(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164406
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】洗浄用化粧料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20221020BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20221020BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20221020BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/99
A61Q5/02
A61K8/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069876
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 菜那
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 俊方
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC782
4C083BB05
4C083CC38
4C083DD27
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】起泡性又は泡沫安定性に優れる洗浄用化粧料を提供すること。
【解決手段】洗浄用化粧料は、アロエ乳酸菌発酵物と、界面活性剤とを含むものである。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロエ乳酸菌発酵物と、界面活性剤とを含む洗浄用化粧料。
【請求項2】
前記界面活性剤が、イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の洗浄用化粧料。
【請求項3】
前記イオン性界面活性剤が、高級アルコール系のアニオン界面活性剤であるか、又は両性界面活性剤である、請求項2に記載の洗浄用化粧料。
【請求項4】
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の洗浄用化粧料。
【請求項5】
前記洗浄用化粧料が毛髪洗浄用である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の洗浄用化粧料。
【請求項6】
アロエ乳酸菌発酵物を含む、起泡性向上剤。
【請求項7】
アロエ乳酸菌発酵物を含む、泡沫安定性向上剤。
【請求項8】
洗浄用化粧料の製造方法であって、アロエ乳酸菌発酵物、及び界面活性剤を添加することを含む、前記製造方法。
【請求項9】
前記界面活性剤が、イオン性界面活性剤である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記イオン性界面活性剤が、高級アルコール系のアニオン界面活性剤であるか、又は両性界面活性剤である、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムである、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記洗浄用化粧料が毛髪洗浄用である、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
洗浄用化粧料の起泡性及び/又は泡沫安定性を向上させる方法であって、界面活性剤を含む洗浄用化粧料に、アロエ乳酸菌発酵物を添加することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願において開示された技術は、乳酸菌発酵物及び界面活性剤を含む洗浄用化粧料、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、石鹸やシャンプーといった洗浄用化粧料においては、洗浄力や洗浄時におけるユーザの満足感等の観点から、起泡性や泡沫安定性の向上が求められている。この点、種々の洗浄用化粧料に含有される界面活性剤の視点で様々な改良が報告されているが、未だ十分とはいえず、洗浄用化粧料において起泡性及び泡沫安定性の更なる向上が求められている。
【0003】
他方、乳酸菌発酵物は、皮膚の皺やたるみの改善効果を示すとされ、化粧水や基礎化粧品等において一般的に配合されている。また、アロエエキスは、皮膚保湿効果や育毛効果を示すことが報告されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。しかしながら、乳酸菌発酵物、特に、アロエを含有する培地由来の乳酸菌発酵物の、起泡性及び泡沫安定性に対する影響は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-206539号公報
