(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164431
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】台間機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A63F7/02 352F
A63F7/02 352L
A63F7/02 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069918
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川橋 佳樹
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC79
(57)【要約】
【課題】
正面から見てパチンコ機より奥に台間機を設置する場合であっても、遊技者の死角に入ることがなく、視認がし易い表示ユニット又は操作がし易いパネルを備え、かつ、紙幣搬送にも支障をきたすことのない台間機を提供することを課題とする
【解決手段】
紙幣搬送装置に接続される台間機であって、
少なくとも装置本体の一部を遊技者側に移動することができる移動本体部を備え、
前記移動本体部は、移動された状態であっても通電可能である
ことを特徴とする台間機。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣搬送装置に接続される台間機であって、
少なくとも装置本体の一部を遊技者側に移動することができる移動本体部を備え、
前記移動本体部は、移動された状態であっても通電可能である
ことを特徴とする台間機。
【請求項2】
前記移動本体部は、少なくとも上下方向の中間に位置する装置部分を遊技者側に移動することができる
ことを特徴とする請求項1に記載の台間機。
【請求項3】
前記移動本体部は、表示ユニットを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の台間機。
【請求項4】
前記表示ユニットは、当該表示ユニットの表示画面の向きを左右方向に変更可能である
ことを特徴とする請求項3に記載の台間機。
【請求項5】
前記移動本体部は、操作パネルを有する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の台間機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機間に設置され、パチンコ玉を貸し出すため等の処理をする台間機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機間に設置され、パチンコ玉を貸し出すため等の処理をする台間機において、液晶表示部が設けられているものがある。特許文献1に記載の台間機では、液晶表示部の表示画面の向きを左右方向に変更可能となるようにして、遊技者が液晶表示部を視認し易い位置を調整できるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、近年のパチンコ機は、遊技盤内に設置される盤上可動役物に加えて、遊技機の枠にも可動役物が配置されるようになり、遊技機枠が前方に大きく膨出したものも見られるようになってきている。特許文献1では、パチンコ機と台間機とが水平方向に見て略同面に配置されているが、前面が比較的に平坦に近い状態のパチンコ機だからこそ可能なのであって、遊技機枠が前方に大きく膨出したパチンコ機については、パチンコ機前面扉に設けられた膨出部と台間機とが、扉を開放することで干渉してしまう。干渉をさけるためには、正面からみて奥まった位置に台間機を設置するより他ないが、そうすると、パチンコ機前面扉の膨出部によって遊技者の死角に表示ユニットが入ってしまい、遊技者は表示ユニットを覗き込むようにしなければ表示内容を確認することができなくなってしまう(
図6参照)。また、奥まった位置に台間機が設置されていると、遊技者は必要なスイッチ類を操作するために、より奥まで手を延ばさなければならなくなる。
このことに関して、台間機を遊技者側により近い位置に移動可能に構成することが考えられるが、
図3に示されるように、台間機は紙幣搬送装置に対して接続具を介して連結されているため、前後に移動させようとしても容易にはできない。
このような状況に照らして、本発明は、正面から見てパチンコ機より奥に台間機を設置する場合であっても、遊技者の死角に入ることがなく、視認がし易い表示ユニット又は操作がし易い操作パネルを備え、かつ、紙幣搬送にも支障をきたすことのない台間機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の台間機は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
紙幣搬送装置に接続される台間機であって、少なくとも装置本体の一部を遊技者側に移動することができる移動本体部を備え、前記移動本体部は、移動された状態であっても通電可能であることを特徴とする。
ここで装置本体とは、操作スイッチや表示ユニットといった構成部品(パーツ)のことではなく、台間機の前面などの筐体の一部を含むものを意味する。