(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164427
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】接続ユニット、電池ユニット、発電システム及び発電システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20221020BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221020BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J3/38 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069913
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】512160210
【氏名又は名称】LEシステム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100169753
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(72)【発明者】
【氏名】伊坂 久
(72)【発明者】
【氏名】杉田 武
(72)【発明者】
【氏名】神谷 拓生
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA07
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】発電電力の無駄を防止し、運用開始後の設備にも柔軟に対応することができる接続ユニット、電池ユニット、発電システム及び発電システムの運転方法を提供する。
【解決手段】発電ユニット10が発電した電力のうち、パワーコンディショナ20が送電しない余剰電力を蓄電する電池ユニット30と、発電ユニット10、パワーコンディショナ20及び電池ユニット30を互いに接続する接続ユニット40と、を備える。電池ユニット30のコントローラ33は、双方向DC/DCコンバータ32を制御することにより、接続ユニット40のMPPT制御DC/DCコンバータ41が出力する発電電力のうち余剰電力を蓄電池31に充電させ、又は、蓄電池31に蓄電された電力をパワーコンディショナ20に対して放電させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電ユニットと、前記発電ユニットで発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナと、電池ユニットと、を互いに接続する接続ユニットであって、
前記発電ユニットで発電された電力のMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行う第1のMPPT制御DC(Direct Current)/DCコンバータと、
前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータと前記パワーコンディショナとを接続する主送電路と、
前記主送電路と前記電池ユニットとを接続する充放電路と、を備え、
前記充放電路と前記電池ユニットの蓄電池との間に挿入される双方向DC/DCコンバータを制御することにより、前記発電ユニットが発電した電力のうち前記パワーコンディショナが送電しない余剰電力が前記蓄電池に充電され、又は、前記蓄電池に蓄電された電力が前記パワーコンディショナに放電される、
接続ユニット。
【請求項2】
前記電池ユニットは、レドックスフロー電池を含み、
前記レドックスフロー電池の蓄電量が予め定めた閾値以下である場合に、放電を停止する、
請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記発電ユニットが発電した電力を前記電池ユニットの蓄電池に充電する際には、前記充放電路と前記電池ユニットの蓄電池との間に挿入される前記双方向DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧が、前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧より低く設定され、前記蓄電池に蓄電された電力を前記パワーコンディショナに対し放電する際には、前記双方向DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧が、前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧より高く設定される、
請求項1又は2に記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記パワーコンディショナは、第2のMPPT制御DC/DCコンバータを含み、
