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特開2022-164469医用画像診断装置、医用情報処理装置及び医用画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164469
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】医用画像診断装置、医用情報処理装置及び医用画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069980
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】本庄 泰徳
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601BB15
4C601DD01
4C601DD15
4C601EE09
4C601FE01
4C601GB04
4C601GB06
4C601JB34
4C601JC08
4C601JC09
4C601KK25
4C601KK31
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】対象部位に対して所望する撮像断面の設定を、従来に比して、軽減された負担且つ高い精度で実現すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像診断装置は、取得部と、生成部と、計算部と、表示制御部とを備える。取得部は、対象部位に関する三次元データを取得する。生成部は、取得した三次元データを用いて対象部位の三次元モデルを生成する。計算部は、三次元モデルを用いて得られる対象部位のサイズに関する情報に基づいて、対象部位に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する。表示制御部は、少なくとも一つの推奨断面の位置を表示部に表示させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部位に関する三次元データを取得する取得部と、
取得した三次元データを用いて前記対象部位の三次元モデルを生成する生成部と、
前記三次元モデルを用いて得られる前記対象部位のサイズに関する情報に基づいて、前記対象部位に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する計算部と、
前記少なくとも一つの推奨断面の位置を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える医用画像診断装置。
【請求項2】
前記対象部位は左心耳であり、
前記計算部は、前記三次元モデルに設定された短軸断面における前記対象部位の最大径、最小径、周長、面積のうちの少なくともいずれかを含む前記サイズに関する情報を計算し、計算された前記サイズに関する情報に基づいて、前記左心耳に設定する前記少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記医用画像診断装置は超音波診断装置であり、
前記計算部は、経食道プローブを用いた超音波走査断面として前記少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する、
請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、現在の超音波走査断面の位置と前記少なくとも一つの推奨断面の位置とを前記表示部に表示させる、
請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、現在の超音波走査断面の位置と前記少なくとも一つの推奨断面の位置との差に関する情報を前記表示部に表示させる、
請求項3又は4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの推奨断面の位置に基づいて超音波走査断面の位置を制御する制御部をさらに備える、
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記計算部は、前記サイズに関する情報に基づいて前記対象部位に配置する医用デバイスのサイズを判定し、
前記表示制御部は、判定した前記医用デバイスのサイズを前記表示部に表示させる、
請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
対象部位に関する三次元データを取得する取得部と、
取得した三次元データを用いて前記対象部位の三次元モデルを生成する生成部と、
前記三次元モデルを用いて得られる前記対象部位のサイズに関する情報に基づいて、前記対象部位に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する計算部と、
前記少なくとも一つの推奨断面の位置を出力する出力部と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
対象部位に関する三次元データを取得する取得機能と、
取得した三次元データを用いて前記対象部位の三次元モデルを生成する生成機能と、
前記三次元モデルを用いて得られる前記対象部位のサイズに関する情報に基づいて、前記対象部位に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する計算機能と、
前記少なくとも一つの推奨断面の位置を出力する出力機能と、
を実現させる医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置、医用情報処理装置及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、心房細動による脳卒中のリスクを低減する代表的な治療法の一つに、左心耳閉鎖デバイスを用いた径カテーテル左心耳閉鎖術という方法がある。この径カテーテル左心耳閉鎖術とは、カテーテルを用いて左心耳入口部に左心耳閉鎖デバイスを留置する治療法のことである。径カテーテル左心耳閉鎖術においては、左心耳閉鎖デバイスのサイズの規格を決定するために、左心耳入口部とその周辺の部位の形状を正確に知る必要がある。従来、例えば経食道プローブを用いて取得された四断面の超音波画像を用いて、左心耳入口部とその周辺の部位の形状を計測している。
