(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164468
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】外径計測システム及び外径計測方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/08 20060101AFI20221020BHJP
G01B 11/12 20060101ALI20221020BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20221020BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
G01B11/08 Z
G01B11/12 Z
G01B11/06 Z
G01B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069973
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】坂野 肇
(72)【発明者】
【氏名】渋川 文哉
(72)【発明者】
【氏名】水崎 紀彦
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA17
2F065AA26
2F065AA27
2F065AA30
2F065BB08
2F065FF11
2F065GG04
2F065MM02
2F065MM24
2F065PP03
2F065PP25
2F065QQ17
2F065RR08
(57)【要約】
【課題】効率的にコイルの外径を計測することができる外径計測システムを提供する。
【解決手段】外径計測システム1は、トロリー4と、距離センサ6と、センサ情報取得部111と、厚さ情報算出部112と、外径算出部113とを備える。トロリー4は、荷を吊り上げて搬送する。距離センサ6は、荷が支持部により支持されて、床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、荷の最上位点までの距離を計測する。センサ情報取得部111は、距離センサ6で計測された距離情報を取得する。厚さ情報算出部112は、距離情報と、距離センサの計測基準から爪部の支持面までの長さと、に基づいて、荷の厚み部の厚さを算出する。外径算出部113は、厚み部の厚さと、記憶部120に記憶された荷の内径情報と、に基づいて、荷の外径を算出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と平行な平面上で移動し、中心軸が前記床面と平行な円筒形の荷を吊り上げて搬送するトロリーと、
前記トロリーに昇降自在に設置され、前記荷に設けられた孔部に爪部を挿入して前記荷を支持する支持部と、
前記支持部における前記爪部の重心位置を通る前記爪部の挿入方向と、前記爪部の重心位置を通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設置され、前記荷が前記支持部により支持されて、前記床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、前記荷の最上位点までの距離を計測する距離センサと、
前記距離センサで計測された距離情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記距離情報と、前記距離センサの計測基準から前記爪部の支持面までの長さと、に基づいて、前記荷の厚み部の厚さを算出する厚さ情報算出部と、
前記厚さ情報算出部で算出された前記厚み部の厚さと、記憶部に記憶された前記荷の内径情報と、に基づいて、前記荷の外径を算出する外径算出部と、
を備える外径計測システム。
【請求項2】
前記荷の前記内径情報は、前記荷を作成する巻き取り装置の仕様によって定まる情報であって、あらかじめ前記記憶部に格納された情報である、請求項1に記載の外径計測システム。
【請求項3】
前記荷の前記内径情報を算出する内径算出部をさらに備え、
前記支持部は、前記爪部の前記支持面から前記荷の前記孔部の内径最下位点までの距離を計測する内径用距離センサを有し、
前記センサ情報取得部は、前記内径用距離センサで計測された内径距離情報をさらに取得し、
前記内径算出部は、前記内径距離情報に基づいて、前記内径情報を算出し、前記記憶部に格納する、
請求項1に記載の外径計測システム。
【請求項4】
前記支持部は、前記荷の前記孔部の両端から前記爪部を挿入して前記荷を把持するトングである、請求項1から3のいずれか一項に記載の外径計測システム。
【請求項5】
コンピュータによって実行される外径計測方法であって、
床面と平行な平面上で移動し、中心軸が前記床面と平行な円筒形の荷を吊り上げて搬送するトロリーであって、前記荷に設けられた孔部に爪部を挿入して前記荷を支持する支持部を備える前記トロリーを制御する制御工程と、
前記支持部における前記爪部の重心位置を通る前記爪部の挿入方向と、前記爪部の重心位置を通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設置された距離センサにより、前記荷が前記支持部により支持されて、前記床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、前記荷の最上位点までの距離を計測する距離計測工程と、
前記距離センサで計測された距離情報を取得するセンサ情報取得工程と、
前記距離情報と、前記距離センサからの計測基準から前記爪部の支持面までの長さと、に基づいて、前記荷の厚み部の厚さを算出する厚さ算出工程と、
前記厚み部の厚さと、記憶部に記憶された前記荷の内径情報と、に基づいて、前記荷の外径を算出する外径算出工程と、