前記主送電路に、電圧変動吸収ユニットが挿入されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の接続ユニット。
【請求項5】
前記発電ユニットは太陽光発電ユニットであり、
前記電池ユニットから前記接続ユニットの前記主送電路を経由した放電は、夜間に行われる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の接続ユニット。
【請求項6】
既設の前記発電ユニットに接続する入力接続端子と、
既設の前記パワーコンディショナに接続する出力接続端子と、を更に備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の接続ユニット。
【請求項7】
前記充放電路と前記電池ユニットは着脱可能に接続されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の接続ユニット。
【請求項8】
前記充放電路と前記電池ユニットとが接続されて充放電可能な運転状態と、前記充放電路と前記電池ユニットとが切り離されて充放電を停止する運転状態と、に切り替え可能である、請求項7に記載の接続ユニット。
【請求項9】
発電ユニットに接続ユニットを介して接続され、かつ、前記発電ユニットで発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナに前記接続ユニットを介して接続される電池ユニットであって、
前記接続ユニットは、前記発電ユニットと前記電池ユニットとの間に、前記発電ユニットで発電された電力のMPPT制御を行う第1のMPPT制御DC/DCコンバータを有し、
前記電池ユニットは、
前記発電ユニットが発電した電力のうち、前記パワーコンディショナが送電しない余剰電力を蓄電する蓄電池と、
前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータと前記蓄電池との間に挿入された双方向DC/DCコンバータと、
前記双方向DC/DCコンバータを制御することにより、前記余剰電力を前記蓄電池に充電させ、又は、前記蓄電池に蓄電された電力を前記パワーコンディショナに対して放電させるコントローラと、を備える、
電池ユニット。
【請求項10】
発電ユニットと、前記発電ユニットで発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナと、を有する発電システムであって、
前記発電ユニットが発電した電力のうち、前記パワーコンディショナが送電しない余剰電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池の充放電を切り替える双方向DC/DCコンバータと、前記蓄電池及び前記双方向DC/DCコンバータを制御するコントローラと、を有する電池ユニットと、
前記発電ユニットと、前記パワーコンディショナと、前記電池ユニットと、を互いに接続し、前記発電ユニットで発電された電力のMPPT制御を行う第1のMPPT制御DC/DCコンバータを有する接続ユニットと、を備え、
前記電池ユニットの前記コントローラは、前記双方向DC/DCコンバータを制御することにより、前記余剰電力を前記蓄電池に充電させ、又は、前記蓄電池に蓄電された電力を前記パワーコンディショナに放電させる、
発電システム。
【請求項11】
発電ユニットと、前記発電ユニットで発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナと、を有する発電システムの運転方法であって、
前記発電システムは、
前記発電ユニットが発電した電力のうち、前記パワーコンディショナが送電しない余剰電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池の充放電を切り替える双方向DC/DCコンバータと、を有する電池ユニットと、
前記発電ユニットと、前記パワーコンディショナと、前記電池ユニットと、を互いに接続し、前記発電ユニットで発電された電力のMPPT制御を行う第1のMPPT制御DC/DCコンバータを有する接続ユニットと、を備え、
前記双方向DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧を、前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧より低く設定して、前記余剰電力を前記蓄電池に充電させる充電ステップと、
前記双方向DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧を、前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧より高く設定して、前記蓄電池に蓄電された電力を放電させる放電ステップと、