【0003】
しかしながら、従来の手法においては、形状計測に用いる四断面をマニュアル操作にて迅速に正しく設定する必要があり、操作者の作業負担が大きい。また、二次元超音波画像を用いているため、計測精度が十分でない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-229302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、対象部位に対して所望する撮像断面の設定を、従来に比して、軽減された負担且つ高い精度で実現することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像診断装置は、取得部と、生成部と、計算部と、表示制御部とを備える。前記取得部は、対象部位に関する三次元データを取得する。前記生成部は、取得した三次元データを用いて前記対象部位の三次元モデルを生成する。前記計算部は、前記三次元モデルを用いて得られる前記対象部位のサイズに関する情報に基づいて、前記対象部位に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する。前記表示制御部は、前記少なくとも一つの推奨断面の位置を表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る超音波診断装置の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る画像生成回路の機能の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る画像生成回路が実行する形状推定モデル生成処理の一例を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係る画像生成回路が実行する対象部位サイズの計測処理の一例を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る画像生成回路が実行する推奨断面位置計算処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る対象部位サイズの計測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係るデバイスサイズ判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る推奨断面位置計算処理を含む左心耳閉鎖術支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る超音波診断装置について詳細に説明する。なお、以下においては、説明を具体的にするため、診断対象が左心耳である場合を例とすする。
【0009】
図1は、実施形態に係る超音波診断装置100の一例を示すブロック図である。図1に示すように、超音波診断装置100は、装置本体10と、超音波プローブ1と、入力装置3と、ディスプレイ2とを備える。
【0010】
装置本体10は、送受信回路101と、バッファメモリ102と、Bモード処理回路103と、ドプラ処理回路104と、出力インタフェース105と、入力インタフェース106と、画像生成回路107と、表示制御回路108と、画像メモリ109と、記憶回路110と、制御回路111と、NW(ネットワーク)インタフェース112とを備える。また、装置本体10は、ネットワークNWを介して外部装置400と接続されている。
【0011】
超音波プローブ1は、例えば、圧電振動子等の複数の素子を有する。これら複数の素子は、装置本体10の送受信回路101から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、例えば、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
【0012】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の素子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。そして、超音波プローブ1は、反射波信号を装置本体10の送受信回路101に出力する。
【0013】
本実施形態に係る超音波プローブ1は、経食道プローブであるとする。ここで、経食道プローブとは、鼻または口から挿入し食道に配置して、体内(食道)から心臓等を超音波走査するプローブである。また、本実施形態においては、経食道プローブは、ボリュームデータを取得可能な二次元アレイプローブ(先端に複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)であるとする。経食道プローブは、二次元アレイプローブの他、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された一次元アレイプローブを機械的に回転させることで任意断面を超音波走査可能なメカニカルプローブがある。超音波プローブ1としてメカニカルプローブを使用する場合については、変形例2において説明する。
【0014】
入力装置3は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力手段により実現される。入力装置3は、超音波診断装置100の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体10に転送する。例えば、後述する推奨断面支援機能の起動や終了に関する指示は、入力装置3を介して入力される。
【0015】
