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特開2022-16446積層造形のための可撓性基板のシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016446
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】積層造形のための可撓性基板のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/124 20170101AFI20220114BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20220114BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220114BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220114BHJP
   B33Y 70/10 20200101ALI20220114BHJP
【FI】
B29C64/124
B29C64/264
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y70/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021174013
(22)【出願日】2021-10-25
(62)【分割の表示】P 2018534788の分割
【原出願日】2016-12-22
(31)【優先権主張番号】62/274,014
(32)【優先日】2015-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516373915
【氏名又は名称】フォームラブス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】FORMLABS,INC.
【住所又は居所原語表記】35 Medford Street, Suite No.1, Somerville, Massachusetts 02143 U. S. A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】フランツデール,ベン
(57)【要約】
【課題】複数の材料の層が形成される積層造形方法の提供
【解決手段】いくつかの態様によれば、構築プラットフォーム上に複数の材料の層が形成される積層造形方法が提供され、方法は、基板と接触し、かつ先に形成された材料の層または構築プラットフォームのいずれかと接触している材料の層を形成するステップであって、基板は化学線透過性で可撓性の複合材料である前記ステップ;および材料の層の形成に続いて、材料の層を基板から能動的に分離するステップを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築プラットフォーム上に複数の材料の層が形成される積層造形方法であって、
基板と接触し、かつ予め形成された材料の層または構築プラットフォームのいずれかと接触している材料の層を形成するステップであって、基板は化学線透過性で可撓性の複合材料である前記ステップ;および
材料の層の形成に続いて、材料の層を基板から能動的に分離するステップを含む、前記方法。
【請求項2】
複合材料が複数の材料を含み、複数の材料の各材料が実質的に同じ屈折率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複合材料が、第2の材料に埋め込まれた第1の材料と、第1および第2の材料の上に重ねられた第3の材料の層とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複合材料が、第2の材料に埋め込まれた第1の材料の繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
繊維が不織ガラス繊維である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第2の材料がポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
繊維が、基板の表面に平行な第1の軸に沿って大部分が整列される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
材料の層が、液体フォトポリマーを硬化させることによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板が50μm~200μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
基板が、構築プラットフォームに対向する開口部上に懸架される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
積層造形装置であって、
構築プラットフォームを垂直方向に移動させるように構成された1以上のアクチュエータに接続され、水平方向に平坦である構築表面を有する構築プラットフォーム;
その少なくとも一部が化学線透過性で可撓性の複合材料から形成された内面を有する容器;および
複合材料を通って化学線を構築表面上に向けるように配置された化学線源を含む、前記積層造形装置。
【請求項12】
容器を水平方向に移動させるように構成された1以上のアクチュエータをさらに含む、請求項11に記載の積層造形装置。
【請求項13】
容器の外面を横切って外面に接触しながら移動するように構成されたワイパーをさらに含み、外面が内面に対向する、請求項11に記載の積層造形装置。
【請求項14】
複合材料が、複数の材料を含み、複数の材料のそれぞれの材料が、実質的に同じ屈折率を有する、請求項11に記載の積層造形装置。
【請求項15】
容器が、容器を水平方向に移動させるように構成された1以上のアクチュエータに接続される、請求項11に記載の積層造形装置。
【請求項16】
複合材料が、第2の材料に埋め込まれた第1の材料の繊維を含む、請求項11に記載の積層造形装置。
【請求項17】
繊維が不織ガラス繊維である、請求項16に記載の積層造形装置。