つまり、移動本体部は、装置の前面の部分を伴ったままで移動するということである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の左側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る台間機やパチンコ機が配設される遊技場の島構造を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る台間機の表示ユニットを拡大した正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る台間機並びに対応するパチンコ機及び隣接するパチンコ機の平面図であって、隣接するパチンコ機の前面扉が開放されている様子を示した図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の平面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の左側面図であって、移動本体部を遊技者側へ移動させた状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の平面図であって、移動本体部を遊技者側へ移動させた状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る台間機の移動機構及び電気的接続構造を示す概念図である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明するが、以下の図面は説明を目的に作成された概念図であって、実施されるそのままの態様を必ずしも示しているものではないことに留意する必要がある。
【0008】
(前提となる台間機の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の正面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の左側面図である。図示されるように、パチンコ機1に対してサンドと呼ばれる台間機2が一対一で対応するように設置されている。
台間機2の上方には紙幣投入口22が、中間部には表示ユニット21が、下方にはカード投入口23が、それぞれ備えられている。紙幣投入口22に対応する部位の内部には、紙幣識別ユニットが収納されており、当該紙幣識別ユニットの後段は、これより説明する島の設備に接続される。
【0009】
図3は、複数の遊技台が設置される島と呼ばれる構造を示す概略図である。島100は、パチンコ機1、台間機2を有効に機能させるための設備として、紙幣搬送装置A、紙幣回収金庫B、台間機接続装置C等を備えている。一つの島100に、複数のパチンコ機1と台間機2とが交互に並べられた列が背中合わせに2列設けられ、この2列の間に紙幣搬送装置Aが列に沿って設けられている。台間機2に挿入された紙幣は、紙幣搬送装置Aに送られて、この紙幣搬送装置Aにより島100の下流端を構成する端板に設けられた紙幣回収金庫Bに搬送され、紙幣回収金庫Bにおいて必要な処理・識別等を行いつつ回収するようにされている。台間機2の稼働中は、台間機2と台間機接続装置Cとの接続は維持されなければならないため、台間機2を移動させることはできない。台間機2の移動はメンテナンス時などに限って行われる。
【0010】
台間機2の下方のカード投入口23に対応する部位の内部には、投入されたプリペイドカード又は会員カードの情報の読込ないし書込を行うカードリーダーライターユニットが収納されている。また、台間機2内の空いたスペースには、制御ユニット、カードストッカが収納されている。制御ユニットは、図示されない中継基板を介して、遊技店に設置されたホストコンピュータや、自身が遊技媒体の貸出を受け持つパチンコ機1との間で通信を行う。
【0011】
紙幣投入口22とカード投入口23との間の中間位置には、液晶表示ユニットから構成される表示ユニット21が設けられている。
図4は、表示ユニット21を拡大した正面図である。表示ユニット21は垂直軸を中心として左右に回動可能とされており、遊技者Pは自身にとって見やすい角度位置となるように表示ユニット21の向きを任意に調節することが可能である。
当該表示ユニット21は、台間機2の貸出情報や動作状態を表示したり、パチンコ機1の動作状態の表示やパチンコ機1と連携した演出上の表示を行ったりする。さらに、表示ユニット21は、ホストコンピュータから配信されるテレビ画像や広告画像等の表示も行う。表示ユニット21には、遊技媒体の貸出を受けるための貸出スイッチ23A、貯玉を用いて再プレイを行うときの再プレイスイッチ23B、カードを返却するための返却スイッチ23Cの3つのスイッチが設けられている。なお、これら3つのスイッチに代えて表示ユニット21をタッチパネルとして、種々の操作を行えるように構成してもよい。
【0012】
このような台間機2において、貸出操作がなされると、中継基盤を介してパチンコ機1に信号を送出する。当該信号を受けて、パチンコ機1は自身の賞球払出装置からパチンコ玉を貸し出す。このため、台間機2には、パチンコ玉を払い出すための機構そのものは備えられていない。
【0013】
ところで、台間機2の前面には、台間機2の筐体全体を前方に最大限引き出す際にロックを解除するためのシリンダー鍵(不図示)と筐体全体を前方に引き出す際に引き出しを容易とするためのフック部(不図示)が設けられている。これらシリンダー鍵やフック部は、台間機2が使用されている通常時においては用いられることなく、台間機2のメンテナンス時や紙幣の回収時においてのみ用いられる。そして、筐体全体が引き出された際には、後記するように、電源ラインが構造的に外れるように構成されているため、台間機2は動作できない状態となる。また、本実施例のシリンダー鍵及びフック部(いずれも不図示)は、パチンコ機1が設置されている施設である遊技場の関係者である店員等が、解錠操作をして図示しない引き出し用治具を引っかけて筐体全体を前方に引き出す等の操作を行えるようにするためのものである。
【0014】
(本発明の特徴的な構成)
本発明の実施形態に係る台間機の特徴的な構成は、
図5~8を通してみると、よく理解することができる。
図5は本発明の実施形態に係る台間機並びに対応するパチンコ機及び隣接するパチンコ機の平面図であって、隣接するパチンコ機の前面扉が開放されている様子を示した図である。
図6は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の平面図である。
図7は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の左側面図であって、移動本体部を遊技者側へ移動させた状態を示す図である。