を有する発電システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続ユニット、電池ユニット、発電システム及び発電システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再送可能エネルギーにより発電した電力を系統に送電する発電システムとしては、例えば、太陽光で発電された電力を効率よく系統に送電するためのパワーコンディショナを備えた太陽光発電システムがある。太陽光発電システムのパワーコンディショナは、通常、最大電力追従(Maximum Power Point Tracking:MPPT)制御機能を有しており、発電する電力を最大ポイントで引き出す制御が行われている。
【0003】
このような発電システムには、蓄電池を備えたシステムもある(例えば、特許文献1,2)。特許文献1,2に記載の発電システムは、発電した電力を蓄電池に充電しながら、蓄電池に蓄えられた電力を系統連系型のパワーコンディショナを経由して系統へ送電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-177571号公報
【特許文献2】特開2017-192191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能エネルギーの一つである太陽光発電の発電出力は天候に左右される。このため、売電契約を結んでいる太陽光発電システムの事業者は、曇った日でも契約発電量近くまで売電できるように、契約発電量以上の発電能力を有する発電設備を導入している場合がある。
【0006】
しかし、現在稼働している既設の太陽光発電システムには蓄電池を備えていないものも多く、天気の良い日に発電された契約発電量以上の電力は余剰電力となり有効利用されていなかった。
【0007】
これに対し、運用開始後の太陽光発電システムに蓄電池を追加するには、太陽光発電システムの機器仕様の変更及び変更申請並びに大幅な改造が必要となり、導入が困難であるという問題があった。
【0008】
また、蓄電池を備えた発電システムに対して、設備仕様の変更または蓄電池の性能劣化等により、電池ユニットの交換する場合にも全体設備の交換又は大幅な改造が必要になるという問題があった。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、発電電力の無駄を防止し、運用開始後の設備にも柔軟に対応することができる接続ユニット、電池ユニット、発電システム及び発電システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る接続ユニットは、
発電ユニットと、前記発電ユニットで発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナと、電池ユニットと、を互いに接続する接続ユニットであって、
前記発電ユニットで発電された電力のMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行う第1のMPPT制御DC(Direct Current)/DCコンバータと、
前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータと前記パワーコンディショナとを接続する主送電路と、
前記主送電路と前記電池ユニットとを接続する充放電路と、を備え、
前記充放電路と前記電池ユニットの蓄電池との間に挿入される双方向DC/DCコンバータを制御することにより、前記発電ユニットが発電した電力のうち前記パワーコンディショナが送電しない余剰電力が前記蓄電池に充電され、又は、前記蓄電池に蓄電された電力が前記パワーコンディショナに放電されることを特徴とする。
【0011】
本開示の第2の観点に係る電池ユニットは、
発電ユニットに接続ユニットを介して接続され、かつ、前記発電ユニットで発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナに前記接続ユニットを介して接続される電池ユニットであって、
前記接続ユニットは、前記発電ユニットと前記電池ユニットとの間に、前記発電ユニットで発電された電力のMPPT制御を行う第1のMPPT制御DC/DCコンバータを有し、
前記電池ユニットは、
前記発電ユニットが発電した電力のうち、前記パワーコンディショナが送電しない余剰電力を蓄電する蓄電池と、
前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータと前記蓄電池との間に挿入された双方向DC/DCコンバータと、
前記双方向DC/DCコンバータを制御することにより、前記余剰電力を前記蓄電池に充電させ、又は、前記蓄電池に蓄電された電力を前記パワーコンディショナに対して放電させるコントローラと、を備えることを特徴とする。
【0012】
本開示の第3の観点に係る発電システムは、