【特許文献2】特開2007-262043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、起泡性又は泡沫安定性に優れる洗浄用化粧料を提供することを目的とする。さらに、起泡性及び泡沫安定性に優れる洗浄化粧料を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、アロエエキスを含有する培地を乳酸菌で発酵させて得られる乳酸菌発酵物が、起泡性及び/又は泡沫安定性の向上に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の一態様は、
(1)アロエ乳酸菌発酵物と、界面活性剤とを含む洗浄用化粧料である。
【0008】
上記の態様に関連して、本発明の実施形態は以下のものを含む:
(2)前記界面活性剤がイオン性界面活性剤である、上記(1)の洗浄用化粧料;
(3)前記イオン性界面活性剤が高級アルコール系のアニオン界面活性剤であるか、又は両性界面活性剤である、上記(2)の洗浄用化粧料;
(4)前記乳酸菌がラクトバチルス・プランタラムである、上記(1)乃至(3)のいずれかの洗浄用化粧料;及び
(5)前記洗浄用化粧料が毛髪洗浄用である、上記(1)乃至(4)のいずれかの洗浄用化粧料。
【0009】
また、本発明の別の態様は、以下のものを含む:
(6)アロエ乳酸菌(好ましくは、ラクトバチルス・プランタラム)発酵物を含む、起泡性向上剤;及び/又は
(7)アロエ乳酸菌(好ましくは、ラクトバチルス・プランタラム)発酵物を含む、泡沫安定性向上剤。
【0010】
さらに、本発明には、以下の態様及び実施形態も含まれる:
(8)洗浄用化粧料の製造方法であって、アロエ乳酸菌発酵物、及び界面活性剤を添加することを含む、前記製造方法;
(9)前記界面活性剤がイオン性界面活性剤である、上記(8)の製造方法;
(10)前記イオン性界面活性剤が高級アルコール系のアニオン界面活性剤であるか、又は両性界面活性剤である、上記(9)の製造方法;
(11)前記乳酸菌がラクトバチルス・プランタラムである、上記(8)乃至(10)のいずれかの製造方法;及び
(12)前記洗浄用化粧料が毛髪洗浄用である、上記(8)乃至(11)のいずれかの製造方法。
【0011】
さらにまた、本発明には、以下の態様及びそれに関連する上記各実施形態も含まれる:
(13)洗浄用化粧料の起泡性及び/又は泡沫安定性を向上させる方法であって、界面活性剤を含む洗浄用化粧料に、アロエ乳酸菌発酵物を添加することを含む、前記方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗浄用化粧料は、起泡性及び/又は泡沫安定性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1乃至実施例4、及び比較例1乃至比較例5に関する起泡性の結果を示す図である。
【
図2】実施例1乃至実施例4、及び比較例1乃至比較例5に関する泡沫安定性の結果を示す図である。
【
図3】実施例5及び実施例6、並びに比較例6及び比較例7に関する起泡性の結果を示す図である。
【
図4】実施例5及び実施例6、並びに比較例6及び比較例7に関する泡沫安定性の結果を示す図である。
【
図5】実施例7乃至実施例9、及び比較例8乃至比較例10に関する起泡性の結果を示す図である。
【
図6】実施例7乃至実施例9、及び比較例8乃至比較例10に関する泡沫安定性の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、アロエを含有する培地を乳酸菌で発酵させて得られる乳酸菌発酵物(以下、「アロエ乳酸菌発酵物」、「乳酸菌発酵物(アロエ)」又は「乳酸菌発酵エキス(アロエ)」などという。)を含む洗浄用化粧料、特に界面活性剤を含む洗浄用化粧料に関する。ここで、洗浄用化粧料とは、例えば、水溶液、エマルジョン、ゲル等の所望の形態にして、シャンプー等の毛髪洗浄用化粧料や、石鹸など身体洗浄用化粧料を含むことができる。
【0015】
アロエ乳酸菌発酵物
本発明のアロエ乳酸菌発酵物は、本質的に、乳酸菌を、アロエを含有する培地で培養することにより得られる。
【0016】
培地に含有されるアロエは、アフリカ原産のユリ科植物の総称であり、キダチアロエやアロエベラ等、300種以上の品種を有する。このアロエは、ムチンやアロエマンナン等の多糖類を多く含むほか、アロインやアロエニン、アロエチン、アロチミン、アロエウルシン等の成分を含有することが知られている。一実施形態で使用するアロエは、アロエの仲間であれば特に限定するものではないが、特に入手の容易性やコストの観点等から、キダチアロエ又はアロエベラを用いることが好ましい。上記アロエの使用部位としては特に限定されないが、葉、葉肉、芽、根の他に、繊維成分がないため後の製造工程が簡便になる前記部位の汁液、ドリップ液、そこから得られる各種成分等も用いることができる。