を含む、外径計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外径計測システム及び外径計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼板等の金属板を円筒状(コイル状)に巻いた状態のコイルを、荷役装置を用いて倉庫等に搬入出し、倉庫等に保管する作業が行われている。この搬入出の対象となるコイルは、そのコイルの巻き数やコイル孔の内径の長さによって、その外径が異なる。一方、コイルは、倉庫等に積載して保管される場合もあり、そのコイルの正確な外径の情報は、コイルの保管及び搬入出の作業において必要な情報となる。特許文献1には、コイル径の計測装置が開示されている。特許文献1に開示されたコイル径の計測装置は、コイル受台に載置したコイルの各検出点をスライディングユニットに設けられたセンサにより計測し、演算器によりコイルの径を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている計測装置においては、コイルの径を計測する際に、コイル受台にコイルを載置し、専用の装置(スライディングユニット)に設けられたセンサにより計測する必要がある。鉄鋼製品であるコイルは、一定の重量を有するため、計測の度にコイルを計測専用のコイル受台に移動させ計測するには、時間や工数を要し、作業効率がよくない。
【0005】
そこで、本開示は、効率的にコイルの外径を計測することができる外径計測システム及び外径計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る外径計測システムは、床面と平行な平面上で移動し、中心軸が床面と平行な円筒形の荷を吊り上げて搬送するトロリーと、トロリーに昇降自在に設置され、荷に設けられた孔部に爪部を挿入して荷を支持する支持部と、支持部における爪部の重心位置を通る爪部の挿入方向と、爪部の重心位置を通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設置され、荷が支持部により支持されて、床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、荷の最上位点までの距離を計測する距離センサと、距離センサで計測された距離情報を取得するセンサ情報取得部と、距離情報と、距離センサの計測基準から爪部の支持面までの長さと、に基づいて、荷の厚み部の厚さを算出する厚さ情報算出部と、厚さ情報算出部で算出された厚み部の厚さと、記憶部に記憶された荷の内径情報と、に基づいて、荷の外径を算出する外径算出部と、を備える。
【0007】
上記荷の内径情報は、荷を作成する巻き取り装置の仕様によって定まる情報であって、あらかじめ記憶部に格納された情報であってもよい。また、上記外径計測システムは、荷の内径情報を算出する内径算出部をさらに備え、支持部は、爪部の支持面から荷の孔部の内径最下位点までの距離を計測する内径用距離センサを有し、センサ情報取得部は、内径用距離センサで計測された内径距離情報をさらに取得し、内径算出部は、内径距離情報に基づいて、内径情報を算出し、記憶部に格納してもよい。さらに、上記外径計測システムの支持部は、荷の孔部の両端から爪部を挿入して荷を把持するトングであってもよい。
【0008】
また、本開示の他の態様は、コンピュータによって実行される外径計測方法であって、床面と平行な平面上で移動し、中心軸が床面と平行な円筒形の荷を吊り上げて搬送するトロリーであって、荷に設けられた孔部に爪部を挿入して荷を支持する支持部を備えるトロリーを制御する制御工程と、支持部における爪部の重心位置を通る爪部の挿入方向と、爪部の重心位置を通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設置された距離センサにより、荷が支持部により支持されて、床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、荷の最上位点までの距離を計測する距離計測工程と、距離センサで計測された距離情報を取得するセンサ情報取得工程と、距離情報と、距離センサからの計測基準から爪部の支持面までの長さと、に基づいて、荷の厚み部の厚さを算出する厚さ算出工程と、厚み部の厚さと、記憶部に記憶された荷の内径情報と、に基づいて、荷の外径を算出する外径算出工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、効率的にコイルの外径を計測することができる外径計測システム及び外径計測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る外径計測システムの概略構成を示す図である。
【
図2】建屋内の敷地における複数のコイルの配置例を示す図である。
【
図3A】コイルを吊り上げた状態における距離センサとコイルとの距離を説明するための断面図である。
【
図3B】コイルを吊り上げた状態における距離センサとコイルとの距離を説明するための断面図である。
【
図3C】コイルを吊り上げた状態における距離センサとコイルとの距離について、距離センサが傾いている場合の例を説明するための断面図である。
【
図4】一実施形態に係る外径計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る外径計測システムの機能的構成を説明するためのブロック図である。
【
図6】センサ情報DB、クレーン情報DB、及び厚さ情報DBに格納された情報の一例を示す図である。
【
図7】コイル情報DBに格納された情報の一例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る外径計測に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9A】他の実施形態における内径用距離センサについて説明するための断面図である。