発電ユニットと、前記発電ユニットで発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナと、を有する発電システムであって、
前記発電ユニットが発電した電力のうち、前記パワーコンディショナが送電しない余剰電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池の充放電を切り替える双方向DC/DCコンバータと、前記蓄電池及び前記双方向DC/DCコンバータを制御するコントローラと、を有する電池ユニットと、
前記発電ユニットと、前記パワーコンディショナと、前記電池ユニットと、を互いに接続し、前記発電ユニットで発電された電力のMPPT制御を行う第1のMPPT制御DC/DCコンバータを有する接続ユニットと、を備え、
前記電池ユニットの前記コントローラは、前記双方向DC/DCコンバータを制御することにより、前記余剰電力を前記蓄電池に充電させ、又は、前記蓄電池に蓄電された電力を前記パワーコンディショナに放電させることを特徴とする。
【0013】
本開示の第4の観点に係る発電システムの運転方法は、
発電ユニットと、前記発電ユニットで発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナと、を有する発電システムの運転方法であって、
前記発電システムは、
前記発電ユニットが発電した電力のうち、前記パワーコンディショナが送電しない余剰電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池の充放電を切り替える双方向DC/DCコンバータと、を有する電池ユニットと、
前記発電ユニットと、前記パワーコンディショナと、前記電池ユニットと、を互いに接続し、前記発電ユニットで発電された電力のMPPT制御を行う第1のMPPT制御DC/DCコンバータを有する接続ユニットと、を備え、
前記双方向DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧を、前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧より低く設定して、前記余剰電力を前記蓄電池に充電させる充電ステップと、
前記双方向DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧を、前記第1のMPPT制御DC/DCコンバータの高電圧直流側電圧より高く設定して、前記蓄電池に蓄電された電力を放電させる放電ステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続ユニットを介して接続された電池ユニットの蓄電池を用いて充電及び放電を行うため、発電電力の無駄を防止し、運用開始後の設備にも柔軟に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る発電システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】電圧変動吸収ユニットの有無による出力電圧の差異を示したグラフである。
【
図3】電池ユニットのコントローラの処理を示すフローチャートである。
【
図4】日中の発電システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】夜間の発電システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施例に係る発電システムの発電電力及び余剰電力の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。本実施の形態に係る発電システム1は、発電ユニット10で発電した電力を蓄電すると共に系統への送電を行う発電システムである。本実施の形態では、発電ユニット10が太陽光パネル(ソーラーパネル)による太陽光発電を行う場合について説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る発電システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。発電システム1は、
図1に示すように、発電ユニット10と、発電ユニット10で発電された電力を系統に送電するパワーコンディショナ(Power Conditioning System:図中PCSと記す)20と、発電ユニット10で発電された電力のうちパワーコンディショナ20が送電しない余剰電力を蓄電する電池ユニット30と、発電ユニット10、パワーコンディショナ20及び電池ユニット30を互いに接続する接続ユニット40と、を備える。
【0018】
発電ユニット10は、太陽光パネルにより太陽光エネルギーを電力に変換して発電するユニットである。パワーコンディショナ20は、最大電力追従(Maximum Power Point Tracking:MPPT)制御DC(Direct Current)/DCコンバータと、DC/AC(Alternating Current)インバータを含む周知の構成を有し、系統連系しながら電力を系統に送電する。