【0017】
ところで、多くの乳酸菌は、上記アロエ中の繊維成分やタンパク質等を資化することができないので、常法に従い、アロエには発酵処理前にセルラーゼ処理、プロテアーゼ処理等の分解処理等を行うことが好ましい。セルラーゼ処理を行うことにより、資化性が向上して発酵が進行し、アロエ乳酸菌発酵物中に資化できなかったセルロース等が残存せず、後の製造工程が簡便となる。また、プロテアーゼ処理を行うことにより、アロエ乳酸菌発酵物にタンパク成分等が残留しないため濁りを生じず、発酵後に清澄化工程を省略することができる。さらに、アミラーゼ処理を併用することで、乳酸菌の資化性をさらに向上させることができる。酵素分解処理には、セルラーゼ、ペクチターゼ等の繊維質分解酵素(セルラーゼ類)や、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、パパイン、フィシン、プロメライン等のプロティナーゼ、ペプチターゼ、マンナナーゼ等のタンパク分解酵素等(プロテアーゼ類)、α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ等のデンプン分解酵素(アミラーゼ類)から1種又は2種以上を適宜選択して使用すればよい。なお、乳酸菌は、必要により上記処理を施すことによりアロエを十分に資化できるため、通常、発酵の際に敢えて他の炭素源(例えば糖類)を供給する必要はない。また、発酵に際してアロエに糖類を添加すると、得られるアロエ乳酸菌発酵物の感覚的特性が変化する場合があり、そのような変化のために最終製品の嗜好性が損なわれる恐れがある場合においては、アロエに糖類を添加しないことが好ましい。
【0018】
発酵に用いられる乳酸菌としては、ラクトバチルス属の乳酸菌が好ましく、ラクトバチルス・プランタラムがより好ましい。或いは、発酵に用いられる乳酸菌として、ラクトバチルス・プランタラム以外に、例えば、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・クリスバータス、ラクトバチルス・アミロボラス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ブフネリ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・マリ、ラクトバチルス・パラブフネリ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・ペントサス、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・ビチュリヌス、ラクトバチルス・ゼアエ等のラクトバチルス属、ラクトコッカス・ラクティス等のラクトコッカス属、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・カルノサム、ロイコノストック・シトレウム、ロイコノストック・ゲリダム、ロイコノストック・ラクティス等のロイコノストック属、ペディオコッカス・ペントサセウス等のペディオコッカス属、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム等のエンテロコッカス属、ワイセラ・コンフューサ、ワイセラ・パラメセンテロイデス、ワイセラ・ビリデスセンス等のワイセラ属、ストレプトコッカス・サーモフィルス等のストレプトコッカス属等の乳酸菌が挙げられる。なお、これらに列挙された乳酸菌の1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0019】
アロエを含有する培地を乳酸菌で発酵させるには、例えば、Brixを3.0以上、好ましくは3.3以上とすることが好ましい。また、pHを4.2以下(好ましくは4.0以下)に調整したアロエ抽出物が乾燥固形分として0.5~20重量%、好ましくは1~10となるように水で調整したものを培地とし、これに乳酸菌を0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%で接種し、これを20~40℃、好ましくは25~40℃で、6~96時間、好ましくは24~96時間培養すればよい。なお、この際の他の培養条件としては、静置、攪拌、振盪、通気等が挙げられ、これらから培養に適した方法を適宜選択して行えばよい。
【0020】