【請求項18】
第2の材料がポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項16に記載の積層造形装置。
【請求項19】
複合材料が、50μm~200μmの厚さを有する、請求項11に記載の積層造形装置。
【請求項20】
複合材料が、構築プラットフォームに対向する開口部上に懸架される、請求項11に記載の積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「Systems And Methods Of Flexible Substrates For Additive Fabrication」と題された2015年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/274,014号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
積層造形、例えば、3次元(3D)印刷は、典型的には、構築材料の部分を特定の場所で固化させることによって、オブジェクトを造形する技術を提供する。積層造形技術は、ステレオリソグラフィー、選択的または熱溶解積層法、直接複合材製造(direct composite manufacturing)、薄膜積層法、選択相領域堆積、多相ジェット固化、弾道粒子製造、粒子堆積、レーザ焼結またはそれらの組み合わせを含み得る。多くの積層造形は、所望のオブジェクトの典型的な断面である連続する層を形成することによって部品を構築する。典型的には、各層は、予め形成された層またはオブジェクトが構築される基板のいずれかに接着するように形成される。
【0003】
ステレオリソグラフィーとして知られている積層造形の1つのアプローチでは、固体オブジェクトは、典型的には最初に基材上に、次に一つの上のもう一つという具合に、典型的には硬化性フォトポリマー樹脂の薄い層を連続的に形成することによって生成される。化学線への露光は液体フォトポリマーの薄い層を硬化させ、それを強化し予め硬化させた層または構築プラットフォームの底面に接着させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの態様によれば、構築プラットフォーム上に複数の材料の層が形成される積層造形方法が提供され、方法は、
基板と接触し、かつ先に形成された材料の層または構築プラットフォームのいずれかと接触している材料の層を形成するステップであって、基板は化学線透過性で可撓性の複合材料である前記ステップ;および
材料の層の形成に続いて、材料の層を基板から能動的に分離するステップを含む。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、複数の材料を含み、複数の材料のそれぞれの材料は、実質的に同じ屈折率を有する。
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、第2の材料に埋め込まれた第1の材料と、第1および第2の材料の上に重ねられた第3の材料の層とを含む。
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、第2の材料に埋め込まれた第1の材料の繊維を含む。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、繊維は不織ガラス繊維である。
いくつかの実施形態によれば、第2の材料はポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
いくつかの実施形態によれば、繊維は、基板の表面に平行な第1の軸に沿って大部分が整列される。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、材料の層は、液体フォトポリマーを硬化させることによって形成される。
いくつかの実施形態によれば、基板は50μm~200μmの厚さを有する。
いくつかの実施形態によれば、基板は、構築プラットフォームに対向する開口部上に懸架される。
【0008】
いくつかの態様によれば、積層造形装置が提供され、装置は、構築プラットフォームを垂直方向に移動させるように構成された1以上のアクチュエータに接続され、水平方向に平坦である構築表面を有する構築プラットフォーム;その少なくとも一部が化学線透過性で可撓性の複合材料から形成された内面を有する容器;および複合材料を通って化学線を構築表面上に向けるように配置された化学線源を含む。
いくつかの実施形態によれば、積層造形装置は、容器を水平方向に移動させるように構成された1以上のアクチュエータをさらに備える。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、積層造形装置は、容器の外面を横切って外面に接触しながら移動するように構成されたワイパーをさらに備え、外面は内面に対向している。
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、複数の材料を含み、複数の材料のそれぞれの材料は、実質的に同じ屈折率を有する。
いくつかの実施形態によれば、容器は、容器を水平方向に動かすように構成された1以上のアクチュエータに接続される。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、第2の材料に埋め込まれた第1の材料の繊維を含む。
いくつかの実施形態によれば、繊維は不織ガラス繊維である。
いくつかの実施形態によれば、第2の材料はポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、50μm~200μmの厚さを有する。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、構築プラットフォームに対向する開口部上に懸架される。
前述の装置および方法の実施形態は、上記または以下にさらに詳細に説明される態様、特徴、および行為の任意の適切な組み合わせによって実施され得る。本教示のこれらおよび他の態様、実施形態、および特徴は、添付の図面と併せて以下の説明からより十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は一定の縮尺で描かれることを意図しない。わかりやすくするために、各図面にはすべての構成要素にラベルを付けているわけではない。