【0019】
発電ユニット10及びパワーコンディショナ20は、従来の構成を有する既存の設備でもよく、運用開始後の発電システムに含まれていたものであってもよい。つまり、
図1の破線矢印で示した旧配線により互いに直接接続されていた発電ユニット10とパワーコンディショナ20であってもよい。発電ユニット10及びパワーコンディショナ20が既存の設備である場合は、発電システム1は、配線変更により電池ユニット30及び接続ユニット40を後付けし、蓄電池付きの発電システムを実現したものである。
【0020】
接続ユニット40は、MPPT制御DC/DCコンバータ41と、MPPT制御DC/DCコンバータ41とパワーコンディショナ20とを接続する主送電路42と、主送電路42と電池ユニット30とを接続する充放電路43と、主送電路42に挿入される電圧変動吸収ユニット44と、を備える。
【0021】
MPPT制御DC/DCコンバータ41(第1のMPPT制御DC/DCコンバータ)は、発電ユニット10の出力に対してMPPT制御を行う。MPPT制御DC/DCコンバータ41は、パワーコンディショナ20に含まれるMPPT制御DC/DCコンバータ(第2のMPPT制御DC/DCコンバータ)と同様の機能を有する。
【0022】
電圧変動吸収ユニット44は、MPPT制御DC/DCコンバータ41とパワーコンディショナ20のMPPT制御DC/DCコンバータが互いに干渉することにより発生する電圧変動を吸収するユニットであり、例えば、フィルタから構成される。電圧変動吸収ユニット44は、この干渉による電圧変動を吸収することで、電池ユニット30に含まれる双方向DC/DCコンバータ32による充放電動作に悪影響を与えることを抑制できる。
【0023】
図2は、電圧変動吸収ユニット44の有無による出力電圧の差異を示したグラフである。左の電圧変動吸収ユニット44がない場合の出力電圧に見られる微小な電圧変動が、右の電圧変動吸収ユニット44がある場合の出力電圧には抑制されていることがわかる。
【0024】
接続ユニット40は、発電ユニット10をMPPT制御DC/DCコンバータ41に接続する入力接続端子と、主送電路42をパワーコンディショナ20に接続する出力接続端子と、を更に備える。出力接続端子の端子数は、パワーコンディショナ20のMPPT制御DC/DCコンバータの回路数に合わせた数であり、出力接続端子は端子台に配列される。端子台には、各出力接続端子に接続された逆流防止用ダイオードが装備されていてもよい。
【0025】
接続ユニット40は上記のような構成を有することにより、発電ユニット10で発電された電力を、MPPT制御DC/DCコンバータ41と、電圧変動吸収ユニット44と、を経由してパワーコンディショナ20に送電する。
【0026】
電池ユニット30は、蓄電池31と、接続ユニット40の充放電路43と蓄電池31との間に接続される双方向DC/DCコンバータ32と、蓄電池31及び双方向DC/DCコンバータ32を制御するコントローラ33と、を備える。
【0027】
ここで、パワーコンディショナ20、電池ユニット30及び接続ユニット40は互いに独立で運転可能であり、制御信号の送受信は不要である。このため、既設の発電ユニット10及びパワーコンディショナ20に電池ユニット30を追加的に設置する場合、あるいは、パワーコンディショナ20の交換又はパワーコンディショナ20に関する制御内容等の変更が生じた場合であっても、パワーコンディショナ20と、電池ユニット30及び接続ユニット40と、の信号の送受信は不要である。
【0028】
電池ユニット30の蓄電池31は、蓄電量をモニタできる任意の電池であり、例えば、レドックスフロー電池(Redox Flow Battery:以下、RFBと記す)である。RFBは、制御が簡単であり、耐環境性に優れ寿命が長いため、本発電システム1に好適である。本実施の形態では蓄電池31がRFBである場合について説明する。
【0029】
蓄電池31がRFBである場合、
図1に示すように、蓄電池31は、RFBスタック311と、RFBスタック311に電解液配管が接続された正極の電解液タンク部312及びポンプ313並びに負極の電解液タンク部314及びポンプ315と、を備える。電解液タンク部312,314は、発電システム1の新設時又は運用後であっても、電解液タンクの数を増減することができ、これにより容易に蓄電能力を増減可能である。
【0030】
さらに、蓄電池31は、電解液の開路電圧(Open Circuit Voltage:以下、OCVと記す)を計測するモニタセル316を備える。モニタセル316によりOCVを計測することで、蓄電池31全体の蓄電量を取得することができる。
【0031】