なお、アロエを含有する培地には、乳酸菌の培養において栄養源を補う目的のため、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的に用いられる成分を別途配合してもよい。このような成分としては、酵母エキス、クロレラエキス、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類や、各種ペプチド類を含むタンパク分解物、アミノ酸類、カルシウム、マグネシウム等の塩類、ポリソルベート80等の界面活性剤、オレイン酸等の脂肪酸、カルシウム、マグネシウム、マンガン等の金属類が挙げられる。
【0021】
上記のようにして得られるアロエ乳酸菌発酵物に対しては、公知のろ過、透析、沈殿、遠心分離等の精製、分離処理や、さらに、溶媒等による抽出処理、加熱処理、凍結乾燥や濃縮乾固を施すこともできる。
【0022】
例えば、本発明のアロエ乳酸菌発酵物の一実施形態は、アロエを含有する培地を乳酸菌で発酵させたものから得られる上清であり得る。
【0023】
このアロエを含有する培地を乳酸菌で発酵させたものから得られる上清とは、上記のようにして得られるアロエ乳酸菌発酵物から、遠心分離、ろ過等の常法に従って固形物を除去したものである。前述のとおり、当該上清をさらに透析処理、溶媒抽出、加熱、凍結乾燥、及び/又は濃縮凝固等の処理をしてもよい。
【0024】
一実施形態において、本発明の洗浄用化粧料におけるアロエ乳酸菌発酵物の含有量は、乾燥固形分として全組成中の0.3~3.0重量%とすることができ、特に、1.0~2.5重量%であることが好ましい。
【0025】
洗浄用化粧料
本発明の洗浄用化粧料には界面活性剤が含まれる。本発明の洗浄用化粧料の一実施形態において、界面活性剤としては、イオン性界面活性剤を用いることができ、中でもアニオン界面活性剤及び両性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0026】
本発明において利用可能なアニオン界面活性剤としては、カルボン酸塩系アニオン界面活性剤、高級アルコール系アニオン界面活性剤、スルホン酸塩系アニオン界面活性剤、リン酸エステル塩系アニオン界面活性剤、アミノ酸系アニオン界面活性剤など様々なものが挙げられる。例えば、アルキル(又はアルケニル)硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸塩、ジアルキル(又はジアルケニル)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸塩、アルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルリン酸塩、脂肪酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルタウリン酸塩、N-アシルメチルタウリン等のものを本発明に用いることができる。それらの中でも、本発明の一実施形態に係るアニオン界面活性剤は、高級アルコール系のものが好ましい(特に、炭素数12以上のものが好ましい。)。また、本発明の別の実施形態では、界面活性剤がエチレンオキシド部分を有するポリオキシエチレン系アニオン界面活性剤であることが好ましい。具体的には、ラウレス硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、及びココイルメチルタウリンナトリウムが特に好ましいが、これらに限定されない。
【0027】
上記のアニオン界面活性剤は、そのまま或いは他の副成分と共に配合された水溶液形態の市販品として入手することができ、それらのものとして、例えば、エマール(登録商標)20C(花王社製)やダイヤポンK-SF(日油社製)などを挙げることができる。
【0028】
本発明の別の実施形態では、界面活性剤が両性界面活性剤であることが好ましい。両性界面活性剤としては、グリシン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミンオキサイド型、アミノプロピオン型等のものを用いることができるが、中でもグリシン型のココアンホ酢酸ナトリウムが好ましい。そのような両性界面活性剤にも市販のものを利用することができ、例えばソフタゾリンCH(川研ファインケミカル社製)等を挙げることができる。
【0029】
本発明の洗浄用化粧料において、界面活性剤は、上記に列挙したものの中から1種のみを選択しても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明の一実施形態に係る洗浄用化粧料には、水、乳酸菌発酵物、及び界面活性剤のほかに、種々の添加成分を目的に応じて含有させることができる。例えば、ブチレングリコールや1,2-ペンタンジオール等の抗菌剤、メントールやエタノール等の清涼剤、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、及びフェノキシエタノール等の防腐剤、塩化ナトリウム等の塩類、クエン酸等のpH調整剤、ジメチルエーテル等の噴射剤、香料、色素等を洗浄用化粧料に配合することができる。
【0031】