【0013】
図1A図1Aは、いくつかの実施形態によるステレオリソグラフィックプリンタの概略図を提供する。
図1B図1Bは、いくつかの実施形態による、部品の複数の層を形成したステレオリソグラフィックプリンタの概略図を提供する。
図1C図1Cは、いくつかの実施形態による、ステレオリソグラフィックプリンタの表面から部品を分離するための機械的動作を示す。
図2】いくつかの実施形態による、接触表面としての使用に適した複合材料を示す図である。
図3】いくつかの実施形態による、接触表面としての複合材薄膜を利用するステレオリソグラフィックプリンタを示す図である。
図4A-B】いくつかの実施形態による、複合材薄膜を利用するステレオリソグラフィックプリンタの例示的な能動的分離動作を示す図である。
図4C】いくつかの実施形態による、複合材薄膜を利用するステレオリソグラフィックプリンタの例示的な能動的分離動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの積層造形技術は、固体材料が表面(「接触表面」と呼ぶ)と接触して形成される一方で、あらかじめ形成された固体材料および/または構築表面と接触しているプロセスを含む。かかる技術を用いるシステムでは、新たに形成された固体材料は、造形プロセスを継続し、追加の固体材料を形成するために、接触表面から分離されなければならない。
【0015】
接触表面に対して固体材料を形成するある種の積層造形システムでは、接触表面は、フォトポリマー樹脂のような液体フォトポリマーを保持する容器の内面の一部である。化学線の照射を適用してフォトポリマーを硬化させて固体にすることができ、これはいくつかの実施形態では接触表面を介して適用することができる。このように、いくつかのシステムでは、接触表面は化学線に対して透過性であり、接触表面と予め形成された固体材料または構築表面との間に位置する液体フォトポリマーに放射線を適用することができる。
【0016】
部品が接触表面(例示的な硬化した材料が接触する予め形成された固体材料または構築表面とは別の表面である)に対して形成される1つの例示的な積層造形技術を説明するために、例示的な逆ステレオリソグラフィックプリンタが図1Aおよび1Bに示されている。例示的なステレオリソグラフィックプリンタ100は、予め硬化された層または構築プラットフォームに加えて、部品の層がコンテナ106の表面と接触して形成されるように、構築プラットフォーム105上に下向きの方向に部品を形成するように構成される。図1Aおよび図1Bの例では、ステレオリソグラフィックプリンタ100は、構築プラットフォーム104、コンテナ106、軸108および液体フォトポリマー110を含む。構築表面105を有する下向きの構築プラットフォーム104は、フォトポリマー110を含有するコンテナ106の内面(「床」)に対向する。図1Aは、造形表面105上に部品の任意の層を形成する前のステレオリソグラフィックプリンタ100の構成を示す。
【0017】
図1Aに関連する造形の次の段階を表す図1Bに示すように、部品112は層状に形成され、初期層は構築プラットフォーム104の表面105に取り付けられる。コンテナの床の少なくとも一部は、コンテナの床に置かれた液体光硬化性フォトポリマーの薄層の部分を標的とすることができる化学線122に対して透過性であってもよい。化学線への露光は液体フォトポリマーの薄層を硬化させ、それは固くなる。新たに形成された固体材料の層114は、形成されたときに予め形成された層とコンテナ106の表面の両方と少なくとも部分的に接触している。
【0018】
硬化したフォトポリマー層の上面は、典型的には、構築プラットフォーム104の底面、またはコンテナの表面に加えて予め硬化したフォトポリマー層のいずれかに結合(bond)する。層114の形成に続いて部品の追加の層を形成するためには、コンテナと層との間に生じるいかなる結合も壊されなければならない。例えば、層114の表面(または表面全体)の1以上の部分は、次の層の形成前に接着が除去されるように、コンテナに接着してもよい。
【0019】
本明細書で使用される表面からの部品の「分離」は、部品を表面に接続する接着力および/または吸引力(真空力)の実質的緩和を指す。接着力は、例えば、硬化した材料と表面との間の化学結合によって生じ得る。吸引力は、例えば、硬化した材料と表面との間の液体の流れに抗する力によって生じ得る。どの力が部品を表面に接続しているかに関わらず、本明細書で使用されるように、部品と表面は分離されてもよいが、それにもかかわらず、それらを互いに接続する力がもはや存在しない限り、分離の直後に、依然として互いに(例えば、縁部および/またはコーナーで)接触していてもよいことが理解されよう。また、部品と接触表面との間の最小限の力(例えば、一部の液体が部品と表面との間を通過したとしても吸引力が最小限に抑えられる)が分離後に存在してもよいことも理解されよう。
【0020】
硬化した材料と接触表面との間の結合の強度を低下させるための技術は、硬化プロセスを阻害すること、または非常に滑らかな接触表面を作製することを含むことができる。しかしながら、多くの使用例では、硬化したフォトポリマー層を接触表面から除去するためには、少なくともいくらかの力を加えなければならない。例えば、コンテナを回転させることにより、コンテナを部品112から機械的に分離することによって、力を加えることができる。図1Cは、コンテナの片側の固定軸108を中心にコンテナ106を旋回させることによってコンテナから部品を分離する例示的なステレオリソグラフィックプリンタ100を示しており、それにより、それによりコンテナの端部を固定軸に対して距離118(任意の好適な距離でよい)だけ変位させる。
【0021】
このステップは、部品112から離れるようにコンテナ106を回転させてコンテナから層116を分離し、その後コンテナを部品に向かって回転して戻すことができる。さらに、構築プラットフォーム104は、部品とコンテナとの間に液体フォトポリマーの新しい層の空間を作り出すために、コンテナから離れるように移動することができる。この動作に続いて、新たな液体フォトポリマーの層が、露光および形成される部品に追加されるために利用できる。前述の硬化および分離プロセスの各ステップは、部品が完全に生成されるまで継続することができる。上述したステップのように、部品とコンテナベースとを徐々に分離することにより、部品とコンテナとを分離するのに必要な最大の力および/または合力を最小にすることができる。