双方向DC/DCコンバータ32は、蓄電池31の充放電制御を行うDC/DCコンバータであり、高電圧直流(High-Voltage Direct Current:以下、HVDCと記す)側電圧を切り替えることで、充電動作と放電動作を切り替える。
【0032】
コントローラ33は、蓄電池31及び双方向DC/DCコンバータ32の制御を行う。コントローラ33は、蓄電池31及び双方向DC/DCコンバータ32に対し、充放電制御指令、電解液の流量制御指令を含む電池ユニット30全体の制御を統括する機能を有する。
【0033】
コントローラ33による、電池ユニット30の充放電制御について、
図3のフローチャートに沿って説明する。
図3は、電池ユニット30のコントローラ33の処理を示したフローチャートである。
【0034】
発電ユニット10が発電し、発電ユニット10の出力電圧がMPPT制御DC/DCコンバータ41の追従電圧範囲内に達すると、MPPT制御DC/DCコンバータ41のHVDC側電圧VDは、予め設定した電圧V1を維持する。
【0035】
コントローラ33は充放電制御をスタートすると、まず、発電ユニット10の発電電力をモニタし、発電ユニット10の発電電力PAがパワーコンディショナ(PCS)20の定格電力PB以下であるか否かを判定する(ステップS101)。
【0036】
発電ユニット10の発電電力PAがパワーコンディショナ(PCS)20の定格電力PBを超えている場合には(ステップS101:No)、コントローラ33は、双方向DC/DCコンバータ32のHVDC側電圧VEをMPPT制御DC/DCコンバータ41のHVDC側電圧VDより低いV2の値に設定して(ステップS102)、電池ユニット30を充電モードに設定する(ステップS103)。これにより、発電ユニット10の発電電力PAのうち、パワーコンディショナ(PCS)20の定格電力PBを超えた余剰電力(PA-PB)が蓄電池31に充電されることになる(充電ステップ)。
【0037】
一方、発電ユニット10の発電電力PAがパワーコンディショナ(PCS)20の定格電力PB以下であり(ステップS101:Yes)、夜間でない場合は(ステップS104:No)、コントローラ33は、双方向DC/DCコンバータ32のHVDC側電圧VEをMPPT制御DC/DCコンバータ41のHVDC側電圧VDと同じV1の値に設定して(ステップS105)、電池ユニット30を充電モードに設定する(ステップS106)。このとき、発電ユニット10の発電電力PAは、パワーコンディショナ20の定格電力PB以下であるため、発電電力PAは全てパワーコンディショナ20により系統に送電される。電池ユニット30は充電モードであるが、充電されない。
【0038】
発電ユニット10の発電電力PAがパワーコンディショナ(PCS)20の定格電力PB以下であり(ステップS101:Yes)、夜間である場合は(ステップS104:Yes)、コントローラ33は、双方向DC/DCコンバータ32のHVDC側電圧VEをV2の値に設定する(ステップS107)。この場合、夜間であるため、発電ユニット10の発電電力PAは0kWであり、MPPT制御DC/DCコンバータ41のHVDC側電圧VDは0Vである。
【0039】
次に、コントローラ33はモニタセル316により計測したOCVをモニタし、OCVが予め定めた閾値以下である場合は(ステップS108:Yes)、蓄電池31の蓄電量が十分でないため、蓄電池31の充放電を停止する(ステップS109)。OCVが予め定めた閾値より高い場合は(ステップS108:No)、コントローラ33が電池ユニット30を放電モードに設定することにより(ステップS110)、蓄電池31に蓄電されている電力が、双方向DC/DCコンバータ32を経由して、接続ユニット40に対して放電される(放電ステップ)。放電された電力は、パワーコンディショナ20により系統に送電される。
【0040】
その後、発電システム1の管理者等が充放電制御を終了させる操作を行っている場合は(ステップS111:Yes)コントローラ33は処理を終了する。一方、充放電制御を終了しない場合は(ステップS111:No)、ステップS101に戻り、発電電力のモニタを継続する。
【0041】
以上のように構成された発電システム1の動作について、
図4,5のフローチャートを用いて説明する。
図4は、日中の発電システム1の動作を示すフローチャートであり、
図5は、夜間の発電システム1の動作を示すフローチャートである。
【0042】
発電ユニット10の太陽光パネルは、朝になって日射を受けると、自動的に発電を開始する(ステップS201)。太陽光パネルの出力電圧がMPPT制御DC/DCコンバータ41の追従電圧範囲内に達すると、MPPT制御DC/DCコンバータ41のHVDC側電圧VDは、予め設定した電圧V1を維持する(ステップS202)。
【0043】
コントローラ33は、発電電力PAをモニタし、発電電力PAがパワーコンディショナ(PCS)20の定格出力PB以下である否かを判定する(ステップS203)。発電電力PAがパワーコンディショナ20の定格出力PB以下である場合には(ステップS203:Yes)、発電ユニット10の発電電力PAは全てパワーコンディショナ20経由で系統へ送電される(ステップS204)。