図8は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の平面図であって、移動本体部を遊技者側へ移動させた状態を示す図である。
【0015】
図5に示されるように、表示ユニット21及び台間機2は、対応するパチンコ機1及び隣接するパチンコ機1に対して十分に奥まった位置に配置されているため、表示ユニット21の向きを台間機2に対して完全に寝かせるようにしておけば、パチンコ機1の前面扉を開放させたとしても、前面扉に設けられた膨出部と干渉することはない。一方で、このような表示ユニット21では、表示ユニット21の向きを台間機2に対して起立するようにしたとしても、
図6に示されるように、パチンコ機前面扉の膨出部によって生じる死角によって、遊技者Pは表示ユニットを覗き込むようにしなければ表示内容を十分に確認することができない。なお、
図6からは一見すると死角領域がもっと大きいように思えるかもしれないが、
図6に示されるパチンコ機1の最前部は、上端及び下端の最も前面に飛び出た箇所であり、一方、表示ユニット21はその約中間の高さ位置に配設されているため(
図2参照)、死角領域は凡そ図示の範囲であると考えて差し支えない。
【0016】
台間機2が貸出情報や動作状態を表示する役割を果たすだけであれば、このような配置関係でも一応は機能するであろうが、既に述べたように、本発明の実施形態に係る台間機2は、パチンコ機1の動作状態の表示やパチンコ機1と連携した演出上の表示も行うところ、遊技中に、表示ユニット21を視認できないとなれば、所望の機能を果たしていることにはならない。
【0017】
このことを解消するために、本発明の実施形態に係る台間機2は、少なくとも上下方向の中間に位置する装置部分が遊技者側に移動する構造とされている。操作スイッチといったパーツのみが移動できるという意味ではなく、装置本体が移動可能な構成となっている。
図7では、ハッチング部で示された領域の分だけ装置本体の一部分が前方に引き出されている。当該一部分には、表示ユニット21が設けられているため、引出された状態では、
図8に示されるように、死角領域がなくなり、遊技者Pは遊技中であっても表示ユニット21の表示画面を十分に視認することができるようになる。この引出し操作は、台間機2の前面に設けられている図示されない摘みを掴んで、手動で引き出すようにされている。また、センサや駆動機構を設けることによって、装置本体の一部分が自動的に前方に移動制御されるように構成してもよい。たとえば、対応するパチンコ機1ないしは対応座席に、遊技者Pが着座していることを感知するセンサを設け、遊技者Pが着座していることを感知し、かつ、隣接するパチンコ機1の扉センサが扉閉鎖の状態を検知していることを条件として、装置本体の一部分が前方へ移動するように構成するとよい。
【0018】
表示ユニット21が引き出された状態では、隣接するパチンコ機1の前面扉を開放しようとすると、台間機2と干渉してしまうので、扉を開放する際には、表示ユニット21を押し込むようにする。自動制御とする場合には、隣接するパチンコ機1の解錠動作を検知すると、そのことは扉が開く前兆ということになるため、装置本体の一部分が自動的に後方へ復帰移動するように構成すると便利である。
【0019】
(本発明の移動機構及び電気的接続構造)
図9は、本発明の実施形態に係る台間機の移動機構及び電気的接続構造を理解するための概念図である。機構や構造を説明するためのものであって、
図1や2に示される各構成部品(パーツ)の位置関係については必ずしも整合していないところもあるので留意されたい。
【0020】
図9に示されるように、移動本体部は、シリンダー鍵が解錠されていなくても、ホルダに固定された筐体本体に対して、移動本体部の天板に設けられたストッパが筐体内部の壁面に突き当たる位置まで引き出すことが可能である。また、移動本体部と本体接続コネクタはフレキシブルケーブルで接続されているため、引き出した状態であっても移動本体部には通電可能である。
【0021】
一方で、筐体全体はシリンダー鍵が解錠されないと、ホルダから引き出すことができないようにされている。そして、ホルダから筐体全体が引き出される際には、
図9に示される本体接続コネクタがホルダ接続コネクタから外れることになるため、台間機2の電源ラインは途切れる構造となっている。
【0022】
従来の台間機であっても、本体の一部は引出し可能であったわけであるが、引き出すという操作はメンテナンス時やカードの回収時のみにおいて生じる状況であり、その際に台間機2への通電は当然に行われない。一方、本発明では、表示ユニット21等への通電は、装置の一部を途中まで引き出した状態であれば可能である。このような特徴は、本発明の技術的思想を端的に表したものであると理解できる。また、本発明については解錠操作をしなくても、装置本体の一部を遊技者側に移動することが可能であり、このような観点によっても、本発明を捉えることが可能である。
【0023】
(別の実施例)
図10は、別の実施形態に係る台間機及び対応するパチンコ機の正面図である。台間機2の前面中ほどには、遊技媒体の貸出を受けるための貸出スイッチ23A、貯玉を用いて再プレイを行うときの再プレイスイッチ23B、カードを返却するための返却スイッチ23Cの3つのスイッチが設けられている。この台間機2は、演出などを表示するための液晶画面を備えておらず、貸出操作の確認等を行うためのパイロットランプ等を備えるに止まる仕様とされている。ただし、このような態様であっても、装置本体を遊技者側へ移動させることによって、遊技者Pは各種操作を行い易くなるため、本発明を適用する意義は十分にあるといえる。
【0024】
以上、本発明の実施形態に係る台間機について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
1………パチンコ機
2………台間機
21……表示ユニット
22……紙幣投入口
23……カード投入口
23A…貸出スイッチ
23B…再プレイスイッチ
23C…返却スイッチ
100…島
A………紙幣搬送装置
B………紙幣回収金庫
C………台間機接続装置