【0022】
しかしながら、上述のプロセス中に部品に力を加えることにより、複数の問題が生じることがある。例えば、いくつかの用途では、部品自体に力が加えられてもよく、部品自体を介して力が加えられてもよい。部品に加えられる力は、場合によっては、部品をコンテナではなく構築プラットフォームから分離させ、造形プロセスを中断させる可能性がある。用途によっては、部品に加わる力が部品自体の変形や機械的故障の原因となることがある。
【0023】
本発明者は、分離プロセスに関する上記の問題は、接触表面として可撓性薄膜を利用することによって軽減または排除され得ることを認識し理解した。可撓性膜は、フォトポリマーへの化学線の適用中に実質的に平坦になるように配置され、その後変形されて新たに硬化した材料を膜から分離することができる。薄膜の可撓性のために、部品を膜から分離するのに必要な力は、剛性表面から部品を分離するときに経験される力よりもはるかに低くなり得る(例えば、図1Cの例のように)。いくつかの実施形態によれば、薄膜は、その周囲の複数の点にアンカーされ、それにより、開口部上に懸架され得る。
【0024】
本発明者は、積層造形において使用するのに適するために、薄膜が以下に記載される多くの特性を示すことが望ましいことをさらに認識し理解した。第1に、膜は、重大な構造的損傷を受けることなく繰り返しの変形を経験するのに十分な機械的強度を有することが望ましい。第2に、膜は、酸素などのフォトポリマー硬化阻害剤にいくらかの浸透性を示すことが望ましい。この特性を有する材料は、その表面でのフォトポリマー硬化を阻害することが見出されており、硬化したフォトポリマー層と界面における硬化の減少により表面間の力を減少させる。第3に、化学線が接触表面を通って導かれ、薄膜が化学線に対して透過性である態様が望ましい。
【0025】
本発明者はさらに、この特定の性質の組合せを示す材料はほとんどないことを認識し理解している。例えば、テフロン(登録商標)ファミリーの材料、または他のポリテトラフルオロエチレンベースの配合物は、場合によっては、薄膜を構築するために利用され得る。しかしながら、このような材料は、可撓性薄膜の製造を可能にする機械的特性を有することができるが、それらはまた、限定された酸素拡散係数および限られた化学線透過性を提供するだけである。さらに、上記カテゴリーの製品は、所望の品質において費用対効果が良くないかもしれない。
【0026】
本発明者は、構成材料が単独でこれらの特性の全てを示すことはできないが、少なくとも2つの材料を含む複合材料が、機械的強度、阻害剤に対する光透過率および浸透性の望ましい特性を示し得ることをさらに認識し理解した。例えば、非可撓性材料を可撓性材料と一体化して可撓性複合材料を製造することができる。これらの技術は、上述した望ましい特性のうちの1以上が欠如しているために他の点で考慮され得ない積層造形における薄膜における使用のための材料の検討を可能にする。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、液体フォトポリマーを保持する容器の内面の一部または全部を、複合材料から製造された薄膜から形成することができる。容器の内面の少なくとも一部として可撓性の薄膜を使用することにより、離散的な数の辺ではなくむしろ、部品と膜との間の接触領域の外縁の大部分または全部から剥離縁部を内側に伝搬させることによって、形成される部品に加えられる全体的な力を減少させることができる。薄膜は、剛性または可撓性ビーム(例えば、図1A図1Cの例で上述したコンテナ106が可撓性ビームのように挙動する)ではなく、薄いシートのように動作するように構成されてもよい。薄膜は、能動的および/または受動的手段によって部品から分離されてもよい。例えば、能動的手段は、剥離縁部を起こすおよび/または広げるために薄膜を引っ張ることができる。代替的に、または追加的に、構築プラットフォームの動作などの受動的手段を実施して、部品からの膜の剥離を起こすおよび/または広げることができる。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、第1および第2の材料を含むことができ、第1の材料は、第2の材料よりも高い引っ張り強度などの優れた機械的特性を有し、第2の材料は、第1の材料より優れた光透過率および/または硬化阻害剤(例えば、酸素)浸透性を有する。従って、2つの材料の組み合わせは、上に概説したような一組の所望の特性を提供することができる。このような複合材料は、上に概説した第1および第2の材料に加えて、任意の数および種類の材料を含むことができる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、積層造形装置における接触表面として利用される薄膜は、第1の材料の複数の離散的な片が第2の材料内に埋め込まれた複合材料から形成することができる。第1の材料の片は、微小球、マイクロファイバー等またはナノチューブ、ナノロッドのような任意の適切なスケールで、例えば、球体、繊維、チューブ、ロッドなどであってもよい。かかる複合材料は、第2の材料の浸透性を変えないように、第1の材料の離散的な片が適切にまばらに配置されている場合には、第2の材料のそれに匹敵する酸素のような硬化阻害剤への透過性を示す。さらに、第1の材料は、第2の材料よりも高い引張強度および/または高い弾性率を有する場合、第1の材料が追加の機械的強度を提供し得るので、この複合材は第2の材料単独よりも大きな機械的強度を有することができる。最後に、複合材は、第1の材料と第2の材料の両方が化学線的に透過性である、化学線透過性であってもよい。第1の材料と第2の材料の屈折率が実質的に類似している場合には、複合材は光を著しく拡散させないこともある。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、複合材料は、実質的に線状、クロスハッチ、または織り込まれたものを含む、ランダムに整列された、または様々な方法で構造化された繊維からなる繊維材料を含むことができる。