から吐出部33内に径方向に流入して、本流と吐出部33内で合流する。本流は、吐出口32(吐出部33)の中心軸と同軸に流通し、吐出部33内に流入する支流は、吐出部33の径方向即ち吐出口32の中心軸(本流の流れ)に直交する方向に流通するから、両者が衝突して本流の流れを分断するように合流する。これにより、吐出部33内で乱流が生じて本流の連続的な流れが阻害されるため、吐出口32から吐出される洗浄水は、断続的な流れとなって脈動が生じることになる。さらに、支流には気泡が混入しているから、気泡が突入(合流)した際に本流を分断する効果がより高まって、連続的な流れから断続的な流れへの変化が促進され易くなり脈動が大きくなる。
【0029】
また、図12は、吐出される洗浄水の荷重測定結果の一例を示す説明図である。荷重測定結果は、例えば吐出口32から所定距離離れた位置に荷重測定計を配置して、洗浄水の荷重を測定したものであり、横軸は時間、縦軸は洗浄水の荷重を示す。また、図12(a)は比較例の測定結果であり、図12(b)は本実施形態の測定結果である。図示は省略するが、比較例の洗浄ノズルは、支流路47や吸気孔46が設けられておらず、単に直線状の流路(本流路43に相当)から供給された洗浄水を連続的な流れとして吐出する。
【0030】
図12(a)の比較例では、洗浄水の荷重の脈動が小さく、ピーク荷重も小さくなっている。このため、強めの洗浄感を好む使用者が満足な洗浄感を得られない場合がある。一方、図12(b)の本実施形態では、比較例よりも洗浄水の荷重の脈動が大きく、ピーク荷重も大きくなっている。このため、洗浄感を向上させ易くすることができる。
【0031】
以上説明した洗浄便座装置10のおしり洗浄ノズル20は、吐出口32の中心軸と同軸に流れる本流を形成する本流路43と、本流から分岐させた支流を本流の流れを乱すように合流させる支流路47とを有する。本流と支流との合流により乱流が生じるため、吐出される洗浄水を脈動させて洗浄水のピーク荷重を高めることができる。また、本流路43や支流路47をおしり洗浄ノズル20の軸方向に沿って設けたり、ポンプなどの脈動発生装置や空気の吸入装置などの駆動源が必要な装置を設けたりする必要がない。このため、おしり洗浄ノズル20の大径化とコストの増加を抑えた簡易な構成で、洗浄水の脈動を大きくしてピーク荷重を高めることができる。
【0032】
また、おしり洗浄ノズル20は、エジェクタ効果により吸気孔46から吸入された空気の気泡が混入した支流を本流に合流させて、本流を分断する効果を高めることができるから、洗浄水の脈動を大きくしてピーク荷重をより高めることができる。
【0033】
また、おしり洗浄ノズル20は、吐出口32の中心軸に直交する方向で支流を本流に合流させて、本流を分断する効果を高めることができるから、洗浄水の脈動を大きくしてピーク荷重をより高めることができる。
【0034】
また、おしり洗浄ノズル20は、支流路47が円筒状部34と凹部48との間の隙間として形成されているから、簡易な構成で支流路47を形成してコストの増加を抑えることができる。
【0035】
上述した実施形態では、支流路47が吐出口32の中心軸に直交する方向で支流を本流に合流させたが、これに限られず、本流の流れを乱す(分断する,阻害する)ように中心軸に交差する方向で合流させればよい。例えば、上方に向かう本流の流れ(吐出口32の中心軸)に直交する向き(角度)よりも斜め上方に傾いた向きで支流を合流させてもよいし、斜め下方に傾いた向き(本流の流れと逆向き)で支流を合流させるなど、中心軸に交差する向きで合流させればよい。また、複数の支流路47を備える場合、各支流路47の支流が本流に合流する角度が同じものに限られず、異なるものとしてもよい。
【0036】
実施形態では、支流路47が吸気孔46よりも下流側(吐出口32側)で本流路43から分岐したが、これに限られず、支流路47が吸気孔46よりも上流側で本流路43から分岐してもよい。即ち、気泡が支流を経ずに本流を流通し吐出部33に流入してもよい。
【0037】
実施形態では、吸気孔46が2箇所に設けられたが、これに限られず、1箇所でもよいし、3箇所以上の複数箇所でもよい。あるいは、吸気孔46が設けられず、空気(気泡)を積極的に吸入しない構成としてもよい。このように構成しても、本流を分断させるように支流を合流させることで、脈動を大きくしてピーク荷重を高めることが可能である。
【0038】
実施形態では、支流路47が円筒状部34と凹部48との間の隙間として形成されたが、これに限られず、本流路43から分岐して吐出部33に合流するように支流路47を形成するものであれば如何なる構成としてもよい。また、本流路43が吐出部33に連通したが、これに限られず、本流路43が直接吐出口32に連通してもよい。
【0039】
実施形態では、1つのおしり洗浄ノズル20がパワフル洗浄とマイルド洗浄とを行うものを例示したが、これに限られず、パワフル洗浄を行う洗浄ノズルとマイルド洗浄を行う洗浄ノズルとを別々に設けてもよい。そのようにする場合、パワフル洗浄を行う洗浄ノズルに本発明を適用すればよい。なお、狙いの洗浄感に応じて、支流の流量(支流路47の断面積)の設計や吸気孔46から吸入される空気の量(吸気孔46の断面積)の設計を変更するなどにより、洗浄水の脈動やピーク荷重を調整することが可能であるから、パワフル洗浄だけでなく、マイルド洗浄に本発明を適用してもよい。また、おしり洗浄に限られず、ビデ洗浄に本発明を適用してもよい。
【0040】
本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。本実施形態では、吐出口32が「吐出口」に相当し、おしり洗浄ノズル20が「洗浄ノズル」に相当し、本流路43が「本流路」に相当し、支流路47が「支流路」に相当する。吸気孔46が「吸気孔」に相当する。円筒状部34が「筒状部」に相当し、フランジ部35が「フランジ部」に相当し、吐出口形成部材31が「吐出口形成部材」に相当し、凹部48が「凹部」に相当し、流路形成部材41が「流路形成部材」に相当する。
【0041】
なお、本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、本実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、本実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0042】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、洗浄便座装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 便器、10 洗浄便座装置、12 便座装置本体、14 便座、16 便蓋、18 操作パネル、20 おしり洗浄ノズル、21 ヘッド部、22 流路、23 開口、31 吐出口形成部材、32 吐出口、33 吐出部、34 円筒状部、34a テーパ部、35 フランジ部、37 貫通孔、38 螺旋部、41 流路形成部材、42 連通流路、43 本流路、43a 小径部、43b 大径部、43c テーパ部、45 空気導入路、46 吸気孔、47 支流路、48 凹部、48a 支持凹部、48b 収容凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12