ディスプレイ2は、例えば、超音波診断装置100の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像データにより示される超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ2は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等によって実現される。ディスプレイ2は、表示部の一例である。
【0016】
送受信回路101は、制御回路111による制御の下、超音波プローブ1から超音波を送信させるとともに、超音波プローブ1に超音波(超音波の反射波)を受信させる。すなわち、送受信回路101は、超音波プローブ1を介して超音波走査(超音波スキャン)を実行する。
【0017】
より詳細には、送受信回路101は、制御回路111による制御を受けて、超音波プローブ1に超音波を送信させる。送受信回路101は、例えば、図示しないトリガ発生回路、遅延回路及びパルサ回路等を有している。トリガ発生回路では、所定のレート周波数fr Hzで送信超音波を形成するためのトリガパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各トリガパルスに与えられる。パルサ回路は、このトリガパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動パルスを印加する。
【0018】
また、送受信回路101は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に基づく超音波データである反射波超音波データを生成する。そして、送受信回路101は、生成した反射波超音波データをバッファメモリ102に格納する。
【0019】
より詳細には、超音波プローブ1により送信された超音波の反射波は、超音波プローブ1内部の圧電振動子まで到達した後、圧電振動子において、機械的振動から電気的信号(反射波信号)に変換され、送受信回路101に入力される。送受信回路101は、例えば、プリアンプと、A/D(Analog to Digital)変換器と、直交検波回路等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波超音波データを生成する。本実施形態において、「超音波データを取得する」という場合、超音波の送受信によって超音波データを得ることを含む。送受信回路101は、本実施形態における取得部の一例である。
【0020】
反射波データは、走査線(以下、ラスタとも言う)上に深さ方向に沿って並んだ複数のサンプル点の複数のデータが、ラスタ方向に沿って、ラスタの数の分だけ並んだ2次元のデータである。
【0021】
プリアンプは、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン調整(ゲイン補正)を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換することでゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。直交検波回路は、A/D変換された反射波信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。
【0022】
そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号を、反射波超音波データとしてバッファメモリ102に格納する。以下、I信号及びQ信号を総称する場合、IQ信号という。また、IQ信号はA/D変換されたデジタルデータであるため、IQデータともいう。
【0023】
バッファメモリ102は、送受信回路101により生成された反射波超音波データ(IQデータ)を少なくとも一時的に記憶する。例えば、バッファメモリ102は、1ラスタにつき複数回の超音波の送受信が行われることで取得された反射波超音波データを記憶する。ここで、1ラスタにつき複数回の超音波の送受信が行われることで、同一ラスタの反射波超音波データが複数個取得されるが、以下、同一ラスタの反射波超音波データの数をアンサンブル数、データそのものをアンサンブルデータと記す。バッファメモリ102は、時間方向にアンサンブル数分並んだアンサンブルデータを、ラスタ順に記憶する。バッファメモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子によって実現される。
【0024】
Bモード処理回路103は、バッファメモリ102から読み出した反射波超音波データに対して、対数増幅、包絡線検波、対数圧縮等の処理を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0025】
ドプラ処理回路104は、バッファメモリ102に記憶された反射波超音波データを周波数解析することで、スキャン領域に設定されるROI(Region Of Interest:関心領域)内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。移動体とは、例えば血液である。例えば、ドプラ処理回路104は、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。
【0026】
なお、超音波プローブ1、送受信回路101、Bモード処理回路103は取得部の一例である。
【0027】
出力インタフェース105は、制御回路111からの電気信号を外部へ出力する。出力インタフェース105は、例えばバスを介して制御回路111に接続され、制御回路111からの電気信号をディスプレイ2に出力する。
【0028】
入力インタフェース106は、入力装置3を介し、操作者からの各種指示を受け付ける。入力インタフェース106は、例えばバスを介して制御回路111に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路111へ出力する。なお、入力インタフェース106は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路111へ出力する回路も入力インタフェースの例に含まれる。
【0029】