【
図9B】他の実施形態における内径用距離センサによって計測される距離を説明するための模式図である。
【
図10】他の実施形態に係る外径計測装置の機能的構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については図示を省略する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る外径計測システム1の構成を示す概略斜視図である。本実施形態における外径計測システム1は、工場又は倉庫等の建屋内の床面に対して垂直な方向の上部に設置される天井クレーンによって搬送される荷の、外径(直径)を計測するシステムである。
【0013】
本実施形態において天井クレーンが搬送対象とする荷は、一例として、薄い鋼板が円筒形又は円柱形に巻かれた鉄板コイル(以下、単に「コイル」という)である。複数のコイルCは、建屋内の敷地で一時的に保管される。天井クレーンは、コイルCを吊り上げて移動させることで、別の場所からコイルCを当該敷地に搬入させることができるとともに、当該敷地からコイルCを別の場所へ搬出させることができる。
【0014】
図2は、建屋内の敷地における複数のコイルCの配置例を示す斜視図である。敷地には、XY平面として表される床面20がある。複数のコイルCは、各々のコイルCの中心軸が床面20と平行となる姿勢で、床面20の側に設置される。本実施形態では、複数のコイルCが床面20の側に設置されているとき、各々のコイルCの軸方向は、Y方向に沿っている。また、複数のコイルCが床面20の側に設置されているとき、各々のコイルCは、Y方向に対して垂直なX方向に沿って並ぶ。この場合、コイルCの断面方向は、X方向に沿っている。さらに、複数のコイルCは、XY平面に対して垂直なZ方向に沿って2段に積載される。このうち、下段側のコイルCは、それぞれ、一組を構成する2つの棒状の枕木22を介して床面20上に載置される。枕木22の延伸方向は、コイルCの軸方向に沿っている。また、一組を構成する2つの枕木22は、コイルCの断面方向で互いに隣り合う。このような枕木22の組は、載置するコイルCの位置決めを行うことができ、また、コイルCの転がりを抑止することができる。一方、上段側のコイルCは、それぞれ、X方向で互いに隣り合う2つの下段側のコイルCに直接支えられながら、下段側のコイルCの上に載置される。
【0015】
外径計測システム1は、
図1に示すように、ガーダー2と、ランウェイ3と、トロリー4と、トング5と、運転室7と、を備える。
【0016】
ガーダー2は、建屋内の天井付近で、トロリー4を移動自在に支持する構造体である。ガーダー2は、XY平面上の第2方向に沿ってそれぞれ延び、かつ、XY平面上で第2方向とは直交する第1方向で離間しつつ互いに対向する2つの直線状の剛体部を含む。本実施形態では、一例として、第2方向はX方向であり、第1方向はY方向である。この場合、2つの剛体部は、X方向の一方の端部と他方の端部との両側で互いに一体化されている(図示なし)。ガーダー2のX方向の少なくとも一方の端部は、モータ等のガーダー用アクチュエータ25(
図5参照)を備える。
【0017】
ランウェイ3は、建屋内の天井付近で、ガーダー2を移動自在に支持する走行レーンである。ランウェイ3は、Y方向に沿ってそれぞれ延び、かつ、X方向で離間しつつ互いに対向する2箇所の位置に設置されている。ランウェイ3は、例えば、建屋の壁部に設置される場合もあるし、建屋内の床面20上に設けられた高架台に設置される場合もある。ガーダー2のX方向の一方の端部は、一方のランウェイ3上に位置し、ガーダー2のX方向の他方の端部は、他方のランウェイ3上に位置する。ガーダー用アクチュエータ25が運転室7からの移動指令に基づいて駆動することで、ガーダー2は、ランウェイ3上をY方向に沿って移動することができる。
【0018】
トロリー4は、ガーダー2上で2つの剛体部に支持されながらX方向に沿って移動自在で、かつ、トング5をZ方向に沿って移動自在に支持する構造体である。トロリー4は、モータ等のトロリー用アクチュエータ26(
図5参照)を備える。トロリー用アクチュエータ26が運転室7からの移動指令に基づいて駆動することで、トロリー4は、ガーダー2の剛体部上をX方向に沿って移動することができる。また、ガーダー2は、Y方向に沿って移動することができるので、トロリー4は、XY平面上の目標とする位置に移動することができる。
【0019】
トング5は、コイルCを把持して昇降する把持部である。ここで、トロリー4は、ワイヤーロープ9を介してトング5を吊り上げたり吊り下げたりするための回転ドラム(図示なし)と、回転ドラムに回転力を与えるモータ等のトング用アクチュエータ27(
図5参照)とを備える。トング用アクチュエータ27が運転室7からの昇降指令に基づいて駆動することで、トング5は、トロリー4の高さ位置を基準としてZ方向に沿って移動することができる。すなわち、本実施形態においてトング5は、昇降自在に移動できるようにトロリー4に設置されている。本実施形態において、トング5は、支持部に相当する。
【0020】
また、
図1に示すように、トング5は、基部10と、一対のアームである第1アーム11a及び第2アーム11bとを備える。基部10は、ワイヤーロープ9に接続され、かつ、第1アーム11a及び第2アーム11bを支持する。第1アーム11a及び第2アーム11bは、それぞれ、基部10からZ方向に沿って下方に延びており、互いにY方向で対向する。第1アーム11aは、基部10のY方向の一方の端部に接続され、第2アーム11bは、基部10のY方向の他方の端部に接続される。第1アーム11a及び第2アーム11bは、それぞれ、Z方向に沿った姿勢を維持しながら、Y方向に沿ってスライドすることができる。
【0021】