【0044】
このとき、コントローラ33は、電池ユニット30を充電モードに設定するが、双方向DC/DCコンバータ32のHVDC側電圧VEをMPPT制御DC/DCコンバータ41のHVDC側電圧VDと同じ電圧V1に設定しているため、VE≧VDとなり、充電されない(ステップS205)。
【0045】
発電ユニット10の発電電力PAが大きくなり、パワーコンディショナ20の定格電力PBを超えると(ステップS203:No)、発電電力PAのうち定格電力PBはパワーコンディショナ20により系統へ送電され(ステップS206)、(PA-PB)が余剰電力となる。
【0046】
このとき、コントローラ33は、電池ユニット30の動作モードとして充電モードを継続し、双方向DC/DCコンバータ32のHVDC側電圧VEをMPPT制御DC/DCコンバータ41のHVDC側電圧VDより低い電圧V2に設定する。これにより、VE<VDとなり、余剰電力は双方向DC/DCコンバータ32を経由して、蓄電池31に充電される(ステップS207)。
【0047】
次に、夜になると
図5に示す通り発電ユニット10の発電が停止し(ステップS301)、発電電力P
Aが0kWとなる。このとき、MPPT制御DC/DCコンバータ41は追従電圧範囲以下となるため、動作を停止しHVDC側電圧V
Dは0Vとなる(ステップS302)。
【0048】
夜間送電を実行しない設定にしている、又は、夜間送電を実行する時間帯を設定しておりその時間帯以外の時間であることにより、夜間送電を実行しない場合(ステップS303:No)、発電ユニット10の発電もなく、蓄電池31からの放電もないため、送電は停止される(ステップS304)。コントローラ33は、双方向DC/DCコンバータ32のHVDC側電圧VEをV1に設定し電池ユニット30を充電モードにすることにより、発電再開に備えるが、VE≧VDであるため、充電はされない(ステップS305)。
【0049】
夜間送電を実行する設定にしている、又は、夜間送電を実行する時間帯を設定しておりその時間帯内の時間であることにより、夜間送電を実行する場合(ステップS303:Yes)は、モニタセル316によりOCVを計測する。OCVが予め定めた閾値電圧Vthより大きい場合は(ステップS306:Yes)、コントローラ33は、双方向DC/DCコンバータ32のHVDC側電圧VEをV2に設定し、電池ユニット30を放電モードに設定する(ステップS307)。
【0050】
このとき、VE>VDとなることにより双方向DC/DCコンバータ32から放電された電力は、接続ユニット40を経由して、パワーコンディショナ20により系統へ送電される(ステップS308)。
【0051】
蓄電池31の放電が継続し、モニタセルのOCVが予め定めた閾値以下となった場合(ステップS306:No)、双方向DC/DCコンバータ32のHVDC側電圧VEをV2に設定した状態で電池ユニット30の充放電を停止する(ステップS309)。このため、パワーコンディショナ20から系統への送電は停止する(ステップS310)。
【0052】
このようにして、夜間には、蓄電池31であるRFBの電解液のモニタセル316のOCVを計測して蓄電量をモニタしつつ電池ユニット30全体の充放電制御を容易かつ確実に行うことができる。
【0053】
なお、本実施の形態の発電システム1は、接続ユニット40の充放電路43と電池ユニット30は任意に着脱可能である。つまり、充放電路43と電池ユニット30とが接続されて充放電可能な運転状態と、充放電路43と電池ユニット30とが切り離されて充放電を停止する運転状態と、に切り替えることができる。
【0054】
電池ユニット30が着脱可能な構成を有しているため、発電ユニット10で発電された電力を、接続ユニット40とパワーコンディショナ20とを経由して系統に直接送電する運用を継続しつつ、電池ユニット30を一時的に発電システム1から切り離して保守点検や電解液タンクの増減などを行うこともできる。
【0055】
また、既設の発電ユニット10及びパワーコンディショナ20に対して、新たに接続ユニット40及び電池ユニット30を接続する際には、まず既設の発電ユニット10からの配線を接続ユニット40の入力接続端子に接続し、接続ユニット40の出力接続端子を既設のパワーコンディショナ20の入力端に接続する。
【0056】