前記繊維質材料は、有利には、少なくとも1プライの繊維からなることができる。いくつかの実施形態では、繊維材料のレイアウト、密度、および構成は均一であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、第1の材料の複数の離散的な片が第2の材料内に埋め込まれた複合材料は、第1の材料の片のランダムまたは非ランダムな配置を示すことができる。ランダムな配置は、表面に平行な任意の与えられた軸に沿って実質的に等しい機械的強度を有する複合材を生成し得る。あるいは、第1の材料の片が主軸に沿って大部分が整列される場合、これは、他の軸に沿った機械的強度と比較して、その軸に平行な異なる機械的強度を生じ得る。非ランダムまたは整列された配置は、例えば一方向において他の方向よりも可撓性のある薄膜を生成するために利用され得る。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、第1の材料の複数の離散的な片が第2の材料内に埋め込まれた複合材料は、異なる機械的特性などの異なる物理的特性を有する区域を示すことができる。各区域は、異なる場所における物理的特性を変えるために、第1の材料のレイアウト、密度、および/または構成を変えることができる。複合材料は、例えば、異なる領域における第1の材料の片の異なる数密度、充填率、質量密度および/または整列で製造することができ、様々な物理的特性が複合材料の表面にわたってどのように変化するかを制御する。例えば、第1の材料の密度は、複合材料のシートの縁部の周りで増加して、付着点における引張強さを増加させ、化学線が通過すると予想される領域における引張強度を減少させることができる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、複合材料の化学線の望ましくない回折を阻害するために、複合材の構成部分は実質的に同様の屈折率を有することができる。理想的には、構成要素の屈折率は一致するが、膜の薄い厚さと、積層造形装置で許容され得る回折の程度のために、得られる複合体が利用される厚さにおいて実質的に透明である限り、指標は同一である必要はない。複合材料の全ての構成成分の屈折率は、一般に0%~20%、または0%~10%、または0%~5%で異なっていてもよいが、特定の例についてはさらに後述する。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、複合材料から形成された薄膜は、薄膜が適合性である物質を増加させる適用される表面層を有することができる。例えば、複合材料は、特定の物質に暴露されたときに望ましくない反応または変質をこうむる傾向があり得る。このようにして、複合材料はこれらの物質と不適合であると言われている。このように、表面層は、複合材料の他の望ましい特性、例えば化学線に対する透過性および硬化阻害剤に対する浸透性を維持しながら、そのような物質と適合する材料であるように選択することができる。「Multi-Material Separation Layers for Additive Fabrication」と題された、2016年11月8日に出願された米国仮特許出願第62/419,375号に記載されているように、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、このような表面層の材料はポリメチルペンテン(PMP)である。
【0035】
積層造形の間に表面から部品を分離するためのシステムおよび方法に関連する様々な概念およびその実施形態のより詳細な説明を以下に示す。本明細書に記載された様々な態様は、多数の方法のいずれかで実施され得ることを理解されたい。特定の実施形態の例は、例示的な目的のためだけに本明細書に提供される。さらに、以下の実施形態で説明される様々な態様は、単独で、または任意の組み合わせで使用されてもよく、本明細書に明示的に記載された組み合わせに限定されない。
【0036】
本明細書の実施形態は、本出願の譲受人であるFormlabs,Inc.によって販売されているForm1+3Dプリンターおよびステレオリソグラフィーに関して主に開示されているが、本明細書に記載の技術は、他のシステム(DLP)システムおよび/または固体材料が予め製造された固体材料または構築表面以外の表面と接触して製造される他の任意のシステムを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるような1以上の積層造形技術を介して製造される構造は、複数の層から形成されてもよく、または複数の層を含んでもよい。例えば、層ベースの積層造形技術は、オブジェクトの観察によって検出可能な一連の層を形成することによってオブジェクトを製造することができ、このような層は、10ミクロンと500ミクロンの間の任意の厚さを含む任意のサイズとすることができる。いくつかの使用例では、層ベースの積層造形技術は、異なる厚さの層を含むオブジェクトを製造することができる。
【0037】
図2は、いくつかの実施形態による、接触表面としての使用に適した複合材料を示す。複合材料230は、第1の材料の繊維が第2の材料に埋め込まれた複合材料の一例である。上記のように、第1の材料も第2の材料もこれらの特性の全てを個々に示すことはできないが、この機械的特性、硬化阻害剤に対する浸透性の望ましいレベル、および化学線に対する透過性を有する複合材料を生成することができる。
【0038】
図2の例では、第1の材料の複数の不織の不規則な繊維が、厚さdを有する第2の材料232の層内に厚さtを有する層(または「プライ」)内に配置されている。例示的な繊維231が図に示されている。得られた複合材料の断面を図に示す。繊維は、図示された断面の平面を通る方向を含む任意の方向にランダムに配向され得ることが理解されるであろう。
【0039】