第1アーム11aのZ方向下方の端部には、Y方向に沿って第2アーム11bに向かう第1吊り具爪12a(
図3A参照)が設置されている。また、第2アーム11bのZ方向下方の端部には、Y方向に沿って第1アーム11aに向かう第2吊り具爪12b(
図3A参照)が設置されている。つまり、第1吊り具爪12aと第2吊り具爪12bとは、Y方向に沿って互いに対向している。なお、第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bは、爪部に相当する。
【0022】
ここで、コイルCの姿勢は、コイルCの軸方向がY方向に沿うように維持されているので、コイルCのコイル孔CHの軸心もY方向に沿っている。そのため、第1アーム11a及び第2アーム11bは、第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bをコイル孔CHの延長上に位置させた状態で互いに接近することで、第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bをコイル孔CHに進入させることができる。つまり、第1アーム11a及び第2アーム11bは、互いの接近により、コイル孔CHのY方向の両端から第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bを挿入することで、コイルCをY方向の両端から把持することができる。以下、第1アーム11a及び第2アーム11bがコイルCを把持する位置にある状態を、アームの閉状態という。一方、第1アーム11a及び第2アーム11bは、互いに離間することで、第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bをコイル孔CHから退避させて、コイルCの把持を解除することができる。以下、第1アーム11a及び第2アーム11bがコイルCの把持を解除した位置にある状態を、アームの開状態という。トロリー4は、モータ等のコイル把持用アクチュエータ28(
図5参照)を備える。コイル把持用アクチュエータ28が運転室7からのアーム開閉指令に基づいて駆動することで、トング5は、アームの開状態と閉状態とを変更することができる。このように、トング5により、コイル孔CHの両端からコイルCを把持することに、強固にコイルCを把持することが可能となる。なお、コイル孔CHは、孔部に相当する。
【0023】
また、不図示であるが、互いに対向する第1吊り具爪12a又は第2吊り具爪12bには、透過型光電センサの発光部又は受光部が設置されてもよい。例えば、第1吊り具爪12aに透過型光電センサの発光部が設置され、第2吊り具爪12bに透過型光電センサの受光部が設置されてもよい。この場合、透過型光電センサによる光の検出信号は、外径計測装置100に伝送される。第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bがコイル孔CHの近傍にあるとき、コイル孔CHを通る光が検出されれば、外径計測装置100は、第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bがコイル孔CHの延長上にあることを認識することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、コイルCを把持して昇降する把持部として、コイル孔CHに第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bを係合させた状態で第1アーム11aと第2アーム11bとで挟み込むことでコイルCを把持するトング5を例示している。しかし、コイルCを把持して昇降することができるのであれば、把持部の構成は、このようなものに限らない。
【0025】
本実施形態において、距離センサ6は、トロリー4の基部10に設置される。また、本実施形態では、距離センサ6は、レーザL(
図3A参照)を用いて距離を計測するレーザ距離センサである。ただし、ある物体までの距離を計測することができるものであれば、距離センサ6の種類等は限定されない。例えば、TOFカメラ等の画像センサを一般にいう距離センサとして代用し、距離センサ6として採用してもよい。
【0026】
図3Aは、
図1のIIIA-IIIA断面におけるコイルC、トロリー4、距離センサ6、基部10、第1アーム11a、第2アーム11b、第1吊り具爪12a、及び第2吊り具爪12bの断面図を示す。また、
図3Bは、
図1のIIIB-IIIB断面におけるコイルC、トロリー4、距離センサ6、及び基部10の断面図を示す。
図3A及び
図3Bは、コイルCをトング5により把持し、吊り上げた状態を示している。また、距離センサ6は、
図3Bに示すように、トング5における第2吊り具爪12bの重心位置Gを通る第2吊り具爪12bの挿入方向と、第2吊り具爪12bの重心位置Gを通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設定されている。すなわち、距離センサ6は、コイルCがトング5により支持されて、床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、コイルCの最上位点までの距離を計測することができる。また、本実施形態においては、上述の通り、コイルCのコイル孔CHの両端からトング5の第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bを挿入し、コイルCを把持する。すなわち、トング5により、コイル孔CHの両端からコイルCを把持することに、強固にコイルCを把持することが可能となり、コイルCの揺れ等による、距離の計測誤差を低減させることが可能となる。
【0027】
また、
図3Cには、
図3Aの断面図において、距離センサ6が所定の方向に(θb)度傾いている場合の例を示す。この