一実施形態において、本発明の洗浄用化粧料に配合される界面活性剤の含有量は、所望の起泡性、泡沫安定性などに基づいて適宜調整可能であり、例えば全組成中の0.1~20重量%、0.2~15重量%、0.3~12.5重量%、0.5~10重量%、1.0~5.0重量%、1.2~3.0重量%、1.5~2.5重量%とすることができる。なお、洗浄用化粧料を水、乳酸発酵物及び界面活性剤のみで構成する場合、洗浄用化粧料に配合される界面活性剤の含有量は、全組成物中の0.1~12.5重量%が好ましく、特に、0.3~2.5重量%が好ましい。
【0032】
洗浄用化粧料に配合される界面活性剤の配合量は、添加剤の種類、量などに応じて調整することが可能であり、例えばブチレングリコールやコカミドDEA等を添加剤として使用する場合には、1.5~4.0重量%、特に1.5~3.0重量%とすることが好ましい。
【0033】
本発明の洗浄用化粧料は、毛髪や皮膚に適用するのに適した物理的に安定な組成物、好ましくは液体組成物を形成するために、組成物の必須成分(アロエ乳酸菌発酵物及び界面活性剤)及び任意成分(各種添加剤など)の配合に好適なものとして当業者に公知のいずれの技術によっても製造され得る。例えば、それらの成分の全部をいっぺんに、又はそれらの成分の一部を組み合わせたものを任意の順序で、水や他の水性溶媒(エタノール、グリセロール等)又はそれらの混合物の中で混合し、必要により更に水などで希釈することができる。
【0034】
起泡性向上剤及び泡沫安定性向上剤
したがって、本発明のアロエ乳酸菌発酵エキスは、洗浄用化粧料のための起泡性向上剤及び/又は泡沫安定性向上剤の形態で洗浄用化粧料に添加してもよい。当該起泡性向上剤及び泡沫安定性向上剤は、有効成分である本発明のアロエ乳酸菌発酵物自体であってもよいし、任意に、例えば抗菌剤、防腐剤及びpH調整剤などを含んでいてもよい組成物の形態にすることもできる。
【0035】
本発明の起泡性向上剤及び泡沫安定性向上剤は、洗浄用化粧料での本発明のアロエ乳酸菌発酵物の含有量が前述した範囲となるような配合量で、本発明の洗浄用化粧料に添加される。すなわち、そのようにして本発明のアロエ乳酸菌発酵物が添加されることにより、洗浄用化粧料の起泡性が向上し及び/又は泡沫安定性が向上する。
【0036】
ところで、本明細書において、複数の数値の範囲が示された場合、それら複数の範囲の任意の下限値および上限値の組み合わせからなる範囲も同様に意味する。
【0037】
以下、本発明をより詳細に説明するために実施例を記載するが、本発明はそれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、本明細書において、特に断らない限り「%」は重量%を意味する。
【実施例0038】
1.実施例1乃至実施例4、及び比較例1乃至比較例5
1-1.乳酸菌発酵エキス(アロエ)の製造
アロエベラ(学名:Aloe barbadensis Miller)の凍結葉を解凍後破砕し、2倍量の水及びクエン酸0.05重量%を加え、40℃にてセルラーゼ(セルラーゼ“オノズカ”3S:ヤクルト薬品工業社製)を3時間作用させた。その後、一旦90℃まで加熱した後、室温まで冷却してろ過し、Brix3.5になるまで減圧濃縮を行ってアロエベラ抽出液を得た。得られたアロエベラ抽出液(pH3.7)を100℃で100分間加熱滅菌して、アロエベラ抽出物が乾燥固形分として3.0重量%となる培地を得た。この培地に、ラクトバチルス・プランタラムの標準株(ATCC14917)の前培養菌液を1%接種した後、30℃で72時間静置培養した。培養後、ろ過にてろ液を採取して乳酸菌発酵物(アロエ)の上清を得た。この乳酸菌発酵物(アロエ)の上清には、乾燥固形分が2.9%含まれていた。以下の実施例では、乳酸菌発酵物(アロエ)の上清を100/77倍希釈した乳酸菌発酵エキス(アロエ)を使用した。(乾燥固形分2.23%)
【0039】
1-2.実施例1乃至実施例4の製造
次に、上記のとおり得られた乳酸菌発酵エキス(アロエ)と、界面活性剤としてのラウレス硫酸ナトリウムを25%含む水溶液であるエマール(登録商標)20C(花王社製)とを、以下の表1に示す比率で混合して、実施例1乃至実施例4に対応する洗浄用化粧料を得た。
【0040】
【0041】
1-3.比較例1乃至比較例5の製造
一方、前述のエマール20Cと精製水とを、以下の表2に示す比率で混合して、比較例1乃至比較例4を得た。また、前述のとおり得られたアロエベラ抽出液と前述のエマール20Cとを、以下の表3に示す比率で混合して、比較例5を得た。
【0042】
【0043】
【0044】
1-4.評価
垂直に立てたメスシリンダーの内部へ、実施例1乃至実施例4、及び比較例1乃至比較例5の試験液を、ロートを介して一定速度で流し込み、その時に発生する泡の体積(泡の高さ×メスシリンダーの断面積19.625cm2)を測ることで起泡性を評価した(泡の体積が高いほど、起泡性が高い、ということになる)。