この状態で接続ユニット40の主送電路42のみを独立して有効にしておくことにより、日中の太陽光発電が開始した後、既設の発電ユニット10及びパワーコンディショナ20を従来通り運用することができる。次に、接続ユニット40と電池ユニット30とを接続して、電池ユニット30の試運転終了後は、既設の発電システムを電池付きの発電システム1として運転開始することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電システム1は、発電ユニット10が発電した電力のうち、パワーコンディショナ20が送電しない余剰電力を蓄電する電池ユニット30と、発電ユニット10、パワーコンディショナ20及び電池ユニット30を互いに接続する接続ユニット40と、を備える。電池ユニット30は、蓄電池31と、蓄電池31の充放電を切り替える双方向DC/DCコンバータ32と、蓄電池31及び双方向DC/DCコンバータ32を制御するコントローラ33と、を有する。接続ユニット40は、発電ユニット10で発電された電力のMPPT制御を行うMPPT制御DC/DCコンバータ41を有する。電池ユニット30のコントローラ33は、双方向DC/DCコンバータ32を制御することにより、MPPT制御DC/DCコンバータ41が出力する電力のうち余剰電力を電池ユニット30で充電し、又は、電池ユニット30で蓄電された電力をパワーコンディショナ20に対して放電することとした。これにより、既設の発電ユニット10に対して簡易な構成で蓄電機能を追加できるため、発電電力の無駄を防止し、運用開始後の設備にも柔軟に対応することが可能になる。つまり、既設の発電ユニット10及びパワーコンディショナ20の機器仕様を改修することなく、配線変更のみで容易に蓄電機能を有する発電システム1を構築することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る発電システム1において、電池ユニット30がレドックスフロー電池を含み、レドックスフロー電池のOCVをモニタし、OCVが予め定めた閾値以下である場合に、放電を停止することとした。これにより、蓄電池31であるレドックスフローの電解液のOCVを計測することによって蓄電池31全体の蓄電量をリアルタイムで容易かつ確実に把握でき、計測された数値を利用することにより適切な電池ユニット30の充放電制御ができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る発電システム1において、パワーコンディショナ20が第2のMPPT制御DC/DCコンバータを含み、接続ユニット40の主送電路に、電圧変動吸収ユニット44を挿入することとした。これにより、MPPT制御DC/DCコンバータ41(第1のMPPT制御DC/DCコンバータ)と、パワーコンディショナ20のMPPT制御DC/DCコンバータ(第2のMPPT制御DC/DCコンバータ)と、が干渉することによる電圧変動を吸収することができ、電池ユニット30の双方向DC/DCコンバータ32による充放電操作に悪影響を与えることを抑制できる。
【0060】
また、本実施の形態に係る発電ユニット10は、太陽光発電ユニットであり、電池ユニット30から接続ユニット40の主送電路42を経由した放電は、夜間に行われることとした。これにより、発電ユニット10が日中の晴天時に大電力を発電し、発電電力がパワーコンディショナ20の定格電力以上になるとき、系統に向けて上限量を送電しつつ、発電電力の余剰分は接続ユニット40を介して電池ユニット30で充電する。そして、夜間等、発電ユニット10が発電していないときに、蓄電された電力をパワーコンディショナ20に対して送電するため、発電電力の無駄を削減することができる。
【0061】
(実施例)
実施の形態に示した構成を有する発電システム1の実施例について、発電電力及び余剰電力の実測データを
図6に示す。
図6に示すように、発電ユニット10である太陽光パネルからの発電電力P
Aは、接続ユニット40のMPPT制御DC/DCコンバータ41により最大電力点で引き出される。
【0062】
発電電力PAのうち、パワーコンディショナ20の定格電力PBを超えた部分が、余剰電力(PA-PB)として、電池ユニット30の蓄電池31に充電される。そして、日没により発電が停止した後の夜間の予め定めた時間帯に、蓄電池31に蓄電されている電力を双方向DC/DCコンバータ32及び電圧変動吸収ユニット44を経由してパワーコンディショナ20に対して放電することができた。
【0063】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、この実施の形態は一例であり、本開示の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更又は応用が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 発電システム、10 発電ユニット、20 パワーコンディショナ(PCS)、30 電池ユニット、31 蓄電池、32 双方向DC/DCコンバータ、33 コントローラ、40 接続ユニット、41 MPPT制御DC/DCコンバータ(第1のMPPTDC/DCコンバータ)、42 主送電路、43 充放電路、44 電圧変動吸収ユニット、311 RFBスタック、312,314 電解液タンク部、313,315 ポンプ、316 モニタセル。