図3Cにおける距離センサ6が傾いた場合の所定の方向は、上述のトング5における第2吊り具爪12bの重心位置Gを通る第2吊り具爪12bの挿入方向と、第2吊り具爪12bの重心位置Gを通る鉛直方向とからなる平面上の任意の方向である。すなわち、
図3Cに示す距離センサ6が傾く例においても、
図1のIIIB-IIIB断面におけるコイルC、トロリー4、距離センサ6、及び基部10の断面図は、
図3Bに示す断面図と同じになる。
図3Cに示す例において、距離センサ6から、コイルCの最上位点までの最短距離は、Lcos(θb)で表すことができる。
【0028】
なお、上述の実施形態において、距離センサ6が基部10に設置される形態を示したが、この構成は実施形態を限定するものではない。例えば、距離センサ6が、上述の重心位置Gを通る第2吊り具爪12bの挿入方向と、第2吊り具爪12bの重心位置Gを通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設置されるという条件を満たすのであれば、設置される場所は基部10に限定されない。すなわち、上述の重心位置Gを通る第2吊り具爪12bの挿入方向と、重心位置Gを通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設置されるという条件を満たすのであれば、距離センサ6は、第1アーム11a又は第2アーム11bに設置される構成であってもよい。
【0029】
運転室7は、ガーダー2の一方の端部に固定され、天井クレーンを運転するユーザ(運転者)を常駐させる。また、運転室7には、天井クレーンを制御し、さらにコイルCの外径を算出する外径計測装置100を備える。外径計測装置100は、例えば、パーソナルコンピュータ等のコンピュータによって実現される。なお、外径計測装置100を運転室7に備える構成は、本実施形態の構成を限定するものではない。例えば、外径計測装置100を、トロリー4の制御部(図示なし)に備える構成としてもよい。この場合、例えば、運転室7に備えられたコンピュータから、有線又は無線のネットワークを介して、トロリー4に備えられた外径計測装置100を制御する構成としてもよい。
【0030】
(外径計測装置100の構成及び機能)
次に、外径計測装置100の構成及び機能について説明する。
図4に、外径計測装置100の概略構成を示す。また、
図5には、外径計測システム1における外径計測装置100の機能的構成を示す。
図4に示すように、外径計測装置100は、例えば、コンピュータによって実現され、一般的なコンピュータの構成として、制御部110と、記憶部120と、入出力IF130と、ネットワークIF140とを備える。制御部110の詳細については後述する。
【0031】
記憶部120は、
図5に示すように、センサ情報DB121(DB:Database)と、クレーン情報DB122と、厚さ情報DB123と、コイル情報DB124と、に含まれる情報をデータとして格納する。なお、これらの各データを格納する記憶部120は、1つであっても複数であってもよい。例えば、1つの記憶部120に対し、領域を分けて記憶する構成としてもよい。あるいは、物理的に離れた場所に設置された複数の記憶装置に、データが分散して格納されていてもよい。
【0032】
入出力IF130は、例えば、ユーザ(運転者)が外径計測装置100との間においてデータをやり取りするための構成要素(インタフェース)である。入出力IF130は、入力部と、出力部とを備える(図示なし)。
【0033】
入出力IF130における入力部は、ユーザによるさまざまな情報を入力するためのインタフェース機能を有し、外径計測装置100の外部より情報が入力される。すなわち、入出力IF130は、ユーザインタフェースとしての機能を含む。入力部には、外径計測装置100と接続された、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、及び、音声認識デバイス等を通じてユーザによって情報が入力される。また、入力部は、外部記憶装置(図示なし)等からデータを入力するためのデータ入力端子として、情報を入力することができる。
【0034】
入出力IF130における出力部は、外径計測装置100に接続された表示装置(図示なし)に、コイルCや枕木等の位置情報、作業状況等を表示させる。表示装置は、例えば、ディスプレイ装置、プロジェクター装置などである。
【0035】
通信IF140は、有線及び/又は無線ネットワークを介して、トロリー4及びガーダー2と、外径計測装置100との相互の通信を可能にするためのインタフェースである。具体的には、外径計測装置100は、通信IF140を介して、トロリー4に備えられた距離センサ6からの情報を取得する。また、外径計測装置100は、通信IF140を介して、トロリー4に備えられたトロリー用アクチュエータ26、トング用アクチュエータ27、及びコイル把持用アクチュエータ28に対し、制御指示を送り、トロリー4を制御する。さらに、外径計測装置100は、ガーダー用アクチュエータ25に対し、制御指示を送り、ガーダー2を制御する。
【0036】
次に、
図5に示すブロック図に基づいて、外径計測システム1における制御の流れを説明する。外径計測装置100は、制御部110に、センサ情報取得部111と、厚さ情報算出部112と、外径算出部113と、駆動制御部114とを、機能として備える。また、制御部110は、例えば、オペレーションシステムを動作させて、外径計測装置100全体を制御する。さらに、制御部110は、記憶部120に格納されたプログラムに基づいて動作し、センサ情報取得部111と、厚さ情報算出部112と、外径算出部113と、駆動制御部114とに備える各機能を実行する。なお、プログラムは、記憶部120に格納される形態に限定されず、例えば、外径計測装置100内の、ROM(Read Only Memorry)等(図示なし)に記憶された構成としてもよい。