画像生成回路107は、Bモード処理回路103及びドプラ処理回路104により生成されたデータに基づいて、二次元超音波画像データ(以下、「二次元画像データ」又は「スライスデータ」とも言う。)、三次元超音波画像データ(以下、「三次元データ」又は「ボリュームデータ」とも言う。)を生成する。画像生成回路107は、生成した超音波画像データを画像メモリ109に記憶させる。
【0030】
より詳細には、画像生成回路107は、Bモード処理回路103により生成されたBモードデータに基づいて、二次元又は三次元のBモード画像データを生成する。
【0031】
画像生成回路107は、ドプラ処理回路104により生成されたドプラデータに基づいて、二次元又は三次元のドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、本実施形態における血流画像データの一例である。画像生成回路107は、ドプラ処理回路104により生成されたドプラデータ含まれる強度情報と、位相変化情報とに基づいて、ドプラ画像データを生成する。
【0032】
画像生成回路107は、ボリュームデータを用いたMPR(Multi Planar Reconstruction)処理により、任意断面に対応する二次元画像を生成する。なお、本実施形態では、MPR処理によって得られる画像をMPR画像と呼ぶ。
【0033】
また、画像生成回路107は、ボリュームデータを用いて形状推定モデルを生成する処理(以下、「形状推定モデル生成処理」と言う。)する。画像生成回路107は、生成した形状推定モデルを用いて対象部位のサイズに関する計測処理(以下、「対象部位サイズの計測処理」と言う。)を実行する。画像生成回路107は、対象部位サイズの計測処理の結果に基づいて、少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する処理(以下、「推奨断面位置計算処理」と言う。)を実行する。
【0034】
ここで、推奨断面とは、診断、手術等の目的で対象部位を撮像し観察するために望ましい断面を意味する。推奨断面の位置は、例えば対象部位のサイズや形状等によって解剖学的に決定することができる。
【0035】
また、画像生成回路107は、対象部位サイズの計測処理の結果に基づいて、対象部位の治療又は手術に用いるデバイスのサイズを判定する処理(以下、「デバイスサイズ判定処理」と言う。)を実行する。
【0036】
なお、形状推定モデル生成処理、対象部位サイズの計測処理、推奨断面位置計算処理、デバイスサイズ判定処理については、後で詳しく説明する。
【0037】
表示制御回路108は、画像生成回路107によって生成された各種の超音波画像データに基づく超音波画像を、ディスプレイ2に表示させる。表示制御回路108は、少なくとも一つの推奨断面の位置をディスプレイ2に表示させる。表示制御回路108は、形状推定モデル生成処理によって得られた形状推定モデル、対象部位サイズの計測処理の計測結果、推奨断面位置計算処理の計算結果、デバイスサイズ判定処理の判定結果をディスプレイ2に表示させる。また、表示制御回路108は、操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUIをディスプレイ2に表示させても良い。なお、表示制御回路108は表示制御部の一例である。
【0038】
画像メモリ109は、制御回路111により生成された各種の画像データを記憶する。例えば、画像メモリ109は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、または光ディスク等により実現される。
【0039】
記憶回路110は、例えば、磁気的若しくは光学的記憶媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、または光ディスク等のプロセッサにより読み取り可能な記憶媒体等により実現される。記憶回路110は、超音波送受信を実現するためのプログラム、各種データ等を記憶している。
【0040】
また、記憶回路110は、左心耳のサイズに関する情報と左心耳閉鎖デバイスのサイズとを対応付けたテーブルを記憶する。ここで、左心耳のサイズに関する情報とは、例えば、左心耳入口部の最大径、最小径、円周長、面積、超音波プローブ1の超音波送受信面から左心耳入口部までの距離(左心耳距離)、左心耳入口部から任意の左心耳内壁までの距離(左心耳深度)のうちの少なくともいずれかを含む情報である。
【0041】
なお、プログラム、及び各種データは、例えば、記憶回路110に予め記憶されていてもよい。また、プログラム、及び各種データは、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されて記憶回路110にインストールされてもよい。なお、記憶回路110を本実施形態における記憶部の一例としても良い。
【0042】
制御回路111は、超音波診断装置100全体の動作を統括して制御する。例えば、制御回路111は、送受信回路101を介して超音波プローブ1を制御することで、超音波走査を制御する。
【0043】
また、制御回路111は、後述する推奨断面位置計算処理によって計算された推奨断面の二次元画像を取得するために、超音波走査断面の位置を制御する。
【0044】
NWインタフェース112は、例えばネットワークNWを介して外部装置400と接続され、外部装置400との間でデータ通信を行う。
【0045】
外部装置400は、例えば、超音波診断装置100で生成された各種データの後処理、及び超音波画像データの表示等の処理を実行するワークステーションである。外部装置400は、例えば、プロセッサ等の処理回路、記憶装置、ディスプレイ、入力装置、及び超音波診断装置100とネットワークNWを介して接続可能なNWインタフェースを備える。また、外部装置400は、タブレット端末等であっても良い。
【0046】