いくつかの使用例では、第2の材料232の厚さは、繊維材料のプライと実質的に同じ厚さであってもよい。すなわち、厚さdは、tに等しいか、またはほぼ等しいことができる。あるいは、第2の材料は、図2に示すように、第1の材料よりも厚くてもよい(ここで、d>t)。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、積層造形装置における薄膜として使用される複合材230の適切な厚さは、50μm~500μm、または75μm~300μm、または100μm~200μm、または50μm~150μm、または300μm未満である、厚さdを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の材料は、ガラス繊維のベール(fiberglass veil)と呼ばれることがあるガラス繊維組織として知られている不織布のガラス繊維材料であってもよい。 前記ガラス繊維組織は、低密度の繊維を有する1プライを実質的に有する、ランダム繊維マトリックスの状態に一緒に結合されたガラス繊維を有する不織ガラス繊維材料である。いくつかの実施形態では、前記ガラス繊維組織は、25μm~500μm、または25μm~250μm、または50μm~300μm、または75μm~150μm、または300μm未満の厚さtを有することができる。
【0042】
第1の材料が不織ガラス繊維材料であるいくつかの実施形態によれば、繊維は0.1オンス~0.5オンス/平方ヤード(例えば、0.3オンス/平方ヤード)の密度を有することができるが、他の実施形態では、より厚いおよび/または重いガラス繊維組織から成りことができ、平方ヤードの重量は、1平方ヤードあたりの繊維の密度の間接的な測定値の一部である。しかしながら、一般に、得られる複合材膜に十分な機械的強度を与えることができる最も薄くて最も軽いガラス繊維組織を選択することが有利であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の材料は、上述の不織ガラス繊維、不織高密度ポリエチレン(Tyvekとして一般に入手可能)、および/または開口面積50%以上、線径0.15”以下のタイプ304ステンレススチールワイヤークロスなどの不織布などの複数の異なる繊維材料を含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、第2の材料232は、ポリマー、テフロン(登録商標)様材料、および/またはポリジメチルシロキサン(PDMS)のようなシリコーンゴムを含むことができる。例えば、第2の材料232は、Sylgard 184として市販されているPDMS配合物を含むことができる。上述したように、第2の材料は、酸素の容易な浸透性および第2の材料を通した化学線の透過性を有利に可能にする。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、複合材料230の酸素浸透性は、第2の材料232の酸素浸透性と等しいか、またはほぼ等しいことができる。例えば、複合材料230の酸素透過率は、第2の材料232の酸素透過率の10%以内、5%以内、または2%以内であってもよい。いくつかの実施形態によれば、複合材料230の酸素透過率は、100barrer~500barrer、または200barrer~500barrer、または300barrer~600barrerである。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、複合材料中の繊維231は、得られる複合材料を通して伝搬する化学線に対して透過性であってもよい。しかしながら、繊維材料は、いくつかの実施形態では、複合材の第2の材料よりも望ましくない光学特性がある場合がある。機械的補強を提供するのに最低限必要な繊維の密度および幅を最小限に抑えることによって、これらのあまり望ましくない光学特性を最小化することができる。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、屈折効果によって化学線が薄膜内で散乱される程度を最小限に抑えるように、第1および第2の材料の屈折率間の差を最小にするように第1および第2の材料を選択することが有利である。しかしながら、多くの用途において、膜の薄いサイズおよび/またはフォトポリマーの活性光学領域に対する薄膜の近接性は、散乱された化学線は、露光されたフォトポリマー内でブロックされるか、そうでなければ吸収される前に、理想的な位置から僅かな距離だけ発散する可能性があるため、積層造形プロセスに対して散乱および屈折効果を重要ではない(または最小限の効果を有する)ようにすることができる。例えば、複合材料230は、厚み方向に5°以下に広がる化学線を拡散させることができる。
【0048】
それにもかかわらず、複合材230の第1および第2の材料をある程度一致させる指標が有益であり得る。例えば、第2の材料が約1.41の屈折率を有するPDMSである場合、第1の材料の屈折率は、1.3~1.6、または1.3~1.55、または1.35~1.55、または1.3~1.45、1.35~1.45である。
【0049】
いくつかの実施形態では、第2の材料は、複合材料232を製造するために、液体形態で第1の材料上に堆積され得る1つであり得る。例えば、複合材料は、第1の材料の繊維を液体の形態の第2の材料の層に配置し、その後、第2の材料を硬化または固化させて、第1の繊維材料が埋め込まれたマトリックスなどの第2の材料内に実質的に含まれるようにする。
【0050】
図3は、いくつかの実施形態による、接触表面としての複合材薄膜を有するステレオリソグラフィックプリンタを示す。図3に示すように、複合材料232は、積層造形装置300内の薄膜として使用される。薄膜232は、開口部の上に膜を懸架する支持体320によってアンカーされる。薄膜230およびアンカー320は一緒になって、フォトポリマー310を保持する容器を形成する。フォトポリマー310の領域を硬化させるために、化学放射線源322が薄膜を介して適用されてもよい。
【0051】
上述したように、薄膜は、複合材の構成材料の密度、レイアウトなどの変動により、異なる領域において異なる特性を示す複合材から形成されてもよい。図3の文脈における1つの例示的な実施例として、薄膜230は、アンカー320に比較的可撓性が低く(より剛性)、薄膜およびアンカーによって形成された容器の内部領域において比較的より可撓性であるように構成することができる。例えば、薄膜が第2の材料に埋め込まれた繊維から形成された複合材である場合、繊維は内部領域の密度と比較して薄膜の外部領域の周りでより高い密度を有することができる。
【0052】