【0037】
センサ情報取得部111は、距離センサ6によって検知され、外径計測装置100に送られてきた距離情報をセンサ情報として取得し、センサ情報DB121に格納する。
図6にセンサ情報DB121に格納されたセンサ情報の一例を示す。上述の通り、センサ情報は、コイルCを識別するためのコイル番号、及び距離センサ6で収集した距離センサ6の計測基準からコイルCの最上位点までの距離(センサ距離)が格納されている。本実施形態において、計測基準は、基部10の最下位面に位置し、距離センサ6のセンシング方向の先端部に該当する。
【0038】
厚さ情報算出部112は、センサ情報と、トング5の所定の箇所の長さとに基づいて、コイルCの厚さ部の厚さを算出する。本実施形態において、トング5の所定の箇所の長さは、第1アーム11a及び/又は第2アーム11bにおける上述の計測基準と鉛直方向の高さが一致する箇所と、第1吊り具爪12a及び/又は第2吊り具爪12bの支持面までの長さ(ALと称する)である。
【0039】
本実施形態において、第1吊り具爪12a及び/又は第2吊り具爪12bの支持面は、第1吊り具爪12a及び/又は第2吊り具爪12bでコイルを支持する際の、第1吊り具爪12a及び/又は第2吊り具爪12bのコイル側の面である。
図3A及び
図3Bに、トング5の所定の箇所の長さ(AL)を示す。また、
図6に、トング5の所定の箇所の長さ(AL)を、クレーン情報DB122に「アーム長さ」として格納した一例を示す。
【0040】
本実施形態において、厚さ情報算出部112で算出されるコイルの厚み部の厚さは、以下の式(1)で算出する。ここで、CTは、コイルの厚み部の厚さを示す。ALは、トング5の所定の箇所の長さを示し、Lは、距離センサ6で収集された、距離情報であるセンサ距離を示す。なお、単位はそれぞれ、ミリメートル[mm]で示される。
CT= AL - L ・・・(1)
【0041】
また、
図3Cにおける、距離センサ6が(θb)度傾いている場合のコイルの厚み部の厚さは、以下の式(2)により算出される。
CT= AL - Lcos(θb) ・・・(2)
【0042】
厚さ情報算出部112は、算出したコイルの厚み部の厚さ(CT)を、厚さ情報DB123に格納する。
図6に、厚さ情報DB123に格納された「コイル厚み部の厚さ」の一例を示す。
【0043】
外径算出部113は、厚さ情報算出部112で算出されたコイルCの厚み部の厚さCTと、記憶部120のコイル情報DB124に格納されたコイルCの内径情報とに基づいて、コイルCの外径を算出する。
図7は、コイル情報DB124に格納されたコイル情報の一例を示す図である。コイル情報DB124に格納されたコイル情報には、コイルを識別するためのコイル番号、コイルの内径(IDM)を示す内径情報、及びコイルの巻き取りを行ったメーカに関する情報が含まれている。本実施形態においてコイルCの内径はコイルCを作成する巻き取り装置の仕様によって定まる情報である。当該巻き取り装置の仕様は、例えば、巻き取り装置のメーカ毎に異なる。
図7に示す例においては、メーカA社の場合の内径が280mmであり、メーカB社の場合の内径が300mmの場合の例を一例として示している。このように、コイルCの内径の情報を、コイルを作成する巻き取り装置の仕様によって定まる情報を用いることで、より正確な内径情報を用いることが可能となる。これにより、外径計測システム1は、より正確にコイルCの外径を計測することが可能となる。
【0044】
外径算出部113において、コイルの外径(ODM)は、以下の式(3)により算出される。IDMは、コイルCの内径である。また、CTは、コイルCの厚み部の厚さである。単位は、それぞれ、ミリメートル[mm]で示される。
ODM = IDM +2CT ・・・(3)
【0045】
また、外径算出部113は、算出したコイルCの外径ODMをコイル情報DB124に格納する。さらに、外径算出部113は、算出したコイルCの外径ODMを、ユーザインタフェース130を介して、外径計測装置100に接続されたディスプレイ等の表示装置に表示させてもよい。あるいは、外径算出部113は、算出したコイルCの外径ODMを、通信IF140を介して外部に送信してもよい。
【0046】
駆動制御部114は、天井クレーンに含まれる各種アクチュエータに対して動作信号を送信する。まず、駆動制御部114は、入出力IF130より、運転者が直接的に指定した、各種アクチュエータへ指示する移動位置を受信することができる。
【0047】
また、駆動制御部114は、ガーダー用アクチュエータ25に対して、ガーダー2の移動目標となる移動位置を指示し、当該移動位置へガーダー2を移動させることができる。さらに、駆動制御部114は、トロリー用アクチュエータ26に対して、トロリー4の移動目標となる移動位置を指示し、当該移動位置へトロリー4を移動させることができる。また、駆動制御部114は、トング用アクチュエータ27に対して、トング5の移動目標となる移動位置を指示し、トロリー4の高さ位置を基準として、トング5をZ方向に沿って移動させることができる。さらに、駆動制御部114は、コイル把持用アクチュエータ28に対して、アーム開閉状態を指示し、トング5のアームの閉状態と開状態との変更を制御することができる。
【0048】
(外径計測システム1の処理フローの概略)
次に、
図8に示すフローチャートを用いて外径計測装置100における外径計測処理の流れを示す。
図8のフローチャートに示す外径計測装置100の一連の動作は、外径計測装置100が起動されると開始され、作業終了により処理を終了する。また、
図8に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の外径計測装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0049】