なお、図1に示したBモード処理回路103、ドプラ処理回路104、画像生成回路107、表示制御回路108、及び制御回路111は、プロセッサにより実現される。例えば、これらの回路で実行される処理が定義されたコンピュータによって実行可能なプログラムが、記憶回路110に記憶されている。これらの回路は、プログラムを記憶回路110から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。また、図1においては単一の記憶回路110が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、各回路は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0047】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路110から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路110に保存されたプログラムを読み出して実行することで、図1及び図2に示した各機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路110にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1及び後述する図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしても良い。
【0048】
次に、画像生成回路107についての詳細を説明する。
【0049】
図2は、実施形態に係る画像生成回路107の機能の一例を示す図である。図2に示すように、画像生成回路107は、画像生成機能107a、計算機能107bを備える。
【0050】
画像生成機能107aは、取得した三次元データを用いて対象部位の三次元モデルを生成する。すなわち、画像生成機能107aは、形状推定モデル生成処理を実行する。より詳細には、画像生成機能107aは、左心耳に関するボリュームデータを用いて、例えば左心耳の複数の短軸断面画像を取得する。画像生成機能107aは、例えば閾値処理、AI等を用いたセグメンテーションより、取得した左心耳の各短軸断面画像において左心耳の内壁を探索する。画像生成機能107aは、探索によって得られた左心耳の内壁をトレースして繋ぎあわせ、対象部位の三次元モデルとしての左心耳の形状推定モデルを生成する。画像生成機能107aによって生成された左心耳の形状推定モデルは、ディスプレイ2において所定の形態で表示される。なお、画像生成機能107aは画像生成部の一例である。
【0051】
図3は、実施形態に係る画像生成回路が実行する形状推定モデル生成処理の一例を説明するための図であり、形状推定モデル生成処理の結果ディスプレイ2において表示される表示画像20の一例を示した図である。図3に示した様に、表示画像20は、A断面画像210を表示するA断面領域21、B断面画像220を表示するB断面領域22、C断面画像230を表示するC断面領域23、形状推定モデル240を表示する形状推定モデル表示領域24、心電波形表示領域26、断面ナビゲーション情報表示領域27、計測値表示領域28、超音波プローブナビゲーション情報表示領域29を含む。
【0052】
ここで、A断面とは、超音波の送受信方向(ラスタ方向)及びラスタの配列方向に広がる所定の断面である。B断面とは、A断面と直交し、且つラスタ方向及びラスタの配列方向に広がる所定の断面である。C断面とは、ラスタ方向及びラスタの配列方向に直交する(すなわち、A断面及びB断面に直交する)所定の断面である。A断面領域21における直線21b及び直線21cはB断面画像220及びC断面画像230の位置を、B断面領域22における直線22a及び直線22cはA断面画像210及びC断面画像230の位置を、C断面領域23における直線23a及び直線23bはA断面画像210及びB断面画像220の位置を、それぞれ示している。断面ナビゲーション情報表示領域27における断面27a、27b、27cは、ボリュームデータにおけるA断面画像210、B断面画像220、C断面画像230のそれぞれの位置及び位置関係を示している。超音波プローブナビゲーション情報表示領域29は、現在のA断面の位置(角度)を示している。
【0053】
画像生成機能107aは、左心耳の短軸断面画像であるC断面画像230を左心耳の長軸上の複数の位置で取得し、各短軸断面画像において左心耳の内壁を探索する。図3においては、探索された左心耳の内壁をC断面画像230の複数の点で示している。画像生成機能107aは、探索によって得られた左心耳の内壁をトレースして繋ぎあわせ、左心耳の形状推定モデル240を生成する。
【0054】
なお、画像生成機能107aによる形状推定モデル生成処理は、超音波走査のボリュームレートに従って繰り返し実行される。従って、A断面、B断面、C断面の位置が更新された場合、これらの更新に連動して形状推定モデル240もリアルタイムで更新されることになる。
【0055】
図2に戻り、計算機能107bは、三次元モデルを用いて得られる対象部位のサイズに関する情報に基づいて、対象部位に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する。すなわち、計算機能107bは、形状推定モデル(又は形状推定モデルの生成に使用した超音波画像)を用いて、左心耳のサイズに関する情報を取得する対象部位サイズの計測処理を実行する。計算機能107bによって取得された左心耳のサイズに関する情報は、ディスプレイ2において所定の形態で表示される。なお、計算機能107bは計算部の一例である。
【0056】
図4は、実施形態に係る画像生成回路が実行する対象部位サイズの計測処理の一例を説明するための図であり、対象部位サイズの計測処理においてディスプレイ2において表示される表示画像30の一例を示した図である。
【0057】
なお、図4においては、表示画像30は、表示画像20と同様に、A断面画像310を表示するA断面領域31、B断面画像320を表示するB断面領域32、C断面画像330を表示するC断面領域33、形状推定モデル340を表示する形状推定モデル表示領域34、心電波形表示領域36、断面ナビゲーション情報表示領域37、計測値表示領域38、超音波プローブナビゲーション情報表示領域39を含む。また、直線32a、33a及び断面27aはA断面の位置を、直線31b、33b及び断面27bはB断面の位置を、直線31c、32c及び断面27cはC断面の位置を、それぞれ示している。