アンカー320は、アクリルなどの剛性材料を含むことができる。薄膜230は、造形プロセスを通じて構造的完全性を維持するのに十分なほど厚く、本明細書に記載されているように部品から容易に除去できるほど薄いように、任意の適切な厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、薄膜は、50μm~500μm、または75μm~300μm、または100μm~200μm、または50μm~150μm、または300μm未満の厚さを有する。薄膜230は、アンカー320に固定されてもよく、またはそれらの間に調整可能に張力をかけられてもよい。
【0053】
図3の例で硬化したフォトポリマーの層が形成されると、現在知られているかまたは後に発見された能動的および/または受動的手段の任意の組み合わせを用いて、薄膜の接触面を硬化したフォトポリマーから分離することができる。いくつかの実施形態では、構築プラットフォーム304を上に(すなわち、薄膜から離れるように)動かすことができ、それによって接触領域で薄膜を上方に曲げ、接触領域に力を及ぼし、最終的にフィルムから部品を分離する。同様に、いくつかの実施形態では、薄膜230およびアンカー320によって形成された容器を下方に(すなわち、構築プラットフォームから離して)移動させることができ、それによって、薄膜をその周囲で下方に曲げ、接触領域に力を及ぼし、最終的にフィルムから部品を分離する。
【0054】
いくつかの実施形態では、薄膜230およびアンカー320によって形成された容器は、横方向に(例えば、構築プラットフォーム304の構築表面に平行に)移動させることができ、それによって、薄膜と硬化したフォトポリマーとの間の接触領域に対して、フォトポリマーの表面に実質的に平行に力を加え、最終的にフィルムからその部分を分離する。薄膜230の硬化したフォトポリマーからの分離を行うための上記の技術の任意の適切な組み合わせ(例えば、構築プラットフォームの垂直方向の動きと同時に容器の横方向の動き)も採用されてもよいことが理解されよう。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、硬化したフォトポリマーからの薄膜230の分離は、分離を助けるために接触領域に付加的な力を加えるワイパーを利用することができる。そのようなワイパーによって加えられる力を含む分離は、上述の分離手段の1以上を同時にまたは連続して適用してもしなくてもよい。
【0056】
図4A図4Cは、いくつかの実施形態による、ワイパーを含む積層造形装置によって、硬化したフォトポリマーの領域から薄膜を分離するプロセスを示す。例示的な積層造形装置400は、薄膜422と、フォトポリマー410を保持するアンカー420とから形成された容器を含む。薄膜422は、上述したような複合材料から形成することができる。
【0057】
例示的な積層造形装置400は、「Improved Peel for Stereolithography」と題された、2014年8月18日に出願された米国特許出願第14/462,551号に開示されたワイパーを含み得るワイパー424をさらに含み得るものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ワイパーは可撓性膜の下面を横切って移動して、膜を部品から分離するのを助けることができる。
【0058】
図4Aに示すように、部品412の硬化したフォトポリマー414の層は、造形プロセス中にコンテナの可撓性床422に接着することができる。図4Bに示すように、構築プラットフォームおよび部品は、膜422を変形させる接着力で上方に持ち上げることができる。可撓性膜422は、部品の上方への移動およびコンテナ床の下方への引っ張りによって必要な分離力が発生するまで、部品で上方に撓むことができる。次いで、図4Cに示すように、機械的剥離が部品の外縁部で始まり、部品が分離されるまで内向きに広がる。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、ワイパー424などのワイパーを使用するものを含む機械的剥離操作は、1以上のプロセッサーを有する1以上のコンピューティング装置によって制御することができる。コンピューティング装置は、実行されると、積層造形装置(例えば、装置100および/または400)に機械的剥離動作を実行させる命令を含むことができる。このような操作は、新しく形成された層に向かっておよび/またはそこから離れるように構築プラットフォームを移動させること、フォトポリマーが配置されているコンテナ(例えば、コンテナ422)を回転させること、および/または可撓性フィルムの表面を横切ってワイパーを動かすことを含む。コンピューティング装置は、例えば、積層造形装置内に収容されてもよく、または積層造形装置に動作を実行するための命令を送信してもよい。したがって、このようなコンピューティング装置は、自動剥離プロセスを含むことができる積層造形装置の自動化された動作を提供することができる。
【0060】
いくつかの使用例では、可撓性薄膜422を使用すると、液状フォトポリマーの重量と、構築プラットフォームおよび部品の力が膜の望ましくない「たるみ」変形を引き起こすことがある。かかるたるみは、ワイパーの使用によって部分的に対処され得る。図4A図4Cの例では、ワイパー424は、図4Cに示すように、分離後に膜422の下側を横切り、膜を部品の底部または構築プラットフォームに向けて持ち上げ、構築プラットフォーム404と容器との間の液体フォトポリマーの均一な厚さを確保するために、各構築層の前にフィルムを位置決めする。いくつかの実施形態によれば、ワイパー424は、構築プラットフォーム404の表面と十分に平行になるまで、膜からたるみを押し出しながら、容器の一方の側から他方の側へ移動することができる。
【0061】
ワイパー424は、図4A図4Cにおいて円筒形ローラーとして示されているが、ワイパーは、任意の適切な形状であってもよく、一方の側から他方の側へ、またはフロントガラスワイパーのような調整されたピボット運動のような任意の適切な方法でフィルム床を横切って進行してもよい。この動作に続いて、部品の層を製造するのに適したフォトポリマーの深さが、膜と、構築プラットフォーム404または製造が開始された後の部品412のいずれかとの間に生成されてもよい。いくつかの実施形態では、ワイパーは、最小限の摩擦力で円滑に加速するように膜の下を進むことができる。ワイパーをあまりにゆっくりと動かすと、膜422がワイパーの背後で再び垂れ下がる可能性があるが、ワイパーをあまりに速く動かすと、ブレードが加速するときに望ましくない摩擦が生じる可能性がある。いくつかの実施形態では、ワイパー速度は、65mm/s~75mm/sであってもよい。