ステップS801において、駆動制御部114は、トロリー4を吊り上げるコイルCの上部まで移動させる。さらに、ステップS801において、駆動制御部114は、トング5により対象となるコイルCを把持し、床面20に対して垂直な方向にコイルCを吊り上げる。
【0050】
ステップS802において、距離センサ6は、コイルCの最上位点までの距離を計測し、距離情報として外径計測装置100に送信する。なお、ステップS802は、距離計測工程に相当する。
【0051】
ステップS803において、センサ情報取得部111は、距離センサ6で計測された距離情報を取得し、センサ情報としてセンサ情報DB121に格納する。なお、ステップS803は、センサ情報取得工程に相当する。
【0052】
ステップS804において、厚さ情報算出部112は、センサ情報DB121に格納された「センサ距離」(L)と、クレーン情報DB122に格納された「アーム長さ」情報とに基づいて、コイルCの厚み部の厚さ(CT)を算出する。本実施形態において、クレーン情報DB122に格納された「アーム長さ」情報は、トング5のアームの一部の長さであって、距離センサ6の計測基準から第1吊り具爪12a又は第2吊り具爪12bの支持面までの長さ(AL)である。
【0053】
具体的には、厚さ情報算出部112は、上述の式(1)又は式(2)に示される数式に基づいて、コイルCの厚み部の厚さ(CT)を算出する。また、厚さ情報算出部112は、算出したコイルCの厚み部の厚さ(CT)を厚さ情報DB123に格納する。なお、ステップS804は、厚さ算出工程に相当する。
【0054】
ステップS805において、外径算出部113は、厚さ情報DB123に格納されたコイルCの厚み部の厚さ(CT)情報と、コイル情報DB124に格納されたコイルCの内径情報(IDM)とに基づいて、コイルCの外径を算出する。具体的には、外径算出部113は、上述の式(3)に示される数式に基づいて、コイルCの外径を算出する。また、外径算出部113は、算出したコイルCの外径(ODM)をコイル情報DB124に格納する。また、外径算出部113は、算出したコイルCの外径(ODM)を、ユーザインタフェース130を介して、外径計測装置100に接続されたディスプレイ等の表示装置に表示させてもよい。さらに、外径算出部113は、算出したコイルCの外径(ODM)を、通信IF140を介して外部に送信してもよい。ステップS805は、外径算出工程に相当する。
【0055】
ステップS806において、制御部110は、他に計測対象となるコイルCがあるか否かを判定する。具体的には、制御部110は、あらかじめ定められた搬入予定のコイルCに対して、搬入作業が完了したか否かを判定する。あるいは、制御部110は、ユーザインタフェース130からのユーザの指示に基づいて、他に計測対象となるコイルCがあるか否かを判定してもよい。
【0056】
ステップS806において、制御部110は、他に計測対象となるコイルがあると判定した場合(ステップS806:YES)には、ステップS801に戻り、トロリー制御工程からの処理を繰り返す。一方腕、ステップS806において、制御部110は、他に計測対象となるコイルがないと判定した場合(ステップS806:NO)には、
図8のフローチャートに示す外径計測処理を終了する。
【0057】
次に、本実施形態に係る外径計測システム1の効果について説明する。
【0058】
外径計測システム1は、トロリー4と、距離センサ6と、センサ情報取得部111と、厚さ情報算出部112と、外径算出部113とを備える。トロリー4は、荷を吊り上げて搬送する。距離センサ6は、荷が支持部により支持されて、床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、荷の最上位点までの距離を計測する。センサ情報取得部111は、距離センサ6で計測された距離情報を取得する。厚さ情報算出部112は、距離情報と、距離センサの計測基準から爪部の支持面までの長さと、に基づいて、荷の厚み部の厚さを算出する。外径算出部113は、厚み部の厚さと、記憶部120に記憶された荷の内径情報と、に基づいて、荷の外径を算出する。
【0059】
又は、コンピュータによって実行される外径計測方法は、以下の工程を含む。外径計測方法は、床面と平行な平面上で移動し、中心軸が床面と平行な円筒形の荷を吊り上げて搬送するトロリー4であって、荷に設けられた孔部に爪部を挿入して荷を支持する支持部を備えるトロリー4を制御する制御工程を含む。また、外径計測方法は、距離センサ6により、荷が支持部により支持されて、床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、荷の最上位点までの距離を計測する距離計測工程を含む。なお、距離センサ6は、支持部における爪部の重心位置を通る爪部の挿入方向と、爪部の重心位置を通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設置される。また、外径計測方法は、距離センサ6で計測された距離情報を取得するセンサ情報取得工程を含む。また、外径計測方法は、距離情報と、距離センサからの計測基準から爪部の支持面までの長さと、に基づいて、荷の厚み部の厚さを算出する厚さ算出工程を含む。さらに、厚み部の厚さと、記憶部120に記憶された荷の内径情報と、に基づいて、荷の外径を算出する外径算出工程を含む。
【0060】
ここで、本実施形態において、支持部は、トング5に相当する。また、荷は、コイルCに相当する。
【0061】
この外径計測システム1によれば、コイルCを把持した状態において、距離センサ6により収集したコイルCの最上位点までの距離と、コイルCの内径情報とに基づいて、コイルCの外径を計測することが可能となる。これにより、あらかじめ、専用装置を用いてコイルCの外径を測定する必要はなく、コイルCの搬入出の作業において、効率よくコイルCの外径を計測することができる。また、コイルCの搬入出の作業において、効率よくコイルCの外径を計測することにより、コイルCの積載状況に応じて、柔軟なコイルCの搬入出の作業が可能となる。