【0058】
図4に示した様に、計算機能107bは、形状推定モデル340を用いて、A断面画像310に示された左心耳距離311、左心耳深度312を計測する。また、計算機能107bは、左心耳を楕円体として近似し、形状推定モデル340を用いて、C断面画像330に示された左心耳入口部の最大径、最小径、円周長、面積を計測する。計算機能107bによって計測された計測結果は、例えば図4の計測値表示領域28において、左心耳入口部の最大径38a、最小径38b、円周長38c、面積38dとして表示される。
【0059】
図2に戻り、計算機能107bは、形状推定モデルを用いて、推奨断面位置計算処理を実行する。より詳細には、計算機能107bは、左心耳を楕円体として近似し、形状推定モデルを用いて、最大径を含む断面の位置及び最小径を含む断面の位置を推奨断面の位置として計算する。計算機能107bによって計算された推奨断面の位置は、ディスプレイ2において所定の形態で表示される。
【0060】
図5は、実施形態に係る画像生成回路が実行する推奨断面位置計算処理の一例を説明するための図であり、対象部位サイズの計測処理においてディスプレイ2において表示される表示画像40の一例を示した図である。
【0061】
なお、図5においては、表示画像40は、表示画像20と同様に、A断面画像410を表示するA断面領域41、B断面画像420を表示するB断面領域42、C断面画像430を表示するC断面領域43、形状推定モデル440を表示する形状推定モデル表示領域44、心電波形表示領域46、断面ナビゲーション情報表示領域47、計測値表示領域48、超音波プローブナビゲーション情報表示領域49を含む。また、直線42a、43a及び断面47aはA断面の位置を、直線41b、43b及び断面47bはB断面の位置を、直線41c、42c及び断面47cはC断面の位置を、それぞれ示している。
【0062】
計算機能107bは、C断面画像330に示された左心耳入口部の最大径を含む断面位置、最小径を含む断面位置を計測する。計算機能107bによって計測された左心耳入口部の最大径を含む断面位置、最小径を含む断面位置は、例えば図5のC断面画像330において、左心耳入口部を楕円で近似した長径に対応する直線、短径に対応する直線として表示される。
【0063】
また、計算機能107bは、推奨断面の基準位置(基準角度)からの角度を計算する。計算機能107bによって計測された推奨断面の基準位置からの角度は、例えば図5の計測値表示領域48において、推奨スキャン角度48eとして表示される(同様に、図3においては推奨スキャン角度28eとして、図4においては推奨スキャン角度38eとして示している。)。
【0064】
また、図5に示した様に、超音波プローブナビゲーション情報表示領域49においては、現在のA断面の基準位置からの角度49aが表示される。従って、操作者は、A断面の位置を推奨断面の位置に設定するために、現在のA断面の位置(角度)から何度回転させればよいかを容易且つ迅速に視認することができる。
【0065】
また、図5においては、推奨断面の基準位置からの角度48eと、現在のA断面の基準位置からの角度49aとを並べて表示する場合を例示した。これらの角度情報に加えて、或いはこれらの角度情報の替わりに、現在のA断面の位置(角度)から何度回転させればよいかを示す角度情報を表示することもできる。なお、現在のA断面の位置(角度)から何度回転させればよいかを示す角度情報は、現在の超音波走査断面の位置と少なくとも一つの推奨断面の位置との差に関する情報の一例である。
【0066】
図2に戻り、計算機能107bは、対象部位サイズの計測処理の結果に基づいてデバイスサイズ判定処理を実行する。より詳細には、計算機能107bは、対象部位サイズの計測処理によって得られた左心耳のサイズに関する情報と、記憶回路110に記憶されたデバイスサイズテーブルとを比較して、当該患者の治療に用いる左心耳閉鎖デバイスのサイズを判定する。計算機能107bにより判定された左心耳閉鎖デバイスのサイズは、ディスプレイ2において所定の形態で表示される。
【0067】
次に、以上のように構成された本実施形態における超音波診断装置100で実行される各種支援処理の流れについて説明する。
【0068】
(対象部位サイズの計測処理)
図6は、実施形態に係る対象部位サイズの計測処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本対象部位サイズの計測処理は、例えば手術計画を行う場合、術前又は術後における画像診断等において実行される。また、本対象部位サイズの計測処理は、心電波形と同期して、例えば左心房容積が最大となる心時相におけるサイズが計測されるように実行される。また、複数の時相で計算処理を行った場合には、左心耳入口部の最大径の最も大きい時相におけるサイズが計測されるように実行される。
【0069】
図6に示した様に、経食道プローブとしての超音波プローブ1を用いて、左心耳に関するボリュームデータが取得される(ステップS1)。
【0070】
画像生成回路107の画像生成機能107aは、左心耳の形状推定モデルを生成する(ステップS2)。
【0071】
画像生成回路107の計算機能107bは、生成された形状推定モデルを用いて、対象部位サイズの計測処理を実行する(ステップS3)。
【0072】
表示制御回路108は、生成された形状推定モデル、及び計測結果として得られた左心耳のサイズに関する情報をディスプレイ2に表示させる(ステップS4)。
【0073】
(デバイスサイズ判定処理)
図7は、実施形態に係るデバイスサイズ判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本デバイスサイズ判定処理は、例えば手術計画時において左心耳閉鎖デバイスのサイズを決定する場合において実行される。また、図7に示したステップS11~ステップS14の各処理は、図6に示したステップS1~ステップS4の各処理と同様であるため、その説明は省略する。