【0062】
本発明の実施形態は、薄膜としての適用に特に有利であり得るが、ステレオリソグラフィック積層造形に関連する他の用途もまた可能であり得る。一例として、PDMSの材料特性を増加させるか、または他の方法で変更するために、繊維材料の導入によって、タンクキャリア(tank carriers)材料をコーティングするために使用されるより厚い層などのPDMSの従来の用途も強化され得る。
【0063】
様々な発明概念を、1以上の方法として実施することができ、その例は提供されている。例えば、積層造形の間に表面から部品を分離する方法がここに提供されている。本明細書に記載された方法の一部として実施される行為は、任意の適切な方法で発注することができる。したがって、例示的な実施形態では、これらの行為が順次行為として示されたとしても、いくつかの行為を同時に実行することを含む、行為が図示とは異なる順序で実行される実施形態が構築されてもよい。
【0064】
本明細書において定義され、使用される全ての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書の定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御すると理解されるべきである。
本明細書で使用する不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0065】
本明細書で使用される場合、1以上の要素のリストを参照して、「少なくとも1つの」という語句は、要素のリスト内の任意の1以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであり、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙された各要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを排除するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つの」という語句が指し示す要素のリスト内で具体的に特定される要素以外に、要素が任意に存在することを可能にする。
【0066】
本明細書で使用される「および/または」という語句は、そのように連結された要素、すなわち、場合によっては連結的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素の「一方または両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」と列挙された複数の要素は、同じように、すなわちそのように連結された要素の「1以上」と解釈されるべきである。具体的に特定された要素と関連するかどうかにかかわらず、「および/または」句によって具体的に特定される要素以外の他の要素が任意に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」のような開放型言語と併せて使用される場合、「Aおよび/またはB」への言及は、一実施形態ではAのみ(任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(必要に応じて、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(必要に応じて他の元素を含む);などに言及することができる。
【0067】
本明細書で使用される「または」は、上で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈されるべきであり、すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが、必要に応じて追加のリストにない項目を追加する。「~の1つのみ」または「~のちょうど1つ」のように、逆に明示された用語のみが、数または要素のリストの正確に1つの要素を含むことを指す。一般的に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「~の1つ」、「~の1つだけ」または「ちょうど1つ」などの排他的な用語によって先行される場合、排他的な代替物(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとして解釈される。
【0068】
本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定的であると見なされるべきではない。「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「包含する(involving)」、およびそれらの変形の使用は、その後に列挙されるアイテムおよび追加のアイテムを包含することを意味する。本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明してきたが、当業者には様々な改変および改良が容易に思い浮かぶであろう。
【0069】
例えば、表面から積層造形によって形成された部品の一部を分離する技術が記載されている。これらの技法は、他の文脈で適用されてもよい。例えば、形成される部品の一部が、部品の別の部分または構築プラットフォーム以外の表面に何らかの形で取り付けられる任意の積層造形プロセスは、本明細書で説明される技術を利用することができる。そのような改変および改良は、本発明の精神および範囲内にあることが意図される。したがって、前述の説明は単なる例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A-B】
図4C
【手続補正書】
【提出日】2021-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【外国語明細書】