【0045】
他方、実施例1乃至実施例4、及び比較例1乃至比較例5をメスシリンダーに流し込んだ直後に発生する泡の体積と、その5分後の泡の体積とを比較することで泡の残存率(5分後の泡の体積/直後に発生する泡の体積)を求めて泡沫安定性を評価した(泡の残存率が高いほど、泡沫安定性が高い、ということになる)。
【0046】
図1に示すように、実施例1に対応する洗浄用化粧料は比較例1及び比較例5よりも高い起泡性を有するものであった。同様に、実施例2に対応する洗浄用化粧料は比較例2よりも、実施例3に対応する洗浄用化粧料は比較例3よりも、実施例4に対応する洗浄用化粧料は比較例4よりも、それぞれ高い起泡性を有するものであった。
【0047】
また、
図2に示すように、実施例1に対応する洗浄用化粧料は、比較例1及び比較例5よりも高い泡沫安定性を有し、実施例2に対応する洗浄用化粧料は、比較例2よりも高い泡沫安定性を有するものであった。実施例3及び実施例4に対応する洗浄用化粧料は、比較例3及び比較例4と同等の泡沫安定性を有するものであった。
【0048】
2.実施例5及び実施例6、並びに比較例6及び比較例7
次に、実施例1に対応する洗浄用化粧料の製造のために製造された乳酸菌発酵エキス(アロエ)と、界面活性剤としてラウレス硫酸ナトリウムを含む市販のシャンプー(ナビアンマイルドシャンプー:株式会社ヤクルト本社製)とを、以下の表4に示す比率で混合して、実施例5及び実施例6に対応する洗浄用化粧料を得た。なお、シャンプーにおけるラウレス硫酸ナトリウムの含有量は15.46重量%であった。
【0049】
【0050】
一方、前述のシャンプーと精製水とを、以下の表5に示す比率で混合して、比較例6及び比較例7を得た。
【0051】
【0052】
前述のとおりの方法にて、実施例5及び6、及び比較例6及び7について起泡性及び泡沫安定性について評価した。
【0053】
図3に示すように、実施例5に対応する洗浄用化粧料は比較例6よりも高い起泡性を有するものであった。実施例6に対応する洗浄用化粧料は比較例7と同等の起泡性を有するものであった。
【0054】
また、
図4に示すように、実施例5に対応する洗浄用化粧料は比較例6よりも、実施例6に対応する洗浄用化粧料は比較例7よりも、それぞれ高い泡沫安定性を有するものであった。
【0055】
3.実施例7乃至実施例9、及び比較例8乃至比較例10
次に、実施例1に対応する洗浄用化粧料の製造のために製造された乳酸菌発酵エキス(アロエ)と、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウムを主成分とし適量の水で希釈された希釈液とを、乳酸菌発酵エキスの含有量が90重量%となるように混合して実施例7に対応する洗浄用化粧料を得た。なお、希釈液におけるドデシル硫酸ナトリウムの含有量は1.0重量%であった。一方、精製水とドデシル硫酸ナトリウムを主成分とする前述の希釈液とを、精製水の含有量が90重量%となるように混合して比較例8を得た。
【0056】
次に、実施例1に対応する洗浄用化粧料の製造のために製造された乳酸菌発酵エキス(アロエ)と、界面活性剤としてココアンホ酢酸ナトリウムを主成分とし適量の水で希釈された希釈液とを、乳酸菌発酵エキスの含有量が90重量%となるように混合して実施例8に対応する洗浄用化粧料を得た。なお、希釈液におけるココアンホ酢酸ナトリウムの含有量は3.0重量%であった。一方、精製水とココアンホ酢酸ナトリウムを主成分とする前述の希釈液とを、精製水の含有量が90重量%となるように混合して比較例9を得た。
【0057】
次に、実施例1に対応する洗浄用化粧料の製造のために製造された乳酸菌発酵エキス(アロエ)と、界面活性剤としてココイルメチルタウリンNaを主成分とし適量の水で希釈された希釈液とを、乳酸菌発酵エキスの含有量が90重量%となるように混合して実施例9に対応する洗浄用化粧料を得た。なお、希釈液におけるココイルメチルタウリンNaの含有量は3.0重量%であった。一方、精製水とココイルメチルタウリンNaを主成分とする前述の希釈液とを、精製水の含有量が90重量%となるように混合して比較例10を得た。
【0058】
前述のとおりの方法にて、実施例7乃至9、及び比較例8乃至10について起泡性及び泡沫安定性について評価した。
【0059】
図5に示すように、実施例7に対応する洗浄用化粧料は比較例8よりも、実施例8に対応する洗浄用化粧料は比較例9よりも、実施例9に対応する洗浄用化粧料は比較例10よりも、それぞれ高い起泡性を有するものであった。
【0060】
また、
図6に示すように、実施例7に対応する洗浄用化粧料は比較例8よりも、実施例8に対応する洗浄用化粧料は比較例9よりも、それぞれ高い泡沫安定性を有するものであった。実施例9に対応する洗浄用化粧料は比較例10と同等の泡沫安定性を有するものであった。