【0074】
画像生成回路107の計算機能107bは、対象部位サイズの計測処理の結果に基づいてデバイスサイズ判定処理を実行する(ステップS15)。
【0075】
表示制御回路108は、デバイスサイズ判定処理の判定結果として得られた左心耳閉鎖デバイスのサイズを、ディスプレイ2に所定の形態で表示させる(ステップS16)。
【0076】
(左心耳閉鎖術支援処理)
図8は、実施形態に係る推奨断面位置計算処理を含む左心耳閉鎖術支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本左心耳閉鎖術支援処理は、例えば径カテーテル左心耳閉鎖術中において左心耳をリアルタイムでモニタリングする場合において実行される。また、図8に示したステップS21~ステップS24の各処理は、図6に示したステップS1~ステップS4の各処理と同様であるため、その説明は省略する。
【0077】
画像生成回路107の計算機能107bは、対象部位サイズの計測処理の結果に基づいて推奨断面位置計算処理し、推奨断面位置としての走査断面位置を計算する(ステップS25)。
【0078】
制御回路111は、推奨断面位置として計算された走査断面位置に基づく超音波送受信制御を実行する(ステップS26)。すなわち、制御回路111は、推奨断面位置として計算された走査断面位置の二次元画像を取得するために、超音波走査断面の位置を制御し、超音波送受信を実行する。より具体的には、制御回路111は、二次元配列された複数の超音波振動子のうち、推奨断面位置として計算された超音波走査断面位置を二次元走査するための複数の超音波振動子を選択する。制御回路111は、選択された複数の超音波振動子を用いて、推奨断面を超音波走査し、当該推奨断面に対応する二次元画像を取得する。
【0079】
画像生成回路107は、走査断面位置に対応する二次元画像を生成する。表示制御回路108は、走査断面位置に対応する二次元画像をディスプレイ2に所定の形態で表示させる(ステップS27)。
【0080】
なお、ステップS26、ステップS27に対応する二次元画像の取得及び生成・表示は、ステップS25において計算された走査断面位置に対して繰り返し実行される。
【0081】
制御回路111は、例えば超音波プローブ1や入力装置3からのフリーズ操作の有無等に基づいて、超音波スキャンを終了するか否かを判定する(ステップS28)。制御回路111が超音波スキャンを終了しないと判定した場合には(ステップS28のNo)、ステップS21~ステップS27の処理が繰り返し実行される。また、制御回路111が超音波スキャンを終了すると判定した場合には(ステップS28のYes)、左心耳閉鎖術支援処理を終了する。
【0082】
なお、ステップS21~ステップS27の処理は、心電波形に同期して、例えば一心拍に対して所定の頻度(例えば少なくとも一回)で実行することができる。
【0083】
また、左心耳閉鎖デバイスのサイズ決定から左心耳閉鎖術を一連の流れで行う場合には、図7に示したデバイスサイズ判定処理を実行した後、図8に示した左心耳閉鎖術支援処理が実行されることになる。
【0084】
以上述べた様に、本実施形態に係る超音波診断装置100の画像生成機能107aは、取得した左心耳に関する三次元データを用いて左心耳の三次元モデルとしての形状推定モデルを生成する。計算機能107bは、形状推定モデルを用いて得られる左心耳入口部のサイズに関する情報に基づいて、左心耳に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する。表示制御回路108は、少なくとも一つの推奨断面の位置をディスプレイ2に表示させる。
【0085】
従って、操作者は、左心耳に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を自動的に把握することができる。その結果、対象部位に対して所望する撮像断面の設定を、従来に比して、軽減された負担且つ高い精度で実現することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る超音波診断装置100の計算機能107bは、形状推定モデルにおける左心耳入口部の最大径、最小径、周長、面積のうちの少なくともいずれかを含むサイズに関する情報を計算し、計算されたサイズに関する情報に基づいて、左心耳に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を計算する。
【0087】
従って、解剖学的な情報に基づいて、左心耳に設定する少なくとも一つの推奨断面の位置を正確に計算することができる。
【0088】
本実施形態に係る超音波診断装置100の表示制御回路108は、現在の超音波走査断面の位置と少なくとも一つの推奨断面の位置とをディスプレイ2に表示させる。本実施形態に係る超音波診断装置100の表示制御回路108は、現在の超音波走査断面の位置と少なくとも一つの推奨断面の位置との差に関する情報をディスプレイ2に表示させることもできる。
【0089】
従って、操作者は、現在の超音波走査断面の位置を推奨断面の位置に設定するために、現在の現在の超音波走査断面の位置(角度)から何度回転させればよいかを容易且つ迅速に視認することができる。その結果、左心耳閉鎖術中の術者を支援し、作業負担を軽減することができる。
【0090】
本実施形態に係る超音波診断装置100の制御回路111は、少なくとも一つの推奨断面の位置に基づいて超音波走査断面の位置を制御する。すなわち、制御回路111は、超音波走査断面の位置が少なくとも一つの推奨断面の位置となるように超音波送受信に関する制御を実行する。
【0091】
従って、例えば左心耳閉鎖術中において、推奨断面に対応する超音波画像をリアルタイムで表示することができる。また、推奨断面に対応する超音波画像は、逐次更新される。
術者は、表示された超音波画像を観察することで、正確な状況を視認しながら手技を行うことが可能である。その結果、術者を支援することができ、左心耳閉鎖術の質の向上に寄与することができる。
【0092】