【0062】
また、荷の内径情報は、荷を作成する巻き取り装置の仕様によって定まる情報であって、あらかじめ記憶部120に格納された情報であってもよい。ここで、本実施形態において、荷はコイルCに相当する。
【0063】
この外径計測システム1によれば、コイルCの内径情報を、コイルを作成する巻き取り装置の仕様によって定まる情報を用いることで、より正確な内径情報を用いることが可能となる。これにより、外径計測システム1は、より正確にコイルCの外径を計測することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態において、外径計測システム1の支持部は、荷の孔部の両端から爪部を挿入して荷を把持するトング5であってもよい。ここで、本実施形態において、荷は、コイルCに相当し、荷の後部は、コイル孔CHに相当する。さらに、爪部は、第1吊り具爪12a、及び第2吊り具爪12bに相当する。
【0065】
この外径計測システム1によれば、コイルCのコイル孔CHの両端からトング5の第1吊り具爪12a及び第2吊り具爪12bを挿入し、コイルCを把持する。外径計測システム1は、このコイルCを把持した状態において、距離センサ6からコイルCの最上位点までの距離を計測する。トング5により、コイル孔CHの両端からコイルCを把持することに、強固にコイルCを把持することが可能となり、コイルCの揺れ等による、距離の計測誤差を低減させることが可能となる。
【0066】
(他の実施形態)
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正又は変形をすることが可能である。上記の実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【0067】
上述の外径計測装置100においては、内径情報として、あらかじめ記憶部120のコイル情報DB124に格納された、コイルCを作成する巻き取り装置の仕様によって定まる情報を用いる例を示したが、実施形態はこの構成に限定されない。例えば、
図9A及び
図9Bに示すように、トング5の第1アーム11aに、第1吊り具爪12aの支持面からコイルCのコイル孔CHの内径最下位点までの距離を計測する内径用距離センサ13を有する構成としてもよい。
図9Bは、内径用距離センサ13とコイルCの位置関係を説明するために簡略化した模式図である。
図9Bに示す例においては、内径用距離センサ13は、内径用距離センサ13から、コイル孔CHの内径最下位点までの距離IL(内径距離情報)を計測する。そして、あらかじめ定められた内径用距離センサ13の角度(θc)に基づいて、内径用距離センサ13からコイル孔CHの内径最下位点までの鉛直方向距離IDMbを算出する。なお、IDMbは、ILcos(θc)に該当する。そして、当該鉛直方向距離IDMbに、あらかじめ定められた、第1吊り具爪12aの支持面から内径用距離センサ13までの距離IDMaを加えることで、コイルCの内径IDMを求めることができる。すなわち、他の実施形態における内径IDMは、以下の式(4)により算出される。
IDM = IDMa + ILcos(θc) ・・・(4)
【0068】
また、内径用距離センサ13は、
図9Bに示すように、トング5における第2吊り具爪12bの重心位置Gを通る第2吊り具爪12bの挿入方向と、第2吊り具爪12bの重心位置Gを通る鉛直方向とからなる平面上の位置に設定されている。すなわち、距離センサ6は、コイルCがトング5により支持されて、床面に対して垂直な方向に吊り上げられた状態において、コイルCの内円の最下端までの距離を計測することができる。
【0069】
さらに、他の実施形態における外径計測装置100は、
図10に示すように、内径算出部115を備える。
図10に示す例においては、センサ情報取得部111は、距離センサ6及び内径用距離センサ13で収集した距離情報をセンサ情報及び内径距離情報として取得し、センサ情報DB121に格納する(図示なし)。内径算出部115は、内径距離情報と、あらかじめクレーン情報DB122に格納された内径用距離センサ13の角度(θc)及び第1吊り具爪12aの支持面から内径用距離センサ13までの距離IDMaとに基づいて、コイルCの内径を算出する(式(4))。さらに、内径算出部115は、算出されたコイルの内径を内径情報としてコイル情報DB124に格納する。外径算出部113は、上述の実施形態と同様に、厚さ情報DB123に格納されたコイルCの厚み部の厚さ情報、及びコイル情報DB124に格納されたコイルの内径情報に基づいて、コイルCの外径を算出する。これにより、他の実施形態における外径計測システム1においては、あらかじめコイルの内径を示す内径情報(IDM)をコイル情報DB124に格納する必要はなく、コイルCの搬入出の作業において、効率よくコイルCの外径を計測することが可能となる。
【0070】
また、上述の外径計測システム1においては、支持部として、コイルCを軸方向(Y方向)の両端から把持するトング5を用いる例を示したが、実施形態の構成に限定されない。例えば、支持部として、コイルCのコイル孔CHの片側からのみ吊り具爪を挿入して、コイルCを持ち上げる構成を用いてもよい。
【0071】
また、上述した外径計測装置100における処理(外径計測方法)をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 外径計測システム
4 トロリー
5 トング
6 距離センサ
13 内径用距離センサ
100 外径計測装置
111 センサ情報取得部
112 厚さ情報算出部
113 外径算出部
114 駆動制御部
115 内径算出部
124 コイル情報DB