本実施形態に係る超音波診断装置100の計算機能107bは、左心耳のサイズに関する情報に基づいて左心耳閉鎖デバイスのサイズを判定する。表示制御回路108は、判定された左心耳閉鎖デバイスのサイズをディスプレイ2に表示させる。
【0093】
従って、推奨断面によって正確に計測された実測値に基づいて、左心耳閉鎖デバイスのサイズを正確且つ自動的に決定することができる。その結果、医師の左心耳閉鎖デバイスのサイズ決定における負担を軽減すると共に、左心耳閉鎖術の質の向上に寄与することができる。
【0094】
(変形例1)
上述の実施形態に係る超音波診断装置100では、推奨断面の位置を計算した後、超音波走査領域を三次元領域から二次元領域に切り替えて、推奨断面を二次元スキャンする場合を例とした。
【0095】
これに対し、推奨断面の位置を計算した後、超音波走査領域を三次元領域のままとし、超音波走査によって得られるボリュームデータから推奨断面の位置に対応するMPR画像を取得し、推奨断面に対応する二次元画像として表示するようにしてもよい。
【0096】
(変形例2)
上述の実施形態では、経食道プローブである超音波プローブ1として、二次元アレイプローブを利用する場合を例とした。これに対し、経食道プローブである超音波プローブ1は、一次元に配列された超音波振動子アレイが回転することで所望の断面をスキャン可能とするメカニカル超音波プローブを利用することもできる。
【0097】
係る場合、制御回路111は、計算された推奨断面の位置に従って超音波振動子アレイを回転させ、A断面、B断面に対応する走査断面についての超音波送受信を実行する。
【0098】
この様な構成によれば、メカニカルな経食道プローブであっても、上述した実施形態と同様の効果を実現することができる。
【0099】
(変形例3)
上述の実施形態では、心電波形と同期して、所定の心時相(例えば左心房容積が最大となる心時相)において最大径等のサイズに関する情報を計測した。これに対し、心電波形と同期して、複数の心時相における形状推定モデルを用いてサイズに関する情報を計測してもよい。係る場合には、例えば、最大径の標準偏差のように時相の情報を含んだ指標値を表示することもできる。
【0100】
(変形例4)
上述の実施形態では、医用画像診断装置が超音波診断装置100である場合を例とした。これに対し、上記実施形態において説明した形状推定モデル生成処理、対象部位サイズの計測処理、推奨断面位置計算処理、デバイスサイズ判定処理は、X線コンピュータ断層(Computed Tomography)撮像装置(X線CT装置)、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置等の他の医用画像診断装置においても適用することができる。例えば、X線CT装置によって取得されたCTボリュームデータを用いて同様の処理をすることで、診断対象における推奨断面の位置等を計算することができる。
【0101】
また、実施形態に係る形状推定モデル生成処理、対象部位サイズの計測処理、推奨断面位置計算処理、デバイスサイズ判定処理は、医用画像診断装置に限らず、医用ワークステーション等の医用情報処理装置等において実現することもできる。係る場合、医用情報処理装置は、例えば、医用画像診断装置によって撮像されたボリュームデータを取得し、これを用いて実施形態に係る形状推定モデル生成処理等を実行することができる。また、実施形態に係る形状推定モデル生成処理等に従って得られたデバイスサイズ、計測結果、推奨断面の位置等の情報は、例えば医用情報処理装置から医用画像診断装置や他の端末へリアルタイムで送信することも可能である。
【0102】
(変形例5)
上述の実施形態では、説明を具体的にするため、診断対象が左心耳である場合を例とした。しかしながら、実施形態に係る形状推定モデル生成処理、対象部位サイズの計測処理、推奨断面位置計算処理、デバイスサイズ判定処理は、対象部位が左心耳以外である場合に限定されず、例えば対象部位が心房中隔、僧房弁等である場合にも適用可能である。
【0103】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、対象部位に対して所望する撮像断面の設定を、従来に比して、軽減された負担且つ高い精度で実現することができる。
【0104】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 超音波プローブ
2 ディスプレイ
3 入力装置
10 装置本体
21、31、41 A断面領域
22、32、42 B断面領域
23、33、43 C断面領域
22a、23a、27a A断面位置
22b、23b、27b B断面位置
22c、23c、27c C断面位置
24、34、44 形状推定モデル表示領域
26、36、46 心電波形表示領域
27、37、47 断面ナビゲーション情報表示領域
28、38、48 計測値表示領域
28a、38a、48a 左心耳入口部の最大径
28b、38b、48b 左心耳入口部の最小径
28c、38c、48c 左心耳入口部の円周長
28d、38d、48d 左心耳入口部の面積
28e、38e、48e 推奨断面の一
29、39、49 超音波プローブナビゲーション情報表示領域
32a、33a、37a A断面位置
32b、33b、37b B断面位置
32c、33c、37c C断面位置
42a、43a、47a A断面位置
42b、43b、47b B断面位置
42c、43c、47c B断面位置
100 超音波診断装置
101 送受信回路
102 バッファメモリ
103 Bモード処理回路
104 ドプラ処理回路
105 出力インタフェース
106 入力インタフェース
107 画像生成回路
107a 画像生成機能
107b 計算機能
108 表示制御回路
109 画像メモリ
110 記憶回路
111 制御回路
112 NWインタフェース
210、310、410 A断面画像
220、320、420 B断面画像
230、330、430 C断面画像
240、340、440 形状推定モデル
P 被検体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8